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船舶の滅失又は沈没の場合における失業の補償に関する条約(第8号)
(昭和三十年八月二十二日批准登録)
国際労働機関の総会は、
理事会により千九百二十年六月十五日にジエノアに招集されて、
このジエノアの会議の議事日程の第二議題である「雇入契約の監督、船員のための職業紹介並びに失業及び失業保険に関して昨年十一月にワシントンで採択された条約及び勧告の船員に対する適用」に関する提案の採択を決定し、
この提案が国際条約の形式をとるべきであることを決定したので、
国際労働機関の加盟国により批准されるため、国際労働機関憲章の規定に従い、次の条約(引用に際しては、千九百二十年の失業補償(海難)条約と称することができる。)を採択する。
第 一 条
1 この条約の適用上、「海員」とは、海洋航行に従事する船舶内に使用されるすべての者をいう。
2 この条約の適用上、「船舶」とは、公有であると私有であるとを問わず、海洋航行に従事するすべての種類の船舶及び舟艇をいう。ただし、軍艦を除く。
第 二 条
1 船舶が滅失し、又は沈没した場合には、その船舶内の役務について海員と契約を結んだ船舶所有者その他の者は、その船舶に使用されていた各海員に、その船舶の滅失又は沈没により生ずる失業に対する補償金を支払わなければならない。
2 この補償金は、契約に基いて支払うべき賃金と同一の割合で、海員の実際の失業日数に応じ支払うものとする。ただし、一人の海員に対してこの条約に基き支払うべき補償金の総額は、二箇月分の賃金の額に制限することができる。
第 三 条
海員は、前記の補償金の請求については、その勤務期間に対する賃金の延滞額の請求について有する救済手段と同一の救済手段を与えられなければならない。
第 四 条
1 この条約を批准する国際労働機関の加盟国は、その植民地、保護領及び属領で完全な自治を有しないものに対し次の条件の下にこの条約を適用することを約束する。
(a) 現地の状況により、この条約の規定を適用することができない地域を除くこと。
(b) 現地の状況に適応させるために必要な変更をこの条約の規定に加えること。
2 加盟国は、その植民地、保護領及び属領で完全な自治を有しないものについて執つた措置を国際労働事務局に通告しなければならない。
第 五 条
国際労働機関憲章に定める条件によるこの条約の正式の批准書は、登録のため国際労働事務局長に送付するものとする。
第 六 条
国際労働事務局長は、国際労働機関の二加盟国の批准が国際労働事務局に登録されたときは、この旨を直ちに国際労働機関のすべての加盟国に通告しなければならない。
第 七 条
この条約は、国際労働事務局長が前記の通告を行つた日に効力を生じ、その批准を国際労働事務局に登録した加盟国のみを拘束するものとする。その後は、この条約は、他のいずれの加盟国についても、その批准が同事務局に登録された日に効力を生ずる。
第 八 条
この条約を批准する加盟国は、千九百二十二年七月一日までにこの条約の規定を実施すること及びその規定を実効的にするために必要な措置を執ることを合意する。もつとも、第七条の規定に従うものとする。
第 九 条
この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から五年の期間の満了の後は、登録のため国際労働事務局長に通知する文書によつてこの条約を廃棄することができる。廃棄は、その廃棄が国際労働事務局に登録された日の後一年間は効力を生じない。
第 十 条
国際労働機関の理事会は、少くとも十年に一回この条約の運用に関する報告を総会に提出し、かつ、この条約の改正又は修正に関する問題をその総会の議事日程に加えることの可否を審議しなければならない。
第 十 一 条
この条約の英語及びフランス語による本文は、ともに正文とする。