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ILOジャーナル2001年7月号目次
▼ 2000年の主な出来事
▼ ILO事務局機構図(2001年1月現在)
▼ ILO/日本2001年度マルチバイ
▼ ソマビア事務局長、初の中国公式訪問
▼ ASEAN労相会議とミャンマー
▼ 労働安全衛生新シンボル
▼ ILOの現勢(2001年6月1日現在)
▼ ジュネーブ便り:就任ご挨拶(サリー・パクストンILO社会対話総局長)
▼ ILO部局活動紹介A:社会対話総局
▼ 人事ニュース:ILO交換人事制度発足
▼ 第89回ILO総会議題資料:強制労働の撲滅グローバル・レポート
▼ 新刊紹介:社会的に維持可能な世界経済に向けて他
ILOジャーナル2001年7月号
| 2000年にはソマビア事務局長の提案による、ディーセント・ワークの確保をめざした新事業計画が開始された。事業計画は、男女平等と開発を全てに関連したテーマとしつつ、@労働における基本的原則と権利の推進と実現、A男性及び女性が価値ある雇用と収入を確保できる機会の充実、B社会的保護の効果を高め、保護範囲を全ての人々に広げること、B三者構成主義と社会対話の強化の4戦略目標を軸に進められている。 |
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▼2月3日付でキリバス(アジア太平洋地域に所属)、11月24日付でユーゴスラビア連邦共和国(新ユーゴ)がILOに加盟した。新ユーゴの加盟に伴い、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国(旧ユーゴ)が正式に加盟国から削除されたため、加盟国数はプラス1の175。
▼「ディーセント・ワーク(権利が保障され、十分な収入を得、適切な社会的保護のある生産的な仕事)の確保」を21世紀の中心的な目標とする新事業計画が開始され、事務局機構の再編成を経て、それに基づく活動が進められている。
▼4月1日、国際機関では初めて、ILO事務局は職員組合と労働協約を締結した。協約は、交渉における相互の代表権を認め、団体交渉の手続きを定める。
▼6月の総会では、HIV(エイズウイルス)/エイズ特別会合が開かれたほか、職場のエイズ問題に関する決議が採択された。ILOは国連エイズ合同計画(UNAIDS)と協力協定を締結した。総会決議を受け、HIV感染者及びエイズ患者の労働に係わる基本的権利の保護と企業、労使団体を通じた関連情報・教育の提供をめざし、労働の世界とHIV/エイズに関するILO計画が開始された。
▼1995年に開かれた社会開発サミットと第4回世界女性会議のその後の進展状況をフォローアップする国連会合がそれぞれ6月に開催され、ILOも準備段階から積極的に関与した。事務局長及び理事会役員も出席した前者では、最終採択文書に、ILOが提出した文書、「グローバル経済におけるディーセント・ワークと貧困緩和」に含まれる提案が多数盛り込まれ、ディーセント・ワークとその4戦略目標に対する支持、世界雇用フォーラム開催の承認等、ILOの活動に関する言及が多数明記された。後者に関連しては、3月の理事会で女性のディーセント・ワークに関するシンポジウムを開き、会議に対するILOの関わりを話し合った。採択された文書には、労働の基本的原則・権利宣言等ILOの活動への言及が見られる。
また、アナン国連事務総長が提唱するグローバル・コンパクトの具体化に向けたハイレベル会合が7月に開催され、今後の活動に関する合同イニシアチブが採択された。グローバル・コンパクトとは、世界人権宣言、ILOの労働における基本的原則・権利宣言、環境と開発に関するアジェンダ21に含まれる人権、労働、環境に関する9つの原則を企業活動の中で適用、推進していくよう呼びかけるもの。
▼1977年に採択された多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言が3月及び11月の理事会で改正された。労働の基本的原則・権利宣言とそれに対応する条約・勧告に関する言及が本文及び追補に追加され、最低年齢と児童労働の効果的な廃絶に関する新章が挿入された。
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▼6月の総会では、母性保護改正条約(第103号)及び同勧告(第95号)を改正する新母性保護条約・勧告が採択された。
また、1997年の総会で採択された総会議事規則の改正により、未発効の条約及び勧告を撤回できる道が開かれたが、これに基づき、5本の条約(労働時間に関する第31号、第46号、第51号、第61号、移民労働者に関する第66号の各条約)が初めて撤回された。
▼強制労働条約違反が指摘され、審査委員会から是正勧告が出されながら、事態改善が見られないミャンマーに関しては、ILO憲章第33条が初めて発動され、具体的な改善措置が取られない限り、ミャンマーとの関係見直し、支援見直し等を国際社会に求める決議が総会で採択され、11月30日をもって発効した。事務局長は加盟国、国際機関、国連事務総長に対し、この決議への注意を促した。今年3月の理事会に事務局長の経過報告が提出され、今年の総会で審議が行われる。
▼1998年に採択された労働の基本的原則・権利宣言のフォローアップ手続きが開始された。各国から提出された未批准基本条約に関する年次報告を審査した専門家諮問団の報告書が3月の理事会に提出され、検討された。続いて総会に、その討議結果及びその他の情報源を元に事務局長名で編纂されたグローバル・レポートが提出され、審議された。グローバル・レポートとは、基本的原則・権利4分野について、1つずつ順番に全体像を示し、将来の活動を定める基礎となるものであるが、2000年には結社の自由と団体交渉に関する報告書が作成された。総会における討議結果をもとに、11月の理事会で技術協力と行動計画上の優先事項を確定する話し合いが行われた。
▼1999年に全会一致で採択された最悪の形態の児童労働条約(第182号)は、ILO史上最も速いスピードで批准が進み、早くも11月19日に発効した。日本は昨年、最低年齢条約(第138号)を批准し、第182号条約の批准に向けた検討も進んでいる(本年6月批准、詳報次号)。
▼組合役員の殺害その他暴力行為、組合員の解雇といった問題が既に数度にわたり理事会の結社の自由委員会で取り上げられ、憲章第26条に基づく苦情申立も行われているコロンビアについては、2月に直接接触ミッションが現地を訪れた。6月には、結社の自由委員会の勧告の実施において政府を支援する目的でILO特別代表が任命され、11月にはその報告書が理事会に提出された。
▼理事会の結社の自由委員会では90の案件が審議されたが、11月の委員会では、JR不採用問題に関わる反組合的差別行動について、国労と全動労が行った日本政府に対する申立に関し、1年前の中間勧告に続く最終勧告が出された。勧告は、和解に向けた働きかけを行うとの政党合意を当事者が受け入れるよう勧奨すると共に、政府に対して情報の継続提供等を要請した。
2000年に開催された主な会議とその成果は次の通り(開催地は特記ない限りジュネーブ)。
▼断熱用ウールの安全使用専門家会議(1月17〜26日)−合成ガラス繊維断熱用ウール(グラスウール、ロックウール、スラグウール)の安全使用に関する実施基準を採択。さらに、ILOは今後、セルロース、炭化珪素、耐火性セラミックファイバー等既存のILO基準に含まれていない繊維に関する実施基準を開発するよう求められた。
▼報道・娯楽産業の雇用、労働条件、労使関係に対する情報技術の影響に関するシンポジウム(2月28日〜3月3日)−報道・娯楽産業の情報技術に関する結論を採択。結論はILOに対し、子役等に関する調査研究、情報通信産業の発達と影響に関する三者構成会議開催可能性の検討等を求める。
▼21世紀の生涯学習合同会議−教員の役割の変化(4月10〜14日)−21世紀の生涯学習に係わる教員の役割の変化に関する結論と質の高い教育訓練への万人のアクセスに関する決議を採択。結論には、生涯学習、教育上の意思決定への参加と職場学習等の項目が盛り込まれ、ILOに対しては、情報通信技術に基づく通信教育による生涯学習へのアクセス改善に関する調査研究等が求められた。
▼輸送機器製造のグローバル化が社会と労働に与える影響に関する三者構成会議(5月8〜12日)−輸送機器製造のグローバル化が社会と労働に与える影響に関する結論と輸送機器製造におけるILOの将来の活動に関する決議を採択。結論には統合が雇用に与える影響、生産性、チームワーク等の項目が含まれる。決議では、輸送機器製造業の社会経済統計データベースの開発等が求められた。
▼保護を要する状態にある労働者に関する専門家会議(5月15〜19日)−1998年の総会で採択された契約労働に関する決議に基づき開催されたこの会議では、共同声明が採択された。声明は、法律上の雇用関係が現実の労働関係に沿っていない状況が全世界的に見られること、この状況は国によって非常にばらつきがあることを指摘し、ILO事務局にさらなる調査等を求める。加盟国に対しては、雇用形態を偽り、従属労働につく者から適切な法的保護を剥奪するようなことをなくすこと、現実の雇用に沿って雇用関係を律する法を備えること等を求め、ILOに対してはそのための支援の提供を求める。ILOが取り得る行動として、総会における文書の採択、技術協力、情報交換の促進等をあげる。これを受け、2003年の総会では雇用関係の範囲に関する一般討議が行われることとなった。
▼国際労使関係(IIRA)第12回世界会議(東京・5月29日〜6月2日)−ILOが事務局を務めるIIRAは、労使関係に関する国際的な情報交換の場として3年おきに世界会議を開催している。日本で開催されるのは1983年に次いで2度目。「21世紀の労使関係、人的資源管理の課題」を総合テーマに、世界約60カ国から約1,100人が参加し、活発な討議が繰り広げられた。
▼第7回ILO/ユネスコ教員の地位勧告適用合同専門家委員会(9月11〜15日)−1966年に採択されたILO/ユネスコ教員の地位勧告の適用状況を吟味する委員会の定期会合であるが、今回より1997年に採択されたユネスコの高等教員の地位勧告についても扱うこととなった結果、名称が「ILO/ユネスコ教員勧告適用合同専門家委員会」と変更になった。勧告規定違反に関する教員団体からの申立が新たに4件受理されたが、この中にはパートタイム労働者の給与、出産休暇、その他の雇用条件に関する日本の組合からのものも含まれる(政府の情報提供が遅れたため、審議は延期)。委員会は、エイズ予防教育に対する情報提供等、両機関の実施すべき優先活動に関する勧告を採択。
▼グローバル経済における雇用と農業の近代化を通じた持続的な農業開発への移行に関する三者構成会議(9月18〜22日)−@グローバル経済における雇用と農業の近代化を通じた持続的な農業開発への移行に関する結論、及びAILOの将来活動、B今後開催される農業に関する三者構成会合への女性の参加、C農業労働者の結社の自由と労働基準のそれぞれに関する3つの決議を採択。結論はILOに対し、エイズが商業的農業における児童労働の規模と性質に与える影響に関する調査研究の実施等を求める。
▼日経連/ILO/国際使用者連盟(IOE)第5回アジア太平洋使用者団体ハイレベル会合(シンガポール・10月9〜10日)−アジア太平洋経営者サミットの通称で日経連の協力により開催されている定期会合。政府及び組合とのパートナーシップの形成等に関する話し合いが行われた。人的資源開発戦略は全ての人々を対象とすべきこと、ILOの人的資源開発勧告(第150号)は優先的に改正される必要があること等が指摘された。
▼履物・皮革・繊維・衣料産業の労働慣行三者構成会議(10月16〜20日)−履物、皮革、繊維、衣料産業の労働慣行に関する結論と同産業におけるILOの将来活動に関する決議を採択。結論は、ILOに対し、労働の基本的原則・権利宣言や多国籍企業及び社会政策の原則に関する三者宣言の推進等を求める。
▼第2回船員の死亡、負傷、遺棄に対する賠償請求に関わる責任及び賠償に関する国際海事機関(IMO)/ILO特別合同専門家作業部会(ロンドン・10月30日〜11月3日)−次回会合における討議のたたき台として、@船員の遺棄の際の金銭保証の提供、A船員が死傷した際の契約上の賠償請求に関する船主の責任のそれぞれに関する2つのガイドライン案が作成された。
▼第6回欧州地域会議(12月12〜15日)−1995年の前回会合以降、ILOの4戦略目標の各項目毎にILOが地域で行った活動と情報経済におけるディーセント・ワークの課題に関する話し合いが行われた。採択された結論では、EU(欧州連合)加盟候補国に対するILOの支援の強化、南東ヨーロッパの安定協定と民主化への寄与、ILOとEU、独立国家共同体(CIS)等地域機関との関係の強化等が強調された。
4戦略目標と2つの横断目標(ジェンダー、開発)という戦略的な方向性が定められ、ILOの技術協力活動は一新された。労働の基本的原則・権利宣言のフォローアップ手続きとしての、結社の自由と団体交渉権に関する技術協力行動計画、アフリカ雇用創出計画(Jobs
for Africa)、HIV/エイズと労働の世界計画、東チモール等における危機対応・再建の技術協力プロジェクト、マーストリヒト大学との協力による社会保障財源に関する大学レベル研修計画、職業訓練、労使団体の役割強化、社会対話の推進等、戦略目標に沿った多彩な活動が各地で進められ、欧州(モスクワ)と米州(サンホセ)で技術協力活動の現地調査が行われた。
国連開発計画(UNDP)からの資金が低下した一方で、宣言推進、小企業開発を通じた雇用創出、社会保障・経済保障の各国際重点計画、ジェンダー推進局に1,650万ドルを拠出したオランダ、児童労働撲滅国際計画(IPEC)に2,500万ドル、労働に係わる権利と中核的労働基準の推進に2,000万ドルを拠出した米国、社会開発サミットで採択された行動計画の枠組みにおけるディーセント・ワークの支援に750万ドルを拠出したイタリアのように、加盟各国からの任意資金協力は増加した。
平成13年度、日本政府(厚生労働省)はILO/日本マルチバイ技術協力のため、ILOに対し、総額3億1,807万円(アジア太平洋技能計画APSDEPへの拠出金1,926万円含む)を任意に拠出する(前年度比約8%増)。下記は対象プロジェクトの概要である。
その他、E雇用促進に向けての戦略的アプローチ−中国都市部雇用創出計画に9,428万6千円、F児童労働撲滅国際計画(IPEC)のアジア地域内での活動に対する支援として、労働及び性的搾取のための児童の売買に関するアジア地域会議に1,847万9千円、Gインドネシア貧困撲滅に向けた雇用・労働市場政策の調査に2,075万4千円を拠出する。
去る5月、ソマビアILO事務局長は中国を初めて公式訪問し、5月17日にILO・中国間の協力に関する覚書を締結した。覚書は、国際的に認められた労働における権利と原則に沿って、中国における雇用、社会対話、社会的保護に関する政策の強化をめざし、労働法体系の整備、大規模な構造調整期における社会的保護、雇用の拡大、秩序ある安定した変化を可能とする労使関係システム及び紛争解決メカニズムの樹立に取り組むこととしている。
覚書による諸事業について、事務局長は中国国内の取組み、関係者の協力が必要であるのみならず、国連諸機関、国際金融諸機関の協力が求められると指摘した。これに関連して、スイス政府が中国経済開発区における人材開発と労使関係の改善に向けたプロジェクトに資金協力を行うことを明らかにし、これを歓迎した。
また、事務局長は、労働における基本的原則・権利宣言に対する中国の支持を歓迎しつつ、国際労働基準の理解を促進する広報・教育活動を行うとの今回の合意が極めて有意義であると指摘した。そして、結社の自由、強制労働禁止の原則の適用状況について、ILOの監視機構がこれまでに指摘してきた問題に言及すると共に、ILOの結社の自由委員会が釈放を要請している拘禁中の労働者名簿を中国政府代表に手渡したことも明らかにした。
去る5月10〜11日にクアラルンプールで開催された第15回東南アジア諸国連合(ASEAN)労相会議は、ミャンマー政府が強制労働への徴用を違法とし、法による処罰の道を開いたこと、強制労働の効果的な廃絶に向け、強制労働条約(第29号)の全国レベル実行委員会を設立したことなど、強制労働の禁止に向けた立法、行政措置を講じていることに留意し、ILOに対し、このようなミャンマー政府のイニシアチブを認め、第29号条約に基づく義務と責任を遂行することを支援するよう求め、ILO憲章第33条に基づく勧告についてはこれ以上の措置を控えるよう要請した。
この他のILO関連事項としては、中核的な国際労働基準と基準設定・監視機構の問題等が取り上げられた。前者については、ASEAN加盟国がILOの要請に応え、中核的な条約を批准してきていることに満足の意を表した。また、最悪の形態の児童労働条約(第182号)がASEAN加盟国の絶大な支持を受けていることに留意し、その実施に向けての技術協力を要請した。
後者については、昨年11月のILO理事会で、基準設定プロセス及び監視機構の見直しが決定されたことに歓迎の意を表した。そして、見直しに際しては、透明性、客観性及び促進的性格を重視し、監視機構メンバーの選定基準、条約勧告適用専門家委員会の取り上げる個別案件の選定基準と選定手続き、批准条約の履行に関する解釈の問題を取り上げるよう要請した。
ミャンマーに関しては日本でも連合が今年4月17日、ミャンマーの民主組織であるビルマ労働組合連盟(FTUB)、LDB、NLD(LA)日本支部、国民民主戦線(NDF)、Flyers、ビルマ市民フォーラム(PFB)と共に、在日ミャンマー人民主化活動家の活動拠点となる事務所を東京に開設した。この事務所は、ミャンマーにおける民主主義の対話を通じての変化を支持し、同国の民主化運動に関わる組織にスペースを提供し、ミャンマーに関する真実のデータ及び情報を、日本政府、非政府組織(NGO)、労働組合、学生組織、宗教組織、在日及び海外のミャンマー系メディアに提供するといった活動を行う。
労働災害または職業病で死傷した労働者を悼む国際記念日の4月27日、ジュネーブのILO本部で式典が開催された。ソマビアILO事務局長は講演を行い、ILOの労働安全衛生キャンペーン用の新しいシンボルとして、国際的な安全色である黒と黄色のリボンを発表した(左図)。リボンは労働安全衛生問題の認識と互いの連帯を示すために着用することができる。
ILOは、労働災害や職業病によって死亡する労働者数は世界全体で戦争による死亡者の2倍近い年間130万人超(1日平均3,300人)に達すると推計している。
| 加盟国数・・・・・・・・・・・・・・・・ | 175 |
| 条約の数・・・・・・・・・・・・・・・・ | 183(うち、撤回5) |
| 勧告の数・・・・・・・・・・・・・・・・ | 191 |
| 加盟国の平均批准数・・・・・・・ | ・39 |
| OECD諸国の平均批准数・・・ | ・67 |
| 日本の批准条約数・・・・・・・・・ | ・44 |
| ジュネーブ便り |
サリー・パクストン社会対話総局長
読者の皆様
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ILO部局活動紹介A |
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| 主としてILOウェッブサイトより各部局の活動概要を随時紹介していきます。 | |
| 社会対話総局は、ILOの三者構成の原則に則り、使用者団体を担当する使用者活動局、労働者団体を担当する労働者活動局、産業別会議の事務局を務める部門別活動局、政府を担当する政府・労働法・労働行政局、そして社会対話の推進等に向けて活動する社会対話強化国際重点計画から構成されている。それぞれのページには、活動情報、出版物案内、各種データベース、連絡先が含まれる。 データベースとしては、国際・国内使用者団体一覧(使用者活動局ページ)、国際・国内労働者団体一覧(労働者活動局ページ)、各国の労働行政制度に関するデータベース(ATLAS)(政府・労働法・労働行政局ページ)がある。 出版物は全文が含まれているものも多く、業績給・職能給入門(使用者活動局)、日本、韓国、フランス等の最低賃金設定システムの概要(社会対話強化国際重点計画)等さまざまなテーマの文書が収められている。 労働者活動局のページには、国際労働基準、グローバル化といったテーマ別に、他サイトへのリンクを含む膨大な情報が集められている。部門別活動局のページには、各種産業情報に加え、産業別会合の討議資料、議事録も掲載されている。社会対話強化国際重点計画のページには国際労使関係協会(IIRA)の情報も含まれる。政府・労働法・労働行政局のページには、幾つかの国の労働関連法制のまとめが含まれるほか、雇用関係法が適用されない請負等の従属労働者に関するオンラインフォーラムも開催されている。 社会対話総局ウェブサイト(英文)をご利用ください。 | |
この度、ILOと厚生労働省、日本労働研究機構の間で、交換人事制度に関する協定が結ばれた。これは、ILOと加盟国の相互理解を深め、人材育成や技術支援について協力することを趣旨とする制度で、原則2年間の人事交流を行う。その第1号となったのが、ILO側は国際労働基準局平等・雇用部の堀井由紀(ほりい・ゆき)さんで、5月15日より厚生労働省国際課に配属され、日本政府とILOとの渉外を担当している。今後、2年間の派遣期間中には、他の部局や日本の労使団体などにも出向して研修を受ける予定。日本側からは、日本労働研究機構職員の戎居皆和(えびすい・みなわ)さんが、5月2日付で、ILO本部のILO宣言推進国際重点計画に配属され、労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言とそのフォローアップを推進するための啓発・調査活動、模範事例の評価、技術支援などに携わっている。
同様の交換人事制度は、ILOとフランス政府の間でも合意が成立しており、開かれた人事制度を模索するILOの具体的な人材育成策として、今後の活用が期待される。
| 1998年に採択された「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」のフォローアップのため、事務局長はILO総会にグローバル・レポートを提出することとされている。これは毎年、基本的原則及び権利の4分野を1つずつ順番に取り上げ、世界の実態とILOの技術協力の実績を分析、評価するものである。今年のレポートは強制労働を取り上げ、世界における強制労働の実態(第1部)、ILO技術協力の実績(第2部)を紹介した上でこれからの行動計画のあり方(第3部)について検討する。総会での審議の参考のため、考えられる討議のポイントも付されている。以下、レポートの概要をまとめる。 |
強制労働は人権侵害であり、人間の自由を奪う社会悪であるとの認識は世界的に共通している。この問題へのILOの取り組みは1920年代に始まる。1930年には、国際連盟の要請を受け、強制労働条約(第29号)が採択された。1950年代に入ってからは、政敵への懲罰や農村に残る封建的制度としての強制労働に焦点が当てられ、1956年には国連が奴隷制廃止に向けた条約を、57年にはILOが強制労働廃止条約(第105号)を相次いで採択した。このような国際機関の努力にも関わらず、強制労働は今なおはびこっており、近年むしろ様々な新しい形態をとって増加してさえいる。強制労働がとりうる多様な形ゆえ、これをなくすには多角的な対策が必要である。
奴隷労働は、現在では極めて少ないものの、一部の国で存在する。リベリア、モーリタニア、シエラレオネ、スーダン等紛争地域で、地域住民等の誘拐が頻発している。武装対立のために子どもを強制的に徴用することは、最悪の形態の児童労働のひとつとされるが、これも増加傾向にある。
農村部では、強制的な徴用の末に、プランテーションや家庭で働かされ、奴隷同然の待遇や債務労働に陥る人もいる。アフリカのピグミー族やラテンアメリカのアイマラ族のような先住民は特に、こうした強制労働の犠牲になりがちである。
家事労働者も搾取にあうことが珍しくない。人身売買で、あるいは移民としてやってきた女性や子どもが、暴力を振るわれたり、身分証明書を取り上げられ、雇い主の家に拘束されたりしている。
インド、ネパール等南アジア諸国では、債務労働が根深い問題である。主に農業で見られ、何百万人もの男女や子どもが、債務を労働で弁済するという悪循環に陥っている場合もある。報告書は、避難キャンプの建設が、債務労働に対し一定の功を奏した事例も紹介している。
ミャンマーでは軍隊や政府組織が、開発を表向きの理由に労働者を強制的に徴用しており、国際的な非難を浴びている。昨年の総会での討議の結果、ILOは憲章第33条に基づく措置を創立以来初めて発動した。
人身売買は、近年急速に増加している。世界中ほとんどの国が売買される人の「送出国」「経由国」「受け入れ国」のいずれかに該当するという点で、これは文字どおり世界にまたがる問題である。人の流れは複雑であるが、主な行き先には先進国の主要都市も含まれ、アムステルダム、ブリュッセル、ロンドン、ニューヨーク、ローマ、シドニーと並んで東京もあげられている。
貧困、失業、国内不安、政治的抑圧、人種差別等の要因に乗じて、人身売買を行う者は弱者を搾取している。欧州では、特にソ連の崩壊後に人身売買が爆発的に増えた。米国では不法移民を使用し、搾取する工場が発見されている。人身売買は麻薬取引よりも刑罰が軽いとあって、国際的な犯罪組織が関与し、発見するのは困難である。強制労働の多くは不法あるいは地下活動であり、一般の目からは隠されている。取締まりの行き届かない工場労働、農業、インフォーマル・セクターの成長は、移民の搾取を悪化させる経済・社会要因である。
東南アジアの国境地帯では、農村から強制的に、またはだまされて連れてこられ、性産業で働かされる年少者が後を絶たない。バルカン半島と東欧では、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ地域へ向けた女性の売買が行われている。米国には、毎年5万人もの女性と子どもが送り込まれ、性産業や家事労働、清掃労働に使役されているといわれる。
強制労働の多様性や規模の大きさにかかわらず、ILOのプログラムが問題解決に寄与した数々の事例を報告書は紹介している。例えば、数カ国においては省庁をまたがるアプローチがとられ、法務、入国管理、社会保障、労働など多方面から、人身売買がからむ不法な活動に取り組んでいる。ILO児童労働撲滅国際計画(IPEC)による子どもの債務労働と売買に対する積極的な取り組みの例として、メコンデルタ地域で実施されているプログラムが紹介されているが、これは、子どもに加え、女性も対象とし、教育訓練、融資、その他の方法で女性をパワーアップすることが、子どもの売買を防止する上で不可欠であると指摘する。
強制労働撲滅に向けた重要な第一歩は、国内外にまたがる問題の全容を明らかにするために関係国政府を支援することである。社会経済条件が複雑にからんで生じる強制労働に一国のみで立ち向かうことは、極めて困難である。
強制労働問題には、貧困対策と労働市場規制措置を組み合わせた対策が必要とされる。小作制度と密接に結びついた長期強制労働に対しては、持続的な農業開発、生産性向上や人権面での改革が必要である。ILOが小規模融資や、強制労働を脱した人々の社会復帰と技能付与のプロジェクトを他に先駆けて実施し、人身売買や防止策に関する知識基盤を拡大しつつあるにしても、今後の課題は極めて大きい。
司法・警察機関や国連機関が協力しつつ多角的なアプローチをとることで重要な役割を果たせる。強制労働を使用しないことを盛り込んだ国連のグローバル・コンパクトへの加入を通じて、労使団体や民間企業が既に具体的な手段を講じ始めたことも報告書は指摘し、加盟国政府や社会的パートナーに対し、理解を深め、人間の自由を損なう慣行を撲滅するための努力を倍増するよう呼びかけている。
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本書は、グローバリゼーションがもたらす社会的効果のプラス、マイナス両面を検証した研究成果として時宜を得たものであり、分析方法も斬新で、政策検討にも役立つ恰好の書である。
ウルグアイ・ラウンド交渉で社会条項導入の是非をめぐり大論争となったとき、ILOは理事会に貿易自由化の社会的側面について審議する作業部会を設置した。著者のRaymond
Torresは、ILO事務局において作業部会のために一連の調査を遂行したタスクフォースの責任者であった。
グローバリゼーションは、生産及び所得を刺激する反面、所得格差の拡大、雇用不安、経済不安を生じさせる。本書は、経済の統合が進む中で、どのような経済、社会、労働政策によって、それによる利益を最大化し、コストを減らせるかを検討している。
統計データと分析技術を駆使し、深く社会的な影響を本書は探る。その分析対象は、経済の発展段階が異なるバングラデシュ、チリ、モーリシャス、ポーランド、韓国、南アフリカ、スイスの各国に及ぶ。貿易の自由化、海外直接投資、自由な資本移動などと、社会進歩との関係が分析される。
グローバリゼーションに対して国家は無力であるという見方が広がっているが、本書の結論はこれと対照的に、政府及び労使は何かできる、やらなければならないというものである。グローバリゼーション、経済発展、社会進歩は相互に関係し合っている。貿易投資の自由化に合わせて、グローバリゼーションを支える屋台骨として、教育訓練政策、社会のセーフティネット、労働法、労使関係、基本的労働基準などの強化を図ることにより、社会的に持続可能な市場経済のダイナミックな展開を目指すべきであると、本書は主張する。
また、開発途上国の場合、自由化の社会的影響に対処することが容易ではなく、この点については、時間的な猶予と貿易、社会両面にわたる先進国及び国際機関からの支援の必要性を指摘している。
グローバリゼーションの社会的側面調査シリーズとして、本書のほかに、上述の調査対象7ヶ国の国別リポートも出版されているので、これらも大いに参考となろう。それぞれ各種統計資料、分析手段を駆使して、グローバル化と社会進歩における最新の動向を概説し、その社会的影響を評価し、国際統合、労働市場の情勢変化、労働及び社会の不安定性からの保護、労使関係を含む各種政策事項を吟味する。
* * *
1994年に設置されたILO理事会の「貿易自由化の社会的側面作業部会」には理事全員が参加する。作業部会における活発な議論は、経済と社会の平行開発における前提条件の1つは労働の基本的原則と権利であることが世界的に認識されるに至ったプロセスを始動するきっかけとなった。作業部会は、上記国別調査の他、この分野における他の諸機関の活動を初め、社会的側面を経済進歩に結びつける方法、社会的ラベリング、実施基準、その他労働問題を扱う民間企業のイニシアチブなど、様々な討議資料をもとに、貿易自由化とグローバリゼーションが社会と雇用に与える影響を幅広く検討した。
話し合いから得られたメッセージは、1つは、情報通信技術の普及と急速な経済統合を特徴とする現代経済においては、保護貿易体制のもとで社会目標を追求できるとの考えは幻想ではないかということ、もう1つは、政府は開放貿易・投資政策を実施する際に、経済政策の中で社会的側面の優先順位を高めるだけでなく、社会的支柱の強化がグローバリゼーションの経済収益を高めることを認識する必要があるということである。
さらに、作業部会の経験から得られたより一般的な教訓として、この問題に対する統合的なアプローチの有用性が認識された。グローバリゼーションの個別の側面が別々に扱われることが多いが、経済現象と社会現象は生来相互に関係がある。理事会は2000年3月に作業部会を「グローバリゼーションの社会的側面作業部会」と改名し、貿易自由化と社会進歩の関係においてILOの使命に係わるあらゆる側面について話し合いを行える場を創設した。
改名後、作業部会は、グローバル化する世界の中での開発の枠組みにおける結社の自由と団体交渉、貧困緩和とディーセント・ワークといった問題について、それぞれ討議資料をもとに話し合いを行った。
今後は、@グローバル化する経済における労働制度に関する最善の国内慣行、Aインフォーマル・セクターにおける結社の自由の推進と団体交渉の効果的な承認、Bグローバル化、雇用、貧困緩和といったテーマに関する調査が予定されている。