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ILOジャーナル2001年3・4月号目次

ILOジャーナル2001年3・4月号目次

第89回ILO総会(ジュネーブ・2001年6月5〜21日)議題紹介
第89回ILO総会議題資料:社会保障
会議報告:北欧におけるジェンダーと職業国際シンポジウム(東京・2月14日)
会議報告:第280回ILO理事会(ジュネーブ・2001年3月8〜30日)
ILO東京支局事務局長直轄下に
ILOの現勢(2001年4月1日現在)
ジュネーブ便り:フィールドの“受益者”に会って(ILO本部計画運営局 広本 正都子)
2001年5月の主な会議日程
ILO関係者往来(2001年2月)
ILO人事:寺本隆信ILO東京支局新次長
  ヤング・プロフェッショナルとして荒井由希子さん、三宅伸吾さん新規採用
論文概要紹介:貿易自由化、雇用、国際的不平等(International Labour Review 2000, Vol. 3より)
新刊紹介:銀行・金融サービス部門の合併・買収が雇用に与える影響他

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ILOジャーナル2001年3・4月号

第89回ILO総会
農業の安全衛生条約・勧告採択予定
協同組合第1次討議、社会保障で一般討議

 今年のILO総会は来る6月5日(火)〜21日(木)にジュネーブで開かれる。以下に議題のあらましを紹介する。
写真:自動車を拭く老婆(ILO/Jacques Maillard)
農業の安全衛生、協同組合の振興、社会保障の将来性など
今日的なテーマが話し合われる

議 題

 以上の6本の議題に加え、イスラエル占領地の労働者の状況に関する事務局長報告の特別討議も行われる。

◇第1議題@ 理事会議長及び事務局長の報告

 理事会議長の報告は昨年の総会以後1年間における理事会の業務報告である。
 事務局長報告は、前予算年度の活動報告と社会政策に関する報告が隔年で交互に出される。本年は後者で、グローバル経済の中で、各国がディーセント・ワーク(権利が保護され、十分な収入を生み、適切な社会的保護が供与された生産的な仕事)を確保する方法に関する報告書が提出される。

◇第1議題A グローバル・レポート:労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言のフォローアップ

 1998年の総会で採択された労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言は、フォローアップ活動の一環として、宣言に含まれる基本的原則及び権利の4つの分野に関し、1つずつ順番に毎年、総合的な報告を作成することをILO事務局長に求めている。今年のグローバル・レポートは、「あらゆる形態の強制労働の禁止」を扱う。報告書は、関連する基本条約(第29号と第105号)の批准国、未批准国双方における状況を説明すると共に、ILOが提供した支援の効果を評価するものであり、総会後の理事会で向こう4年間の技術協力の優先事項と活動計画を決定する基礎となる。

◇第2議題 事業計画・予算その他の問題

 ILOの予算は2暦年制であり、今年は2002/03年度の事業計画・予算案採択に向けた審議が行われる。提案されている予算案は、総額4億7,248万8,505ドル。大枠では現行予算の路線を維持するが、新たにディーセント・ワーク、開発、貧困緩和といった目標が追加される。ディーセント・ワークの課題を本部及び地域レベルで実施していく協力体制の強化に向けた「ディーセント・ワーク・チーム」の新設、地域に配置される児童労働専門家の増員、エイズ/HIV(エイズウイルス)対策や労働の基本的原則・権利宣言の実施に関わる活動の強化などが含まれる。

◇第3議題 条約・勧告の適用に関する情報と報告

 ILOの加盟国政府は、憲章第19条及び第22条の規定により、総会が採択した条約・勧告を権限ある機関(日本の場合は国会)に提出するために取った措置、批准した条約についてはその規定を実施するために取った措置、未批准の条約及び勧告については、そこで取り扱われている事項に関する国内の法律及び慣行の現況を事務局長に報告する義務を負う。この規定に従い、政府が提出した資料及び報告、並びに条約・勧告適用専門家委員会の報告が審議される。本総会に提出される未批准条約に関する総合調査報告は、1919年採択の夜業(女性)条約(第4号)、1934年採択の夜業(女性)改正条約(第41号)、1948年採択の夜業(女性)改正条約(第89号)、第89号条約の1990年議定書を対象とする。
 また、強制労働条約(第29号)違反が問題となっているミャンマーに関しては、昨年の総会で採択された「ILO憲章第33条に基づき理事会が勧告した対ミャンマー措置に関する決議」本文第1段落(a)に従い、ミャンマーにおける第29号条約の適用と、1998年に出された審査委員会勧告の実施状況について審議される。

◇第4議題 農業における安全衛生(第2次討議)

 昨年の第88回総会における第1次討議の結果、6月15日に採択された決議により、農業における安全衛生に関する条約と勧告の採択をめざして第2次討議が行われる。
 提案される条約案は、「農業」の定義として、作物生産、畜産、昆虫飼育を含む農業事業体で実施される農業活動、事業体運営者による農畜産物一次加工、これらの活動に直接関係する機械、設備、装置、道具、農業施設、サービスの利用とし(ただし、自給農業、農産物を原材料とする工業プロセスと関連業務、森林の工業的利用を除く)、農業の安全衛生について包括的に規定する。予防・保護措置、機械の安全と人間工学、材料の取り扱いと運搬、化学物質の健全な管理、動物の扱いと生物学的危険からの保護、農業施設、若年労働者、臨時・季節労働者、産前産後の女性労働者、福祉・居住施設、労働災害及び職業性疾病に対する保険に関する規定が含まれる。
 勧告案は条約を補足し、労働安全衛生の監督、リスク評価と管理、機械の安全と人間工学、化学物質の健全な管理、動物の扱いと生物学的危険からの保護、農業施設、福祉・居住施設、産前産後の女性労働者、自営農家に関し、条約の実施に関わる詳細を規定する。

◇第5議題 協同組合の振興(第1次討議)

 全世界的に認められた原則に従い、協同組合は先進国、途上国、移行経済諸国で、共通の経済的及び社会的目標を達成する手段とみなされている。
 直接または間接的に協同組合に触れた国際労働基準は複数あるが、協同組合をテーマとして取り上げたものは1966年に採択された協同組合(発展途上国)勧告(第127号)のみである。第127号勧告採択以後の政治、社会、経済の変化は、この基準の範囲を越えて世界中の協同組合に影響を与えた。先進国では、既存の協同組合企業の構造変化と新しい形態の協同組合の登場により近代的な経営方式が求められるようになり、協同組合と他の形態の企業組織が競合することも多くなってきた。移行経済諸国では、かつて国の庇護化にあった協同組合が民営化によって一部は清算され、一部は本物の協同組合に生まれ変わった。途上国の協同組合は、自営の機会を創出し、人々の労働・生活条件を改善する重要な役割を演じる一方、国や投資家主導の企業が進出しない分野で必要不可欠なインフラとサービスを提供する。協同組合は、貧しい人々、先住民族、女性を経済生活の主流に統合する上で大きな役割を果たしてきた。移民を減らし、若者、障害者等に雇用を創出する役割も高まってきている。
 このような状況に鑑み、理事会は、全世界的に適用できる基準の新設によって、協同組合が自助の潜在力をより十分に開発し、失業、社会的排除といった現行の社会経済問題に対処する能力、そして国際的な市場で競合する能力を高めることができるのではないかと考え、協同組合の振興を2001年の総会に、通常の2回討議手続きによる第1次討議の議題として含むことに決定した(討議資料の概要は本誌昨年9月号参照)。

◇第6議題 社会保障の問題、課題、展望(一般討議)

 最近、社会保障の問題は多くの国で、そして国際的にも活発に議論されているが、ILOでこの問題が体系的に話し合われたのはかなり以前のことになる。政府、労働者、使用者は、社会保障問題への取り組みの観点がしばしば異なる。そこで、ILOの政労使三者構成の仕組みの中で相違点を論じる一般討議が行われる。話し合いは、加盟国が、社会的保護を全ての人々に拡張し、社会保障制度の持続可能性を確保し、人口及び労働市場のニーズの変化に社会保障を適応させるのを支援するILOの今後の活動を導くものになると思われる(討議資料の概要)。
 条約・勧告案を含め、総会議題資料はすべてインターネット上のILOのホームページで公開されている。


2001年第89回ILO総会
一般討議議題
− 社会保障 − その課題と展望

 1999年のILO理事会において、2001年のILO総会で社会保障に関する一般討議を行うことが決定された。この討議の目的は、ILOの基本的な原理原則に則りながら、社会保障が新たに直面する課題と展望に対応したILOの社会保障に対する見解を確立することである。本稿では、以下で一般討議資料としての報告書の概要を紹介する。
<ILO本部社会保障局 山端浩>

第1章 社会保障の展望

 ここでは、社会保障に新たな課題が生じてきた背景として、人口の高齢化、家族構成の変化、適用の伸び悩み、経済及び労働力のインフォーマル化、経済のグローバル化、エイズ等の疫病の蔓延、移行経済下の失業問題等に触れながら、第2章以下で詳しく論じられる課題について整理している。章末で、この報告書の目的は、決定的な回答を示唆するのではなく、背景が根本的に変りつつある中で、社会保障の将来の課題について提起し、現状認識と将来可能な方策についてコンセンサスを高めることであると明確に言い切っていることは注目に値する。

第2章 社会保障、雇用と経済発展

 ここではまず、社会保障、雇用及び経済発展の複雑な関係について考察を加え、社会保障が就労のインセンティブをそぐのではないかといった昨今の社会保障への批判に反論し、むしろ社会保障は生産性を向上させるという論議を展開する。また、社会保障は多くの社会・経済政策、特に雇用・労働政策と強い結びつきを持っているので、これらの政策と連携を取ることが不可欠であると述べている。

第3章 社会的保護の適用拡大

 社会的保護の適用拡大の促進は新しい問題ではないが、近年の経済のインフォーマル化の進展と共に、ますます必要性が再認識されてきている。ここでは適用を拡大する方策として、@既存の社会保険制度の拡大、Aマイクロインシュアランスの促進、B国家の一般財源による普遍的給付の導入、C国家の一般財源によるミーンズテスト付き給付の導入について個別に論じると共に、その関連について記述する。それぞれ特質の異なるこれらの給付を組み合わせて適用を拡大することは、その国特有の社会・経済事情に充分配慮しながら、段階的に達成されていくものであり、一定の統治原則(ガバナンス)及びこれらの制度に対する社会の信頼なしには成り立たないものであることに触れて結びとする。

第4章 性的平等

 ここでは社会的保護に関する性的平等の問題を、ILO条約等の法制上における取扱い、並びに労働市場の不平等等の問題と関連づけて解説した後、性的平等を促進する方策について、@遺族給付、A離婚と年金分割、B年金の支給開始年齢、C育児・介護期間の年金算定における取扱い、D性別年金現価率、E介護休暇・介護及び育児サービス、F児童手当のそれぞれに関する議論を紹介する。まとめとして、社会保障が性的平等を促進する方策として、@女性が多く参加する分野への社会保障の拡大、A有給の介護、育児休暇等を通じ、男女それぞれが労働と介護、育児等を組み合わせることへの助成、B無給の育児、介護等の期間を社会保障給付に反映させること、C離別に対応できるように被扶養配偶者に独立した年金権を保障することをあげている。

第5章 社会保障の財政

 ここでは、主として賦課方式で運営されている社会保障制度が高齢化、経済のグローバル化、インフォーマル・セクターの増大により財政破綻するのではないかとの批判に対して、明確な課税・社会保険料徴収の上限は無く、社会保障が財政的に維持できるかどうかは、一国の経済の状況よりもむしろ国家の所得政策の選好によるところが大きいとの議論によって反論している。財政的な見地からは、財政方式(賦課方式、積立方式等)は長期的な国家の所得移転制度に関する問題を解決しないこと、唯一の解決方法は高齢者や女性の社会参加を促進し、制度の成熟度(受給者数/被保険者数)を下げることであると明言している。結びとして、経済のグローバル化の進展により、課税・社会保険料賦課ベースが狭くなる可能性に言及し、この問題について各国政府が共同歩調をとることを求めている。

第6章 社会対話の強化と拡大

 ここでは、社会的保護や所得保障に関係する各種機構について、家族、地域社会から国際社会(国際機関、条約等)まで概括する。核となる機構は、労働者、使用者、政府の3者であるが、自営業者やインフォーマル・セクターの労働者の増大に伴い、地域政府や地域代表の利害を反映させる機構(共済等)の役割が増大しており、また、投資や再保険といった専門性の高い分野については民間金融機関との連携の余地もあるとする。

第7章 将来のILOの職務との関係

 ここでは、ILOの社会保障に関する職務の核として、@調査研究・政策提言、AILO条約を通じての法制上の枠組みの提供、B技術協力を挙げている。調査研究については、社会保障の適用と有効性に関する弱点を分析し、分析に基づき効果的な社会保障の機構を発展させ、様々な経験を総合して政策提言を行うとする。条約については、標準的な賃金雇用者以外の労働者(自営業者等)の適用や性的平等に資する条約設定(遺族年金、年金分割等)などを視野に入れて、総会の要請があれば、事務局は、統合的なアプローチで条約の検討を行う準備があるとしている。具体的な技術協力の内容については、 社会保障の財政・法制に関する教育訓練(大学での講義を含む)、適用拡大等の社会保障改革に際しての財政・法制・政策上の助言等に加え、マイクロインシュアランスの促進等がある。

まとめ−討議のポイント

 最後に、本報告書は討議を始めるための資料として、討議者に対する問いかけの形をとった議題12題を提起している。その構成は、世界がグローバル化する中での社会保障の展望に関する総括的な議題1、適用拡大に関する議題2、雇用及び失業に関する議題2、性的平等に関する議題1、社会保障の財政に関する議題2、社会対話に関する議題1、ILOにおける社会保障分野の方向性に関する議題3となっている。本報告書に、特段目新しい方向性が盛り込まれているとは言えないが、近年とみに盛んになっている社会保障に関する議論について手際良くコンパクトにまとめられた討議資料である。基本的には、2000年に出された世界労働報告に沿ってまとめられており、各論のより詳細な議論及び参考資料については、同書を参照されたい。


国際シンポジウム「北欧におけるジェンダーと職業」

 2月14日午後、「女性と仕事の未来館」において、政労使、研究者等、100名を超える出席者が集まり、標記シンポジウムが開催された。これは、1976〜78年に女性問題担当事務局長補としてILOに勤務し、後に女性初のデンマーク大使を務めた故高橋展子氏の業績を受け継ぐ記念事業として、ILO東京支局と女性と仕事の未来館が共催したものである。
 ILOのリチャード・アンカー上級エコノミスト、堀内光子ジェンダー特別アドバイザー・駐日代表が、それぞれ「北欧と日本の労働市場におけるジェンダー平等に向けて:二つの道筋」、「働く女性とグローバリゼーション:アジア太平洋地域の現状」と題する基調講演を行った後、日本経済新聞社の鹿嶋敬編集委員と東京学芸大学教育学部の久場嬉子教授がパネリストとして加わり、会場からの質疑も交えて活発な討論が行われた。
 基調講演の中で、アンカー氏は、ジェンダーの視点から見た北欧諸国労働市場の特徴として、すべての成人男女が働くことを国の雇用政策の目標とし、その実現のために保育制度等家族支援策を充実させていること、家事労働の有償化が進む一方で、福祉サービスや有償家事労働に従事する女性が多く、女性の仕事と男性の仕事という水平的な性別職業分離の水準が比較的高いことを挙げた。日本については、民間部門に働く女性も多く、職業によるジェンダー分離度は北欧諸国ほど高くはないが、賃金や地位など垂直的格差が大きいとの分析を行った。
 堀内代表は、グローバル化が進む中で、女性や子供の人身売買等の諸問題がクローズアップされているアジア太平洋地域の現状を紹介し、女性の不安定な雇用が増加し、貧困の女性化と永続的な不平等につながっているとの報告を行った。
 パネリストの久場教授は、公共部門と民間部門のどちらが福祉を行うかでサービスと雇用の質に大きな影響があること等、鹿嶋編集委員は、日本の労働市場では、今後さらに非正規雇用が増加し、就業形態による賃金格差が広がる危険性があること等をそれぞれ指摘した。
 また、同様の講演会が、翌15日、京都の同志社女子大学でも開催された。
 当シンポジウムの主要テーマと深く関わる「北欧労働市場のジェンダー平等と職業分離」(ヘリナ・メルカス、リチャード・アンカー共著、ILO刊)の日本語版が、(財)女性労働協会より無料で配布されている(送料は本人負担)。希望者は、女性と仕事の未来館(電話:03-5444-4151)まで。


第280回ILO理事会(ジュネーブ・3月8〜30日)

2002/03年度事業計画・予算案採択
国際女性デー会議でガラスの天井突破を討議

 去る3月に開催された第280回ILO理事会の主な審議内容は以下の通り。

 ◇基本的原則・権利宣言のフォローアップ 1998年に採択された「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」のフォローアップの一環として、中核的条約(結社の自由と団体交渉権に関する第87号と第98号、強制労働の廃止に関する第29号と第105号、児童労働の廃止に関する第138号と第182号、雇用・職業上の差別に関する第100号と第111号)の未批准国から提出された年次報告について、専門家諮問団の作成した概況説明をもとに検討された。宣言の促進的な性格を考慮に入れた上で、具体的な案件を今後扱っていく方法についても参考となる話し合いが行われた。

 ◇国際労働基準 ミャンマーについては、昨年6月のILO総会で第29号条約遵守を強制するための決議が憲章第33条に基づき採択されている。この決議に基づき、各国政府、労使団体、国際機関より、それぞれの同国との関わりと強制労働を持続または拡大させないために取った措置を記した報告書が提出された。報告書は、今後新たな展開があった場合にはその情報と合わせ、今年6月に開催されるILO総会に提出される。ソマビアILO事務局長は、最近、ミャンマー外務次官と会談を行ったことを発表し、このことはミャンマー当局が発表した強制労働をなくすための措置の実行とその実際の影響を客観的に評価する道を開く可能性があると報告した。
 組合活動家に対する殺人等深刻な暴力が問題となっているコロンビアについては、暴力拡大の実情と組合活動家を保護するために政府が取った措置に関するアルブルケルケ事務局長特別代表の2回目の報告書が提出された。労働者グループより、本件に関する審査委員会設置を次期理事会の議題とするよう要請があったが、労働組合指導者の保護措置の強化や権利を侵害した者を厳しく処罰する政策の採用における進展状況を評価するため、6月の総会まで審議を延期した。
 イスラエル占領地の労働者の状況に関しては、今年の総会に事務局長報告を提出し、1995年以来中断されていた特別会合による討議を再開することとなった。
 基準関連活動については、新しい統合的なアプローチを取ることを再確認し、2003年の総会における労働安全衛生に関する一般討議にこのアプローチを適用することが全員一致で決定された。

 ◇グローバル化の社会的側面に関する作業部会 リクペロ国連貿易開発会議(UNCTAD)事務局長その他国際機関の代表も出席し、グローバル経済における貧困緩和とディーセント・ワーク(権利が保護され、十分な収入を生み、適切な社会的保護が供与された生産的な仕事)に関するILOの戦略が詳しく吟味された。多くの途上国で現在準備が進められている貧困緩和戦略に対し、ILOの多様な活動を統合し、貢献を拡大していくとの計画が支持を得た。作業部会の将来戦略については、6月に開かれる次期会合に事務局長が討議資料を提出することとなった。

 ◇2002/03年度事業計画・予算案 6月の総会に、総額4億7,248万8,505ドル(2000/01年度の為替レートによる仮予算、最終的な数字は6月の採択時に決定)の2002/03年度事業計画・予算案を呈示することが決まった。大筋はソマビア現事務局長が開始した現行事業計画と変わらないが、新たにディーセント・ワーク、開発、貧困緩和が中心的な目標に加わった。

 ◇国際女性デー 3月8日の国際女性デーに「ガラスの天井:力と影響を持つ女性」をテーマとする会議が開催された。ソマビア事務局長、ブルントラント世界保健機関(WHO)事務局長、ロビンソン国連人権高等弁務官等が出席し、国際機関や企業の上部に所属する女性達が目に見えない障壁を突破した方法について話し合いを行った。ソマビア事務局長は、組織内における地位が高くなるほど男女格差が広がる現状を指摘するILOの報告書「ガラスの天井の突破:管理職女性(近刊)」を紹介しながら、男女の就く職種の多様化、家庭責任の分担等が有意義な変化を導くだろうと述べた。

 理事会ではこの他に、エイズ/HIV問題、多国籍企業の活動に関する定期報告書等が検討された。


東京支局事務局長直轄下に

 ILO東京支局は従来、アジアの1地域事務所として、アジア太平洋総局(バンコク)の管轄下にあったが、今年1月よりワシントン支局や国連連絡事務所(ニューヨーク)同様、事務局長が直轄する事務所となった。


ILOの現勢
(2001年4月1日現在)

加盟国数・・・・・・・・・・・・・・・・ 175
条約の数・・・・・・・・・・・・・・・・ 183(うち、撤回5)
勧告の数・・・・・・・・・・・・・・・・ 191
加盟国の平均批准数・・・・・・・ ・39
OECD諸国の平均批准数・・・ ・67
日本の批准条約数・・・・・・・・・ ・44

ジュネーブ便り
フィールドの“受益者”に会って

 ジュネーブに来てから1年半が経った。赴任してしばらくはまず生活のセットアップに追われる日々となるが、そういったことが一段落して新しい環境にも慣れたあとは、落ち着いたジュネーブの生活に埋まってしまう自分を感じてしまうようになる。抱いてきた途上国への関心も遠いものに感じてしまう日々の中で、フィールドを訪れる経験は貴重なものだった。
 インドネシアでプロジェクトの監査をするため、労働組合強化を目的とする教育研修プログラムの現場を訪れた。ジャカルタから車で2時間ほど、美しい丘の上にある研修施設に到着すると、20代から30代の若い層を中心とした受講者たち20人ほどが熱心に講義に耳を傾け、発言し、ロールプレイや意見交換をしていた。「ILO本部ジュネーブからプロジェクトを見に来た」者として私が紹介されると、全員がとても嬉しそうに握手を求めてきた。休憩時間には、講師の方の通訳で、彼らが研修参加の許可を得るのに苦労したこと、雇用者が組合と会話しようとはしないこと、女性の労働条件が改善されなければならないことなど、彼らの生の声を聞くことができた。ほとんどの受講者にとってこのような研修の機会は初めてで、「この研修に来れてよかった」と私やプロジェクト担当者に対して「Thank you, thank you」と言った。彼らは私と一緒に写真を撮ろうとし、食事時間には私と一緒のテーブルにつこうとして、なんだか恥ずかしかった。「職場の問題についてもっと話してあげてください」と言われると今度は、「どうやってジュネーブで働くようになったのですか」と逆に私に質問をしてきた。
 彼らの人懐っこさや真剣な眼差しは、ジュネーブの生活の中でも自分たちの仕事の原点を思い起こさせてくれる。これから彼らがどんなふうに力を発揮し、目標に向かっていくだろうかと思いを馳せる。

ILO本部計画運営局
広本 正都子

ILO今後の会議

 近い将来、次の会議の開催が予定されている。

▼零細・小企業の育成を導く政策環境の開発に関するアジア太平洋地域訓練ワークショップ(バンコク・5月14〜15日)−カンボジア等7カ国・地域の政労使代表に対し、@零細・小企業の発展を通じた雇用促進に向け、ILOが新たに開発した資料を、政策・法律基盤の評価や改革に活用できるよう、政策担当者を育成すること、A政策及び計画が女性企業家に異なる影響をもたらすことについての注意を喚起すること等を目的とした訓練が提供される。

▼エイズ/エイズウイルス(HIV)と労働の世界三者構成専門家会議(ジュネーブ・5月14〜22日)−政労使各12名の専門家が集い、エイズ/HIVと労働の世界に関する実施規準の採択を検討する。

▼協同組合と小企業を通じた雇用創出アジア地域会議(バンコク・5月16〜18日)−バングラデシュ等12カ国・地域の政労使代表が集い、@協同組合と自助組織の原理と性格に関するより良い理解の達成、A雇用創出における協同組合の潜在力に関する情報提供、雇用創出における協同組合及び同種企業の利点の明確化、B組合企業モデル一般計画の策定等に向け話し合いを行う。

▼ILO/日本・労働安全衛生管理システム・アジア太平洋地域セミナー(クアラルンプール・5月22〜24日)−日本政府の資金協力によるマルチバイ活動の一つとして、中国等11カ国の政労使代表が出席し、@今年4月にILO本部で開催された専門家会議で採択された活動計画の実施と一貫性のある国内労働安全衛生政策を通じ、労働の不可欠の要素として安全衛生を推進する自発的な活動を、全国及び企業レベルで実施するよう奨励し、A全国及び企業レベルの労働安全衛生委員会への女性の参加を促進することを目指し、話し合いを行う。


ILO関係者往来

▼日本労働研究機構主催厚生労働省/経済協力開発機構(OECD)/ILO後援国際ワークショップ「アジアにおける人の移動と労働市場」(東京・2月1〜2日)にILO本部労働者保護局国際労働力移動部のM・アベラ労働力移動上級専門家が出席。

▼ILOの銀行・金融部門の合併・買収が雇用に与える影響に関する三者構成会議(ジュネーブ・2月5〜9日)に、厚生労働省の小林健労政担当参事官室室長補佐、渡邉健司損保労連事務局次長が出席。

▼ILO本部社会保障・経済保障国際重点計画のR・アンカー上級エコノミスト・労働統計顧問が女性と仕事の未来館/ILO東京支局共催「北欧におけるジェンダーと職業」国際シンポジウム(東京・2月14日)、同志社女子大学の現代社会学部/教育とジェンダープロジェクト共催ジェンダーと労働に関する講演会(京都・2月15日)で講演のため来日(2月13〜17日)。

▼ILO/日独共催社会対話アジア地域三者構成会議(バンコク・2月21〜23日)に厚生労働省の中野秀世総括審議官(国際担当)、日経連の讃井暢子国際部長、連合の伊藤祐禎参与(ILO理事)、渡邉ひな子国際局次長が出席。

▼国際自由労連(ICFTU)/国際自由労連・アジア太平洋地域組織(ICFTU−APRO)/国際産業別組織(ITS)会議「ビルマの民主化とILO決議:支持する労働組合会議」(東京・2月28日〜3月1日)に、ILO本部よりL・スウェプストン国際労働基準局平等・雇用部長が出席。会議は2000年のILO総会で採択されたミャンマー(ビルマ)の強制労働に関する決議を支持し、5月1日を国際ビルマ組合行動デーとすること等を定めるビルマに関するグローバル・ユニオン東京宣言及び行動計画を採択。

▼ILO/世界銀行/日本/日本労働研究機構/アジア欧州首脳会議(ASEM)共催フィリピン政府後援雇用、社会保障、労働市場フォローアップ会議(マニラ・3月1〜2日)に厚生労働省大臣官房国際課より恒川謙司国際課長、渡邉浩司海外情報室長補佐、日本労働研究機構より井口治機動的部門統括研究員、鈴木美代子国際部国際協力課長、吉原夕紀子国際協力課職員が出席。


ILO人事

寺本隆信ILO東京支局次長 (2001年4月1日付)
☆東京支局次長
 寺本隆信(てらもと・たかのぶ)
 東京大学法学部卒。1976年労働省入省。1982〜84年経済協力開発機構(OECD)アソシエート・エキスパート。1990〜93年在米日本大使館参事官(労働担当)。帰国後、総務庁人事局調査官(国際担当)、労働省外国人雇用対策課長、同省労政課長、人事院給与第四課長、同院高齢対策室参事官を歴任し、2001年1月より組織再編に伴い同院生涯設計課長。

(2001年3月31日付)
☆退 任
(東京支局次長)浦尾 武昭


ヤング・プロフェッショナルとして新規採用

 昨年発足したヤング・プロフェッショナル・プログラムに基づき、次の方々が新たに採用され、今年1月からジュネーブのILO本部に赴任された。このプログラムは、日本のように分担金の負担に比して職員数が少ない加盟国から毎年将来有望な若者を若干名採用し、幹部候補生として養成するものである。
 世界銀行中南米・カリブ地域局の人材開発課に勤務されていた荒井由希子(あらい・ゆきこ)さんは、児童労働撲滅国際計画(IPEC)の危険職業・産業技術支援課に属し、鉱業、花火製造業、農業といった危険な職業及び産業で見られる児童労働に関するプロジェクトの管理、その準備・評価用の資料作成、専門家ネットワークの形成、調査研究等の業務に携わる。
 アンダーセン・コンサルティング社に勤務されていた三宅伸吾(みやけ・しんご)さんは、国際労働基準局平等・雇用部に属し、強制労働等の国際労働基準に関し、憲章に基づく政府報告書及び労使団体からのコメントの審査、法令分析、基準適用状況に関する報告作成、条約勧告適用専門家委員会等適用監視機関の事務局業務、照会対応といった業務に携わる。
 お二人のご活躍を祈念します。


論 文 概 要 紹 介
貿易自由化、雇用、
国際的不平等
 ILOの季刊誌「インターナショナル・レイバー・レビュー」誌2000年3号にILO本部雇用戦略局のA・ゴース職員が標記の論文を寄稿している。以下はその概要である。

 貿易の自由化は、輸送システム、情報通信技術の発展と共にグローバリゼーションを推進する力であったが、近年、害悪をもたらすものであるかのごとく不評を買っている。この背景には3つの懸念、すなわち、@貿易自由化が国際経済における不平等拡大の主な原因ではないかとの懸念、A貿易自由化が先進国の非熟練労働者の雇用と賃金に悪影響を及ぼすのではないかとの懸念、B貿易自由化は世界の労働基準の低下につながるとの懸念がある。こうした懸念は十分根拠があるかのごとく見なされ、貿易自由化を抑制しようとする政治的な圧力が生まれている。しかし、経済学的には、それらは今後の実証的な研究によって証明されるべき仮説でしかない。
 経済の不平等が世界的規模で拡大しているのは確かであるが、これが貿易自由化とどう関連するかは明らかでない。先進国の非熟練労働者の賃金低下や失業増大がどの程度途上国との貿易増に起因するかは不明である。世界的な労働基準に至っては、低下したかどうかさえわかっていない。本論文は国際統計データを用い、こうした懸念の実証的な根拠の有無について検証している。

□貿易と国際的な経済不平等

 貿易自由化が進展した80年代以降も、世界の貿易、そして世界の国内総生産(GDP)総額が飛躍的に伸びたとは言えない。貿易品目の構成は変化しており、世界の輸出品に占める製造品の割合は着実に増加しているが、こうした変化はそれ以前から見られた長期的な傾向であって、最近の貿易自由化が直接的に重要な影響を与えたものとは考えにくい。
 注目すべき点は、最近の貿易自由化によって貿易志向を高めたのは途上国のみであったということである。先進国の輸出比率(輸出/GDP)にはほとんど変化がない。途上国の中でも、輸出比率を高めることができたのは13カ国(以下G13)に過ぎず、これ以外は以前にもまして経済的に立ち遅れる結果となった。1995年までにこのG13諸国で途上国の全輸出高の74%を占めるようになった。
 途上国の間でこのような格差が見られるのは、世界貿易において製造品輸出のシェアが高まっているにもかかわらず、G13以外の国々は輸出品を一次産品から製造品にシフトできなかったためである。世界貿易における一次産品の長期低落傾向は続いており、貿易自由化がなかったとしても、それらの国は経済が立ち遅れていたと考えられる。そこで原因はむしろ、農産品の貿易自由化が進展しなかったこと、途上国の多くで近代的な生産活動に必要な物質的・社会的インフラが未整備であること、そして人口増を抑制できなかったことに求められよう。

□貿易、雇用と賃金

 貿易自由化は、先進国の熟練労働者と非熟練労働者との不平等拡大の主因であると一般的に信じられている。70年代以降、先進国では両者の賃金・失業率の格差が拡大し、この時期に貿易障壁が取り除かれていたため、多くのエコノミストはこれらの現象の因果関係を主張しているが、これを裏付ける実証的な証拠はない。貿易拡大が先進国の非熟練労働者へ及ぼす悪影響にのみ焦点を当てるこの種の議論は改める必要があるだろう。
 そこで、本稿での実証的分析は、日米両先進国とG13中の6途上国(中国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、台湾)に対象国を絞り、かつ、雇用と賃金の分析を製造業に限定すると共に、先進国と途上国における雇用と賃金への効果を併せて検討することとする。
 ▽日米 輸出志向産業と輸入競争産業の生産性を比較すると、前者の後者に対する倍率は日本が2.5、米国が1.8である。理論的に考慮すれば、G13との貿易拡大は、輸入競争産業の雇用を減らし、輸出志向産業の雇用を増やす。すなわち、輸入競争産業の未熟練労働者の雇用を減らし、輸出志向産業の熟練労働者の雇用を増やし、かつ、熟練労働者の賃金水準を相対的に押し上げるはずである。
 日米とも理論通り、輸入競争産業の雇用は減り続けている。ところが、輸出志向産業でも雇用が減少した。輸入競争産業における非熟練労働者の雇用の減少が、G13との貿易拡大のみに起因するものとは考えられない。日米の雇用全体に占める輸入競争産業の雇用規模が小さいことも考慮すれば、非熟練労働者の失業の要因をG13との貿易に求めるのはおかしいように思われる。
 また、製造業の中で熟練労働者と非熟練労働者の賃金格差が広がったことを証明するデータはなく、むしろ、熟練による賃金格差は、製造業と他産業(おそらくサービス業)との間で生じているのではないかと考えられる。
 ▽6途上国 途上国との製造業貿易の拡大は、確かに先進国の非熟練労働者の雇用と賃金に悪い影響を与えたが、その度合いは比較的小さい。同時に、途上国の熟練・非熟練労働者は、貿易による雇用と賃金の伸びという恩恵に浴している。世界的に見た総効果は肯定的で実質的である。

□貿易と労働基準

 南北間の貿易拡大がこれらの国々で労働基準の低下を引き起こしたと信じる根拠はあまりない。事実、一般的に貿易は途上国の労働基準の向上に貢献している。経済発展が立ち遅れた途上国で労働基準が低下したことはおそらく事実であろうが、これは貿易拡大よりも、貿易の縮小が原因である。先進国(米国)では、労働基準がまれに低下した場合もあるが、それは途上国との貿易が主な原因ではない。むしろ、先進国間の競争から非生産的部門の保護に走り、人材開発を怠るなどの政策に求められると、分析は示唆している。

□まとめ

 以上の分析から、本論文は、貿易自由化の影響についての不安や懸念には根拠がないか、概して誇張されているとし、実際には他の原因に求められると結論づけている。その上で、本稿は経済的に立ち遅れている多くの途上国のインフラ整備の重要性を示唆している。


ILO新刊書

The employment impact of mergers and acquisitions in the banking and financial services sector

銀行・金融サービス部門の合併・買収が雇用に与える影響

英文・2001年刊・116頁・\2,000

 ILOの産業別会議には毎回、会議のテーマに沿って業界の現状を分析した討議資料が提出される。今年2月には銀行・金融部門の合併・買収(M&A)が雇用に与える影響を検討する政労使三者構成の会議が開催された。
 討議資料として会議に提出された本書は、全世界的に活発な銀行・金融部門のM&Aに関し、地域別の状況、統合と事業再構築の過程における人材管理、賃金、労働時間、従業員の訓練、志気、ストレス等に与える影響など、世界の現状を報告する。M&Aに伴う人員削減の過程で健全な労使関係を保つ方法や、ILOと国際労働基準の役割も取り上げる。
 株主利益の最大化、規模の経済、競争力向上などM&Aを推進する要因はさまざまであるが、3分の2のケースで所期の目的を達成できていない。この理由としては、人員削減のまずさが指摘されることが多い。合併、事業再構築後も残った労働者は、雇用が不安定になり、労働量、不安、ストレスが増大するが、これらはすべて事業成績にマイナスに作用する。規模の拡大と効率性の向上による便益は、管理部門が肥大化した組織特有の無駄の増大と複雑化に相殺され、企業の結合に伴う文化的、人的融合の難しさは過小評価されることが多い。
 文化的な問題に十分配慮すればM&Aの成功率は26%高まると指摘する調査もある。国を越えた企業間のM&Aが増える傾向にあるため、文化的要因はますます重要になる可能性がある。企業の合併が成功するかどうかのカギは「人的要因」にあり、スムーズなM&Aの達成には労使の対話が重要である。
 最近、銀行・金融業では、パート、派遣等非典型労働者の数が増加しているが、総就業人口は減少している。これにはM&A以外にも情報通信技術の普及や合理化といった各種の要因があるが、M&Aは必ず人員削減(時には大規模な)を伴う。少なく見積もっても西欧の金融業界では、M&Aの影響で90年代に13万人以上が失業し、1999〜2002年にも30万人近い人員削減が予測される。米国では1995年までの10年間で市中銀行の数が3割減り、1984年からの10年間で就業人口は約5%減少した。英国でも90年代、行員数は15万人減り、支店数は4分の1になった。日本でも銀行の合併と事業縮小が進み、公的資金投入の見返りとして、3年間で2万人の雇用削減が約束されるなど業界全体としての就業者数の低下傾向が明白である。
 合理化は、主として女性が従事する支店業務等に影響することから、女性の雇用推進に逆行しているとも言える。金融業界の寡占化に伴う競争力やサービスの低下が、雇用の主な担い手である中小企業に対する貸し渋りを招く危険性もある。

* * * * *

 会議には日本を含む17カ国の政府代表、労使代表各20名が参加した。M&Aが多発する現状において、良質の金融サービスを維持する方法、M&Aが雇用に与える影響、金融業の雇用安定を推進する策、技能要件の変化に既存の人材を適合させる人材開発戦略、M&Aの過程における社会対話の役割、ILOの取るべき優先活動といった分野に関し、話し合いが行われた。
 最終的に、金融業の三者構成機構の設置、男女均等の促進、金融業における結社の自由のそれぞれに関する3本の決議が採択された。結論については、意見が合わず採択されなかった。


◆ Youth unemployment and employment policy: A global perspective
「若年失業と雇用政策:グローバルな視点から」
若年者の失業というタイムリーな問題について、特徴、原因と結果、対応する政策(労働市場情報のモニタリングと評価、最低賃金の効果、教育訓練制度、積極的労働市場政策)の重要性について、掘り下げた考察を提供する。
N.O' Higgins著 2001年刊 212pp. 2,750円
第89回ILO総会報告書
◆ Report III(Part 1B)
Night Work of Women in Industry
「工業における女性の夜業」
本年のILO総会における第3議題である女性の夜業条約(第4号、41号、89号及び議定書)に関する一般調査報告書。女性の夜業禁止に関する分析、各国の法律、夜業と均等待遇原則、条約批准の見通し等について報告。
2001年刊 178pp. 2,250円
◆ Report VI
Social security: Issues, challenges and prospects
「社会保障:課題、挑戦、展望」
今日の社会保障制度が直面する様々な課題(社会保障と雇用・開発政策とのリンク、社会保護の拡大、社会保障におけるジェンダー平等、財政、社会対話の強化)について分析し、将来の展望を簡潔に提示する議題報告書。
2001年刊 84pp. 1,500円
Sectoral Activities Programme
◆ Human resources development, employment and globalization in the hotel, catering and tourism sector
「ホテル、ケータリング、旅行業界における人材開発、雇用、グローバリゼーション」
今年4月2日〜6日にジュネーブで開催された標記会議に提出されたILO事務局の報告書。業界の動向、グローバリゼーションの影響、雇用労働条件、人材開発、社会対話に関する最近の状況を報告する。
2001年刊 133pp. 2,250円
書籍ご注文はILO東京支局まで(пF03-5467-2701、FAX:03-5467-2700、電子メール:tokyo@ilotyo.or.jp
最終更新日:2001年6月19日 作成者:EU 責任者:MH