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ILOジャーナル刷新のお知らせ
情報革命が進む中で、ILO情報を適時、適切に配信するため、ILO東京支局ホームページを開設し、「ILOジャーナル」その他の情報を掲載しているところですが、2002年からさらにホームページ、「ILOジャーナル」の内容を一新した上で、インターネットを中心とする情報提供に移行することに致しました。詳細は現在検討中です。準備が整い次第、お知らせ申し上げます。 |
ILOジャーナル2001年11・12月号目次
▼ ILO第182号条約批准記念フォーラム(東京・2001年9月7日)開催
▼ 9月11日のテロ攻撃に対するILOの声明
▼ 訃報:9月27日、工藤誠爾元ILO東京支局長死去
▼ 第282回ILO理事会(ジュネーブ・2001年11月1〜16日)
▼ 奥田日経連会長、国際労働問題研究所(IILS)で講演
▼ ILOもUNAIDSに正式参加
▼ 第13回アジア地域会議(バンコク・2001年8月28〜31日)
▼ アジア太平洋経営者団体連盟(CAPE)設立
▼ 世界雇用フォーラム(ジュネーブ・2001年11月1〜3日)
▼ テロ同時攻撃の影響観光・航空産業会議
▼ カカオ農園の児童労働/カンボジアの労働条件
▼ 2001年12月の主な会議日程
▼ ILOの現勢(2001年12月1日現在)
▼ ジュネーブ便り:Decent Wrok(ILO本部計画運営局 津嶋麗子)
▼ ILO人事ニュース:2002年度ILO幹部候補生募集要項
▼ 新刊紹介
ILOジャーナル2001年11・12月号
| 9月7日、国連大学本部ビル(東京都渋谷区)ウ・タント国際会議場において、ILO東京支局と外務省の共催で、児童労働をテーマとする公開フォーラムが開催された。これは、1999年6月のILO第182号条約(最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約)採択から2年を経て、100ヵ国近くの批准が達成され(注:2001年11月6日現在、批准国数は108ヵ国)、日本も本年6月18日に批准したことから企画された。 |
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会場には、児童労働問題に対する国内の関心の高さを反映して、多数の学生、NGO、政府関係機関、企業、労働組合の関係者など、400名近くの聴衆が参加した。
フォーラムの冒頭、森山眞弓法務大臣(ILO活動推進議員連盟会長)より挨拶があった。森山大臣は、2億5千万人の子どもたちが、単なる小遣い稼ぎではなく生活のために働かされている現実を、「人類未来への脅威」ととらえ、日本においても、21世紀を担う子どもたちの人権を大人が尊重し、また、子どもたちが自分自身を大切にして、健全な人間に成長してもらいたいという願いを込めて、児童買春禁止法が成立したとの背景を語った。
ソマビアILO事務局長も、ビデオでメッセージを送り、最悪の形態の児童労働問題について、今の子どもたちが生きている間に必ず抜本的な対策が必要なこと、そして、そのためには、世代間の連帯が最も重要であると訴えた。
続いて、フォーラムの特別ゲストとして児童労働に反対するNGO「グローバルマーチ」のカイラシュ・サティアティ代表(インド)が講演を行った。最悪の形態の児童労働を強いられている子どもの具体例として、サティアティ代表は、「近所の子どもは学校に行っているのに、なぜ私は働かなくてはいけないの?」と母親に尋ねて「あなたは奴隷に生まれついたのよ」と言われた女の子や、毎朝雇い主の子どもたちの召使となって家事労働をする児童奴隷、バングラデシュから湾岸諸国に売られ、ラクダ乗りにさせられた子ども、養子縁組とだまされてヨーロッパに連れていかれ、臓器移植の材料として使われてしまう子どもなどの話を挙げ、こうした子どもたちの悲劇を救う解決策が教育であり、そのために先進国がGNPの0.1%を使えば(日本人1人当たり1年間に5千円弱)、すべての子どもたちに内容のある義務教育を無料で与えることができると呼びかけた。
フォーラム第1部では、堀内光子ILO駐日代表より、第182号条約についての解説があり、その後、「条約の意義と日本人の人権意識」をテーマとするパネル・ディスカッションが行われた。パネリストとして参加したのは、神奈川大学法学部の阿部浩己教授、有馬真喜子国連子ども特別総会総理大臣個人代表、外務省総合外交政策局の高須幸雄国際社会部長(当時)、厚生労働省の岩田喜美枝雇用均等・児童家庭局長である。
国際的な人権保障に詳しい阿部教授からは、子どもの人権擁護と経済のグローバリゼーションの観点から、今、最悪の児童労働問題に取り組む意義についての発表があった。続いて、有馬代表(注:国連子ども特別総会は、その後、ニューヨークで起きた同時多発テロの影響で、2002年5月に延期された)が、1996年にストックホルムで開催された第1回児童の商業的性的搾取に反対する世界会議に政府代表顧問として出席した際、日本発の子どもポルノが世界中からひんしゅくを買っていることを知り大きなショックを受けたこと、また、今回の子ども特別総会には子どもの代表が当事者として参加することになっており、新たな発展が期待されることを述べた。
高須部長は、日本国憲法の精神に基づく「人間の安全保障」の観点から、全世界の子どもたちのために教育機会を確保し、社会的脅威にさらされている子どもを守る必要を指摘し、われわれは他者の痛みを自分の痛みとして感じる能力を養い、他者と協力して行動していかなければならないとのメッセージを送った。
また、ILO第182号条約採択時に、日本政府代表として総会に参加した岩田局長は、グローバル化の中でILOがどのような役割を担うのかという問いに対する答えでもある1998年採択の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」の文脈における第182号条約の意義と、今日の日本社会における意味(多国籍企業、児童買春・ポルノ等)について話した。
第2部では、「児童労働をなくすための活動」と題し、ILOの児童労働撲滅国際計画(IPEC)の説明や、日本労働組合総連合会がIPECの一環としてフィリピンで実施した観光産業で働く子どもを対象とする調査活動についての報告があった。また、日本のNGOとして、アジアの女性と子どもネットワーク、フリー・ザ・チルドレン・ジャパン、国際子ども権利センターの代表がそれぞれの活動内容を報告した。
最後に、第3部では、私たちの身近にある問題としての中高生買春と青少年に広がる薬物乱用が取り上げられた。
まず、児童買春・ポルノ問題に取り組む国際NGOであるエクパット/ストップ子ども買春の会の宮本潤子共同代表より、さまざまな形で国内に横行する中高生への商業的性搾取に対する社会の意識のねじれについて指摘があった。日本は、海外で子どもを性的に搾取する、海外から入国した18歳未満の子どもを国内で買春する、インターネットで子どもポルノを発信する、援助交際という言葉と行為を韓国や台湾に輸出する、など多くの局面でこの問題に関わっているとの問題が提起された。
続いて、若者グループで援助交際問題に取り組んでいるアジアの女性と子どもネットワーク・ユースの飯田綾さんが、援助交際の市場は、近年地下に潜行しながら年間570億円の規模にまで拡大しており、さまざまな境遇にある女子中高生たちが、「相手は子どもだから大人の好きにできる」という低い人権意識を持つ大人に搾取された結果、心と体を蝕まれ、健康と安全が守られない劣悪な環境に置かれている現状について報告した。
明治学院高等学校の小暮修也先生からは、2年前にフィリピンの性的虐待を受けた子どものリハビリ施設から少女が来日し、話を聞いたことをきっかけに、日本の高校生たちが、この問題を自分たちの問題として意識し、国内で活動を始めた経緯が話された。その過程で、自分たちの活動は、海外の被害者のための活動であると同時に、自分たちの社会を見つめ直すことでもあると気付いたという。また、援助交際問題についても、若者の薬物乱用問題でも、学校において、十分な教育がなされていない現状があるとの指摘があった。
最後に、国立精神・神経センター精神保健研究所の和田清薬物依存研究部長より、世界的なスケールで比較すれば、まだまだ少ないけれども、第3次覚醒剤乱用期といわれる中で、児童生徒がこの問題に組み込まれ、約10万人の中学生がシンナーや大麻・覚醒剤に1回は手を出すような状況が、国内でも進行しつつあるとの報告がなされた。
会場の参加者も、国内に関連する問題に関心が高く、薬物が日本に入ってくるルート、若者が援助交際をする理由、インターネット社会の弊害などについての質疑、討論が繰り広げられた。
東京支局はフォーラムに加え、9月4〜13日に国連大学本部ビルUNギャラリーで児童労働に関する写真や各種資料の展示を行った。
![]() | この公開フォーラムの機会に、ILO東京支局では、人権問題への意識を幅広く身近なものに感じてもらおうと、写真のような「You have rights!」のTシャツを作りました。サイズは、アメリカ標準でJL(ジュニアL)、S、M、L、XLの5種類、色は黒とネイビーの2種類で、1枚1,000円(送料別)でお分けしています。ご希望の方は、電話(03-5467-2701)・ファクス(03-5467-2700)・Eメール(tokyo@ilo.org)にてお申し込み下さい。 |
ILOのソマビア事務局長と理事会三役(トゥ議長、ブレット労働者側副議長、フネス・デ・リオハ使用者側副議長)は、9月11日の同時多発テロ事件によって多くの働く人々が犠牲になったことを悼み、9月26日に以下のような声明を発表した。
9月11日の非道なテロ行為は、働く人々を標的にした。
この悲劇は、世界約60カ国数千人の様々な職業に従事する働く人々の生命を奪い、たちまち我々全てに関わる地球規模の人類的悲劇となった。我々は死者を悼み、遺族に対する深い悲しみと弔意を表するものである。
危難にある人々の救助を職務として亡くなったレスキュー隊員の犠牲は、恐るべき苦難のただ中におけるまれにみる勇気と英雄的行為として永遠に我々の記憶に留まるだろう。
我々は、ILOにおける米国代表である労働長官、アメリカ労働総同盟・産業別労働組合会議(AFL−CIO)、米国国際企業協議会に、このような気持ちを伝えた。
この攻撃による損害の大きさはまだ数え終えられていない。攻撃とその世界的な影響の結果として、世界全体で数十万人の人々の暮らしが脅かされていることに我々は気づいている。これこそ、経済の不確実性の広がりの中で、将来の生活に不安を抱く人々に対し、職場における安全保障と社会的保護を巡るILOの創立理念が応えていく条件である。
景気下降に加え、恐怖が、世界中の多くの無垢な人々の心をとらえている。テロリズムは至る所の政府、労働者、使用者に対する脅威である。我々はこの重大な出来事の多様な影響にILOがどうすれば最も良く取り組むことができるか、偏見のない率直な気持ちで検討する必要がある。
1919年に定められたILOの憲章は、「世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができる」と記す。1944年に採択されたフィラデルフィア宣言はさらに、一部の貧困は、全体の繁栄にとっての危険であることを認め、「すべての人間は、人種、信条又は性にかかわりなく、自由及び尊厳並びに経済的保障及び機会均等の条件において、物質的福祉及び精神的発展を追求する権利をもつ」と定める。
人類の恐るべき紛争の結果として採択されたこれらの文書は、二度と再び人類がこのような非人道的行為の標的にならないよう、今、共に努力する過程においても、依然我々を鼓舞し続けるだろう。
この悲しみと決断の時にあって、ILOは、民主主義と人間性という基本的価値の擁護に向けて、国際社会全体と共に邁進するものである。
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11月1〜16日にジュネーブのILO本部で開かれた第282回ILO理事会の主な決定事項は次の通り。
去る9月17日〜10月13日にミャンマーとタイにおいて、ミャンマー政府の講じている強制労働対策の実施状況と現実的な影響を調査したハイレベルチーム(団長:旧ユーゴスラビアとルワンダの国連国際法廷判事を務めたニニアン・スティーブン元オーストラリア総督)の報告書が提出され、検討された。理事会は、問題解決に向けた政府の努力は認めながら、措置の影響は限られているとして、同国の努力を監視するオンブズマンの任命、ILO代表の同国常駐を含む技術協力の提供をILO事務局長に求める結論に達した。
報告書は、新法施行からほぼ1年がたつにもかかわらず、軍の影響がある場所、特に紛争が続く国境地帯では、依然、荷物運び、軍事キャンプの設置、農作業などの強制労働が見られると記す。影響が限られている理由としては、@軍の独立独行政策、A新法の存在にも関わらず、軍が実質的に刑事訴追を受けない事実、B強制労働が用いられている公共事業を実施するためのほかの財政的・実際的措置を当局が考案できないことを指摘する。そして、今後の動向を左右する三つの相関要因として、経済の近代化、強制労働を廃絶するとの政治的公約の貫徹、国際社会の熱意をあげる。
理事会のグローバル化の社会的側面作業部会は、事務局長の提案に基づき、グローバル化の社会的側面に関する報告書を作成するため、18名の識者からなる世界委員会の設置を決定した。委員は事務局長が任命し、来年早々に顔ぶれが発表される。2003年3月の理事会に審議のため提出されるこの報告書は、世界経済と働く世界の相互作用を含め、グローバル化の社会的側面を扱う権威ある研究成果となることが期待されている。
作業部会にはこの他に、「貿易自由化と雇用」と題する討議資料が提出され、審議された。貿易自由化が雇用に与える影響を吟味するこの討議資料は、貿易自由化は経済成長率と生産構造を変化させることによって雇用水準と雇用の質に大きな影響を与えるとし、貿易自由化が雇用創出を最大化するよう国内の経済社会政策・制度を適切に整備する必要性があると強調する。
設置50周年を迎えた結社の自由委員会では、16件の案件が審議され、このうち7件について最終結論に達した。特に、労働組合の自由が厳しく制約されているベラルーシとベネズエラに関しては、早急の対処が求められた。
日本の案件も3件(新規2件、その他1件)提出されているが、いずれも検討は来年3月の次期会合に先送りされた。
労働組合リーダーの殺害等、結社の自由の深刻な侵害が問題となっているコロンビアに関しては、労働組合リーダーや企業経営者の生命を保護するメカニズムの創設、結社の自由尊重の強化、企業の自由、労働条件、社会的保護の向上等を目指した技術協力計画の大枠について合意が達成された。
理事会の討議資料は、ウェブサイト(http://www.ilo.org/public/english/standards/relm/gb/docs/gb282/index.htm)に掲載されている。
理事会会期中の11月13日、奥田碩日本経営者団体連盟(日経連)会長は、ジュネーブの国際労働問題研究所で「日本の展望:成長と選択肢の拡大に向けて」と題する講演を行い、理事を初めとする多数の出席者を得て、好評を博した。奥田会長は、日本経済の現状と課題、雇用問題に対する日本の労使の対応、グローバル化が進む中での日本の役割、21世紀を切り開くための基本的な理念という四つのテーマに沿って、日本の政労使雇用対策会議やアジア太平洋経営者団体連盟(CAPE)等における日経連の活動を紹介した。21世紀を明るい社会にするためにめざすべきなのは、働きがい、生きがいが大切にされる経済社会として、人間の顔をした市場経済、多様な選択肢を備え、機会の均等が確保された社会の必要性を訴えた。
1975年に開始された国際労働問題研究所の公開講演会は、著名人が現代経済社会に関する新しい視点を開陳する国際的な場である。
去る10月25日、ILOは、国連エイズ合同計画(UNAIDS)の正式な一員となった。UNAIDSとは、国際機関が共同でエイズウイルス(HIV)/エイズに対する戦いを行っているプログラムであり、ILOは国連児童基金(UNICEF)、国連開発計画(UNDP)、国連人口基金(UNFPA)、国連薬物統制計画(UNDCP)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、世界保健機関(WHO)、世界銀行に次いで8番目の協力機関となった。
UNAIDSは、協力機関の努力と資金を結集し、HIVの予防、患者・感染者の治療と支援、HIV/エイズに対する個人・社会の抵抗力の構築、HIV/エイズが社会、経済、人間に与える影響を緩和するための活動を行っている。
HIV感染労働者数は世界全体で2,500万人以上と見積もられる。昨年6月にUNAIDSと協力枠組み協定を締結したILOは昨年11月からHIV/エイズと働く世界に関する計画を開始し、アフリカ、アジア、東欧、中南米・カリブ諸国において、全国、産業、企業レベルで、政府及び労使のエイズ対策活動を支援している。今年6月の国連エイズ特別総会で発表した「HIV/エイズと働く世界に関する行動規範」は、各国政府や企業が行動規範、職場方針・行動計画を立案する際の基礎として用いることができよう。
「ILOの参加は、働く世界に関わる理解と専門知識をUNAIDSにもたらす。職場はHIV/エイズの予防と治療計画における重要な場」と、ピオットUNAIDS事務局長は評価する。
HIV/エイズに関するILOの活動はウェブサイト(http://www.ilo.org/aids)にも掲載されている。
去る8月28〜31日にバンコクで開かれた第13回アジア地域会議には30の加盟国・自治領から194名の政労使三者構成の代表団が出席した。日本からは南野知恵子厚生労働副大臣、政府代表−赤尾信敏タイ国駐箚特命全権大使、青木功厚生労働省職業安定局次長、同代理−恒川謙司同大臣官房国際課長、石川和秀在タイ日本国大使館公使、同顧問−角茂樹同公使、中村暁郎同一等書記官、奥村英輝同一等書記官、森實久美子厚生労働省大臣官房国際課長補佐、中村かおり同係長、使用者側代表−鈴木俊男日本経営者団体連盟政策委員、同顧問−矢野弘典同常務理事、讃井暢子同国際部長、労働者側代表−伊藤祐禎日本労働組合総連合会顧問、同顧問−笹森清同事務局長、中島滋同総合国際局長が参加した。
議長はスリランカのアラビ・モウラナ労働大臣兼ムスリム問題担当大臣代行、副議長はパキスタンのファルハト・フセイン政府代表、アラブ首長国連邦のカリファ・カミス・マタル使用者側代表、日本の伊藤労働者側代表が務めた。
ソマビアILO事務局長は開会演説で、アジア太平洋地域は世界経済の持続可能性と将来の方向性を決定づける重要な地域であり、グローバル化の針路に大きな影響を与える潜在力を秘めると述べた。そして、アジアでディーセント・ワークを創出するに当たっては、人々そして国々が互いに共有する価値を推進し、実現していくことを基本とすべきであるとした。ディーセント・ワーク(権利が保障され、十分な収入を得、適切な社会的保護のある生産的な仕事)は目標であって、基準ではなく、権利、雇用、社会的保護、社会対話を統合した政策課題であるとし、この地域会議はアジア太平洋地域においてディーセント・ワークの欠損を埋めていく上での優先課題を整理し、今後のILOの支援策のあり方について指針を与える機会であると述べた。
会議では、「アジアにおけるディーセント・ワーク」と題する事務局長報告をもとに、地域でディーセント・ワークを創出する方法に関する具体的な討議が行われた。参加者からは1997年の金融危機からの回復の弱さに対する懸念が示され、地域の特性に配慮しながら、ディーセント・ワーク概念の各要素を統合的に実施する緊急の必要性が訴えられた。仕事がなくてはディーセント・ワークもあり得ないこと、失業は最大の労働の搾取であること、最善の貧困対策は雇用であること、男女の機会と権利の平等が達成されない限り、ディーセント・ワークはあり得ないこと、社会的保護は雇用を伴うものでなくてはならないこと、社会対話は危機の際に本質的な役割を演じることといった意見が表明された。公平原則の担保された成長の推進と雇用創出に焦点を当てること、児童労働撲滅国際計画(IPEC)が子どもの権利、子どもの保護・開発において重要な役割を演じていること等で合意が見られた。
若者の高失業、インフォーマル・セクターの拡大、女性労働者の現状、社会的保護、労働安全衛生、グローバル化、移民労働等、討議内容は多岐にわたった。生産性向上と競争力増大の密接なかかわりが論じられた中で、訓練の重要性に関連し、南野副大臣は130年前の貧しい日本が、食べるのも惜しんで子どもの教育に投資してきた歴史を紹介した。
この他に、@基準、労働における権利、社会対話、A雇用と社会的保護のそれぞれに関する三者構成のパネル討議、1997年の第12回地域会議以降2000年までのアジア太平洋地域におけるILOの活動に関する話し合いももたれた。また、地域会議の特別行事として、奥田碩日本経営者団体連盟会長が27日に「パートナーシップとリーダーシップ」と題する講演を行った。
採択された結論は、21項目に及ぶ。その中で注目されるのは、雇用創出をアジア太平洋地域及びアラブ諸国双方におけるディーセント・ワークの優先課題とするよう求めている点であり、これに関連して生産性向上や企業の競争力拡大の重要性にも言及している。また、限られた社会的保護を地域内におけるディーセント・ワークの最大の欠損と認めた。これらのほか、各国に三者協議を通じディーセント・ワークに向けた国内活動計画を策定するよう求めるとともに、その設計、実施、モニタリングを円滑化するため、各国の状況を紹介するウェブサイトを開設するようILOに求めている。
グローバル化に関しては、ILO事務局長に対し、域内政労使三者と協議の上、現行の景気後退の悪影響を予防・軽減する指針と計画、並びに加盟諸国の持続的な経済成長達成のため、世界経済への参加を支援するような計画を緊急に立案するよう求めている。そして、ILOの労働における基本的原則・権利宣言を景気変動やグローバル化から生じる社会問題・構造変化への適切な対応の枠組みと評価し、全加盟国に対し、基本条約の原則に従って法を整備し、基本条約を批准、適用するよう求めている。男女格差の問題については、各国が男女平等に関する期限を定めた計画を導入するのを支援するよう、IPECについては、子どもの人身売買と債務奴隷労働に優先的に取り組むようILOに求めている。
去る8月27日、バンコクでアジア太平洋経営者団体連盟(CAPE)の設立総会が開催され、奥田碩日本経営者団体連盟(日経連)会長が初代会長に選出された。会長の任期は3年であり、その間、会長の出身母体が事務局を提供することになっているため、日経連が初代事務局となり、矢野弘典日経連常務理事が事務局長に任命された。
CAPEは、1988年から日経連がILO、国際使用者連盟(IOE)と協力して開催してきたアジア太平洋地域経営者サミットに参加しているアジア太平洋地域の使用者団体による連合体である。日経連のほかに、オーストラリア、バングラデシュ、中国、フィジー、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、モンゴル、ネパール、ニュージーランド、パキスタン、パプアニューギニア、フィリピン、シンガポール、スリランカ、タイ、ベトナムの19カ国の全国的使用者団体が加盟している。CAPEは情報交換、調査研究等を通じ、アジア太平洋地域の魅力的なビジネス環境の構築、社会・経済の発展を目指す。
11月1〜3日にジュネーブのILO本部で、現下の雇用問題を検討し、ディーセント・ワークの創出に向けた革新的な方策を話し合う世界雇用フォーラムが開催され、世界約110カ国より首相・大臣を含む政府代表、労使、国際機関、NGO、学識者、民間企業代表など約750名が参加した。日本からも伊藤祐禎ILO労働者側理事、恒川謙司厚生労働省大臣官房国際課長らが出席した。
開会式にはアナン国連事務総長も出席し、9月11日の同時多発テロ事件が平和と安全の問題を遙かに越え、地球規模で人間の安全保障を脅かしている事態に警鐘を発した。ソマビアILO事務局長は、今日の状況をグローバル化時代初の世界同時景気後退期と呼び、危機の打開に向けた国際的な景気刺激策の必要性を唱え、各国の、そして国際的な雇用創出政策を統合するため、国連諸機関、世界銀行、国際通貨基金(IMF)と調整を図っていることを明らかにした。また、先進国は景気拡大策を追求する一方で、途上国には緊縮策や構造調整策を強いることの危険性を指摘した。
「21世紀におけるディーセント・ワークの創出」を総合テーマとするこのフォーラムでは、ラスムセン・デンマーク首相、オンケリンクス欧州連合(EU)労相理事会議長(ベルギー副首相兼雇用・機会平等大臣)、ビル・ジョーダン国際自由労連(ICFTU)書記長、フランソワ・ペリゴ国際使用者連盟(IOE)会長など、国連諸機関の長、政治・経済界のリーダー、組合代表、学識者がスピーチを行った。今年ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ・米コロンビア大学教授は2日目に基調講演を行い、ILOの目標である「ディーセント・ワーク、完全雇用、より良い労働条件」への支持を聴衆に呼びかけ、開発における「基本的労働権」の必要性を強調した。
フォーラムでは、教育と労働:雇用を可能にするための技能(若者の失業問題を含む)、世界統治と国際政策調整、貿易と投資による雇用便益極大化等6つのテーマでパネル討議が行われた。情報通信技術(ICT)は強力な雇用創出と開発の手だてを提供すること、中小企業が有効な雇用創出手段となるには社会対話の成功が重要なこと、職場実習と学校教育を組み合わせた実習制度は若者を生産的な高技能職に統合する効果的な手段であること、現在、世界及び各国で見られる統治制度は不十分で、不公正な結果を生じつつあること、インフォーマル経済の拡大は、広範な社会的保護の必要性を示すこと、女性の開業には障壁があること、貿易自由化がもたらす貿易と雇用の便益がより広く共有されるよう国際支援を貿易自由化の一部と見なすことといった点で合意が見られた。新しい形態の国際統治の必要性についても多様な意見が表明された。
討議資料として提出された報告書「A Global Agenda for Employment: Discussion Paper」は、2010年までの経済成長率及び生産性の伸びが90年代と変わらなければ、少なくとも1億6,000万人が職を失い、8億人以上が不完全就業状態となり、10億人以上が1日1ドルの貧困水準以下の生活を余儀なくされ、欧米や日本の経済・雇用情勢も一層深刻化すると予測し、適切な雇用対策の重要性を強調する。
国連社会開発サミットのフォローアップ活動として2000年に開催された国連社会開発特別総会で開催が求められたこのフォーラムは、9月11日のテロ事件後初めて、事件の影響による世界経済低迷の打撃を受けている世界の労働市場を危機から救う適切な対応策を求める話し合いの場となった。ILOが提案し、フォーラムで検討された国際的な雇用戦略(Global Employment Agenda)は、雇用問題解決に向け世界が共に闘う必要性を強調し、国際貿易、情報技術、起業家精神、環境持続性、財政金融政策、教育訓練、健康と安全、労働市場政策、社会的保護、社会対話の10項目を中心要素に、雇用を創出し、貧困を緩和する枠組みを提示する。フォーラムでは、世界的な景気後退と9月11日のテロ攻撃の二重の打撃によって深刻化しつつある失業問題と貧困問題に緊急に対処する必要性が強調された。景気後退に対しては国際的な景気刺激策、雇用創出と貧困問題緩和に対しては協調的な構造政策・労働市場政策の必要性が唱えられた。
フォーラムの成果を実現する政治的手段としては、◇ディーセント・ワークの成長における配当に関する理解を深めること、◇2002年にヨハネスブルグで開催されるリオ+10会議までに雇用戦略で確定された主要分野に関する円卓会議を開催すること、◇国際経済戦略と各国レベルの経済改革計画が雇用に与える影響を評価する方式と指標を開発すること、◇国際雇用戦略を基盤に、アフリカ雇用計画のように地域の実情に合わせた地域イニシアチブを開発することなどの案が提示された。また、雇用戦略を成功に導く条件として、◇国際景気刺激策を通じた経済成長の回復、◇債務免除その他の措置を通じた途上国への資金の流れの拡大、途上国の先進国市場への参入を基盤としたより均等で公正な国際経済秩序を緊急に構築する必要性、◇ディーセント・ワークとより幅広い富の共有に向けた変化の推進と管理が強調された。
会議の模様は、ILOのウェブサイト(http://www.ilo.org/public/english/employment/geforum/index.htm)で見ることができる。
9月11日のテロ同時攻撃は、雇用情勢にも深刻な影響を与えた。ILOは10月に観光、航空業に対するこの経済的な影響を検討する会合をジュネーブのILO本部で緊急に開催した。
10月25〜26日には、観光業の危機を評価し、影響を緩和する手段を話し合う政労使三者構成の会合が開かれた。
会合では、
等、業界の危機打開に向けた実際的な方策に関する合意が達成された。
この他に労使から、
等の提言が出された。
10月29〜30日には専門家と航空会社及び航空産業労組代表が集い、民間航空に対する事件の影響を話し合うシンクタンク会合が開催され、航空業界再建に向けた一連の実際的な措置を求める声明が発表された。声明は、危機対策として、
等各種措置の推進を求めている。
来年1月21〜25日に予定されている民間航空業の三者構成会合でも、9月11日の事件後の危機が社会と安全面に与えている影響が新たな議題として取り上げられることに決まった。
それぞれの会議の討議資料は、観光、航空産業ではレイオフが広がり、危機の影響は10年前の湾岸戦争時よりも深刻と記す。ホテル・観光産業は、テロ事件以前から既に景気低迷の影響を被っており、失業者数は世界全体で900万人近くに達すると予測される。世界全体の就業者数約400万人の航空産業では、既に職を失ったか、近い将来、失うおそれがある人々の数が20万人を超えると見積もられる。討議資料を含む会議の各種資料はILOのウェブサイト(http://www.ilo.org/public/english/dialogue/sector/index.htm)に掲載されている。
米国は国際労働基準の適用に向けた活動を積極的に行っている。最近の例を二つ紹介する。
去る10月、米国のトム・ハーキン上院議員、エリオット・エンゲル下院議員は、チョコレート製造業者協会(CMA)、世界カカオ基金(WCF)と、西アフリカのカカオ農園における児童奴隷を撲滅し、世界のココア・チョコレート産業から最悪の形態の児童労働をなくすことを目的とした「ハーキン・エンゲル議定書」を締結した。議定書は、信頼性があり、相互に許容可能で同産業を地球規模でカバーする国際基準の開発を定めると共に、カカオ豆の生育・加工における最悪の形態の児童労働の状況を把握し、廃絶に向かわせるための独立した監視・報告システムを設ける。チョコレート等に用いられるカカオが強制的な児童労働を用いずに生育・加工されたことを示す公的認証システムについても規定する。
ILOは、国際食品関連産業労働組合連合会(IUF)、反奴隷運動「フリー・ザ・スレイブス」、全米消費者連盟(NCL)、米国政府と共に、今後4年間にわたり、議定書の実施にあたっていくことになる。
ILOの児童労働撲滅国際計画(IPEC)は、現在、西アフリカのカカオ生育圏における児童労働問題の調査を行っており、年内に報告書を発表する予定である。
11月にILOは、カンボジア衣料産業の労働条件に関する初の報告書を発表した。報告書は同産業においては、児童労働、強制労働、セクシュアル・ハラスメントが存在する証拠は見られないが、幾つかの工場で賃金支払いにおける不正、残業強制、反組合的差別行為が見られると指摘する。この報告書は、カンボジアが米国と締結している貿易協定に基づく工場労働モニタリングという新たな役割をILOに与えたプロジェクトの成果として作成された。
衣料品は、カンボジアの総輸出高の7割を占めるが、1999年1月に締結されたこの貿易協定は、カンボジアがILOの中核的労働基準を遵守している限り、米国向け輸出高を年14%増加させることを認めるものである。米国政府は毎年12月1日までに、カンボジアの繊維・アパレル産業が国際基準を実質的に遵守しているかどうかの決定を下すことになっている。
12月には、次の会議、セミナー等の開催が予定されている。
▼小規模融資開発に向けた債務転換の可能性に関する地域間専門家会議(ジュネーブ・12月3〜4日)−スイス政府代表、タンザニア使用者代表、ネパール労働者代表が集い、@対外債務の免除を小規模融資の開発を通じた貧困緩和と雇用創出に結びつける可能性を評価し、A国別の「債務レビュー」と事例研究を検討する。
▼特定アフリカ諸国ILO世界雇用報告三者構成ワークショップ(カンパラ・12月4〜6日)−エリトリア、エチオピア、ガーナ、ケニア、モーリシャス、ナイジェリア、セーシェル、南アフリカ、タンザニア、ウガンダ、ザンビアの11カ国政労使が集い、@情報通信技術の開発及び雇用促進の手段としての有用性を検討し、A情報通信技術の普及とその最も生産的な利用に必要な一般政策事項及び各国特有の政策事項の確定をめざす。
▼公務に関わる法と政府の慣行に関する地域間専門家会議(トリノ・12月4〜6日)−アルゼンチン、オーストラリア、バルバドス、ボツワナ、ブラジル、カナダ、中央アフリカ共和国、ドミニカ、インド、ヨルダン、ケニア、ラトビア、マリ、ニュージーランド、ノルウェー、フィリピン、南アフリカ、スペイン、スリランカ、チュニジアの専門家が集い、@ILOの政府・労働法・労働行政局の調査結果を検証し、今後強調していくべき分野を準備し、A国際研修センター(トリノ)と協力し、公務員の技術協力と訓練に関するカリキュラムの開発を行う。
▼特定東欧・独立国家共同体(CIS)諸国のジェンダー、貧困、雇用に関わる計画立案・適応小地域セミナー(セントペテルスブルグ・12月5〜7日)
▼南東ヨーロッパ使用者フォーラム(ザグレブ・12月10〜12日)−アルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルガリア、クロアチア、モルドバ、ルーマニア、旧ユーゴスラビア共和国マケドニア、ユーゴスラビアの使用者代表が集い、安定協定と社会統合イニシアチブの枠内における活動を話し合う。
▼エイズウイルス(HIV)/エイズがCIS諸国の社会に与えた影響に関する小地域三者構成セミナー(モスクワ・12月10〜12日)
▼21世紀の建設産業のイメージ、雇用展望、技能要件三者構成会議(ジュネーブ・12月10〜14日)−オーストリア、ブラジル、カメルーン、カナダ、中国、エジプト、ドイツ、インド、イタリア、日本、ケニア、マレーシア、メキシコ、パナマ、フィリピン、ポーランド、南アフリカ、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、アラブ連邦、米国の23カ国政府代表、労使代表各23名が参加し、ILOの準備した討議資料をもとに、21世紀の建設産業のイメージ、雇用展望、技能要件に関する意見交換を行い、各国政府、労使団体、ILOが取るべき行動提案を含む結論、討議報告書、決議の採択をめざす。
▼第1回海事労働基準ハイレベル三者構成作業部会(ジュネーブ・12月17〜21日)−2001年1月に開催された第29回合同海事委員会で採択された、既存の海事労働基準をできるだけ統合改正し、新しい単一の「枠組み」条約を制定するよう求めるILO基準見直し決議(ジュネーブ合意)に則り、次期ILO海事総会における枠組み条約採択をめざした準備機構として設置されたブラジル、中国、エジプト、ギリシャ、日本、ナミビア、ナイジェリア、ノルウェー、パナマ、フィリピン、ロシア、米国の12カ国政府代表、船主・船員代表各12名から構成される作業部会の第1次会合。
▼アラブ世界におけるディーセント・ワークの推進に向けた技術協力優先事項地域間ワークショップ(ダマスカス・12月18〜20日)−アルジェリア、バーレーン、エジプト、イラク、ヨルダン、レバノン、リビア、モロッコ、オマーン、シリア、チュニジア、イエメン12カ国の政労使を対象に、@ILOの戦略目標と加盟国のニーズの枠内でILO、拠出国・機関、受益国間の技術協力に関わる協力関係を高め、A国際機関同士のパートナーシップを強化し、技術協力活動を増大することをめざす。
| 加盟国数・・・・・・・・・・・・・・・・ | 175 |
| 条約の数・・・・・・・・・・・・・・・・ | 184(うち、撤回5) |
| 勧告の数・・・・・・・・・・・・・・・・ | 192 |
| 加盟国の平均批准数・・・・・・・ | ・40 |
| OECD諸国の平均批准数・・・ | ・67 |
| 日本の批准条約数・・・・・・・・・ | ・45 |
| ジュネーブ便り |
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8月下旬、仕事のお昼休みの間、友達と旧市街に行った。歴史美術博物館の斜め向かいの小さな広場でサンドイッチを食べていたとき、博物館の真向かいにある小さな丘にじっと座って遠くを見つめている女性がいることに気づいた。そして、私は彼女を見ながら色々なことを考えた。
ILO本部計画運営局
津嶋 麗子 |
ILOは、2000年から、分担金の負担に比して職員数が少ない加盟国から将来有望な若者を幹部候補生として採用する制度(YPCEP)を始めており、既に日本からも数名が採用されている。2002年10月勤務開始予定のYPCEP第3期生の募集に関する詳細は次の通り。