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ILOジャーナル2001年1・2月号目次

ILOジャーナル2001年1・2月号目次

堀内光子新駐日代表ご挨拶
世界雇用報告2001年版
会議報告:アジアにおける人の移動と労働市場(東京・2月1〜2日)
ILO部局活動紹介@:雇用総局技能・知識・雇用可能性国際重点計画ターゲット集団班
お知らせ:ILO東京支局インパク出展
お知らせ:2001年卓上カレンダー無料配布中
ILOの現勢(2001年1月1日現在)
ILO活動視察報告:カンボジアとベトナム(衆議院議員 森山 眞弓)
ジュネーブ便り:活力ある高齢化−政策展望(ILO事務局長特別顧問 アリ・タキ)
2001年3〜4月の主な会議日程
ILO関係者往来(2000年12月〜2001年1月)
ILO人事:野寺康幸新アジア太平洋総局長、堀内光子新駐日代表兼ジェンダー特別アドバイザー
 石橋通宏さんトリノ・センターへ、望月貴子さんサンチャゴへ
論文概要紹介:雇用・賃金体系の将来と日本型モデル(International Labour Review 2000, Vol. 3より)
新刊紹介:労働市場における移民労働者差別の記録他

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ILOジャーナル2001年1・2月号

世界雇用報告2001年版
情報経済における労働事情
明るい雇用展望を覆うデジタル・デバイドの暗雲

 ILOが定期的に刊行している「世界雇用報告」の2001年版は、書籍としては今年6月に発売の予定であるが、この度、その内容を収録したCD−ROMが作成された(4,500円)。以下にその概要を紹介する。今年の報告は「情報経済における労働事情」を副題に、情報通信技術(ICT)が労働の世界に与える影響を吟味し、先進国・途上国間で広がりつつあるデジタル・デバイド(ICTを利用できる者とできない者の間に生じる情報格差)に警告を発し、デジタル時代におけるディーセント・ワークの確保に向けた政策を提言する。
写真:ICT機材を使う女性労働者(ILO/Jacques Maillard)
女性はICTの生み出した新規雇用の大半を
占めるようになったが、ここでも男女職業分離
が再現されている

■世界の労働力の3分の1が失業か不完全就業状態

 21世紀初めの雇用情勢は過去10年間に比べて全体的に改善しつつあるが、依然深刻なところもいくつか見られる。
 大きく好転したのは経済協力開発機構(OECD)加盟諸国であり、力強い成長を示す米国、活発化している欧州、状況が改善しつつある日本など、90年代半ばには2桁台であった失業率が全体的に低下し、一時は35%に達した長期失業者の割合も最近では31%近くへと下降した。
 しかし、約30億の世界の総労働力の3分の1近くが、依然失業しているか、不完全就業状態にある。中南米及びカリブ諸国では失業率が相変わらず上昇し、中・東欧、中東、北アフリカ、サハラ以南アフリカ諸国の都市部ではまだ高く、中国でも失業問題がますます顕在化しつつある。多くのアジア諸国で力強い景気回復の兆候が見られるにもかかわらず、2000年末の完全失業者数は、1997年のアジア金融危機突入以前よりも2千万人多い1億6千万人近い。
 今後10年間、新規労働力を吸収し、現在の失業者数を減らすために必要な5億を超える新規雇用を創出するには、少なくとも現行の世界経済成長率が維持される必要がある。人的資源への投資、差別の克服、雇用を経済政策の中心的な目標に据えることといった労働市場の中心的な問題にも注意が求められる。
 パートタイマーや短期契約の割合も高まり、企業が派遣や外注、下請けといった社外サービスを活用することも多くなった。90年代に、OECD諸国のパート労働者比率は14%から16%に、欧州連合(EU)12カ国の派遣労働者比率は10%から12%に増加した。臨時労働や明確な雇用契約のない労働も全世界的に増えつつあり、アルゼンチン、パキスタン等、製品市場と労働市場の自由化に取り組む多くの国で見られる。自営業も高いスピードで成長しているが、雇用全体に占める割合はまだ比較的低く、大部分の国で平均比率は12%内外である。
 国際労働力移動も増加しつつあり、特に技能者不足が広く見られる先進国のICT部門では自由化が進み、インド、東欧、北アフリカが主な送り出し国・地域となっている。
 中短期の雇用展望は主として、現在見られる世界経済の回復が持続するかどうかといった点にかかっている。米国経済の軌道(硬着陸または軟着陸)、欧州が世界経済の発電機としての地位を奪回する可能性、ロシアの好景気が持続するかどうか、インドの高度経済成長が維持されるかどうかなど、不確実要素は多いが、見通しは総合的に明るい。

世界の失業情勢
  失業率(%)
1990年 1995年 2000年
先進国 6.1 7.4 6.2
欧 州 7.7 11.0 9.0
(1999年)
日 本 2.1 3.2 4.7
(9月)
米 国 5.6 5.6 3.9
(9月)
中南米 5.7 7.2 8.9
(1〜9月)
アジア太平洋 4.0 4.1 4.6
(1999年)
移行経済諸国 8.3 10.9
(1999年)
中東・北アフリカ 7.1 10.9

■デジタル・デバイドはますます拡大

 ICTのデジタル化は時間と距離という、通信面に古くから存在する障害を縮小した。場所や時間に関わりなく必要な情報にアクセスできることは、従来の確立された経済関係と経済行動を変化させた。経済が機能する方法が変われば、労働の世界も変化する。雇用の創出と喪失、労働の内容と質、働く場所、雇用契約の性質、求められる技能と習得の難易度、作業組織、労使団体の機能と効力など、新たに誕生しつつあるデジタル・グローバル化の時代の影響は全てに及ぶ。
 経済のネットワーク化によって特に有利になるのは知識労働者であるが、農産物のネット販売による新たな市場機会の獲得といったように、情報に対するアクセスの拡大による恩恵はあらゆる労働に波及する可能性がある。ネットワーク化は新たな雇用創出の機会をもたらしたが、これは必ずしも知識または技能要件の高まりを意味するわけではなく、未熟練労働、技能低下、技能の両極化は依然存在する。
 通信革命は世界的な規模で起こりつつあるが、デジタル化する世界経済において生産性を確保するために必要な新しい技術資源にアクセスできないか、仕事を見つけることができない労働者も増大しつつある。世界のICTのほぼ全てが人口の約15%(大半が先進国在住)によって生産されており、この科学技術を採用できるだけの電気、電話線、その他のインフラ設備にアクセスできるのは世界人口の約半数に過ぎない。米国とEUでは、2人に1台の電話があるが、総人口7億3,900万人のアフリカにある電話は1,400万台にも満たない。これは世界人口の少なくとも3分の1を技術的に接続されていない状態にしてしまう。
 世界の多くの場所でコンピューターの利用とインターネットへのアクセスが飛躍的に伸びているにもかかわらず、インターネットの利用者は世界人口の5%をわずかに上回るに過ぎず、この88%が先進国に住んでいる。米国とカナダだけで世界のインターネット利用者の57%を占める一方で、アフリカと中東合わせてもわずか1%に過ぎない。インターネットの情報の75%近くがたった一つの言語、英語でしか提供されていないと推計される。
 デジタル・デバイドは異なる社会間だけでなく社会の内部でも存在する。インターネットの利用は年長者よりも若者、女性よりも男性、農村よりも都市居住者、そして教育水準と所得水準が高い人々の間でより一般的である。年齢36歳、カレッジ卒、高収入で都会に住む白人−これが欧米における典型的なインターネット利用者像である。
 途上国では内部デジタル・デバイドがさらに激しい。例えば、ジンバブエとエチオピアではインターネット利用者のそれぞれ87%と98%が大卒で、圧倒的に男性である。
 先進国の技術進歩にかろうじてキャッチアップできている途上国は、東アジアの一部諸国に限られているように思われる。中国、マレーシア、タイ、フィリピンといったアジア諸国では、ハイテク分野が急成長し、半導体その他データ処理機器の世界市場においてかなりのシェアを占めることに成功した。これ以外の途上国は、拡大を続ける情報通信技術製品の取引から取り残されるだけでなく、これらの産業がもたらす経済効率や生産性利益を享受できない危険性がある。
 ICT革命は真の潜在力と真の制約を提供する。技術時代の先端またはその境界に存在するより裕福な国々では、オールド・エコノミーが再活性化する一方で、新しい製品分野や市場が拡大していく可能性を秘める。が、世界人口の大半が新技術の利益を享受できない見込みは、通信革命の行方を市場だけに決めさせてはならないとの強力な論拠の一つとなる。

■情報技術−開発の新しいカギ?

 約12億人、つまり、世界人口の20%超が1日1ドル未満の絶対貧困状態の生活を送っている現状では、貧困を減らし、より均等な成長を生むために、人類がICTの新しい能力を利用できるかどうかが問題になる。ITの急速な普及と価格低下は途上国の持てざる層に開発段階を「一気に飛び越える」チャンスを与える一方で、その成長が社会と経済格差における既存の断層線をなぞり、広く行き渡った社会的排除のパターンをさらに強めるかも知れないといった懸念も生む。
 このような飛躍的な進歩を達成するには、ICTに関する一貫性のある国家戦略、一般人が利用できる電気通信基盤構造の整備、教育を受けた労働力の存在の三つの要素が重要である。ハイテク・デジタル世界に参入するには、ハードに加え、ソフトウエアの生産と利用における国内技能基盤の育成が不可欠なように思われる。
 ICT部門の輸出機会を確保しにくい場合でも、技術アクセスから得られた利益はデータ処理やコールセンターといった産業における雇用創出、起業を促進する可能性がある。保健、教育、その他社会サービスへのアクセスを改善することによってICTは貧困緩和の目標にも寄与することができよう。

■情報技術革命と男女格差

 ICTは労働における知的構成要素の割合を高め、職場の枠を広げ、仕事と家庭、あるいは仕事と余暇のより良いバランスをもたらすことによって、女性に雇用を提供し、生活を向上させる可能性を秘めるが、依然として女性は一般的に収入が低く、失業率は高く、低技能職に集中している。
 最も衝撃的なデジタル男女格差はインターネットの利用に見られ、先進国でも途上国でも女性は利用者の少数派を占める。中南米のインターネット利用者に占める女性の割合はわずか38%、EU諸国では25%、ロシアでは19%、日本では18%、中東では4%に過ぎない。しかし、北欧諸国や米国等、インターネットの利用が多い国では男女格差が縮まってきたことも指摘されている。
 男女職業分離のパターンは情報経済でも再現され、男性が付加価値の高い高技能職の大半を占める一方で、女性は付加価値の低い低技能職に集中している。ICT技能を有する者と有しない者の賃金格差に加え、ICT利用者層の中でも賃金の両極化が存在するが、これはしばしば性別によって分かれる。
 それでも、インドでは、ソフトウエア産業の専門職に占める女性の割合が27%に達し、カリブ諸国その他多くの国で90年代に数千の女性がデータ処理産業に就業した。ウガンダでは、エイズで家族を失った人々を支援する女性団体が、活動の一環として、伝統的なかごを編み、アメリカのNGOの助けを借りてインターネットによる販売を行っている。

■最も重要なのは教育

 識字能力と教育は、誕生しつつあるデジタル時代から最大の利益を得るために重要な役割を有するにも関わらず、一気に飛び越えることはできない。ICTの浸透とインターネット利用率における格差は、教育と識字能力における格差と直接相関する。例えば、ICTの世界は比較的若い男性の世界であるが、世界の非識字層の3分の2は女性が占める。
 ICTは開発と貧困緩和を加速化させる期待を提供する一方で、富める国と貧しい国のデジタル・デバイド、そしてデジタル男女格差、賃金格差をさらに拡大させる懸念ももたらす。途上国が考えるべき根本的な政策は、技術へのアクセスと労働者がそれを利用できる教育と技能の確保である。教育と経済成長は補完的であり、誕生しつつある知識基盤経済においては、前者に対する投資は成長に対するますます重要な投入要素となる。
 先進国では近年、高等教育から得られる利回りが増大しつつあり、生涯学習がデジタル時代における雇用保障または雇用可能性の本質的な源になりつつある。ICT製品の国際価値チェーンのニッチ(市場の隙間)を確保できた途上国は、教育水準の高い、高技能労働力が存在して初めてそれが可能になったのである。

■デジタル時代の政策考慮事項

 デジタル時代に考えられる政策には次のようなものがある。
 ▼貿易政策:投入財の輸入価格を適正に保つ一方で国内ICT産業の成長を奨励する必要がある。
 ▼技能労働者の移動:デジタル経済における高技能労働者の国際移動に関しては、受け入れ国は国内労働力の訓練を無視してはならず、送り出し国は高技能労働者の再訓練または帰国を奨励する政策を開発する必要がある。
 ▼高齢労働者:高齢労働者の再訓練を充実させ、高齢労働者を特に対象とした学習の機会と労働市場における年齢差別からの保護に関する政策が求められる。
 ▼職場の新たな懸念事項:ICTが男女の労働生活に異なった影響を与えるという事実に十分配慮した上で、ストレス、プライバシー、知的所有権、通信媒体へのアクセス権といった職場の新たな懸念事項の発生に対応し、既存の労働法の改正、労働市場政策の変更が必要になるかもしれない。
 ▼伝統産業:例えば農林水産業のような伝統産業にICTを応用すれば、効率性を大いに高める可能性がある。


この部局は何しているの?@
主としてILOウェッブサイトより各部局の活動概要を随時紹介していきます。
雇用総局技能・知識・雇用可能性国際重点計画ターゲット集団班
 ILOが21世紀の目標とするディーセント・ワーク(権利が保護され、十分な収入が得られ、適切な社会的保護が供与された生産的な仕事)へのアクセスが特に難しい集団に関し、労働市場への完全参加を妨げる障害の除去、すべての男女のディーセント・ワークの確保を推進する政策及び計画の開発を目的とする班。障害者、若年者、解雇者、高齢者の4集団に関し、各国政府及び労使団体と協力し、特別訓練計画、職業指導、企業家精神育成等、多様な措置を推進している。障害を有する人々の採用、昇進、職場復帰、就業の継続に関する使用者向け指針としての「職場における障害の管理に関する実施規準」の作成、精神衛生面の問題を抱える人々を訓練と雇用の主流に組み込むことの提唱、政策策定者と労使に対する職業訓練・リハビリテーション計画の設計と実施における支援といった活動を行っている。詳しくは技能・知識・雇用可能性国際重点計画ウェブサイト(英語)へ。

ILO東京支局インパク出展
http://www.inpaku.go.jp
 日本政府は2001年を新千年紀出発の年と位置づけ、2000年12月31日から1年間、上記アドレスで、インターネット博覧会「インパク〜楽網楽座」を開催している。国、一般企業、地方自治体、国際機関、NPO等、200以上の特定テーマパビリオンが開設されているが、ILO東京支局も「労働の世界」のテーマで出展している(http://www.inpaku.go.jp/ilotokyo)。
 メニューには、労働の世界クイズ、優先批准条約投票、労働の世界フォーラム、21世紀の労働デザイン・コンテスト、ILO活動紹介、労働の世界データ、各種行事予定が含まれる。是非アクセスして、投稿、投票してみて下さい。

2001年卓上カレンダー 〜無料配布中〜 希望者はILO東京支局まで

ILOの現勢
(2001年1月1日現在)

加盟国数・・・・・・・・・・・・・・・・ 175
条約の数・・・・・・・・・・・・・・・・ 183(うち、撤回5)
勧告の数・・・・・・・・・・・・・・・・ 191
加盟国の平均批准数・・・・・・・ ・39
OECD諸国の平均批准数・・・ ・66
日本の批准条約数・・・・・・・・・ ・44

ILO活動視察報告
カンボジアとベトナム
プノンペン町外れの煉瓦工場で子供達の写真を撮る視察団一行
煉瓦工場で子供たちと。後列右より川橋議員、
堀内ILOアジア太平洋総局長、筆者、谷本議員、
リウILOバンコク事務所副所長

 12月3日から7日まで川橋幸子、谷本龍哉の両議員と共に、ILO活動推進議員連盟として現場を視察する為、カンボジア、ベトナムに出かけました。バンコクから当時アジア太平洋総局長の堀内光子さん等が合流し、夜プノンペンに着きました。
 翌日事前説明のあと、まず町外れの煉瓦工場へ行きました。以前小さな子供がたくさん働いていて児童労働を禁止するILO条約の立場からいうと問題のところです。しかし今は子供たちは2班に分かれてそれぞれ午前と午後学校に通い、登校前や放課後に軽い労働をしているとの説明でした。
 次に家庭内暴力や人身売買の犠牲になった女性たちを助け、カウンセリングや職業訓練をしているNGOの「女性と子供の救助センター」を見学しました。ILOが職業訓練を援助しています。女性たちはミシンをふんで簡単な洋裁を習っていました。修了すると町の縫製工場に就職したり、故郷に帰って自営をしたりします。
 次にシェムリアープへ飛び道路整備事業を見学しました。途上国の発展の大きな障害の一つは道路です。このILO道路は、ほこりっぽい1車線ですが、一応平らでオートバイや自転車で通るのには十分です。これをアンコールワット周辺の生活道路として作りました。工事にはくじ引きで周辺の未熟練労働者を1日1ドルで雇い、地域にまず大きな現金収入をもたらし、この道路のおかげで灌漑施設も整備され、農産物の市場もでき、町へ働きにも行けます。
 最後にベトナムのホーチミンで職業訓練所を見学しました。ホーチミンはベトナムの経済の中心ですが、職業技術を覚えても雇ってくれる大企業は少なく、むしろ1人で、あるいは数人で新しい仕事を始める方がよいので、ILOは特に経理、税務、販売などについても指導するSIYB(Start and Improve Your Business)講習により、いわゆるベンチャー企業を起こす応援もしています。機械工からレストラン経営者になった人などその成功者たちから経験談を面白く聞きました。

衆議院議員
森山 眞弓

ジュネーブ便り
活力ある高齢化:政策展望 アリ・タキILO事務局長特別顧問昨年末、各国の高齢労働者事情に関する調査研究の一環として、日本を訪れたアリ・タキ事務局長特別顧問より標記に関する寄稿を得たので、ここに紹介する。

 「高齢者は社会の資産である。」
 昨年11月にトリノ(イタリア)で開催されたG8労働大臣会合で採択された「活力ある高齢化憲章」はそう記す。
 この憲章は日本の労働省の提案に基づく。日本は人口動態を予見し、社会と経済に対する高齢者の貢献潜在力を認識する上で主導的な立場にある。
 日本の平均余命は世界最長に達し、出生率は非常に低い。このことは、高齢者の人口比率が高まり、平均年齢が上昇することを意味する。
 他の先進工業国も大半が同じようなパターンを示す。この結果、多くの政府が日本を後追いし、活力ある高齢化政策の採用に向かいつつある。
 第1の動機は、高齢化が、年金基金その他社会保障制度の将来財政を脅かすとの懸念である。被保険者に対する受給者比率の上昇は、政治的に許容できない水準まで増税することなしに、満足できる給付水準を維持することをますます難しくする。
 第2の理由は、経済成長を維持できるだけの労働力の供給がなくなるという懸念である。 第3の理由はより肯定的なもので、経済及び地域社会生活への高齢者の参加を高めることによって社会の団結に寄与するというものである。
 大部分の先進国政府は高齢者の労働力率向上を目指した政策を策定している。既に一部諸国で採用されているか検討中の、人々をより長く労働市場に留めることを目指した最も直接的な措置は、年金の満額支給年齢の引き上げである。ただし、これは非常に論議の多い問題であり、それ自体検討に値する。
 ある国において年金制度の改革が望ましいかどうか、政治的に許容可能かどうかについては、深刻な政策上の問題が残る。
 数十年来、数多くの国内失業対策が早期退職の方向を奨励してきた。退職を遅らせる方向には容易に転換できないであろう。
 2番目の問題は、労働と退職に関する高齢者の姿勢には非常に個人差があるということである。長い間、一生懸命に働き、退職を待ち望んでいる人々も多い一方で、心身共に元気で、一定の年齢での退職を望まない人々も多い。短時間の継続就業を希望する人々もいよう。高齢者の労働を奨励する政策はこのような多様性を考慮したものでなくてはならない。
 第3の問題は、継続就業や再就職を希望する高齢者が、時代遅れの技能、新技術に不慣れなこと、年功序列制に基づく高賃金など、労働市場の深刻な障害にぶつかる場合が多いということである。適応力と生産性に関する、通常不当なステレオタイプ化と偏見も広く見られる。年齢を理由とした明らかな差別もある。
 働き続けるよう高齢者を説得することだけに重点を置くのでは不十分である。活力ある高齢化政策は、それが容易な環境を形成するものでなくてはならない。効果的な政策に不可欠の要素とは、先入観に対抗し、差別と戦う行動と組み合わせた訓練、生涯学習、職業指導、職業紹介等の計画であろう。

ILO事務局長特別顧問
アリ・タキ

ILO今後の会議

 近い将来、次の会議の開催が予定されている。

ILO/世界銀行/日本/日本労働研究機構/アジア欧州首脳会議(ASEM)共催フィリピン政府後援雇用、所得保障、労働市場フォローアップ会議(マニラ・3月1〜2日)−インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、タイより政労使各2名が出席し、@1999年10月に東京で開催された東・東南アジアの経済危機、雇用、労働市場セミナーで採択された勧告のフォローアップ、Aフィリピンと韓国の国別調査の吟味、B世界銀行が開始した失業保険制度その他の形態の所得支援制度に対するILOのアプローチの検討、Cこのような制度を支援する政府の能力と実践的なニーズに照らして、これらの制度の成果と便益の統合整理を行うことを目指して、話し合いを行う。

第280回ILO理事会及びその委員会(ジュネーブ・3月8〜30日)

ILO/アジア太平洋技能開発計画(APSDEP)/日本共催アジア企業における生涯学習の提供に関わる労使団体の役割ワークショップ(千葉・3月13〜16日)−APSDEP加盟国のパキスタン等7カ国より労使代表が出席し、@生涯学習の根本理由、その提供における制約、関連する主な政策事項を確定し、A域内における企業内生涯学習の推進、適用に向けた組織枠組みを検討し、B企業内生涯学習の提供における労使団体の役割を分析、討議し、C日本企業における生涯学習提供における労使協力例を観察し、討議する。

ホテル、外食、観光業の人的資源開発、雇用、グローバル化に関する三者構成会議(ジュネーブ・4月2〜6日)−オーストリア、日本等25カ国の政府代表及び労使代表各25名が集い、ILO事務局が作成した討議資料をもとに、ホテル、外食、観光産業における人的資源開発、雇用創出、グローバル化に関わる政策と方法に関する意見を交換し、国内レベルにおける政府及び労使団体、そしてILOによる活動提案を含む結論、討議報告書、適切であれば決議の採択を目指す。

ILO労働安全衛生管理システム・ガイドライン専門家会議(ジュネーブ・4月19〜27日)−ドイツ、日本等7カ国の政府代表、労使代表各7名が出席し、労働安全衛生管理システムに関する実施規準(ILOガイドライン)を検討し、その採択を目指す。


ILO関係者往来

 ▼ILO児童労働廃止活動視察団として、ILO活動推進議員連盟の森山眞弓衆議院議員、川橋幸子参議院議員、谷本龍哉衆議院議員がカンボジア、ベトナムを訪問(12月3〜7日)(5面手記参照)。

 ▼労働省、日本ILO協会共催の21世紀直前国際シンポジウム「輝ける未来の子どもたちのために〜21世紀、多国籍時代の企業は何をなすべきか〜」(東京・12月7日)に、ILOアジア太平洋総局よりT・アブレラ=マンガハス児童労働撲滅国際計画(IPEC)地域アドバイザーが出席。「児童労働の撲滅に向けたILOの取り組み」のテーマで基調講演。

 ▼企業業績の向上に向けた訓練に関するアジア太平洋三者構成会議(バンコク・12月12〜14日)に、労働省の山口高広大臣官房国際労働課海外労働情報室課長補佐、日経連の高澤滝夫国際部課長、連合の中桐孝郎雇用・労働対策局次長、リソース・パーソンとして小池和男法政大学経営学部教授が出席。

 ▼ILO東アジア・マルチディシプリナリー・アドバイザリー・チーム(MDT)の川上剛労働安全衛生専門家が東京労働安全衛生センター、労働科学研究所共催メコンデルタの参加型とわたしたち−日越交流、草の根国際協力活動の進展−国際協力セミナー(東京・12月23日)で「ベトナムにおけるILOの安全衛生技術協力」、日本産業衛生学会の第3回労働衛生国際協力研究会(東京・12月26日)で「アジアにおける小企業作業改善(WISE)方式安全衛生トレーニングの最近の進展−ILOの経験から−」のそれぞれのテーマで講演。

 ▼ILO国際労働問題研究所、フランス雇用連帯省共催の労働、雇用、社会的保護の将来−不確実性が増す世界における新しい保障の探求に関する国際会議(アヌシ・2001年1月18〜19日)に鈴木俊男日経連政策委員が出席し、労働と雇用の変化が日本の社会に与えた経験について発表。

 ▼ILO第29回合同海事委員会(ジュネーブ・1月22〜26日)に日本船主協会の和田敬司理事長、全日本海員組合の井出本榮組合長が出席。委員会は、海事産業に関連する既存の30条約、23勧告を統合し、2005年に海事総会を開催して、新しい一つの枠組み条約を採択するよう勧告すること、現行435ドルである有能海員の最低賃金を2002年1月1日より450ドル、2003年1月1日より465ドルに引き上げるよう勧告すること等を決定。


ILO人事

(2001年1月6日付)
★アジア太平洋総局長
 野寺 康幸(のでら・やすゆき)
野寺ILOアジア太平洋総局長顔写真 東京大学法学部卒。1969年労働省入省。1981〜84年経済協力開発機構(OECD)日本政府代表部一等書記官。帰国後、職業安定局特別雇用対策課長、同局高齢・障害者対策部企画課長、同局雇用政策課長、大臣官房会計課長、職業安定局高齢・障害者対策部長、大臣官房審議官(基準、婦人)、同総務審議官、大臣官房長を歴任し、1999年7月より労働基準局長。1997〜98年ILO政府側理事。

★ジェンダー特別アドバイザー兼駐日代表
 堀内 光子(ほりうち・みつこ)
 1966年東京教育大学文学部卒。同年労働省入省。1984〜88年国際連合事務局女性の地位向上部勤務(ウィーン)。帰国後、婦人局婦人福祉課長、内閣総理大臣官房参事官兼内閣内政審議室内政審議官を経て、1993〜96年国連日本政府代表部公使を務め、帰国後労働大臣官房審議官。1996年4月よりILO事務局長補(アジア・太平洋地域担当)。

(2000年12月31日付)
★退任
 (東京支局長)早坂信弘

◇ ご 挨 拶 ◇

堀内ILOジェンダー特別アドバイザー兼駐日代表顔写真

ILOジェンダー特別アドバイザー
 駐日代表 堀内 光子






 この度、駐日代表及び地域を担当するジェンダー特別アドバイザーとして、東京支局に赴任して参りました。前職のILOアジア太平洋総局長在任中は皆様方から多大のお力添え、ご助言を賜り、厚くお礼申し上げます。
 国際社会における日本の地位の重要性に鑑み、この度支局はソマビアILO事務局長の直接の指揮・指導のもとに、グローバルな観点から活動を強化することとしております。
 日本はILO創設国の一員であり、長年にわたり様々な分野での貢献を行ってきていますが、「地球市民」の時代に、国際社会の一員として、日本の果たす役割に寄せられる期待も大きいものと思います。
 ソマビアILO事務局長は、グローバル化の中で社会問題なかんずく雇用問題が重要になっているところから、「価値のある仕事(ディーセント・ワーク)」をILOの新しい目標として掲げ、諸活動を展開しております。ILOを通じての国際社会と日本とのより良い関係の構築、そして地域におけるジェンダー格差の解消に向け、ILOの目標の達成に皆様方と共に努力して参りたいと存じます。今後とも更なるご指導、ご助言、ご協力を宜しくお願い申し上げます。


いしばし みちひろ
石 橋 通 宏さ ん
トリノへ
もちづき たか こ
望 月 貴 子さ ん
サンチャゴへ
 今年1月より、NTT労働組合中央本部国際特別部担当部長であった石橋通宏さんが、ILO国際研修センター訓練局に労働者活動計画担当官(アジア太平洋地域担当)として新規採用された。
 イタリア政府の協力の下、ILOの研修機関として、1964年にトリノに設立された国際研修センター(トリノ・センター)は、政府、労使団体、国連機関の職員等を対象とした各種研修活動を実施する。石橋さんは、アジア太平洋地域を対象に、労働者活動に関する研修の設計、実施、評価等の業務を行う。
 同じく今年1月より世界銀行環境・社会の持続可能開発総局で中米・メキシコ地域を担当していた望月貴子さんが、ジェンダー問題のアソシエート・エクスパートとしてサンチャゴ(チリ)のアメリカ南端マルチディシプリナリー・アドバイザリー・チーム(MDT)に赴任された。
 望月さんは、中南米地域のILO及び関連活動におけるジェンダー視点の導入確保や技術助言等、ジェンダー関連のあらゆる活動を行う。
 お2人の一層のご活躍を祈念します。

論 文 概 要 紹 介
雇用・賃金体系の将来と日本型モデル  ILOの季刊誌「インターナショナル・レイバー・レビュー」誌2000年3号に東京国際大学の渡邊進経済学教授が標記の論文を寄稿している。以下はその概要である。

 日本の労務管理の特徴である終身雇用制と年功賃金制は本当に崩壊しつつあるのか?本論文は、これら日本独特の雇用・賃金体系が成立した歴史的経緯やその果たしてきた役割を考察し、今日までの終身雇用・年功賃金制の動向を企業の実例を交えながら分析した上で、「日本型モデル」の行方について論じる。終身雇用・年功賃金制を理解する上で重要な日本的生産システムについても紹介する。

■日本型モデルと生産システム

 「日本型モデル」成立の背景には、柔軟性を特徴とする日本的生産システムと、それを支える「多能工」の存在がある。
 「多能工」とは、多様な技能や専門知識・経験を持つ基幹的生産労働者で、企業内の配置転換や継続的な訓練により養成され、生産性向上に貢献する。配置転換には、多能工育成と同時に、企業にとっては、新技術導入等による余剰人員を解雇せず生産の変動に柔軟に対応させられるという利点もある。
 多能工の存在は、日本の生産システムに特徴的な小集団によるチームワークと密接な関連がある。チーム内での作業分担・協力や技能の伝承が、生産性向上を実現し、従業員の多能工化を促している。本論文で紹介される「ジャスト・イン・タイム」や低コストの自動化を導入したトヨタの事例では、日本的生産システムの発展経緯と、小集団活動におけるチームワーク及び多能工が、生産システムの柔軟性と生産性向上に大きな役割を果たしてきた様子が示される。

■年功賃金制と終身雇用制

 企業内で養成した基幹的熟練工を蓄積し、また協調的な労使関係を醸成・維持することが重要な生産システム内で、年功制、ボーナス、退職金、定年制度等が形成され、大企業の管理職を中心に、1920年代末頃には普及した。年功制は賃金が家族の生活給であるという当時の考え方とも整合する。戦時体制下、終身雇用制の適用は全労働者に拡大し、定期昇給も導入された。戦後の賃金体系の原型となった「電産型賃金体系」を見ると、家族の生活費、能力、勤続年数と地域差によって賃金が決定される「生活保障給」が中心要素となっている。経営側は年功型平等主義的賃金体系に対し抵抗があり、賃金制度は、経済の復興と生活の安定と共に、仕事給の割合が増し、年功的生活給の割合が縮小した形に変化してきた。今日では、労働力人口の高齢化と定年延長の結果、年功賃金に伴う問題が深刻化している。といっても賃金調査の結果は、年功・生活給的要素が未だ根強く残っていることを示している。
 年功賃金制の適用範囲縮小の傾向も見逃せない。事務職、特に管理職の労働者に対しては、能力給に重点を置く賃金体系が適用される流れがある。一方、養成が重要な工場労働者に対しては、年齢や勤続年数等の属人給的要素が依然、重要な意味を持っている。
 定年制は広く普及しており、大企業でほぼ100%、全事業所平均で9割以上の企業が実施している。雇用の安定や定年までの雇用の確保は、政府や組合の要請でもある。企業においても、定年に達した労働者が必ずしもすぐに退職するとは限らず、同じ企業での再雇用や定年延長も行われている。こうしてみる限り、終身雇用制がなくなる気配はない。
 ただし、非正規雇用の増加に注目すべきである。過去25年間に正規雇用の割合は減少し、非正規労働者数は2倍以上となった。特に女性労働者で非正規化の割合の増加が著しい。産業別では、サービス業で特に増加傾向がある。非正規従業員は人件費節約を目的に使われ単純労働に従事することが多いが、専門技術をもつ者が短期契約で確保されるケースも多い。製造業では、非正規従業員数に大きな増加はみられない。

■将来の展望

 以上の議論から、下記のように将来が予測される。90年代以降の不況で、多くの企業が賃金カットや解雇を含むリストラの実施、早期退職の奨励等の手段を強いられ、この傾向を年功賃金・終身雇用を含む日本型労務管理モデルの崩壊とみる向きがあるが、これらは応急的措置であり、短期的現象に止まるであろう。正規雇用の労働者に対しては終身雇用制が維持されるが、その数は減少する。事務職労働者、特に管理職を対象にした合理化が進み、新技術の導入や雇用の非正規化・外部委託化によって補われる。正規雇用の事務系幹部職員は、工場における多能工と同様の役割を担う。正規労働者減少の傾向は、人々の多様な働き方への欲求、新しい賃金・年金制度の導入、非正規労働者の雇用契約期間の上限延長等により、加速する方向が推察される。
 賃金体系は、目下新しい制度造りに向け試行錯誤の最中であるが、傾向として、平等主義的な月給では労働者の生活の安定が図られ、成果に基づくボーナスの個人差は大きくなり、労働者の動機付けとなる。また、賃金には個人の成果に加え、チームや企業全体への貢献を高める動機とする工夫が図られる。
 日本型モデルは、激しい国際競争の圧力の下、変革を迫られているが、結果がどうあれ、日本的生産モデルとそれを支える終身雇用制は存続し、進化し続ける。賃金構造が年功型から仕事給的なものになるにしてもそれは日本的であり続け、西欧型の成果ベースの賃金体系とは大きく異なったものであるはず、と結ぶ。


ILO新刊書

Documenting discrimination against migrant workers in the labour market: A comparative study of four European countries
労働市場における
移民労働者差別の記録


R. Zegers de Beiji編
英文・2000年刊・113頁・\2,000

 ILOの推計によると他国で経済活動をしている外国人労働者は世界に3,600〜4,200万人(難民や政治亡命者を除く)。家族を加えると8,000〜9,700万人が他国で生活している。ヨーロッパは世界で最も外国籍の居住者が多い地域で、その数は2,600〜3,000万人にのぼる。
 本書は、ヨーロッパの4カ国(ベルギー、ドイツ、オランダ、スペイン)の労働市場で、移民労働者がどのような差別的扱いを受けているのかをILOが調査した結果をまとめたもの。
 西欧における外国人や少数民族の労働者の失業率は、一般労働者の2〜3倍だという。とりわけ親が移民労働者として移り住んだ後、その国で生れ育った若者は深刻な状況に陥っている。
 ILO国際労働力移動部は1990年代初め、労働分野における外国人及び少数民族に対する差別問題に関するプロジェクトを立ち上げ、彼らが実際にどのような差別待遇を受け、これをなくすためにどのような対策が有効であるか提言することとした。本書はこのプロジェクトの最初の具体的成果と言える。
 本書には、まずこの問題を分析するために開発された手法の説明、ベルギー、ドイツ、オランダ、スペイン4カ国の実態調査の結果と事実の検証、4カ国の比較研究、さらに差別をなくすための具体的な政策提言が収められている。
 調査結果によると、外国籍・少数民族の労働者が求職活動をする際、3分の1の求人は最初から対象外となっている。差別をなくすためには、差別を禁止する法律の整備と訓練が最も有効かつ必要であると、本書の編者で、本書完成直前に亡くなったILO国際労働力移動専門家のRoger Zegers de Beijlは強調している。

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 外国人労働の問題に関しては、東京でも本年2月1〜2日の2日間、日本労働研究機構主催、ILO、OECD及び厚生労働省の後援による国際ワークショップ「アジアにおける人の移動と労働市場」が開催された。
 ILO本部から参加したアベラ国際労働力移動部長は、国際労働力移動と労働市場の発展における調査の動向と主要論点と題し、要旨次のような発表を行った。
 ITに代表される新しい経済活動いわゆるニュービジネスは、変化が著しいため人材育成が追いつかないという問題がある。ニュービジネスの成長段階では世界的な人材不足が生じる。そこに国家間の経済格差も加わり人材の移動が加速する。
 さらに深刻な失業問題が人の移動を促す。技能を持たない労働力が失業者となりやすいが、このような人材は他国に正規入国できない場合が多く、不正入国、人身売買などの犯罪が誘発される。
 労働力移動は様々な問題が複雑に絡むため対応が困難であるが、なかでも忘れてはならない視点としてアベラ部長が強調したのが、外国人労働者の権利・人権をいかに保障するか、という点であり、ILO第97号条約等、移民労働者関連文書の尊重の必要性を訴えた。次元の異なる問題をどのように統合して政策を策定するのか、課題は大きいが、参加者は熱心に意見交換を行い盛会であった。


◆ Women, gender and work: What is equality and how do we get there?
「女性、ジェンダー、仕事:いかにして平等に到達するか」
職場における平等の達成は、家庭生活も含めたより大きな社会での平等を抜きにしては考えられない。平等の定義、機会均等の意味、働く男女に関する統計、男女賃金格差、パートタイム労働、ガラスの天井、社会保障の問題等に関する代表的な哲学者、経済学者、法律学者の論文を集めたアンソロジー。
M. Loutfi編 2001年刊 565pp. 4,000円
◆ The public employment service in a changing labour market
「変わりゆく労働市場における公共職業安定サービス」
経済の自由化とグローバリゼーションにより、市場の力がますます強くなった今日、公共の職業安定サービスはどのように改革されるのか。職業紹介、労働市場情報の提供、労働市場調整プログラムの実施、失業給付のあり方、サービスの運営管理についての課題を検討する。
P. Thuy, E. Hansen, D. Price著
2001年 258pp. 3,000円
第89回ILO総会議題報告書
◆ Report V(1)
Promotion of cooperatives
「協同組合の振興」
21世紀における協同組合の可能性(経済活動、社会サービス、市民社会での役割)と成功の条件(公共政策、協同組合法、サポート・サービスのあり方、構造改革)などについて報告する。
2000年刊 132pp. 1,750円
Sectoral Activities Programme
◆ The employment impact of mergers and acquisitions in the banking and financial services sector
「銀行・金融サービス部門の合併・買収が雇用に与える影響」
米国、ヨーロッパを初めとして、世界的な現象となっている銀行・金融機関のM&Aが雇用と労働条件にどのような影響を与えるのか。失業、レイオフ、ダウンサイジングに伴う配置転換、報酬、労働時間、仕事の保障、M&Aに際しての社会対話のあり方等について検証する。
2001年刊 116pp. 2,000円
書籍ご注文はILO東京支局まで(пF03-5467-2701、FAX:03-5467-2700、電子メール:tokyo@ilotyo.or.jp
最終更新日:2001年7月31日 作成者:EU 責任者:MH