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ILOジャーナル2000年9月号目次

ILOジャーナル2000年9月号目次

▼ 第89回ILO総会第1次討議議題:協同組合の振興
焦点:国連とILO(世界女性会議、社会開発サミット、世界盟約)
お知らせ:母性保護の国際的基準シンポジウム(東京・2000年9月29日)
ILOの現勢(2000年7月1日現在)
ジュネーブ便り:ILOとエイズ(ILO本部人材政策・情報システム部 新美 啓子)
2000年9〜10月の主な会議日程
ILO関係者往来(2000年7〜8月)
新人紹介:野田幸裕さん、マルチバイ担当官としてバンコクへ
論文概要紹介:先進国における雇用保護(International Labour Review 2000, Vol. 1より)
新刊紹介:職業訓練制度の運営他広告

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ILOジャーナル2000年9月号

第89回ILO総会第1次討議議題
協同組合の振興

 来年のILO総会では、1966年に採択された「発展途上にある国の経済的及び社会的開発における協同組合の役割に関する勧告(第127号)」を改正する新しい勧告の採択に向けた2回討議の第1次討議が行われる。以下に討議資料の概要を紹介する。
雇用創出、労働・生活条件の向上、女性等弱者を経済の主流に引き戻すこと等、協同組合の潜在力は大きい。写真はナイジェリアの消費者協同組合
ナイジェリアの消費者協同組合写真

 近代的協同組合の誕生は、1844年の英国ロッチデール開拓者組合の設立に遡る。以来、協同組合は世界各地で広がり、現在、世界総人口の約半数、30億人の人々の生活が協同組合によって確保されていると国連は推計する。組合員数も1960年には世界全体で約2億人であったものが8億人近くに達し、さらに1億人もの非組合員が協同組合で働いている。
 一口に協同組合と言ってもその活動領域・形態は多岐にわたる。農協や消費者協同組合、信用協同組合、さらには、電気、水道、ガス、通信、輸送、福祉サービスの提供に至るまで、あらゆる経済部門と深く関わっている。
 一般的に協同組合とは、第127号勧告が定義しているように、『民主的に管理される組織体を結成することにより共通の目的を達成するために自発的に結合した者の組合であって、必要な資本を公正に拠出し、かつ、組合員が積極的に参加する事業の危険負担及び利益配分を公平に行う』組織のことを言う。

協同組合−21世紀に向けて

□取り巻く環境の変化

 ここ30年で、協同組合を取り巻く環境は劇的に変化した。社会主義の崩壊等の政治的変化、先進国の高齢化等の人口学的変化、家族構造の崩壊等の社会的変化、市場経済への移行等の経済的変化、環境問題の深刻化といった生態学的変化、急速な技術進歩とグローバル化といった技術変化は途上国、移行経済諸国、先進国で協同組合に様々な影響を与えている。このような環境の変化は、国の役割の変更も促し、国が協同組合の支援から手を引き、組合員による自治を推進する動きが見られる。

□協同組合の潜在力

 従来から、自営業や起業家を育成するなど雇用創出で協同組合が果たす役割は高く評価されていた。ILOは創設当初からその意義を認め、創立の翌年、1920年には協同組合部を設置し、この分野では技術協力活動を中心に国連機関の中で最も活発な活動を行ってきた。
 近年の経済情勢、すなわち経済のグローバル化・自由化は企業間の厳しい競争をもたらし、勝者と敗者をはっきり分け、富が一部に集中する結果となった。市場経済化と規制緩和の流れはもはや止められず、民間企業の競争は一層激しくなると予想される。このような経済情勢下、利益最優先の企業とは別次元の価値観に基づく協同組合に対する期待は一段と大きくなってきている。例えば環境問題に対する取組みは高い関心を呼んでいる。消費者協同組合が提唱する3R運動(reduce削減、reuse再利用、recycleリサイクル)は有名である。
 経済活動に対する協同組合の貢献も大きい。例えばウルグアイでは国内牛乳製造の90%を協同組合が行い、小麦輸出高の七割を生産する。保険、医療、住宅等、社会的サービスの提供を通じ、社会問題の緩和・解決にも重要な役割を演じている。高齢化が急激に進んでいる先進国では、国の福祉関連予算の大幅な増額がほとんど期待できないため、福祉サービスの分野で協同組合が果たす役割は今まで以上に大きくなるであろう。

□第127号勧告改正の必要性

ICA協同組合の原則
1.自発的で開かれた組合員制

2.組合員による民主的な管理

3.組合員の経済的参加

4.自治と独立

5.組合員に対する教育、研修及び情報の提供

6.協同組合間の協力

7.コミュニティへの関与

 このように協同組合は国の経済と社会の発展・安定に大きく貢献しているだけでなく、競争を勝ち抜いたグローバル企業では提供できない多様な事業やサービスを展開することができる(コミュニティに根ざした事業など)。さらに、途上国、移行経済諸国、先進国全てにおいて失業状態にあり、社会的保護を受けられない人々の割合が増加しており、雇用・福祉サービスの観点からも協同組合の一層の振興が望まれる。そのためには、協同組合の発展を支援する環境作りが急務であるが、協同組合を直接扱うILO基準は第127号勧告だけである。しかも、この勧告は途上国のみを対象としたもので、さらにこれが採択された1960年代の開発戦略を色濃く反映した内容となっている。
 当時、協同組合は国の開発政策の1手段とみなされ、協同組合の運営に対する政府の関与は極めて大きかった。当然ながら勧告の内容もこの傾向を反映しており、例えば初期の期間に限定してはいるが、政府職員を協同組合に派遣したり、運営に関与させることを勧める内容となっている。
 協同組合を取り巻く状況の変化に鑑み、ILOは1993年に協同組合専門家会議、1995年に協同組合法専門家会議を開催し、第127号勧告の影響を評価した。ここで出された結論を元に、1999年3月の理事会は、第127号勧告の改正を目指し、協同組合の振興を2001年の総会議題に取り上げることに決定した。
 改正提案理由の1つは、従来のような政府の関与を受けることなく協同組合が自立できる環境を整え、新しい社会経済環境における協同組合のあり方を示すことにある。さらに、国際的な原則として広く普及している、国際協同組合同盟(ICA)が1995年に改訂した協同組合の原則(右囲み)を尊重していくことも必要とされる。
 なお国連でも、協同組合を振興していくための環境作りの一環として、ガイドラインの策定が検討されている。ILOは、COPACと呼ばれる他の国際機関との協力体制のもとで、ガイドラインの草案作りに積極的に関与している。

協同組合成功のための前提条件

 第1前提条件は企業家精神と運営能力であるが、他にも次のような要素が挙げられる。

□政府の政策

 組合員に奉仕するという協同組合の本来の役割からの逸脱を招く政府の不適切な政策が組合の失敗を招いた例も多い。協同組合の成長と繁栄をもたらすような枠組みとして考えられる政策には、@協同組合の独自性と国の全体的な富に寄与できる能力を考慮に入れた公平な政策A協同組合の全体性と自己決定権等を尊重しながら協同組合の成長と拡大を刺激する政策B協同組合が公平な競争政策の適用を容認するよう奨励する政策C原則として、協同組合に他の企業と同様に課税する必要性を認識する政策などが挙げられる。

□法的枠組み

 協同組合に関する適切な法的枠組みの設計に際しては、組合員の利益第一主義、協同組合事業の自治、正統な公共の利益、当該国の政治、社会、経済の現状を考慮に入れる必要がある。
 各国の協同組合に関する法律には様々な形態があり、極端な例では、全く関連する法律がない国(中国、デンマーク、ノルウェー、米国の一部の州)、憲法に協同組合に関する特別条項が設けられている国(ガイアナ、イタリア、メキシコ、ナミビア、スペイン、タイ)もある。現在各国が用いている協同組合に関する法体系には長所も短所もあるが、一般的には、直接協同組合を対象とする適切な協同組合法を制定することが望ましい。法律でカバーすべき内容として協同組合の設立や登録などの一般的な規定の他に、次のような点も考慮する必要があるだろう。
 協同組合を統治する理事会と実際の運営を担当する事務局の責任・権限をそれぞれ適切に定める必要がある。特に大規模な協同組合の場合に顕著であるが、今日のように事業を取り巻く環境が複雑になってくると、組合員から選ばれる理事は、判断を求められても的確な対応ができない場合が多い。従って近年の傾向として、理事会の任務は専ら大まかな事業計画を承認することに限られ、実際の運営は事務局の専門職員が行う場合が多い。ただし事務局が独走しないように、民主的な制度による適切な歯止めも必要である。
 協同組合の大原則として、組合員1人1票のルールがある。また剰余金の配当は、出資額に応じて支払われるが、その利率の上限はかなり低く押さえられている。こうした原則は協同組合の概念からすると当然であるが、組合員になるために最低限必要とされる以上の出資金を払う意欲を減退させており、協同組合の資本形成を困難にしている。これを打破するために、スウェーデン等一部西欧諸国では一定の制限付きで組合員以外からの出資方法などを法律で定め、柔軟な対応をとり始めている。さらに資本を動員するために1人1票の原則を緩める動きも一部に出ているが、その是非をめぐっては専門家が反対するなど活発な論議を呼んでいる。

□協同組合の支援体制

 協同組合に対する支援は、国の発展段階によって具体的なニーズは異なるが、人材育成や会計監査、各種助成制度、ローンなどの資金調達や税制面での優遇措置、ハード・ソフト面での技術的支援(例えばコンピュータによるデータ管理、経営コンサルタントなど)、研究・開発などが挙げられる。国が提供する支援策、民間サービスの利用(資金面で問題はあるが)、協同組合の中央組織(連合会など)が提供するものなど実施機関はいろいろ考えられるが、内容はもちろんのこと、利用に伴う条件設定などについても十分な検討が必要である。


((焦点))
国連とILO

 世界銀行・国際通貨基金(IMF)との協力関係の強化、ソマビア事務局長の国連貿易開発会議(UNCTAD)総会出席・基調講演等、ILOと国連及び国連諸機関の関わりは最近ますます密になっている。最近の主な動きを幾つか紹介する。

□世界銀行

 今年2月8〜10日にワシントンで開催された世界銀行の開発発表会で、ILO/世界銀行/リヨン大学が行った共同研究「地域社会基盤の健康保険制度に対する再保険(SOCIAL RE)」が、貧困緩和に向けた革新的なアイデアに対する最も重要な賞を受け、賞金38万ドルを獲得した。地域社会を基盤とする少額保険制度は途上国で公的健康保険の未整備を補う重要な役割を担うが、規模の小ささとそれに伴う不安定さから金融危機に対する抵抗力がない。この欠陥を克服するものとして考案された少額保険再保険制度は少額保険の安定化に寄与するものと評価された。

□世界女性会議

 今年6月、1995年に開かれた2つの国連会議のその後の進展状況を吟味する国連会議が相次いで開かれた。
 第4回世界女性会議のフォローアップとして、今年6月5〜9日、ニューヨークで開かれた国連特別総会「女性2000年会議」は会期を1日延長し6月10日に、政治宣言と「北京宣言及び行動綱領を実施するための更なるイニシアチブ」からなる成果文書を採択して幕を閉じた。成果文書は、様々な進展はみられるものの、綱領に定められた公約の実行においては依然課題が残るとし、課題克服に向けて取るべき行動を列挙する。国内レベルで取るべき行動の中には、ILOの労働の基本的原則・権利宣言に含まれる原則の尊重、推進、実現、女性労働者の権利に関わるILO諸条約の批准と完全な実施も盛り込まれた。
 ILOからは会議に、ジェーン・ザン男女平等局長が事務局長特別代表として出席した。事務局長自身も「人権、社会正義、経済効率、持続的開発における重要事項として、男女平等を擁護するたびに、社会進歩のグローバル化に向け、確実に一歩ずつ進んでいくことになろう」とするメッセージを送った。
 北京行動綱領の実行を世界的に加速化するための提案として、ILOは男女平等局が作成した「女性のディーセント・ワーク(Decent Work for Women)」と題する報告書を会場で広く配布し、@女性のディーセント・ワーク、A高齢女性労働者対象活動の推進、B女性のエンパワーメントと少額融資をテーマとする3つのワークショップを開催した。また、他団体が主催するワークショップにパネリストとして参加したほか、出版物等の展示も行った。女性と男女平等機関間委員会が主催したワークショップで、ILOは女性の主流化に向けて最も体系的な努力を行い、性に配慮した予算編成を行う模範的機関として評価された。
 ILOは準備段階から会議に積極的に関与してきた。会議の主な背景資料であった「開発における女性の役割国際調査」の編纂に協力したほか、前述のように独自の報告書も複数作成した。各地の国連地域委員会が開催した女性2000年会議準備会合にはそれぞれ現地事務所が積極的に関与した。昨年10月にはマニラで、女性2000年会議に向けたILOアジア地域三者構成協議会を開催し、北京行動綱領のフォローアップにおけるILOの地域活動に関する共通合意文書を採択した。今年3月には、理事会で女性のディーセント・ワークに関する特別シンポジウムを開き、「男女は平等なパートナー」と題する討議資料に基づき、行動綱領の実行状況を見直し、今後、綱領の実行を早める方法について話し合いをもった。
 前述の「女性のディーセント・ワーク」は、女性労働者を取り巻く状況の進展と課題を概説した後、ILOの活動目標であるディーセント・ワークを男女平等の観点から達成する方法が提示される。行動綱領に関わるILOの活動も紹介される。女性労働者の状況を改善するためには、@ケア(介護・育児)経済と有償労働、Aフォーマル経済とインフォーマル経済、B雇用の質と社会的保護の3つのつながりに配慮すべきと説く。

□社会開発サミット

 6月26〜30日には、国連社会開発サミットの全体的な見直しとサミットの成果の実行評価、更なる活動とイニシアチブの検討を行う国連社会開発特別総会がジュネーブで開催され、会期を1日延長した7月1日に、貧困緩和と雇用創出のための幅広いイニシアチブを提案する最終文書を採択し、閉幕した。最終文書は@政治宣言、A社会開発サミットの成果の実行に関する全体評価、Bサミットの公約実行に向けた更なる行動の3文書から構成されるが、Aでは完全雇用に関連した成果の1つとして、ILOの労働の基本的原則・権利宣言の採択が紹介されている。Bでは貧困撲滅の公約に関連し、社会的保護の開発における技術支援の提供をILOに求め、完全雇用の公約に関連しては、ILOの活動目標であるディーセント・ワーク、2001年に予定されている世界雇用フォーラム、各種ILO条約、労働の基本的原則・権利宣言、児童労働、インフォーマル・セクター関連活動等ILOの活動が幅広く支持された。
 ILOは社会開発サミットで求められた社会開発目標の推進と実行において重要な役割を演じ、特別総会の準備過程にも積極的に関わった。フォローアップ活動の一環として、国連行政調整委員会の雇用・持続的生計特別部会の議長を務め、1998年には労働の基本的原則・権利宣言を、翌年には最悪の形態の児童労働条約を採択し、サミットのフォローアップに関する三者構成国際協議会を開催した。協議会の結論の多くが、今回採択された最終文書に盛り込まれている。さらに、特別総会事務局に職員を出向させた上、総会準備委員会の会合に出席し、委員会の求めに応じ、「雇用政策の新課題」、「国際経済におけるディーセント・ワークと貧困緩和」等の報告書を提出し、具体的なイニシアチブを活発に提案した。
 会議にはソマビア事務局長を初め、理事会の政労使3役員も出席した。初日に挨拶した事務局長は、サミットの成果はある程度政策面に組み込まれてはいるものの具体的な行動には結びついていないとし、「更なる連帯、共通目的意識の再確立」を主張した。そして、労働の基本的原則・権利宣言を社会開発サミット後の重要な1歩と位置づけ、宣言は「世界経済が必要とする社会基盤」を提供しようとの期待を表明した。
 国連総会と平行してスイス政府は、国際機関や非政府組織(NGO)によるワークショップ、展示等を通じた意見交換の機会を提供する「ジュネーブ2000−社会開発における次の1歩」と題するフォーラムを主催したが、ILOはこの組織委員会に加わり、運営に積極的に協力した。独自の企画としては、21世紀の雇用、中核的労働基準、協同組合等をテーマとする16のワークショップ、スイス政府による最悪の形態の児童労働条約批准を記念した青少年コンサートを開き、好評を博した。
 最新のフォローアップ活動として、ILOは6月28日、イタリア政府から750万ドルの任意資金協力を得て、地域・各国レベルでディーセント・ワークを推進する新計画を発進した。計画では、中米、地中海諸国、西岸・ガザ地区、バルカン諸国、アフリカの約15の途上国において、政労使の開発担当者を対象に、雇用創出、保健制度の構築、労働の基本的権利に関する訓練を提供する。

□世界盟約

 国連は人権、労働、環境の分野における体験学習と良い企業慣行の奨励・推進に向けた世界盟約(Global Compact)を提唱しているが、7月26日にニューヨークの国連本部でハイレベル会合を開催し、合同イニシアチブを発表した。昨年1月にダボスで開催された世界経済フォーラムでアナン国連事務総長が初めて提起した世界盟約とは、世界人権宣言、ILOの労働の基本的原則・権利宣言、環境と開発に関するアジェンダ21に含まれる9つの原則を企業活動の中で適用、推進していくよう実業界に呼びかけるものである。
 26日の会合には、ILOその他関連機関のトップ、ナイキ等約50社の多国籍企業に加え、国際使用者連盟(IOE)、国際自由労連(ICFTU)等国際労使団体、その他企業団体、アムネスティ・インターナショナル等NGOの代表が出席し、盟約の原則を実行に移すための具体的な行動に関する結論を採択した。ソマビア事務局長はその発言の中で、児童労働、社会対話、国際労働基準、ILO国際研修センターといったILOが協力できる分野を示し、対話のテーマ候補として結社の自由と失業問題をあげた。
 結論に示される具体的な行動には、盟約参加企業の増大、企業は@活動声明等で盟約を支持し、A年1回、進展例等を国際盟約ウェッブサイト上で公開し、B途上国プロジェクトで国連と協力することによって、原則を行動に移すこと、労働界と市民社会は盟約を浸透させる上で協力し、経営団体は具体的な活動計画を立案すること等が含まれる。


お知らせ

第13回国際労働問題シンポジウム
◆テーマ◆ 母性保護の国際的基準
−ILO母性保護条約・勧告の改定をめぐって−
◆主 催◆ 法政大学大原社会問題研究所
◆後 援◆ ILO東京支局 日本ILO協会
◆協 賛◆ 婦人労働研究会
 これまで、国際労働問題シンポジウムでは、その年のILO総会の議題の中から、重要な問題を取り上げてきました。今年は、1952年に採択された母性保護改正条約(第103号)と同勧告(第95号)が改定されました。52年の条約・勧告は、ILO条約の中では母性保護に関し、最も新しいものであることから、その改定の内容、方向が内外から注目されていました。
 そこで、このシンポジウムでは、ILO総会に出席された方々を中心に報告していただき、この改定内容について理解を深めたいと思い、企画しました。なにとぞ、宜しくご参加をお願いいたします。
◆日 時◆ 2000年9月29日(金)午後1時〜4時30分
◆会 場◆ 法政大学市ヶ谷キャンパス ボアソナード・タワー 26階 スカイホール
◆参加費◆ 無 料
◆ プ ロ グ ラ ム ◆
ILOにおける審議をめぐって 労働省女性局女性労働課長   足利 聖治
労働者の立場から 日本労働組合総連合会副事務局長  高島 順子
使用者の立場から 日本経営者団体連盟労務法制部  鈴木 重也
ILO基準と日本の母性保護制度 日本女子大学教授  木村 愛子
(司会    法政大学大原社会問題研究所教授   早川 征一郎)
◆交 通◆ [JR線]総武線:市ヶ谷駅または飯田橋駅下車徒歩10分
[地下鉄線]都営新宿線:市ヶ谷駅下車徒歩10分
       営団有楽町線:市ヶ谷駅または飯田橋駅下車徒歩10分
       営団東西線:飯田橋駅下車徒歩10分
       営団南北線:市ヶ谷駅または飯田橋駅下車徒歩10分

(注)肩書きは2000年6月現在

参加ご希望の方は、下記宛、電話、FAXまたは電子メールで、ご所属とお名前、ご連絡先をお知らせください。
法政大学大原社会問題研究所(〒194−0298 町田市相原町4342 пF042−783−2307 FAX:042−783−2311 電子メール:oharains@mt.tama.hosei.ac.jp)


ILOの現勢
(2000年7月1日現在)

加盟国数・・・・・・・・・・・・・・・・ 175
条約の数・・・・・・・・・・・・・・・・ 183
勧告の数・・・・・・・・・・・・・・・・ 191
加盟国の平均批准数・・・・・・・ ・39
OECD諸国の平均批准数・・・ ・66
日本の批准条約数・・・・・・・・・ ・44

ジュネーブ便り
ILOとエイズ

 今年7月に南アフリカで開催された国際エイズ会議は、アフリカが瀕死の状態にあることを世界に再確認させた。毎日、エイズ・エイズウイルス(HIV)で亡くなる人の数は、パリで起きたコンコルド墜落事故による死者数の50倍以上の6千人。数字はなおも急増を続けている。世間の関心は死亡者数や高額の治療費に向いているが、エイズの経済効果も同じくらいものすごい。食料生産高は急落し、医療情勢は悪化し、教育制度は崩壊しつつある。エイズはしばしば、教育水準が高く、社会的移動の可能性も高い成人人口を一掃し、技術者、農業経済学者、教師といった経済開発を左右する人々の命を無差別に奪う。
 労働人口の集中的な喪失を認識し、経済的側面で進歩を達成するのも大切であるが、予防も同じくらい重要であることを認識する必要がある。エイズが初めて根を張ったウガンダでは、成人のHIV感染率を14→8%に引き下げることに成功した。セネガルはウイルスの脅威に早期に対応し、その蔓延を防止した。
 ILOも、エイズ問題に対する早急の対処を迫られている。エイズは孤児を作り、依存率の上昇によって地域財政を圧迫し、貯蓄を困難にすることによって貯蓄額と投資の減少をもたらす。両親が畑を耕したり、収入を得ることができなくなったため、子どもが農作業をしなくてはならない状況でどうやって児童労働と戦うことができよう。保健や生存のための給付の費用が負担できない状況でどうやって社会保障制度の育成を支援することができよう。
 ILOはエイズを職員の問題としても考えている。人材政策部の一員として、私はILO内の職員政策の策定に携わってきた。人材開発局は通常、職員の採用、異動や給与の管理、人事問題の解決といった事務を扱っており、HIV・エイズ感染や差別撤廃といった問題が検討されることはない。だが、ソマビア事務局長は違い、労働の世界における差別撤廃に真剣で、すべての人々に保護と平等を確保すると決意している。そこで、人材開発局では「我々は差別せず、秘密を守り、医療費を補填する」とのポジティブなメッセージを伝える内部通達を起案することとなった。事務局の方針は、全職員がHIVに関する予防措置と治療選択肢を知り、必要であればその利用が確保されることをめざす。
 6月のILO総会で事務局長が言ったように、HIV・エイズは何百万人もの人々が日々生きているヒューマンドラマである。HIV・エイズ問題について検討することは、法改正、政府、使用者の問題としてだけでなく、私たちすべてに関係があり、この病気に対する個人個人の対応、個人としてそして組織として何をするかといった視点で捉えることなのである。「議論を歩ませる」必要がある。HIV・エイズは日本やヨーロッパに暮らす私たちには個人的に影響がないかも知れないが、その存在を無視することはできない。1つの国全体がエイズで破壊され尽くすまで自分や自分の家族に影響がないわけではなく、HIVがプラスの反応を示せばそれですむ。そのような方がILOの職員として働いていれば、あるいは働くことを希望していれば、事務局はその方が差別にあわないことを確保しよう。

ILO本部人材政策・情報システム部
新美 啓子

ILO今後の会議

 近い将来、次の会議の開催が予定されている。

▼高齢者社会保障アジア小地域セミナー(ニューデリー・9月6〜8日)−バングラデシュ、インド、ネパール、パキスタン、スリランカの政労使を対象に、@これら諸国における高齢者人口比率の急上昇及び高齢者の社会的保護上の要求事項と問題に対する認識の高まりに対応した政策開発への貢献、A弱者である高齢女性、特に未亡人及び家族の支援が得られない女性特有のニーズの把握、Bこれらの国が国際高齢者年の枠組み内で実行した活動の影響評価をめざし、インド社会保障協会職員その他社会保障専門家が講義を行う。

▼ILO/ユネスコ教員の地位勧告適用合同専門家委員会(ジュネーブ・9月11〜15日)−ILO、ユネスコがそれぞれ任命する各側6名の専門家が集まり、1966年採択のILO/ユネスコ教員の地位勧告の適用に関する報告、教員団体からの申立、両機関の活動等を吟味する定期会合。今回より、1997年に採択されたユネスコの高等教職員の地位勧告も委員会の検討対象に加わった。

▼グローバル化経済における雇用と農業の近代化を通じた持続可能な農業開発への移行に関する三者構成会議(ジュネーブ・9月18〜22日)−バングラデシュ、ベニン、ブラジル、ブルガリア、チリ、中国、コスタリカ、チェコ、デンマーク、エクアドル、エジプト、エルサルバドル、エチオピア、ガーナ、ホンジュラス、インド、イラン、ケニア、マレーシア、メキシコ、ナイジェリア、フィリピン、南アフリカ、スリランカ、ウガンダ、ベトナムの26カ国の政府代表、労使各26名が集い、21世紀の農業部門の雇用と所得に対する貢献、生産性向上の見込みに関する意見交換を行い、全国レベルで政府、労使団体が取るべき行動、ILOが取るべき行動に対する提案を含む結論、討議報告、決議採択を目指す。討議資料として事務局が作成した報告書「グローバル化経済における持続可能な農業(英文・68頁)」はグローバル化と農業、農業生産と輸出動向、農業のマクロ経済・社会問題を概説する。

▼日経連/ILO/国際使用者連盟(IOE)第5回アジア太平洋使用者団体ハイレベル会合(シンガポール・10月9〜10日)−アジア太平洋経営者サミットの通称で、日経連の協力により1988年より3年おきに開催されている定期会合。域内19カ国より各2名の使用者団体トップが出席し、人材開発、政労とのパートナーシップ構築、企業の社会的責任、域内経営者団体の連携強化といったテーマに関する意見交換を行う。

▼履物・皮革・繊維・衣料産業の労働慣行三者構成会議(ジュネーブ・10月16〜20日)−バングラデシュ、ブラジル、中国、コロンビア、チェコ、インド、インドネシア、イタリア、マレーシア、モーリシャス、メキシコ、モロッコ、ポルトガル、ルーマニア、スリランカ、タイ、チュニジア、トルコ、英国、米国の20カ国の政府代表、労使代表各20名が集い、履物・皮革・繊維・衣料産業における労働慣行に関する意見を交換し、全国レベルで政府、労使団体が取るべき行動、ILOが取るべき行動に対する提案を含む結論、討議報告、決議採択を目指す。

▼職場の児童労働監督アジア地域会合(ダッカ・10月24〜26日)−日本政府の任意資金協力を受け、@児童労働撲滅における職場監督の役割強化、A児童労働に焦点を当てた職場監督の良い慣行に関する情報交換、B児童労働監督における政労使三者パートナーの役割の強化、C児童労働形態の性別側面の討議、D特に最悪の形態の児童労働(家事労働を含む)に関連した職場監督戦略の確定、E児童労働の職場監督に他の集団を関与させる地域社会メカニズムの確定または導入に向け、バングラデシュ、カンボジア、中国、フィジー、インド、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、モンゴル、ネパール、パキスタン、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナムの16カ国の政労使代表が話し合う。


ILO関係者往来

▼ILO/日本マルチバイ「労働及び雇用政策行政の長期フェローシップ・プロジェクト」99年度事業の一環として、労働集約的な基盤構造、自営業、小規模請負業者の育成、零細企業開発を通じた雇用創出研修のため、M・ハジロー・イラン労働社会省総局長ほかバングラデシュ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、ネパール、パキスタン、パプアニューギニア、タイより各1名が来日(7月22〜29日)。労働省、中小企業庁、農林水産省、全国農業協同組合中央会、長野県坂城町、テクノハート坂城協同組合、(株)竹内製作所、日精樹脂工業(株)、高崎公共職業安定所、沢田農業協同組合を視察。

▼ILO/アジア太平洋技能開発計画(APSDEP)/日本共催訓練に関する社会対話技術会議(千葉・8月8〜11日)に、APSDEP加盟国のイラン、韓国、マレーシア、パキスタン、フィリピンより政労使代表団、シンガポールの労働者代表、リソース・パーソンとしてC・C・ノリエル前ILO労使関係上級専門家ほか日本、オーストラリア、フィリピン、スリランカより政労使代表、ILOアジア太平洋総局より堀内光子地域総局長、C・I・トーレスILO/日本マルチバイ・プログラム総合調整官兼主任技術顧問、ILO東南アジア太平洋多角的専門家チーム(MDT)よりG・バタチャリア職業訓練上級専門家が出席。

▼国連アジア太平洋統計研修所(SIAP)理事会(東京・8月29〜30日)に、ILO東アジアMDTのR・ペンバー労働統計上級専門家が出席。


の だ ゆきひろ
野 田 幸 裕さ ん
マルチバイ担当官としてバンコクへ

 8月1日より2年の予定で、労働大臣官房国際労働課の野田幸裕企画係長が、ILO/日本マルチバイ技術協力連絡調整官としてILOアジア太平洋総局(バンコク)に赴任された。野田さんは、日本国政府(労働省)の任意資金協力により実施されるILOの技術協力活動に関し、プロジェクトの策定、企画、モニタリング等において日本とILOの連絡調整業務全般を担当される。
 2000年度のILO/日本マルチバイ協力資金は約2億7千万円で、@中国における雇用創出プロジェクト、Aインドネシア、ネパールにおける女性の就業機会拡大をめざしたプロジェクト、Bアジア太平洋地域の行政官・労使団体職員を対象にした海外視察研修事業、Cアジア金融危機対応としての積極的労働市場計画と社会保障に関する研究の実施、Dアジア太平洋労働基準関係シンポジウム、Eアジア地域児童労働会議、F労働安全衛生管理システム会議の開催といった7事業が実施される。
 野田さんの一層のご活躍を祈念します。


論 文 概 要 紹 介
先進国における
雇用保護

新たな指標の必要性
 ILOの季刊誌「インターナショナル・レイバー・レビュー」誌2000年1号に欧州大学研究所(フローレンス)及びトリノ大学のG・ベルトラ他が標記の論文を寄稿している。以下はその概要である。

 雇用保護法規が厳しければ労働市場が硬直化し、市場の効率も下がる、という理論が一般的であるが、その問題を議論する前提として、保護法規の厳しさはどのように測ればよいのだろうか。もし、規制の強さを正確に測定でき、国際比較が可能になれば、先進国、特に失業や硬直した労働市場に悩む欧州諸国において、新たな雇用政策を展開する上での有用なデータとして活用できるのではないか。そういった考えから、雇用保護法規の厳格さを国別に数値として算出し、順位付けを行う手法が1980年代後半に開発された。本論文は、その指標を紹介すると同時に、十数年を経た現在において、労働環境の変化に応じた新しい手法を開発する必要性とその問題点について論じる。
 ここで述べる「雇用保護法規」とは、雇用・解雇に関する規定、特に不当解雇、経済的理由に基づく解雇、解雇手当、最低予告期間、行政による解雇の正当性の承認、労働組合・労働行政機関の代表との事前協議について定めた規定を指す。
 雇用保護法規の厳格さを測る難しさは、情報が限られている上に、手に入る情報も複雑で理解しにくいこと、さらに、雇用保護法規自体がわかりにくいことにある。例えば、解雇予告期間の長さなど、数値に表されるものは判断が容易であるが、「不当解雇」の定義付けや、法の適用・解釈の実態などは、測定しにくい。また、雇用保険制度や賃金決定制度、早期退職、年金制度などは、労働市場に影響を与え、雇用保護法規と相互に関連しあっている。さらに、有期契約労働やパートタイム労働の増加など、労働形態が複雑化するに応じ、特に雇用保護法規が厳しい国においては、正規雇用労働者に適用される手厚い保護を維持する一方で、契約労働者を対象とした低い基準を別途設定するという二重構造化が生じている。労働市場の効率に影響を与えるこのような様々な要素を、雇用保護法規の測定に反映することが必要であると同時に、この複雑さ、わかりにくさが、その作業を非常に困難なものにしている、と著者らは指摘する。
 ここに、本論文中に紹介されている指標を一部紹介しよう。は、先進諸国における雇用保護の手厚さを比較した4つの指標と、そのデータをもとに規制が緩い順に順位付けを行ったもの。は、主要産業国10カ国を対象に雇用保護法規の強さと雇用成長の変動性の度合いを順位付けし、相関図に表したもの。この他に、本論文では法の執行面からの分析も行っている。
 図1では、保護法規が強い国では雇用成長率の変動が少ないことがみてとれる。例えば、保護法規が最も厳格なイタリアは、雇用成長率の変動では第9位。しかし、より現在に近い期間では(図2)はっきりとした相関関係は見られない。このような理論上の予測と実際の結果のギャップの原因の1つは、80年代後半の情報に基づいて開発された雇用保護法規ランキングの手法が既に古く、意味をなさなくなっていることにある、と著者らは考えている。
 雇用が安定していた80年代に比べ、労働市場を取り巻く環境は大きく変化している。前述のような労働市場に影響を与える様々な要素を反映させながら、雇用保護の程度を分析、測定する指標を新しく開発することが、今後、先進諸国における雇用・労働市場対策に必要とされるであろう。

表:雇用保護法規指標による規制の強さランキング
国  名 @解雇手当及び解雇予告期間の上限(月数)
1993年
AOECD指標
1989年
B国際使用者連盟(IOE)指標
1985年
Cベルトラ(本論文著者の1人)指標
1985年
左記4指標から算出した平均順位
1985〜93年
アメリカ  0.00  0.36* 0.4*  1.0  1
ニュージーランド  0.25  0.72* 0.4*  1.3* 2
カナダ  1.25  1.65* 0.6*  2.0* 3
オーストラリア  3.00  3.26* 0.9*  3.1* 4
デンマーク  4.50  3.25  1.0   2.0  5
スイス  5.00  1.75  0.9*  3.2* 6
イギリス  6.00  2.25  0.5   4.0  7
日本  1.00  3.71* 1.0*  5.0  8
オランダ  4.00  7.25  2.5   3.0  9
フィンランド  6.00 10.50  1.0   5.5* 10
ノルウェー  6.00  9.75  1.5   5.9* 11
アイルランド 14.00  2.75  1.5   6.0* 12
スウェーデン  6.00  8.50  2.0   7.0  13
フランス  3.50  9.50  2.5   8.0  14
ドイツ  4.50 12.00  2.5   6.0  15
オーストリア 14.75  9.00  1.5   7.6* 16
ベルギー  8.50 10.50  2.5   9.0  17
ギリシア 13.25 11.00  2.5*  9.1* 18
ポルトガル 17.00 12.50  2.0   9.5* 19
スペイン 15.00 11.25  3.0  10.0* 20
イタリア 13.00 14.25  3.0  10.0  21

 *は回帰・外挿による推計値


雇用保護法規ランキングと雇用成長率の変動ランキングの関係
図1:雇用保護法規ランキングと雇用成長率の変動ランキング相関図(1969年から86年) 図2:雇用保護法規ランキングと雇用成長率の変動ランキングの相関図(1985年から97年)

ILO新刊書

Managing vocational training systems:
A handbook for senior administrators
職業訓練制度の運営

V. Gasskov著
2000年刊 英文・278頁
3,000円

 人材開発と訓練の重要性は今年の総会でも再確認されたが、より良い職業教育・訓練制度の開発に向けた各国の模索は続いている。本書は世界各地の公共職業教育・訓練制度が直面している様々な課題を取り上げ、運営面と構造面の改革を調整する最新の材料と枠組みを示す上級管理者向けの包括的なハンドブックである。
 6単元19履修単位から構成され、必要な分野だけ選んで読むことができるようになっている。オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、デンマーク、フランス、韓国、パキスタン、英国、米国10カ国の公共職業教育・訓練制度の現状が例として随所で紹介される。
 各単元の構成は以下の通り。
 @職業教育・訓練における政府の役割の管理 フランス等の例を紹介しながら職業教育・訓練の提供における政府の役割を吟味する。国内訓練政策の指針を示し、国内訓練市場を育成する方法を提案する。
 A職業教育・訓練における管理の概念 訓練制度の管理可能性、職業教育・訓練管理者の説明責任の向上、内部管理方針の開発の3単位から構成され、行政改革を経たニュージーランド等の例をもとに、政策策定者・助言者・管理者の責任分担、訓練機関における管理委託契約の役割に関わる最近の状況を検討する。職業教育・訓練制度へ業績測定を適用する方法を説明し、職員配置、計画立案、予算編成、モニタリングに関する内部管理方針を吟味する。
 B職業教育・訓練の管理と組織構造 組織・管理体制の設計、職業教育の組織構造、労働者訓練の組織構造、産業ベースの訓練機関、職業教育・訓練に対する技術支援の管理と組織の5単位から構成され、デンマーク等各地の職業教育と労働者訓練制度の組織構造及び管理体制の類型を紹介する。ブラジル等各地で最近誕生し、基準設定、訓練ニーズの分析・企画、訓練校に対する技術支援、受講生の評価にますます関わるようになってきた産業訓練機関の吟味も行う。
 C職業教育・訓練の目標設定と計画立案 職業教育・訓練の計画立案概念、労働市場が発する信号に基づく計画立案、職業教育・訓練の戦略的計画立案、分析手法の4単位から構成され、国内目標設定方法を示し、労働市場の信号を解釈し、訓練提供者が業務計画を通じてそれに応える技術等が具体的に紹介される。収益率ベースの目標設定原理と訓練計画の比較評価における追跡研究の利用を検討する。
 D職業教育・訓練の費用負担 職業教育・訓練の費用負担の概念、職業教育の費用負担、労働者訓練の費用負担、企業訓練の費用負担の4単位から構成され、費用回収メカニズム構造を提案し、職業教育・訓練における各種の費用負担制度を吟味する。業績ベースの費用負担方法と分権的制度の長所とリスクが紹介されるが、市場ベース費用回収のリスクとしては、公共職業教育・訓練機関が訓練市場の崩壊によって財政破綻に直面する危険性等が指摘される。
 E訓練提供者の指導 訓練提供者の政府管理、独立事業者としての提供者の2単位から構成され、公共職業教育・訓練提供者の生産的な事業運営を確保するため、政府が定めるべき枠組みを説明する。運営と技術的な権限を提供者に委ねる政府政策、提供者の指導と監督、資源配分とインセンティブ、職業教育・訓練提供者、地方公共団体、労使団体間の相互交流と地域計画立案の各分野に関する概要が記される。


◆ World Labour Report 2000
「世界労働報告 2000年:変わりゆく世界における所得保障と社会保護」
グローバリゼーションと貿易自由化の中で、働く人々の所得は不安定性を増している。このような環境変化の中で、医療、障害、老齢、失業、児童・扶養手当等の社会保護が、労働市場から得る所得を補完・代替する上で果たしている重要な役割について調査・分析する。
2000年刊 321pp. 4,500円
◆ Managing the Cooperative Difference
「協同組合の独自性と運営:協同組合における近代的経営の実践に関する調査」
協同組合の経営7原則−多元性、相互性、自律性、分配における正義、自然派の正義、人間中心主義、労働の多様な役割−を中心に、経営戦略の刷新、競争力の強化、新しいイメージ作りを考える。品質管理に支えられたサービス協同組合のあり方、存在価値を高める新しい経営の展開を提唱する。
P. Davis著
1999年初版刊 134pp. 2,500円
◆ Social Security Pensions: Development and reform
「社会保障年金:発展と改革」
世界各国の社会保障年金制度の実用性と構造を包括的に検証・分析する画期的な書籍。公的・私的年金のミックス、各種給付(老齢、雇用、障害、遺族)、運用と財政、非加入者の問題、年代間・年代内所得再配分、改革の方向性等を広範に論述する。
C. Gillion, J. Turner, C. Bailey, D. Latulippe共編
2000年刊 769pp. 12,000円
◆ Current international recommendations on labour statistics: 2000
「労働統計に関する現行の国際勧告」
労働統計に関するILO第160号条約、第170号勧告(ともに1985年採択)、国際労働統計家会議において1993年、1998年に採択された決議をはじめ多数の労働統計に関する現行の国際勧告(雇用上の地位、不完全就業の測定、雇用関連所得の測定、インフォーマル・セクター、労働災害、労働争議等)を収録。
2000年刊 89pp. 2,000円
ILO産業別会議報告書
◆ Sustainable agriculture in a globalized economy
「グローバル化経済における持続可能な農業」
経済がグローバル化する中にあって、いかに農業が近代化を図り、経済成長のエンジンとして世界の人口に食糧を供給し、雇用を生み出していくのかを検討する。
2000年刊 68pp. 1,500円
書籍ご注文はILO東京支局まで(пF03-5467-2701、FAX:03-5467-2700、電子メール:tokyo@ilotyo.or.jp


最終更新日:2000年11月27日 作成者:EU 責任者:NH