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ILOジャーナル2000年3・4月号目次
▼ 第88回ILO総会(ジュネーブ・2000年5月30日〜6月15日)
▼ 2000年度のILO/日本マルチバイ(日本政府のILOに対する任意資金協力)・プログラム
▼ 第277回ILO理事会(ジュネーブ・2000年3月16〜31日)
▼ キリバス新加盟:加盟国総数175に
▼ 第88回ILO総会報告書:条約・勧告適用専門家委員会報告書
▼ ILOの現勢(2000年1月1日現在)
▼ 海外見聞録:女性雇用機会拡大プロジェクト−進展しつつあるインドネシア−(ILO東京支局次長 浦尾 武昭)
▼ 2000年5月の会議日程
▼ ILO関係者往来(2000年2〜3月)
▼ 新アソシエート・エクスパート紹介:木内恵里子さん、本部男女平等局へ
▼ 論文概要紹介:無償労働に関する終わりなき論争(International
Labour Review 1999, Vol.3より)
▼ 新刊紹介:国境なき労働者&欧州の雇用復興他広告
▼ ILO図書邦訳版刊行案内:貧困と飢饉&ディーセント・ワーク
ILOジャーナル2000年3・4月号
第88回ILO総会
母性保護改正条約・勧告採択予定
基本宣言フォローアップ・レポート初審議
5条約の撤回・ミャンマー強制労働も検討
| 今年のILO総会はきたる5月30日(火)から6月15日(木)までジュネーブのパレ・デ・ナシオンとILO本部で開かれる。以下に議題のあらましを紹介する。 |
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以上の8本の議題に加え、イスラエル占領地の労働者の状況に関する事務局長報告の特別討議も行われる。また、技術議題(第4〜8議題)に関わりのない決議の提出も認められる。
理事会議長の報告は昨年の総会以後1年間における理事会の業務報告である。事務局長報告は、前予算年度の活動報告と社会政策関連のものが交互に出される。本年は前者で、1998/99年度のILOの活動報告が提出される。
◇第1議題A 労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言のフォローアップであるグローバル・レポート
1998年のILO総会で採択された労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言はフォローアップ活動の1つとして、宣言に含まれる基本的原則及び権利の4つの分野に関し、1つずつ順番に毎年、全体像を示す総合的な報告を作成するようILO事務局長に求める。今年提出される初のグローバル・レポートは、「結社の自由と団体交渉権の効果的な承認」を扱う。報告書は、関連する基本条約(第87号と第98号)の批准国、未批准国双方における状況を記すことによって、これに関連してILOが提供した支援の効果を評価し、総会後の理事会で向こう4年間の技術協力上の優先事項と活動計画を決定する基礎となる。
ILOの予算は2暦年制であり、今年は予算審議年でないため、理事会が総会の注意を喚起する必要があると決定した予算及び事業計画関連事項が検討される。国際機構条約法条約の正式な承認文書の寄託についても検討される。
ILOの加盟国政府は、ILO憲章第19条及び第22条の規定により、ILO総会が採択した条約・勧告を権限ある機関(日本の場合は国会)に提出するために取った措置、批准した条約についてはその規定を実施するために取った措置、未批准の条約及び勧告については、そこで取り扱われている事項に関する国内の法律及び慣行の現況をILO事務局長に報告する義務を負う。さらに、第23条には各国が提出した資料及び報告の概要を事務局長が総会に提出することが定められている。
以上の憲章上の規定に従い、政府が提出した資料及び報告、並びに条約・勧告適用専門家委員会の報告が総会で審議される。第19条に基づき、本総会に提出される未批准条約及び勧告に関する総合調査報告の対象は1976年採択の三者協議(国際労働基準)条約(第144号)及び同勧告(第152号)となっている。
◇第4議題 1952年採択の母性保護改正条約(第103号)及び同勧告( 第95号)の改正(第2次討議)
昨年の第87回総会における第1次討議の結果、6月15日に採択された決議により、第103号条約及び第95号勧告を改正する条約と勧告の採択をめざして今年の総会で第2次討議が行われる。
提案される条約案は、適用を除外する労働者または企業の種類に関する裁量権を批准国に与えるものの、雇用される全ての女性を適用対象とし、出産休暇、疾病または併発症の場合の休暇、金銭・医療給付、雇用保護と差別禁止、哺育、給付水準・休暇期間の定期的な見直し、条約の実施方法について定める。柔軟で批准しやすい条約の制定という目的に沿い、強制休暇の期間、産前産後の休暇配分、給付提供方法等、批准国の決定に委ねる部分も多いが、かつては勧告に規定されていた併発症及びその危険に基づく休暇延長規定の導入、哺育のための業務中断期間を労働時間とみなすこと、出産休暇中のみならず、妊娠中及び国内法規に規定された復帰後の一定期間も解雇保護期間に加えること等、保護を強めたものとなっている。
条約を補足する勧告案は、出産休暇(推奨期間最低16週間、多胎妊娠の場合の休暇延長等)、給付(出産休暇中の賃金全額支給等)、給付の財源、雇用保護と差別禁止、妊娠中または哺育中の女性の健康保護、哺育、母親の死亡・入院等の場合の父親の育児休業といった項目を盛り込み、高水準の母性保護措置を提案する。
1975年に採択された人的資源開発勧告(第150号)は、その後の経済発展、社会開発で時代遅れになったと一般に認識されている。第150号勧告には、訓練における需要や労働市場的な観点がほとんど盛り込まれていない。人的資源開発における政府以外の「利害関係者」の役割と責任にもほとんど触れておらず、現在、加盟国が進めている訓練政策と訓練制度における見直しの中心的事項の多くに関し、何の指針も示していない。今回の一般討議は、この分野における将来的な基準設定活動の可能性を導くものと期待される。
途上国、先進国を問わず、農業は鉱業と建設業に続く危険な産業と考えられているが、労災死亡率は最も高い。農業労働者を保護する基準としては1958年採択の農園条約(第110号)があり、1981年採択の労働安全衛生条約(第155号)も農業を一般的な対象としているものの、農業における安全衛生の問題を扱う包括的な国際基準はない。そこで、この分野における新しい基準設定に向け、2回討議手続きのもと、話し合いが開始される。
1997年の総会で採択された総会議事規則第45条の2に基づき、総会は発効していない廃れた条約を撤回できるようになった。これに基づき、今回初めて、発効しておらず、目的を既に喪失し、ILOの目標達成にもはや有益な貢献ができないと考えられる標記5条約の撤回が検討される。
強制労働条約(第29号)違反が問題となっているミャンマーに関しては、ILO憲章第26条に基づく審査委員会が設置され、1998年に一連の勧告が出された。今年3月の理事会は、憲章第33条に基づき、この勧告の履行を確保するために適宜とみなす措置を総会に提案することとした。
条約・勧告案を含み、総会議題資料はすべてILOのホームページ上で公開されている。
ILO/日本
2000年度マルチ・バイ約3億円
労働安全衛生管理システム会議等
日本国政府(労働省)は1974年度よりILOに技術協力プロジェクトを委託し、そのための資金協力を行っている。2000年度は、次の7事業に対し、総額2億7,340万3千円(対前年度予算比2.8%増)を拠出する。
このほかに、ILOの地域計画であるアジア太平洋技能開発計画(APSDEP)に対しても、最大2,142万円が拠出される。
第277回ILO理事会
(ジュネーブ・3月16〜31日)
ミャンマーの強制労働問題総会の議題に
国連女性会議に向けたILO女性シンポ開催
去る3月に開かれた第277回理事会の主な決定事項は次の通り。
▼ミャンマー 強制労働条約(第29号)違反が問題となっているミャンマーに対し、理事会はILO創立以来初めて、審査委員会の勧告の履行を確保するための措置を理事会は総会に勧告できると規定するILO憲章第33条を発動し、今年の総会でこの問題を取り上げることを決定した。理事会は総会に対し、ミャンマーが1998年に出された審査委員会の勧告を履行することを確保するために適当と考える行動をとるよう勧告した。総会での話し合いは、加盟国に対し、ミャンマーとの関係を見直し、その関係がミャンマー国民の強制労働を持続または拡大させるようなものとならないよう適切な措置を講じることを求めるものとなる可能性がある。
理事会に提出された事務局長報告は、新たな証拠を吟味した上で、ミャンマー政府が審査委員会の勧告に従うものとして示す、昨年五月に出された政府命令は、強制労働を排除するものではなく、実際にも広範囲にわたる強制労働が依然見られると結論づけた。
▼ILO宣言に基づく初の年次報告 1998年に採択された労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言の初のフォローアップ文書である基本条約未批准国の年次報告が提出され、全員が出席できる理事会委員会の場で検討された。宣言に基づく義務履行を支援する技術協力の必要性等が指摘された。
▼女性シンポジウム 今年6月に開かれる、第4回世界女性会議をフォローアップする国連女性会議に対する理事会の強い支援を表すものとして、女性の人間的な仕事に関する特別シンポジウムが理事会会期中に開催された。シンポジウムでは、提出された資料「男女は平等なパートナー」をもとに、男女平等を依然阻む障害を指摘し、第4回世界女性会議以降のILOのイニシアチブの拡大につながるような、将来に向けた活動やイニシアチブの開発をめざした話し合いが行われた。職場における男女差別撤廃の課題が強調され、6月の国連女性会議へのILOの参加に向けた基礎固めが行われた。
▼グローバル化作業部会 理事会の貿易自由化の社会的側面作業部会の活動の見直しが行われ、作業部会の任務の拡大と改称が決定された。全理事がメンバーであるこの作業部会の新名称はグローバル化の社会的側面作業部会。また、他の国際機関との協力を強め、連絡を密にすることも定められた。
▼技術協力 危機的状況にある地域に対するILOの支援活動の一環として、東ティモールの復興、雇用、技能訓練に関する総合技術協力計画案(期間3年、総額約2,270万ドル)が提出され、具体案の審議が行われた。また、イスラエル占領地(ガザ、西岸)の小企業及び零細企業の雇用及び所得創出力の強化を目的とした、19本のプロジェクトからなる技術協力計画(期間3年、総額2,000万ドル)が提案され、理事会全員の賛同を得た。
▼結社の自由委員会 結社の自由委員会は、オーストラリア、バングラデシュ、ブルガリア、カナダ、キューバ、韓国、ジンバブエの案件に関し、中間結論に達した。
去る2月3日、ILO憲章の義務の正式な受諾を伝える文書が事務局長のもとに到着したことによって、国連加盟国であるキリバス共和国は同日をもってILOの第175番目の加盟国となった。
第88回ILO総会
(ジュネーブ・5月30日〜6月15日)
条約勧告適用専門家委員会報告書
三者協議(国際労働基準)条約・勧告
□一般報告と個別意見
毎年、ILO憲章の規定に基づき加盟国が提出した報告書を審査した条約勧告適用専門家委員会の報告書が総会に提出される。第1部は一般報告であり、第2部は加盟国の批准条約適用状況に関する委員会の意見から構成される。
今年の第2部では、団結権・団体交渉権条約(第98号)、同一報酬条約(第100号)、家族的責任を有する労働者条約(第156号)、職業リハビリテーション及び雇用(障害者)条約(第159号)に、日本に関する意見が見られる。第98号条約に関しては、@国の行政に関与しない公務員の交渉権の促進、A国立医療機関及びB国営企業における交渉除外事項が取り上げられ、政府に対し、@については、自主的交渉のための手続きの完全な発達と利用を奨励、推進する措置の考慮、Aについては、雇用条件の自主的交渉を奨励する措置の考慮、Bについては、交渉可能な事項に関する明確なガイドラインの作成を求める。
国立病院・療養所における正規職員と賃金職員の賃金格差についての報告が全医労より寄せられた第100号条約に関しては、共に女性の割合が高い正規職員と賃金職員の賃金格差を男女賃金格差とするには根拠薄弱としながらも、女性が多数を占める部門における臨時女性職員の広範な利用は間接的な男女賃金格差の拡大に結びつくとし、厚生省に対し、同一価値労働同一報酬の確保という第100号条約上の義務に鑑み、人事上のニーズと雇用慣行の調整を求めると同時に、政府に対し、この点に関する進展状況、契約職員を利用する他の部門に関する情報、コース別人事制度の機能、男女雇用機会均等法の実施促進措置等に関する情報提供を求める。
連合から、家族的責任を有する労働者の解雇についての報告が寄せられた第156号条約、職業リハビリテーションの恩恵を受ける障害者数が不十分である等の報告が寄せられた第159号条約については、それぞれ調査中との政府回答に鑑み、委員会の次回会合で当該案件を取り上げることとされる。
□総合調査
第3部は、1976年採択の国際労働基準の実施を促進するための三者協議に関する条約(第144号)及び同勧告(第152号)に関する条約未批准国を含む全加盟国から得た報告に基づいて行われた委員会の総合調査報告である。1982年に続く2回目の調査であるが、今回は、1996年のILO総会で経済社会政策の全国レベル三者協議の一般討議の結論として、第144号条約、第152号勧告、協議(産業的及び全国的規模)勧告(第113号)の批准及び効果的な適用を奨励するため、ILOはあらゆる適切な手段を用いるべきとされたことに基づく。
第144号条約と第152号勧告は、ILOの根本原則であり、適正な機能のための前提条件である三者構成原則の国家レベルでの適用を推進するため採択された。
条約は結社の自由の権利を有する最も「代表的な労使団体」が存在する場合には、「その団体が自由に選んだ」、「平等の立場で代表される」労使の代表と政府が条約の定める事項に関し、「効果的な協議」を行うことを求める。「代表的な労使団体」は、ILO憲章に規定される最も代表的な団体を意味するが、これは複数存在しても良い。条約はまた、公的使用者やその他の団体、非政府機関の参加を排除していないと解釈される。「自由な選択」に基づく具体的な任命方法は明記されていないが、政府が任命する場合には、当該団体の提案・指名が尊重されるべきとされる。「平等な立場で協議に代表されるべき」との原則は数字上の平等ではなく、労使の見解のウエートが平等になることを意図するものである。「効果的な協議」とは、権限ある当局が最終的な決定を下す前に、決定を行うことを支援するよう実行される協議をさし、単なる情報の伝達や共同決定、交渉とは異なる。最終決定を下すのは、政府または立法府であり、協議に参加した労使団体がその決定に拘束されることはない。
条約は、@ILO総会の議題に関する質問書に対する政府の回答及び総会で審議される案文に対する政府のコメント、A条約・勧告の提出に関連し、権限当局に対して行う提案、B未批准条約と勧告の再検討、C批准条約の適用状況に関する報告、D条約の廃棄提案のそれぞれに関し、政府、使用者、労働者の代表による効果的な協議を確保する手続きの運用を求める。勧告は、これに加え、@条約及び勧告に実効性を与える立法その他の措置の準備と実行、A憲章第19条に基づく、未批准条約と勧告の実施に関する報告に関する協議を行うよう示す。更に、代表的団体と協議の上、@ILOが参加する技術協力活動の準備、実行、評価、A総会その他のILOの会議で採択された決議その他の結論に関して取るべき活動、BILOの活動に関する理解の促進等の他の事項にも協議手続きを拡張するかどうかを決定すべきとする。
条約は、協議のための手続きの性質と形態は労使団体との協議の上、国内慣行に基づき決定されるとするが、勧告は例として、@ILOの活動に関する問題のために特に設置された委員会、A経済、社会、労働分野において一般的な権限を有する機関、B特別の責任を有する複数の機関、C関係者の合意がある場合の文書による伝達を挙げる。日本の慣行は、@に相当する。
条約及び勧告には協議回数、権限ある機関の事務的援助責任、手続き参加者の訓練、年次報告の公表、他の機関の活動と手続きの調整といった協議手続きの実際の機能に関する規定が含まれる。
優先批准促進条約の1つである第144号条約の批准国数は昨年末現在、93カ国(日本は未批准)。
未批准の理由としては、批准を阻む国内法制または慣行の存在(サウジアラビア等)、代表的な団体の指名の困難(カンボジア等)、さらに協議参加者への訓練に対する費用負担(チュニジア等)、手続きに対する事務的援助(アラブ連邦)など、条約の特定の規定の適用困難があげられる。日本は条約がまだ部分的にしか実施されておらず、批准を検討するにはさらなる研究が必要とする。
(2000年1月1日現在。加盟国数は2月3日現在)
| 加盟国数・・・・・・・・・・・・・・・・ | 175 |
| 条約の数・・・・・・・・・・・・・・・・ | 182 |
| 勧告の数・・・・・・・・・・・・・・・・ | 190 |
| 加盟国の平均批准数・・・・・・・ | ・38 |
| OECD諸国の平均批准数・・・ | ・65 |
| 日本の批准条約数・・・・・・・・・ | ・43 |
| 海 外 見 聞 録 |
進展しつつあるインドネシア
インドネシアでは、ネパール(ILOジャーナル1999年1・2月号掲載)と同様、日本政府のILOへの任意拠出で実施されるILO/日本マルチバイ・プロジェクトとして、女性雇用機会拡大(EEOW)を主要課題としてプロジェクトを実施中である。
ILO東京支局次長
浦尾武昭 |
近い将来、次の会議の開催が予定されている。
▼輸送機器製造のグローバル化が社会と労働に与える影響に関する三者構成会議(ジュネーブ・5月8〜12日)−オーストリア、ブラジル、カナダ、チリ、中国、フランス、インド、日本、韓国、マレーシア、メキシコ、ノルウェー、ルーマニア、ロシア、南アフリカ、スペイン、スイス、米国の18カ国の政府代表、労使代表各18名が集い、@事務局の作成した討議資料をもとに、輸送機器製造業のグローバル化が社会と労働に与える影響(雇用、労働条件、労使関係に対する影響を含む)に関する意見を交換し、AILO及び国内における政府と労使団体の活動提案を含む結論、討議報告書、決議の採択をめざす。
▼若者の雇用促進における使用者と使用者団体の役割に関する南アジア小地域シンポジウム(バンガロール・5月9〜11日)−バングラデシュ、インド、パキスタン、ネパール、スリランカの使用者が出席し、@若者の雇用に向けたイニシアチブに貢献する使用者団体の能力を開発し、A若者の雇用に関する使用者団体向けマニュアル案を検討し、B1998年のILO総会で採択された若者の雇用に関する決議を実施するための話し合いを行う。デンマーク国際開発庁の任意資金拠出事業。
▼保護を要する状態にある労働者に関する専門家会議(ジュネーブ・5月15〜19日)−@1998年のILO総会で行われた契約労働に関する話し合いの過程で明らかになった(a)保護を要する労働者の種類、(b)そのような労働者を保護する適切な方法及び個々の多様な状況に対応した保護方法考案の可能性、(c)既存法制度や言語上の違いに留意した上でそのような労働者を定義する方法といった問題点を検討し、A総会による勧告に補足された条約の採択の可能性を含み、このような労働者を保護するための将来の活動に関し、ILOに提言を行い、B総会の審議を完結させるために取るべきその他の措置に関し、ILOに意見を提供するため、アルゼンチン、カメルーン、カナダ、チリ、フランス、ドイツ、インド、日本、オランダ、フィリピン、南アフリカ、スウェーデンの12カ国の政府側専門家及び労使専門家各12名が出席する。
▼ILO理事会の結社の自由委員会(ジュネーブ・5月25〜26日)
▼第88回ILO総会(ジュネーブ・5月30日〜6月15日)
▼ILO漁業安全衛生三者構成会議(ジュネーブ・99年12月13〜17日)に使用者側代表として大日本水産会の美斉津利幸漁政部海務課長、全日本海員組合より労働者側代表として小堀廣行水産局長、同顧問として近英男国際部副部長補、高橋健水産部専任事務職員が出席。
▼ILO報道・娯楽産業の雇用、労働条件、労使関係に対する情報技術の影響シンポジウム(ジュネーブ・00年2月28日〜3月3日)に、使用者側代表としてよみうりテレビ労政部の小島康裕氏、労働者側代表として柴田吉彦民放労連委員長が出席。
▼ILO/アジア太平洋技能開発計画(APSDEP)/ILO国際研修センター/日本共催職場における技能認定と技能訓練地域会議(千葉・3月7〜10日)に、APSDEP加盟国の中国、インド、インドネシア、韓国、フィリピン、スリランカ、タイより政府代表、インド、日本、フィリピン、シンガポール、スリランカより使用者代表、オーストラリア、韓国、マレーシア、パキスタンより労働者代表、ILO技能開発局よりT・リョーダン上級訓練政策専門家、ILO国際研修センターよりH−A・ケイル雇用・技能訓練計画上級計画担当官、ILO東アジア多角的専門家チームよりK・シム技術教育・職業訓練専門家、APSDEP事務局より野口真希APSDEP担当官が出席。
▼ILOアジア地域ハイレベル児童労働会議(ジャカルタ・3月8〜10日)に労働大臣官房国際労働課の前村充氏、日経連国際部の中田八千穂氏、連合国際政策局の鈴木るり氏が出席。
▼ILO/APSDEP/ILO国際研修センター/日本共催訓練機関の人材管理ワークショップ(千葉・3月21〜24日)に、APSDEP加盟国のフィジー、インドネシア、キリバス、パプアニューギニア、フィリピン、ソロモン諸島、タイ、西サモアより各1名、ILOアジア太平洋総局よりC・I・トレスILO/日本マルチバイプログラム総合調整官兼主任技術顧問、ILO国際研修センターよりA・ゴーハム・アジア太平洋地域部長、ILO東南アジア太平洋多角的専門家チームよりG・バタチャリヤ職業訓練上級専門家が出席。
▼日本労働研究機構とILOの共同事業である労働問題研究機関ネットワーク・プロジェクトの協議会(バンコク・3月27日)に、日本労働研究機構研究調整部より菅原英夫部長と坂下英也研究交流課長が出席。
| きうち え り こ 木内 恵里子さ ん アソシエート・エクスパートとして本部男女平等局へ |
今年3月から当面1年の予定で、外資系コンサルティング会社調査部門でリサーチャーを務めていた木内恵里子さんが、女性労働者問題のアソシエート・エクスパートとしてジュネーブのILO本部に赴任された。
木内さんは本部男女平等局に所属し、事務局内の各総局、事業計画と連絡を密に保ちながら、ILO内部における女性の主流化(ジェンダー・メインストリーミング)と男女平等問題に関し、@事務局内部の情報収集、A発表文書等の作成、照会対応、B情報の収集、編纂、インターネット等を通じた事務局内外への提供、Cパンフレット等情報提供プログラムの立案等、幅広い活動を担当される。
男女平等局は、ILO内における男女平等推進に向けた事務局長の決意を実行するため、昨年新設された。事務局長に直属し、ILO内部におけるジェンダー・メインストリーミングの実行、男女平等に関する情報基盤の改善、男女平等に対するILOの貢献に関する理解促進といった活動を行う。
木内さんの一層のご活躍を祈念します。
| 論 文 概 要 紹 介 | |
| 無償労働に関する 終わりなき論争 |
ILOの季刊誌「インターナショナル・レイバー・レビュー」誌99年3号及び4号は「女性、ジェンダー、労働」特集号である。3号に、コーネル大学のL・ベネリア都市・地域計画及び女性学教授が標記の論文を寄稿している。以下はその概要である。 |
はじめに
無償労働は、労働力、国民総生産(GNP)、国民所得の統計において、過小評価されている。その理由は「労働」が理論上、そして統計概念上、市場に関連する有償の経済活動として定義されていることに根差している。本論文は女性が担うことが多いこれらの活動を評価する過去20年間の試みについて概観している。
無償労働の評価
無償労働は次の4部門で多く見受けられる。評価が進まない理由には、分類とデータ収集の改善、労働の概念の再定義と評価方法の問題が関係している。
▼自給生産部門 1982年のILO第13回国際労働統計家会議が、市場を介さない財・サービスの供給についても経済活動に含めるとの立場をとったため、自給生産活動に携わる人々も統計に含める理論的な根拠が築かれた。しかし、実際には活動区分の難しさ等の理由から、自給生産活動に携わる人々の統計的な把握はあまり進んでいない。
▼インフォーマル・セクター 伝統的な労働の概念には該当するが、むしろ体系的で信頼できるデータ収集法が確立されていないことが問題である。国連は女性のインフォーマル・セクター労働を測定するための概念・方法的な指針の策定を試みている。
▼家事労働 伝統的な労働の概念に該当しないために、従来全くといってよいほど注目されてこなかった。家事労働を生産活動であるとする論者でさえ、測定にはあまり積極的ではなかった。
▼ボランティア活動 活動は専門性の高いものも含み、広範囲にわたるが、市場に結びつかないことから測定について概念・方法上の問題がある。活動への参加については、ジェンダー、収入等複数の要因が関係する。
過去20年間の進展
家事労働についてはどの程度計算されるべきか、議論は分かれるが、実際的な面ではここ20年ほどで次のような進展が見られた。
▼概念面 1985年の第1回世界女性会議を受けて、国連女性の向上のための国際訓練研修所(INSTRAW)と、国連事務局統計局は、女性労働に関する国民会計と統計情報を見直し、補足的な「付随会計」の計算を勧告した。その目的は、投入時間または生産された財・サービスに貨幣価値を帰属させることで、家庭内生産を測定し、福祉への貢献度の指標を提供することである。多くの仕事のどれを測定対象とするかについては、リードによる第三者基準、つまり家庭内生産を、第三者に賃金を支払うことによって代替されうる活動とする基準が、一般的に受け入れられている。市場に直結しないが、社会的再生産や労働力の維持に貢献する労働を経済活動に含める、という点で前進した。
▼理論面 経済分析は、新古典主義が男女の性別分業と有給雇用への参加、マルクス主義が家事労働論議において労働力の維持と再生産における家事労働の重要性を強調するなど、家庭内生産に注目してきた。これらの議論は、家事労働の経済的重要性への認識を高めた。
無償労働と市場労働の比較は、動機、生産性や労働が行われる条件、アウトプットの質の格差など、問題は多いが、測定することには次のような意義がある。@社会的な認知、A無償労働の福祉と労働力再生産への貢献を指標化し、GNP、労働力統計を改訂する、B世帯と社会における労働分担の分析、C有給・無償労働、余暇への時間利用情報の収集、Dジェンダーに中立な資源配分を行うために必要、E訴訟・離婚等の金銭的補償の計算根拠となる、F時間利用指標を有給・無償労働のシェアの時間的変化の動向分析に使えること、Gより効果的な政策・行動策定に役立つこと。
▼評価方法面 方法論においては、主に家事労働について無償労働のGNPへの貢献を測定できるようにデータ収集方法が改訂されたこと、また無償労働の価値を測定する方法が得られた点で、大きな進展があった。後者については、投入された労働時間に価値を帰属させる方法(インプット法)と世帯で生産された財・サービスに市場価値を帰属させる方法(アウトプット法)がある。前者については、@代替費用法ジェネラリスト・アプローチ、A代替費用法スペシャリスト・アプローチ、B機会費用法の3つの方法が開発されている。
インプット法とアウトプット法の比較では、その有用性は目的によって異なる。福祉に注目するのならば前者が、費やす時間に注目するならば後者が適している。
結 論
何が価値あるものであり、何が社会にとって価値あることだろうか。それは言いかえれば人間の福祉をどのように測定・評価し、それに貢献する人々にいかにして光を当てるか、という問題でもある。
現在のGNP統計はたとえ健康や環境を脅かす方法による生産であっても統計に含めるが、他方において、人間の福祉の維持と向上に貢献する労働と生産の測定については、根強い抵抗が存在する。無償労働を測定するためには「知識の変換」が必要であり、伝統的なパラダイムの境界を超えて「労働」を有給労働と市場に結びつける既成概念を問い直すことが必要である。
労働時間と賃金は数量的に計測できる労働条件の基本的な要素である。賃金の単位は国によって異なるが、時間の計測単位は世界共通であるため、世界の労働運動は一致して1日8時間労働を要求し、第1号を含め数々のILO条約が労働時間を扱っている。
| Workers without Frontiers: The Impact of Globalization on International Migration 国境なき労働者: グローバリゼーションが 国際労働移動に及ぼす影響 P. Stalker著 2000年刊 英文・163頁 3,000円 |
本書は、1994年に出版され、世界の主要大学で必読テキストに選ばれた「世界の労働力移動」の著者、ピーター・ストーカーによる待望の新刊である。本書の中で筆者は、現在世界に1億2千万人いるとも言われる外国人労働者、すなわち国際労働力移動の問題を、経済のグローバル化という切り口から捉え、人々の移動はモノと資本の動きにどのような影響を受けているのか、また社会や経済の変化といかに密接に結びついているのかを検証している。
国際労働力移動に関与する国の数はますます増大してきているが、21世紀には、労働力はさらに大規模に移動すると予測されている。それは、入国管理の自由化によるのではなく、高まる労働力の供給圧力、経済のグローバル化がもたらした貧富の格差の拡大、情報・通信技術革命によるところが大きい。
例えば1995年から2025年までの間で、低所得国の労働力人口は14億人から22億人まで増えると予測されているが、これだけの規模の労働力を吸収できるだけの経済発展は、現状では期待できない。一方で、国家間の経済格差は広がり続けており、生活水準の差が労働力移動をもたらしている(GDPで比較してみると、米国とメキシコで6対1、ドイツとポーランドで11対1もの開きがある)。また、国際競争が厳しい産業ほど賃金の安い外国人労働者を雇う傾向にある。米国の場合、メキシコから入ってくる労働者の大半は、輸入品が広く浸透している農業や衣料産業に従事している。米国労働局の推計によれば、穀物生産に従事する全労働者の73%までが外国籍である。
他方、無制限に労働者を受け入れる国がなくなり、結果として正規の手続きを取らないまま労働者として入国し、社会的な保護を受けられない人々が増大している。外国で働きたい人々を対象とした斡旋業が新しいビジネスとして急成長しており、その影響が懸念されている。
11章からなる本書は、国際労働力移動の問題を、総論から始まって各論へ、より深く分析していく形でまとめられている。各章の最後には短いまとめもあり、前書同様大学のテキストに好適である。
| Employment revival in Europe: Labour market success in Austria, Denmark, Ireland and the Netherlands ヨーロッパの雇用復興: オーストリア、デンマーク、 アイルランド、オランダにおける労働市場の成功 2000年刊 英文・140頁 2,500円 |
本書は、最近政労使間の対話により労働形態の多様化・柔軟化が進み、好調な経済成長と低失業率がもたらされたというオランダを始め、オーストリア、デンマーク、アイルランドの4カ国の労働市場について、ILOが豊富な資料を駆使して行った比較分析である。制度や社会要因が「硬直化」していると批判されてきたヨーロッパの福祉国家が、いかにして今日の成果を築き上げたのかが述べられている。
5章からなる本書は、序章に続く2章で各種雇用統計(雇用、失業、非労働力率)を基に4カ国の労働市場を比較評価し、3章で、好調な雇用状況をもたらした理由を、マクロ経済政策、社会対話と労使関係、労働市場政策の観点から分析する。そして4、5章で、4カ国の成功の要因に基づいて、他国で応用可能な政策提言が行われている。
4カ国の成功は、複数の政策を効果的に組み合わせることで実現した。マクロ経済政策では、通貨政策、経済通貨統合に向けた財政政策、賃金抑制策が相互に影響し合い効果を上げている。労働市場政策では、例えばオーストリアやデンマークの場合、広い意味での所得保護が解雇抑止対策の遅れを補っており、かなりの割合の労働力調整が、企業レベルではなく社会全体で行われている。他方、オランダでは、パートタイム労働と基礎年金制度、さらに派遣労働者の活用といった政策の組み合わせが功を奏している。
政策や制度に違いはあるが、今のところ4カ国は完全雇用の実現に最も近い位置にある。課題はあるものの、効率性と公平の間でバランスをとりながら、雇用状況の改善を果たしたヨーロッパの福祉国家から、学ぶところは多い。
ILO図書邦訳版
| ◇ディーセントワーク◇ 〜働く価値のある仕事の実現をめざして〜 |
1999年第87回ILO総会に提出された事務局長報告(原題:Decent
Work)の日本語版。人権と労働、雇用と収入、社会保護と社会保障の強化、社会対話の強化を4つの戦略目標としてディーセントワークの実現をめざし、21世紀に活動を展開しようとするILOの基本姿勢を明らかにする。 [発行]ILO東京支局 2000年刊 101pp. 2,000円 |
| ◇貧困と飢饉◇ アマルティア・セン著 |
1998年ノーベル経済学賞受賞のアマルティア・セン氏の1981年の著書"POVERTY
AND FAMINES: An Essay on Entitlement and Deprivation"の邦訳版。開発経済学に新たな地平を切り開いた実証分析の成果物。原書刊行後の研究成果を簡潔にまとめた講演録も併収。 [訳]一橋大学経済研究所助教授黒崎卓・関西学院大学経済学部助教授山崎幸治 [定価]2,600円(税別) お問い合わせ・お申し込みはお近くの書店か直接出版元(岩波書店 :03-5210-4000)へ |