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ILOジャーナル2000年1・2月号目次
▼ 2000/01年度事業計画:ディーセント・ワークの確保に向けて
▼ 東南アジアのセックス産業日本語版出版記念シンポジウム(東京・99年12月7日)
▼ 第9回アフリカ地域会議(アビジャン・99年12月8〜11日)
▼ ILOの現勢(1999年10月4日現在)
▼ 無料広報資料・会議開催のお知らせ
▼ ジュネーブ便り住めば都...(ILO本部雇用戦略局 石川順子)
▼ 2000年3・4月の会議日程
▼ 2000年の主要会議日程
▼ ILO関係者往来(99年12月〜00年1月)
▼ 新職員紹介:松尾嘉之さん、本部財務局に新規採用
▼ 論文概要紹介:労働時間の動向と新たな論点(International
Labour Review 1999, Vol.2より)
▼ 新刊紹介:社会保障関連図書他広告
▼ ILO図書邦訳版刊行案内
2000/01年度事業計画
ディーセント・ワークの確保に向けて
| 昨年の総会で採択された2000/01年度のILOの予算は総額4億6,747万ドル。労働における基本的権利の推進等4つの戦略目標を軸に、21世紀に向けてディーセント・ワークの確保をめざす。戦略目標毎の事業計画の概要を以下に紹介する。 |
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昨年の総会で採択された2000/01年度のILOの予算は総額4億6,747万ドル。労働における基本的権利の推進等4つの戦略目標を軸に、21世紀に向けてディーセント・ワークの確保をめざす。戦略目標毎の事業計画の概要を以下に紹介する。
予算計画は、4つの戦略目標と16の活動目標を掲げ、政労使へのより効果的なサービスの提供をめざす。これに合わせて、事務局機構も改編され、各戦略目標に対応する4つの総局(セクター)が設けられた。この他に、事務局長直轄の部局横断的なプログラム、支援業務を提供する総局、地域活動・技術協力を担当する総局がある(機構図参照)。戦略目標の枠内で優先順位の高い重要なテーマへ活動を集約するため、計8つの国際重点計画(インフォーカス・プログラム)が新設された。
□基準・労働における基本的原則及び権利総局
戦略目標1「労働における基本的原則と権利の推進と実現」を担当するこの総局は、@条約・勧告関連活動を全般的に扱う国際労働基準局、A1998年宣言の推進とB児童労働をそれぞれ担当する2つの国際重点計画から構成される。総局の活動目標は次の3つ。@ILO加盟国が結社の自由と団体交渉、差別撤廃、強制労働及び児童労働の廃絶に関する原則と権利に実効性を与えること、A最悪の形態の児童労働を早急に撲滅し、働く子どもとその家族に代替手段を提供することを優先事項とする児童労働の漸進的な廃絶、B基準適用監視機構とILO加盟国政労使がILO基準の開発、批准、適用に関わる必要なサービスを受けられること。
1998年に採択された労働における基本的原則と権利に関するILO宣言の推進を担当する国際重点計画は、宣言の広報とそこに盛り込まれた基本的原則と権利がいかに開発、民主主義、公平を強化し、全ての男女に力をつけるかに関する理解の促進等を目標に、広報資料の作成、宣言フォローアップ報告書の分析・編纂等を行う。児童労働に関する国際重点計画は児童労働撲滅国際計画(IPEC)の活動を軸に、児童労働の廃絶に留まらず、働く子どもに対しては、労働に代わる適切な教育を、親にはまともな仕事、十分な収入及び保障を提供することによって開発の促進を図る。IPECによる加盟国支援活動に加え、児童労働に関する標準的な情報収集手段の開発等が予定されている。
□雇用総局
戦略目標2「男女が人間的な雇用と収入を確保できる機会の充実」を担当するこの総局は、@「世界雇用報告」や「主要労働市場指標」等の報告書作成等を担当する雇用戦略局、Aコソボ、東ティモールなど危機的状況にある地域を担当する復興・再建局、B若年者、障害者等の弱い人々の人材開発及び雇用機会の確保等に向けた活動を行う技能開発局、Cあらゆる企業における人間的な仕事の創出と保持をめざす雇用創出・企業開発局、D多国籍企業と社会政策に関する原則の三者宣言に関わる活動を担当する多国籍企業局、E女性の仕事の量・質改善国際計画の実行等を担当するジェンダー推進局から構成される。活動目標は次の5つ。@加盟国政労使が国内及び世界の雇用・労働市場の動勢を分析し、雇用促進と人材開発に関する効果的な政策と計画を立案、交渉する能力を高めること、A訓練と人材開発に対する政労使の投資拡大を通じ、雇用可能性を高めること、B政労使が高失業状態、特に各種の危機的 状況において、雇用促進のための特別計画を設計し、実行できる能力を高めること、C企業における質の高い雇用の創出を推進し、インフォーマル・セクターの質を高める政策及び計画が効果的に実行されること、D政労使が雇用上の男女平等を推進する政策を適用し、計画を実行する能力を高めること。
この総局が担当する国際重点計画は、@危機対応及び再建、A技能・知識・雇用可能性、B小企業開発を通じた雇用創出の3つ。@は、直接の被災者の社会的経済的再統合の円滑化を通じた迅速で効果的な危機対処能力の開発等をめざし、短期緊急援助を生産能力に対する長期投資につなぐ手助けを行う。個別事態への対処に加え、危機的状況における雇用に関するガイドライン作成等が予定されている。Aは、障害者など弱い人々に特に重点を置きながら、人材開発に対する投資の増大を通じた各種の雇用成長支援策を扱う。訓練制度や訓練機関を評価するガイドラインの開発等が予定されている。Bは、小企業の設立と企業成長を通じた雇用機会の拡大、小企業における雇用の質の向上等を目標とし、雇用創出と雇用維持における小企業の役割に関する出版物の発行等が予定されている。
□社会的保護総局
戦略目標3「すべての人々に対し、社会的保護の効果を高め、保護範囲を広げること」を担当するこの総局は、@社会保障及び経済保障に関する国際重点計画、A安全労働国際重点計画、労働時間等の労働条件、外国人労働者の問題を扱う労働者保護局、B社会的保護の統治、運営、効率の改善に向けた活動を行う社会保障局から構成される。活動目標は次の5つ。@労働・雇用条件及び社会保障に関する条約批准数の増加とその効果的な適用、A政労使が職場内及び周辺での危険対策に取り組み、効果的な行動をとること、Bもっとも保護しにくい部門やもっとも弱く、搾取されている人々を対象とした労働・雇用条件及び社会保障に関する政策と活動計画の実行、既存の制度では十分に保護されていない労働者を包含する自主措置の実行、C加盟国が社会保障制度の保護範囲と手段を拡充し、給付の向上・多様化を図り、統治と運営を強化し、財政的な制約を克服できる政策を開発できること、D政労使が各種の経済・社会不安を分析し、不安の悪影響を解消できる政策を策定できること。
安全労働国際重点計画は、全ての労働者が国際労働基準に対応した基本的な保護を得られるよう、加盟国及び産業界が効果的な予防・保護政策及び計画を設計し、実施する能力を高めること等をめざす。職務関連死に関する世界報告の発行等が予定されている。社会保障・経済保障国際重点計画は、低所得国や低所得社会における保障制度、女性の特別のニーズに特に注意を払いながら、安全を損なう要因及び安全を強化できる政策選択肢の把握をめざす。対象を特定した各種の社会的保護制度上の選択肢の影響を吟味する報告書の発行等が予定されている。
□社会対話総局
戦略目標4「三者構成主義と社会対話の強化」を担当するこの総局は、それぞれ労働者団体と使用者団体との連絡窓口となり、関連の活動を行う@労働者活動局とA使用者活動局、B社会対話の強化に関する国際重点計画、C産業別会合など産業特有の活動を担当する部門別活動局、D政府側にサービスを提供し、連絡窓口となる新設の政府・労働法・労働行政局から構成される。活動目標は次の3つ。@民主主義と労働における権利、合意形成及び経済・社会開発のための話し合いの手段としての社会対話の本質的な役割がより良く理解され、広く受容され、活用されることをめざし、社会対話を推進すること、A加盟国における社会対話の制度、機構、手続きの強化、B社会対話参加者の代表性、機能、サービスの強化。
社会対話強化国際重点計画は、社会対話の推進、社会対話参加者(関連政府機関と労使団体)の強化等を目標とし、政労使の代表性、機能、サービス提供力を高める良い慣行と要因の把握、社会対話の活用推進キャンペーンの実施、実際に機能している社会対話の実例普及に特に重点を置いた活動が行われる。
去る1999年12月7日、東京新宿区の日本労働研究機構リンクホールにて、ILO本部ジェンダー促進プログラム統括責任者であるリン・リーン・リム女史を迎え、「東南アジアのセックス産業」と題するシンポジウムが開催された。
これは、リム女史編著のILO報告書「THE SEX SECTOR」の日本語版が『セックス「産業」−東南アジアにおける売買春の背景』として日本労働研究機構より出版されたことを記念して開かれたもので、当日の参加者は100名を超えた。
基調講演の中で、リム女史は、今回の報告書がインドネシア、マレーシア、フィリピン、タイの東南アジア4カ国を対象としたのは、研究者のネットワーク等の理由によるものであり、売買春に伴う問題は世界に普遍であると断った上で、売春が今日、雇用、所得、経済成長への貢献などの面で産業といえるまでに成長した経済的・社会的背景について報告した。そして、報告書は、◆性を商品化(搾取)して利益を得ている多様な既得権益集団(家族、売春関連事業所や業界、政府関係者など)の存在を指摘し、そこに強力な組織的構造基盤があることを明らかにした、◆マクロ経済政策(女性労働力の輸出、観光業の振興等)との関連を指摘した、◆売春に対する法的アプローチとして、全面禁止、合法・規制、非犯罪化による適正化などの異なる方向性を明記した、◆売春従事者の状況はさまざまであるが、人身売買、強制、詐欺、奴隷状態にある人々など看過できない問題の存在を明らかにした、◆エイズ問題の重要性と緊急性を訴えた、◆18歳未満の児童売買春の全面的廃絶にまず取り組むべきであるとの立場を打ち出した、などの点が特筆されるとした。
後半の討論会には、コーディネーターとして報告書フィリピンの章を翻訳した大阪外国語大学の津田守教授、パネリストとして日本女子大学の大澤真知子教授、毎日新聞の明珍美紀記者が加わり、東南アジアのセックス産業と日本との関わりについて意見を交換した。
第9回アフリカ地域会議
(アビジャン・99年12月8〜11日)
三者構成主義と社会対話の強化
社会進歩のグローバル化を要求
標記の会議には域内39カ国から政労使の代表198人が出席し、アフリカ諸国が直面しているさまざまな問題について活発な意見交換を行った。討議資料として提出されたアフリカにおけるILOの活動報告(1994〜99年)及び「アフリカの全ての民の保護とディーセント・ワーク」と題する事務局長報告をもとに、アフリカ諸国が抱える諸問題を打開する方策に関する話し合いが行われた。報告書と討議の概要を紹介する。
□アフリカの現状
アフリカ大陸の人口およそ7億8千万人の約半数、四億人が生活費が1日1ドル以下という貧困ライン以下で暮らしている。現在、後発開発途上国と認定されている国が世界で47カ国あるが、うち33カ国がアフリカにある。アフリカ全体の平均寿命は54歳、乳児死亡率は1,000人当たり82人(先進国は6人)、半数近くの人々が未だに安全な水を利用できないでいる。成人の文盲率は44%、初等教育を完全に受けている子どもは75%に達するが、中等教育になると25%に低下する。一方、5〜14歳の子どもの40%、およそ8千万人が働いていると推計される。
政治情勢も厳しい状態が続いている。この10年間、憲法や選挙法の改正、独立した選挙管理委員会や最高裁判所などの設立、政党の樹立や複数の労働組合の設立、報道機関の独立性などの民主化プロセスが試みられ、一部にはその成果が出てきているが、内戦や武力紛争による政情不安のため、社会経済の発展が大きく阻まれている国も多い。1998年前半だけで17回もの武力紛争が起きており、アフリカの角(ソマリア等)、ビクトリア湖周辺諸国、中央アフリカ及び西アフリカ諸国を中心に、大量の難民が周辺諸国に流出するなど深刻な影響を及ぼしている。
他方、経済状況は「失われた10年」と称された1980年代と比較するとかなり改善されている。80年代にインフレ、失業、財政赤字、資本逃避などの問題に直面した各国政府は、世界銀行や国際通貨基金(IMF)の提言に基づいて構造調整政策(SAP)を実施していった。その結果、アフリカでも特に貧しいサハラ以南アフリカの48カ国中37カ国までが1994年以降経済成長を続け、1995〜98年の平均経済成長率は3.8%となった。さらに経済成長が人口増加を上回ったため過去数十年間で初めて1人当たりの所得がプラスに転じた国も出てきている。しかし、この好調なマクロ経済状況を導いたSAPは、大多数の人々にとってはむしろ生活水準の低下や失業、貧困をもたらすものであった。貧困が解消されにくい原因の一例をあげると、構造調整によって公的部門の労働者数が削減される中で、新しく創出される仕事のほとんどはインフォーマルなものであり、結果として既存の仕事の60%がインフォーマルなものとなり、社会的な保護制度の対象となる労働者は全体のわずか10%にも満たない状況となってしまった。これについては、ILO新刊書「アフリカにおける雇用調整と制度の欠落」に詳しい分 析結果が見られる。
農村部から都市部への労働力移動も毎年6%ずつ増加し、労働市場を圧迫している。さらに、15〜24歳までの若年者の失業問題も深刻で、60〜75%の若者が失業状態に置かれている。
□エイズ問題
さらに近年、アフリカ諸国はエイズという非常に深刻な問題に直面している。過去20年間でおよそ5千万人がエイズ・ウイルスに感染し、死亡者も1,400万人にのぼる。全世界の感染者数は1998年末時点で3,300万人以上と推計されるが、そのうち2,250万人がサハラ以南アフリカに住んでいるといわれる。さらに、新たなエイズ・ウイルス感染者の90%までがアフリカで発生している。労働力に与える影響も甚大である。エイズ・ウイルス感染者の大半が20〜49歳の働き盛りの年代に集中し、労働費用の使用者負担の増大、社会保障制度の破綻など経済に大きな打撃を与えている。エイズで両親を失った15歳未満の孤児の95%までがアフリカに住み、エイズが家庭環境に与える影響も深刻である。
ILOはエイズ国連共同プログラム(UNAIDS)の協力を得て、1999年10月にナミビアでエイズに関する会議を開催した。この会議議事録をもとに、アフリカのエイズ問題と労働現場での取り組みをまとめた「アフリカのエイズ/エイズ・ウイルス対策(英文・89頁)」と題する報告書が昨年発行されている。
□ILOの4つの戦略目標
深刻な問題が山積するアフリカに対して、ILOは地域別にみると最大の拠出額(全体の39%)を支出して積極的に技術協力活動を行ってきた。協力分野としては、開発政策、企業・協同組合開発、雇用・訓練などが中心であった。
今回のアフリカ地域会議では、ソマビア事務局長が打ち出した4つの戦略目標、すなわち@人権と労働、A雇用と収入、B社会的保護、C社会対話に基づいて、アフリカの民主化プロセスを押し進め、貧困の緩和と経済成長、労働者の基本的人権の尊重を実現するために取り組むべき課題について話し合われた。
会議は最終日にアフリカの社会進歩を推進する政策の奨励に向けた結論を採択して幕を閉じた。結論の中では特に児童労働の廃絶が強調され、その実現に向けて、最低年齢条約(第138号)と最悪の形態の児童労働条約(第182号)の早期批准、及び児童労働撲滅国際計画(IPEC)の一層の拡大を確認した。また、ILOに対しては、すべての経済改革プログラムにおいて人的資源の重要性を認識してもらうよう国連をはじめ様々な援助機関に働きかけて欲しいこと、そしてエイズ問題に関しては、経済活動人口に与える影響、職場におけるエイズ・ウイルス感染者に対する差別、両親をエイズで失った子どもたちの児童労働問題などの諸問題に対して、全力で取り組んで欲しいとの要望が出された。
(1999年10月4日現在)
| 加盟国数・・・・・・・・・・・・・・・・ | 174 |
| 条約の数・・・・・・・・・・・・・・・・ | 182 |
| 勧告の数・・・・・・・・・・・・・・・・ | 190 |
| 加盟国の平均批准数・・・・・・・ | ・38 |
| OECD諸国の平均批准数・・・ | ・65 |
| 日本の批准条約数・・・・・・・・・ | ・43 |
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| 次の広報資料を無料配布中。ご希望の方は希望資料名、部数、住所、氏名、電話番号を東京支局までお知らせ下さい。 @2000年卓上カレンダーAILOリーフレット(英・日)B労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言とそのフォローアップ仮和訳CILO活動紹介パンフレット"The ILO: What it is, What it does"(英・51頁) |
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(東京・2000年5月29日〜6月2日) [主催]IIRA第12回世界会議組織委員会・(社)日本労使関係研究協会・日本労働研究機構 [後援]労働省・連合・日経連 [会場]京王プラザホテル(新宿区西新宿2−2−1)/日本労働研究機構新宿事務所(新宿区西新宿2−3−1新宿モノリス25/26階) [総括テーマ]21世紀における労使関係、人的資源管理の課題−統合に向かう世界と新たな挑戦− [全体会議テーマ@]21世紀の雇用関係と新たな労働のあり方を探る [同A]国別、地域別雇用・労使関係システムへのグローバル化の影響 [同B]変化する労働者参加・代表制・新しい労使関係システムへの模索 [同C]柔軟性、公平性及び繁栄を求めて−21世紀の雇用政策の選択肢 [同D]21世紀のアジア−労働の課題と可能性 [スペシャルセミナー]私的紛争解決システム等13テーマ どなたでも参加できます(有料)。お問い合わせ・参加登録は、IIRA第12回世界会議事務局(日本労働研究機構・研究所内 пF03-5991-5195 FAX:03-3594-1115 電子メール:iira12th@jil.go.jp ホームページ:http://www.jil.go.jp/iira12th)まで。 |
| ジ ュ ネ ー ブ 便 り |
ジュネーブに赴任して2年近くになる。来た当初は、街の小ささや、仏語での日常生活のわずらわしさ等、あまり住みやすいところとは思わなかった。未だに仏語は上達せず、不自由をしているが、最近はジュネーブに住むのも悪くないと思うようになった。 まず何よりも通勤が楽なこと。私はこれでも、こちらの人々に言わせれば、オフィスから遠くて不便な場所に住んでいるにもかかわらず、通勤時間はバスで40分余りである。バスは時刻表通りに来るし、ラッシュアワーでもすじ詰め状態にはならない。東京の通勤時毒から比べれば天国のような状況である。唯一の問題は、オフィスから市の中心へ行く最終バスが午後7時半だということだが、これも他のバスを乗り継いで家に帰ることが可能なので、耐え難いほどの不便さではない。 だがこれは46時中、8時や9時迄オフィスに残って仕事をしている人は少ないということも反映している。実際、忙しい時期を除いては早めに家に帰って家族と過ごしたり、自分の時間を持つ同僚が多い。 それだけにレジャー文化は充実している。手軽なレジャーとして、スポーツと旅行がある。天気がいい日には、昼休みにオフィスの周辺をジョギングする同僚も多い。公営プールもジュネーブ市内にいくつかあり、夕方6時から8時頃迄の間は仕事を終えてひと泳ぎしてから帰る人々で混雑している。テニスクラブやフィットネスクラブの会員になっている人も多いし、冬の週末は毎週のようにスキーに行っている人もいる。旅行にしても長期のバカンスはもちろんのこと、交通の便の良いジュネーブでは週末にスイス国内や近隣の国々で小旅行が楽しめる。 住めば都というが、このようなすばらしい生活環境の中にどっぷりつかってしまうと、仕事で扱っている途上国の社会経済問題を真から理解できなくなるのではないかとの危機感もいだくこのごろである。
ILO本部雇用戦略局
石川 順子 |
近い将来、開催が予定されている会議は次の通り。
▼アジア地域ハイレベル児童労働会議(ジャカルタ・3月8〜10日)−日本政府の任意資金拠出により実現したこの会合では、バングラデシュ、カンボジア、中国、インド、インドネシア、日本、ラオス、マレーシア、モンゴル、ネパール、パキスタン、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナムの域内15カ国政府上級職員、域内労使団体ハイレベル代表各15名が集い、最悪の形態の児童労働条約(第182号)並びに最低年齢条約(第138号)批准キャンペーンの見直し、検討を行い、両条約の実施と効果的な適用について話し合う。
▼使用者団体指導者向けアジア太平洋小地域役員開発プログラム(シドニー・4月2〜9日)−バングラデシュ、中国、フィジー、インド、インドネシア、マレーシア、モンゴル、ネパール、パキスタン、パプアニューギニア、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナムの使用者代表を対象に、@競争力、労使関係、人材管理、変化管理、組織開発といった分野における参加国使用者団体事務局長の運営能力の改善、Aリーダーシップ、意思決定、集団形成、集団指導、交渉、対人関係等の技能向上を図る。
▼21世紀の生涯教育合同会議−教職員の役割の変化(ジュネーブ・4月10〜14日)−アルジェリア、チリ、チェコ、ドイツ、ギリシャ、インド、日本、ヨルダン、ナミビア、ノルウェー、ロシア、スイス、タイ、英国、米国、ベネズエラの16カ国の政府代表、民間部門の使用者代表11名、労働者代表27名が集い、事務局の作成した討議資料をもとに生涯教育に関わる政策及び慣行に関する意見交換を行う。政労使及びILOへの今後の活動提案を含む結論、討議報告書、決議の採択が予定されている。
| 会 議 名 | 開 催 地 | 期 間 |
|---|---|---|
| 断熱用ウールの安全使用専門家会議 | ジュネーブ | 1月17〜26日 |
| 報道・娯楽産業の雇用、労働条件、労使関係に対する情報技術の影響シンポジウム | ジュネーブ | 2月28日〜3月3日 |
| 第277回ILO理事会及びその委員会 | ジュネーブ | 3月16〜31日 |
| 21世紀の生涯教育合同会議−教職員の役割の変化 | ジュネーブ | 4月10〜14日 |
| 輸送機器製造のグローバル化が社会と労働に与える影響に関する三者構成会議 | ジュネーブ | 5月8〜12日 |
| 保護を要する状態にある労働者に関する専門家会議 | ジュネーブ | 5月15〜19日 |
| ILO理事会の結社の自由委員会 | ジュネーブ | 5月25〜26日 |
| 第88回ILO総会 | ジュネーブ | 5月30日〜6月15日 |
| 第278回ILO理事会 | ジュネーブ | 6月16日 |
| ILO/ユネスコ教員の地位勧告適用合同専門家委員会 | ジュネーブ | 9月11〜15日 |
| グローバル化経済における雇用及び農業の近代化を通じた持続可能な農業開発への移行に関する三者構成会議 | ジュネーブ | 9月18〜22日 |
| 履物・皮革・繊維・衣料産業の労働慣行三者構成会議 | ジュネーブ | 10月16〜20日 |
| 第279回ILO理事会及びその委員会 | ジュネーブ | 11月2〜17日 |
| 条約勧告適用専門家委員会 | ジュネーブ | 11月23日〜12月8日 |
| 第6回欧州地域会議 | ジュネーブ | 12月12〜15日 |
▼ILO労働組合組織対象アジア太平洋地域外国人労働者シンポジウム(ペタリンジャヤ・99年12月6〜8日)に連合より中村善雄雇用・労働対策局長、大久保暁子国際局部長が出席。
▼ILO国際労働問題研究所主催21世紀の組織労働アジア地域会議(ソウル・12月7〜8日)に花見忠日本労働研究機構研究所所長、井上定彦(財)連合総合生活開発研究所副所長、吉田昌哉連合国際政策局部長が出席。
▼ILO/日本/米国共催労働における基本的権利及び原則の適用に関するアジア太平洋セミナー(プノンペン・12月7〜9日)に労働省より岩田喜美枝総務審議官、早木武夫国際労働課課長補佐、日経連より矢野弘典国際部長、連合より伊藤祐禎顧問が出席。
▼アジア太平洋地区海事教育・訓練機関連合会議(東京・12月7〜9日)にILO本部よりB・サブラマニアン海事産業部職員が出席。
▼ILOの労働安全衛生分野の国際重点計画に関するハイレベル協議会(ジュネーブ・12月13〜14日)に中央労働災害防止協会より椎谷正理事長と榎本克哉国際協力部次長が出席。
▼ILO漁業安全衛生三者構成会議(ジュネーブ・12月13〜17日)に大日本水産会の美斉津利幸漁政部海務課長、全日本海員組合の小堀廣行水産局長が出席。
▼東ティモール支援国会合(東京・12月16〜17日)にILOアジア太平洋総局より堀内光子地域総局長、I・カミングスILO東ティモール代表が出席。
▼ILO断熱用ウールの安全使用専門家会議(ジュネーブ・00年1月17〜26日)に神山宣彦労働省産業医学総合研究所作業環境計測研究部長が出席。
▼国連大学主催会議「新千年紀の幕開け−国連とグローバル・ガバナンスの在り方を問う」(東京・1月19〜21日)にILO本部よりR・ファン・デル・ヘーベンILO雇用戦略局職員が出席。人間開発の分科会で「グローバル化の社会、政治、環境的影響」について発表。
▼ILO/日本マルチ・バイプログラム評価及び年次協議のため、労働省より坂本忠行国際労働課課長補佐、早木武夫同課長補佐、ILO東京支局より浦尾武昭次長がインドネシアとタイを訪問(1月24日〜2月2日)。
▼日本労働研究機構主催国際ワークショップ「アジアにおける人の移動と労働市場2000年」(東京・1月26〜28日)にILO東アジア・マルチディシプリナリー・アドバイザリー・チームよりP・ウイクラマセカラ労働市場政策上級専門家が出席。
| まつ お よしゆき 松尾 嘉之さ ん 本部財務局に新規採用 |
東洋信託銀行国際部副長であった松尾嘉之さんは、給与支払担当官として新規採用され、去る1月、ジュネーブに赴任された。
松尾さんは本部財務局予算財務部支払承認課に属し、ILO職員の給与・年金基金の計算書及び報告書の作成を主な業務とする。具体的には、@本部職員、現地事務所の専門家・専門職員及び会議・セミナー臨時職員の給与支払いを担当する給与中央係の責任者として同係の活動計画立案、毎月の給与明細の承認、毎月・毎日の給与処理監督による支払期限の厳守、給与支払事務職員が解決できない問題の処理、ILOの財務規則・規程、職員規則に従った給与及び関連支払の確保といった企画、監督、管理業務、A給与支払、年金基金勘定、日給支払、現地給与支払など主要システムの分析、改善提案といった手続き開発・政策助言業務、Bその他支払承認課長が外部監査役、内部監査役、財務局長、財務監査役の質問、意見に回答する際の補佐等給与全般に関する幅広い業務を担当される。
松尾さんの一層のご活躍をお祈りします。
| 論 文 概 要 紹 介 | |
| 労働時間の動向 と新たな論点 |
ILOの季刊誌「インターナショナル・レイバー・レビュー」誌99年2号に、労働・技術研究所(ゲルゼンキルヘン)のG・ボッシュ職員が標記の論文を寄稿している。以下はその概要である。 |
はじめに
労働時間と賃金は数量的に計測できる労働条件の基本的な要素である。賃金の単位は国によって異なるが、時間の計測単位は世界共通であるため、世界の労働運動は一致して1日8時間労働を要求し、第1号を含め数々のILO条約が労働時間を扱っている。
過去20年ほどの間に、新しく弾力的な労働形態が出現し、労働時間編成は著しく変化した。これまでの労働時間は世界的に週・年単位で編成され、それがILO条約の基盤でもあったが、今やより柔軟な他のアプローチが用いられるようになってきた。本論文の目的は、このような労働時間の変化の動向を検討することである。
過去100年の主要動向
先進数カ国における労働時間は、過去に比べ、著しく短縮した(1870年から1992年の間でほぼ半減)。これは科学的管理法の導入により、作業組織が変化したことに負うところが大きい。労働時間の短縮は、交替制勤務等を導入することで、より集約的な資本の活用につながり、生産性向上と経済成長をもたらした。1日8時間、週40ないし48時間の労働時間編成が定着した。しかし、より最近では、労働市場の規制緩和が進み、所得格差が拡大している国では逆に労働時間が増える傾向が見られる(米国、英国、ニュージーランド)。
労働時間の弾力化は進み、教育や訓練を受けながらの就労、フルタイムとパートタイムの勤務期間を相互に切り替える労働者の登場、早期退職制度等による高齢者の段階的な退職、再訓練等による就労の一時中断等の現象が見られる。
変化を推進する要因
▽所得 労働者が労働時間の短縮を受け入れるためには、十分な収入が保証されねばならない。収入の水準のみならず、所得分配の均等性も重要な要素である。賃金格差が拡大し、平均収入または低所得者の賃金が停滞ないし下降した国では、収入減を補うためにそれらの労働者の労働時間が増える傾向にある。男女の賃金格差も、双方の労働時間の分布に影響する。
▽家庭構造と家事 女性が家庭に留まり、男性が賃金労働に携わる従来の家族構造は変化した。現在、欧州連合諸国では、子どものいる家庭でも共働きが大部分である。育児や老親介護サービスの提供が不十分な多くの国では、女性の労働力率は低いかパートタイム就労が多く、働き続ける場合は子どもをあきらめる傾向がある。女性の就業形態と労働時間は、学校の時間や保育の有無にもっとも強く影響される。逆に、労働時間の長さは家庭向けサービスに対する需要を左右すると仮定できる。
▽社会保障 税金・社会保障制度が労働時間に関する企業や労働者の決定に影響を与えることもある。例えば、社会保障負担が高く、一定の上限がある場合には、上限に達すると固定費用になるため、長時間労働は使用者にとって魅力的である。定額退職年金がパートタイム就労普及の一因にあげられるオランダのように、社会保障給付の構造が特定の労働時間形態を推進する場合もある。
▽在庫管理 製品の多様化に応え、高価な在庫保持に代えて、年間労働時間を弾力化することで労働力の供給を生産のバッファーとする仕組みが導入されている。また、費用削減のために、労働時間の配分を弾力化し、超過勤務手当の支払いをなくす動きも見られる。
労働時間と雇用
労働時間減少の対雇用効果がしばしば論じられる。理論的には賛否両論が存在するが、いずれも時間短縮が行われる状況と文脈に影響される。
過去20年間に実施された集合的な労働時間短縮に関する研究の多くは、積極的な雇用効果があるとする。が、中には、時間外労働と賃金増加によるインフレ圧力が発生し、結果的に雇用に否定的影響を与えたとする研究もある。積極的な雇用効果を生む条件は、次のように集約される。@労働時間短縮による賃金補償と時間給の増加が併せて交渉されること、A労働時間の一層の弾力化を同時に導入すること、B機能的で弾力的な労働市場で、技能労働者の充分な供給があること。
パート雇用の創出が、ワークシェアリング、そして失業の緩和策であるとする見方については、パート労働に関わる具体的な各国の動きを吟味する必要がある。ある調査によれば、パート労働の増減には、次のような要因が関係する。@フルタイムとの賃金格差、A社会保障適用におけるフルタイムとパートタイムの差の存在、Bキャリアダウンの受容、あるいは文化的な受容、Cパート労働をする権利の制度化、D労働市場への女性の統合の程度。
検討課題
働時間に関しては、今後、労働時間と所得の関係、弾力的な年間労働時間、労働安全衛生、社会保障、労働時間削減の雇用効果の各観点からの分析が有用と考えられる。
労働時間を把握し、管理する新たなメカニズムの開発や労働時間と自由時間の関係を分析し、労働や訓練に費やされる時間と自由時間の組み合わせに関する国際的な調査研究が行われることも有用であろう。また、インフォーマル・セクターや家庭における労働時間の実態が明らかにされることも望ましい。
| 社会保障関連 ILO新刊書 |
先進国においては、経済発展の下での労働条件の整備に伴い、社会保障制度の適用拡大、給付の充実が図られた。その一方、発展途上国においては、経済の低成長や構造調整に伴う社会保障への財政支出の削減などのために、適用や給付の水準が低下したところもある。
このような現状の下で、ILOは社会保障における発展途上国に対する技術援助において、問題を熟知する発展途上国自身の一層の参加を促しており、さらに今までの枠組みでは取り扱うことの難しかったインフォーマル・セクターの労働者に対する社会保障のあり方を研究するなど、従来から一歩踏み出した活動を行ってきている。
本稿では、この流れに呼応して発展途上国で活用されることを意図して出版された2冊を紹介する。1冊は、社会保障財政シリーズの新刊、もう1冊はインフォーマル・セクターの労働者に対する社会保障のケース・スタディの新刊である。
▼医療保障財政のモデル(Modelling in health care finance・英文・376頁・8,500円)
本書は、ILOと国際社会保障協会(ISSA)の協力により出版された社会保障財政シリーズの1冊である。計量医療経済学・医療保障制度の財政学・保険数理のテクニックを使いながら、一歩ずつ医療保障財政モデルを構築していく様子が、できる限り専門用語を使わずに平易に述べられている。このため、医療保障財政に携わる専門家のみならず、医療保障制度に興味を抱く一般の読者にも広く利用できるように工夫されている。
本書は3部構成であり、まず第1章でモデル構築の範囲・目的などを述べ、第2章で本書の核となるモデル構築のためのデータ・モデルの構造・詳細・例を記述し、第3章で政策決定に際してのモデルの役割や限界についてまとめている。さらに医療経済・会計・私的保険の数理・回帰分析の要約が加えられており、医療保障財政の標準的な教科書として利用できる。
社会保障制度の運営には財政の裏づけが不可欠にもかかわらず、財政分析に活用されるテクニックをコンパクトにまとめた類書は例を見ない。今後の本シリーズの続刊が期待される。
▼排除された多数のための社会保障(Social security for the excluded majority・英文・198頁・3,000円)
現在多くの発展途上国においては、労働力の多くが常用の被用者ではなく、社会保障制度の適用が国民の1割にも満たない。本書においては、5つの発展途上国のケース・スタディを基に、社会保障制度の適用が進まない理由および適用を拡大する方法について論じている。
先進国の社会保障の歴史から見れば、@保険料拠出を基礎とする社会保険制度は、安定した所得のある公務員や大企業の被用者などから適用が拡大されており、経済発展がなければ適用の拡大は難しい、A財源を税制に求めた場合、保険料徴収の問題はないが、一般財源から多額の財政支出をすることになる。発展途上国では、どちらの方法をとることも難しい。そこで、従来の社会保障とは異なる非政府組織(NGO)や協同組合などにより運営される地域や共同体を基礎とする保険制度などの新しい試みがなされている。
強制適用でない保険制度には、財政の根幹に係わるリスク分散のあり方や事務コストなど、本書で充分議論が尽くされていない問題もあるが、いずれにせよこのような新しい試みは始まったばかりであり、ケース・スタディのフォローアップが期待される。
(元ILO社会保障局職員・厚生省保険局調査課課長補佐山端浩氏寄稿。なお、山端氏は「医療保障財政のモデル」共著者の一人)
ILO図書邦訳版
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| ◇セックス「産業」◇ 東南アジアにおける売買春の背景 |
昨年、出版と同時に欧米諸国で話題を呼んだILO刊行"THE
SEX SECTOR"(ザ・セックス・セクター)待望の日本語版。今日、産業といわれるまでに成長したセックス・ビジネス。インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイの実例から、その組織構造、社会経済的要因、背後にある巨大な既得権益集団の存在を究明し、政策の方向性を探る。各国の商業的セックス・ワーカーへのインタビュー、増え続ける女性と子どもの人身売買、児童売買春の問題など、セックス産業に内在する見逃せない事実の数々を、今、明らかにする。 リン・リーン・リム編著 津田守・さくまゆみこ他訳 1999年刊 334pp. 3,500円(税別) 購入のお申し込みは、お近くの書店か、日本労働研究機構(:03-5321-3074)まで。 |
| ◇協同の発見2000年1月号◇ | International Labour Review vol.136 No.2所収 ノーベル経済学者セン教授論文「不平等、失業及び現代ヨーロッパ」(原題:Inequality, unemployment and contemporary Europe)邦訳掲載 [翻訳]菅野正純(協同総合研究所)[定価]1000円 お問い合わせは直接発行元へ(協同総合研究所пF03-5391-4321) |