新聞発表概要(全文は英語)
2009年11月発表分
2年連続で経済危機が実質賃金をむしばむとILO(
英語原文)
2009年11月3日(火)発表ILO/09/55
2008年に世界の実質賃金の伸びは経済危機によって劇的に鈍化し、景気回復の可能性を示す兆候にかかわらず、2009年にも更なる落ち込みが予想されると、このたびILOが発表した報告書は記しています。昨年11月に出された「Global wage report 2008/09(世界賃金報告2008/09年版・英語)」の内容を新しくしたこの「Global wage report: 2009 update(世界賃金報告2009年更新版・英語)」は、今年6月のILO総会で採択されたグローバル・ジョブズ・パクト(仕事に関する世界協定)の実施案と共に、11月5日から開かれる第306回ILO理事会において検討されます。
報告書は、数字が得られる35ヵ国の半数で、しばしば実労働時間の短縮を原因として、2009年第1四半期の実質月額賃金が2008年平均を下回ったことを示し、他の経済指標が景気回復を推測させているのと無関係に、賃金の景観は2009年に悪化する可能性が高いと記しています。データが得られる53ヵ国のサンプルをもとにした世界の実質賃金の平均成長率は2007年に4.3%でしたが、2008年には1.4%に下降しています。G20諸国中でデータが得られる10ヵ国に限って見ると、2007年の1.0%が2008年にはマイナス0.2%となっています。世界経済危機に先立つ10年余り、賃金の抑制が続き、報告書は、生産性上昇に比して賃金が何年にもわたって停滞してきたことが、格差拡大とあいまって、借金以外の方法を通じて消費を増大させる多くの世帯の能力を制約することによって危機に寄与したと考えています。報告書はまた、実際の業績と無関係な過度の賞与が金融部門におけるインセンティブを歪め、短期的な危険をいとわない行動を促進することによって危機に寄与したことも指摘しています。
不平等の拡大と低賃金に対する懸念の広がりを反映し、近年、先進国のみならず途上国でも最低賃金の強化を図る動きが見られ、現下の危機では多くの国が最低賃金の上方調整を行っています。日本、米国、ロシアを含む、データが得られる86ヵ国中半数で2008年にインフレ率を上回る最低賃金の引き上げが行われました。報告書は最低賃金について、「社会的保護のための重要な政策手段」と位置づけ、水準設定における社会的パートナーの関与を呼びかけると共に、最低賃金を他の所得補助策や減税と組み合わせることを提案しています。
報告書はまた、賃金に対する危機の影響に関して特に懸念される事項の一つとして賃金の支払い遅滞を挙げ、ウクライナやロシアのように危機前から問題があった国で状況が悪化した可能性が高いとしています。
報告書の主執筆者であるマヌエラ・トメイILO労働・雇用条件計画部長は、「世界的に見られる実質賃金悪化の継続は、景気回復の真の規模、特に政府の総合救済策の段階的撤去が時期尚早ではなかったかとの深刻な疑問を呈するもの」とし、「賃金デフレが国の経済から大いに必要とされる需要を奪い去り、信頼性に深刻な悪影響を与える」可能性を懸念しています。そして、「将来的には、生産性の伸びと賃上げとのつながりを回復することが、経済と社会の持続可能性にとって必須」と唱え、「企業が労働コストの切り下げではなく生産性の上昇を通じて競争力を達成できること、そして労働者が自らの賃金を防御できるだけの交渉上の地位を獲得できることが、賃金格差に取り組む長い道のりを歩む手段となるでしょう」と語っています。
2009年10月発表分
ILO会議で職業病改訂表を採択(
英語原文)
2009年10月30日(金)発表ILO/09/54
2002年の第90回ILO総会で採択された職業病の一覧表勧告(第194号)は、仕事によって引き起こされる疾病の予防、記録、届出、そして該当する場合には補償のため、職業病の一覧表を定めることを加盟国に求めています。第194号勧告の附属書には、この表に含めるべき職業病の一覧が掲げられ、附属書を最新のものとするための仕組みも定められています。一覧表の改訂を検討する最初の会合は2005年に開かれましたが、この議論を引き継ぐ2回目の会合が2009年10月27〜30日にジュネーブで開かれ、新しい職業病一覧表が採択されました。この表は、2010年3月に開かれる第307回ILO理事会に提出され、理事会の承認を得次第、第194号勧告の附属書にある現行の表に置き換わることになります。
政労使各側を代表する専門家で構成された職業病一覧表(第194号勧告)改訂専門家会議では、国内及び国際的に認識が高まった職業病、新しいリスク要因、診断技術の向上をもとに、政労使三者の協議を経て開発された職業病一覧表案を検討し、化学的因子、物理的因子、生物学的因子を原因とする疾病から呼吸器系疾患、皮膚疾患、筋骨格系疾患、職業がんに至る、国際的に認められている一連の職業病を含む新しいリストを採択しました。精神疾患及び行動障害に関する一節も新たに加えられました。
新しい表に含む具体的な疾病を決定するに当たり、政労使は以下の一般的な規準集合を用いることに合意しました。
- 特定の因子、暴露または作業工程との因果関係が存在すること
- 作業環境もしくは特定の職業またはその両方に関連して発生していること
- 該当する人々の間での発生頻度がその他の人々の間での平均的な発生率を上回っていること
- もっともらしい原因及び暴露を経た上で明確に特徴付けられた疾病形態が発現する科学的な証拠があること
「労働者の健康に影響する物理的、化学的、生物学的、心理社会的要因の数も各国の労働安全衛生計画や補償制度に含まれる職業病の数も常に増加しており、したがって、予防戦略と適切な補償制度の実効性を最大化するためには職業病のリストを定期的に見直し、新たに職業性であることが発見されたものを加えていくことが必要です。本会合はその正しい方向に向かう一歩となりました」と、ILO労働安全衛生・環境国際計画のサミーラ・アル=トワイーリ部長は会議を評価しています。
危機が労働安全衛生に与える影響を討議−ILOデュッセルドルフ会議(
英語原文)
2009年10月29日(木)発表ILO/09/53
ILOはドイツ連邦労働省、国際社会保障協会(ISSA)など複数の機関と共催で、来る11月3〜6日にドイツのデュッセルドルフにおいて「全世界的な労働安全衛生基準の実施」をテーマに、世界経済危機が職場の安全と健康に与える潜在的な影響について検討する国際会議を開催します。
会議には60ヵ国300人以上の出席が予定され、労働安全衛生の予算や公共支出が削減された場合、職場の事故や疾病の増加につながり、社会保障支出や生産性に深刻な影響を与える可能性がないか話し合うこととなっています。11月5日には「危機時の労働安全衛生にとっての脅威または機会」と題する円卓会議が開かれ、世界各国の政府及び労使団体の出席を得て、議論の総まとめが行われます。
危機開始前のILOの推計では、業務関連の災害や疾病で生命を失う労働者の数は世界全体で約230万人とされ、15秒に1人の計算になります。うち死亡災害が36万件近く、業務関連疾病による死亡者が195万人と推計されています。届出・報告制度が不十分な国が多いため相当過少推計と思われますが、危険有害物質による死亡者だけでも年間65万1,000人に達し、その大半が途上国の人々とされます。労働損失時間、労働者に対する補償、生産の中断、医療費といった労働災害や職業病に係わる直接及び間接のコストに吸収される金額は年間国内総生産(GDP)の世界合計の約4%、1兆2,500億ドルに達すると推計されています。
会議ではこの他に、予防と労働安全衛生マネジメントに関する好実践事例、労働監督、持続可能な企業の行動、基準の実施、社会的パートナーの役割、社会保障など幅広いテーマが扱われます。
アラブ雇用フォーラム、地域の行動計画を承認(
英語原文)
2009年10月21日(水)発表ILO/09/52
ILOとアラブ労働機構(ALO)が共催し、22アラブ諸国より政府、使用者、労働者の代表が出席したアラブ雇用フォーラムは、経済危機が労働市場に与えている目下の影響を緩和するために6月のILO総会で採択されたグローバル・ジョブズ・パクト(仕事に関する世界協定)を地域に適用する行動計画について合意に達し、10月21日に3日間の日程を終えました。行動計画は、グローバル・ジョブズ・パクトが提供する一連の政策措置はアラブ地域にも通用することを強調し、各国の雇用水準回復の助けとなり、経済をディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会を伴う持続可能な成長路線に乗せるであろう危機からの迅速な回復における対話と地域協力の重要性に光を当てています。
フォーラムは多様性に富むこの地域に対する経済危機の影響を評価し、危機前から相当の水準にあった失業、不完全就業、低生産性、限られたディーセント・ワーク機会と社会的保護、就労上の権利の尊重といった問題を危機が悪化させたことを認識しました。参加者が合意した国内における行動計画フォローアップのための優先事項には、雇用を中心に据えた回復戦略、労働力移動の管理改善、十分な社会的保護制度の構築、国際労働基準と労働者の権利に対する尊重の強化、社会対話文化の促進、持続可能な企業の振興などが含まれています。行動計画はまた、危機の中にも存在する機会として、雇用を経済戦略の中心目標に据え、労働担当省の役割を強化し、実体経済のニーズに応えるよう金融部門の方向性を変えるような新たな開発パラダイムの形成を挙げています。フォーラムではさらに、フォローアップのための共同メカニズムの構築が求められ、ILOとALOが「公正なグローバル化のためのILO社会正義宣言」及び「アラブ雇用の十年(2010〜20年)」に沿って地域でディーセント・ワークを達成することを共通目標に、密接な協力関係を保つ必要性が強調されました。
フォーラムの使用者側代表は、フォーラムが持続可能な企業、開発、アラブ地域の政労使の関連する政策優先事項の実行を推進する国内イニシアチブの開発に弾みをつけたことを歓迎しました。労働者グループは世界金融・経済危機の労働者に対する影響に懸念を示し、経済活動の悪化を予防する合意を達成する唯一の手段として社会対話の重要性を強調しました。エジプトのアイシャ・アブデル・ハジ・アブデル・ガハニ労働力・移住大臣はフォーラムの結論を歓迎し、世界規模の危機に取り組む手段を見出す上での社会的パートナーと政府の有効性並びに国際労働基準の実行及び尊重を確保する善意を示す雇用と仕事に関するアラブのコンセンサスが達成されたと語りました。
アフメド・モハメド・ルクマンALO事務局長は、フォーラムの結果が、アラブ地域のニーズに的を絞り、今年1月に開かれたアラブ経済サミットの決定事項及び「アラブ雇用の十年」の優先事項に沿ったILOとALOの共通の執行計画を決定するものとなったことを評価しました。ILOのナダ・アル=ナシフ・アラブ総局長は行動計画について、「政労使三者が我々の中心的な優先事項に向けて収束した点で真の前進を示すものであり、真の使命が与えられた」として歓迎しました。
アラブ雇用フォーラム開幕:仕事を中心にした回復を強く呼びかけ(
英語原文)
2009年10月19日(月)発表ILO/09/51
アラブ地域の仕事や企業に世界経済危機が与える影響に対する懸念が高まる中、3日間の日程で10月19日に開幕したILO/アラブ労働機構(ALO)共催のアラブ雇用フォーラムには、アラブ22ヵ国からハイレベル政労使代表が出席し、仕事を支え、域内住民に社会的保護を広げる手段について話し合いを行います。
フアン・ソマビアILO事務局長は開会演説において、失業や不安定な非公式労働の増大、企業体力の減退、投資の先送り、若者の失業といった懸念材料を挙げ、「社会の反発ももっとも」と警鐘を発すると共に、「危機は持続可能な企業とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を伴う持続可能で生産的な新しい成長モデルの構築を求めている」と訴えました。そして、グローバル・ジョブズ・パクト(仕事に関する世界協定)を域内全域に適用する行動計画の策定という緊急課題の存在を指摘しました。
アフメド・モハメド・ルクマンALO事務局長は、「このフォーラムにおける我々の義務は、緊密な協力と調整の枠内でグローバル・ジョブズ・パクトの内容を実施する上でのアラブ地域の役割並びにアラブレベルでの優先事項及び行動計画を確定すること」とし、グローバル・ジョブズ・パクトについて、失業率低下や働く貧困層(ワーキング・プア)半減などをめざす2010〜20年の「アラブ雇用の十年」の誕生につながった2008年11月に出された「ドーハ声明の精神を受け継ぐもの」と位置づけました。
使用者側を代表してスピーチを行ったアラブ諸国商工農業会議所総連合のイマド・チェハブ会頭は、危機前から世界最高レベルにあった失業率を特に注視する必要性を強調し、年に400万人近いと推計される新規労働力を吸収するためにも2020年までに5,000万人分の雇用機会を創出する必要があることを挙げ、若者の失業問題を中心とした各種問題への解決策を見つける共同努力を呼びかけました。
労働者側を代表して演説した国際アラブ労働組合連盟のハサン・ジェマン書記長は、社会と政治の安定の基礎である社会正義の実現に向けた取り組みの調整を図る上での自由で独立した社会的パートナー間の社会対話の重要性を挙げ、民主主義と発展は分離できないと訴えました。
レバノン首相の代理として挨拶したハレド・カッバニ国務大臣は、「安定性は発展の礎石であると共に、社会経済政策の成功」を決する要素であるとし、労働力は持続可能な発展のための強力な手段であり、国は労働者を通じて構築されると唱え、勤労者階級に社会正義を確保し、労働者の権利と国際労働基準及びアラブの労働基準を尊重する法律を提供することの重要性を説きました。
フォーラムでは、雇用を経済政策の明確なターゲットとすること、失業保険の導入または拡大及び社会的保護の最低線の形成、自国民と移民労働者双方の就業の権利を尊重する政策の採用、交渉を通じた危機対応策の優先採用など、様々な政策提案について話し合いが行われる予定です。
経済危機によって最も打撃を受けた労働者層の一つは派遣労働者、求められる柔軟な労働市場と労働者保護の均衡−ILO新刊(
英語原文)
2009年10月19日(月)発表ILO/09/50
「派遣労働者は金融・経済危機によって真っ先に職を失ったグループの一つ」と、来る10月20〜21日にジュネーブのILO本部で開かれる1997年の民間職業仲介事業所条約(第181号)批准促進ワークショップに提出される報告書は記し、第181号条約の批准はディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進し、労働市場のより良い機能を確保する助けになり得ると唱えています。
第181号条約は、労働の柔軟性を求める企業のニーズと、雇用の安定、安全な作業環境、まともな労働条件及び社会保障を求める労働者のニーズの調和を図ることをめざしています。「Private employment agencies, temporary agency workers and their contribution to the labour market(民間職業仲介事業所と派遣労働者の労働市場への貢献・英語)」と題する討議資料は、過去30年間に驚異的なスピードで成長を遂げた民間職業仲介事業が現代の労働市場で果たす仲介役としての重要な役割を紹介し、経済成長と職業紹介事業の業況との直接的な相関関係を指摘しています。2008年半ばから、企業はこの圧力調整弁の機能を用いて、しばしば中核的な労働力には手を触れずに派遣労働者を解雇してきました。派遣労働者の雇用喪失が最大だったのは先進国の製造部門で、自動車産業で特に顕著でした。例えば、ドイツでは2008年10月からの4〜6ヶ月間で10万〜15万人の派遣労働者が職場を失ったと推計され、同様の傾向は日本、アメリカ、スペイン、フランスでも見られます。
大手民間職業仲介事業所の多くが、少なくとも2010年まで業況の好転は望めないと見る中、業界自体もコスト削減と業務効率の向上に努力しています。報告書は、派遣労働に関する国内規制がフレクシキュリティー(安全保障を伴う柔軟性)の概念を基礎とし続けることの確保、派遣先を解雇された労働者の速やかな転職支援、コスト削減や効率性計画を通じた事業閉鎖の拡大阻止などといったいくつかの課題に取り組んで初めて、これらの方策は功を奏するだろうとしています。
最近、いくつかの国際的な政策文書で職業仲介事業所や派遣労働を巡る問題に光が当てられています。その一つである2009年6月のILO総会で採択されたグローバル・ジョブズ・パクト(仕事に関する世界協定)は、「効果的な公共職業紹介業務その他の労働市場機構の確立または強化」、「臨時労働者及び非正規労働者に対する十分な社会的保護の提供」などを提唱しています。
世界金融危機が雇用に与える影響に取り組むアラブ雇用フォーラム(
英語原文)
2009年10月18日(日)発表ILO/09/49
ILOとアラブ労働機構(ALO)は、アラブ諸国に対する世界経済危機の影響を吟味し、仕事を支え、地域住民に社会的保護を拡大する手段を検討するため、来る10月19〜21日にベイルートにおいてアラブ雇用フォーラムを共催します。域内22ヵ国からハイレベル政労使代表の出席が予定されるフォーラムでは、去る6月のILO総会で採択されたグローバル・ジョブズ・パクト(仕事に関する世界協定)のこの地域における適用を検討すると共に、2009年4月に開かれた第35回アラブ労働総会で発せられた、経済危機と仕事の危機の影響に取り組むため、地域協力とILOとの調整を更に進めることへの呼びかけに応えることもめざしています。
サミットに向けて作成されたILOの報告書は、2008年に約4.5%の伸びを記録したアラブ地域全体の経済成長率は2009年に約2%に低下し、中東と北アフリカでは最悪の場合、2009年末までに失業率が11%に達すると予測しています。また、地域には外国人労働者が多いことから失業者の4倍を上回る労働者が脆弱な雇用形態にある可能性を指摘しています。
地域経済は均一ではないものの、高失業率や不十分な社会的保護、特に若者向けの雇用創出力の弱さといった共通点も見られ、フアン・ソマビアILO事務局長は、「アラブ世界の構造問題が危機によって露呈し、時に強められた」とし、グローバル・ジョブズ・パクトは各国が自国の状況に合わせて適応できる有用な枠組みを提供することを指摘しました。
既に多くのアラブ諸国がしばしば既存の政策の拡大に依存しつつ、最も弱い人々の所得保護、小企業及び労働集約的な投資や事業の支援といった、危機の悪影響の克服に向けた措置を講じています。アフメド・モハメド・ルクマンALO事務局長は、「今ある仕事の保護に加え、新規雇用機会の創出を危機の間のアラブ地域の優先事項とすべき」と唱えると共に、労働力移動の円滑化とアラブ域内投資の強化に向けた取り組みにも焦点を当てるべきことを呼びかけました。
フォーラムでは、雇用を経済政策の明確なターゲットとすること、失業保険の導入または拡大及び社会的保護の最低線の形成、自国民と移民労働者双方の就業の権利を尊重する政策の採用、交渉を通じた危機対応策の優先採用など、様々な政策提案についても話し合われる予定です。
アラブ雇用フォーラム:回復と成長のための仕事に関する協約(
英語原文)
2009年10月15日(木)発表ILO/09/48
ILOとアラブ労働機構(ALO)は、来る10月19〜21日にベイルートにおいてアラブ雇用フォーラムを共催します。
2009年4月に開かれた第35回アラブ労働総会は経済と仕事の危機に取り組むため、地域協力とILOとの調整を更に進めるよう呼びかけました。これに基づき開催される本フォーラムでは、去る6月のILO総会で採択されたグローバル・ジョブズ・パクト(仕事に関する世界協定)が、域内諸国の長期的な開発課題と危機の影響の双方に対処する国家及び地域のイニシアチブの開発に向けた枠組みをどのように提供できるか検討することになります。
アラブ地域内22ヵ国よりハイレベルの政府・労使代表、学識者、研究機関代表などの参加が予定されており、フアン・ソマビアILO事務局長及びアフメド・ルクマンALO事務局長に加え、域内諸国の労働大臣が基調講演を行います。フォーラムにはアラブ諸国の労働市場に対する世界経済危機の影響を分析した新しい報告書が討議資料として提出されるほか、労働力移動、労働基準、社会的保護、企業育成、雇用、危機対応形成における社会対話の役割など幅広いテーマ別の背景資料も準備されています。
新刊−非公式就業は途上国の貿易利益を抑制(
英語原文)
2009年10月12日(月)発表ILO/09/47
このたび発表されたILO国際労働問題研究所と世界貿易機関(WTO)事務局の共同研究の成果である出版物「Globalization and informal jobs in developing countries(グローバル化と途上国のインフォーマルな仕事・英語)」は、途上国で多く見られる非公式(インフォーマル)就業の発生は労働者が職を変える際にはまる貧困の落とし穴を形成することによって、国が貿易開放の利益を享受する能力を抑制することを見出しました。
インフォーマル就業とは、国内法規の対象外にあり、社会的保護が全く提供されておらず、個人自営業主や同一世帯の家族従業員で構成されている未登録の民間企業における就業を指しています。インフォーマル性の度合いは、一部中南米諸国における全就業人口の3割からサハラ以南アフリカや南アジアの一部諸国における8割以上に至るまで国によって大きく異なるものの、ほとんどの国で依然として高く、アジアを中心に近年増加が見られる国もあります。ILO/WTO共同出版物はグローバル化とインフォーマル就業のつながりに焦点を当て、インフォーマル就業が多くの途上国で広く見られ、数千人もの労働者がほとんど何の雇用保障もなく、低収入で社会的保護を欠いた状態にあることを見出しました。
フアン・ソマビアILO事務局長は、「この研究は我々が経験上知っていること、つまり、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の諸目標と貿易・金融・労働市場政策の補完性を促進することによって、途上国は貿易開放の利益を享受し、グローバル化の社会的側面を前進させ、現下の危機に対処できる、より良い位置に立てることを確認するもの」と評し、9月のG20ピッツバーグ・サミットで発せられた「ディーセント・ワークを支え、雇用の維持を助け、仕事の成長を優先させる回復計画」の実施並びに「失業者及び失業のリスクが最も高い人々に対し、所得、社会的保護及び訓練支援を引き続き提供すること」を求める呼びかけに同調するものと語っています。パスカル・ラミーWTO事務局長は、貿易は世界的に成長と開発に寄与してきたものの、これは自動的に雇用の質の改善に変換されてきたわけではないとして、「貿易開放は良質の仕事を創出する適正な国内政策」を求めるとし、「貿易量を減少させ、数千もの人々をインフォーマルな仕事に追いやった現下の危機において、これは一層明らか」と唱えています。
貿易開放がインフォーマル性に与える影響は各国特有の状況と貿易・国内政策の設計内容に決定的に左右されると推測され、本書の実証分析からは経済の開放が進むとインフォーマル就業は減る傾向があることが示されています。貿易改革は短期的にはインフォーマル就業を増大させる可能性があるものの、より雇用に優しい貿易改革が進められ、適正な国内政策が導入された場合には長期的にはフォーマル・セクターの就業が強まる方向に向かいます。インフォーマル性の悪影響は主として生産性の伸びがないことと企業の平均規模が小さいことに関連し、企業経営における進取の気性や冒険心も減じられます。インフォーマル性が高ければ高いほど、途上国は現下の世界危機のようなショックに弱くなり、自動スタビライザーの効果も減じられます。
世界市場への統合とディーセント・ワーク政策を通じたインフォーマル就業への取り組みは相互補完的なものとみなすべきであり、企業や仕事のフォーマル化の促進は国が貿易開放の利益を十分享受し、生活水準を高め、人間的な労働条件を労働者に提供する助けになります。職の移動を支援し、開放貿易の利益を実現するには社会的保護も決定的に重要であり、貿易改革の設計と同じくらい、社会的保護政策にも注意を向けるべきです。ILO/WTO共同出版物は雇用に優しい形で貿易改革の設計・実行を行い、フォーマル就業の成長につながるような仕事の再配分を行うべきことを提案しています。
2009年9月発表分
良質の仕事を回復の中心に据えることをG20は公約(
英語原文)
2009年9月25日(金)発表ILO/09/46
9月24〜25日に米ピッツバーグに集った主要20ヵ国・地域(G20)の首脳は、将来の経済成長のための雇用指向枠組みの構築及びILOのグローバル・ジョブズ・パクト(仕事に関する世界協定)に対する歓迎の意を表明しました。
9月25日に米国のオバマ大統領が発表したG20首脳声明は、「世界経済が完全に健全な状態に回復し、世界中の勤勉な家庭が人間らしい働きがいのある仕事を見つけることができるようになるまで休むことはできない」として、「我々の国民が必要としている良質の仕事を創出する耐久性のある回復」を確保するための「強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組み」を定めています。「質の高い仕事を回復の中心に置く」と題する節には、「ディーセント・ワーク(人間らしい働きがいのある仕事)を支え、雇用の維持を助け、仕事の成長を優先させる回復計画の実施」に向けた公約が明記されています。失業者及び失業のリスクが最も高い人々に対しては、「所得、社会的保護及び訓練支援を引き続き提供する」とした上で、「現下の困難は国際的に認められた労働基準を無視または弱める口実にはならない」点に合意し、「世界の成長が幅広く利益をもたらすよう確保するため、ILOの就労に係わる基本的な原則と権利に一致した政策を実施すべき」と記しています。
声明はまた、「強固で持続可能かつ均衡ある成長のための枠組み」は、「より包摂的な労働市場、積極的労働市場政策、質の高い教育と訓練プログラムを形成する構造改革」を必要とするとして、ILOに対し、「我々が検討するための訓練戦略の開発」を求めています。
さらに、今年6月のILO総会で採択された「グローバル・ジョブズ・パクト」を歓迎し、「グローバル化の社会的側面を促進するためにその一般的枠組みの中の重要な要素を自国で採用すること」を公約し、国際機関に対しても、「危機及び危機後の分析及び政策策定活動において、ILOの基準及びジョブズ・パクトの諸目標」を考慮することを求めています。
声明はまた、雇用政策に引き続き焦点を当てることを確保するために、ピッツバーグ・サミットの議長が、米国労働長官に対して、「労働及び産業界と協議しつつ、また、雇用危機に関する、来る経済協力開発機構(OECD)雇用労働大臣会合を踏まえ、2010年の早い時期に各国の雇用労働担当大臣を招いて会合を開催するよう指示した」ことを明らかにしています。そして、各国大臣に対し、「変化する雇用情勢を評価し、我々が採用した政策の影響に関するILOその他の組織の報告を検討し、更なる措置が望ましいか否かについて報告し、労働者が科学技術の進展を活用できる準備を確実に整えられるよう、中期的な雇用及び技能開発政策、社会的保護計画、最善事例を検討すること」を指示しています。
ピッツバーグ・サミットに招待され、雇用と社会的保護についての政策及び展望に関する報告書を提出したフアン・ソマビアILO事務局長は、「ILOは労働者、企業、地域社会の関心事をG20会合の席上に持ち込んだ」として、雇用に関するG20首脳の公約を歓迎しました。そして、「銀行の救済に対して示したのと同じ決意と意欲をもって雇用創出の育成」に取り組むことを首脳たちに呼びかけ、ピッツバーグ・サミットがこの方向に向けた大きな一歩となったことを評価しました。より均衡の取れた世界経済の探求に関しては、「危機後の持続可能な成長のためには、危機に寄与した不均衡の是正」が必要とし、多くの国で賃金が生産性に追いつかなかったことが消費と貯蓄の不均衡に寄与したとして、「経済、特に金融部門が過度に強調され、持続可能性の社会・環境面が過小評価」されてきたことを指摘しました。
失業者は増加し続けているものの、G20諸国政府が講じた措置により2009年に最大1,100万人が失業を回避、とILO(
英語原文・
ピッツバーグ・サミット事務局長提出文書仮訳)
2009年9月18日(金)発表ILO/09/45
労働市場の悪化が世界中で進む中、2009年に失業者数は世界全体で2007年より3,900万〜6,100万人増え、記録史上最悪の2億1,900万〜2億4,100万人に達するとILOでは予測していますが、来る9月24〜25日に米ピッツバーグで開かれる主要20ヵ国・地域(G20)サミットへの提出文書(日本語仮訳)の中でフアン・ソマビアILO事務局長は、経済危機が発生して以降に講じられた措置により、G20諸国では今年700万〜1,100万人分の雇用創出または失業回避が達成されると推計しています。
サミット出席を予定しているソマビア事務局長は、特別措置の撤回が早過ぎれば仕事の危機がさらに悪化する可能性を指摘した上で、力強い経済成長と力強い雇用成長を共に進める必要性を訴えています。そして、まともな仕事と最低限の社会的保護が得られない限り、世界の人々は危機が遠のいたと実感しないだろうとして、民間の需要が景気回復と雇用を支えられるようになるまで政府が雇用及び社会的保護の諸策を支え続ける公約を示す機会として、ピッツバーグ・サミットに寄せる期待を表明しました。さらに、世界全体で毎年約4,500万人の若者が労働市場に新規に参入する現状では、力強い経済成長及び成長に占める雇用の割合を高めることの両方が不可欠であるとして、投資、成長、生産性と、持続可能で均衡の取れた将来に向けた成長の基礎となる雇用、労働市場、社会・環境政策とのより強固なつながりの形成を求めています。
2009年4月に開かれたG20ロンドン・サミットは、ILOに対し、労働市場に対する経済危機の影響に取り組むため、他の関連機関と協力し、取られた行動と将来必要な行動を評価することを求めています。ILOはそこで、日本を含む世界54ヵ国について2008年半ばから2009年7月30日までに取られた行動を検討する報告書を作成し、ピッツバーグ・サミットに提出しました。「Protecting people, promoting jobs: A survey of country employment and social protection policy responses to the global economic crisis(人々を保護し、仕事を促進する:世界経済危機に対応した各国の雇用・社会的保護政策調査・英語)」と題する報告書は、1)労働需要の刺激、2)仕事・求職者・失業者の支援、3)社会的保護と食の安全保障の拡充、4)社会対話の活用と就労に係わる権利の保護の4分野32の具体的な方策を検討し、これらの措置の結果、2009年上半期における失業者の合計増加分の29〜43%に及ぶ雇用創出または失業回避が達成されたと結論づけています。
今年6月に開かれた第98回ILO総会では、景気回復期における雇用成長潜在力を最大化することに向けた一連の政策措置が盛り込まれた「グローバル・ジョブズ・パクト(仕事に関する世界協定)」が政労使三者の合意によって採択されましたが、基盤構造向け追加支出、小企業対象の助成金及び減税、小企業向け信用貸付、訓練分野の事業計画・便宜供与、労使団体との協議、現金移転を通じた社会的保護といった最も頻繁に見られる措置はグローバル・ジョブズ・パクトに示されている政策選択肢に密接に沿っています。報告書は十分に注意が払われていない分野を指摘した上で、各国の措置が危機対応から回復準備に移行している状況を示し、雇用・社会的保護面での危機対応策を強化するために、低所得国は追加的な支援を必要とすることも記しています。
2009年7月発表分
「仕事に関する世界協定」に対する国連経済社会理事会の支持を歓迎−ILO(
英語原文)
2009年7月27日(月)発表ILO/09/44
170カ国以上の出席を得て現在ジュネーブで2009年の年次会合を開いている国連経済社会理事会は、7月24日に、現在ILOの理事会議長を務めるブラジルのファラニ・アゼベド大使が発表した、ILOの「仕事に関する世界協定(Global Jobs Pact)」に関する決議を全会一致で採択しました。
決議は「すべての国が受けている経済金融危機の影響の深さと規模、そしてそれに続く雇用の喪失と人間の苦難」に言及した上で、国連加盟国に対し、「各国が自国の状況と優先事項に特有の総合政策を策定できる一般的な枠組みとして、仕事に関する世界協定を推進し、十分に活用する」ことを奨励しています。さらに、国連の各種基金、計画、専門機関に対しては仕事に関する世界協定を考慮した政策や事業計画を、国際金融機関その他の関連する国際機関に対しては協定の政策部分を活動に組み込むことを求めています。援助国、多国間機関その他の開発パートナーに対しては、仕事に関する世界協定に含まれる勧告や政策選択肢の実行に向けた資金提供の検討を呼びかけています。決議の実施における進展状況は、経済社会理事会の2010年年次会合において国連事務総長が報告するよう求められています。
フアン・ソマビアILO事務局長は、「状況の緊急性並びに協定の適時性及び妥当性」を示すこの決議の採択は、「ILOの仕事に関する世界協定に対して高まりつつある国際的な支持に新たに強力な要素を加えるものとなり、世界的な仕事の危機に取り組むフォローアップ行動の強固な足場を形成する」として歓迎の意を表しました。
2009年6月に開かれた第98回ILO総会で採択された仕事に関する世界協定は、各国、地域、世界レベルで、雇用と社会的保護を回復政策の中心に据える世界的な行動を求める緊急の呼びかけです。ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)をすべての人へというILOのディーセント・ワーク課題を基礎とした実体経済の回復のための生産的な成長の道筋を示すものであり、各国が地域機関や多国間機関の支援を受けながら、経済、社会、環境の持続可能性を追求しつつ現在行っている危機対応を強めるために採用できるバランスの取れた現実的な一連の政策措置を提案しています。既に、7月初めにイタリアで開かれたG8首脳会合でも、世界的な危機に対応し、グローバル化の社会的側面を前進させる上で仕事に関する世界協定は適切であることが強調されました。
「仕事に関する世界協定」に対するG8の支持を歓迎−ILO事務局長(
英語原文)
2009年7月9日(木)発表ILO/09/43
7月8〜10日の日程でイタリアのラクイラで開かれている先進8ヵ国のG8首脳会合(ラクイラ・サミット)に出席しているフアン・ソマビアILO事務局長は7月9日、6月に開かれた第98回ILO総会において加盟国政労使の合意によって採択された「仕事に関する世界協定(Global Jobs Pact)」に対するサミットの強い支持を歓迎する声明を発表しました。
ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)をすべての人へというILOのディーセント・ワーク課題に基づき、現下の経済危機から実体経済を回復させる生産的な成長のための戦略である「仕事に関する世界協定」は、回復政策の中心に雇用と社会的保護を位置させることを求める緊急の呼びかけです。G8首脳宣言はこの世界協定について、次のように記しています。「社会及び雇用政策は、新しい世界的な枠組みの文脈において、極めて重要な柱である。(中略)国際機関に加え、先進国、新興市場国及び開発途上国は、雇用重視の成長の確保と社会の一体性促進のために、共同して取り組むべきである。仕事に関する世界協定(中略)に基づき、ILOのディーセント・ワーク課題を前進させることは、全世界レベルでの危機への対応及びグローバル化の社会的側面を進める上で適切である。政府及び企業は、危機を口実として、労働者の権利の履行や労働者保護を縮小させるべきではない。」G8宣言ではまた、「金融危機のより広範囲な結果を回避し、責任ある企業慣行を促進するための強化された取り組み」及び「国際的に認識された任意の企業の社会的責任(CSR)基準の普及」を求める呼びかけに関わり、ILOの名が言及されています。
ソマビアILO事務局長は、仕事に関する世界協定に対するG8のこのような支持を「国際社会の危機対応における大きな一歩」であるとし、「危機の人的側面に取り組み、より強固な基盤の上に立って成長を回復すること」へのG8の公約を歓迎しました。また、G8首脳宣言が、国際機関、特に世界銀行、国際通貨基金(IMF)、世界貿易機関(WTO)、ILO、経済協力開発機構(OECD)に対し、協力を強化し、一貫性を向上させるよう呼びかけていることについては、「とりわけ途上国が、必要な政策的余裕と資源・資金をもって仕事に関する世界協定を実行できるためにはこのような協力体制が必須」と歓迎の意を示しました。そして、「世界的な仕事の危機に正面から取り組むことを皆が決心し、調整の取れた形で行動し、多国間機関同士の協力に飛躍的な前進があったとすれば、回復のスピードを速め、仕事の危機の期間を縮め、その深刻度を緩和し、長期的な被害から最も弱い人々を保護することができ、このように行動することによって経済的、社会的、環境的、政治的に持続可能な世界を構築できるだろう」と述べています。
仕事に関する世界協定は、各国がそれぞれの国内状況に合わせて選択できるよう、多くの国でその効果が証明されている複数の実践的かつ機能的な政策を提示しています。
国連経済社会理事会でILO事務局長「仕事に関する世界協定」を発表(
英語原文)
2009年7月6日(月)発表ILO/09/42
フアン・ソマビアILO事務局長は7月6日、同日開幕した国連経済社会理事会年次会合の冒頭に開かれるハイレベル部会において、去る6月19日に第98回ILO総会において採択された「仕事に関する世界協定(Global Jobs Pact)」を紹介する演説を行いました。
「仕事に関する世界協定」は、「この危機の根底をなす金融経済の行き過ぎと誤った管理に対する実体経済の行為者の生産的な対応」と紹介した上で、ソマビア事務局長は、7月31日までの会期中に世界経済における金融動向や国際開発といった幅広い事項を検討する経済社会理事会に対し、「働く人々、家族、地域社会は、政治課題となるような人民の課題という、自分たちの懸念事項が、国家の優先事項であると同時に密接な国際調整と協力の対象として取り上げられているとの安心感」を必要としていると訴えました。
世界協定は、各国がそれぞれのニーズと状況に合わせて適応できる一連の危機対応策を提案しています。最も脆弱な人々に重点を置き、あらゆる方策にジェンダーの視点を組み込みつつ、雇用を維持し、企業を支え、社会的保護制度と組み合わせて雇用創出と仕事の回復を加速させる方策を提案し、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)をすべての人へというILOのディーセント・ワーク課題に沿った政策を通じて世界的な仕事の危機に一丸となって共に取り組むことを政府及び労使団体に呼びかけています。経済成長の回復と雇用の回復の間に通常見られる数年間の時差を短縮することが世界協定の中心的な目的です。
資金について、ソマビア事務局長は、「これは政府があとどれだけ支出する必要があるかということだけでなく、人々が気にかけている事項に政策をどう集中させるかの問題」として、財政的に責任ある形で資金的な裏付けを行う決定は各国の責任としています。同時に、開発協力の公約を維持し、アフリカや後発途上国、危機を和らげる財政的な余裕が十分でない国に対する譲許的貸付限度額を引き上げることを必須の事項と語っています。
2009年6月発表分
ILO理事会新議長選出/結社の自由委員会、ミャンマー、カンボジア、イランの案件に特に言及(
英語原文)
2009年6月19日(金)発表ILO/09/41
第98回ILO総会直後の6月19日に開かれた第305回ILO理事会は、2009〜10年の議長として、ブラジルのマリア・ナザレチ・ファラニ・アゼベド在ジュネーブ国連常駐代表・大使を選出しました。ファラニ・アゼベド大使は2008年9月のジュネーブ赴任に先立つ2003〜07年には外務大臣直属の政治顧問及び首席補佐官を務め、2004〜05年にはルラ大統領の「反飢餓・貧困行動」イニシアチブで交渉責任者も務めています。労働者側副議長には、理事会労働者側グループのスポークスマンでもあるルロイ・トロットマン・バルバドス労働者組合書記長、使用者側副議長には、ダニエル・フネス・デ・リオハ・アルゼンチン産業連合社会政策部会長がそれぞれ再選されました。
理事会は総会審議のフォローアップとして、世界的な景気回復刺激、仕事の創出、働く人々とその家族の保護に向けた国内及び国際政策を導く、仕事に関する世界協定が総会で採択された事実を歓迎し、即時に実際の行動を起こし、協定を実施に移すことを呼びかけました。
第305回理事会はまた、26件の案件を審査したILO結社の自由委員会の第354次報告書を承認しました。委員会は、カンボジア、イラン、ミャンマーの案件に特に注意を喚起しました。労働組合指導者の殺害などが問題になっているカンボジアについては、捜査の進展状況に関する情報が寄せられないことを遺憾とし、独立した迅速な捜査の確保、人々が身の危険を感じずに労働組合活動を実施できることの確保などを求め、司法関係者の能力構築の緊急性を強調しました。ストライキ及び関連する抗議行動に参加した労働者の警察による殺害、逮捕等を訴える3件の案件が取り上げられているイランについては、ILOの直接接触ミッションの受け入れに肯定的な政府の声明を歓迎しつつ、拘束されている組合運動家の即時釈放、使用者連盟の登録に向けた措置を直ちに講じることなどを政府に求めました。複数労働組合を許すように見える方向で労働法の改正が提案されていることに対しては関心をもって留意し、政府に努力を促しました。結社の自由が存在しないことなどが問題になっているミャンマーについては、2008年11月に出された委員会の二つの勧告がいずれも実施されていないことを遺憾とし、拘束されている労働者活動家の即時解放や結社の自由をすべての労働者に保障する法の成立、結社の自由を妨げる国内法制が適用されないことの確保、軍及び公務職員に向けて労働者の集団的な代表形態の自由な活動を妨げる何らかの行為を当局が差し控えるよう確保する指示を出すことなどを政府に求めました。
日本については、公務員法改正の過程で労働者団体と適切な協議が行われておらず、改正法が十分な代償措置を伴わずに公務員の労働基本権の制約を維持している上、現行法の改悪につながるとして、連合及び全労連が2002年に行った申立てに関し、2008年6月に続く5度目の中間報告が出されました。昨年6月の国家公務員制度改革基本法の成立及びその後の公務員制度改革法案を巡る動きに関する政府及び申立団体からの報告を審査した上で、委員会は、公務員の基本権の問題を解決し、適当な代償的保障措置を講じる以前に公務員の給与制度の再検討に向けたいくつかの提案が一方的に示されたとの申立てに懸念を示し、代償的な仕組みを確保する必要性に留意しつつ、給与制度見直し手続きに関し、相互に許容可能な条件を決定することを目指し、関連するすべての労働者団体と率直な協議を十分行うことを政府に期待すると共に、公務員に対する労働基本権の付与や消防職員・刑務所職員に対する団結権付与といった結社の自由及び団結権保護条約(第87号)並びに団結権及び団体交渉権条約(第98号)に含まれる結社の自由原則の実施に必要な措置に実効的かつ遅滞なく取り組むための十分な社会対話の仕組みの推進を求める従来の勧告を改めて繰り返しました。公務員制度改革基本法に基づき設置された労使関係制度検討委員会の構成に関連しては、あらゆる代表的な団体に公正な処遇を与える必要性を考慮することを政府に期待し、継続的な情報提供を求めました。必要であればILOの技術支援を活用できる可能性に再び言及し、本件の法的側面について条約勧告適用専門家委員会の注意を喚起することとしました。ほかに、フォローアップ段階にある案件として、中央労働委員会及び地方労働委員会の委員任命における特定労働組合優遇に関する全労連による申立てが取り上げられ、全労連推薦委員が中央労働委員会の委員に任命された旨の申立団体からの報告を受け、委員会は満足の意を表明すると共に地方労働委員会でもそのような進展が見られることへの期待を示しました。
第98回ILO総会閉幕(
英語原文)
2009年6月19日(金)発表ILO/09/40
加盟183カ国から4,000人を超える政府及び労使団体の代表が出席し、6月3日からジュネーブで開かれていた第98回ILO総会はHIV(エイズウイルス)/エイズ、男女平等、国際労働基準の適用などに関する幅広い事項を審議し、仕事に関する世界協定を採択して6月19日に閉幕しました。総会の主な成果は以下の通りです。
- 事業計画・予算:ILOの事業計画は2暦年制を取っており、2010/11年の事業計画・予算が採択されました。予算額は現行同水準の7億2,670万ドルです。
- HIV/エイズ:依然拡大が続いているにも関わらず、保健予算、開発援助、治療計画に経済危機の影響が見られる中、来年の総会で仕事の世界とHIV/エイズに関する新しい勧告を採択することに向けた討議が開始されました。第一次討議の結果、勧告は万人に開かれたHIVの予防、治療、ケア、支援を受ける機会に対する仕事の世界の寄与を強化するものとし、国や職場レベルにおける予防計画及び差別防止策に関する規定を盛り込むことが提案されました。
- 仕事の世界における男女平等:20年以上ぶりに一般討議が行われ、総会は前回(1985年)の討議以降の実質的な進歩を認めつつも、大きな課題が残っていることを指摘し、ILOに対しては仕事の危機に対する対応と今後の活動として、教育及び技能訓練における男女の機会平等の達成、家族的責任の分担、労働報酬、公式経済における仕事、起業家精神の育成、就労に関わる権利の行使において加盟国政労使を支援することが求められました。経済危機については、女性の能力強化の面で得られたもろい進歩を脅かしている一方で、新たな男女平等政策を形成する機会を提示するものとされました。
- 国際労働基準:総会の基準適用委員会は、条約勧告適用専門家委員会の報告書をもとに25件の個別案件を審査し、ミャンマーの強制労働条約(第29号)適用状況に関する特別会議を開催しました。ミャンマーの特別会議では、ある程度見られる進展は全く不十分なものであるとして、関連法及び新憲法の内容を第29号条約に沿ったものとすること、強制労働行為の根絶確保、労働を強制した者の刑法に基づく起訴・処罰、強制労働撤廃及び違反者訴追に向けた政府方針を人民に明確に周知する最高レベルからの権限ある声明の発行、強制労働苦情申立て機構説明文書の発行承認、強制労働被害者等による苦情申立てに関わる問題の除去など、1998年に出された審査委員会の勧告及び専門家委員会の見解を遅滞なく完全に実施することを政府に強く促しました。また、アウン・サン・スー・チー女史の拘束を含む人権侵害が続く状況に懸念を表明し、女史や他の政治犯、労働運動家、苦情申立てに関与して現在投獄されている人々の解放を求めました。
個別案件の中では、次の3件が特に深刻なものとして注意が喚起されました。ミャンマー及びスワジランドにおける結社の自由及び団結権保護条約(第87号)、イランにおける差別待遇(雇用及び職業)条約(第111号)の適用状況。ミャンマーについては、結社の自由の完全な欠如と団結を試みる人々が組織的に訴追される現状は強制労働の存在と分けて考えることはできないとされました。スワジランドについては、第87号条約に沿った国内法の改正が進んでいないことが指摘され、市民的自由の行使によって拘束された人々の解放が求められました。イランについては、労働市場における女性の状況に関する実質的な進展が全く見られないことや、人種・宗教上の少数派が直面している雇用と職業における機会平等に関する問題に対する懸念が表明されました。
今年の総合調査報告は労働安全衛生分野の基準(1981年の職業上の安全及び健康に関する条約(第155号)及び同名の勧告(第164号)、第155号条約の2002年の議定書)を取り上げており、審議の結果、これらの文書の促進に向けた行動計画の要素を定める結論が採択されました。
総会にはほかに、アラブ被占領地の労働者の状況に関する最新の報告や強制労働に関するグローバル・レポートが提出され、本会議で審議されました。
仕事の創出、労働者保護、景気回復刺激を目指す「仕事に関する世界協定」をILO採択(
英語原文)
2009年6月19日(金)発表ILO/09/39
失業、貧困、格差の増大は世界的に長く続き、企業破綻も継続する見通しの中、6月19日に閉幕した第98回ILO総会は、景気回復への刺激、仕事の創出、働く人々とその家族の保護に向けた国内・国際政策を導く目的で「仕事に関する世界協定」を採択しました。今年で創立90周年を迎えるILOにおいてこれまでに採択されたうちで最も迅速かつ広範な経済危機対応策であるこの世界協定は、すべての人へのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を提唱するILOのディーセント・ワーク課題に沿った政策を通じて世界的な仕事の危機に一致協力して取り組むことを政府及び労使団体に呼びかけています。各国がそれぞれの具体的なニーズと状況に合わせて採用できる、成功例に根ざした一連の危機対応策の提案に加え、多国間レベルの活動を支援し、情報を提供するものとなっています。最も弱い人々に対するものを中心にした就労継続策、企業支援策、社会的保護制度と組み合わせて雇用創出と仕事の回復を加速化する方策が示されており、どの方策にも常にジェンダーに対する配慮を組み込むよう提案されています。金融部門が実体経済の役に立ち、持続可能な企業とディーセント・ワークを推進し、人々の年金や貯蓄をよりよく保護するよう、より強力でより世界的に一貫性のある監督規制の枠組みの構築や、すべての人々に利益をもたらす効率的で十分に規制された貿易と市場を促進し、保護主義を回避するための協力体制、仕事の回復を加速する助けになるであろう、環境に優しい低炭素経済への移行を呼びかけています。政府に対しては、公共インフラ投資、特別雇用事業、社会的保護の拡大、最低賃金などの選択肢の検討を提案しています。途上国においてはこのような方策が特に貧困を削減し、需要を高め、経済の安定性に寄与するであろうとし、援助国や多国間機関に対しては世界協定の提案事項や政策選択肢の実行を支援する資金協力の検討を促しています。
世界の失業者数は過去最大幅の増加を示し、高い貧困水準が続いています。景気回復が今年または来年軌道に乗ったとしても、世界的な仕事の危機は6〜8年は続くとILOでは推定しています。その上、世界全体で毎年4,500万人が新たに労働力に加わる現状では、失業水準を危機前の水準に復帰させるためだけでも今後5年間で約3億人分の働き口を新規に創出する必要があります。
総会ではまた、企業の役割、雇用政策、社会的保護、労働者の権利、社会対話、開発協力、地域調整を通じた仕事の危機への取り組みの各テーマを巡る熱心な討議が行われました。国家元首・政府首脳、副大統領、労働大臣、労使代表その他のリーダーの出席を得て3日間にわたって開かれた仕事に関するILO世界サミットも仕事に関する世界協定、そして4月にロンドンで開かれた主要20カ国のG20会合のフォローアップにILOが関与を強めることに強い支持が表明されました。ロンドンのG20会合では、ILOに対し、雇用と社会的保護に関し、他の関連機関と協力し、取られた行動と今後必要な行動を評価するよう求めています。
世界協定を審議した総会の危機対応全体委員会のダニエル・フネス・デ・リオハ使用者側副議長は世界協定を「回復に必要な政策対応に対する重大な貢献」と位置づけ、使用者側の支持を表明しました。ルロイ・トロットマン労働者側副議長は「政府及び町中の男女に送るビジョンと変革とリアリズムのメッセージ」として、政府、使用者、労働者が協力し合い、仕事に関する世界協定を1枚の紙切れから現実のものとすることへの決意を呼びかけました。フアン・ソマビアILO事務局長は「より環境に優しく、より均衡が取れ、より公正で持続可能な世界経済への地ならしをしつつ、景気回復と仕事の創出を後押しする緊急の行動」が必要と唱え、この協定が、既に成果が証明された政策を基礎として、ILO加盟国政労使が共に切り開いていく道筋を示すことへの期待を表明しました。
世界的な仕事の危機に関するILOサミット(
英語原文)
2009年6月12日(金)発表ILO/09/38
ILOは6月15〜17日に、現在ジュネーブで開かれている年次総会の枠内で、世界的な仕事の危機に取り組むために各国及び国際レベルで実施されている政策について話し合う初の機会を設けます。
この「世界的な仕事の危機に関するILOサミット」には、ポーランド、フィンランド、モザンビーク、ブラジル、フランス、アルゼンチン、トーゴ、ブルキナファソ、ジャマイカの大統領、首相といった9人の国家元首・政府首脳、6人の副大統領、複数の労働大臣、労使団体リーダーの出席が予定されています。サミットにおいては、1)地域的・世界的な調整、2)開発協力、3)各国の仕事に関する課題の管理、4)就労上の権利、社会対話、企業の生き残りの四つのテーマ別パネル討議も行われます。
ILO新刊−アラブ被占領地における労働者の状況(
英語原文)
2009年6月11日(木)発表ILO/09/37
現在ジュネーブで開かれている第98回ILO総会には事務局長報告付録として例年通り、アラブ被占領地(パレスチナ)の労働者の状況について記した討議資料が提出されています。今年初めに、ヨルダン川西岸、ガザ、ゴラン高原といったアラブ被占領地における労働者の現状を調べるために、現地に加え、イスラエルやシリアを訪れたILO視察団の視察結果をもとにまとめられた報告書、「The situation of workers of the occupied Arab territories(アラブ被占領地の労働者の状況・英語)」は、和平交渉が暗礁に乗り上げているアラブ被占領地における人々、経済、社会の暗澹たる状況を克明に記しています。
数千の工場が閉鎖され、失業率は44.8%に達し、近代経済は停止して非公式な当座しのぎの活動に置き換えられ、人々は実質的にほかの世界から隔絶されて国際援助に頼って生きているガザについては特に、人間の災害のあらゆる要素が詰まっているとして懸念を示しています。一方、西岸は安全事情と経済活動の幾分の改善による小康状態を示しているように見えるとしつつも、平均所得の低下を食い止め、暗い雇用展望を改善するには至っていないとし、封鎖措置があらゆる経済の芽をつみ取っていると指摘しています。東エルサレムを含む西岸でイスラエルの入植地が拡大を続けている状況については、土地への立ち入りや水を含むその他の資源の利用機会を断たれ、家屋や企業のような経済基盤構造の構築を禁じられているパレスチナの人々や物品の移動に深刻な制約を課すこととなり、生計に直接的な影響を与えるとしています。そして、東エルサレムは基本的に社会的、経済的、政治的に西岸から切り離されており、アラブ住民に課される住居や居住環境、居住資格、したがって仕事や生計手段に対する圧迫が激しくなっていると記しています。また、ゴラン高原の占領地に住むシリアの人々も就職や土地への立ち入り、水の入手などにおいて深刻な制約を経験していると指摘しています。
報告書はさらに、パレスチナの経済と労働市場が占領下で機能できていない状況について示し、15〜29歳の若者の半数以上が仕事に就いているわけでも教育を受けているわけでもないニート状態にあることについて、貴重な人的資源の浪費であるだけでなく、危険な材料でもあると懸念しています。高い失業率と生産性の低い就業状態は長引く屈辱的な貧困と共存しており、パレスチナの国内総生産(GDP)は2008年に前年よりわずかに伸びたものの人口増のために所得成長にはつながらず、一人当たり実質GDPは1999年のピーク時より約28%下がっています。
2008年5月にパレスチナ労働大臣の承認を受け、ILOはアラブ被占領地における技術協力計画を拡充し、労働市場の統治と労働者の権利の強化、技能開発・地域経済開発を通じた就業能力の向上、民間部門の成長に向けた企業家精神と生産性の促進を目指した雇用計画を実施しています。国連国別チームの事業計画立案においてもILOの技術支援が組み込まれ、パレスチナにおける女性の社会的、経済的、政治的能力強化の促進に関わる活動、パレスチナ2009/10年ガザ早期復興・再建計画、パレスチナ雇用計画にも参加しています。
報告書は打撃を受けた企業や職場を再活性化させる上での労使の役割を強調すると共に、国際社会に対しては、パレスチナの人々が終わりなき窮乏を克服し、すべての近隣諸国との和平及び尊厳をもって国家としての正当なる権利を行使できるようより力強い後押しを求めています。プラスの変化をもたらす可能性がある方策として、報告書は次の5点を提案しています。
- ガザ包囲の解除と2005年に達成された西岸及びガザ地区における移動と立ち入りに関する合意の実施
- 民間企業及び労働者に対する移動と立ち入りにおける制限の解除
- パレスチナ内部の調停における明確な結果の達成
- パレスチナ当局による公共統治の継続的改善
- 国際支援における雇用要素の最大化
危機によって児童労働に従事する少女が増大するリスクをILO指摘(
英語原文)
2009年6月10日(水)発表ILO/09/36
6月12日の児童労働反対世界デーに際してILOが発表した新しい報告書「Give girls a chance: Tackling child labour, a key to the future(少女たちにチャンスを:児童労働への取り組みは未来へのカギ・英語)」は、児童労働の削減において近年進展が見られてきたものの、世界的な金融危機が児童労働に従事する子ども、特に少女の数を増加させる危険性を指摘しています。
世界人口の16%を占める非識字人口のうち、ほぼ3人に2人が女性であり、初等学校就学年齢にありながら学校に行っていない子どもの55%が女の子であり、相当数の国で学校に入学する割合は男の子100に対し、女の子は約80であるとのデータを示した上で、報告書は、教育において男の子を女の子に優先させる国が多く、貧困が増してどの子に教育を続けさせるか選択する必要が生じた場合、男の子を残す可能性が高く、学校を去った女の子が早くから働き始める可能性を示しています。そして、教育を受けた少女は大人になってからの収入がより高くなり、結婚年齢も遅く、より健康的な子どもをより少なく生み、家庭内における意思決定権も大きくなり、自分の子どもにもより確実に教育を受けさせるとし、貧困に取り組む効果的な方策として、少女の教育に投資することの重要性を強調しています。児童労働を増やす要因としては、ほかに、国の教育予算の削減、移民労働者が母国の家族に送金する金額の減少が挙げられます。
最新の推計によれば、世界全体で1億人を超える少女が働いており、その多くが最悪の形態の児童労働に従事しています。少女に特に注意が必要な事由として、1)少女の従事している仕事の多くが、虐待の報告が絶えない、他人の家庭内における家事手伝いといった、人目にさらされない仕事であることから特別の危険があること、2)自宅でも男の子より女の子の方が家事を手伝っており、自宅外での労働に加えてのこの二重の負担が学校中退のリスクを高めること、3)多くの社会で女の子の地位は低く、基礎教育を欠く可能性が高いことから将来の機会が制限される場合が多いことなど、少女特有の状況が挙げられます。
今年は最悪の形態の児童労働に関するILO第182号条約の採択10周年にも当たります。フアン・ソマビアILO事務局長は、この条約の全加盟国による批准まであと14カ国を残すのみとなった進展を歓迎した上で、親に対する仕事、男の子と女の子の両方が学校を続けられるよう支援する社会的保護措置、基礎教育や訓練を受ける男女平等の機会の提供など、児童労働から子どもを保護する統合的な対応の必要性を挙げ、現下の危機において選択される政策は児童労働削減に向けた戦いを進めることへの各国及び世界の公約の試金石となろうと語っています。
世界約60カ国で、児童労働反対世界デーの様々なイベントが予定されています。ILO総会が開かれているジュネーブでは、第182号条約採択10周年を記念した特別会議が開かれます。日本では世界デー当日の6月12日に、ILO駐日事務所主催のセミナー「少女たちにチャンスを:児童労働を終わらせよう」が予定されているほか、6月9〜14日に「少女たちと児童労働」をテーマとする写真パネル展が行われています。
ILOは児童労働撤廃国際計画(IPEC)を通じて、世界約90カ国で、児童労働に取り組む法や政策の枠組み策定支援といった政策レベルの活動から児童労働の予防や働く子どもの救済に向けた事業計画など、幅広い活動を展開しています。各地で実施されている活動の多くが少女を対象とし、児童労働に代えて教育と訓練の機会を提供しています。危険な労働、商業的性的搾取、人身取引、奴隷労働といった最悪の形態の児童労働については2016年までの全廃を目指した世界行動計画に基づき取り組んでいます。
経済危機が雇用と社会的保護にもたらす結果に早急に取り組む「仕事に関する世界協定」をILO事務局長提案(
英語原文)
2009年6月3日(水)発表ILO/09/35
フアン・ソマビアILO事務局長は6月3日に行った第98回ILO総会における演説で、景気下降が6〜8年に及ぶ雇用と社会的保護の危機をもたらす可能性を指摘して「仕事に関する世界協定」の採択を呼びかけました。失業問題の深刻化や貧困層の増大から圧迫される企業経営に至るまで、仕事の世界は経済問題の様々な影響を被っている上、新規労働力の増加に対応するだけでも世界経済は2015年までに約3億人分の新規雇用を創出する必要があるとし、事務局長は2010年末、あるいはもしかすると2011年まで失業率は上がり続けるとの予想を示しました。
景気下降のスピードは減速の兆候を示しつつあるものの、雇用が危機前の水準に戻るには過去の経験から平均4〜5年の遅れが予想されるとし、ソマビア事務局長はこの差を相当に縮小する政策の提案を政労使三者で構成されるILOの責任としました。事務局長が唱えるこの「仕事に関する世界協定」は、雇用と社会的保護をあらゆる経済・社会政策の中心的な要素に据え、投資と企業、社会的保護と雇用創出に牽引された生産的なビジョンを促進することに向けた政労使の公約を意味するものであり、過去に効果が確認された政策や試行的なものなど一連の政策を基礎としています。これらの政策は、包括的な形で採用された場合、社会の緊張を和らげ、景気下降に際して人々を保護し、何よりも重要なこととして総需要を刺激し、明日の成長に備えるものとなろうと事務局長は期待を述べています。
将来の動向の多くが、各国が採用する総合的な経済・社会政策と刺激策が成功するか否か、そして金融部門が機能するか否かにかかっているとした上で、事務局長はディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現に向けた政策を通じた回復に関する政労使の強い合意を形成することを私たちの直接的な義務と訴えました。協定は国際的な法的義務を創設するものではなく、国内及び国際的な場で漸次採用される事業計画につながるような共通の政策アプローチに関する合意であると事務局長は語っています。
過去の成長の利益は高度に集中していたのに対し、危機の対価は幅広く分布しているとして、ソマビア事務局長は「人を優先させる」ことの有言実行を最優先事項と唱えました。そして、労働者、家族、企業がこの世界経済初の体系的な危機をしのぐ助けを提供し、回復と持続可能な成長に向かうディーセント・ワークの道を敷設する基礎を構築する各国、地域、世界のイニシアチブとしての「仕事に関する世界協定」の形成を呼びかけました。
第98回ILO総会には、183のILO加盟国から4,000人近い出席者が見込まれています。6月15〜17日には、10人を超える国家元首・政府首脳、6人の副大統領、加盟各国の労働大臣、労使リーダーらが出席する世界的な仕事の危機に関するILOサミットが開催されます。
第98回ILO総会役員選出(
英語原文)
2009年6月3日(水)発表ILO/09/34
ジュネーブで6月3日に開幕した第98回ILO総会は、議長としてバングラデシュのカンダケル・モシャラフ・ホセイン労働・雇用・国外居住者大臣、副議長としてエジプト産業連盟のサミル・ハッサン・アラム労働事項委員長(使用者側)、アメリカ労働総同盟産別会議(AFL−CIO)のジェラルド・A・ゼルホーファー欧州代表(労働者側)を選出しました(その後、6月10日に政府側副議長として、エクアドルのティト・パルマ・カイセド労働・雇用副大臣を選出)。
議長就任に当たり、ホセイン大臣は、世界的な経済・社会危機とILOが代表する価値について語り、「この状況は真に集団的な決意、集団的な行動計画を求める」とし、その中心に職とディーセント・ワーク(働きがいのある人間的な仕事)を促進する協調的な素案を据えない限り、世界的な社会の後退を避けることは困難であろうとの認識を示しました。
総会は議長の提案を受け、世界的な経済・社会危機からの脱出戦略について話し合う危機対応全体委員会の設置を決定しました。
6月19日に閉幕する第98回ILO総会には、183のILO加盟国から政府代表、労使団体リーダーなど、代表・顧問約4,000人が参加することが見込まれます。各加盟国は各々独立して発言し、投票する政府2名、労使各1名の4名からなる代表団を総会に送ることになっています。
2009年児童労働反対世界デー(6月12日)(
英語原文)
2009年6月8日(月)発表ILO/09/33
経済危機が児童労働、とりわけ少女に与える影響に対する懸念が高まる中、6月12日の児童労働反対世界デーに際し、ILOは、児童労働における少女の搾取に光を当て、危機の影響が少女たちを教育から児童労働へと追いやる危険性に警鐘を発する新刊書を発表します。ILOの児童労働撤廃国際計画(IPEC)がまとめたこの報告書「Give girls a chance: Tackling child labour, a key to the future(少女たちにチャンスを:児童労働への取り組みは未来へのカギ・英語)」は働く少女の数について最新の推計値を示し、少女たちが直面している搾取的な形態の児童労働について詳しく記しています。
世界約50カ国で、政府、労使、ほかの国連機関や非政府組織(NGO)などの協力を得て、世界デーの様々なイベントが実施されます。ジュネーブで開かれているILO総会においては、最悪の形態の児童労働に関する第182号条約採択10周年を記念し、1999年の採択時の総会で児童労働委員会のスポークスマンを務めた労使代表やトム・ハーキン米上院議員などの出席を得て、特別会議が開かれます。ナイロビのスラム出身の若いミュージシャンらによるバンド演奏も行われます。日本では世界デー当日の6月12日に、ILO駐日事務所主催のセミナー「少女たちにチャンスを:児童労働を終わらせよう」を開催するほか、6月9〜14日に「少女たちと児童労働」をテーマとする写真パネル展を行います。
国家元首、政府、仕事の世界のリーダーたち、世界的な仕事の危機に取り組む(
英語原文)
2009年6月2日(火)発表ILO/09/32
6月3〜19日の日程でジュネーブで開かれるILOの今年の年次総会には加盟183カ国から約4,000人の政府及び労使団体の代表が出席し、経済・金融危機が雇用、社会的保護、仕事の世界に与えている影響に対する効果的な対応策を求めて話し合いを行います。既に全世界的に多くの人が職を失い、この厳しい失業・貧困情勢は2010年まで続くと予想されています。このような状況を受け、世界的な仕事の危機に焦点を当てるよう今年のILO総会の議題は急遽改められ、労働者、家族、企業を危機の影響から保護し、経済と雇用の迅速な回復を促進する手段について討議することとなりました。雇用と企業の育成を促進し、影響を受けている人々に社会的保護その他の保護を広める方策や政策に関する話し合いも行われる予定です。
6月15〜17日には、約10名の国家元首・政府首脳を始め、加盟各国の副大統領、労働大臣、労使リーダーらが出席する世界的な仕事の危機に関するILOサミットが開催されます。3日の総会開幕直後より、危機対応特別全体委員会において仕事の危機に対する世界的な対応策の詳しい諸要素の検討が始まります。大臣、ハイレベル政策関係者、企業や労働者の代表、国際・地域機関の代表、その他の世界的に有名なオピニオンリーダーの出席を得て、世界的な仕事の危機を巡り、回復と成長に向けて人間を中心に据えたディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)手法を形成する上での企業、雇用政策、社会的保護、労働者の権利、国際労働基準、社会対話の役割について検討する一連のハイレベルパネル討議も行われます。フアン・ソマビアILO事務局長が事務局長報告として総会に提出している討議資料は、国家及び多国間における回復に向けた意思決定に対するILOの貢献として「仕事に関する世界協定」の諸要素を提示しています。事務局長は6月3日の本会議における演説で世界的な仕事の危機とそれを克服するための方法について概説することになっています。
このほかの今年の総会の議題は次の通りです。
- 仕事の世界におけるHIV(エイズウイルス)/エイズ:2010年の総会における新しい勧告の採択に向けた討議が開始されます。勧告には法的拘束力はなく、政策策定や立法行為の際の指針として用いられることを意図しています。
- 男女平等とディーセント・ワーク:すべての人へのディーセント・ワークというILOディーセント・ワーク課題の中心的な要素である男女平等について総括的な審議が行われます。総会の討議資料は、権利、雇用機会、社会的保護、社会対話へのアクセスの面から現在不足している点を明らかにし、男女平等における問題克服に向けた数々の好実践事例を紹介しています。
- 労働基準の適用:基準適用委員会では国際労働基準の実施に関して加盟国から送られた情報や報告、労働安全衛生に関する基準(1981年の職業上の安全及び健康に関する条約(第155号)及び同名の勧告(第164号)、第155号条約の2002年の議定書)についての総合調査報告、ミャンマーにおける強制労働条約(第29号)適用状況に関する検討が行われます。個別条約の適用状況に関しては、約25カ国が討議対象に選ばれる予定です。
- 強制労働に関するグローバル・レポート:6月9日に本会議で行われる討議のために提出されている今年のグローバル・レポートは、「強制のコスト」と題し、強制労働被害者が本来得るはずであった収入などを示す強制労働の機会費用は世界全体で年間200億ドルを超えると指摘しています。
このほかに、アラブ被占領地の労働者の状況に関する最新の報告書の審議も行われます。総会会期中の6月12日は児童労働反対世界デーであり、今年のテーマは児童労働における少女となっています。
総会の全体委員会のパネル討議の一部及び本会議はインターネットでライブ中継が行われます。
2009年5月発表分
経済危機によって仕事はますます減少−ILO(
英語原文)
2009年5月28日(木)発表ILO/09/31
ILOは本日、今年1月に発表した年次刊行物「Global employment trends(世界の雇用情勢・英語)」2009年版を改訂した2009年5月版を新たに発行し、2009年の労働市場の新たな見通しを発表しました。失業、働く貧困層(ワーキング・プア)、脆弱な就業形態に関する数値を上方修正した新しい見通しでは、実際の結果は政府の決定する財政支出の効果と金融部門が機能するか否かに左右されるとしつつ、最も可能性が高い範囲として、2009年の失業者数は2007年より3,900万〜5,900万人(前回の予測では2,400万〜5,200万人)増え、世界全体で2億1,000万〜2億3,900万人、失業率は6.5〜7.4%に達するとの予測を示しました。働く貧困層については、2009年に1日1人当たり2ドルの貧困線を下回る暮らしに陥るリスクがある労働者は世界全体で2007年より2億人増えると予測されます。危機の影響は若者に激しく、2008年に約12%と推定される若者の失業率は2009年に14〜15%台に上昇し、失業者数は前年より1,100万〜1,700万人増えると予測されます。世界の労働力人口は年平均1.6%で成長し、これは毎年約4,500万人が新たに労働力に加わることを意味し、この伸びを吸収するだけでも2009〜15年に約3億人分の新規雇用の創出が必要であるものの、2009年の雇用創出の見通しは記録史上最悪で、2008年に1.4%に低下した雇用成長は2009年にはさらに落ち込んで0〜1%に留まることが予想されます。
地域別では、世界の労働力の16%未満を抱えるに過ぎない先進経済諸国と欧州連合(EU)で世界の失業者数の伸びの35〜40%を占めると予想され、今年の雇用成長はマイナス1.3〜2.7%と見込まれます。EU加盟国以外の中・南東欧及び独立国家共同体(CIS)諸国でも今年の失業者数は最大35%増加し、雇用成長はマイナス1〜2.8%となると予想されます。東アジアでは危機の開始時点で既に合計就業者数の3分の1以上に相当する2億6,700万人が1日2ドルの貧困線以下で暮らしており、一人親方などの脆弱な就業者が失業者の約12倍に達しています。東南アジア・太平洋では輸出産業が深刻な打撃を受けたものの失業者数の増加は比較的緩やかと予想され、脆弱な就業形態が多い南アジアでは失業率は5%近いとされるものの、1日2ドル未満で暮らす労働者の数は2007年より最大5,800万人増えると予想されます。2007年に7.1%を記録した中南米の失業率は2009年に8.4〜9.2%に達し、2007年比で見た失業者数の増加は中東では最大25%、北アフリカでは最大13%に達し、どちらの地域でも脆弱な就業者が増大すると予測されています。既に労働力の73%が脆弱な就業形態にあると推計されるサハラ以南アフリカでは、この数値が今年は77%を突破する見込みです。
新データを発表するに当たり、フアン・ソマビアILO事務局長は状況の深刻さを強調し、世界的な社会の後退を避けるため、6月3日から始まるILO総会で世界的な仕事の危機に調整のとれた形で取り組み、人々に対する影響を緩和することを目指し、「仕事に関する世界協定」に向けた緊急討議を行うことを紹介しました。雇用創出と社会的保護を回復政策の中心に据えることを目指す「仕事に関する世界協定」を今回検討することになった理由として、ソマビア事務局長は、過去の経験から労働市場の回復は平均4〜5年景気回復に遅れていることから世界的な仕事の危機が今後数年持続するリスクを指摘しました。世界協定の目的は、経済と雇用の連動的な回復を加速するため、特別刺激策と政府のその他の政策の両方が、保護と仕事を必要としている人々のニーズにより良く対処するよう確保することです。討議資料として総会に提出される事務局長報告は、ひとたび成長がいくらか回復すると長引く雇用危機に目を背け、尚早に勝利を宣言する危険が存在することを指摘しています。そして、高止まっている食品価格や所得格差の広がり、中産階級の弱体化によって既に広がっていた懸念に加え、働く家族や地域社会に影響する世界的な仕事と社会的保護の危機はより大きな政治の危機を呼び起こすとして、社会後退の火種がくすぶっていることを記しています。仕事に関する世界協定は、実体経済を刺激し、雇用に向けた措置を通じて働く家族を支え、回復を早め、経済成長再開からの時差をできるだけ縮めて雇用回復を発動させるものとソマビア事務局長は期待を述べています。
ILOとハイレベル専門家、危機と自動車産業の将来について議論(
英語原文)
2009年5月22日(金)発表ILO/09/30
経済・社会危機が世界的に深まる中、去る5月20〜21日にジュネーブのILO本部において、危機の影響が最も深刻な産業の一つである自動車産業について、現状と今後の方向性を欧州、アジア、米州の自動車産業の上級専門家がILO幹部と話し合う円卓会議が開かれました。
自動車産業の雇用展望は警戒すべき状態にあり、自動車製造業の就業者数は2007年末に世界全体で約1,000万人であったのが、欧州で250万台、米国で400万台に達した自動車販売台数の落ち込みを受け、100万人余りが職を失うと見られ、組立会社や主導部品会社をはるかに越えた波及効果が出ています。自動車産業の就業者数はドイツでは今後2年間で10〜15%減ると予想され、米国では3大自動車メーカーの雇用に短期的に大きな影響があると見られ、日本でも2008年にこの産業の失業者数は10万人を超えたと言われています。一方、途上国における影響は先進国ほど大きくなく、輸出向け製品が主流を占めるタイのように、自動車生産高が今年第1四半期に前期比54%減を示し、その結果、5万9,000人が職を失った国もあるものの、同じ期間に中国では自動車販売高が前期比4%増となり、インドやブラジルといった国でもあまり影響は出ていないように見えます。
会議では、新しい市場の登場、地球温暖化と石油依存、急速な高齢化、都市化と代替的な輸送形態といった自動車産業の将来に影響する様々な動向に関し、幅広い話し合いが行われました。フアン・ソマビアILO事務局長は、自動車産業は「金融危機の被害を最初に受けた産業の一つ」とし、政府の危機対応の中心に雇用創出を据える必要を訴えました。マサチューセッツ工科大学労働・雇用研究所のトーマス・コーチャン教授は「財政的援助以上のものが必要」と唱え、目前にある課題として「自動車産業における新たな社会契約の形成、職場の理解、労使のみならずそのほかの利害関係者も巻き込むこと」を挙げました。会議では、新車のコストを最大30%減らすであろう製品ライフサイクルの長期化に向けた新たなビジネスモデルの提案、事業再構築の否定的影響を回避し、質の高い雇用を形成する持続可能な産業を維持するような早期警戒システムの構築を目指した欧州自動車産業における労使パートナーシップの紹介も行われました。会議は、自動車産業の危機は循環的なものというよりは体系的なものと結論づけ、自動車産業が基礎とするものや製品を作る方法、使用者と組合との社会的な関係の抜本的な変革の必要性が唱えられました。
来月開かれるILO総会の枠内で、6月15〜16日に開かれる世界的な仕事の危機に関するILOサミットにおいて検討される予定の仕事に関する世界協定には雇用危機に取り組む企業や産業レベルの戦略も含まれる予定です。世界協定は、雇用回復を加速し、不利な集団向けの具体的な措置を通じて包摂的な雇用機会を確保し、社会的保護の対象範囲を拡大し、安全保障を高めるよう、雇用と社会的保護を回復戦略の中心に据えることを目指しています。
モルジブ共和国−183番目のILO加盟国に(
英語原文)
2009年5月18日(月)発表ILO/09/29
去る2009年5月15日、インド洋に浮かぶモルジブ共和国からILO憲章義務を正式に受諾する旨の大統領名の書簡が届いたことにより、同国は同日付で183番目のILO加盟国となりました。
モルジブ共和国は既に1965年9月21日に国連に加盟していますが、国連加盟国はILO憲章の義務の正式な受諾をILO事務局長に通知することによってILOの加盟国となることができます。
第98回ILO総会:議題及び取材要項(
英語原文)
2009年5月14日(木)発表ILO/09/28
182の加盟国より政府、使用者、労働者の代表が出席する今年のILOの年次総会である第98回ILO総会は2009年6月3〜19日にジュネーブのパレ・デ・ナシオン(欧州国連本部)で開かれます。HIV/エイズと仕事の世界に関する労働基準案、グローバル化の中での男女平等の現状、2010/11年のILOの事業計画・予算案といった議題の審議に加え、今年の総会では、経済・金融危機が働く男女に与える影響に対する世界的な対応策を検討する「仕事の危機ILO世界サミット」が開催されます。サミットには、国家元首・政府首脳、大臣、政策策定に携わるハイレベルの人々、企業、労働者、地域・国際機関の代表者、その他世界のオピニオン・リーダーの出席が予定されています。
総会の取材を希望される報道機関の方々は、5月25日までに編集発行人の書状及び身分証明書等の写しを添えて、所定の用紙で事前登録していただく必要があります。登録用紙をご希望の方は、ILO駐日事務所までご連絡ください。
強制労働被害者に支払われるべき「強制のコスト」は年200億ドル超−ILO新刊(
英語原文)
2009年5月12日(火)発表ILO/09/27
ILOがこのたび発表した新刊「The cost of coercion(強制のコスト・英文)・日本語概要・アジア地域概況」は、強制労働被害者が本来得るはずであった収入などを示す機会費用は世界全体で年間200億ドルを超えると指摘し、これは、政府がこの問題に優先的に取り組むべき道徳的な緊急の義務を構成するだけでなく、強い経済的論拠にもなると唱えています。今年6月に開かれるILO総会にグローバル・レポートとして提出されるこの報告書はまた、人々を強制労働状態に導く可能性がある非倫理的な詐欺的犯罪行為の増大を詳記し、その根絶に向けた取り組みの強化を訴えています。さらに、国際・国内的に見られる強制労働の削減及び防止に向けた多大な進展を記しつつも、世界的な経済・雇用危機の状況下では「最も弱い人々が最も影響を受ける」として、供給網における強制労働や人身取引の悪習防止に向けてようやく導入された保護措置をほごにするような調整が行われないよう確保する一層の必要性を説いています。
2005年に出された強制労働に関する前回のグローバル・レポートは、何らかの形態の強制労働または債務奴隷労働に従事している人の数を世界全体で約1,230万人と推計し、このうち980万人が民間業者によって搾取され、240万人以上が人身取引の結果として強制労働に陥っていると報告していました。今回の報告書は、国・地域レベルでの新たな法や政策の導入、危険度が最も高い人々に対する社会的保護提供の拡大など国内・国際的な取り組みの強化を紹介しつつも、適切な政策対応の規定どころか酷使の事例を把握することさえ困難な国もあるとして、強制労働撲滅に向けた進展状況における各国間の違いを示しています。ほとんどの強制労働は依然として途上国に、そしてしばしばインフォーマル経済や、基盤構造、労働監督、法の執行が弱い孤立した地帯で見られることを指摘して報告書は、これに対する取り組みは、法の執行を予防と保護という先行的な方策と組み合わせ、強制労働のリスクにさらされている人々に自分自身の権利を擁護できる力をつけさせる統合的な政策及び事業計画を通じて初めて可能と記しています。
フアン・ソマビアILO事務局長は強制労働をディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の対極にあるものとし、現代の強制労働は政府、使用者、労働者、市民社会と共に取り組む国際社会の持続的な公約がある限り根絶可能と唱えています。ILO強制労働撲滅特別行動計画のロジャー・プラント部長は強制労働が刑事処罰を必要とする重大な犯罪である事実を決して忘れてはならないと強調し、国内法における定義がしばしば明確さを欠いている点に注意を喚起した上で、労働と刑事の二つの面からの司法制度を用いて予防と法の執行を通じた統合的な形で問題に取り組むことを課題に挙げています。
政府、石油産業企業・労働者がILOで会合:世界的な危機が石油・ガス産業にとって持つ意味を議論(
英語原文)
2009年5月11日(月)発表ILO/09/26
石油・ガス部門における雇用が世界的に減少している中、政府及び同産業労使団体の上級代表が5月11〜14日にジュネーブのILO本部で会合をもち、石油産業における労使関係の現状について話し合いを行います。
会議の討議資料として作成された報告書「Social dialogue and industrial relations issues in the oil industry(石油産業における社会対話と労使関係問題・英文)」によれば、石油・ガス採取部門の就業者数は2004年に世界全体で約400万人とピークを迎えた後、徐々に減少し、2006年に300万人台であったとされています。このほかに、精油産業で150万人が働くと推計されています。石油産業では2010年までに技能労働者が最低でも6,000人不足することになると予測されていますが、エリサベス・ティノコ部門別活動局長はこれを控え目な見積もりとし、実態はもっと悪くなる可能性を推測した上で、技能労働者不足の根源的な要因として90年代の雇用削減と採用抑制、労働条件が悪く危険であるとの一般的な認識を挙げ、現下の経済危機が状況をさらに悪化させる可能性を述べています。石油会社は教育や訓練への多額の投資など、現下の及び将来的な事業上のニーズに対処するために採用手続きの多様化を図っていますが、ティノコ局長は技能労働者数を十分に増加させることは産業だけでは難しいとして、政府の重要な役割を指摘しています。報告書は、新規技能労働者の確保に向け、労働者団体を含む、石油産業と政府との対話を提案しています。
この部門の不安定な雇用は請負労働を着実に増加させ、労使関係上の問題を生じさせています。報告書は、中核労働者と周縁労働者といった労働力二極化の進行を指摘した上で、複雑な雇用慣行はしばしば誰が使用者かの判断を難しくし、時に団体交渉の結果にも影響を与えていると記しています。探査や生産に比し、精製部門では労働組合員数は多いものの、石油産業全体では組織率は低く、なおも下がり続けており、海洋施設で働く労働者や女性労働者の組織率は著しく低くなっています。
報告書はまた、職種、技能、性別に基づく賃金格差や労働安全衛生上の問題を指摘しています。請負労働者が死亡災害に巻き込まれる可能性は正規労働者の2倍に達し、年齢別では21〜35歳の層の災害発生率が最も高いことが示されています。死亡災害の発生率は陸上が海洋の約2倍に達しています。
会議では労働者の権利が尊重されるよう確保する方法や労働条件、労働時間に関する話し合いが行われる予定です。話し合いをもとに会議で採択される予定の結論には、石油産業における持続可能な企業を推進し、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に寄与するための、政府、労使団体、ILOによる活動の提案が含まれる予定です。
2009年4月発表分
世界経済危機の影響に対する懸念が高まる中で迎える労働安全衛生世界デー(4月28日)(
英語原文)
2009年4月27日(月)発表ILO/09/25
ILOは2003年から4月28日を労働安全衛生世界デーと定め、世界各地で様々な行事を通じて職場における安全健康文化の促進を図る日としています。今年の世界デーは、働く人々の安全と健康の保護に取り組んできたILOの90年の歴史と昨年開かれた安全衛生サミットにおいて採択された労働安全衛生ソウル宣言を記念し、「仕事における健康と生命は基本的人権」をテーマに、この日を国内で労働安全衛生デーと宣言する式典や業務関連の原因による死傷病者を悼む式典など、例年通り世界各地で様々な行事が予定されています。
世界デーに際して発表した声明の中で、ソマビアILO事務局長は、「労働安全衛生は人権であり、人を中心に据えた開発課題の不可欠な一部」であると強調し、「経済回復と調整に向けた戦略が、職場における安全や人命を軽視するような悪い道をたどらないよう特に見張っている必要がある」と訴え、世界デーを機に、「職場における人命の尊厳を唱える共通の立場」を支持することを呼びかけました。
ILOの労働安全衛生・環境国際計画は、業務上の事故または疾病によって世界全体で毎日5,500人を超える労働者が命を失い、100万人近くが労働災害に巻き込まれていると推計しています。サミーラ・アルトゥワイリ同計画部長は、現下の経済危機が労働安全衛生に重大な影響を与える可能性を懸念し、「現下の経済危機を考えると、失業に基づく健康の悪化や職場における事故・疾病が増えると予想され、公的支出の削減は労働監督署その他の労働安全衛生業務の機能を損ない、不安定な労働条件の増加は事故や健康悪化の危険を増すことになる」と警告しています。
国際労働組合総連合(ITUC)の集計によれば、昨年は世界100カ国以上で1万3,000件余りの世界デー関連イベントが実施されたとされます。今年、ジュネーブのILO本部では4月28日当日、世界デーのテーマに沿ったパネル討議と、昨年6〜7月に開かれた第7回労働安全衛生国際フィルム・マルチメディア・フェスティバル受賞作品の上映が行われます。
今年6月のILO総会における討議に向けて1年間にわたって展開されている「男女平等はディーセント・ワークの中心」ILO広報キャンペーンも4月のテーマを「男女に共に安全で健康的な職場を提供」とし、ジェンダーの視点から労働安全衛生を解説した小冊子などを作成しています。
ILOと社会正義の探求:90周年記念歴史出版物(
英語原文)
2009年4月24日(金)発表ILO/09/24
ILOは最も歴史ある国連専門機関の一つであり、第一次世界大戦後の1919年に誕生しました。90周年記念事業の一環として、来る4月27日に過去90年間ILOを導いてきた出来事、価値、主な考えをつづり、将来に向けたロードマップを示す新刊書「The ILO and the quest for social justice, 1919-2009(ILOと社会正義の探求1919〜2009年・英語)」が発表されます。
同書はILOの公式の歴史を記したものというよりは、ILO職員3人と学識者1人からなるその4人の共著者の見解を示すものとなっていますが、過去約1世紀における政治、社会、経済の発展がいかにILOの優先事項に影響を与え、一方でILOがいかに社会変化に影響を与えてきたかを論じたものとなっています。2019年の創立100周年を見据えたILO「世紀事業」の最初の成果物の一つであり、世界が大戦の廃墟から立ち上がり、人類史上比類ない変化の時代に乗り出していく過程で、社会正義、仕事における尊厳、結社の自由及び表現の自由、平等、貧困を克服する必要性といった、ILOの活動を導く主要原則がいかに発展してきたかを物語っています。
危機の時代における社会保障への影響、その課題、対応について検討するセミナー(ジュネーブ・2009年4月24〜25日)を開催(
英語原文)
2009年4月23日(木)発表ILO/09/23
ILO社会保障局は、来る4月24〜25日にジュネーブにおいて、現下の世界的な金融危機がもたらしているこれまでに例を見ない課題に直面し、革新的な方法でこれに対応している世界の社会保障について検討する国際セミナーを国際社会保障協会(ISSA)と共催します。「危機の時代における社会保障:影響、課題、対応」と題するこのセミナーには、各地の社会保障機関のハイレベル代表、経済・社会政策の専門家、さらに世界銀行、経済協力開発機構(OECD)、その他国際機関の代表計200人以上の参加が予定されています。セミナーでは、2008年にかつてない規模の損失を被った一方で、需要の急増を経験しつつある社会保障基金の経験が発表されることになります。
セミナーに向けて実施された社会保障機関の国際調査は、社会的保護の必要性は痛切に感じられているものの、収入減と需要急増への対処を迫られる社会保障制度の政策にとっては中期的な意味合いがあることを示しています。ブラジル、カナダ、中国、ヨルダン、南アフリカ、米国等10カ国の社会保険制度の事例研究は、金融危機が各国の社会保障に与えている影響を詳しく記し、革新的な政策対応を概説しています。
ディーセント・ワークと公正なグローバル化に向けた世界規模の対話−ILO創立90周年記念行事(
英語原文)
2009年4月20日(月)発表ILO/09/22
1919年4月28日にベルサイユ平和会議においてILOの憲章原文が承認されたことを記念し、ILOは4月21〜28日を創立90周年記念週間とし、日本を含む世界100カ国以上で「公正なグローバル化に向けたディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に関する社会対話」を共通テーマとする世界規模の対話を行います。各地の対話は、ILO条約の批准、ディーセント・ワーク国別計画の発進、金融危機に対する解決策を探る技術ワークショップ、就職相談会、ディーセント・ワーク賞授賞式など様々な形態を取り、労働者、使用者、政府から、国家元首、議員、学識者、市民社会の関与が予定されています。日本では4月27日に、「ディーセント・ワークへの挑戦−世界経済危機の下で人間らしい仕事と職場を求めて」をテーマとするシンポジウムが開かれます。ILOの90年の歴史をつづった新刊「The ILO and the quest for social justice, 1919-2009(ILOと社会正義の探求1919〜2009年)」の発表も行われます。
1929年の世界大恐慌以来の最悪の金融・雇用危機の只中で迎えた創立90周年ですが、ILOにとって、危機は常に変化を告げるものでした。第一次世界大戦後の1919年に設立されたILOは、その憲章に表現されている「世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができる」の原則の上に立ち、その後90年間、不朽の価値、一貫した政策メッセージ、社会正義の追求を目指した実際的な活動を通じて仕事の世界の数々の危機に取り組んできました。政府、使用者、労働者を直接代表する三者構成の仕組みによって生み出された基準は、結社の自由や団体交渉、強制・児童労働の撲滅、差別禁止といった基本的な目標、労働条件、労働安全衛生、社会保障、雇用促進、人的資源開発など、幅広い分野を網羅し、世界中多くの労働法制の基礎となり、仕事の世界における主な動きを導いてきました。現在182の加盟国の政労使と共に、ILOは基準関連活動、調査研究、政策助言、情報共有、技術協力など多様な活動を展開しています。
ILOの歴史的な使命は今日、ディーセント・ワークの概念で表現されています。男女を問わずすべての人々が自由、公平、安全保障、人間の尊厳といった条件の下で、生産的な仕事を得る機会の確保に向けたこのディーセント・ワーク課題は、雇用と企業、就労上の権利、社会的保護、社会対話の四つの柱で構成され、各国のみならず、地域、世界レベルでも強く支持されています。
仕事は尊厳の源でなくてはならない、労働は商品でない、一部の貧困は全体の繁栄にとって危険である、といった価値を共有し、政労使は対話を続けてきました。この価値と活動が認められ、ILOは1969年にノーベル平和賞を受賞していますが、この価値は今日でも依然ILOの活動を導き、規定しています。
ILOが設置したグローバル化の社会的側面世界委員会は既に2004年に、グローバル化の一般的なモデルの軌跡が「道徳的に許容されず、政治的に持続可能でない」世界的な不均衡を作り出していることを見て、現在の危機の多くの側面を予見していました。この祝賀の時は、ILOの基本的な価値を再確認し、働く人々とその家族や企業が今日直面している不確実性に立ち向かう行動を取る機会であるとし、フアン・ソマビアILO事務局長は、ディーセント・ワークの目標を支える政策選択を共に行い、社会正義と公正なグローバル化に向けたディーセント・ワークの大義を共に推し進めようと呼びかけています。
ILOは生産的な回復を基礎に、ディーセント・ワークを通じて危機に取り組むことを提唱し、環境に優しいグリーン・ジョブを含む雇用創出、持続可能な企業、社会的保護の拡充、対話の創造的な力を用いて包摂的な対応策を探求しつつ、統合的な形で基準並びに就労上の基本的な原則及び権利を支えることといった諸要素を統一した様々な方策を提案しています。具体的かつ実際的な構想として、ソマビア事務局長は今年6月に開かれるILO総会でディーセント・ワーク課題に焦点を当て、景気回復及びより公正で、より包摂的な新しい形態のグローバル化の構築を推進するであろう世界雇用協約について合意することを提案しています。
90周年を機に、ILOはディーセント・ワークに向けた世界的な行動を改めて呼びかけ、人間を中心とし、バランスが取れ、持続可能な将来路線を提唱するすべての人々に対し、ディーセント・ワークを旗印とした結集を呼びかけるものであります。
ILO創立90周年記念行事(
英語原文)
2009年4月7日(火)発表ILO/09/21
1919年に誕生したILOは今年、創立90周年を迎えました。来る4月21日からの1週間をこの記念週間として、182加盟国の政府及び労使団体の協力を得て、「社会正義のために働いて90年」を総合テーマに、世界各地で100を超える様々な行事が行われます。ラジオ・テレビ番組の放送、ワークショップや展示会の開催、就職相談会、政労使ハイレベル代表による討議に加え、新たなディーセント・ワーク国別計画の発表、国際労働基準の発展や批准を記念する式典などが予定されています。日本では4月27日に、「ディーセント・ワークへの挑戦−世界経済危機の下で人間らしい仕事と職場を求めて」をテーマとするシンポジウムが開かれます。
社会正義の追求は、1919年の創立以来、ILOを規定してきた原則です。1日8時間労働から公正なグローバル化の探求まで、戦争と平和、不況と好況、受賞と闘争、植民地の独立とグローバル化のそれぞれを通じて、ILOはこの目標の探求において人々と協働し、人々のために働いてきました。世界的な金融、経済、雇用の危機が90周年を取り巻く現状において、持続可能な回復の中心は、すべての人へのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を求めるILOのディーセント・ワーク課題の四つの柱(雇用促進、社会的保護、対話、就労上の権利)の基礎をなす「社会正義」という根本的な価値であることは明白です。各地の90周年記念イベントは、今日の重要な問題に取り組むILOの役割にスポットライトを当てることが期待されています。
ILO事務局長、「困難な道における重要な一歩の前進」とG20ロンドン・サミットを評価(
英語原文)
2009年4月3日(金)発表ILO/09/20
フアン・ソマビアILO事務局長は、4月1〜2日にロンドンで開かれた主要20カ国(G20)サミットの成果を歓迎し、「主要20カ国首脳は、深まる世界的な危機に対する調整の取れた国際的な対応を固める上で大きな進歩を成し遂げ、複数の分野においてさらなる行動が必要となる可能性を認識し、継続的な政策対応の評価と見直しのプロセスに向けた公約を示した」と評しました。また、「世界各地が直面している深刻な課題に向けたこの共通の取り組みを達成する困難を過小評価すべきではない」とした上で、「国際金融機関への増資に向けた合意」は「途上国・新興国を含むすべての国がそれぞれの必要と政策上の要求事項に従い、回復措置に参加できることを確保する助けになる」とし、成長の回復に留まらず、公正で持続可能な世界経済の基盤構築に向けたサミットの公約は「将来の危機を避けるために必要不可欠なグローバル化の新たな路線に関するビジョンを提供する」と評価しました。
主要20カ国の声明では、「危機の人間的側面」に関し、「雇用機会の創出及び所得扶助策を通じて危機の影響を受けている人々を支える」公約がなされ、次のように記されています。「我々は男女双方にとって公正で家族に優しい労働市場を構築する。したがって、ロンドン雇用会議及びローマ社会サミットの報告書とそこで提案されている主要原則を歓迎する。成長の刺激、教育訓練への投資、最も脆弱な人々に焦点を当てた積極的労働市場政策を通じて雇用を支える。我々はILOに対し、他の関連機関との協働により、取られた行動及び今後求められる行動を評価するよう求める。」ソマビア事務局長は、ILOが既にこの作業に着手していることを紹介し、40カ国の方策調査に基づく予備的な結果として、金融救済に充てられた資金額は需要、生産高、雇用の刺激に向けた財政措置をはるかに上回っているものの、まだ信用の流れは正常に復帰していないことが示されていると語りました。そして、ILOは各国が財政刺激策をもっと雇用と社会的保護に焦点を当てたものとし、この分野における国際的な調整をさらに高めていくよう奨励していく意向を示すと共に、政策対応は使用者と労働組合との社会対話の増大から恩恵を受けるべきことを提唱しました。
ILOは、来る6月3〜19日にジュネーブで開かれる今年のILO総会で世界雇用協約に向けた提案の詳細を詰めることによって、主要20カ国の要請に沿ってこの作業を進め、他の機関との協力を深めていくことになります。今年の総会では経済・金融危機がもたらす雇用・社会政策上の課題に立ち向かうために必要な行動に焦点が当てられる予定です。
2009年3月発表分
成長と回復を推進する雇用・社会政策を(
英語原文)
2009年3月30日(月)発表ILO/09/19
3月29〜31日の日程でローマで開催されているG8+6労働大臣会合(G8社会サミット)に出席したフアン・ソマビアILO事務局長は、世界的な経済危機からの回復と経済成長を推進する新たな雇用・社会的保護政策を提唱し、その点でのG8及びG20のリーダーシップを呼びかけました。そして、今後2年間で世界の労働力が9,000万人増えると見込まれ、深刻な景気後退と長くゆっくりとした回復が途上国を中心に膨大な数の失業者と働く貧困層(ワーキング・プア)を生む可能性を指摘し、信頼回復の大きな部分は、より公正で、よりクリーンで、より安定した世界という新たなビジョンに向けた進歩に対する人々の信頼を構築することにかかっているとして、この先進8カ国+6カ国の雇用、労働、社会問題担当大臣会合がそのビジョンに向けた大きな一歩を進める助けになり、今年7月に開かれるG8サミットが、危機から抜け出して公正なグローバル化へと向かう努力において、人々を優先させる上で大きな貢献を果たすことへの期待を表明しました。さらに、雇用と社会的保護を世界の回復努力の中心に据え、刺激策の影響を増大させる上で強い国際調整が決定的に重要であることや弱い国や人々が雇用及び社会的保護政策に向けた財政支援を確実に受ける国際協力の必要性を唱えました。
ソマビアILO事務局長はまた、今年6月に開かれるILO総会で「世界雇用協約」を策定するよう提案している事実に触れ、そのような協約は、雇用促進及び社会的保護、並びにより力強い労働機構に関する国内で合意された各国の行動を国際的に合意された世界規模の行動と結びつけるものとなろうと説明しました。先週閉幕したILO理事会で、この世界雇用協約に含まれ得る要素として検討されたものには、◇失業者及び使用者向け方策、◇社会的保護の拡大と年金保護、◇若者など弱い層や部門に対象を定めた支援、◇回復に向けて備える労働者の技能開発に対する投資、◇雇用安定業務の強化、◇中小企業を中心とした企業支援、◇労働集約型技法を用いた緊急公共事業を通じた基盤構造向け公共投資、◇省エネ技術及び環境に優しい「グリーン・ジョブ」への投資とインセンティブ、◇社会的に責任ある方向に向けた企業及び産業部門の再構築、◇実質所得、したがって消費者需要を支えることを目指した、低賃金労働者に関するものを中心とした賃金交渉決着の円滑化に向けた団体交渉取り決めの強化、などが挙げられます。
金融、経済、社会、雇用の諸面に及ぶ世界的な危機の力に対しては、同じくらい強力な、相互に接続した政策対応が求められるとして、ソマビアILO事務局長は、その点でILOなどの機関は鍵となる役割を演じることができると唱えました。そして、「公正なグローバル化のための社会正義宣言」を始めとしたILOの主要な政策手段を基礎として、ILO加盟国政労使が合意するであろうそのような協約は、各国の意思決定のみならず、危機に関する政策収斂と国際協力に対するILOの貢献をなすであろうと述べました。
ILO理事会、世界的な経済・雇用危機への政策対応に関する議論で結論に到達(
英語原文)
2009年3月27日(金)発表ILO/09/18
2009年3月5〜27日の日程でジュネーブで開催された第304回ILO理事会は、政労使三者構成のハイレベル会議を開いて現下の世界的な金融・経済危機に関する話し合いを行い、危機の影響緩和及び持続可能な回復の形成に向けた一連の方策を提案する結論を採択しました。これには、1)4月初めにロンドンで開かれるG20会合が、世界的な経済危機の社会的側面と雇用にもっと焦点を当てるよう呼びかけること、2)経済危機を今年6月3〜19日に開かれる第98回ILO総会の主要テーマとし、危機が雇用及び社会政策に与えている影響を克服する手段に高い優先順位を付すようそのプログラムを調整すること、3)危機を取り上げるあらゆる関連する国際的な話し合いの場に積極的に参加し、その雇用と社会的な側面にもっと焦点を当てるよう提唱し、加盟国政労使の要請に応えて政策助言サービスを向上させること、などが含まれています。
フアン・ソマビアILO事務局長は、ハイレベル会議において、危機に取り組む国際的な調整の弱さに触れ、世界危機の根が金融、貿易、経済、雇用、社会の諸面において相互に接合している以上、政策対応もそれに応じて連結すべきとして、持続可能な企業を基礎とした調整の取れた一貫性のある雇用指向型回復戦略をできるだけ早く実行する必要があると唱えました。会議には国際通貨基金(IMF)のドミニク・ストロスカーン専務理事も出席し、IMFとILOの協力強化を訴えました。ハイレベル会議の結論は、前進のための方途として、「競争力があり、効率的で社会的に責任ある民間部門と活発で説明責任を備えた公共部門が、すべての人へのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)と、よりクリーンで、より公正で、より安定したグローバル化を生み出すような、強い社会的側面を備えた自由市場経済の新たなビジョンを構築すること」と唱えています。
3月12日には、2008年のディーセント・ワーク研究賞を受賞したジョセフ・スティグリッツ教授の授賞式が開かれ、世界的な金融・経済危機の影響に関する教授の特別講演が行われました。
理事会はまた、6月の総会に提出される2010/11年の事業計画・予算案を承認しました。通常予算は暫定レベルで現行と同一水準の6億6,510万ドルとなっていますが、このほかに予算外の技術協力計画が4億2,500万ドル(現行3億5,000万ドル)、通常予算に対する任意補足拠出が9,000万ドル(現行4,500万ドル)に達すると見積もられています。理事会ではディーセント・ワークの提供とILO加盟国政労使に対するサービス強化の必要性が唱えられ、雇用、保護、対話、権利の四つの戦略目標を基礎としたバランスの取れたアプローチを確保する、より焦点を絞った成果主義に基づく提案が歓迎されました。
理事会では、ミャンマーにおける強制労働の苦情申し立てを処理する取り決めの期間延長に関する話し合いも行われ、苦情申し立てメカニズムの存在を知らせる広報活動の強化に関する報告に留意した上で、理事会はメカニズム利用者に対する嫌がらせ行為がその機能を弱め、信頼性に影響する可能性に懸念を表明しました。
結社の自由に係わる申し立てを扱う理事会の結社の自由委員会では、コロンビア、韓国、エチオピア、ベネズエラの案件に特に注意が喚起されました。日本については、国労などによる国鉄民営化の際の反組合的差別行為の申し立てがフォローアップ案件として取り上げられ、裁判の進展状況に関する政府からの報告に留意した上で、委員会はこの問題が1998年から取り上げられていることに触れ、裁判がこの長期にわたる紛争を迅速な解決に導くことへの希望を再び表明し、裁判所の判決を含む進展状況の継続的な通知を政府に要請しました。
全国福祉保育労働組合が日本の障害者雇用政策について1983年の職業リハビリテーション及び雇用(障害者)条約(第159号)違反を訴えてILO憲章第24条に基づき2007年8月に行った申し立てに関しては、申し立てを審査した委員会の報告書が提出されました。委員会は条約適用に向けた政府の努力を認めつつも、保護作業場で働く障害者に労働法規を適用することの重要性の指摘などを行い、雇用率の算定対象が身体障害者と知的障害者に限定されている事実がほかの障害者の雇用機会に与えている影響の検討や労使団体、障害者関係団体との協議の上、国内政策の定期的な見直しを続けることなどを求め、今後のフォローアップを条約勧告適用専門家委員会に委ね、2010年に提出が予定されている次回の年次報告において委員会の提起した事項に十分留意し、求められている詳細な情報を提供するよう要請しました。
理事会では他に、昨年の総会で採択された「公正なグローバル化のための社会正義宣言」の実施計画も採択されました。
「長引く深刻な」雇用危機に先手を打つ緊急「世界雇用協約」を、と呼びかけるILO(
英語原文)
2009年3月24日(火)発表ILO/09/17
現在、ジュネーブで開催中の第304回ILO理事会の中で、3月23日に開かれた、現下の世界金融・経済危機をテーマとしたハイレベル三者構成会議を受け、フアン・ソマビアILO事務局長は本日、失業者や働く貧困層(ワーキング・プア)の激増につながるであろう「長引く深刻な」雇用危機に先手を打つ「世界雇用協約」を提唱しました。また、危機に取り組む国際的な調整の弱さに触れ、世界危機の根が金融、貿易、経済、雇用、社会の諸面において相互に接合している以上、政策対応もそれに応じて連結すべきと唱えました。これは来週ロンドンで開かれるG20サミットを前にした最も重要なメッセージです。
三者会議における討議の基礎として、ILO国際労働問題研究所は、日本などG20諸国を含む32カ国において現在展開されている救済努力を検討した新刊「The financial and economic crisis: A decent work response(金融・経済危機:ディーセント・ワークによる対応・英語)」を作成しました。報告書は、過去の金融危機において労働市場は景気回復に4〜5年遅れて回復してきた事実を示し、人口予測をもとに、2009〜10年に労働市場への新規参入者を吸収し、仕事不足の長期化を避けるためには、正味9,000万近い新規雇用の創出が求められると予測しています。そして、◇国際通貨基金(IMF)が危機対応として国内総生産(GDP)の2%台の刺激策を呼びかけているのに対して平均は1.7%であるものの、先進国では途上国や新興国の半分以下の1.3%に留まっていること、◇刺激策の内容が雇用創出や社会的保護よりも金融救済措置や減税に重点が置かれ、実体経済向けの予算が金融救済措置の平均5分の1に留まっていること、◇労働市場向けの措置を発表しているのは調査対象国の半分に過ぎず、割り当てられた額も比較的限られており、財政措置全体に占める社会政策措置の額は平均9.2%であり、労働市場向けの措置は1.8%に過ぎないことなどを示しています。報告書はさらに、◇インフラ事業計画が企業の現在の能力や技能供給を補強する必要性を十分考慮に入れておらず、基盤構造向け支出の一部は生産性を高め、雇用を創出するよりも価格を上昇させる可能性があること、◇一部の減税は需要、生産高、雇用を増やすよりも貯蓄を増すであろうこと、◇若者その他弱い立場の人々に対する支援措置がほとんど講じられていないこと、◇使用者や組合との社会対話が限られていること、◇国家間の調整が不足していることなども記しています。また、保護貿易主義は世界の需要をさらに落ち込ませ、賃金の引き下げや労働者の権利を弱めることは世界危機を悪化させるだけでなく、不公正なものと捉えられ、社会の危機を悪化させるだろうことも指摘しています。
ソマビアILO事務局長は世界的な危機は世界的な解決策を必要とすると強調し、「持続可能な企業を基礎とした調整の取れた一貫性のある雇用指向型回復戦略」をできるだけ早く実行する必要があるとして、刺激策の遅れは長引く深刻な雇用危機を招き、2011年まで雇用回復は見られないかもしれないと警告しています。事務局長はまた、現在見られる方策はしばしば、危機の背景にある構造的な不均衡に取り組んでいないことを指摘し、景気の回復を支え、労働市場と社会の危機を回避し、社会の結束を促進する上で、すべての人へのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に向けた取り組みを伴った前進の重要性を訴えています。
今年6月のILO総会では、事務局長の提案する「世界雇用協約」を巡る話し合いが行われる予定です。
IMF専務理事、ILOとの協力強化を呼びかけ(
英語原文・
演説動画)
2009年3月23日(月)発表ILO/09/16
現在、ジュネーブで開催中の第304回ILO理事会の中で、3月23日に、現下の世界金融・経済危機をテーマとしたハイレベル三者構成会議が開催されました。会議に出席した国際通貨基金(IMF)のドミニク・ストロスカーン専務理事は、IMFの設立理由の一つに世界中で雇用と成長を促進することが含まれる事実を紹介し、したがって、ILO、すなわち労使からの情報投入はIMFにとって決定的に重要とした上で、世界的な経済危機への取り組みにおいて多国間機関同士が調整を図ることの重要性を指摘し、両機関の協力強化を呼びかけました。
ストロスカーン専務理事はまた、国際経済は2010年に回復を始めるとの見込みを示した上で、それには大胆な決定が本当に実行されることを中心とした幾つかの条件があるとして、需要の押し上げ、金融部門の健全性の回復、そして相当の経常勘定赤字を抱え、これまで外国資本の流入に大きく依存してきた低所得国及び新興国に特に注意を向けることといった、危機から脱し、回復へと向かうための3段階の措置を提案し、世界全体の国内総生産(GDP)の2%相当額の世界的な財政刺激策を繰り返し呼びかけました。貧困国の多くは失業の危機だけでなく、社会不安の高まり、民主主義に対する脅威、そして戦争の危険さえあるとして、この点で、最も弱い層向けの支出を保護するIMFの「社会的融資条件」について言及しつつ、外国資本に依存してきた国々は財政モデルを再構築し、より少ない資本流入で生きる術を学ぶ必要性があると唱えました。
会議には他に、国際労働組合総連合(ITUC)のガイ・ライダー書記長、ロシア産業家企業家同盟のアレクサンドル・ショーヒン会長、英国労働・年金省のジョナサン・ショー障害者担当大臣兼東南担当大臣も出席しました。ライダー書記長は政府の危機対応策は雇用創出を最大化し、社会的保護を拡大すべきと唱え、世界金融市場の規制強化や賃金デフレの危険との闘いを呼びかけました。ショーヒン会長は、実体経済の行動主体に信用を得る機会を確保することを優先事項の一つに挙げ、雇用創出及び失業削減に効果的と見られる幾つかのインフラ事業に対する予算支出を維持することの重要性を強調しました。ショー大臣は実体経済に対する危機の影響を緩和し、豊かな雇用が創出される長期持続可能な成長を基礎とした回復を促進する政策を開発する上でのILOの重要な役割に言及しました。開会演説において、フアン・ソマビアILO事務局長は危機に取り組む国際的な調整の弱さを指摘し、世界危機の根が金融、貿易、経済、雇用、社会の諸面において相互に接合している以上、政策対応もそれに応じて連結すべきと唱えました。
経済危機により女性失業者は2009年に最大2,200万人増え、職場と家庭で得られた平等における進展が危険に−ILO警告(
日本語訳文・
英語原文)
2009年3月5日(木)発表ILO/09/15
2009年の国際女性の日(3月8日)に向けてILOが3月5日に発表した年次刊行物「Global employment trends for women(世界の雇用情勢−女性編・英語)」の2009年版は、経済危機によって世界全体で女性失業者数は2007年より最大2,200万人増加する可能性があるとし、これは持続可能で社会的に公平な成長に向けた道に新たな障害を置くこととなり、女性のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)をますます難しくすると警告し、男女格差に取り組む「創造的な解決策」を呼びかけています。
2008年に就業者数は世界全体で30億人で、うち女性は12億人(40.4%)であったと推計されますが、報告書は男女双方にとって労働市場の情勢は2009年に世界的に悪化し、失業率は世界平均で6.3〜7.1%に達する可能性があるものの、女性の場合は6.5〜7.4%(男性は6.1〜7.0%)と予測されると記しています。この結果、失業者数は2007年より2,400万〜5,200万人増えると予測され、うち女性は1,000万〜2,200万人としています。同時に、不安定雇用、低収入、低生産性を特徴とする脆弱な就業形態にある人の割合(就業者全体に占める無給の家族従業者と個人事業主の割合として計算)は2009年に女性が50.5〜54.7%、男性が47.2〜51.8%と予測され、脆弱性が高いのは依然として女性であるものの、危機により脆弱な雇用に従事する男性の割合が増えていることが示されています。報告書はさらに、景気後退が深まる中、世界的な雇用危機は2009年に急激に悪化する可能性を指摘しています。
失業率で見ると、ほとんどの地域で経済危機は女性の方により大きな影響を与えると見られますが、これが最も明確なのは中南米・カリブ地域で、逆にそれほどでないのは、東アジア、先進諸国、欧州連合(EU)外の南東欧諸国、独立国家共同体(CIS)諸国といった、経済危機前から雇用機会の点で男女格差が少なかった地域が挙げられます。
「女性は就業率が低く、財産や資金を管理できる力も弱く、より収入が低い、インフォーマル雇用や脆弱な就業形態に集中し、社会的保護の点でも不利であるといったように、あらゆる要素が危機を切り抜ける女性の立場を弱くしており、女性は長時間労働や複数の低収入の仕事に就くといった形で対処している可能性があるものの、それでも家族の世話という無償の負担を維持しなくてはならない」と、ILO男女平等局のジェーン・ホッジス局長は指摘しています。フアン・ソマビアILO事務局長は国際女性の日に向けたメッセージの中で、古くから見られる仕事の世界における男女不平等が危機によって悪化する可能性を指摘し、経済・金融危機の影響は働く女性の枠を越え、社会の全体的な安定性に影響を与えており、女性が果たしている様々な役割を考慮すると、男女平等をあらゆる政策対応の主要原則とすべきと訴えています。そして、女性が担っている負担のバランスを変える助けになり、グローバル化の影響に対処する政策措置として、男女双方に開かれた持続可能で質の高い仕事、労働市場における女性の弱い立場を認識した失業給付や保険制度を含むより幅広い社会的保護、意思決定プロセスに女性を積極的に取り込んだ社会対話などを挙げています。
ILOは3月6日にジュネーブのILO本部において、危機が男女の仕事と家庭責任の分担に与える影響に関するパネル討議を行います。日本でも同日、東京・渋谷区の国連大学本部ビルにおいてILO駐日事務所を含む在日国連機関が共催で「女性への暴力〜根絶に向け男女が力をあわせて今できること〜」をテーマとした公開フォーラムが開かれます。
経済と社会の危機対応を検討予定−ILO理事会(
英語原文)
2009年3月4日(水)発表ILO/09/14
3月5〜27日の日程でジュネーブのILO本部で開催される第304回ILO理事会では、世界的な金融・経済危機の仕事の世界に対する深刻な影響を緩和し、持続可能な景気回復を刺激する新しい緊急の政策・方策について検討が行われます。3月23日に開かれる現下の世界的な金融・経済危機に関するハイレベル三者構成会議では、世界40カ国の状況を記した報告書をもとに、国際通貨基金(IMF)のドミニク・ストロスカーン専務理事などの出席を得て、危機に対する効果的な対応について話し合いが行われます。12日には2008年のディーセント・ワーク研究賞の受賞者であるジョセフ・スティグリッツ教授の特別講演が行われます。
第304回理事会のこの他の主な審議事項は以下の通りです。
社会・雇用政策委員会では金融・経済危機に対するILOの対応、世界の最低賃金の動き、ブラジルにおける世界雇用戦略の実施状況などが検討されます。
ILOの予算は2年おきに編成されますが、今理事会では今年のILO総会に提出される2010/11年の事業計画・予算案が検討されます。深まる世界的な経済危機の中でILOの目的達成に向けて取り組む世界各国の政府、労使団体の努力を支援することを目指して立案された予算は、本事業年度と実質同額の6億4,170万ドルとなっています。
理事会ではまた、ヤンゴン駐在のILO連絡官の報告書をもとに、ミャンマーにおける強制労働問題に関する状況が審議されます。ILOは2007年にミャンマー政府との間で強制労働被害者が報復を受ける恐れなく是正を求められる仕組みに関する合意を達成しましたが、昨年2月26日にこの試行期間がさらに12ヵ月間延長されています。理事会では、イラワジ・デルタ地帯におけるサイクロン・ナルギス襲来後、ILOが行ってきた再建活動に関する報告も行われます。
この他に、結社の自由委員会の最新報告やILO本部ビル改修基本計画案が提案されている建築小委員会の報告書などが提出されます。昨年6月のILO総会で採択された「公正なグローバル化のための社会正義宣言」の仮実施計画の検討も行われます。宣言は、社会正義を基礎に、開かれた経済と開かれた社会を支える新しい戦略を呼びかけ、グローバル化の課題に対する効果的な対応として、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の概念と「ディーセント・ワークをすべての人へ」というディーセント・ワーク課題を、統合され不可分で、相互に支え合う、その四つの戦略目的(雇用創出と持続可能な企業、社会的保護、働く人々の権利、社会対話)と共に、支持しています。
2009年国際女性の日:「世界の雇用情勢−女性編」最新版発表/仕事と家庭に対する金融危機の影響に関するイベントを開催(
英語原文)
2009年3月2日(月)発表ILO/09/13
2009年の国際女性の日(3月8日)に際し、ILOは3月5日に世界金融危機が働く女性に与える影響を評価する新しい報告書を発表し、翌6日に危機が男女の仕事と家庭責任の分担に与える影響に関するパネル討議を行います。
発表される新しい報告書「Global employment trends for women 2009(世界の雇用情勢−女性編2009年版・英語)」は、男女の労働力率、失業、脆弱な雇用に関する最新のデータに基づき、世界と地域の両方の観点から経済危機の影響をジェンダーの側面から提示します。
6日に開かれるパネル討議は、男女平等はディーセント・ワークの中心広報キャンペーンの3月の月間テーマでもある「仕事と家庭:ケアに至る道はシェア」をテーマに、ニジェールの女性保護・児童保護大臣を始めとしたハイレベルの政労使代表が、世界経済危機が仕事と家庭に与えている影響、各国及び労使団体が男女の平等な責任分担に向けて実践している好事例について話し合います。
日本でも3月6日に、東京・渋谷区の国連大学本部ビルにおいてILO駐日事務所を含む在日国連機関が共催で「女性への暴力〜根絶に向け男女が力をあわせて今できること〜」をテーマとした公開フォーラムが開かれます。
2009年2月発表分
ILOフォーラム、金融部門で増大する雇用喪失に対処する新たな緊急政策措置を呼びかけ(
英語原文)
2009年2月27日(金)発表ILO/09/12
去る2月24〜25日にジュネーブのILO本部で開催された金融部門労働者に対する金融危機の影響世界対話フォーラムは、世界全体で2,000万人超となる金融部門労働者に対する地球規模の金融・経済危機の深刻な影響を緩和し、持続可能な景気回復を刺激する新たな緊急政策・措置を呼びかけて2日間にわたる討議を閉じました。フォーラムの結論は、金融部門で現在広がりつつある雇用逼迫に対する効果的な対応は経済及び規制上のニーズをこの部門における雇用、労働条件、技能要件、社会的保護に対する影響と調和させたものとすべきと唱えています。
フォーラムの討議資料として発表された報告書「Impact of the financial crisis on finance sector workers(金融部門労働者に対する金融危機の影響・英語)」は、この部門では2007年8月以降、約32万5,000人が職を失い、その4割が2008年10月以降に発生していると記した上で、この数字は多分過少見積もりであろうとし、景気後退が深刻化し、他の国々に広がっていくにつれ、失われる雇用の数は加速する可能性があるとしています。
フォーラムの結論は、使用者、組合、労働者代表の対話を呼びかけ、一時解雇は他の手段が尽きた後の最後の方策として用いるべきと訴えています。危機の社会的影響を緩和するために取り得る実際的な方策としては、1)結社の自由、団結権・団体交渉権といった就労上の基本的な原則及び権利に配慮し、労働・社会面に関する限り、改革過程に社会的パートナーを関与させること、2)経営陣、組合、労働者代表の間の対話と協議を基礎として事業再構築を進めること、3)技能向上、生涯学習、調整を支える積極的労働市場政策を通じて労働者の就業能力を確保すること、4)とりわけ、金融部門で働く多数の女性を対象とした公平方針における進展を維持すること、5)非典型的な雇用形態にある労働者を公平に処遇すること、6)危機を悪化させるであろう保護主義政策を回避するよう方策の調整を図ること、が挙げられています。
結論はさらに、開発されるべき政策対応の鍵として、ILOの「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」、1998年の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」、2008年の「公正なグローバル化のための社会正義宣言」、持続可能な企業の振興に関する2007年のILO総会の結論を挙げています。ILOに対しては、危機と改革がこの部門の雇用及び社会・労働面に与える影響を監視し続けること、政府及び社会的パートナーと協力してこれらの事項に関する行動計画を開発すること、政府及び社会的パートナーが金融危機及び改革プロセスの社会・労働面に取り組むことを支援することを呼びかけています。また、金融安定化フォーラムやG20のような危機について話し合う国際的な場にILOが積極的に関与していくことも求められました。
金融・経済危機の問題は3月5日に開幕する第304回ILO理事会の優先事項の一つでもあります。
ジンバブエの審査委員会、同国で進行中の対話と和解の過程に留意しつつ、活動開始(
英語原文)
2009年2月24日(火)発表ILO/09/11
ジンバブエに対しては、昨年6月に開かれた第97回ILO総会の労使代表から個々に、1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)並びに1949年の団結権及び団体交渉権条約(第98号)の適用状況に関し、ILO憲章第26条に基づく苦情申立てが出されたことにより、昨年11月の第303回ILO理事会で審査委員会の設置が決定されましたが、その第1回会合が去る2月18〜20日にジュネーブで開かれました。
審査委員会は第1回会合において、苦情審査の手続き、作業方法、今後の予定に関する幾つかの決定を行うと共に、ジンバブエの結社の自由の状況に関し、申立てに提起された事項に係わる追加的な情報を求める書簡を政府、申立人、その他関係者に送付しました。委員会は、同国で最近全国統一政権が発足した事実に留意し、新政権の成功と2008年9月15日に与党ジンバブエ・アフリカ国民同盟・愛国戦線(ZANU−PF)と野党民主改革運動(MDC)2派との間で調印された協定の完全な実現を願うと共に、これらの展開が審査委員会の任務である労働組合の権利の問題に肯定的な影響を与えることへの期待を表明し、この旨の書簡をジンバブエの大統領及び首相に送り、アフリカ連合及び南部アフリカ開発共同体(SADC)首脳陣と考えを共有しました。
委員会は4月初めの親善訪問によってジンバブエとの接触を開始し、4月後半の第2回会合において地域を訪問し、現地とジュネーブの双方で公式のヒアリングを行うことを予定しています。
ILOの監視機構の中では最高レベルに位置する審査委員会は、過去にミャンマー、ベラルーシなど11件について設置されています。ジンバブエの審査委員会は、国際司法裁判所の上級裁判官であったレイモン・ランジェバ判事を委員長に、ケープタウン大学で雇用法と社会保障を教えるエバンス・ラバン・カルラ教授、常設仲裁裁判所の裁判官に任命されているバートランド・ラムチャラン元国連人権高等弁務官代行の3人で構成されています。
雇用、中小企業、脆弱な部門を支える経済危機対応を−ILO地域会議結論(
英語原文)
2009年2月23日(月)アジア太平洋総局発表RO/09/09
去る2月18〜20日に、アジア太平洋地域11カ国の政府及び労使代表が出席してマニラで開かれた「経済危機対応ハイレベル地域フォーラム:アジア太平洋における成長、雇用、ディーセント・ワークに向けた政策整合」は、世界的な景気下降を分析し、決定的に重要な政策対応と実際的な方策の確定を求めて話し合いを行い、世界の金融・経済危機が地域経済に与えると予想される深刻な影響を緩和し、より迅速かつ公平で、持続可能な回復を刺激する政策及び方策を緊急に導入することを呼びかけて閉幕しました。
輸出と送金に依存している部門、そして景気下降が他の経済部門や最も弱い人々・最も貧しい人々に与える波及効果が域内諸国の懸念事項とされ、域内数百万人に影響する雇用喪失の可能性とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に対する脅威が中心的な不安材料に挙げられました。資金が限られている国々が景気刺激策を通じてこの問題に対処する能力に特に懸念が表明されました。山本幸子ILOアジア太平洋総局長は現下の世界金融・経済危機を「グローバル化時代初の大型危機」と呼び、「世界規模の対応」を呼びかけました。そして、会議は、「経済的要素だけでなく社会的要素も考慮に入れた、調整が図られ、整合的な国家、地域、国際の対応」を求める強いメッセージを発したと評価し、「とりわけ、ディーセント・ワーク課題と社会対話がこれほど重要になった時はない」と述べました。
現在進行中の大規模な危機に効果的に対応するには、すべての者に安定、安全保障、公正が保障される世界金融システムが求められます。会議では、政府の行動と国際行動の調整を図り、整合させることが強く求められ、景気刺激策は包括的なものとし、持続可能な回復と成長の中心として雇用の維持と創出、そして社会的保護に標的を定めることが求められました。具体的には、1)ディーセント・ワークを保護し、支えること、2)特に柔軟な労働時間、賃金、一時解雇、離職支援策の交渉における団体交渉と社会対話、3)仕事の提供に向けたインフラ工事及び労働集約型土木工事事業の迅速な開始、4)融資機会の確保などの企業支援策、5)農村部や農業経済のような特定部門、移民やインフォーマル・セクターで働く人々といった脆弱な労働者群に対象を定めた支援、6)脆弱な層を支援し、可処分所得水準を高めることに向けた社会保障・社会的保護制度の拡充、7)途上国向け資金提供や国際金融機関の融資条件の緩和を含む国際的及び地域的支援が提案されました。ILOに対しては、これらの優先的な方策を支援するよう開発におけるパートナーや活動主体の動員を支援し、危機対応及び貿易・商業障壁の削減において地域協力を強化し、成長、雇用、ディーセント・ワークに向けた国家、地域、国際の政策整合能力を構築することが求められました。
フォーラムは経済危機の影響を扱う一連の地域別会議の一つに位置づけられ、この結果は3月23日にジュネーブのILO本部で予定されるグローバル会合に提出されます。
3月4日に東京で予定されている世界社会正義の日記念セミナーでは、フォーラム出席者による会議模様の報告が行われます。
金融部門の雇用危機を話し合うILO会議を開催(
英語原文)
2009年2月23日(月)発表ILO/09/10
来る2月24〜25日にジュネーブのILO本部において、政府及び労使団体の代表100人以上が集い、世界全体で2,000万人超の就業者を擁する金融部門(銀行業、保険・再保険産業、その他金融仲介業)に対する経済危機の影響を話し合う会議が開催されます。
会議の討議資料として作成されたばかりの報告書「Impact of the financial crisis on finance sector workers(金融部門労働者に対する金融危機の影響・英語)」は、金融業の雇用は世界全体で強い影響を受けており、2007年8月から2009年2月12日までの間に32万5,000人以上の一時解雇が発表されたことを示しています。このうち4割近い13万人の雇用喪失が2008年10月以降に発生したことから、報告書は金融業における雇用削減の加速化を見ています。危機の影響は世界経済全体に感じられるものの、ニューヨークやロンドンといった金融中心地が直ちに矢面に立たされるものと予測されます。報告書は日本について、英米ほどの人員削減はまだ記録されていないとしつつも、人事専門職の雇用機会の縮小、デリバティブ(金融派生商品)や証券化金融商品に関するスキル、プライム・ブローカーやヘッジファンド・スペシャリストに対する需要減が予測される見通しを記しています。会議を担当するILO部門別活動部のエリザベス・チノコ部長は「この数字はほぼ確実に金融・経済危機の震源地であった金融部門の実際の状況を過小に示している」として、世界経済のさらなる後退、金融機関の資産のさらなる減損により、この部門の雇用喪失がさらに加速する見込みを示しています。
会議では、銀行・保険部門労働者の危機への対処を支援する方策に関する討議も行われます。上手に設計された適切な失業給付及び社会的保護、活性化政策、効果的な公共雇用安定業務などといったこれらの方策は、影響を受けた労働者の所得を支えるだけでなく、新しい仕事への移行を円滑化し、長期的な失業及び非労働力化の危険を減らすことになろうと報告書は記しています。金融部門の雇用総量の縮小が見込まれるのに合わせ、この部門の労働者を対象とした再訓練計画も推奨されています。
報告書はまた、長期的な成果に合わせた役員賞与と配当方針などといった、コーポレート・ガバナンス(企業の統治)構造の改善を通じたリスクの少ない活動への移行を奨励する策の採用のような、実体経済のニーズに焦点を当てた、より効果的な金融部門への移行を奨励する方策も検討しています。さらに、政府、使用者、労働組合の間の部門内社会対話は実効性のある方策の採用を円滑化する可能性があり、この部門特定の方策がうまく設計されるよう確保することになろうと記しています。
初の世界社会正義の日記念ILOイベント(
英語原文)
2009年2月19日(木)発表ILO/09/9
国連総会は2007年11月に、2009年から2月20日を「世界社会正義の日」とすることを決定しました。ILOはこれを記念し、同日、ジュネーブのILO本部において、「危機は社会正義にとっての脅威かそれとも機会か」をテーマに、世界的な危機の中で実施されつつある国際政策とそれらが社会正義の追求にとって持つ意味について話し合う機会を設けます。フアン・ソマビアILO事務局長、レイモン・トレスILO国際労働問題研究所所長といったILO職員に加え、世界経済フォーラムの中東討議の共同議長であるイスマール銀行のハリド・ジャナヒ会長、経営開発国際研究所(IMD)のジャン=ピエール・レーマン教授、ブルー・オーチャード・ファイナンスのジャック・ロウ会長、国際建設林業労連(BWI)のアニタ・ノーマーク書記長、ヒューマン・ライツ・ウォッチのジュリエット・デ・リベロ・アドボカシー部長、世界経済フォーラムのリック・サマンズ・マネージング・ディレクター、インターナショナル・ブリッジズ・トゥ・ジャスティスを創設した同団体のカレン・ツェ最高執行責任者(CEO)、ジャン・ツィーグラー国連人権理事会執行委員といった学識者、金融関係者、国際機関、非政府組織、仕事の世界に係わる人々がパネリストとして意見を交換します。
フアン・ソマビアILO事務局長は世界社会正義の日に際して発表したメッセージの中で、「世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができる」と謳うILO憲章を基礎に、ILOは仕事を中心に据え、社会正義という崇高なる目標に向けて邁進してきたことを紹介し、現下の雇用危機のもとで、この目標に焦点を当てることの適時性を強調しました。そして、仕事と働く人々の尊厳を中心に据えた、ILOの歴史的な任務を現代風に言い換えた表現であるディーセント・ワークをすべての人に実現するという課題のグローバル化の中での役割を確認し、仕事の世界を通じて社会正義を推進するビジョンと実際的な事業計画を定めるものとして、昨年6月のILO総会で採択された「公正なグローバル化のための社会正義宣言」を紹介しました。
なお、日本でも、ILO駐日事務所と財団法人日本ILO協会の共催で、ILOと社会正義についてあらためて考え直すと共に、現在マニラで開催中のアジア・太平洋地域における経済危機とその対応に関するハイレベル会議の報告会を兼ねた記念セミナーを3月4日に予定しています。
ILO欧州地域会議:調整を図った経済危機対応を求めて閉幕(
英語原文)
2009年2月13日(金)発表ILO/09/8
欧州及び中央アジアのILO加盟国51カ国から政府及び労使の代表が出席し、2月10日からリスボンで開かれていたILOの第8回欧州地域会議が、過去60年間で最も深刻な経済危機に見舞われている欧州において雇用を維持し、経済成長を回復するための取り組みの調整を呼びかけて13日に閉幕しました。
会議では、調整を図った景気刺激策が総需要の拡大、デフレスパイラルの回避、雇用とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の機会の維持に向けて設計されており、改革後の金融市場が生産的な投資とディーセント・ワークのために必要な資本を持続可能な企業に供給することの確保が決定的に重要とされ、実効性のある社会対話と団体交渉の緊急の必要性が強調されると共に、最も脆弱な層の人々が労働市場から離れてしまったり、働く貧困層(ワーキング・プア)と化さないよう保護することが求められました。長期的には危機の影響を悪化させる効果しかないあらゆる形態の保護主義を回避する手段として、国家、地域、世界の各レベルにおけるさらなる政策整合を図ることも求められました。人種や宗教に対する憎悪、移民や少数民族に対する差別、組合代表の不当処遇、危機を悪化させるであろう保護主義経済政策といった形で現れる失業問題と社会的排除の深刻化に対する政治的反応の再燃の危険に特に目を光らせ続けることも公約されました。
会議の結論はまた、経済危機の深刻さは安定した雇用を有する多くの人々を含む幅広い労働者に影響を与えるほどであり、信用市場がより正常な状態に復帰するまで、賃金切り下げやさらなる一時解雇、失業問題深刻化の危険が依然として残るであろうとして、景気後退が労働者の搾取の増大につながる危険に対する重要な防御策である就労上の基本的な権利と原則の保護、国際労働基準の推進、技能開発と訓練の増大、社会対話の仕組みの十分な活用を強調しています。ディーセント・ワーク課題の実施に向けた統合的な取り組みを開発する手段としてディーセント・ワーク国別計画へのさらなる参加も呼びかけられました。
ペトラ・ウルスヘーファーILO欧州・中央アジア総局長は閉会の挨拶で、個々の国の状況が非常に多様な中で、政府の危機対策には多くの類似点があることが明らかになったとして、危機の社会的影響の緩和に向けた道を導くのはディーセント・ワーク課題であるとの強いコンセンサスが各国政労使に見られたことを評価し、地域レベルの緊密な協力を呼びかけました。
地域会議は、域内ILO加盟国の政労使が4年おきに一堂に会し、地域の政策と優先事項を設定する場です。
ILO欧州地域会議:調整を図った緊急の経済危機対応を求める呼びかけの中で開幕(
英語原文)
2009年2月10日(火)発表ILO/09/7
景気の急減速を止め、将来に向けて「より強く、クリーンで、公正な」経済を新たに構築する統合的な取り組みを求める声が高まる中、欧州及び中央アジアのILO加盟国51カ国から政府及び労使の代表が出席し、ILOの第8回欧州地域会議が2月10日にリスボンで開幕しました。
ILOは先般、景気後退によって失業者数が世界全体で約5,000万人増加するとの予測を発表していますが、フアン・ソマビアILO事務局長は、開会演説の中で、この5分の1に当たる約800万人がこの地域で予測される合計値であることを示した上で、世界が共に行動すればこの傾向を逆転できると確信していると述べました。そして、欧州及び中央アジアは各国異なる様々な問題に整合的な形で対処し、調整の取れたグローバルな取り組みの構築を支援する上で主導的な役割を演じるべきとし、保護主義政策を回避する地域的及び国際的な調整並びにより良い政策整合を達成する上でこの地域が特別の役割を演じることへの期待を示しました。さらに、政府、使用者、労働者、ILOが注力すべき分野として、1)信用の流れの確保と需要刺激、2)脆弱な立場の人々に特に重点を置いた雇用政策及び社会的保護の拡大、3)生産的企業(特に小企業)の支援、4)就労上の基本的な原則と権利の尊重及び推進の確保、5)社会対話及び政労使の三者構成主義の強化、6)弱い国に向けた開発援助その他投資の流れの維持及び拡大、の六つを特に提示しました。
事務局長はまた、グローバル化の時代の初の景気後退に立ち向かう機構の空隙をあらわにした現下の危機は、金融・銀行業の仕組みの是正を越えた、より長期的な解決策を構築する機会を提示してもいるとして、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)をすべての人へ」というILOのディーセント・ワーク課題を前途に向けた実用的なガイドとして示しました。そして、人種や宗教に対する憎悪、移民や少数民族に対する差別、組合代表の不当処遇、危機を悪化させるであろう保護主義経済政策といった形で現れる不確実さと経済困難に対する政治的反応の再燃に特に目を光らせる必要があると警告しました。
ポルトガルのジョゼ・ソクラテス首相もまた、その開会演説の中で、調和の取れた包摂的な社会モデルの構築に向けて最も一貫した歩みを取っているヨーロッパは、社会的保護と社会対話を支持することによって仕事の世界で私たちが直面している課題、そして現下の危機に対する効率的かつ公正な対応策を採用する、より大きな責任を有していると訴えました。開会式では、ILO理事会の労使副議長に加え、国際使用者連盟(IOE)のレナテ・ホルヌンク・ドラウス欧州副会長、欧州労働組合連盟(ETUC)のマリア・エレナ・アンドレ書記次長、欧州委員会のジョゼ・マヌエウ・バローゾ委員長(ビデオ)の挨拶も行われました。
議長として、ポルトガルのジョゼ・ビエイラ・ダ・シウバ労働・社会連帯大臣が選出されました。
地域会議は、域内ILO加盟国の政労使が4年おきに一堂に会し、地域の政策と優先事項を設定する場となっています。
ノルウェーがILO海事労働条約を批准(
英語原文)
2009年2月10日(火)発表ILO/09/6
ノルウェーは2月10日にヨーロッパの国としては初めて、2006年に採択された海事労働条約の批准書をILOに寄託しました。同国は、5年にわたるこの条約の準備過程でも常に主導的な役割を演じ続けてきましたが、昨年9月に開かれた専門家会合で採択された、本条約に基づく検査に関する旗国と寄港国の国際指針の策定過程においても重要な役割を果たしました。
海事労働条約は、その合計船腹量が総トン数で世界全体の船腹量の33%以上を占める30カ国以上の批准で発効しますが、既に合計船腹量が40%を超すリベリア、マーシャル諸島、バハマ、パナマといった主要海運国の批准により船腹量要件は満たされています。30カ国以上の批准という第2の要件も、2011年までに達成されることが期待されています。ノルウェーの批准を歓迎し、フアン・ソマビアILO事務局長は、これが「批准に向けた取り組みを続けることへの強い信号を他の欧州諸国に送るものとなろう」と期待するコメントを発表していますが、既に欧州連合(EU)諸国のみならず、船員を多く出している地域の主な国々でもこの方向に向けた大きな歩みが見られます。
過去に採択されたILOの37の海事関連の条約を新しくした上で一つにまとめ、船員の「権利章典」とも呼ばれるこの包括的な条約は、環境保護並びに船舶の安全及び保安に関する国際海事機関(IMO)の主要海事条約を補足して、国際海運規則における「第4の柱」となることを意図しています。旗国による検査と船員の労働・生活条件の証明に立脚した強固な遵守・執行メカニズムに加え、それを補足するものとして寄港国による検査も定めています。世界全体で120万人を超える船員の保護を目指した最低限の要件を定め、雇用条件、労働・休息時間、賃金、休暇、送還、居住設備、娯楽設備、食料・供食、業務上の安全と健康の保護、医療、福祉、社会保障に関する規定が盛り込まれています。
パナマがILO海事労働条約を批准(
英語原文)
2009年2月6日(金)発表ILO/09/5
2月6日、パナマは2006年に採択された海事労働条約の批准書をILOに寄託しました。パナマは世界の商船の25%近くが船籍を置く世界最大の旗国ですが、同国に次ぐ海運国であるリベリア、マーシャル諸島、バハマに続くパナマの批准によって、この条約の発効要件の一つである、批准国の合計船腹量が総トン数で世界全体の船腹量の33%以上という要件が満たされたことになります。30カ国以上の批准というもう一つの要件は、2011年までに達成されることが期待されています。
過去に採択されたILOの37の海事関連の条約を新しくした上で一つにまとめ、船員の「権利章典」とも呼ばれるこの包括的な条約は、環境保護並びに船舶の安全及び保安に関する国際海事機関(IMO)の主要海事条約を補足して、国際海運規則における「第4の柱」となることを意図しています。旗国による検査と船員の労働・生活条件の証明に立脚した強固な遵守・執行メカニズムに加え、それを補足するものとして寄港国による検査も定めています。船上で働く船員のための最低限の要件を定め、雇用条件、労働・休息時間、賃金、休暇、送還、居住設備、娯楽設備、食料・供食、業務上の安全と健康の保護、医療、福祉、社会保障に関する規定が盛り込まれています。
パナマは既に2006年の条約採択審議の時点から批准の意向を示していましたが、2008年の総会で特別ゲストとして演説したトリホス大統領がその公約を再確認し、今年1月6日に海事労働条約の規定を国内法に移す法に署名しています。
第8回ILO欧州地域会議:金融危機が雇用と社会に与える影響を検討予定(
英語原文)
2009年2月6日(金)発表ILO/09/4
金融・経済危機が社会や雇用に与える影響が拡大する中、2月10日にリスボンで開幕する第8回欧州地域会議では、欧州及び中央アジアで現在実施されている各種景気刺激策を評価し、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)をすべての人へ」というILOのディーセント・ワーク課題を政策対応のカギとして組み込んだ適切な経済・雇用・社会政策を探求する話し合いが行われます。
ILOは、1月に発表した「世界の雇用情勢2009年版」で、2009年の経済成長がより急速に鈍化し、回復努力が2010年まで長引くとすれば、2009年の失業率が南東欧の欧州連合(EU)非加盟諸国及び独立国家共同体(CIS)諸国では9.8%(2008年8.8%)に達し、EUその他先進諸国では前年比1.5ポイント増の7.9%となると予測しています。今回の地域会議用に作成された、欧州・中央アジア51カ国における金融・経済危機の影響と政策対応をまとめた最新の報告書によれば、影響度合いと対応能力は国によって異なるものの、働く男女に対する影響は域内全域で見られ、2000年以降下降を続けてきた南東欧の非EU加盟諸国及びCIS諸国の失業率も上昇に転じたとされています。危機の影響は他の地域同様、まず金融・建設部門に現れた後、製造業やサービス部門に波及し、供給網を通じて受注は急激に落ち込み、失業問題が発生しています。
人々を保護し、生産的な企業を支え、仕事を守り、実体経済に対する危機の影響に取り組む方策として、ILOは、1)結社の自由や団体交渉権、強制労働・児童労働及び雇用・職業上の差別の撤廃といった、就労上の基本的な権利と原則が完全かつ確実に尊重されるよう特に目を光らせること、2)回復に向けた優先事項及び政策選択肢を社会対話を通じて協議・検討すること、3)失業給付の拡大、追加的な訓練・再訓練機会の促進、職業紹介業務の強化、緊急雇用制度や対象を定めた安全網の拡充または導入の検討、4)各国の状況にあった、持続可能な社会的保護方策の開発・向上、5)均衡の取れた経済成長に寄与する健全な労使関係の仕組みの導入、を挙げています。
会議では、短期的な解決策に加え、地域におけるディーセント・ワークの展望を中期的に高めるため、所得格差の拡大や現行経済情勢の中核にある賃金と利潤の比率の変更を含む、世界的な不均衡の問題も取り上げることになっており、労働市場政策とフレクシキュリティ(安全保障を伴った柔軟性)、社会対話、仕事と家庭の調和に向けた政策、社会的保護、就労上の基本的な権利、賃金政策などといった労働・社会政策の検討も予定されています。
フアン・ソマビアILO事務局長は、「社会の全面的な後退を食い止めること」を最優先事項とし、「最も脆弱な労働者層の保護、持続可能な(特に小規模の)企業の融資機会の確保、政策対応の開発に際しての社会対話の仕組みの活用」に注意を向けることを提案した上で、「危機に対応する経済・社会政策の中心にディーセント・ワークを据えることによって、誰もが利益を得る、より調和の取れた、変動性が低く持続可能な経済成長に向かう道が開ける」と唱えています。
第8回ILO欧州地域会議(リスボン・2009年2月9〜13日):4年ごとに開かれる地域会議で今回予定される中心議題は、世界金融危機が仕事の世界に与える影響(
英語原文)
2009年2月4日(水)発表ILO/09/3
ILOでは、アジア太平洋、米州、アフリカ、欧州の4地域について、域内加盟国の政府及び労使代表が出席し、地域におけるILOの活動について話し合う地域会議を、原則として年に1つずつ、順番に開催しています。来る2月9〜13日にリスボンで開かれる第8回欧州地域会議には欧州及び中央アジア51カ国の三者構成代表団が出席し、世界金融危機が仕事の世界に与える影響に対する懸念が高まる中、雇用・社会面の重要な課題に対する政策対応について話し合う予定です。第7回は2005年にブダペストで開催されました。
地域の経済環境と雇用情勢、労働市場政策とフレクシキュリティ(安全保障を伴った柔軟性)、賃金政策、社会対話、仕事と家庭の両立に向けた政策、社会的保護、就労上の基本的な権利といった、仕事に係わる幅広いテーマを取り上げた七つのパネル討議が予定されています。フアン・ソマビアILO事務局長が議長を務め、ポルトガル、モルドバ、ルクセンブルクの各首相、チェコの副首相に加え、ポルトガル産業連盟会長、ベルギー労働総同盟(FGTB)書記長の参加も予定されている首相パネル討議では、金融・経済危機に対する包括的な政策対応に関する討議が行われます。経済危機が雇用、労働市場、社会状況に与える悪影響の緩和策を取り上げる特別討議も予定されています。
討議資料として、欧州地域におけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の状況を扱った2冊の事務局長報告と、経済危機に対する最新の政策対応をまとめた特別報告が提出されます。「Delivering decent work in Europe and Central Asia(欧州・中央アジアにおけるディーセント・ワークの提供・英語)」と題する事務局長報告は、経済成長と生産性の様々な動向が地域の雇用情勢及び労働・生活条件にどのような影響を与えてきたかを検討すると共に政策上の主要課題に光を当て、解決策を提示しています。「Towards decent work outcomes: A review of ILO work for 2005-08(ディーセント・ワークの成果に向けて:2005〜08年のILOの活動点検・英語)」と題する事務局長報告は、ディーセント・ワークに向けた域内諸国の具体的な取り組みを記しています。「Policy responses to the economic crisis: A decent work approach in Europe and Central Asia(経済危機に対する政策対応:欧州・中央アジアにおけるディーセント・ワーク・アプローチ・英語)」は、最新の経済情勢に鑑み、地域に導入された景気刺激策を詳しく検討し、ディーセント・ワークを回復努力の中心に据える統合的な政策手法を提案しています。
2009年1月発表分
ILOの報告書「世界の雇用情勢2009年版」−世界経済危機により失業者、働く貧困層、脆弱な就業者が激増(
英語原文・
新聞発表和訳)
2009年1月28日(水)発表ILO/09/2
世界経済危機の影響により、失業者、働く貧困層(ワーキング・プア)、脆弱な雇用に従事する人の数が激増すると見られると、本日発表されたILOの年次刊行物「Global employment trends(世界の雇用情勢)」の2009年版は予測しています。世界金融危機の影響により2009年の失業者数は1,500〜2,000万人増えるとした昨年10月の暫定推計値を更新し、報告書は三つのシナリオによる2009年の予測を示しています。1)2008年11月に出された国際通貨基金(IMF)の経済成長予測をもとにすると、世界の失業率は2009年に6.1%(2007年5.7%)となり、失業者数は1,800万人増、2)経済見通しがこれより悪化したとすると失業率は6.5%、失業者数は3,000万人増となり、3)現行で最悪のシナリオでは失業率は7.1%、失業者数は5,000万人以上増え、この場合には、途上国を中心に、約2億人の労働者が極度の貧困状態に陥り、家族を含む1人当たり収入が1日2ドルを下回る働く貧困層の数は全就業者の45%に相当する14億人となり、脆弱な雇用に従事する人(所得喪失から保護する安全網の恩恵を受けられる可能性が低い寄与家族従業者または自営労働者のような人々)の割合は全就業者の53%に達する可能性があるとしています。
2008年の地域別情勢では、失業率が最も高かったのは依然として北アフリカ(10.3%)、次いで中東(9.4%)、逆に最も低かったのは再び東アジア(3.8%)、次いで南アジア(5.4%)となっています。世界の雇用の57%がアジアの3地域(南アジア、東南アジア太平洋、東アジア)で創出され、逆に先進国・欧州連合(EU)地域では90万人の純減が記録されています。失業率の前年比上昇幅が最も大きかったのはこの先進国・EU地域で5.7%から6.4%となり、失業者数は350万人増えて3,230万人となっています。働く貧困層の割合が最も高いのはサハラ以南アフリカと南アジアで、過去10年間低下傾向が続いているものの、2007年に就業者の5分の4余りが働く貧困層であったとされています。
フアン・ソマビアILO事務局長は報告書のメッセージを「現実的なもの」として、世界的な仕事の危機に直面している現状を訴え、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現というILOの課題は危機に立ち向かうのにふさわしい枠組みであるとして、経済危機に取り組み、政策対応を開発する際には労使団体との三者対話が中心的な役割を演じるべきとした上で、4月2日にロンドンで予定されているG20会合において、金融問題と共に、生産的な投資、ディーセント・ワーク、社会的保護の諸目的を促進する優先的な措置や政策調整について緊急に合意するよう呼びかけました。
報告書は若者や女性といった労働市場における弱い人々を支援する措置を講じる必要性を強調し、依然として未活用の膨大な労働潜在力が世界中に存在するものの、人々が生産的な投資と積極的労働市場政策を通じてまともな仕事を得る機会を与えられたならば、経済成長も開発速度もずっと高くなる可能性があるとしています。さらに、1)失業給付・保険制度の対象範囲の拡大、余剰人員となった労働者の再技能形成、金融市場の破壊的な衰退からの年金の保護、2)緊急公共事業などを通じた基盤構造・住宅、地域インフラ、環境に優しいグリーン・ジョブへの公共投資、3)中小企業支援、4)企業、産業、全国の各段階における社会対話、といった政策措置を提案しています。
ILOの年次刊行物「世界の雇用情勢2009年版」−世界経済危機が雇用と働く貧困層に与える影響を吟味(
英語原文)
2009年1月27日(火)発表ILO/09/1
ILOは来る1月28日、年次刊行物「Global employment trends(世界の雇用情勢)」の2009年版を発表します。報告書は世界金融危機が2009年の雇用、失業、働く貧困層(ワーキング・プア)、労働市場の脆弱性に与える影響を評価し、政策策定に携わる人々が直面している新たな課題に照らし合わせ、政策上の検討事項を複数提示しています。
報告書本体及び広報資料は2009年1月28日GMT12時(日本時間同日午後9時)以降にILOのホームページ上に掲載されます。
駐日事務所新聞発表
ILO/ユネスコ教職員勧告適用合同専門家委員会(CEART)実情調査団の来日
2008年4月18日(金)発表
労働災害及び職業病の予防に向けて:日本がILO第187号条約の最初の批准国に
2007年7月24日(火)発表
イオン株式会社よりILOの児童労働撤廃活動に100万円の寄付金
2007年2月13日(火)発表
お知らせ
国際セミナー「社会的金融の現在と今後」(東京・2009年11月9日)
社会的金融(social finance)は、経済的ニーズ及び社会的意義双方の拡充をめざす社会的経済(social economy)を推進する大きな歯車の一つです。バングラデシュのグラミン銀行などによるマイクロクレジット(小口融資)を始めとする社会的金融は、貧困層のみならず、社会的に弱い立場にある難民、移民、女性のエンパワーメントや自立、債務奴隷、児童労働の撲滅にも資するものと認識されています。ILO本部からベルント・バルケンホール
社会的金融計画部長が来日するのを機に、ILO駐日事務所と財団法人日本ILO協会は、来る11月9日(月)午後6時半〜8時に東京・渋谷区の
国連大学本部ビル5階エリザベス・ローズ国際会議場において、社会的金融の現在と今後、及びILOにおける社会的金融の取り組みについて話してもらうと共に、参加者の方々にも発表していただき、この分野での相互の情報交換、ネットワーキングにも資することをめざしたセミナーを開催します。参加ご希望の方は、お名前、ご所属、ご連絡先(TEL/E-mail)をご明記の上、ILO駐日事務所宛(E-mail:
ilo-tokyo@ilotokyo.jpまたはFAX: 03-5467-2700)お申し込み下さい。入場無料。日英逐語通訳付。プログラムは
こちらへ。
[2009年11月2日掲載]
世界銀行東京開発ラーニングセンター/ILO/青山学院大学共催レクチャー・シリーズ「アジアの課題とILO」(東京・2009年10月29日/11月5日/11月12日/11月19日)
ILO駐日事務所は、青山学院大学と連携して、ILOの活動に対する理解を幅広く深めていただくための講座を開講しています。この度、ILO本部(ジュネーブ)やアジア太平洋総局(バンコク)の専門家とビデオ会議で行う講義(全4回、18:00〜20:00、
スケジュール)について、
世界銀行東京開発ラーニングセンターとの三者共催により、同センターの会議室で公開することとなりました。参加ご希望の方は、お名前、参加希望の講義日、ご連絡先、ご所属を明記の上、メールにて
jointokyo@worldbank.orgまでお申し込みください。先着30名まで受け付けます。
[2009年10月9日掲載]
世界銀行東京開発ラーニングセンター/ILO駐日事務所共催アフリカにおけるソーシャルエコノミー(社会的経済)公開セミナー(東京・2009年11月25日)
ILO駐日事務所と世界銀行東京開発ラーニングセンターは、来る11月25日(水)午後3〜6時に、東京・千代田区の
世界銀行東京開発ラーニングセンターにおいて、アフリカにおけるソーシャルエコノミー(社会的経済)に関する公開セミナーを共催します。ビデオ会議システムでエチオピア・アジスアベバと東京をつなぎ、ユルゲン・シュベットマンILOアフリカ総局次長ほか現地専門家から、協同組合、マイクロファイナンス、マイクロインシュランスなどアフリカにおける社会的経済の促進及び拡大に向けた取り組み及び2009年10月19〜21日に南アフリカで開催された
「社会的経済: 世界危機に対するアフリカの対応」をテーマとした会議の成果(
行動計画)をお伝えすると共に、 日本やアジアの社会的経済の現状についても日本の専門家からご報告頂きます。参加ご希望の方は、お名前、ご所属、ご連絡先(TEL/E-mail)をご明記の上、世界銀行東京開発ラーニングセンター宛(E-mail:
jointokyo@worldbank.orgまたはFAX: 03-3597-9161)お申し込み下さい。入場無料。日英同時通訳付。先着70名様まで。プログラムは
こちらへ。
[2009年11月6日掲載]
広報誌「ワールド・オブ・ワーク」2009年第1号発行
ジュネーブのILO本部コミュニケーション・広報局より年3回発行されている
広報誌の一部記事の和訳と日本における関連記事を掲載した
日本語版広報誌の最新号(通巻第11号)が完成しました。本号ではILO創立90周年と世界的な仕事の危機の二つを特集し、今年のILO総会におけるグローバル・ジョブズ・パクト(仕事に関する世界協定)採択につながった世界雇用危機に対するILOの取り組みや写真で見るILOの歴史、4月に開かれたILO創立90周年・日本ILO協会創立60周年記念特別シンポジウムの模様などを掲載しています。ほかに、小規模保険刷新ファシリティ及びアフリカのための協同組合ファシリティといった新しいパートナーシップに基づく活動、金融グローバル化時代における所得格差をテーマとした「仕事の世界報告書」2008年版の紹介記事なども含まれています。最新号をご覧になりたい方は
こちらへ(PDF版・7.31MB)。
[2009年9月3日掲載]
新着−「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」日本語版
2008年に開かれた第97回ILO総会(ジュネーブ)において6月10日に採択された「
ILO Declaration on social justice for a fair globalization(公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言)」の
日本語版(PDF版・326KB)を作成しました。この文書は、進歩と社会正義の達成を支援するというILO憲章に体現された価値と原則の上に立ち、21世紀におけるグローバル化の課題に取り組む上で、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)をすべての人へ」というディーセント・ワーク課題を通じてこの目標を進めることへの支持を宣言しています。
[2009年5月14日掲載]
新着−「ディーセント・ワーク:今後の戦略的課題」日本語版
ILO駐日事務所ではこのたび、2008年に開かれた第97回ILO総会に提出された事務局長報告「
Decent work: Some strategic challenges ahead」の日本語版「
ディーセント・ワーク:今後の戦略的課題(PDF版・768KB)」を作成しました。報告書は「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)をすべての人へ」というディーセント・ワーク課題の達成に向けて取り組むべき課題を、現下の金融危機が経済・社会に与えている影響や社会進歩の中におけるディーセント・ワークの中心的な役割といった側面から検討し、より強いILOを構築する方法に関して考えを述べています。印刷物(定価:2,000円)をご希望の方は、
ILO駐日事務所まで。
[2009年5月14日掲載]
アジア太平洋若年雇用知識ネットワーク(APYouthNet)開設
ILOアジア太平洋総局は、若年雇用の問題に取り組むアジア太平洋地域内の専門家の知識交流を目的にインターネット上にオンライン討議の場「APYouthNet」を開設しました。APYouthNetでは、期間を定めてテーマ別討議を開催することに加え、若年雇用に関する刊行物、研修教材、研究成果、好事例、各種事業の活動案内、行事、協力組織・専門家の紹介などを掲載し、集団的な知の向上を図っていきます。今後、次の三つの優先テーマをベースとした討議が随時開催されていくことになります。
- 若者の事業
- 若者の就業能力を高める教育と技能訓練
- 若年労働者の権利と労働条件の保護
使用言語は英語で、参加には登録が必要です。日本語案内文は
こちらへ。APYouthNetへは
こちらへ。
[2009年6月15日更新]
新着:グリーン・ジョブ報告書概要和訳
ILOが国連環境計画(UNEP)、国際労働組合総連合(ITUC)、国際使用者連盟(IOE)と一緒に進めるグリーン・ジョブ構想の一環として、2008年9月に発表されたUNEPの刊行物「
Green jobs: Towards decent work in a sustainable, low-carbon world(グリーン・ジョブ:持続可能な低炭素社会におけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に向けて)」の
概要和訳版(PDF版・13.3MB)を作成しました。
[2009年3月26日掲載]
ILO国際研修センター2009年標準研修コース・カレンダー配布中
トリノ(イタリア)にある
ILOの国際研修センターでは年間を通じて労働・社会分野の様々なテーマに関する研修コースを開催しています。言語は通常、英・仏・西語で開講されていますが、アラビア語、ポルトガル語、ロシア語のコースもあります。児童労働撤廃と万人のための教育、ジャーナリスト向け労働者の権利報道研修、効果的な賃金政策の設計、障害者の労働市場への包摂、グリーン・ジョブ、持続可能な企業の育成、HIV/エイズと仕事の世界、年金制度、使用者団体活動、労働者教育、プロジェクト管理、男女平等、e−ラーニングなどの研修技術、国際貿易法など、2009年には29の新しいコースを含み、170余りのコースが開講される予定です。長さも1週間程度の短期のものから1年間の長期通信講座など様々です。現在、2009年標準コースのカタログを
オンラインで配布中です。
[2009年2月18日更新]
外務省広報キャンペーン「いっしょに国連」(2009年1月〜2010年12月)にILOも協力
ILO駐日事務所は他の在日国連諸機関と共に、外務省が今年1月から2年間にわたって実施する国連広報キャンペーン「いっしょに国連」に協力します。2009〜10年に日本が国連安全保障理事会の非常任理事国を務めることや、2010年がミレニアム開発目標(MDGs)の基礎となった国連ミレニアム宣言の採択から10年目に当たること、2010年10月には名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の開催が予定されていることなどといった機会に、国連の理解を促進することを目指して展開されるこのキャンペーンでは、主として去る1月6日に開設されたウェブページを通じて、外務省や協力団体が開催する国連関係のイベント情報を紹介することで、国連に関心を持つ幅広い層の参加と関係者の相互交流が図られます。国連関係の講演会や講座の開催に対する外務省の側面的な支援も行われます。国連広報キャンペーン・サイト「いっしょに国連」は
こちらへ。
[2009年1月14日掲載]
男女平等はディーセント・ワークの中心広報キャンペーン(2008年6月〜2009年6月)
来年のILO総会では「ディーセント・ワークの中心にある男女平等」をテーマとする一般討議が行われます。ILOではこれに向けて、6月から1年間にわたる広報キャンペーンを開始しています。キャンペーンの詳細は
こちらへ。
[2008年9月18日更新]
新着:広報パンフレット「The ILO at a glance/ILOのしごと」
ILOの活動を紹介する広報資料が新しくなりました。英語版を「
The ILO at a glance」と題するこの20ページのパンフレットは、現在日本語版(
題名「ILOのしごと」・PDF版・5.9MB)など8カ国語で発行されています。印刷版をご希望の方は、ILO駐日事務所(TEL: 03-5467-2701 FAX: 03-5467-2700 E-mail:
ilo-tokyo@ilotokyo.jp)までご相談下さい。
[2008年5月21日掲載]
労働安全衛生世界デー
ILOでは4月28日を「
労働安全衛生世界デー」と定め、職場における安全・健康文化の促進に人々の関心を喚起する日としています。
2008年の世界デーのスローガンは「私の暮らし、私の仕事、私の安全な仕事:職場環境におけるリスク管理」となっています。今年の世界デーに際して発表された報告書「
マイライフ、マイワーク、マイ・セーフ・ワーク:職場のリスクを管理する」の日本労働組合総連合会による日本語訳(12.0MB)を掲載しました(
英語版はこちらへ)。
また、2007年の世界デーに際してILO駐日事務所で開催した
フォーラム「グローバル化と労働安全衛生:ILO新条約(第187号)が日本とアジアの職場環境改善にもたらす意味」の報告書(7.0MB)も新たに掲載しました。
[2008年4月17日掲載]
新刊:ディーセント・ワークへの障害者の権利−日本語版
2007年の国際障害者デー(12月3日)のテーマは「障害者のためのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」でした。ILOがこの日に合わせて発表した報告書「
The right to decent work of persons with disabilities」の
日本語版「ディーセント・ワークへの障害者の権利」(PDF版・3.2MB)を新たに掲載しました。印刷版(2,000円)のご注文はILO駐日事務所販売担当(TEL: 03-5467-2701 FAX: 03-5467-2700 E-mail:
ilo-tokyo@ilotokyo.jp)まで。
[2008年3月27日掲載]
新刊:仕事の世界におけるパターンの変化−日本語版
2006年の第95回ILO総会に提出された事務局長報告「
Changing patterns in the world of work」は世界の労働力の急増、サービス産業就業者数の増大、インフォーマル経済の成長、労働市場における柔軟性と安全保障を求める圧力の増大、国際労働力移動の拡大など、労働市場の今日的な変化の動向をまとめたものとなっています。ILO駐日事務所ではこの度、同書の日本語版を作成し、ご希望の方に有料(2,000円+郵送料)で配布しています。購入ご希望の方は、
ILO駐日事務所販売担当までお申し込み下さい。PDF版(3.1MB)をご覧になる方は
こちらへ。
[2007年10月18日掲載]
日本がILO第187号条約の最初の批准国に
日本は7月24日にジュネーブのILO本部で、2006年に採択された「
職業上の安全及び健康促進枠組条約(第187号)」の批准書を寄託し、同条約の最初の批准国となりました。第187号条約は、労働安全衛生の促進的な枠組みを定めたものです。日本がILO条約の最初の批准国となるのは今回が初めてです。本件に関する同日付新聞発表は、
こちらへ。
[2007年7月24日掲載]
新刊:多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(第4版)
多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言は1977年に採択された後、数度にわたって改訂されています。この度、2006年3月の第295回理事会で採択された改正分までを含んだ
最新版(第4版)の日本語版を作成しました(
英語その他各国語版はこちらへ)。
[2007年6月27日掲載]
医療生協よりILOのジャワ島中部地震復興活動に100万円の義捐金
去る2006年5月27日の地震で甚大な被害を受けたインドネシアのジャワ島中部において、ILOは
同国アチェにおける2004年の津波・地震復興支援活動の経験と知見に基づき、建築基準に合った堅固な住宅再建を目指した建築技術の訓練を行っています。この災害に対する支援の一環として、日本生活協同組合連合会(日生協)医療部会より、会員組織である医療生協を通じて集められた104万8,278円の義捐金がILOに対して拠出されました。この義捐金は、ILOによるジョグジャカルタ州バンツール地区の診療施設の再建等に充てられる予定です。9月5日には、来日中のマリア・アンヘリカ・ドゥッチILO官房総局長、山下俊史日生協副会長、宮田育治日生協理事(郡山医療生協専務)などの出席を得て、ILO駐日事務所で義捐金授与式が行われました。9月1日付の新聞発表本文は
こちらへ。2007年2月に出された
プロジェクト中間報告概要はこちらへ。ジョグジャカルタの地震に対するILOの活動の詳細については、
ILOインドネシア事務所のホームページ(http://www.ilo.org/jakarta)をご覧下さい。
[2007年2月23日更新]
イオン株式会社よりILOの児童労働撤廃活動に100万円の寄付金
イオン株式会社(千葉県)は、2006年10月に受賞した第3回「朝日企業市民賞」の副賞100万円を、ILOがタイ北部で実施する児童労働撤廃活動に寄付することを決定しました。寄付金はチェンライで、学校、地域社会における児童労働及び人身取引の危険性に関する啓蒙活動、弱い立場にある児童・若者が地元労働市場に技能を身につけて参入できることを目指した教育、訓練、キャリア開発活動に用いられる予定です。2月13日付の新聞発表本文は
こちらへ。
[2007年2月22日掲載]
最終更新日:2009年11月6日 作成者:EU 責任者:SH