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2013年記者発表概要(全文は英語

2013年7月発表分

 ヴェオリア・エンバイロメントが労働安全衛生の促進に向けたソウル宣言を支持英語原文
    2013年7月1日(月)発表ILO/13/77

 水、廃棄物、エネルギー管理の分野で世界をリードするフランスのヴェオリア・エンバイロメント社は、2013年7月1日に、同社のアントワーヌ・フレロ会長兼最高経営責任者(CEO)がジュネーブのILO本部において、ムサ・ウマルILOガバナンス・三者構成原則局長及び国際社会保障協会(ISSA)のハンス=ホルスト・コンコレウスキー事務局長立ち会いの下でソウル宣言に署名し、職場における安全と健康を世界中で促進することを公約しました。
 ILO、ISSA、韓国産業安全衛生公団(KOSHA)の共催で、2008年6〜7月にソウルで開かれた第18回世界労働安全衛生会議に際して6月29日に開かれた安全衛生サミットで採択された「労働安全衛生ソウル宣言」は、社会の責任として労働安全衛生を世界中で促進するための青写真を構成しています。宣言は、安全で健康的な環境の中で就労する権利を従業員に与える予防的安全衛生文化があらゆる国で尊重されることを呼びかけています。日本の中央労働災害防止協会や労働安全衛生総合研究所を含め、既に300を超える機関・企業が宣言に署名し、予防原則を最優先事項に掲げる明確な権利、責任、義務の体系を通じて安全で健康的な作業環境を確保する取り組みに積極的に参加することを約しています。
 従業員数22万人を擁し、2012年の年商は294億ユーロを記録し、世界中に営業拠点を有するヴェオリア・エンバイロメント社は、水、廃棄物、エネルギー管理という補完的な三つの分野で自治体や産業のニーズに応え、世界中から参照される環境問題の解決策を提供しています。

2013年6月発表分

 漁業・水産養殖業で働く子どもの保護改善を諸国に促すILOとFAO英語原文
    2013年6月27日(木)発表ILO/13/76

 ILOと国連食糧農業機関(FAO)はこのたび、漁業と水産養殖業における児童労働への取り組みに関する手引き文書『Guidance on addressing child labour in fisheries and aquaculture(漁業及び水産養殖業における児童労働への取り組みに関する手引き・英語)』を共同で作成し、危険有害労働から子どもを保護する措置を講じることを各国政府に呼びかけています。ほとんど全ての国が子どもの保護に関する国際条約に署名しているものの、その多くが国内法制に移行されていないとして、手引き文書は、漁業及び水産養殖業の小規模事業体で働く子どもの多くが、しばしば夜間に行われる安全でない深さまでの潜水、感染症罹患の危険がある不衛生な加工処理工場における長時間労働、有毒化学物質や危険な機材・道具の取り扱い、水産加工貯蔵施設で働く少女がさらされている性的虐待の危険など、過酷で危険かつ有害な労働条件にさらされ続けていることを報告しています。
 世界全体で児童労働者の6割に当たる約1億3,000万人が農業・畜産業・漁業分野で働いていると推定されます。漁業と水産養殖業で働く子どもの総数を示すデータは存在しませんが、インフォーマルな中小企業と家族経営の事業体において児童労働が特に問題であることを推測させる証拠が事例研究から得られています。一方で手引き文書は、子どもが従事する漁業活動が全て望ましくないわけではないとして、魚の捕獲や加工、市場で販売する方法を学ぶことは子どもに実践的及び社会的なスキルを身に付けさせ、その発達にプラスとなる場合さえあると記しています。
 手引き文書は、就業の最低年齢(第138号)最悪の形態の児童労働(第182号)漁業労働(第188号)などといった関連するILO条約、児童の権利に関する国連条約、FAOの責任ある漁業のための行動規範などを含む国際ルールの遵守を求めています。また、子どもに特有のリスクや危険有害性の評価に際しての労働安全衛生評価の重要性、子どもが適切なケアと教育を受け、危険有害活動に関与しないよう確保するために漁業コミュニティーとの協働が必要不可欠なことなども指摘しています。児童労働の根本原因である貧困と食の安全保障の欠如という最大の課題に取り組むに当たっては、大人のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)機会の促進、社会的保護、給食プログラムを伴った無償教育が持続可能な解決策につながる可能性があるとしています。
 ILO児童労働撤廃国際計画(IPEC)のコンスタンス・トーマス部長は、「子どもの心身・社会・教育面での発達を害するような仕事は全て許容できず、国際条約違反です」と指摘した上で、児童労働からの子どもの保護を目的とする合意の実行確保を呼びかけています。

 第318回ILO理事会:結社の自由委員会報告を採択英語原文
    2013年6月24日(月)発表ILO/13/75

 6月21日に開かれた第318回ILO理事会は、結社の自由の侵害に関する申立てを審査した理事会の結社の自由委員会の報告書を採択しました。現在係属中の163件の案件のうち38件を検討し、27件について最終結論、11件について中間結論に達した委員会は、グアテマラ、イラン、ベネズエラの案件について、その深刻さと事態の緊急性から理事会の特別の注意を喚起しました。
 2005年にまで遡るものがある労組活動家の殺害、殺害脅迫、その他の暴力行為、加害者が処罰されない事態を招いている制度崩壊に関する申立てが提起されているグアテマラの複数の案件について、結社の自由委員会は、理事会労働者グループとグアテマラ政府との間で殺害実行犯と黒幕をできるだけ早く確定する独立した迅速な調査の開始や、労働者・労働組合の役員・指導者が脅迫や暴力を受けずに労働組合活動を実行できるようその安全を保証することの公約などを内容とする覚書が締結されたことに関心を持って留意し、この政治的な意思が具体的な行動と結果に転化することへの強い期待を表明しました。
 バス会社労働組合に対する当局と使用者の抑圧行為が問題になっているイランの案件について、結社の自由委員会はテヘラン郊外バス会社労働者連合出納役の投獄に対する建設的な取り組みを続けるという政府の意思に留意し、出納役の仮釈放、恩赦、即時釈放の確保を求めました。
 使用者団体FEDECAMARASに対する社会対話機会の否定などの排斥行為が申し立てられているベネズエラの案件について、結社の自由委員会は、2008年の同本部に対する爆弾攻撃事件の最終判決に対する情報請求を行うと共に2010年に発生したFEDECAMARAS指導者の誘拐・虐待事件の捜査と加害者の起訴に向けてその権限の中であらゆる措置を講じることを政府に再び呼びかけ、政府との間で合意が達成されたハイレベル三者構成派遣団の派遣が問題解決に寄与することへの強い期待を表明しました。
 一方で委員会は、パキスタン、ペルー、ポーランドで労働組合指導者の職場復帰がかなうなど、委員会の勧告が効を奏して幾つかの案件で見られる進展を歓迎しました。解雇を含む様々な反組合活動が多数申し立てられていたコロンビアについては、ILOの支援の下、結社の自由委員会への提起を検討中のものを含む52件の案件中28件がILO付託紛争処理特別委員会(CETCOIT)の枠内で当事者間の合意が達成されたとの政府報告を歓迎し、委員長は、労働組合の権利の保護拡大を確保する迅速かつ効果的な仕組みを見出す努力の継続を他の政府に対しても奨励しました。
 結社の自由委員会はまた、結社の自由及び団結権保護条約(第87号)と団結権及び団体交渉権条約(第98号)の適用に関わり審査委員会が設置されたベラルーシ政府が同委員会の勧告を実行するために執った措置に関する報告も受けました。
 第318回ILO理事会では他に、2012年11月に開かれた第316回理事会で採択されたフィジーの労働組合情勢に関する決議のフォローアップ、2006年の海事労働条約に規定される特別三者委員会の設置、第18回米州地域会議などの議題が検討されました。

 第318回ILO理事会:エルサルバドル大使を議長に選出英語原文
    2013年6月21日(金)発表ILO/13/74

 6月21日に開かれた第318回ILO理事会は、2013〜14年の任期1年の議長として在ジュネーブ国連事務局エルサルバドル政府常駐代表のビクトリア・マリナ・ベラスケス・デ・アビレス大使を選出しました。使用者側副議長には国際使用者連盟(IOE)のダニエル・フネス・デ・リオハ執行副会長、労働者側副議長にはベルギーのキリスト教労組連盟のリュック・コルトベック会長がそれぞれ再選されました。
 前任のフランス政府代表ジル・ド・ロビアン大使から議長職を引き継いだベラスケス・デ・アビレス大使は、職業治安判事として人権保護検察官や最高裁判所憲法部第一裁判官、最高裁判所民事部首席裁判官などを歴任し、2012年の大使就任前は労働・社会福祉大臣を務めていました。大使は就任に当たり、これまでの前任者の豊かな経験を基礎として、雇用、社会的保護、社会対話、政労使の三者構成原則、就労に係わる基本的な原則及び権利といった、ILOの主要目標の強化に向けて取り組む決意を表明しました。また、ILOの制度慣行、ガバナンス(統治)、調査研究能力の見直しにも重点を置き、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)をその達成手段として用いながら、仕事の世界において社会正義を現実のものとするために最善の努力を尽くすことを公約しました。

 第102回ILO総会:私たちの暮らしと社会の中に占める仕事の位置に関する前向きの検討を求めるライダー事務局長英語原文
    2013年6月21日(金)発表ILO/13/73

 ガイ・ライダーILO事務局長は、第102回ILO総会最終日の6月20日に行った閉会演説で、急速に進化する仕事の世界の要求に応えるため、決定的に重要な多くの分野において緊急の行動を求めました。また、総会での議論を振り返り、パレスチナの労働者の状況改善に向けたILOの任務を遂行する決意を強調しました。
 総会に提出した自らの報告書で事務局長が提案した2019年のILO創立100周年を見据えた七つのイニシアチブは、4,700人を超える総会出席者の幅広い支持を受けました。事務局長はこのイニシアチブについて、ILOがその仕事を改善し、より周辺環境に合ったものとし、影響力を持たせるために必要な手段と戦略の方向性を与えるものとして、この実行を改めて約しました。
 仕事の未来に関する諮問団を設置し、その報告書を2019年の総会に討議資料として提出することを提案する「仕事の未来イニシアチブ」に関しては、「私たちの暮らし及び社会の中に占める仕事の位置に関する前向きの検討」が必要とし、これは政策選択肢の枠組みを形作るだけでなく、100周年を記念するにふさわしいものになろう、と語りました。ILOが企業と関与する足場の構築を提案する「企業イニシアチブ」については、この必要性に対する意見の「強い収斂」に加え、グローバル・サプライ・チェーン(国際供給網)、そしてより一般的に企業の社会的責任に関するILOの役割の規定及び実行に対する幅広い関心が見られたとしました。
 2030年までに極度の貧困を根絶する取り組みにおいてILOが果たす役割の増大を目指す「貧困撲滅イニシアチブ」も強い支持を受け、このイニシアチブを農村経済、インフォーマル性、2015年以降の開発課題に関するILOの今後の活動と結び付ける発言が多く聞かれました。一方で、仕事の世界における女性の地位と状況を確定し、機会平等・均等待遇の実現に向けた活動を刺激することを提案する「働く女性イニシアチブ」への言及が他より少なかったことについては、この問題に対する公約が政労使間に十分に確立されており、改めて言及するまでもないとの考えを反映しているのだと思いたいと述べました。
 事務局長は、低炭素の持続可能な開発路線への移行におけるILOの役割は、「ILOの最初の100年間と今後の100年間の活動を最も峻厳に区別する要素」とし、移行においてディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の側面を実際に適用することなどを提案する「グリーン・イニシアチブ」は、この役割を前進させる手段になろうと語りました。ILOの統治構造の改革を完了させることなどを提案する「ガバナンス(統治)イニシアチブ」と国際労働基準の妥当性を高めることなどを提案する「基準イニシアチブ」は、より組織面に係わる提案ですが、ILOの改革課題に密接に関連している同じくらい重要な事業であるとしました。
 事務局長は、今後七つのイニシアチブをさらに詰めて100周年ロードマップを定める予定であることを発表しました。

 ギリシャの雇用危機に取り組む会議をアテネで開催英語原文
    2013年6月21日(金)発表ILO/13/72

 ILOは来る6月25日にアテネで、ギリシャの雇用危機の問題を取り上げるハイレベル会議を欧州委員会及びギリシャ政府と共催します。6月20日に閉幕した第102回ILO総会においてギリシャの政労使はILOとの協働を公約しましたが、「ギリシャの雇用危機への取り組み:どれが前途への道か」と題する今回の会議において、ILOは、ギリシャ経済の景気後退からの回復を支援する様々な政策提案を含む同国の労働市場に関する新しい研究書を発表します。
 アテネのヒルトンホテルで開かれる会議には、ギリシャの労働・社会保障・福祉大臣及び労使代表に加え、欧州委員会のラースロー・アンドル雇用・社会問題・社会包摂担当委員及びガイ・ライダーILO事務局長も出席します。国際機関の代表がILOの政策提案を検討するパネル討議やアンドル委員、ライダー事務局長、ギリシャの政労使が同国の雇用危機に取り組む道を話し合う対話も行われます。会議終了後の記者会見にはギリシャ首相の出席も予定されています。

 第102回ILO総会:26カ国の労働基準適用状況を審査英語原文
    2013年6月20日(木)発表ILO/13/71

 ジュネーブで開かれていた第102回ILO総会は、最終日の6月20日に、25カ国(バングラデシュ、ベラルーシ、カンボジア、カナダ、チャド、ドミニカ共和国、エジプト、フィジー、ギリシャ、グアテマラ、ホンジュラス、イラン、ケニア、韓国、マレーシア、モーリタニア、パキスタン、パラグアイ、サウジアラビア、セネガル、スペイン、スワジランド、トルコ、ウズベキスタン、ジンバブエ)について労働基準の実施状況における問題点を審査し、1カ国(アイスランド)について相当の進展を評価した政労使三者構成の総会基準適用委員会の報告書を採択しました。委員会は、ベラルーシとフィジーにおける結社の自由及び団結権保護条約(第87号)の適用状況、ウズベキスタンにおける最悪の形態の児童労働条約(第182号)の適用状況についてはその深刻さから総会の注意を特に喚起しました。一方で、全国的な労働協約の実行に向けて労使の社会的パートナーが職業リハビリテーション基金を設立するなど、障害者の雇用機会促進に向けて政府の野心的な取り組みが見られるアイスランドについては、職業リハビリテーション及び雇用(障害者)条約(第159号)の適用における好例として進展を歓迎しました。
 総会委員会はまた、今年の総合調査のテーマであった公務員の団体交渉に関する検討も行い、今回初めて総合調査の対象となった関連する基準(1978年の労働関係(公務)条約(第151号)及び付属する同名の勧告(第159号)並びに1981年の団体交渉条約(第154号)及び付属する同名の勧告(第163号)の各2本の条約・勧告)の実施と当該条約の批准促進に向けた行動計画の諸要素を定める結論を採択しました。総合調査とは、関連するILO基準を実行する方法に関して加盟国に手引きを示し、批准の障害や批准見通しについて検討し、障害を克服するために諸国に得られる技術支援を示すために、特定の基準についての法律及び慣行の現況報告を関連条約未批准国を含む全加盟国に求める調査です。
 総会委員会は、各国から寄せられた批准条約の適用状況に関する報告及び現況調査報告をもとに、法律の専門家で構成される条約勧告適用専門家委員会が作成した報告書をたたき台として討議を行います。

 第102回ILO総会:増大する高齢化社会人口に仕事と社会的保護を提供する行動が必要英語原文
    2013年6月19日(水)発表ILO/13/70

 2050年までに世界人口は90億人を超え、女性が大半を占めると予測される60歳以上人口は今の3倍に増え、その4分の3が現在の途上国の住民になると見られます。生産年齢人口と65歳超人口の比率は2000年には9対1でしたが、2050年には4対1になると予測されています。ジュネーブで開かれている第102回ILO総会では、このような人口動態の文脈における雇用と社会的保護のあり方に関する話し合いが行われました。討議のたたき台となった報告書は新たな人口動態における課題の規模を提示し、労働市場、社会保障制度、雇用、経済開発に奥深い影響があることを警告しています。
 6月19日に総会で採択されたこの問題を討議した政労使三者構成の委員会の結論は、人口動態の急速な変化は世界中の労働市場と社会保障制度に大きな課題を提示し、緊急の取り組みが必要とし、政策の正しい組み合わせと関連する利害関係者の公約及び活動があれば、人口転換は持続可能で管理可能なものになるだけでなく機会と化すことができるとし、あらゆる年齢の人々の雇用と社会的保護におけるニーズに対処し、世代間の責任の分かち合いと連帯を促進する長期的な政策ビジョンの必要性を強調しています。結論は、人口構造の変動、雇用、労働力移動、社会的保護、経済開発の相互依存性を認めた包括的、多次元的、統合的、革新的な政策の組み合わせが必要と唱えています。そして、就労に係わる原則と権利は普遍的であるものの、政策はそれぞれの状況特有のものであり、各国は自国の状況に適した正しい政策の組み合わせを開発する必要があるとしています。結論は、全ての生産年齢集団に働きがいがあり人間らしい生産的な仕事を創出する開発戦略と雇用を中心に据えた政策を提案し、共通の課題として技能のミスマッチと技能不足を挙げ、ライフサイクル全体を通じて技能を改善し更新する措置を政策の組み合わせの必要不可欠な要素としています。社会的保護については、公式の制度がない国ではそれを確立し、制度が確立している国ではその持続可能性を確保する必要性を説いています。年金に関しては、選択の難しさを認め、十分であることと予見可能性、そして段階的な引退やパートタイム労働、ジョブシェアリングなどの方策を通じた現役勤労生活から引退生活への漸進的かつ柔軟な移行が確保されるよう努める政策を提案しています。引退を遅らせることを選ぶ高齢労働者に関しては、適切な法制、啓発キャンペーン、企業レベルのイニシアチブなどを通じて年齢に基づく差別をなくす政策を提案しています。
 総会委員会の結論は、ILOには、人口構造の変化と仕事の世界に対するその影響に関して世界に対してリーダーシップを発揮し、卓越した研究拠点として機能する重要な役割があるとして、近い将来におけるケア部門に関する調査研究の実施など具体的な複数の行動を求めています。
 委員会の事務局副代表を務めたILO雇用政策局のアジタ・ベラル・アワド局長は、この結論は、「若者には技能開発と雇用機会、働いている人には公正な賃金と権利、失業者には社会的保護、高齢労働者には雇用機会と訓練、引退者には年金」という仕事の世界に対するライフサイクル的アプローチが必要なことを示していると語っています。委員長を務めたジンバブエのジェームズ・マチザ政府代表は、「アフリカの目下の優先事項は豊かな若者人口に雇用を提供し、インフォーマル・セクターに社会保障を拡大し、インフォーマルな仕事のフォーマル化を奨励すること」としつつも、アフリカその他の途上地域でも高齢化は始まっているため、将来に向けた準備が必要と語っています。南アフリカの使用者代表であるタニア・コーエン副委員長は、社会的保護措置の財源として労働力率を高め、今、人々を仕事に就かせる必要性を強調し、企業が仕事を創出し続けられるように、営業できる環境、仕事の世界の性質の変化に適応し持続可能である柔軟性が企業には必要と説いています。イタリアの労働者代表であるシンチア・デル・リオ副委員長は、今必要なのは、「社会的保護制度の迅速な拡大を確保する決然とした政治的意思と行動、さらに人々が将来世代のために社会的保護に定期的に拠出し、この制度を支えられるために、公正な条件と賃金を伴ったフォーマルな雇用」であると語っています。

 第102回ILO総会:社会対話に関する新たな行動枠組みをILO承認英語原文
    2013年6月19日(水)発表ILO/13/69

 ジュネーブで開かれている第102回ILO総会において、6月19日に採択された社会対話に関する反復討議委員会の結論は、社会対話を促進・強化する行動枠組みについての総会出席者の合意を示しています。政労使の討議を経てまとめられた結論は、社会対話は、決定の影響を受ける人には意思決定プロセスにおける発言権が与えられるべきという民主主義の基本原則を体現することを強調して社会・経済進歩の達成におけるその重要性を再確認し、ILO加盟国政労使に対しては社会対話のプロセスと関連する仕組みの強化を呼びかけ、ILOに対しては、支援の提供、社会対話の積極的な促進、他の国際機関との政策の整合性を高めることを求めています。
 行動計画の一環として、三者の間の協議(国際労働基準)条約(第144号)団体交渉条約(第154号)といった社会対話に関連する条約を促進する新しいキャンペーンが実施されます。この他に、労働法の執行と労働監督における効率性と統治の改善に向けた労働行政の支援、労働紛争の防止と解決に関する仕組みと制度に対するILOの支援の拡大、国境を越えた社会対話に関する専門家会議の開催といった事項が盛り込まれています。結論に基づき、ILOは政労使が社会対話及び団体交渉に従事し、これを促進・円滑化するのを支援し、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、世界貿易機関(WTO)などの国際機関ともっと積極的に関与して、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を全ての人に実現することを目指すディーセント・ワーク課題やILOの基準及び原則を促進することになります。
 総会委員会の委員長を務めたピエール=ポール・マエテ・ベルギー政府代表は、とりわけ危機の際に社会的パートナーと共に政府が果たし得る重要な役割を説き、社会対話の有効性と労使関係の健全性は政策策定者、行政官、そして三者討議の参加者として行為する政府の能力に左右されると語っています。委員会では、世界金融・経済危機によって社会的パートナーと共に重要な問題に取り組むに至った国もあれば、雇用創出における改善を伴わずに、団体交渉体制、最低賃金、年金、雇用保護法が政策改革によって弱められた国もあることが指摘されましたが、米国労働者代表のセーラ・フォックス副委員長は、このような状況はグローバル化の影響とあわせ、社会対話と団体交渉の強化を一層決定的に重要なものにしたと説いています。また、「国際供給網(グローバル・サプライ・チェーン)の複雑化は労働者に関係する多くの決定が今は国境の外で行われるという新たな課題を労働者にもたらした」として、国内レベルでの三者構成ではもはや不十分なことを指摘し、国を越えた社会対話の新たな余地を構築し強化する必要性を訴えました。デンマークの使用者代表であるユルゲン・ルンネスト副委員長は、例えば労使の職場内協力が情報共有、協議、果てには共同意思決定までをも円滑化し、安定した労使・雇用関係、生産的な職場に貢献するとして、社会対話はあらゆるレベルで全ての当事者に利益をもたらすと語っています。

 2015年以降の開発課題には野心的な雇用目標が必要英語原文
    2013年6月19日(水)発表ILO/13/68

 ILOと国連開発計画(UNDP)が主導して開かれている成長と雇用に関するグローバル協議会の一環として6月14日にニューヨークで開かれた雇用と包摂的成長に関するハイレベル会議では、2015年以降の開発課題における「野心的な雇用目標」の必要性を唱える結論が示されました。国連、政府、労使団体、市民社会の代表者85人が参加した会議では、生産的な能力と人間らしく働きがいのある仕事を支える政策、不平等に取り組む努力の増大、インフォーマルな仕事のフォーマル部門への統合、不公平な租税制度の改革、政府開発援助(ODA)の再活性化、国際貿易と金融に関するルールの改善、意思決定及び政策決定に持続可能な開発の視点を盛り込むことが求められました。
 ILO多国間機関渉外局のスティーブン・パーシー局長は、前世紀末に行われたミレニアム開発目標(MDGs)に関する議論と異なり、2015年以降の開発課題は雇用を開発の中心にあるものと見ていると説明しました。国際労働組合総連合(ITUC)の代表として会議に出席したアリソン・テート渉外局長は貧困撲滅を助ける社会的により包摂的で経済的に力強い開発モデルを開発する上でのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の重要性を強調しました。国際使用者連盟(IOE)を代表して会議に出席した米国国際ビジネス評議会のアダム・グリーン労働事項・企業責任・ガバナンス担当副会長は、2015年以降の開発課題は、ODAをどこに向けるかという話から企業開発、経済成長、雇用創出の育成へと焦点が移行したことを表していると語りました。
 5月に出された2015年以降の開発課題に関する国連事務総長のハイレベル・パネルの報告書では、仕事と包摂的な成長を促進する方向に経済を変える必要性が強調され、「仕事の創出、持続可能な生計手段、公平な平等」という具体的な開発目標が提案されました。潘基文国連事務総長は、2013年9月にニューヨークで開かれる国連総会で世界の次の開発課題に関するビジョンを示す予定です。

 第102回ILO総会:環境の持続可能性とディーセント・ワークなしに持続可能な開発はない英語原文
    2013年6月19日(水)発表ILO/13/67

 ジュネーブで開かれている第102回ILO総会は6月19日に、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)、環境に優しいグリーン・ジョブ、持続可能な開発を達成する最善の方法について話し合った政労使三者構成の委員会の結論を採択しました。よりグリーンな経済への正しい移行の達成に向けた政労使共通のビジョンと主要な指導原則に関するILO加盟国政労使の初の合意を表すこの結論は、「グリーン経済化は社会目標の達成に向けた多くの機会を提示する」として、先進国・途上国双方において成長の新たな原動力や、貧困撲滅及び社会的包摂に相当に寄与する可能性がある人間らしく働きがいのあるグリーン・ジョブの創出源となる潜在力の存在を指し示しています。さらに、グリーン経済化は、経済全体にわたって働きがいのある人間らしい仕事を新たに創出するだけでなく、農業、建設業、リサイクル業、観光業などの部門を中心に、仕事の質を高め、収入を引き上げる可能性があるとした上で、世界がバラバラにではなく、共同で取り組む必要がある環境面及び雇用面の課題が存在することも指摘しています。ガイ・ライダーILO事務局長は、このような幅広い合意の達成に喜びを示し、次はこの合意を社会対話を通じて具体的な行動に移す必要があると語っています。
 委員会の結論は、よりエネルギー効率・資源効率が高い慣行を導入することによって全ての仕事と企業をグリーン化することを求めていますが、これは、社会対話を増し、個々の国のニーズに合わせつつも整合的な政策を採用し、労働基準、産業政策、中小・零細企業への支援に特別の注意を払うことによって達成できるとしています。さらに、仕事の世界と教育・訓練の世界との強い結びつきの必要性、労働安全衛生関連措置の実行と尊重、健全かつ包括的で持続可能な社会的保護制度の促進といった要素を強調し、移行の影響を受ける集団、地域、職業に対象を絞った特別の支援を必要不可欠なものとしています。ILOに対しては、調査研究能力のさらなる開発、政労使との最善事例の共有、中小企業及び協同組合に対するエネルギー効率の向上や資源のより良い利用による生産工程グリーン化に関する指導の提供を求めています。また、「ディーセント・ワークを全ての人へ」というディーセント・ワーク課題をマクロ経済政策において促進するために関連する国際・地域機関と協力を続けること、ディーセント・ワークが実際に適用されることの確保に向けた取り組み、そして2015年以降の開発課題にディーセント・ワーク、貧困撲滅、全ての人々にとっての正しい移行が含まれることを唱える政労使に対する積極的な支援の提供も求められています。ILOはこの結論を具体的な事業と支援計画に転化する戦略的行動計画をもって結論のフォローアップを行います。
 総会委員会の委員長を務めたスーダンのアブダルマームッド・アブダルハレーム・モハマッド大使は、環境の持続可能性、貧困削減、ディーセント・ワーク課題を21世紀の特徴的な課題の一部に挙げ、最も打撃を受けるのは最貧困層となる場合が多いことを指摘して、こういった課題に皆で同時に取り組むことを求めました。副委員長を務めたジャマイカのブレンダ・カスバート使用者代表は、より高いエネルギー効率や資源利用上の環境問題に先行対策的に取り組むことは長期的に持続可能な成長を可能にする助けになるとの使用者側の考えを述べ、環境効率による節減が導くコスト節減は技術革新に再投資することができ、企業を強くすると同時により多くの仕事を提供し、企業、労働者、政府を含む経済の全ての当事者に利益をもたらすと語っています。アルゼンチンの労働者代表であるヘラルド・マルチネス副委員長は、変化は選択肢ではなく必要事項であることを組合員たちは理解しているとした上で、移行は人間らしく働きがいのあるグリーン・ジョブを創出すべきであり、労働者を調整の変数とすべきではないと説いています。

 第102回ILO総会:ミャンマーに残されていた制限を解除英語原文
    2013年6月18日(火)発表ILO/13/66

 ILOは昨年の総会で、強制労働条約(第29号)の適用に問題があったミャンマーに対して課していた会議参加制限など一部の措置を解除しましたが、現在ジュネーブで開かれている第102回ILO総会は6月18日に、残されていた全ての制限を解除する決議を採択しました。これによって2000年の総会によって課されていた、ミャンマーにおける第29号条約適用状況の総会特別会合における継続審議とILO加盟国政労使に対する同国との関係見直し勧告は解除されました。
 ILOの歴史上初めて憲章第33条を発動してミャンマーに課された制限は1999年2000年の総会で採択された決議に基づいています。これは、同国による第29号条約適用状況を審査した審査委員会が1998年に出した勧告にミャンマーが従わなかったことからもたらされました。委員会はミャンマー当局による幅広い強制労働の利用を示す豊富な証拠が得られたとして、法改正、強制労働慣行の停止、加害者の処罰の三つを柱とする勧告を出していました。政府によるこの勧告実行の動きがなかなか見られなかったため、ILOは1999年と2000年の総会で、勧告の実行を確保する目的で、勧告に関連するもの以外のILOの技術協力提供禁止などを内容とする決議を採択しました。
 今年採択された決議は、ミャンマーにおける進歩を認め、過去の総会によって課されたあらゆる制限を解除すると共に、強制労働の撤廃に向けた金銭的な支援の提供をILO加盟国に呼びかけています。また、強制労働の申立ての処理並びに同国に駐在するILO連絡官の役割及び任命に関してILOとミャンマーの間で締結された2007年の補足覚書強制労働撤廃戦略に関する2012年の覚書、そして2015年までにあらゆる形態の強制労働を撤廃することに向けた関連するあらゆる行動計画の適用に向けた公約を維持し続けることをILOとミャンマー政府に求めています。さらに、結社の自由や同国のまともな労働条件に対する外国投資の影響などを含む、ミャンマーにおけるILOの活動に関連した事項の状況点検を理事会に求め、ILO事務局長に対し、同国から強制労働が撤廃されるまで毎年3月の理事会に報告書を提出することを要請しています。

 第102回ILO総会:ILOとEU議長国、家事労働者のディーセント・ワーク確保に向けた動きを歓迎英語原文
    2013年6月18日(火)発表ILO/13/65

 2011年のILO総会では、家事労働者のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)に関する条約(第189号)勧告(第201号)が採択されましたが、現在ジュネーブで開かれている第102回ILO総会に参加している複数の国の労働・社会事項担当大臣は6月18日に非公式会合を開き、家事労働者の労働条件改善において第189号条約を支援する活動が重要であるという点で意見の一致を見ました。
 現在、欧州連合(EU)理事会議長国を務めるアイルランドとILOが共催したこの非公式会合には、オランダ、ベルギー、ボリビア、ブラジル、キプロス、フランス、ラトビア、リトアニア、フィリピン、スペインの労働・社会問題を担当する大臣に加え、欧州委員会のラースロー・アンドル雇用・社会問題・社会包摂担当委員も出席し、第189号条約を支える方法を話し合いました。アイルランドのリチャード・ブルートン雇用・企業・技術革新大臣は、アイルランドが議長国として今週、EU加盟国に第189号条約の批准を許可する理事会決定を提示することを明らかにし、アイルランドの早期批准に向けた意思を示しました。
 家事労働者は全世界的に増えてきており、労働力調査で過少計算されることが多いため、控えめな見積もりですが、1995年に3,320万人を数えたのに対し、2010年には5,260万人に達しています。しかし、その就業は目に見えない場合が多いために労働条件は最も劣悪で、しばしば虐待を受け、法の保護から除外されています。会合では家事労働者をフォーマル経済に移行させる方法が検討され、家事労働部門の雇用潜在力を高め、家事労働者及び経済全体に良質の仕事を育むことによって脆弱な立場にある家事労働者により良い保護を与えることを通じて全ての人に利する状況が形成されると論じられました。会合では、家事労働者の保護を高めるために法やイニシアチブが新たに導入された国々から経験談を聞くことが奨励されました。ブルートン大臣は、家事労働の雇用関係特有の状況を認識する法定実務規程が社会的パートナーとの協力によって策定され、家事労働者の使用者に使用者としての義務を教えて法令遵守を奨励するために労働監督を行っているアイルランドの経験を発表しました。
 ガイ・ライダーILO事務局長は、公共政策の策定において家事労働者の保護ニーズとこれらの労働者が社会にもたらす相当の経済的・社会的価値に十分な注意が払われないことが多かったかつてと異なり、「今は真の変化の勢いが見られる」として、キャンペーン手段としての第189号条約の巨大な価値を指摘して、協力し合えばその最善の活用を図ることができると語りました。ブルートン大臣は、批准に向けた勢いを基礎として、家事労働者のディーセント・ワークを促進し、この部門を育成する世界的な取り組みにおいてリーダーシップを発揮することをEU諸国に呼びかけました。

 ワークシェアリングは危機時の雇用救済策になり得る−ILO新刊英語原文
    2013年6月18日(火)発表ILO/13/64

 6月18日に発表されたILOの新刊書『Work sharing during the Great Recession: New developments and beyond(大不況期のワークシェアリング:新たな展開と今後)』は、2008〜09年の大不況期からその後にかけて雇用維持策として幅広く用いられているワークシェアリングには新たな雇用を創出する潜在力もあるかもしれないことを示しています。報告書の編者であるILOのジョン・メッセンジャー研究員は、適切に設計・実行された場合、危機時のワークシェアリング政策は、「労働者にとっては雇用の維持、企業にとっては危機を生き抜いて成長が回復した時に有利な立場に立つこと、政府や社会全体にとっては失業と社会的排除のコスト節減」という、三者がそれぞれに得をする解決策を導き得ると説いています。
 ワークシェアリングは実質的に二つに分類されます。一つは、企業の一時解雇回避努力の一環として用いられる、減少した仕事量を同数またはほぼ同数の従業員にいきわたらせるために行う現職従業員の労働時間の短縮で、有名なドイツのクルツアルバイト(短時間労働)制度は危機ピーク時の2009年5月には約140万人の労働者に適用され、40万人分の雇用維持効果があったと推計されています。日本の雇用調整助成金によるワークシェアリングも37万人の雇用を維持したと推計され、その恩恵は250万人以上の労働者に及んだと見られています。途上国最大の労働時間短縮制度を有するトルコでは約10万人の雇用が救済されたと言われています。米国ではほんの少数の小規模な州レベルのワークシェアリング制度しか存在しなかった2009年に約16万5,000人の雇用が維持されたと推計され、最近達成された連邦レベルの新ワークシェアリング法成立の動機となりました。
 危機に関連した臨時的なワークシェアリング策の雇用維持効果は同種の措置をもっと恒常的に雇用増に用いられないかという考えを導きます。そこから生じた二つ目の種類のワークシェアリング措置は、追加採用を奨励し、雇用水準を引き上げるために政府が促進する労働時間短縮促進策で、法によって全国的に義務づけられるか特定産業で団体交渉によって定められる所定週労働時間の短縮から給与税の減税や税額控除などの課税措置その他の奨励策の活用による時間短縮で、危機時に限らずいつでも実施できます。
 オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、オランダといった欧州諸国や日本、トルコ、米国、ウルグアイなど、危機時に講じられた世界各地のワークシェアリング策の掘り下げた分析を通じて、本書はこれらの措置にはささやかながら雇用を増やす効果があることを推測させる証拠を示しています。報告書はこの措置が効果を発揮するには政府の強い支援が必要とし、さらに成功を導く要素として、1)企業及び労働者についてのバランスの取れた利用基準、2)企業に求められる事務要件が最低限に抑えられること、3)短縮される時間数及び短縮形態における柔軟性、4)関係労働者に対する補足的賃金、5)解雇を行うつもりのない企業にも助成金が支払われる死荷重効果を最小限に留めるためにワークシェアリング助成金の支払期間に妥当な期限を設けることを挙げています。
 報告書の編者の一人であるナジ・ゴーシェー研究員は、どちらの種類のワークシェアリングも「魔法の万能策ではない」と断りつつも、雇用増、ワークライフバランスの改善、より持続可能な企業と経済、そして最終的により公平な社会を促進する助けになる数多くの措置の一つとなり得る可能性を指摘しています。

 メキシコとILOが社会的保護の床に関する協力協定を締結英語原文
    2013年6月17日(月)発表ILO/13/63

 メキシコ政府とILOは6月17日に社会的保護の床(最低限の社会的保護)を促進し、労働市場における様々な課題に取り組むための協力協定を結びました。これは社会的保護の床の設置と拡大を八つの重要活動分野の一つに含む2014/15年のILOの事業計画の枠組みと結びついた協定としては、中南米諸国と締結される最初のものです。
 ILOは雇用、社会的保護、社会対話、基準の四つの戦略目標を掲げていますが、メキシコの労働政策も1)質の高いフォーマル雇用の創出、2)生産性の民主化、3)労働者の権利保護、4)職場における社会対話の促進の四つのテーマを基礎としており、協定に署名したガイ・ライダーILO事務局長は、メキシコとILOは「収斂の時を生きている」として、この協定を「多くのことを一緒に行うことを可能にする歴史的な最初の一歩」と評しました。メキシコ代表団の長として現在開かれている第102回ILO総会に出席し、協定に署名したアルフォンソ・ナバレテ・プリダ労働・社会的保護大臣は、この協定は仕事の世界に影響している変化と課題を反映するとし、各地の労働市場の参加者に影響する問題に新しいアイデアやプロジェクトでもって応えることのできる柔軟性を備えているとしました。
 昨年のILO総会で勧告(第202号)が採択された社会的保護の床とは、必要不可欠な保健医療及び給付並びに基礎的な所得保障で構成され、各国は貧しい人々や最も脆弱な立場にある人々の生活改善を目指し、全ての人々にこれを提供することが求められています。メキシコ政府は2013〜18年の国家開発計画に全ての人への社会的保護の提供に向けたネットワーク構築の目標を含んでいます。協定はまた、ILOとメキシコ政労使との間の技術協力関係の強化も謳っており、両者は具体的な技術協力分野を明らかにし、協定に係わる全てのイニシアチブの進捗状況を追跡する仕組みを設けることで合意しました。協定期間は当初5年間で、更新の可能性を含んでいます。

 第102回ILO総会:「信頼感の回復:仕事、成長、社会進歩」ハイレベル・パネル討議開催英語原文
    2013年6月17日(月)発表ILO/13/62

 ジュネーブで開かれている第102回ILO総会の中で6月17日に開かれたハイレベル・パネル討議では、「信頼感の回復:仕事、成長、社会進歩」のテーマの下、世界経済に影響を与えている複数の重要な問題と持続可能な回復の達成を手助けする上で仕事の世界が果たしうる役割の分析が行われました。討議冒頭で、ガイ・ライダーILO事務局長は、総会で最も頻繁に口にされている「仕事はどこから来るか」という質問を提起し、仕事の質と量の両方が懸念事項であることを説明しました。
 パネリストとして最初に発言した国連アフリカ経済委員会のカルロス・ロペス事務局長は、経済成長を続けるアフリカの肯定的な姿を紹介した上で、若者の雇用機会の欠如、不平等、大規模なインフォーマル経済の課題に取り組む必要があるとして、アフリカ人自身の手による構造変革の必要性を唱えました。
 ジュネーブ大学のイブ・フルーキッガー副学長は、「労働者に必要な社会的保護と若者に仕事があることを確保する上で必須の柔軟性とのバランス、まともな給与の必要性と給料が高すぎて労働者が就職市場から追い出されてしまわないよう確保するバランス」の必要性を説き、仕事の未来を確保しつつ、より調和の取れた財政制度の調整を図りながら「公平とバランス」をもって予算に取り組むことを呼びかけると共に、教育、就職市場、社会的保護への公平なアクセスの必要性を指摘しました。
 使用者グループを代表して発言した国際使用者連盟(IOE)のダニエル・フネス・デ・リオハ執行副会長は景気回復における民間部門の重要性を強調し、成長には政労使の三者構成原則やとりわけ若者の雇用創出が必須であることを指摘しつつも、厳格な雇用規制などの成長の障害となるものの除去を求めました。労働者グループを代表して発言した国際労働組合総連合(ITUC)のシャラン・バロウ書記長は、経済と仕事の世界が直面している問題に対する革新的な解決策の必要性を唱え、経済危機に応えて多くの政府が取ってきた緊縮政策は失敗であったとし、生活できるだけの賃金を労働者に支払わなかったらビジネスが危機に陥ると説き、仕事と基盤構造に対象を定めた投資に加え、企業が持続可能であるために必須なものとして、社会的保護の床(最低限の社会的保護)、最低賃金、労働者の権利を挙げました。
 パネリストらは、ILOには景気回復過程において果たすべき必要不可欠な役割があるという点で合意に達し、解決策を探求する国際的な取り組みの中央にILOが立つことを求めました。

 第102回ILO総会:アフリカの雇用促進に向けた投資拡大を求めるアフリカ連合英語原文
    2013年6月17日(月)発表ILO/13/61

 ジュネーブで開かれている第102回ILO総会において6月17日に特別演説を行ったアフリカ連合(AU)のヌコサザナ・ドラミニ・ズマ委員長は、今後50年で世界の労働力の3分の1以上に当たる11億人の労働者が住むことになるアフリカの状況を説明した上で、アフリカ諸国及び国際的なパートナーに向けて、貧困撲滅、包摂的な成長の達成、雇用創出の促進に向けた投資の増大を訴えました。AU初の女性委員長として2012年7月に就任したズマ委員長は、「雇用創出の促進、貧困撲滅のための活動、成長の達成、とりわけ女性と若者に対する公平な分配を許すような状況を目指した取り組みの促進」に向けた決意を語り、若者の就労を重要事項に位置づけ、その就業能力の開発及び雇用機会創出の潜在力を秘めたアフリカの農業、基盤構造、中小企業、海運、エネルギー、情報通信技術、観光業に対する投資の増大を呼びかけました。
 ズマ委員長を歓迎する演説を行ったガイ・ライダーILO事務局長は、アフリカ経済の成長、貧困水準低下、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の達成に向けた歩みに言及しつつも、「雇用なき成長」をアフリカの課題の一つに挙げ、ILOはアフリカ連合及びアフリカの社会的パートナーと引き続き手を携えて「ディーセント・ワークを全ての人へ」という目標をアフリカで実現するために協力を続けることを約しました。
 ズマ委員長は、アフリカの若者に投資することによって、この地域が直面している課題の多くの部分に対応できるとして、「若者と女性に対する正しい投資は、これらの人々をアフリカの社会、経済、文化の発展を推進する偉大なる資産とすることができる」と語り、AU委員会、アフリカ開発銀行、国連アフリカ経済委員会、ILOがアフリカにおける若者の就労促進を目指す共同事業を立ち上げたことを紹介しました。また、アフリカの労働者の多くがインフォーマル経済で働いていることに触れ、これらの人々が漸進的に経済の主流に加わることを促進する条件を形成し、生産性と収入を引き上げるための取り組みに協力してくれることをILOをはじめとした国際社会のパートナーに訴えかけました。そして、今後50年間で、そしてそれ以降も、全てのアフリカの労働者にディーセント・ワークとまともな報酬に加え、社会的サービスが確保されるよう、経済の変革を続け、工業化し、アフリカを近代化することへの決意を述べました。

 日本がILOトリノセンターの研修プロジェクトに3,000万円超を任意拠出英語原文
    2013年6月14日(金)発表ILO/13/60

 日本政府から3,083万1,000円の任意拠出と専門家の出向を受け、トリノ(イタリア)にあるILOの国際研修センター(通称「トリノセンター」)で技能開発と技術・職業教育訓練に焦点を当てた訓練プロジェクトが新たに開始されることになりました。トリノセンターのパトリシア・オドノバン所長と厚生労働省の妹尾吉洋大臣官房総括審議官(国際担当)が6月14日に署名した協力枠組み協定によって開始されたこのプロジェクトは、政府職員、労使の社会的パートナー、その他開発関係者がこれらの分野で深い知識を得るのを支援すると共にその専門能力、分析能力、管理能力の改善も目指しています。
 現地業務とパートナーシップを担当するILOのジルベール・フォッスン・ウングボ副事務局長は、とりわけトリノセンターと日本国内の関連研修機関とのさらなる協力関係も模索することになるこの新しいイニシアチブを歓迎し、「この日本との新しい協力枠組みによって雇用促進及び就業能力関連分野におけるトリノセンターの研修に価値が付加され、一方、同じ立場にある人々との経験交流及び国際体験は日本の厚生労働省にも利することになるでしょう」と語っています。ビジティング・ミニスターとしてジュネーブで開催中の第102回ILO総会に出席している金子順一厚生労働事務次官も新たな協力枠組みの締結に喜びの意を表し、ILO内の全ての関係者に感謝の言葉を送ると共にILOの活動支援に向けた日本の公約を改めて強調しました。
 日本のILOに対する任意資金協力は1974年に始まりました。最近の協力事業には、アジアにおける社会的安全網の構築、2011年の東日本大震災からの復興における雇用労働対策の国際公共財としての発信プロジェクトなどがあります。

 ヴァンロンプイ欧州理事会議長が第102回ILO総会で演説:あらゆる改革の最終目標は成長と仕事英語原文
    2013年6月14日(金)発表ILO/13/59

 現在ジュネーブで開かれている第102回ILO総会において6月14日に特別演説を行ったヘルマン・ヴァンロンプイ欧州理事会議長は、景気後退は言うに及ばず、5年間にわたる低成長またはゼロ成長は80年代の水準に匹敵する失業率の上昇をもたらし、欧州連合(EU)内の数百万人の人々の暮らしに影響を与えており、やがてはEUそのもの及びその加盟国の社会組織をも脅かす可能性を挙げ、これとの闘いが今日の第一政策優先事項であることを示した上で、「あらゆる改革の最終目標は成長と仕事であるものの、改革が実を結ぶには時間がかかる」として、雇用創出の助けになり、経済活動を刺激し、社会の安定と人間の尊厳を保つような、「即効性のある措置」も必要であると語りました。
 議長はまた、若者の就業の問題にも触れ、最も影響が深刻な8カ国80万人の若者に直接利益が及ぶように欧州理事会が相当額のEU資金を振り向けたことや、若者が卒業後または無職になってから4カ月以内に雇用、訓練または教育の機会を提供する若者保証事業の導入を全EU加盟国が公約したことを紹介しました。
 ヴァンロンプイ議長はさらに、EUが企業の雇用創出支援も予定しており、中小企業に供与される融資機会の改善にも取り組んでいることを紹介し、経済に対する資金注入と若者の失業問題を今月末に予定されているEUサミットの中心的なテーマとすることを発表しました。また、実践的な解決策の探究及び好事例の交換において欧州内の労使団体にも関与してもらっていることを説明し、ILO同様、社会対話が欧州の社会モデルの中心にあると述べました。そして、「ILOには各国が経済及び社会組織を修復するのを手助けする上で演じるべき基本的な役割」があるとして、「協働することによって初めて目標を本当に達成できる」と唱え、ILOとEUのパートナーシップ及び協力関係を常に育んでいく必要性を強調しました。
 議長を歓迎する演説を行ったガイ・ライダーILO事務局長は、「パートナーとして危機に取り組む用意がある」として、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)、企業促進、良い統治、投資、社会正義を重点分野に置きました。

 第102回ILO総会:ILOは進化する仕事の世界に通用するものでなくてはならない、と事務局長英語原文
    2013年6月12日(水)発表ILO/13/58

 現在ジュネーブのパレ・デ・ナシオン(国連欧州本部)で開かれている第102回ILO総会の中で6月12日に総会使用者代表と初会合をもったガイ・ライダーILO事務局長は、ILOを構成する政労使が共有する価値と目的に対する公約を掲げ続けることを呼びかけました。事務局長はその上で、公約の共有はILOを、根拠に基づいたサービスを仕事の世界に提供する卓越した専門的研究拠点に化すとして、「ILOは加盟国政労使の問題解決において有用かつ適切でなくてはならず、主要20カ国・地域(G20)の場のみならず他の場でも国内・国際的に影響力を持つ必要がある」として、さらなる改革の必要性を示唆しました。さらに、「加盟国政労使は必要な限り、そして正当である限りにおいて、この目指すところのものに同意するだろう」と説き、前に進むに当たり、「昨日のILOでは最善のサービスが提供できないであろう」として、これまでとは相当に異なる行動が必要になると唱え、「この機関とビジネス社会との関係」を作り直すことを明日のILOにとって必要不可欠なことに挙げました。事務局長はこの点で、総会に提出されている自らの報告書が今後の計画立案の情報源となることへの希望を示し、民間部門の関与など幾つかの点でより掘り下げた議論が必要なことを指摘しました。

 第102回ILO総会:児童労働に対する絶対的不寛容を掲げるマラウイのバンダ大統領演説英語原文
    2013年6月12日(水)発表ILO/13/57

 児童労働反対世界デーの6月12日にジュネーブで開かれている第102回ILO総会でマラウイの国家元首として初めて特別演説を行ったジョイス・バンダ大統領は、2004〜09年に平均6%の経済成長を記録したにもかかわらず貧困率がなおも50%を上回り、150万人近い児童労働者が存在する同国の状況を紹介した上で、高い貧困水準を児童労働の主な原因として、貧困根絶に向けた事業計画を強化し、児童労働に対する絶対的不寛容を唱え続けることを誓約しました。マラウイ政府は2010〜16年の期間について、児童労働撲滅のための国家行動計画を策定していますが、ILOは、地域社会を基盤とした児童労働監視システム、基盤構造に対する投資、そして児童労働者を明らかにし、子どもたちに教育、訓練、やがては雇用に至る機会を与える調整を図った地域社会の行動を組み合わせたモデルを用いるSNAP(国家行動計画支援)計画を通じてこの取り組みを支援しています。
 大統領を歓迎する演説を行ったガイ・ライダーILO事務局長は、教育から社会的保護、そして親に対する仕事に至る総合的な手法を通じてあらゆる開発問題の主流に児童労働を据える必要性を認めるバンダ大統領の認識を「特に重要」と強調し、「持続可能な農業・農村開発は子どもの搾取を基礎としたものであってはならず、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)機会の創出を目指すべき」との大統領の言葉に対する全面的な賛意を表明しました。
 大統領はまた、経済成長の利益が一般の人々にまで波及せず、明確な雇用の創出を伴わなかったことをマラウイにとっての大きな教訓として、国が貧困から抜け出す道を見つけるのを助け、経済的なショックに対する耐久力・回復力を高める上でディーセント・ワークが果たしうる重要な役割に言及し、「経済成長と富の形成を通じた貧困撲滅」というビジョンを打ち出したことを明らかにしました。そして、マラウイのディーセント・ワーク国別計画が世界経済危機の影響から同国が立ち直る助けになったこと、同国の経済回復計画の中心的な柱の一つとして雇用創出が含まれていることを説明しました。さらに、ディーセント・ワークを全ての人に達成することを目指す取り組みの過程で社会保障制度を精査した結果、マラウイの歴史上初めて、労働者を年金に加入させることを企業に義務づける年金法が導入されたことを紹介しました。大統領は女性の役割にも言及し、インフォーマル、フォーマルを問わず労働市場における女性の育成、同一労働同一賃金を目指し、労働組合における女性の声を確保するような包括的な戦略の開発を呼びかけました。社会対話の重要性にも触れ、大統領に就任して初めて行ったことの一つがマラウイの国民及び開発パートナーと対話を開始することであったとして、この対話を通じて崩れつつあった経済に対する非常に実践的な即時及び短・中期的な解決策を見出すことができたと述べました。そして、世界的な金融・経済危機からもたらされる幅広い経済的な課題が見られる時代において、今日のILOの妥当性はますます明確になってきたと結びました。

 2013年児童労働反対世界デー:家事労働に従事する児童労働者は世界で1,000万人英語原文
    2013年6月12日(水)発表ILO/13/56

 今年の児童労働反対世界デー(6月12日)は家事労働をテーマにしています。このテーマに合わせて本日発表されたILOの新しい報告書『Ending child labour in domestic work and protecting young workers from abusive working conditions(家事労働における児童労働をなくし、若年労働者を虐待的な労働条件から保護)』は、世界全体で1,550万人と推計される18歳未満の家事労働者のうち、5〜14歳の幼い子ども650万人を含む1,050万人が、その年齢または労働条件の危険性等によって児童労働者に分類され、時には奴隷のような状態で、他人の家庭で掃除や料理、庭仕事、子守や高齢者の世話などの家事を引き受けて働いていることを示しています。この7割以上が女の子で、しばしば家族から引き離され、一般の人々の目に触れず、雇い主に非常に依存し、虐待的な労働条件や肉体的・精神的・性的な暴力にもさらされ、商業的性的搾取に陥る場合さえあります。
 報告書を作成した児童労働撤廃国際計画(IPEC)のコンスタンス・トーマス部長は、「多くの児童家事労働者の状況は子どもの権利の深刻な侵害であるだけでなく、多くの国家開発目標や国際開発目標の達成を阻む障害になっている」として、家事労働における児童労働の明確な把握、防止、撤廃を目指すと共に合法的に働ける年齢に達した青少年にまともな労働条件を提供するような堅固な法的枠組みの必要性を強調しています。
 雇い主の家族との関係が曖昧なため、子どもの家事労働は多くの国で児童労働と認められていませんが、報告書は、働いていながら労働者と見なされず、家族環境の中で暮らしていながら家族の一員として扱われない子どもの家事労働の特殊な状況を示して、この家族による保護と法律による保護の間の「空白地帯」がしばしば長時間労働、個人の自由の欠如、時に危険で有害な労働条件を特徴とする搾取的な取り決めを覆い隠すこととなり、このように状況が目に付かないことから保護が難しいとして、問題の真の規模が把握できるよう、データ収集や統計手段の改善を求めています。また、就業の最低年齢に関するILOの第138号条約最悪の形態の児童労働に関する第182号条約といった関連条約の批准と実行を政府に迫ると共に、国内・国際的に協調を図り、家事労働から児童労働をなくす共同活動に乗り出すことを呼びかけています。
 報告書はさらに、特に女性にとって家事労働は重要な就職口であることを強調し、家事労働における児童労働をなくす戦略の一環として、家事労働者にディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を確保することを求めるILOの第189号条約の促進も求めています。トーマスIPEC部長は、年齢にかかわらず家事労働者が多くの経済でますます貴重な役割を果たしていることを挙げ、その権利の尊重を確保し、家事労働者と家事労働者を代表する組織に力を付ける必要性を指摘して、児童労働に対する取り組みをその必要不可欠な一面に位置づけています。
 ILOは6月13日ジュネーブ時間14時半〜15時半(日本時間同日21時半〜22時半)に、報告書の責任者を務めたIPECのホセ・マリア・ラミレス担当官がツイッターで質問に答えるオンライン・イベントを実施します。参加ご希望の方は、#ILO2013のハッシュタグを用いて@ILONewsに投稿して下さい。

 ワークシェアリングに関するILO新刊間もなく発表英語原文
    2013年6月11日(火)発表ILO/13/55

 ILOは来週、ワークシェアリングに関する新刊書を発表します。『Work sharing during the Great Recession: New developments and beyond(大不況期のワークシェアリング:新たな展開と今後)』と題する報告書は、オーストリア、ベルギー、フランス、ドイツ、オランダといった欧州諸国や日本、トルコ、米国、ウルグアイなど、危機時に講じられた世界各地のワークシェアリング策の掘り下げた分析を通じて、2008〜09年の大不況期における雇用維持努力の一環として幅広く用いられたワークシェアリングの姿と様々な数値を示し、この手法が秘めている新規雇用創出の潜在力を探っています。
 報告書本体は有料ですが、その概要及び関連広報資料は6月18日GMT午後3時(日本時間翌19日零時)に発表になります。18日午後3時よりジュネーブのパレ・デ・ナシオン(国連欧州本部)において、報告書の中心的な編者であるジョン・メッセンジャーとナジ・ゴーシェーの両ILO職員による記者会見が開かれます。

 児童労働反対世界デー:児童労働反対の調べを奏でる音楽家たち英語原文
    2013年6月10日(月)発表ILO/13/54

 ILOは6月12日を児童労働反対世界デーに定め、この問題に対する世界の関心を喚起していますが、このたび、世界の高名な音楽家らがこの運動に新たに参加することになりました。
 6月11日にパリのサル・プレイエルで上演される音楽会で発表されるこの「児童労働反対音楽イニシアチブ」は、世界中のあらゆるジャンルの音楽家、オーケストラ、合唱団に向けて、2013年10月から2014年12月までの間に予定されているコンサートを1回は児童労働との闘いに捧げることを呼びかけています。キャンペーンの声明書は、「音楽は普遍的な言語であり、歌う言語はそれぞれながら、言葉では言い表せない感動も表現することができ、音楽は私たち全てをつなぐ」として、音楽が有する変化をもたらす力と弱い立場の子どもたちを音楽活動に従事させた場合に見られる肯定的な効果に光を当て、世界中で2億1,500万人と推計される児童労働に従事する子どもたちの苦しみを緩和する上で音楽には果たせる役割があると記しています。既にクラウディオ・アバド、ホセ・アントニオ・アブレウ、ダニエル・バレンボイムといった高名な指揮者・音楽家や、ウィーン・モーツァルト・オーケストラ、国際音楽家連盟(FIM)、シモン・ボリバル音楽財団(エル・システマ)などがイニシアチブへの参加を表明しています。
 10月8日から3日間の日程でブラジリアで開かれる第3回児童労働反対世界会議でこのイニシアチブに基づく一連の音楽会が開幕します。ILOはまた、教育、アート、メディアを通じた児童労働に関する教育・社会的動員計画であるSCREAMに音楽教育に関するモジュールを新たに加え、児童労働との闘いに寄与する音楽教育の力に関するドキュメンタリー映画の制作も行う予定です。

 2015年までに500万人の労働者にHIV任意検査を受けてもらうことを目指すILOの新事業発進英語原文
    2013年6月6日(木)発表ILO/13/53

 ILOは国連合同エイズ計画(UNAIDS)の後援を受けて、2015年までに勤労者500万人に秘密が保護された任意のエイズウイルス(HIV)カウンセリング及び検査を提供することを目指すVCT@WORKイニシアチブを開始しました。ILOは現在、年次総会である第102回ILO総会をジュネーブのパレ・デ・ナシオン(国連欧州本部)で開催していますが、6月6日に総会会場で開かれたイニシアチブ開始式典には、ガイ・ライダーILO事務局長及びミシェル・シディベUNAIDS事務局長に加え、ILOを構成する政労使の代表として、カメルーンの労働・社会保障大臣及び理事会労使代表も出席しました。ライダー事務局長は、ILOの動員力を活用して500万人の目標を達成することへの望みを語り、力を合わせてこの目標を現実のものとすることを全ての労働事項担当省庁、労使団体に呼びかけました。
 近年の抗レトロウイルス療法の急速な普及は800万人の感染者に治療への道を開きましたが、感染者の約4割が自らの感染を知らず、治療を受けていない人は700万人に上るとUNAIDSでは推計しています。「職場がこの新しいイニシアチブに参加してくれれば、治療を含むサポート活動と結びついた、健康で促進的な環境の中で行われるHIV検査機会の拡大という点で最も重要な進展の一つを意味する可能性がある」とシディベUNAIDS事務局長は語っています。
 VCT@WORKイニシアチブは、HIV/エイズ、マラリアその他の疾病の撲滅を掲げるミレニアム開発目標6と2011年の国連HIV/エイズ・ハイレベル会合で採択された政治宣言で定められた、2015年までに命を救う抗レトロウイルス治療を1,500万人に受けさせることを目指す世界的な目標の達成に向けたILOの取り組みの一部を構成しています。これはまた、ILOが昨年の世界エイズ・デー(12月1日)に開始した「職場でゼロを達成」キャンペーンの重要な構成要素でもあります。このイニシアチブは、HIV及びエイズ並びに労働の世界に関するILOの勧告(第200号)を基礎として、差別と不名誉な扱いのない安全で健康的な作業環境の確保を目指しています。VCT@WORKプログラムは既にインド国内で始まっており、南アフリカとタンザニアもこれに続くと見られます。

 家事労働における児童労働に関するILO新刊間もなく発表英語原文
    2013年6月6日(木)発表ILO/13/52

 ILOは6月12日を児童労働反対世界デーに定め、この問題に対する世界の関心を喚起しています。2011年のILO総会で家事労働者に関する条約(第189号)勧告(第201号)が採択されたのを受けて、今年の世界デーは家事労働における児童労働者の悲哀に光を当てることになっています。当日は世界50カ国以上で政労使、他の国連機関、非政府組織(NGO)の参加も得て、メディアイベント、啓発キャンペーン、各種パフォーマンスなどが予定されています。
 ILOは世界デーに合わせて『Ending child labour in domestic work: Protecting young workers in domestic work from abuse and exploitation(家事労働における児童労働をなくし、青少年労働者を虐待及び搾取から保護)』と題する新しい報告書を発表します。報告書は家事労働に従事する子どもの数を示すと共に、肉体的暴力・精神的暴力・性的暴力に弱く、しばしば虐待的な労働条件で働く児童家事労働者の状況を記しています。
 報告書は6月11日GMT午後10時(日本時間翌12日午前7時)の報道解禁時間以降にILOのホームページ上(http://www.ilo.org)で公表されます。11日午後2時からジュネーブのパレ・デ・ナシオン(国連欧州本部)で、報告書の作成を担当したILO児童労働撤廃国際計画(IPEC)のコンスタンス・トーマス部長による報告書の記者発表が行われます。

 第102回ILO総会:制限が課されたままではパレスチナ経済の成長はないとILO英語原文
    2013年6月6日(木)発表ILO/13/51

 現在ジュネーブで開かれている第102回ILO総会に事務局長報告付録として提出されているアラブ被占領地(パレスチナ及びシリアのゴラン高原)の労働者の状況に関する年次報告書『The situation of workers of the occupied Arab territories(アラブ被占領地の労働者の状況)』は、成長の勢いが止まったパレスチナの財政危機は経済・社会危機に変わりつつあるとして、人々や企業に対する制約を全面的に撤廃し、パレスチナ経済の成長と働きがいのある人間らしい仕事の創出を可能にすることをイスラエルに呼びかけています。
 報告書は、占領の継続と入植活動の拡大が民間部門を中心にパレスチナ経済の進歩の障害となっていることを指摘して、社会正義を基礎としない限り、現状は持続不能とし、少なくともこれ以上事態を悪化させる動きはすべきでないとして、「弱まりつつある和平プロセスを復活させ、経済成長を回復する活動」を求めています。パレスチナ経済は成長低迷、失業と貧困の増加、食料依存の問題に取り組んでいます。パレスチナの失業率は2012年に23%(失業者数は前年比15.3%増)となり、特にガザ地区では31%に達しています。また、若者の18.4%が非労働力化し、学校にも通っておらず、若者の就労保証制度のような学校から仕事への移行を支援する大規模な事業計画の必要性が明確に示されています。過度の制限は経済的にも社会的にも非生産的でパレスチナとイスラエル双方の企業活動及び民間主導型の何らかの成長の展望を損ないつつあります。加えて、イスラエルの会計検査院長官兼オンブズマンが最近、パレスチナ人を含む入植地労働者の賃金、労働安全衛生、社会保険の監督確保におけるイスラエル当局の動きの鈍さを批判したように、入植地における労働は大体において規制されておらず、労働者は権利の侵害にさらされています。
 報告書は、ILOが支援できる分野として、◇政府、使用者、労働者の社会対話を通じた統治機構の強化、◇労働市場における全ての当事者の権利の認識と実現、◇完全雇用、生産的な雇用、職業の自由な選択を促進する法、政策、事業計画の策定を挙げています。さらに、パレスチナの新たな優先事項として、社会保障と社会的保護の床(最低限の社会的保護)の整備の必要性にも特に言及しています。ゴラン高原の占領地に関しても、就労に係わる基本的な原則と権利を尊重する形で、シリアの民が依然として直面している苦難に対する解決策を見出す努力を求めています。
 1980年のILO総会決議に従い、1981年から毎年、総会に提出されている今年の年次報告書は、今年3月にアラブ被占領地とイスラエルを訪れた現地視察団が見出した事項を中心としてまとめられています。

 第102回ILO総会:仕事の世界に影響する急速な変化の理解が必要と事務局長英語原文
    2013年6月5日(水)発表ILO/13/50

 6月5日に開幕した第102回ILO総会の開会式で、事務局長としての初演説を行ったガイ・ライダーILO事務局長は、人口動態及び科学技術の急速な変化、不平等の拡大、貧困、景気回復の遅れによって、仕事の世界はかつてないほど急速かつ奥深い変化の只中にあり、これは「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を全ての人へ」という目標の達成に対する課題を提起すると語りました。そして、最も重要な問題は、しばしば若者の状況に関連して提起される「仕事がどこから来るか」といった問いかけであるとしました。
 事務局長はこの危機に対する「前向きの戦略的な対応」として、総会に提出した事務局長報告『Towards the ILO centenary: Realities, renewal and tripartite commitment(ILO100周年に向けて:現実、刷新、政労使三者による公約)』で提案した七つのイニシアチブの概要を紹介しました。これは、1)昨年開始されたILO内部の改革プロセスを継続させるガバナンス(統治)イニシアチブ、2)国際労働基準体系を更新し、妥当性を高めることを目指す基準見直しのイニシアチブ、3)企業との関わりを拡大する必要性を提起する企業イニシアチブ、4)この惑星の長期的な未来を確保する国際的な取り組みの中心にILOが立つことを求めるグリーン・イニシアチブ、5)2030年までに世界から極度の貧困を根絶する取り組みに全面的に関与する必要性を提起する貧困撲滅イニシアチブ、6)多くの女性が仕事の世界で直面しているなかなか消滅しない根深い不利益の是正を目指す働く女性イニシアチブ、7)諮問団を設けてその報告書を2019年のILO創立100周年記念総会に討議資料として提出することを提案する仕事の未来イニシアチブで構成されています。事務局長はさらに、ここILOには、仕事の世界を、誰もが自らの潜在力を実現する平等の機会を持つことができ、誰にでも居場所がある、より優しく人間的で、より良く、公平な場に変える任務があり、その手段が備わっており、そのための正しい行動主体が存在するとしました。
 6月5〜20日の日程でジュネーブのパレ・デ・ナシオン(国連欧州本部)で開かれるILOの年次総会である第102回総会では、雇用・成長・社会進歩、子どもの家事労働、ミャンマー情勢、高齢化社会における雇用と社会的保護、政府・使用者・労働者間の社会対話の強化、人間らしく働きがいのあるグリーン・ジョブの促進などといった幅広い議題が審議されます。

 第102回ILO総会:ヨルダンの労働大臣を議長に選出英語原文
    2013年6月5日(水)発表ILO/13/49

 6月5日に開幕した第102回ILO総会は、ヨルダンのニダル・カタミネ労働大臣を議長に選出しました。2010年から労働大臣を務める52歳のカタミネ大臣は、今年に入ってから運輸大臣も兼務しています。大臣は就任に当たっての演説で2008年から見られる世界的な金融・経済危機、多くの国に広がる大量失業の悲劇は、ILO自体、そしてILOが地球規模で演じている「社会及び経済面での貴重な役割の重要性に光を当てる」と語っています。ヨルダンの労働大臣が総会議長に選出されるのはこれで3度目です。
 総会は副議長として、バングラデシュのカムラン・ラーマン使用者代表、ドミニカ共和国のエウロヒア・ファミリア労働者代表、リトアニアのリティス・パウラウスカス政府代表を選出しました。
 6月5〜20日の日程でジュネーブのパレ・デ・ナシオン(国連欧州本部)で開かれるILOの年次総会である第102回総会には、185の加盟国より政府、使用者、労働者の代表5,000人余りの出席が予定されています。今年の総会では、雇用・成長・社会進歩、子どもの家事労働、ミャンマー情勢、高齢化社会における雇用と社会的保護、政府・使用者・労働者間の社会対話の強化、人間らしく働きがいのあるグリーン・ジョブの促進などといった幅広い議題が審議されます。

 第102回ILO総会:仕事の世界におけるHIVに関するグローバル・イニシアチブを開始英語原文
    2013年6月4日(火)発表ILO/13/48

 ILOの年次総会である第102回ILO総会が6月5日から2週間の日程でジュネーブのパレ・デ・ナシオン(国連欧州本部)で開かれます。総会2日目の6月6日、ガイ・ライダーILO事務局長は国連合同エイズ計画(UNAIDS)のミシェル・シディベ事務局長と共に、2015年までに勤労者500万人にエイズウイルス(HIV)に関する秘密が保護された任意のカウンセリング及び検査を提供することを目指すVCT@WORKイニシアチブの開始を発表します。6月6日午後1時15分から総会会場であるパレ・デ・ナシオンで開かれる式典には、労使代表としてケニア使用者連盟(FKE)のジャックリーヌ・ムゴ理事とキリスト教労組連盟のリュック・コルトベック会長も参列します。
 VCT@WORKイニシアチブは、2015年までに1,500万人のHIV感染者に治療機会を確保することをターゲットの一つに含むミレニアム開発目標6「HIV/エイズ、マラリアその他の疾病の撲滅」に対するILOの貢献を表すものです。UNAIDSによれば、治療を受ける資格がありながら実際にはその機会がない人が世界全体で700万人に達し、その大半が自らの感染状態を知らないとされています。職場は、治療と検査を求め、その機会を広げるための入り口として理想的です。雇用目的でのHIVスクリーニングに強く反対するILOの立場を貫きつつ、このイニシアチブは任意の検査を活気づかせ、自らの状態を知り、必要な場合には治療機会が得られるべき労働者の権利を強調することを目指しています。イニシアチブの各国レベルでの実行に際しては、HIV検査を一般化し、検査を取り巻く様々な固定観念を取り除く変化の作用因として社会的パートナーである労使が重要な役割を演じることになります。
 日本を含む加盟185カ国から政労使代表約5,000人の参加が見込まれる第102回ILO総会では高齢化社会における社会的保護や、持続可能な開発、社会対話などに関する討議が行われます。

 第102回ILO総会:アラブ被占領地における労働者の状況年次報告間もなく発表英語原文
    2013年6月4日(火)発表ILO/13/47

 ILOの年次総会である第102回ILO総会が6月5日から2週間の日程でジュネーブのパレ・デ・ナシオン(国連欧州本部)で開かれます。総会の討議資料の一つとして、1980年の総会決議に従い、1981年から毎年、アラブ被占領地(パレスチナ及びシリアのゴラン高原)の労働者の状況に関する報告書『The situation of workers of the occupied Arab territories(アラブ被占領地の労働者の状況)』が事務局長報告付録として提出されています。今年初めにアラブ被占領地とイスラエルを訪れた現地視察団が見出した事項を中心としてまとめられた今年の報告書は、過去20年間にわたって国際社会が支持してきた経済及び社会面の達成事項を無に帰す可能性がある悪循環の現実的な危険を含む相当に不確実な状況を記しています。
 ILOは総会会場であるパレ・デ・ナシオンにおいて、6月6日午前10時より視察団の団長を務めたカリ・タピオラILO事務局長特別顧問が報告書の内容を紹介する記者会見を開催します。

 バングラデシュの労働条件改善支援に向けてILOとノルウェーが250万ドルの協定を締結英語原文
    2013年6月3日(月)発表ILO/13/46

 4月24日に発生したビル崩壊によって数千人の死傷者が発生したバングラデシュの輸出向け産業における労働者の権利と労働関係の促進に向けて、ノルウェー外務省はILOに1,450万ノルウェークローネ(約2億5,000万円)を拠出することを決定しました。バングラデシュの政労使代表立ち会いの下でノルウェーのヘイッキ・ホルモス開発援助大臣とILOバングラデシュ国別事務所のスリニバス・レディ所長がダッカで6月3日に署名した協定は、ILOハイレベル使節団訪問後の5月4日に同国政労使が発表した共同声明に含まれている公約の一つである、中間レベルの管理・監督者に対する労働安全衛生並びに就労に係わる基本的な権利及び原則に関する訓練と労働者教育に対する公約の実行に直接寄与することになります。
 ノルウェー政府はILOを通じて途上国の労働条件改善を促進することを公約しており、民主主義、公正分配、成長に関する政府白書を具体的にフォローアップするものとしてILOに対する任意拠出額を2013年に倍増することを約束していました。この公約の一環である今回の支援決定について、ホルモス大臣は、「より高い賃金とまともな労働条件は経済発展・社会開発を確保する」として、バングラデシュにおけるILOの取り組みを支援することによって、同国の労働者のより公正でより良い賃金と労働条件の改善に寄与することへの希望を述べています。
 今回の支援は、政労使間の対話の継続を円滑化すると同時に現在同国で展開されている、就労に係わる基本的な原則と権利の促進に向けたILOのプロジェクトを支える政労使の能力を強化することが期待されます。将来的には同国におけるILOのベターワーク(より良い仕事)計画の実行を支援することにもなります。バングラデシュでは既に、労働条件改善に向けた第一歩として、政労使の三者パートナーによる共同声明に加え、今年3月には既製服部門における火災に対する安全性に関する政労使全国行動計画が策定されています。今回のノルウェーの支援は、法規の遵守、安全性、効果的な実行を前進させるための、調整が図られ、持続する期限付措置の基礎となっている政労使によるこのような誓約の実行を円滑化することになります。

 ILO新刊『仕事の世界報告書』2013年版:大半の国に課題を提起する不均等な雇用回復/多くの先進国で実体経済を押し上げるに至っていない利潤回復英語原文1英語原文2報告書概要和訳
    2013年6月3日(月)発表ILO/13/45

 このたび発表されたILOの年次刊行物『World of work report(仕事の世界報告書)』の2013年版は、「経済・社会組織の修復」を副題に、世界的な金融危機突入後ほぼ5年が経った世界の雇用情勢を分析し、ほとんどの新興国と途上国では依然大きいながら所得格差の縮小と雇用増が見られるのに対し、2015年に2億800万人近く(現在は推計2億人)に達すると予想される世界的な失業者数の増加を背景に、先進国では過去2年間に所得格差が拡大していることを示しています。ほとんどの大企業が資本市場への道を再び得たのに対し、新会社や小企業に対する銀行の融資条件は厳しく、大企業と小企業の経済格差拡大の問題は目下の雇用回復にとって問題であるだけでなく、より長期的な景気の見通しにも影響を与えています。ガイ・ライダーILO事務局長は、最貧困層及び最も脆弱な集団に対する社会的保護の改善と組み合わせ、仕事と生産的な投資に焦点を当てた世界規模の回復の必要性を説き、多くの地域で拡大しつつある格差の解消に真剣な注意を払うことを呼びかけています。
 報告書は、長期失業、仕事の質の低下、非労働力人口の増加を一因とする多くの先進国における中流階級の縮小を示しています。一方で、これらの国の多くで、世界危機直後には小休止した企業の最高経営責任者(CEO)の給与上昇が再開した証拠も示しています。例えば、スペインでは2007年に全体の50%を占めていた中流階級が2010年末には46%まで縮小し、米国では最富裕層7%の純資産価値の平均が2009年から2011年で全体の56%から63%に上昇しています。ドイツと香港では大手企業CEOの平均給与が2007年から2011年の間に25%以上上昇し、全体の平均報酬に対するCEOの給与はドイツで155→190倍、香港で135→150倍近くに差が拡大し、米国では2011年に508倍に達したことが示されています。大手企業の場合、合計報酬額の平均3分の1以上を短期型賞与が占め、株式に基づく報酬を合わせるとこういった短期的な性格の報酬部分の割合は3分の2を超えることになります。報告書を作成したILO国際労働問題研究所のレイモン・トレス所長は、企業の長期投資に関する決定は消費者の立場にある安定した大きな中流階級の存在にも左右されるため、社会の包摂性のみならず経済的な理由からも先進国における中流階級の縮小を懸念事項に挙げ、より均衡の取れた所得分布が達成されるよう、より多くのより良い仕事の必要性を指摘しています。
 一方で、ますます多くの数の中南米・アジア諸国、そしてより最近ではアフリカ及びアラブの一部諸国にも広がる大きな業績として、途上国及び新興国では、1999年に2億6,300万人であった中流階級が2010年に6億9,400万人に増えています。しかし、低所得国及び下位中所得国を中心に貧困水準をわずかに上回る「浮動層」は2010年に19億2,500万人(1999年11億1,700万人)と中流階級の3倍近くに増え、トレス所長は、途上国の最も重要な課題として、貧困と不平等の削減において近年達成された進歩を定着させることを挙げています。報告書は、ブラジル、コスタリカ、インド、インドネシア、トルコ、ベトナムなどの例を挙げて、生産的な投資、最低賃金、社会的保護がいかにこの取り組みに寄与したかを示しています。
 報告書はまた、先進国で利潤が投資に転化されないことが雇用回復を遅らせていることを示しています。2012年に世界全体の投資額に占める割合が3分の1強(2000年6割超)に下がった先進国では依然として雇用が伸び悩み、雇用水準が危機前を下回ったままであるのに対し、47%近く(2000年27%)を占めるに至った新興国では2007〜12年に平均約7%の雇用成長が記録されたことを紹介し、トレス所長は、投資と雇用の間の明確な関係を指摘して、企業が新たな機会を捉え、拡大し、人員を増やす上で投資活動の改善は決定的に重要であると語っています。
 対国内総生産(GDP)比で見た利潤は2000年代に中所得G20諸国で3.4ポイント、高所得G20諸国で2.2ポイント上昇していますが、にもかかわらず、高所得G20諸国の投資は同じ期間に3.6ポイント低下しています。利益幅の拡大は世界の株式市場指数にも反映され、2009年初めの底値のほぼ2倍という、時に歴史的な高さが記録されており、2008年以降、大手企業の利益幅も拡大し、今では2004〜07年水準に達しています。しかし、増加した収益は実体経済への生産的な投資よりも現金保有高の積み増しに回されることが多く、先進国、新興国、途上国の株式公開上場企業の現金保有高を合わせると、2008年には5.2兆ドル(2000年2.3兆ドル)となり、危機の間にも上昇を続けて2011年には6.5兆ドルに達しています。一方、小企業の状況はそれほど良いわけではなく、利益幅は2004〜07年の平均水準より40%以上低くなっています。トレス所長は、通常、雇用創出の相当部分を担っている中小企業が収益性の点で依然課題に直面しているという、二極化の拡大を特に懸念すべき事態と語っています。小企業にとっては特に、融資の道が狭まっていることが投資を阻む最大の障壁であり、財政的な制約のある企業はそうでない企業の半分程度しか自らの資産を投資に回していないことが見出されています。
 報告書は実体経済に再び焦点を当てる必要性を強調し、経済の不確実性を減らし、投資を奨励することによって総需要と雇用創出に肯定的な波及効果が及ぶような措置を求め、◇生産的な投資に用いられる利潤の税処理方法の改善、◇民間企業の投資を呼び込むための基盤構造、研究開発、グリーン事業への公共投資、◇中小企業を中心とする将来性のあるプロジェクトへの信用融資の道を開く方向での金融規制の改善、◇公平性及び効率性の観点から役員報酬を調整することなどを含む企業統治の改善など、投資成長を回復するための措置の例を幅広く示しています。報告書はまた、信用保証、対象特定金融などを通じて中小企業に対する資金の流れを緊急に増大させることも呼びかけています。
 報告書はさらに、社会目標と経済目標の両方に資する可能性がある30以上の巧みに設計された労働市場政策、生産的投資政策、社会的保護政策を示しています。そして、マクロ経済と雇用の両方の目標を均衡させる取り組みが求められるとして、持続可能な速度での財政強化策、各種マクロ経済政策が社会と雇用に与える影響にもっと注意を払うこと、いまだ未解決の金融制度の非効率性に対する取り組みのスピードアップを提案しています。また、政府の介入が競争力や経済成長に与える影響に関する否定的な固定観念や、所得分布問題への取り組みや労働者の権利の増進が生産的な投資と雇用創出を遅らせる可能性があるとの認識、不十分な国際調整といった、改革課題の上方に仕事を置くことを阻む障害に取り組むことの重要性を指摘しています。さらに、各国における社会対話の動員と強化は、より仕事に優しい取り組みに向けた変化を支持する人々を形成する上で役に立つ可能性を指摘して、ILOは、仕事に優しい政策に関して専門家による助言を提供し、国際調整の改善に寄与することができるとしています。
 2009年版以降の本書の日本語版は、『世界労働レポート』の邦題で(株)一灯舎から発行されています。

2013年5月発表分

 ILO新刊『仕事の世界報告書』2013年版間もなく発表英語原文
    2013年5月29日(木)発表ILO/13/44

 世界の労働市場の現況を報告するILOの年次刊行物『World of work report(仕事の世界報告書・英語)』の2013年版が来週月曜に発表されます。今年の報告書は、世界金融危機が開始してから5年が経過した世界の雇用情勢を分析し、世界全体及び地域別の労働市場の概況と予測を示しています。他に、所得分布と世界的な中流階級の台頭、経済の均衡回復における最低賃金の役割、仕事に優しい回復に向けた投資などの章も含まれています。
 報告書本体及び関連広報資料は報道解禁時間の6月3日GMT午前10時(日本時間同日午後7時)以降にILOのウェブサイト上で公開になります。6月3日9時半からジュネーブの国連欧州本部においてガイ・ライダーILO事務局長と報告書を作成したILO国際労働問題研究所のレイモン・トレス所長が出席する記者会見が行われます。
 2009年版以降の本書の日本語版は、『世界労働レポート』の邦題で(株)一灯舎から発行されています。

 若者の声を拾うオンラインフォーラムを新設英語原文
    2013年5月24日(金)発表ILO/13/43

 ILOはこのたび、若者がディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の達成に関する経験や意見を世界的に交流できる場としてオンラインフォーラムサイトDecentWork4Youth(英語)を開設しました。昨年の総会で行われた若者の雇用危機に関する討議に先立ち、世界各地から100人の若手リーダーが参加して2012年5月にジュネーブのILO本部で開かれた若者雇用フォーラムにおける議論を引き継ぐものとして開設されたこの対話式サイトでは、若者の就労問題に取り組んでいる若い人々が司会役を務めるオンライン討議を通じて若者同士が結び付き、好事例の経験・アイデアの交流に加え、ILOの専門家に直接質問を行うことによってディーセント・ワークに関する知識を深めることができます。毎月テーマを決めた議論が行われ、議論に最も貢献した投稿を選んだテーマ別報告書が作成されます。既に第1回目のテーマであるインターンシップに関する議論が展開されています。
 昨年の総会で行われた若者の雇用危機に関する討議の結果、改めて若者の失業危機に焦点を絞り、ただちに取り組むことを政府及び労使団体に求める「行動の呼びかけ」が採択されました。この文書の中には、若者の良質の雇用を促進することを目的として既に試みられ、効果が実証された一連の措置が示されています。今回のオンライン討議の場の開設はこの文書の要請の一つに応えるものです。
 ILO若年者雇用計画のジャンニ・ロサス部長は、世界全体で7,300万人以上の若者が失業し、さらに数百万人が質の低い仕事に就いているか職探しをあきらめてしまっている現状では、「緊急に解決策を見つける必要があるのは明らか」として、解決策の一部である若者自身の声、アイデア、経験がこの議論の場を通じて若者の就労を巡る議論に反映されることへの希望を述べています。
 DecentWork4Youthサイトには、ディーセント・ワークや若者の就労に関する様々な資料に加え、写真や動画も掲載されています。

 ILOのグローバル・フォーラムで漁業のディーセント・ワークを議論英語原文
    2013年5月15日(水)発表ILO/13/42

 ジュネーブのILO本部では5月15〜17日に、2007年の漁業労働条約(第188号)の実行と批准を通じて漁業におけるディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進する方法について政労使間で話し合うフォーラムが開催されます。日々出漁する家族操業の小型ボートから数カ月単位の航海で遠洋漁業に従事する大会社所有のトロール船まで、操業形態においても漁船の規模においても多様性に富んでいる漁業ですが、フォーラムの討議資料として作成された報告書は、しばしば困難で苦労の多い労働条件は全てに共通することを指摘しています。多様性がもたらす労使団体組織化の困難、雇用条件の規制機関が海上安全庁、労働省、漁業省といったように国によって異なることや安全規制が小型船舶に適用されることは少ないといった規制体制の違いも条約の実行における課題です。フォーラムでは、漁業のイメージ、労働安全衛生、小型漁船の労働条件、強制労働や人身取引、児童労働、外国人漁船員の労働条件、違法操業、食の安全保障といった、この産業の主な課題に取り組む助けになるものとして、そして労働条件を改善する手段として第188号条約を用いる方法が検討されます。漁船の所有者代表と漁船員代表との社会対話を強化する必要性の検討や国内及び漁船上におけるこの基準の実行に向けた取り組み経験に関する情報交換も行われる予定です。
 フォーラムの議長に選出された南アフリカ海上安全庁のナイジェル・キャンベル船長は、フォーラムが第188号条約の批准と実行を可能にする国内法制整備に向けて踏み出す方法に関する合意形成の場となることへの期待を表明しています。漁船所有者を代表してフォーラムに出席した国際使用者連盟(IOE)のメント・ファン・デル・ズワン氏は、海上における漁業の安全に関する3本柱であるILO第188号条約、1977年の漁船の安全のためのトレモリノス国際条約、1995年の漁船乗組員のための訓練、資格証明及び当直の基準に関する国際条約(STCW−F条約)のどの基準も批准率が非常に低いことを指摘した上で、これらを盛り込んだ漁業政策の必要性を訴えています。フォーラムに参加したある漁船員の代表は、フォーラムで第188号条約の発効を促進する具体的な行動ポイントが採択され、漁業部門における社会・労働面の問題の一部に取り組む方法に関して合意が達成されることへの期待を述べています。
 第188号条約は、船上労働に従事するための最低限の要件、労働条件、居住設備・食料、労働安全衛生上の保護、医療、社会保障に関する要件を定めることによって、漁船上で働く漁船員に人間らしく働きがいのある状態を確保することを目指して採択されました。条約には規定の遵守と執行を確保するための仕組みも盛り込まれており、外国の港における大型漁船などの労働監督の可能性にも道を開いています。漁船員の志望者確保や就業継続、海上における事故の削減、漁業グローバル化の中での船舶所有者や使用者と漁船員との関与の仕方を支援する可能性がある点でこの条約は船舶所有者にも利益をもたらします。

 ILO/UNCTAD新刊:労働市場に対する農業貿易の影響を検証英語原文
    2013年5月14日(火)発表ILO/13/41

 欧州連合(EU)の資金協力を得てILOと国連貿易開発会議(UNCTAD)が行った調査研究の成果物として5月14日に発表された共同刊行物『Shared harvests: Agriculture, trade and employment(収穫物の分かち合い:農業、貿易、雇用・英語)』は、農業貿易が世界中で雇用を創出し、貧困を緩和する機会となり得ることを強調し、農業の政策優先順位を高めることを呼びかけています。本書は、ILOと欧州委員会が共同で運営する「雇用に対する貿易の影響評価・対処(ETE)」技術協力プロジェクトの成果物の一つでもありますが、ETEプロジェクトからは貧困削減と効果的な農業生産・貿易との間には強い結び付きがあることが見出されており、雇用創出に関する限り農業は経済において重要な役割を演じていることが強調されています。
 途上国では全労働力の48%に相当する10億人以上が農業分野で働いており、2000年に30%であった農業貿易に占める途上国の割合は現在は37%に上昇しています。さらに、例えばグアテマラでは農業労働者の96%が最低賃金を下回る収入しか得ていないといったように、農業労働者の多くが貧しい世帯に属していることに鑑みると、農業部門の仕事と貿易との関係性は貧困削減、そしてより幅広い開発戦略に非常に関係があります。
 世界全体及び国・地域別の幅広い事例研究を通じて、報告書は、途上国の労働市場に対する農業貿易の影響を分析し、農業部門で働く人々に係わる懸念事項が国の貿易政策や地域間・多国間の貿易協定にどう反映されているかを論じ、生産性や食の安全保障、農村と都市の間の人の移動、技能、国内規制における変化が貿易と就農状況との関係に与える影響に光を当てることを試みています。例えば、中程度の多角的自由化シナリオでは、農業就業者数が先進国では約0.6%減り、途上国では約0.25%増えることが予測されるといったように、本書に提示される証拠は農業貿易が雇用の奇跡をもたらしたり、雇用激減につながる可能性は低いことを示しているものの、農業貿易は雇用と開発のための機会になり得ると本書は結論づけています。さらに、農業労働者の脆弱性低減における社会的保護の重要性にも光を当て、国際市場における競争力向上に向けて対象を絞った農業生産性の促進策も提案されています。

 良い職場慣行と中小企業の業績のつながりを国際研究会議で探究英語原文
    2013年5月13日(月)発表ILO/13/40

 ILOは5月9〜10日にジュネーブのILO本部において、職場慣行の改善が中小企業の業績に与える影響を探る研究会議を開催しました。世界銀行やロンドン・スクール・オブ・エコノミクスなどの機関の研究者や技能開発などの分野の専門家、各地で中小企業に関わる活動を行っている実務家が出席して開かれた「中小企業の労働条件改善国際研究会議」では、関連する調査研究やプロジェクトで見出された事項に関する情報共有が図られ、安全衛生、労働条件、技能開発は中小企業の業績に影響を与えることができ、現に与えているという主張を裏付ける結果が得られました。
 会議参加者は、中小企業には生産性の伸びと同時に健康的かつ安全で人間らしく働きがいのある労働条件の促進を図ることができる二者両得のシナリオが存在することを確信して会議を後にしました。しかしながら、相互関係の性質を正確に理解するには、因果関係や外部条件の影響の仕方などといった問題の探究を含み、さらなる調査研究が必要という点でも認識の共有が図られました。
 サンドラ・ポラスキーILO副事務局長は、開会挨拶で、経済成長、富、そして世界的に大いに必要とされている雇用の中心的な創出源としての、民間企業の重要な役割と中小企業の多大な潜在力を強調しました。会議では、この潜在力を実現し、労働者及び地域社会のための経済・社会進歩に転化する方法に関する手引きを提供するような調査研究の成果や介入活動に重点を置いた発表・議論が行われました。ミレニアム開発目標(MDGs)達成目標年である2015年までに、より良い情報を基礎とした介入活動、政策、調査研究を立案する方法に関する議論も行われました。会議をきっかけとして、この問題に関心を有する研究者、研究機関、実務家がネットワークを形成し、各々の専門知識とエネルギーを用いてこの分野における知識を高め、進歩に貢献していくことが期待されます。
 会議のウェブサイトでは、英国ミドルセックス大学ビジネススクールがILOのために行った、中小企業の好業績と、労働条件、安全衛生、技能開発との関係性に関する国際的な文献調査の成果物をはじめとした幅広い背景資料に加え、主な発表者の発表原稿を見ることができます。

 『世界の雇用情勢−若者編』2013年版−若者の雇用改善をぬぐい去る鈍い景気回復/インフォーマルな低賃金職と失業が途上国の大半の若者の現実英語原文1英語原文2報告書概要和訳
    2013年5月8日(水)発表ILO/13/39

 「危機にある世代」を副題に掲げて5月8日に発表された新刊書『Global employment trends for youth(世界の雇用情勢−若者編・英語)』2013年版は、今年の若者(15〜24歳)の失業率は経済危機ピーク時の2009年の水準に近い12.6%で、失業者数は2007年より350万人多い7,340万人に達すると予測しています。上昇傾向は今後も続き、2018年までに12.8%になると見られます。1年前に発表された本書2012年版は昨年の数値を12.7%としていましたが、これは新しいデータに基づいて下方修正され、12.4%に落ち着いています。
 地域別で見ると、若者の失業率が2012年に最も高かったのは中東(28.3%)で、これに北アフリカ(23.7%)が続いています。どちらの地域も女性の状況は特に厳しく、女性の失業率は中東で42.6%、北アフリカで37%になっています。最も低い地域は南アジア(9.3%)で、これに東アジア(9.5%)が続いています。先進国の若者の失業率は2012年に18.1%で、2015年まで17%超の状況が続くと見られます。ギリシャとスペインでは若者労働力人口の半数以上に職がありません。
 数字悪化の裏にはもっと懸念すべき状況があります。先進国では長引く失業と臨時雇用の増大、求職意欲を失った若者が多く見られ、途上国には生きていくのにやっとといった、質の低いインフォーマルな仕事が多く見られます。先進国では若者の失業者数が2012年に1,070万人と推計されていますが、就職活動をあきらめてしまった若者を加えると、1,300万人になると見られます。6カ月以上の長期失業者の割合も増加しており、経済協力開発機構(OECD)加盟国では2008年に若者失業者の4分の1を占めていた長期失業者が2011年には3分の1以上に増えています。就学も就職も訓練受講もしていないニート状態の若者は先進国で増えつつあり、今では若者の6人に1人に達しています。技能と職業の不適合も増えつつあり、民間部門との緊密な協力による求職者の技能再形成に向けた政策なしにはミスマッチが固定化する恐れがあります。
 一部途上国では若者の最大4分の1が無職ですが、就労していても低賃金のインフォーマル・セクターで働く傾向があり、カンボジア、リベリア、ペルーなどでは、若者就業者の8割以上がインフォーマル経済で働き、3分の2が低賃金職に就いています。マスターカード財団から資金協力を得てILOが実施している「若者のための仕事(Work4Youth−W4Y)プロジェクト」が途上国で行っている学校から仕事への移行に関する調査によれば、これまでに調査が行われた10カ国中6カ国で、働いていても質の低い低賃金の非正規職に従事している若者を加えた、失業中、ニート状態または非労働力化した若者の合計は若者全体の6割を超え、リベリア、マラウイ、トーゴでは7割を超えていることが示されています。この現状を打破するには、国民全てに提供される質の高い教育訓練とインフラ整備、責任ある統治が必要ですが、途上国の教育水準は高くなってきたとはいえまだまだ低く、例えばカンボジアでは初等教育の修了者は62%になっていますが、大卒者は4%に過ぎません。一方で、このような現状にもかかわらず、途上国では仕事に対する満足度が驚くほど高く、これは「若者の楽観主義と良質の仕事があまりにも少ない状況下で現実に適応できる柔軟性を反映している可能性が高い」と報告書は記しています。
 ホセ・マヌエル・サラサール=シリナチスILO政策担当事務局長補は、「若者の失業率の高止まりは、貴重な就労体験の喪失や職業技能の衰退などの長期的な結果を招き、その上、社会人初期における失業体験は数十年も影響が残る傷跡」を賃金に残す可能性が高いとして、この状況を特に懸念すべきと指摘しています。そして、これらの数字は、「成長、教育訓練制度の大幅改善、対象を絞った若者就労対策に関する政策に重点を置く必要性を強める」とし、「何が機能するかに関しては多くのことが分かっているものの、真の影響力と規模が達成されるのは、緊密なパートナーシップと集団的な行動を通じてのみ」と唱えています。
 報告書は、使用者団体と労働組合による調整を図った共同努力を呼びかけると共に、2012年の第101回ILO総会で採択された「行動の呼びかけ」で明らかにされた主要政策分野を含む国際的な枠組みに沿って、若者の雇用危機に取り組む、対象を絞った即時の行動を取ることを政府に呼びかけています。具体的には、1)財政と金融の持続可能性を確保しつつ、危機の社会的影響に取り組むための若者の権利、起業家精神、労働市場政策、就業能力、マクロ経済政策を通じた人間らしく働きがいのある仕事の創出と雇用促進的な成長の醸成、2)働いていない若者が多い先進国における不利な条件を抱える若者に対象を定めた包括的な措置(教育、訓練、就労体験支援、潜在的な使用者を対象とした採用奨励策など)、3)途上国における雇用と生計手段を統合した戦略及び事業計画(識字・計算能力、職業技能、企業家スキルの訓練、事業支援など)といった措置が提案されています。

 UNRISD会議−社会的経済・連帯経済の真の潜在力を検証英語原文
    2013年5月6日(月)発表ILO/13/38

 ILOの調査研究は、金融協同組合が危機に対してバネのように持ちこたえ、しなやかに回復する力を備えており、労働者協同組合が複数の国で成長し、経済危機の中で生き残っている事実を示しています。協同組合、社会的企業、共済組合などを含む社会的経済・連帯経済は、欧州だけでも被用者全体の約6.5%に当たる1,450万人以上に雇用の場を提供しています。
 国連社会開発研究所(UNRISD)がILO及び国連非政府組織連絡サービス(UN−NGLS)と協力して、ジュネーブのILO本部において2013年5月6日から8日まで開催する「社会的経済・連帯経済の潜在力と限界」に関する会議では、このような社会的経済・連帯経済の概念形成などに向けた話し合いが行われます。開会式で挨拶したガイ・ライダーILO事務局長は、経済危機に対応して多くの政府が講じている緊縮措置によってディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)が危機にさらされている現状を指摘した上で、持続可能な枠組みの中で生産的なディーセント・ワークの機会拡大を確保するために、社会的経済・連帯経済における企業・団体が何を提供できるかに関し、理解を深める必要があると説きました。そして、共同行動を通じて社会的経済・連帯経済が肯定的な変化をもたらし得る重要な分野として、経済危機、若者の失業、インフォーマル経済、農村就労の4点を挙げて、具体的にその潜在力を示しました。まず、社会的経済・連帯経済が仕事を優先させた回復戦略の重要な構成要素の一つとなり得ることを紹介した上で、7,500万人近い若者に仕事がなく、数百万人が就労も就学も訓練受講もしていないニート状態にある現状では、企業、協同組合、社会的企業が活動できる環境という支えがあれば、協同組合と社会的経済は若者に生活できる賃金と自営の機会を提供できると説きました。インフォーマル経済についても、多くの協同組合が初めはインフォーマルな共同事業として誕生し、その後将来性のあるビジネスとして成長していくことを挙げ、社会的経済・連帯経済は労働者及び企業がインフォーマル経済から抜け出す架け橋となる潜在力を秘めていることを指摘しました。さらに、世界の貧困層の75%が住む農村部でも、協同組合、共済組合、小規模金融団体が貧困削減、食の安全保障、社会への包摂といった目標に取り組む上で重要な行動主体となっていることを示しました。
 その上で事務局長は、社会的経済・連帯経済がより良い戦略と介入活動を達成するのを手助けする上で、ILOには主導的な役割を演じる用意があることを紹介しました。

 ラナプラザの悲劇についてILOとバングラデシュ政府が共同記者会見英語原文
    2013年5月4日(土)発表ILO/13/37

 4月24日にバングラデシュの首都ダッカ近郊のサバールで発生したラナプラザビルの崩壊による死傷者は数千人に達すると報道されています。ILOは被害者、同国政労使、そして国民全体に対して連帯の意を伝え、この悲劇の事後処理における全ての関係当事者の迅速な行動を支援する目的で、ジルベール・フォッスン・ウングボILO副事務局長(現地業務及びパートナーシップ担当)率いるハイレベル使節団を5月1日から同国に派遣しました。使節団はシェイク・ハシナ首相をはじめ、労働・雇用大臣、労働・雇用省議会常任委員長、労働・雇用次官、労使団体代表などの同国関係者と会合を持ち、4日間の日程の最終日の4日(土)午後3時から外務省で共同記者会見を行いました。
 関係者との話し合いを経てまとめられたILOと政労使の共同声明は、4月24日に発生したビル崩壊のみならず昨年11月に発生したタズリーン・ファッションズ社及び今年1月のスマート・エクスポート・ガーメンツ社の両衣料工場火災についても被害者遺族に対する弔意と負傷者に対するお見舞いの言葉を述べた上で、今後の同種の悲劇の再発予防に向けた行動計画策定の必要性について合意したことを紹介しています。行動計画が焦点を当てるべき中・短期的な措置には、1)6月に召集される予定の次期国会に、結社の自由及び団体交渉権といった基本的な権利の保護や労働安全衛生の改善等に向けた労働法改革包括法案を提出すること、2)現役の全ての輸出向け既製服工場の建物の構造的安全性及び火災に対する安全性の評価を年内に終了させ、安全でない工場の移転などの是正措置に着手すること、3)最近発生した悲劇的な出来事の結果として障害が残った負傷労働者に対する技能・訓練計画の開始をILOに求め、失業した労働者やリハビリを終えた労働者の移動・配置転換を図ること、4)半年以内に200人の監督官を追加採用した上で、工場・事業所主任監督官局を総局に格上げし、その適切な機能のための基盤構築・人員確保に十分な年間通常予算を割り当てること、5)既製服産業における火災に対する安全性に関する政労使国家行動計画の完全実施とその対象範囲の拡大、6)労働法成立後ただちに、ベターワーク(より良い仕事)計画を共同で運営するILOと国際金融公社(IFC)が会合を持つこと、といった事項が含まれています。行動計画には、6カ月後に進捗状況を測定するフォローアップの仕組みも盛り込まれる予定です。

 ILO新刊『世界の雇用情勢−若者編』2013年版間もなく発表英語原文
    2013年5月3日(金)発表ILO/13/36

 ILOは世界の労働市場を概観する年次刊行物『Global employment trends(世界の雇用情勢・英語)』を毎年1月に発表していますが、来る5月8日(水)に、若者の状況に焦点を当てたこの特別編『Global employment trends for youth(世界の雇用情勢−若者編・英語)』の最新版を発表します。若者の雇用を巡る状況は依然厳しく、『世界の雇用情勢』2013年版に示される最新の数値では、世界全体で約7,400万人の若者(15〜24歳)が失業していると推定されています(失業率12.6%)。昨年5月に出された2012年版に続く本書は、世界全体及び地域別の新しい統計数値を示すと共に、依然として続く雇用危機が世界各地の若者に与えている影響を検討し、現在の傾向を抑えるための政策を提案しています。
 報告書は5月8日GMT午前10時(日本時間同日午後7時)の報道解禁時間以降にILOのホームページ(http://www.ilo.org)上で公表されます。同日午前10時よりホセ・マヌエル・サラサール=シリナチスILO政策担当事務局長補による報告書の記者発表会がジュネーブの国連欧州本部で開かれます。
 また、5月10日(金)GMT午後2〜3時(日本時間同日午後11〜12時)には、報告書の中心的な著者であるILOのテオドール・スパレボームとセーラ・エルダーの両上級労働エコノミストがツイッターを通じて報告書の内容に関するご質問にお答えする機会が設けられます。参加ご希望の方は上記時間内に#GETYouthのハッシュタグを付してILOのツイッター・アカウント(@ILONews)にご質問をお送り下さい。

2013年4月発表分

 ミャンマーで結社の自由関連法制定以来初の労働団体会議英語原文
    2013年4月30日(火)発表ILO/13/35

 ミャンマーで2012年4月に結社の自由関連法規が施行されてから1年が経ったのを機に、ILOはドイツのフリードリヒ・エーベルト財団と共催し、労働者団体を対象に、労働団体や団体交渉、労働安全衛生といった同国の労働者にとって極めて重要な幾つかの分野における技能育成などを目的としたフォーラムを4月29〜30日にヤンゴンで開催しました。「新生ミャンマーの構築」と題するフォーラムでは、6月に開かれる第102回ILO総会のミャンマー労働者代表の選出も行われました。
 同国史上初めて労働者団体代表が集合したフォーラムの開会式において、グレッグ・バインズILO副事務局長(管理・改革事項担当)は約500人の参加者を前に、フォーラムは「導入されて1年余りの結社の自由と、それに関連する集会及び発言の権利」の力強い表明の機会を提供すると語りました。副事務局長は、急速な進歩の一方で幾つかの課題も残っているとして、「労働団体法そのものとその執行の両方において見出されている幾つかの弱点」の存在を指摘した上で、法そのものとその実際の適用の両方が、結社の自由に関するILO第87号条約に完全に沿ったものとなり、労働団体活動に関与したことによる解雇その他の差別からの保護が法の要求に従って労働者に提供されることを確保するために引き続き協働することを政府、使用者、労働者団体に奨励しました。同じくフォーラムに出席したウー・ミン・テイン労働副大臣は、ミャンマーで起こりつつある変化を振り返り、新たに結成された団体は自分たちの活動課題を自分たちで設定できる点で従来の団体と異なることに言及すると共に、あらゆる形態の強制労働の撤廃、若者の就労機会の創出、国の経済に必要不可欠な中小企業の育成に向けた政府の取り組みを紹介しました。
 ILOは米国国務省の任意資金協力を受けて労働団体法の実行を支援する結社の自由プロジェクトを開始し、労働者、企業、政府職員に教育研修を提供しています。

 ラナプラザビル崩壊を受けてILOがハイレベル使節団をバングラデシュに派遣英語原文
    2013年4月29日(月)発表ILO/13/34

 4月24日にバングラデシュの首都ダッカ近郊のサバールで発生したラナプラザビルの崩壊による死亡者は少なくとも380人に上ると報告されています。ガイ・ライダーILO事務局長は4月29日に、遺族に対する心からの弔意を表すると同時にこの恐ろしい人命の喪失と多数の負傷者の発生に対する深い悲しみを表明し、昨年11月の衣料工場における火災に続く、完全に回避可能であった職場における一連の悲劇の最新のものの再発を予防する即時の行動を求める書簡を同国首相に宛てて作成中であることを明らかにしました。そして、現地業務を担当するジルベール・ウングボILO副事務局長率いるハイレベル使節団を近日中にバングラデシュに派遣して支援の申し出を行い、全当事者による行動の迅速化を図る予定であることを発表しました。事務局長は、「恐怖と後悔を緊急の確固とした行動に転化すべき」と訴え、「今、行動すればさらなる悲劇を予防できる可能性があるが、不作為は、単に次の悲劇が時間の問題であることを意味しよう」と語り、バングラデシュ政府並びに同国の使用者及び労働組合に対し、ILOの支援を活用してラナプラザの悲劇がこの種のものとしては最後となるよう確保することを求めています。
 ILOは、◇移転及び基盤構造の改善などを通じた不健全な工場への対処、◇信頼のおける労働監督制度の確立、◇法規の執行に向けた高いレベルでの政治的公約、◇安全衛生に関する社会対話の奨励、◇ILOの基準に沿ってとりわけ団結権と団体交渉権を効果的に保障する労働立法、を要素とする包括的な事業計画の策定を提案しています。

 児童労働への取り組みにおいて社会的保護が決定的に重要な理由を示すILO新刊『児童労働世界報告』英語原文
    2013年4月29日(月)発表ILO/13/33

 2010年にオランダ・ハーグ市で開かれた児童労働世界会議で採択された、2016年までに最悪の形態の児童労働を撤廃することに向けた「行程表」が求めている事項の一つとして、児童労働への取り組み戦略を策定する際に政策関係者が考慮すべき重要なテーマを取り上げた世界報告シリーズの刊行があります。今年10月には2010年の会議をフォローアップする児童労働国際会議がブラジルで開かれますが、これに先立ち、この要請に応えるシリーズ刊行物の最初のものとして、ILO児童労働撤廃国際計画(IPEC)はこの度、様々な種類の社会的保護が児童労働撲滅の助けになる可能性を検討した調査研究成果を発表しました。
 『World report on child labour: Economic vulnerability, social protection and the fight against child labour(児童労働世界報告:経済的脆弱性、社会的保護、児童労働との戦い)』と題する報告書は、世界全体で約2億1,500万人の子どもが従事していると推計される児童労働との戦いにおいて社会的保護政策が重要な役割を演じる可能性があることを示しています。例えば、子どもを学校に通わせた家族に一定の月額給付を支給するブラジルの現金給付制度である「ボルサ・ファミーリア」は、都市部と農村部の両方で児童労働削減の鍵を握ったと見られています。カンボジアでも、同じく現金給付を伴う奨学金制度である教育部門支援プロジェクト導入後、児童労働は10%減少しました。グアテマラのある研究は、世帯員の少なくとも一人が健康保険に加入している世帯では子どもが働く確率が加入者のいない世帯より約4.5%低くなることを示しています。ボツワナ、マラウイ、ナミビア、南アフリカ、タンザニア、ジンバブエなどでは親のいない子どもの5〜6割が祖父母と暮らしていますが、このような世帯では老齢期の所得保障が児童労働を制限することに相当の役割を演じています。
 世界人口の約75%に当たる50億人以上に包括的な社会的保護の実効的な機会が与えられていないとILOでは推計していますが、IPECのコンスタンス・トーマス部長は、各国が定める社会的保護の床を通じた社会的保護への投資は、大人にはまともな就労機会、子どもには教育といった反児童労働対策の「決定的に重要な一部」を構成することを報告書は明らかにしたとして、本書は児童労働を生み出す基盤となっている経済及び社会の脆弱性に関する理解の向上に資するものであると語っています。
 2012年のILO総会で採択された社会的保護の床に関する勧告(第202号)は、生涯を通じての少なくとも基礎的な水準の所得保障と必要不可欠な保健医療の機会を含む社会的保護の床の整備を通じて各国が社会的保護を拡大していくことを提案していますが、報告書は、これを児童労働に取り組む国内戦略の重要な一部とすべきことを提案しています。この他に、特に児童労働に取り組む措置を社会保障制度に組み入れること、各国の法的枠組み及び法的能力の強化、HIV(エイズウイルス)と共に暮らす子どもや、移民、社会の縁辺で暮らす少数民族、先住民、その他経済的・社会的に疎外されている集団の子どもといった脆弱な集団に手を差し伸べることを提案しています。

 労働安全衛生世界デー(4月28日):職業病と闘う緊急の世界的行動を呼びかけるILO英語原文
    2013年4月26日(金)発表ILO/13/32

 業務に関連して命を落とす人の数は、世界全体で毎年234万人と推計されますが、このうち圧倒的多数の202万人近くが業務関連疾病によるもので、1日換算で平均5,500人に上ります。この他に、命を落とすまでには至っていない業務関連疾病の罹患者が世界全体で毎年1億6,000万人に達すると見られます。
 ILOは今年の労働安全衛生世界デー(4月28日)のテーマを「職業病の予防」とし、死亡者数が業務上の事故の6倍に達する業務関連疾病の問題に取り組む活発な世界キャンペーンの緊急性を訴えています。世界デーの背景資料として発表された報告書は、科学技術と社会の変化に世界的な経済情勢が重なり、従来から存在する健康上の危害が増すと同時に新たなリスクが生まれているとして、じん肺や石綿関連疾病などのよく知られている職業病は依然として広く見られる一方で精神障害や筋骨格系障害のような比較的新しい職業病が増えていることを指摘しています。職業病は労働者本人とその家族に留まらず、経済発展や社会開発にも大きなコストをもたらします。傷病の直接的及び間接的なコストで見た職業上の事故及び疾病に基づく年間損失額は、世界全体の国内総生産(GDP)の4%に相当する約2.8兆ドルに達するとILOでは推計しています。効果的な予防戦略の基礎を提供する良質のデータが決定的に重要ですが、世界の半数以上の国で職業病統計が整備されておらず、男女別のデータを集めている国に至ってはさらに少なくなっており、これは男女それぞれに影響する特定の種類の労働災害や職業病の把握を難しくしているだけでなく、すべての労働者を対象とした効果的な予防措置の開発を妨げてもいます。
 ガイ・ライダーILO事務局長は世界デーに際して発表した声明で、「職業病の究極のコストは人命」であることを強調し、労働者本人とその家族の貧窮化、最も生産的な労働者の喪失による地域社会の減退、企業の生産性低下、医療費の増大による国の財政負担増、社会的保護が不十分な場合に多くの労働者とその家族に必要なケアと支援が届かない可能性を示した上で、「予防が取り組みの鍵を握る」とし、ILOが「職業病に焦点を当てた包括的で整合性のある活動を伴った予防パラダイム」を求めていることを紹介すると共に、基本的な一歩として「国際労働基準に提供されている効果的な予防活動のための枠組みを認識し、その批准と実行を促進すること」を呼びかけています。
 国際使用者連盟(IOE)のブレント・ウィルソン事務局長は、「職場の活動主体、予防・治療センター、労使団体、執行機関、労働監督署が入手しやすく実践的な情報をインターネットを通じて総合的に提供することによって、ILOは労働安全衛生上の課題に対処する調整の取れた包括的な取り組みを主導する格好の位置にある」と評価し、「国々が経験の共有から学ぶことによって労働安全衛生の同じ課題に直面する危険を避けるより良い体制を確保する機会」があると語っています。「労働者が暮らしのために健康を失う場合があることを社会は受け入れてはならない」、「職業病は予防可能な重い負担を家計と公共財政に課すことを忘れてはならない」と訴える国際労働組合総連合(ITUC)のシャラン・バロウ書記長は、病気と死を予防するには「組合が支えて労働者の知識を育むこと」が決定的に重要と唱え、ILOの基準及び手引きに従った政府による執行及び立法、そして保護の拡充を求めています。
 ライダー事務局長は、職業病の発生を相当規模に削減することは「簡単ではなく、一夜にして成ることではない」としつつも、「進歩は確実に可能」とし、一緒に職業病拡大の流れを変え、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)のこの側面で相当の進歩を達成できるように、それぞれの責任分野内で、「明確な労働安全衛生上の目標を設定し、行程表を定め、最も重要なこととして辛抱強く行動しよう」と呼びかけました。

 世界銀行/IMF春季会合で遠のく雇用回復の見通しに警鐘を発するILO事務局長英語原文
    2013年4月20日(土)発表ILO/13/31

 4月19〜21日の日程でワシントンDCで開かれている世界銀行と国際通貨基金(IMF)の春季会合に出席したガイ・ライダーILO事務局長は、4月20日に行ったIMFの国際通貨金融委員会及びIMFと世界銀行の合同開発委員会に向けた演説で、失業者数は世界全体で2億人を超えると推定され、うち7,400万人が15〜24歳の若者であるものの、欧米及び日本の雇用見通しは暗く、南欧及び北アフリカでは若者の失業率が悲劇的なほどに高く、1日一人当たり2ドルの貧困線を上回る収入のない労働者が世界全体で約8億7,000万人に達するにもかかわらず、実質賃金は中国を除いて実質的に低迷し、ほとんどの国で所得不平等が拡大しているといった状況を示した上で、現行の政策が「先進国では失業増を食い止めておらず、途上国及び新興国では若年労働力の増加に歩調を合わせるために求められる高い経済成長を抑制している」ことに警鐘を発しました。
 世界銀行とIMFは最近、危機からの回復と発展の中心には仕事があることについて認識を高めていますが、事務局長はさらに、「様々な国の状況に適した政策を組み合わせて国際戦略を整合させることに内在する困難」が、「財政・金融政策の効力に関する大きな見解の違い」によって強められていることを指摘して、「仕事と生計手段」に関する懸念に取り組むことが、より効果的な国際政策の調整を着実に構築していく道であると唱え、そのような仕事を指向した回復戦略に相当数の国が同時に着手すれば、税収増と景気対策関連支出の削減をもたらすことによって財政圧力の緩和にもつながるだろうと語りました。そして、社会的保護と最低賃金が成長を刺激する助けになっている中南米や、経済成長を強化する上で国内需要が重要な役割を演じてきた東・東南アジアなどの政策成功例を示しつつ、◇雇用を多く生むような選択肢に重点を置きつつインフラ投資を増加させること、◇中小企業に対する融資条件の緩和、◇社会的保護の床(最低限の社会的保護)の強化、◇最低賃金の導入または引き上げ、◇若者を中心とした訓練機会の増大などといった、多くの国で通用するような政策イニシアチブを列挙しました。また、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成目標年である2015年が近づきつつある中でこの種の政策を適用する必要性がますます顕著になってきていることに触れ、潘基文国連事務総長が開始した2015年以降の開発課題に関する活発な世界規模の話し合いは、国内行動に対する国際的な支援の枠組みを通じて何ができるかに関する理解を深めつつあると同時にほとんどどの国でも雇用創出が最優先事項であることを明らかにしていると語りました。

 第102回ILO総会(ジュネーブ・2013年6月5〜20日)取材要項英語原文
    2013年4月17日(水)発表ILO/13/30

 日本を含む185の加盟国から政府、使用者、労働者の代表が出席して開かれるILOの年次総会である第102回ILO総会は、今年は6月5〜20日の日程でジュネーブのパレ・デ・ナシオン(国連欧州本部)で開かれます。
 「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を伴った未来の構築」をテーマに掲げる今総会では、昨年10月に就任したガイ・ライダーILO事務局長が初めて提案する事業計画・予算案の検討などが行われます。議題は以下の通りです。
  1. 理事会議長及び事務局長の報告
  2. 2014/15年の事業計画・予算案その他の問題
  3. 条約・勧告の適用に関する情報と報告
  4. 新たな人口動態の文脈における雇用と社会的保護(一般討議)
  5. 持続可能な開発、ディーセント・ワーク、グリーン・ジョブ(一般討議)
  6. 社会対話の戦略目標に関する反復討議(2008年に採択された「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」のフォローアップ手続きに基づく討議)
 この他に、昨年の総会では、ミャンマーについて、強制労働条約の適用状況に関連して過去の総会で採択されていた措置を見直し、課されていたほとんどの制約を解除する決議が採択されていますが、今年の総会では、残されていた措置の撤廃の是非について再び検討が行われます。また、アラブ被占領地に関する報告書の討議も行われます。
 総会の取材を希望される報道機関の方々は、所定の申込用紙を用いて事前登録の上、身分証明書または旅券、記者証、所属機関の取材指示書を提示して、ジュネーブのILO本部で記者バッジを受け取る必要があります。国連に登録されているジュネーブ駐在員の方々に対しては、ILOの広報官が総会取材用のバッジを5月28日から配布します。

 アラブ労働総会:アラブ地域は改革の機会を捉えるべきとライダー事務局長英語原文
    2013年4月15日(月)発表ILO/13/29

 中東及び北アフリカのアラブ諸国22カ国の政労使代表が出席し、アラブの労働問題と政策対応を話し合うアラブ労働総会の第40回会合が4月15日から22日までの日程でアルジェリアの首都アルジェで開幕しました。開会式に参加したガイ・ライダーILO事務局長はアラブ地域に対し、社会対話の強化、深刻化する若者の失業問題への取り組み、社会的保護の促進、自由に団結する労使の権利育成に向けた政策改革を呼びかけ、必要なのは、政治構造を越えて社会や経済の領域に届くような「持続可能な経済発展・社会開発の包括的なビジョン」であると訴えました。
 さらに、若者の失業率が2012年の最新推計で26%超と、世界屈指の高さにある中東・北アフリカ諸国に対し、地域の若者の潜在力を活用し、「市場のニーズに沿った賢い教育・技能政策」を開発することを求めました。また、女性の労働力率が世界で最も低い地域であることも指摘して女性の権利への取り組みを優先事項の一つにすべきことを提案しました。
 アラブ地域では、インフォーマル経済で働く人を中心に勤労者の多くに保健医療や所得保障といった基礎的な社会保障が保証されていませんが、ライダー事務局長は、短期的ニーズのみならず長期的ニーズにも対処する社会保障制度は貧困を相当に軽減し、社会、経済、政治の安定に寄与する可能性があることを指摘して、「社会的保護の床(最低限の社会的保護)」の確立を域内諸国に呼びかけました。そして、各国の状況に適した戦略の必要性を強調し、この点で、社会の進歩を強固にするのに有望な例として、アルジェリアの社会・経済協定やチュニジアの社会契約を挙げました。また、3月に開かれたアラブ首脳会議でパレスチナ問題が中心的な事項であることが改めて確認されたことにも触れ、ILOにはパレスチナ占領地の勤労者に対する特別の責任があることにも言及しました。
 事務局長はさらに、ILOとアラブ労働機構(ALO)との協力関係の強化を提唱し、このパートナーシップ関係によって両機関の取り組みが拡充・強化され、政府及び労使団体がすべての人へのディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)と社会正義の促進に効果的に従事するプロセスの構築につながることへの期待を示しました。

 第9回ILO欧州地域会議閉幕:信頼感は回復できる、とオスロ宣言英語原文
    2013年4月11日(木)発表ILO/13/28

 欧州及び中央アジアのILO加盟国51カ国より38人の大臣及び副大臣を含む500人以上の政労使代表が出席して地域の政策と優先事項を巡る話し合いを行った第9回ILO欧州地域会議(オスロ・2013年4月8〜11日)は、最終日の11日に、金融、経済、仕事の危機が経済、社会、政治に与えているマイナスの影響を域内諸国が克服し、景気に対する信頼感を回復するのを手助けできるようILOの役割を強化するオスロ宣言を採択して閉幕しました。宣言は、2009年の第98回ILO総会で、世界的な仕事の危機に取り組む一連の方策を提示する文書として採択された「グローバル・ジョブズ・パクト(仕事に関する世界協定)」に言及し、「仕事、成長、社会正義の促進に向けた持続可能な取り組み」を呼びかけ、「財政強化、構造改革、競争力」と「包括的刺激策、実体経済における投資、良質の仕事、企業の資金調達機会の拡大」という二つのパラダイムを「競合させるべきでない」と唱えています。
 宣言は、域内ILO加盟国が以下を通じて健全で公平な改革政策を設計するのを支援することをILOに求めています。
 宣言はまた、質の高い調査研究、分析、加盟国に対する助言及び支援、経験交流、能力構築などを通じて欧州の危機を食い止める助けになる例外的な対応を行うことをILOに求めています。さらに、とりわけ主要20カ国・地域(G20)、国際通貨基金(IMF)、経済協力開発機構(OECD)、世界銀行、欧州連合(EU)、ユーラシア経済委員会(EEC)といった、他の国際・地域機関及びフォーラムとの政策の整合性と相乗性の向上を求めています。ガイ・ライダーILO事務局長は、閉会演説で、会議の受入国であったノルウェー政府に謝意を表した上で、欧州における活動や考えをまとめる際にはオスロ宣言を入念に用いることを確約しました。
 地域におけるILOの活動及び労働・社会分野の優先事項を定めるために域内加盟国の政労使代表が出席して開かれるILOの地域会議は、原則として年に一つずつ、アジア太平洋、米州、アフリカ、欧州の4地域で順番に開催されています。第8回欧州地域会議は2009年2月にポルトガルの首都リスボンで開かれました。日本でも2011年12月に京都で第15回アジア太平洋地域会議が開催されています。

 第9回ILO欧州地域会議−若者のための仕事:何が機能するか英語原文
    2013年4月10日(水)発表ILO/13/27

 2008年より下がったドイツを除き、欧州では若者の失業率が58.4%のギリシャと55.7%のスペインを筆頭に高止まりを続け、2013年2月の欧州連合(EU)27カ国の平均は23.5%となっています。若者の失業率が記録的に高い諸国では欧州の社会モデルが危うくなるほどに社会の結束が脅かされる危険があり、比較的低い国でも障害者や移民の子ども、低技能の若者などの少数集団を労働市場に組み込むことが前より難しくなっています。欧州ではまた、2011年当時で若者の約3割が貧困または社会的排除の危機に直面していたと推計されます。
 欧州及び中央アジア地域のILO加盟国51カ国より政府及び労使団体の代表が出席し、4月8〜11日の日程でノルウェーの首都オスロで開かれているILOの第9回欧州地域会議は、検討課題の一つとして、危機の矢面に立っている若者の雇用問題を取り上げ、「失われた世代」のリスクが現実化する懸念を強く表明しました。会議参加者は労働市場改革が効果を発揮する前にマクロ経済の問題に取り組む必要性を感じつつも、当人だけでなく社会全体にも負担をもたらす若者の失業問題に取り組む方が何もしないよりずっと安くすむという点で合意に達し、欧州全域にわたる労働力移動の促進、不足している技能の宣伝や求職中の若者に正しい方向を指し示す形でのソーシャルメディアの活用、高齢者を巻き込んだコーチ・システム、労働市場に参入する若者に対する先輩による指導、社会的経済における仕事の創出、若者採用企業に対する補助金の提供など、可能な解決策を様々に提示しました。
 社会人への入り口で無職になり、不安定な低賃金の仕事に就かなくてはならないことは長期的な収入の展望や雇用機会にもマイナスに作用する傷跡を残すリスクがあります。最初の仕事が見つかる技能を若者に備えさせるための教育及び訓練の質の重要性も指摘され、労働市場の縁辺に追いやられる恐れがある若者に対する集中的な職業相談などの解決策が提案されました。若者の就業制度を設計し、その質を評価する上での政労使の社会対話の必要性も強調されました。この点での知識不足も指摘され、ILOは比較研究を行い、各国の経験を評価・分析するネットワークを促進するよう求められました。ガイ・ライダーILO事務局長は、議論を受け、ILOは必要な調査研究を行い、ネットワーク形成と対話を促進し、真に機能する質の高い教育・訓練プログラムを実行する用意があると語りました。

 第9回ILO欧州地域会議−ILO、EC、IMFのより緊密な協力を呼びかけるILO事務局長英語原文
    2013年4月9日(火)発表ILO/13/26

 欧州及び中央アジア地域のILO加盟国51カ国より政府及び労使団体の代表が出席し、域内の社会・労働問題について話し合う欧州地域会議の第9回会合が4月8〜11日の日程でノルウェーの首都オスロで開かれていますが、会議2日目にILO、国際通貨基金(IMF)、欧州委員会(EC)の3機関が主催して「危機からの回復:成長と仕事のための整合的な政策」をテーマとするハイレベル・パネル討議が開かれました。討議に参加したガイ・ライダーILO事務局長は、様々な政策目標すべての正当性を認めた上で、「国際機関同士に存在する巨大な共通の地歩」に鑑み、3機関のより密接な協力を呼びかけました。そして、欧州の調整計画が今日、危機の影響により大きくさらされている国やより弱い勤労世帯に重くのしかかっている事実を指摘して、調整の負担の相当部分をより力強い肩が担うように経済・社会政策を再調整し、多くの雇用を創出する持続可能な企業を促進する政策の必要性を説きました。
 討議に参加した欧州委員会のオッリ・レーン副委員長は、欧州の社会モデルを維持し、地域の産業基盤を保つには、社会的パートナー(労使)と政府の対話が求められるとして、欧州委員会の取り組みに対する支援をILOに求めました。IMFの朱民副専務理事も対話の必要性に同調し、欧州のみならず全世界的な「成長と仕事のバランス」を求め、「国際機関の任務は個々に異なるものの、世界の人々の生活改善という共通の責任」を担っていると語りました。使用者代表として発言したギリシャ企業産業連盟(SEV)のハリー・キリアジス執行副会長も「特にギリシャのような国では、労使には改革の承認を支える共通の利害がある」として、健全な社会的パートナーシップの重要性を強調しました。労働者代表として討議に参加したブルガリア独立労組連盟(CITUB)のプラメン・ディミトロフ会長は、「信頼の再建にはILOの助けが必要」として、もっと先行対策的に緊縮措置を拒否してくれることをILO事務局長に訴えました。欧州委員会のラースロー・アンドル雇用・社会問題・社会包摂担当委員は、欧州では労働力が不足している国と失業率が高い国が共存していることを指摘して、「真の欧州労働市場」の達成を求め、さらに、ますます深化する経済・通貨統合は「社会的側面」も有するべきと訴えました。
 欧州では2012年第4四半期に0.6%のマイナス経済成長を記録したユーロ圏の影響が他の域内諸国にも大きく波及し、過去6カ月間だけでも100万人が仕事を失ったと推計されます。このような中、より仕事を中心に据えた欧州の危機対応策を検討するために開かれた本パネル討議は、現下の危機を克服するには政労使の社会対話と改革政策の社会的側面が必要なことについての合意の高まりを示すものとなりました。

 ILO欧州地域会議−危機によって厳しく試される欧州の社会モデル英語原文
    2013年4月8日(月)発表ILO/13/25

 4月8日にオスロで開幕したILOの第9回欧州地域会議で、リトアニアのダリア・グリボウスカイテ大統領、経済協力開発機構(OECD)のアンヘル・グリア事務総長、労使代表も参加して初日に開かれた、金融危機の結果に取り組む方法に関するハイレベル・パネル討議では、良質の仕事を伴う成長と競争力を達成できるような効果的な雇用・社会政策を求める緊急の呼びかけが行われました。
 討議に参加したノルウェーのイェンス・ストルテンベルグ首相は、欧州では危機が金融危機から仕事の危機へと劇的な転化を遂げており、一部の国には、仕事もなく、訓練も受けておらず、市場から去ってしまった失われた若者世代が存在し、さらに恒久的に非労働力化し、就業能力を失いつつある人々も増えていることを指摘して、「大規模な社会危機と政治的反動を避ける措置」を今、実行する必要性を訴え、これを「今日の欧州で我々が直面している最大の政治的課題」であると唱えました。ガイ・ライダーILO事務局長も「我々は明確な解決策が見えない中、依然として続く経済・雇用危機に直面している」として、「回復を達成する効果的な行動」を提案することを会議参加者に呼びかけました。
 ILOの最新のデータによれば、欧州では世界金融危機が発生した2008年より失業者が1,020万人増えて2,630万人に達し、過去6カ月間だけでも欧州連合(EU)全体で100万人が職を失ったと推計されます。財政強化策導入以来、雇用情勢は悪化を続け、2010〜11年の短い小休止期間を経て失業者数は上昇を再開し、いまだ改善の兆候は見えません。4年ごとに開かれる地域会議では、域内のILO加盟国より政府及び労使代表が出席し、地域の政策と優先事項の策定に向けた話し合いを行います。欧州・中央アジアのILO加盟国51カ国の政労使が参加する第9回ILO欧州地域会議では、このような金融、経済、仕事面での危機が続く中、11日までの日程で地域の前途を巡る話し合いが行われます。会議の議長にはノルウェーのアンニケン・ヴィットフェルト労働大臣が選出されました。

 ILO欧州地域会議−欧州の失業者数は2008年より1,000万人増英語原文
    2013年4月8日(月)発表ILO/13/24

 4月8〜11日にノルウェーの首都オスロで開かれるILOの第9回欧州地域会議には、欧州及び中央アジア地域のILO加盟国51カ国から政府及び労使団体の代表が出席し、依然続いている金融・経済・社会危機の中でこの地域の前途を巡る話し合いを行います。
 地域会議に先立って発表された欧州連合(EU)諸国の労働市場のスナップ資料は、2010〜11年に一息ついた後で失業率は上昇を続け、改善の兆しが見えない雇用情勢を示しています。過去6カ月間だけでもEU域内では100万人が職を失ったと推計され、就業率が危機前の水準を上回っているのはEU27カ国中5カ国(オーストリア、ドイツ、ハンガリー、ルクセンブルク、マルタ)に過ぎず、キプロス、ギリシャ、ポルトガル、スペインなどの就業率は過去2年間で3ポイントを超える下落を示しています。欧州では現在、失業者が危機開始前に比べて1,000万人以上増えて2,600万人を超え、影響は若者と低技能労働者に特に大きくなっています。多くの欧州諸国で長期失業は構造問題化しており、1年以上の長期失業者が失業者全体の4割を超える国が19カ国に達しています。雇用情勢の悪化は社会不安のリスクの増大も意味し、この指数は現在、危機開始前に比べて12ポイントも高くなっています。
 財政強化政策導入以来悪化の一途をたどる雇用情勢に鑑み、ILOは、財政と競争力の目標の重要性は認めつつも、「危機の根本原因に対処しない構造改革と緊縮措置でこの問題に取り組まないことが肝要」と指摘し、むしろ、「仕事を中心に据えた戦略に移行した方が、マクロ経済目標と雇用目標の両方の役に立つであろう」と訴えています。そのために、1)とりわけ金融部門における、危機の中核にあったにもかかわらずまだ解決されていない、危機の背景にある構造的な問題への取り組み、2)生産的な投資やEU域内貿易に悪影響を与えている賃金及び雇用に対する下方圧力に対する取り組み、3)若者の就業保証制度などの緊急措置の採用、4)政策設計、雇用促進的な改革に対する支援の動員、そのような改革が、人々が本当に必要なものに焦点を当てるよう確保する上で重要なツールとしての政労使間の社会対話の活用といった、雇用危機に取り組む一連の政策の採用を呼びかけています。

 国連記者発表:ミレニアム開発目標について1,000分間のソーシャルメディア大会開催英語原文
    2013年4月5日(金)発表ニュース

 国連のミレニアム開発目標(MDGs)の達成目標年である2015年まで1,000日を切ったことを記念して、国連とそのパートナー機関は4月5日(金)EDT午前8時(日本時間午後9時)から翌6日(土)EDT午前1時(同午後2時)まで1,000分間のソーシャルメディアを用いた世界規模の大会を開催します。Google+のハングアウト、フェイスブックのチャット、ツイッターの対話を通じて参加できるこの大会では、MDGsに関してこれまでに達成された成功を認め、未達成の目標に関する議論と行動を活発化することを目指し、MDGsが世界各地で与えた影響を示した写真や実例が紹介されます。このイベントはまた、2015年以降に必要な開発活動を展望する機会も提供します。
 MDGsは以下の八つで構成されています。

 EU全域にわたる若者保証制度確立に向けて協力の用意があるILO英語原文
    2013年4月4日(木)発表ニュース

 欧州諸国には就業も就学も訓練受講もしていないニート状態の若者が750万人いると推計されますが、欧州連合(EU)の雇用・社会政策・保健・消費者問題理事会は今年2月、25歳未満の若者に、無職の期間が4カ月経過する前に良質の雇用、継続教育、見習い研修その他の訓練機会を提供する措置を整備することを加盟国に求める勧告を承認しました。これを受けてEU諸国がこの「若者保証制度」を整備するスピードは、各国の事情によって異なると思われますが、ILOは欧州委員会と力を合わせてこの取り組みを支援する用意があることを発表しました。
 ILOが実施した既存の若者保証制度の検証からは、国の状況や対象となる若者の規模によって左右されるものの、制度の年間経費は国内総生産(GDP)の0.5〜1.5%程度となることが示されており、ILO雇用政策局のアジタ・ベラル=アワド局長は、「若者の失業と非労働力化の問題が経済と社会に与える影響は短期的にも長期的にも非常に高いことに鑑みると、若者保証制度の便益は費用を上回る可能性がある」と語っています。
 若者保証制度は最初、1980〜90年代に北欧諸国(デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン)に導入され、オーストリア、ドイツ、オランダ、ポーランドでも同種の事業が開始されました。2011年にスウェーデンで行われた研究からは、保証制度を利用した24歳の若者失業者は利用していない若者より早く仕事が見つかることが示され、オーストリアの2010年の資料によれば、保証制度に類似した労働市場計画に参加した若者の63%が計画参加から1年以内に就職できていることが示され、フィンランドでも直接的な就業支援か就職につながる継続訓練かのいずれかを通じて若者の失業者数が減少したことが明らかになっています。ベラル=アワド局長は、このような先行国の経験から多くを学べることを指摘して、「うまく設計され、対象を絞った若者保証制度は、不利な立場にある若者に手を差し伸べ、これらの人々の労働市場とのつながりを維持できる」と語っています。
 ILOは2012年の総会で、改めてただちに若者の失業危機に的を絞って注力することを加盟国政労使に呼びかける決議を採択しています。ILOと欧州委員会の積極的な協力は決議のフォローアップにおける新たな一歩となり、若者保証制度をはじめとする若者の就業のための幅広い政策措置の検証を通じて学んだ教訓は世界各国と広く共有されることになります。

 家事労働者:基準制定を機に世界的に盛り上がる法整備の動き英語原文
    2013年4月2日(火)発表ニュース

 ブラジルでは2013年3月に、長年にわたる労働組合の法改正運動が結実し、家事労働者に他の労働者と等しい権利を付与する憲法改正が成立しました。残業手当、1日最長8時間・週44時間の労働時間など、16の新しい権利を定める改正の一部は4月2日に施行されましたが、月額給与の8%相当額を雇い主が払い込むことによって運営される、強制剰員解雇、死亡その他の不測事態に対して支払われる基金の設立などといった幾つかの規定は新しい規則の制定を待って施行されます。中南米は家事サービス産業の急成長が見られる地域の一つですが、1995年に510万人だった家事労働者が2011年に660万人に急増し、女性就業者の17%を家事労働者が占めるブラジルにおけるこのような展開は特に意義深いものがあります。アルゼンチンでも今年3月に家事労働者の労働時間の上限、年次有給休暇、出産休暇を定める法が成立し、2月にインドの国会を通過した職場におけるセクシュアル・ハラスメントの根絶に向けた法律は家事労働者にも適用されます。2011年6月に家事労働者のディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)について定める条約(第189号)勧告(第201号)がILO総会で採択されてから、このように家事労働者の労働・社会権を改善する法規が制定された国は、ベネズエラ、バーレーン、フィリピン、タイ、スペイン、シンガポールなど9カ国に上ります。フィンランド、ナミビア、チリ、米国などでも法整備の動きが見られます。
 家事労働者はしばしば搾取され、虐待や暴力を受ける場合があります。2013年1月に出されたILOのこの分野における最新の刊行物『Domestic workers across the world(世界の家事労働者・英語)』によれば、家事労働者は世界全体で最低でも5,260万人(83%が女性)と推計されるものの、調査研究実施時点では、国内労働法制で他の労働者と同程度の保護が提供されていたのは1割に過ぎず、約3割が完全に除外され、45%に週休や年次有給休暇の権利が与えられておらず、女性家事労働者の3分の1以上に母性保護規定が適用されていませんでした。地域別では、アジア太平洋が最も多く(2,140万人)、次いで中南米・カリブ(1,960万人)、アフリカ(520万人)、先進国(360万人)、中東(210万人)といった順番になっています。家事労働者の虐待をなくし、働きがいのある人間らしい労働条件と賃金を確保することを目指す第189号条約は、妥当な労働時間、最低でも連続24時間の週休、現物払いの制限、雇用条件に関する情報の明示、結社の自由と団体交渉権を含む労働における基本的な原則及び権利の尊重などといった、家事労働者が他の労働者と同じく享受すべき基本的な労働者の権利を定めています。批准国は現在4カ国(ウルグアイ、フィリピン、モーリシャス、イタリア)で、今年9月5日に発効します。南アフリカ、コスタリカ、ドイツでも批准に向けた歩みが見られ、欧州委員会も欧州連合(EU)諸国に対してこの条約の実行を迫り、年少家事労働者に対する保護措置の整備を求めています。
 ILO労働者保護局のマヌエラ・トメイ局長は、ブラジルで法案が下院通過後の上院において全会一致で成立したことを歓迎し、法の成立は、「大部分を黒人女性が占める家事労働者と家事労働の尊厳及び価値を認めるブラジルの道程の頂点」と評価しました。労働条件に関する法の専門家であるマルティン・オエルツ専門官は、条約と勧告が変化のための触媒としての役割を実効的に果たし始めたこのような展開を「元気づけられるもの」として歓迎しています。

2013年3月発表分

 ジャマイカで反児童労働レッドカード・キャンペーンを展開英語原文
    2013年3月22日(金)発表ILO/13/23

 ILOは2016年を最悪の形態の児童労働の撤廃目標年に掲げ、反児童労働広報活動の一環として2002年から「児童労働にレッドカードを」キャンペーンを地球規模で展開しています。3月22日にジャマイカの首都キングストン市で行われたジャマイカ対パナマのワールドカップ予選試合のオープニングセレモニーで250人のボランティアがレッドカードを掲げて2016年の目標達成に向けて観衆の支持を募りました。ILO、欧州委員会(EC)、アフリカ・カリブ海・太平洋(ACP)諸国事務局が共催したこのイベントは、ジャマイカのポーシア・シンプソン=ミラー首相や国際サッカー連盟(FIFA)、ジャマイカ・サッカー連盟、選手及び関係者の支持を受けて実施されました。
 この世界的なキャンペーンのサポーターには、サッカー界の伝説であり、ブラジルのスポーツ大臣も務めたペレをはじめ、ジダン、ロジェ・ミラ、ロナウド、ライーといった有名選手や、ゼップ・ブラッターFIFA会長、ミュージシャンのジルベルト・ジルなどに加え、ブラジル、カメルーン、コスタリカ、東チモール、エジプト、マリ、ペルーなどの国家元首や政府首脳、閣僚までが含まれています。キャンペーンは、世界各地の脆弱な地域におけるコミュニティーやスポーツ団体の結集を図って少年少女や若者の児童労働に対する戦いへの参加を募っています。また、各地のスポーツ事業が、子どもの権利を搾取する者にレッドカードを突きつけるよう世界に呼びかけることを奨励しています。
 2010年に出されたILOの児童労働に関するグローバル・レポートでは、世界全体で2億1,500万人以上が児童労働に従事すると推計されています。ジャマイカでは2002年に実施された調査で、推計1万6,000人以上の子どもが調査対象週に労働に関与していたことが明らかになっています。同国では都市でも農村でも文化に根付いた危険な児童労働が見られます。農村部の典型的な職場は農場ですが、ここでは子どもは重い荷物を持ったり、危険な化学物質を扱ったりしています。ジャマイカは「ビジョン2030」と題する国家開発計画を掲げていますが、児童労働の撤廃はこの目標を達成するための重要なベクトルの一つです。

 財政規律と成長のバランスが必要と、欧州議会議長英語原文
    2013年3月22日(金)発表ILO/13/22

 現在ジュネーブのILO本部で開催されている第317回理事会において、3月22日に講演を行った欧州議会のマルティン・シュルツ議長は、危機に対する唯一の解は緊縮策であると見る人々が多い中、ILOと欧州議会の圧倒的多数の議員は、財政規律と成長の均衡を達成する必要があるという点で合意に達していることを紹介した上で、その声が十分に聞き届けられず、結果として女性や若者など社会集団全体が大きな打撃を被ったことを「遺憾」としました。そして、ILOと欧州議会は包摂的な成長とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)という同じ関心事項を共有しており、「私たちは皆、危機を管理する歴史的な責任がある」として、「経済を変容させる変化を達成するというかつてない機会」が今あることを指摘しました。
 さらに、ディーセント・ワークを人間らしい社会の基盤であると唱えるILOのメッセージは、「私たちの目から見ると正しい」と評価した上で、欧州で最も成功を収めている企業や国家経済は「従業員をパートナーシップ精神に則り、ディーセント・ワークの枠内で働きがいのある人間らしい賃金及び尊厳をもって処遇するような平等度の高い職場」を創出していることを強調し、「例えば、若者の失業問題に対する戦いや、ディーセント・ワークのみならず働きがいのある人間らしい賃金に向けた戦いの強化」など、「金融危機、経済危機、そしてとりわけ社会危機に対応する勇敢な行動を共に鼓舞することができよう」と提案しました。
 また、2015年を達成目標年とするミレニアム開発目標の見直しは欧州議会の最優先事項の一つであることを紹介し、ILOはこの2015年以降の議論における主要なパートナーの一つであるとしました。

 仕事を豊かに生むアフリカの成長に向けた処方箋を実業界リーダーらが検討英語原文
    2013年3月20日(水)発表ILO/13/21

 アフリカの失業率は9%に過ぎませんが、フォーマル経済で安定した職に就いている人は就業者のわずか28%です。理事会開催中のジュネーブのILO本部で3月18日にILOが国際使用者連盟(IOE)、アフリカの使用者団体であるビジネス・アフリカと共催した円卓会議には、アフリカの実業界リーダーらが出席し、アフリカの成長を支え、雇用創出のペースを加速する方法に関して意見を交換しました。会議は、マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)から最近発表されたアフリカの雇用創出と包摂的な成長に関する報告書を検討する機会も提供しました。
 ガイ・ライダーILO事務局長は、「仕事を創出する成長」に向けた解決策として合意されている要素は、「金融機会、基盤構造、必要な規制、官民両部門のつながり、技能開発」であることを示した上で、決定的に重要な分野は「インフォーマル経済及び農村経済の仕事をフォーマル化する必要性」であるとして、「安定した賃金の支払われる仕事の創出ペースを速めること」を中核的な問題に位置づけました。IOEのブレント・ウィルソン事務局長も、現在の国民総生産(GDP)予測に基づくと、2020年までにアフリカでは5,400万人分の安定した仕事が創出される見込みで、韓国など他の諸国の経験に基づくと10年間で7,200万人分の仕事が創出される潜在力があることを紹介しつつも、2020年までにアフリカの労働力は2億2,000万人増えて5億人を超えると見られることから、この労働力の伸びを吸収するため雇用創出のペースを速める必要があることを指摘しました。出席者らはまた、雇用戦略は雇用創出の潜在力が最も高い産業部門に焦点を当てるべきとして、小売業、接客業、製造業、農業を民間部門の成長の最も大きな割合を占めるであろう部門に挙げました。
 多くの出席者が、アフリカの労働力は一般に思われているよりも教育水準が高いことを指摘しつつ、人々に就労経験の機会を開き、企業が求める技能を開発するチャンスを与えることを企業リーダー及び意思決定に携わる人々に呼びかけました。ケニア使用者連盟のライナス・ギタヒ副会長はイノベーション(革新)と新技術に投資する必要性を強調し、アルベール・ユマIOEアフリカ副会長はアフリカの労働力の65%が女性と若者である事実を指摘して、若者の起業を支援し、成功に必要な技能を付与する必要性を説きました。マンパワー社(マグレブ諸国及びフランス海外領)のジャマール・ベラーラック社長も人材開発の重要性に光を当て、モロッコでは大学を卒業したばかりの若者の27%が失業中で、800万人が貧困線を下回る暮らしを送っている現状を紹介した上で、明日の仕事を予測する「適切なビジネス予測の重要性」を指摘しました。
 ライダー事務局長は、このような重要事項に焦点を当てることによって、ILOはアフリカが雇用創出と包摂的な成長の道を進むことを支援できる潜在力を秘めていると結論づけました。

 世界中の人々を対象に望ましい世界に関する国連調査を実施中英語原文
    2013年3月15日(金)発表ILO/13/20

 2015年を主な達成目標年に掲げるミレニアム開発目標(MDGs)は貧困との闘いや生計手段の向上に向けた世界の行動を呼びかけていますが、現在進められている2015年以降の開発課題に関する議論では、World We Wantのウェブサイトを通じたオンライン討議など、市民の方々の声をできるだけ盛り込む工夫が行われています。国連はこの一環として、現在、世界中の人々を対象に、より良い世界に関する意見調査を実施しています。
 MY Worldウェブサイト、電話(ショートメッセージサービス及びフリーダイヤル)、非政府組織(NGO)等に配布された投票用紙を通じて実施されている国連調査は、より良い雇用機会、男女平等、働けない人に対する支援、政治的自由、より良い保健医療、良い教育、気候変動に対する取り組みなど、16の項目の中から、自分の生活を最も大きく変えるだろうと考える6項目を選んでもらうようになっています。16項目以外の優先事項を提案することもできます。
 調査結果は3月25〜27日にバリ(インドネシア)、5月にニューヨークで会合が開催される、2015年以降の開発課題に関する国連事務総長のハイレベル・パネルに提出され、パネルが事務総長に提出する最終報告書にも反映されることが期待されます。

 国際女性の日:職場における性に基づく暴力を終わらせようと呼びかけるILO事務局長英語原文
    2013年3月8日(金)発表ILO/13/19

 今年の国際女性の日(3月8日)のテーマは女性に対する暴力です。ジュネーブのILO本部では当日、ガイ・ライダーILO事務局長も出席して、「女性に対する暴力を止めよう」と題するイベントを開催しました。
 ライダー事務局長は、性に基づく暴力を「極めて非人間的で、広く見られ、抑圧的」とした上で、職場における暴力は個人を深く傷つけるだけでなく、家族や社会、企業にも影響を与えるとして、「性に基づく職場内暴力に終止符を打つことは、全ての男女にディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進するというILOの目的」の不可欠な一部であることを強調しました。そして、職場における暴力に取り組む手引きを含むILO条約や実践的なツールを紹介した上で、女性に対する暴力を禁止する明確な国際人権条約が存在しないことなど、まだ欠けている部分が大きいことや多くの女性が働くインフォーマル経済に焦点を当てる必要性などを「ILOその他の機関の今後の活動路線」に挙げました。
 経済及び社会政策の専門家として基調講演を行ったシャーロット・ハーランド・スコット・ザンビア副大統領夫人は、自国における女性の平等に向けた戦いを説明し、妊娠・出産関連死亡率や初等教育機会など進歩が見られる分野はあるものの、とりわけインフォーマル・セクターにおける職場内暴力など、多くの課題が残されているとし、いじめなどの虐待の報告が常に上がってきており、文句を言う可能性が低いと見られる年若い少女の方が好まれる傾向がある家事労働者の事例を紹介し、法規を通じて全ての労働者の権利を確保する必要性を指摘しました。また、職場における暴力に取り組む手段の一つとして、雇用創出の重要性にも触れ、少女を中心に、教育水準が低い青少年、未熟練の青少年、技能不足の青少年は、暴力に弱いままであるのに対し、技能育成や選択肢・機会の拡大は、若者の就労体験を、「自らの志望を追求できるキャリアを築き、真の潜在力の活用を許すものへと変えることができよう」と説きました。
 労働者代表として報告したアメリカ労働総同盟・産別会議(AFL−CIO)のセーラ・フォックス法律顧問は、米国では夫や恋人の暴力によって毎日平均4〜5人の女性が命を奪われ、毎年200万人が負傷していることを報告した上で、この家庭内暴力は職場にも波及するとして、米国の職場で夫や恋人から殺害された女性は1997〜2009年の期間に321人に達することを紹介しました。そして、女性に対する暴力禁止法が成立した1994年以降、この件数は減少したものの、まだ行う必要があることは多いと訴えました。
 使用者代表として報告したジャマイカ使用者連盟のブレンダ・カスバート最高執行責任者(CEO)は、暴力は男女双方に及び、仕事や生産性にも影響を与え、職場に緊張と不確実性をもたらすとして、政労使協力してこの問題に取り組む必要性を説き、啓発活動や職場における暴力が引き起こす可能性のあるリスクの測定、予防政策整備の重要性を強調しました。

 ILO理事会で世界危機への対応策など討議英語原文
    2013年3月5日(火)発表ILO/13/18

 来る3月6〜28日にジュネーブのILO本部で開かれる第317回ILO理事会では、雇用・社会政策が世界危機からの協調回復をもたらす方法などに関する話し合いが行われます。他に、労働者の基本的な権利や社会的保護関連事項、技術協力手法、部門別活動、2015年以降の世界的な開発課題の明確な目標として生産的な完全雇用とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進する方法などといった議題の検討も予定されています。
 3月22日には欧州議会のマルティン・シュルツ議長及びジャワハルラル・ネール大学(ニューデリー市)のディーパク・ナイヤル教授(経済学)による講演も行われます。
 年3回開かれる理事会は、政府側28人、労使各側14人の計56人の正理事と、政府側28人、労使各側19人の計66人の副理事で構成され、ILOの政策事項、総会議題、総会に提出される事業計画・予算案に関する話し合いを行い、決定を下します。

2013年2月発表分

 持続可能な民間航空産業を呼びかけるILO会議英語原文
    2013年2月26日(火)発表ILO/13/17

 航空産業の労使代表、政府代表約150人が参加して、2013年2月20〜22日の日程でジュネーブのILO本部で開催された、民間航空産業に対する世界経済危機の影響に関する世界対話フォーラムは、「政府、使用者、労働者の共通の目標」として、「持続可能な民間航空産業」に向けた呼びかけを行って閉幕しました。会議の結論は、民間航空産業がこの目標を達成するには、「持続可能な労働力、持続可能な企業、バランスの取れたバリューチェーン(価値連鎖)」が求められるとしています。
 会議参加者は、ILOの関連するあらゆる基準その他の文書の効果的な実行と活用を通じて、民間航空産業で引き続きディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を促進していく必要性があることで合意に達し、この産業における社会対話を円滑化する上でILOには演じるべき重要な役割があるとする一方で、政府に対しては産業の規制機関としての役割を果たすよう求めました。
 この他に、以下のような提案も行われました。
 フォーラムの議長を務めたオランダ政府常駐代表のロデリック・ファン・スフレヘン大使は、「非常に複雑かつ革新的であり、技術に主導されたこの産業が持続可能であるためには社会対話が必要不可欠であり、その点で皆は同意した」と閉幕後に語っています。

 ILOのグリーン・ジョブ計画がハリウッドで取り上げられる英語原文
    2013年2月22日(金)発表ニュース

 2月24日に開かれる2013年のアカデミー賞授賞式に先立ち、娯楽雑誌の『バニティ・フェア』誌が1週間にわたって展開しているチャリティーイベントの一環として、2月21日にウエスト・ハリウッド市のイタリアン・レストランで開かれた「緑の一夜(Una Notte Verde)」と銘打ったカクテルパーティーで、ILOのグリーン・ジョブ計画が紹介されました。共にアカデミー賞受賞者である映画音楽作曲家のハンス・ジマーと映画監督のロン・ハワードがホスト役を務め、グリーン経済と次の世代のために持続可能な未来を確保する必要性に光が当てられたこのパーティーには、マイケル・ムーア映画監督やエイドリアン・ブロディ、アリッサ・ミラノ、ジョシュ・ハートネットなど多くのスターや映画業界関係者300人余りの出席がありました。
 マルシア・ポーレILOコミュニケーション・広報局長は、「将来の若者世代がよりグリーンな経済の提示する機会を利用できる適切な教育、技能、ノウハウを確実に得るという課題に対するここハリウッドの誓いを目の当たりにして元気づけられた」と語っています。

 社会正義は景気回復に向けた賢い解決策−ILO事務局長英語原文
    2013年2月20日(水)発表ILO/13/16

 2013年の世界社会正義の日(2月20日)に際して発表した声明で、ガイ・ライダーILO事務局長は、天秤ばかりにかかっている世界経済の回復の針を、持続可能な成長と開発の方向に傾けるには「社会の不正義に取り組むこと」を意味するとして、「賢い社会政策」の必要性を訴えました。
 事務局長は、世界全体で約7,400万人の若者を含む2億人が失業し、働いていても貧しい人は8億7,000万人に達し、児童労働や強制労働は依然としてなくならず、世界人口の半数以上に社会保障が行き届いていないといった仕事の世界の暗い状況を列挙した上で、今や不満の中心にあるこの世界を、将来のための、今とは異なる、より公正な世界秩序形成の一部とすべきことを唱えています。さらに、「完全雇用が達成されれば、この相互に依存し合う世界経済の成績はずっと好転しよう」としつつも、現状では、貿易保護や通貨切り下げ競争、賃下げや経費削減といった「近隣を窮乏化させる自己中心的な政策に走る深刻な危険」があるとして、こういった傾向は、「経済の弱体化、負債拡大、社会の不平等の深刻化」といった「誰にとっても悪化した状態」をもたらす可能性があると強調しています。事務局長は一方で、「元気づけられる徴候」として、世界で最も不平等な社会の一部が、人を中心に据えた回復に対する投資でもある賢い社会政策の実行という課題に対する取り組みに力を注いでいるとして社会的保護の床(最低限の社会的保護)や最低賃金制度の強化に向けて投資する動きがアジアや中南米の途上国で見られることを紹介し、「こういった政策は社会格差を縮小し、世界経済が再び景気後退に落ち込むのを阻む助けになろう」としています。そして、社会正義の実現と公正なグローバル化という地球規模の課題に向けて「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を全ての人へ」というILOの公約を新たにしました。

 ハリウッドからILOに向けて敷かれた緑のカーペット英語原文
    2013年2月19日(火)発表ILO/13/15

 2013年のアカデミー賞授賞式は2月24日に開かれますが、娯楽雑誌の『バニティ・フェア』誌がその前1週間にわたって展開しているチャリティーイベントの一環として、2月21日にハリウッドで開かれる「緑の一夜(Una Notte Verde)」と銘打ったカクテルパーティーで、ILOのグリーン・ジョブ計画が紹介されます。共にアカデミー賞受賞者である映画音楽作曲家のハンス・ジマーと映画監督のロン・ハワードがホスト役を務め、多くのスターや映画業界関係者が出席するこのパーティーでは、グリーン・イノベーション(緑の刷新)を通じて若者が自らの技能を育み、新たな雇用を創出するのを支援するILOの活動例として、ケニアと中国で実施されているグリーン起業家精神プロジェクトに光が当てられます。
 多くの国で活動を展開しているILOのグリーン・ジョブ計画は、低炭素グリーン経済への移行を支援する調査研究、手引き、実用的な手段を政府、企業、労働者に提供しています。ケニアのプロジェクトは、ILOの若者起業家精神ファシリティーを通じて農村部で若い女性が太陽電池式ランプの普及促進、販売、整備を行う事業を興すことを支援しています。中国ではグリーン・ビジネス選択肢訓練制度を通じて何千人もの若者に経営スキルと将来性のある事業アイデアの開発に向けた訓練が提供され、受講者によるLED電球の消費電力を下げるスイッチの開発などといった成果が生まれています。
 環境に優しいグリーン・ジョブはエネルギーや原材料の消費を減らし、温室効果ガスの排出量を制限し、廃棄物や公害の発生を最小限に抑え、生態系を保護・回復します。グリーン・ジョブは環境面で持続可能でもある経済発展・社会開発を達成する上で決定的に重要であるとILOでは考えています。

 リオ+20の「行動の呼びかけ」に応える新たなグリーン経済パートナーシップ誕生英語原文
    2013年2月19日(火)発表ILO/13/14

 昨年6月にリオデジャネイロで開かれた国連持続可能な開発会議(リオ+20)の成果文書「私たちの求める未来」は、グリーン経済を持続可能な開発と貧困撲滅の手段として認め、この文脈で、誰も取り残さない包摂的なグリーン経済への移行を加速化させることに関心のある諸国に対する支援を国連諸機関に呼びかけています。これに応えるものとして、2013年2月19日に、ILO、国連環境計画(UNEP)、国連工業開発機関(UNIDO)、国連訓練調査研究所(UNITAR)の4国連機関は、新たな技能及び雇用の創出、クリーン技術の促進、環境に対するリスクと貧困の削減を目指す、各国のグリーン経済戦略構築を支援する新たなパートナーシップを立ち上げました。
 向こう7年間で計30カ国の支援を予定するこの「グリーン経済行動パートナーシップ(PAGE)」は、諸国が自国の経済構造を、ますます増大する21世紀の課題と需要に応えるよう変化させることを可能にする一連の包括的なグリーン経済関連サービスを提供します。リオ+20の成果文書の提案に応え、「共通の理解としての持続可能な開発に向けた移行のためにグリーン経済政策を適用することを求める諸国による同政策の実行」を奨励します。具体的には、クリーン技術、資源効率的な基盤構造、十分に機能する生態系、グリーン・スキルを備えた労働力、良い統治(ガバナンス)などの新たな資産世代の創出に向けて投資や政策を移行させることによって持続可能な開発が可能な条件の構築を狙います。
 これまでにも4機関それぞれでグリーン事業を共同実施したことはありますが、4者が力を結集して各国レベルで支援、専門知識、資金・資源の調整を図るのは今回が初めてです。最初の2年間は七つのパイロット国(未定)で活動が行われ、徐々に支援対象を広げることが予定されています。
 ILOは世界の労働力の少なくとも半数がグリーン経済への移行によって何らかの影響を受けると見ています。PAGEは包摂的なグリーン経済計画を進める諸国が国内レベルでそこに正しい政策と機会を埋め込むことによって、移行がより多くのより良い仕事の形成を確実にし、社会の全ての人々に利益がもたらされることを目指しています、とガイ・ライダーILO事務局長は語っています。

 雇用と社会権に向けた約束を強めるスイス英語原文112日付英語原文2
    2013年2月11日(月)発表ILO/13/13

 スイスの首都ベルンを訪れたガイ・ライダーILO事務局長は2013年2月11日にヨハン・シュナイダー=アマン経済・教育・研究大臣と会合し、雇用政策に関するILO第122号条約の批准書の寄託を受けると共に技術協力におけるILOとスイスの協力を強化する新しい協定に署名しました。スイスはこの協力協定を通じて、企業の労働基準遵守を支援することによって労働条件や企業競争力の向上を目指しているILOと国際金融公社(IFC)の共同事業であるベターワーク(より良い仕事)計画に対し、2013〜16年に1,240万スイスフラン(約12億6,000万円)を新たに拠出することになります。
 完全雇用、生産的な雇用、自由な職業選択の推進を目指す経済・社会政策の実行を促進する第122号条約の批准は、「雇用に注力するというスイスの公約を示すものであり、スイスはILO及びその加盟国とその肯定的な雇用政策、訓練、労働市場における経験を共有することを計画している」と大臣は語っています。2009年のベターワーク計画創設当初からこの計画の重要な援助・協力国であり、大型拠出国であるだけでなく、計画の管理にも参加しているスイスは「経済と労働を統合した手法を用いて、より多くの社会正義に向けた闘いにおいて我々と肩を並べてくれている」と事務局長は歓迎しています。大臣は、この計画に対する継続的な支援の理由として、例えば、2009〜12年にベトナムでは関係企業における雇用が2.65倍に増え、生産が1.5倍になった事実を示し、計画が貧困軽減及び持続可能な経済開発の増進に効果的であることが計画実施国で立証された事実を挙げています。
 シュナイダー=アマン大臣とライダー事務局長の会談では他に、世界及び欧州の雇用情勢、多国間システムにおけるILOの役割、ILOが直面している課題、ILOにおいてスイスが優先している事項、スイスの労働組合からILOに提起された申し立てのフォローアップ、国際都市ジュネーブにおけるILOの重要性などといった話題が取り上げられました。事務局長は国会議員の方々とも会合を持ちました。

 強制労働の抑制に向けてより厳しい措置が必要、とILO英語原文
    2013年2月8日(金)発表ILO/13/12

 来る2月11〜15日に、ILOはジュネーブの本部で、強制労働に関する政労使三者構成の専門家会議を開催します。会議の討議資料は、2012年のILOの推計では世界全体で被害者数2,100万人に及ぶとされる強制労働の撲滅に向けたより厳しい措置の必要性を強調しています。
 2012年のILOの推計によれば、被害者の26%を18歳未満の児童が占め、最も懸念される産業部門としては家事労働、農業、建設業、製造業、娯楽業が挙げられ、移民労働者と先住民が特に弱い立場にあるとされます。債務の悪循環にはまった煉瓦工場の労働者、人身売買の被害者となり物乞いを強制されている子どもたち、労働条件についてだまされた家事労働者など、被害者の多くが一般の人々の目から隠され、漁船や建設現場、商業的農業、工場などで働いています。自らが負ったまたは継承した債務を返済するために家族共々労働を強制される債務奴隷制は幾つかの国で依然として広く見られます。奴隷制の名残が残っている国では生まれた時から奴隷状態が継承されて無償で主人に仕えることが求められます。少女を含む女性が大半を占める家事労働者はしばしば、賃金不払い、自由剥奪、肉体的及び性的虐待などといった、使用者による虐待的な行為の被害者に陥ります。討議資料は、労働者の流動性が高まっている結果、性的搾取や労働搾取のための人身取引が今後増大する危険性を指摘しています。国家による体系的な強制労働は全世界的に減少し、ほとんどの国で実質的に消滅しており、強制労働全体の9割が個人や民間企業によって行われ、強制労働を利用・促進する人々は多額の不法利潤を得ています。
 近年、潜在的な加害者を抑止し、法の執行による対応を強化し、強制労働の需要に対処し、強制労働の被害者となる可能性がある人々の脆弱性を低減することの重要性に対する認識が高まってきています。しかし、ほとんどの国が強制労働を犯罪とする法を制定しているものの、処罰は必ずしも抑止力を持つほどに強くなく、時には罰金や非常に短い拘禁刑判決に留まっています。国外に出稼ぎに出る労働者を対象とした啓発プログラムなど、特定の集団の脆弱性の低減に向けた措置は数多く講じられており、奴隷のような状態で労働者を搾取することを思いとどまらせるような法的その他の措置を講じた国もあるものの、ほとんどの国が強制労働によってもたらされた商品やサービスに対する需要に取り組む包括的な措置を欠いています。被害者の把握は依然として最大の課題で、被害者の発見や虐待的な状態が強制労働と化すことを予防する上で重要な役割を演じることができる労働監督を十分に支援できていない国もあります。
 来週開かれる専門家会議では、とりわけ補償を含む被害者の保護と予防、労働搾取のための人身取引の観点から、強制労働関連のILOの既存の条約(第29号条約及び第105号条約)を補足するさらなる基準設定の必要性が評価されます。

 ILO事務局長、開発課題について国連事務総長と会談英語原文
    2013年2月7日(木)発表ILO/13/11

 2012年10月の就任後初めて、ニューヨークの国連本部を公式訪問したガイ・ライダーILO事務局長は2月4日に潘基文国連事務総長及び上級職員と会談し、2015年以降の開発枠組みにおける「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を全ての人へ」というILOのディーセント・ワーク課題の役割や若者の雇用問題について話し合いました。ほとんどのミレニアム開発目標(MDGs)の達成目標年である2015年が近づく中、国連をはじめとして世界中で2015年以降の開発課題を巡る話し合いが行われています。ライダー事務局長は、昨年11月にILOの理事会が、人間らしく働きがいのある仕事の創出と社会的保護の床(最低限の社会的保護)を持続可能な開発を巡る議論の中核に据えるよう求める決定を行ったことを報告しました。
 昨年6月の第101回ILO総会で行動を求める呼びかけが採択されている若者の雇用危機に関しては、ライダー事務局長は、潘事務総長が今年1月に青少年特使を任命したことを歓迎し、事務局長の言葉によれば、我々の時代の最大の課題である「若者の失業」問題に取り組むため、特使と緊密に協力して活動を展開することを約しました。潘事務総長は2012年1月25日に国連総会に対して示した自らの5カ年行動計画「私たちが望む未来」の中で、雇用、起業家精神、政治への包摂、市民権、権利保護の分野で若者を支援することを今後数年間の重要優先事項の一つに位置づけています。
 ライダー事務局長は、国連との緊密な結び付きのさらなる強化や包摂的かつ公平で持続可能な開発、ディーセント・ワーク、社会的保護の床の提供の促進において引き続き広く国連諸機関と緊密に協力していく意思を示しました。

 ILO/UNDP新刊−アラブの社会正義に向けた「経済成長の再考」英語原文
    2013年2月5日(火)発表ILO/13/10

 ILOと国連開発計画(UNDP)は2013年2月5日に2011年の「アラブの春」に至った過去20年間のアラブ地域の労働市場の動向と構造を分析した共同報告書を発表しました。1990年代、2000年代に取った政策によって、アラブ諸国は債務とインフレの問題に取り組み、経済成長に拍車をかけ、雇用を創出することができましたが、成長は他の地域より遅れ、新たに創出された仕事は低生産性部門に集中し、政府は経済政策が社会に与える影響にほとんど注意を払っていませんでした。低い投資率、緩い規制環境、幅広く見られる縁故びいきや汚職によって民間部門の国際競争力も最低レベルのままでした。過去20年間のアラブ諸国の一人当たり所得の伸びは世界でも最低レベルで政府の説明責任や民主的な参加のレベルも非常に低く抑えられ、2000〜10年のアラブ地域の生産性成長は、世界平均が1.8%であったのに対して、北アフリカ1.5%、中東1.2%に留まり、中南米に次ぐ低さでした。2010年にアラブ諸国の人々は20年前より仕事が見つけやすくなっていましたが、労働者の教育水準が高まるのに反し、創出される仕事は低技能・低賃金職に限られ、ほとんどの国で労働者には労働組合などを通じて意見を表明する機会が与えられていませんでした。若者はワスタ(いわゆるコネ)の必要がない仕事に就きたいと望んでいました。アラブの動乱はこういった20年にわたる経済自由化の拙劣な管理、歪んだ開発政策、社会的保護や社会対話の分野を中心とした社会正義の欠如を露呈することになったと『Rethinking economic growth: Towards productive and inclusive Arab societies(経済成長を考え直す:生産的で包摂的なアラブ社会に向けて・英語)』と題する新刊書は記しています。
 報告書は次の10年の経済成長を左右するものは「良い統治(ガバナンス)」であるとし、より高い投資率を招き、構造改革・制度改革を可能にするにはこの改善が必要と説いています。雇用と経済のマイナス成長予測に加え、地域が直面している課題には、社会不安、商品・エネルギー価格の急騰、官民両部門の労働者に対する景気後退の影響、投資家にとっての不確実性の増大、政府支出に対する要求の増大などが挙げられ、新たな開発モデルの必要性を切実なものとしています。
 ILOのナダ・アル=ナシフ・アラブ総局長は「アラブに必要なのは社会正義を基礎とした包摂的な開発モデル」と説き、そのために必要なものとして、生産性と賃金を高めることのできるマクロレベルの政策整合、労使が効果的に意思決定に参加できるための労使関係の改革、雇用と生計手段の安全保障を提供する拡大社会的保護制度を挙げています。注目を要する具体的な政策分野としては、人の移動の管理、雇用政策及び積極的労働市場計画、労働市場のニーズに合った質の高い教育と訓練の機会の拡大、労働市場データの収集及び情報管理システムの改善などが挙げられます。
 ILOとUNDPは、報告書の見出した事項を取り上げる一連の円卓会議を予定しています。この第一弾は2月8日にベイルートで開かれます。

2013年1月発表分

 必要なのはより多くの、だが同時により良い仕事−中南米訪問中のILO事務局長が語る英語原文
    2013年1月30日(水)発表ILO/13/9

 ガイ・ライダーILO事務局長は現在、昨年10月1日の就任後初となる中南米訪問としてアルゼンチンとペルーを訪れています。1月28〜29日のアルゼンチン訪問中には、クリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領やカルロス・トマダ労働・雇用・社会保障大臣、四大労組指導者、主な使用者らと会談を行いました。
 28日に首都ブエノスアイレスで行われた大統領との会見後、ライダー事務局長は、中南米は遍在するインフォーマル・セクターに存在する仕事の質を向上させつつ、より多くの雇用の創出に注力すべきことを強調するコメントを発表しました。
 中南米諸国は危機に対して注目すべき耐久力を示し、失業率は低下していますが、農業外就業者の47%がインフォーマル・セクターで働いていると見られます。アルゼンチンでもこの割合は35%と推計されます。インフォーマル経済は多くの途上国で雇用の主要な受け皿となり、数百万の人々が極度の貧困から脱することを可能にしています。しかし、インフォーマル・セクターにおける仕事はしばしば賃金の支払いが悪く、仕事の保障も社会給付もありません。ライダー事務局長は、「インフォーマルな仕事を労働法や社会保障の適用下に移行するフォーマル化は私たちの時代の課題であり、その責任は政労使が分担している」と語っています。さらに、「雇用創出に焦点を当てた政策を維持すること」が必要として、大統領との会談で雇用創出を主要20カ国・地域(G20)の検討議題の上位に位置させる必要性について話し合ったことを明らかにしました。また、誰も置き去りにしない社会的包摂と仕事に向けたアルゼンチンの公約を賞賛し、中南米の経済成長は鈍化したかもしれないが、「危機の影響を受けている他の地域より雰囲気はずっと肯定的」との感想を述べました。
 ライダー事務局長はアルゼンチンに続き、1月30日〜2月1日の日程でペルーを訪れます。

 仕事の危機は去ってなどいない、と警告するILO事務局長英語原文
    2013年1月25日(金)発表ILO/13/8

 2013年1月23〜27日の日程でスイスのダボスで開かれている世界経済フォーラムの年次総会の一環として、25日にカタールのニューステレビ局アルジャジーラが司会役を務めて開かれた「経済不振とその危難」に関するパネル討議に、マレーシアのナジブ・ラザク首相やドイツのソフトウエア会社であるSAP社のジム・ハゲマン・スナベ最高経営責任者(CEO)などと共に参加したガイ・ライダーILO事務局長は、仕事と成長の難題について質問され、「仕事がなくては経済は成長せず、経済が成長しなくては仕事は創出されない」と語り、3、4年前にこの単純な理論に人々が耳を傾けていたら、今のような過度の雇用危機の一部を回避できたかもしれないとして、失業の危機に緊急に取り組む必要性を強調しました。さらに、26%の記録的な失業率が今週発表されたスペインの状況に触れ、好転が見られないとしました。そして、金融危機の激しさは収まりつつあるように見えるものの雇用市場から発せられる信号は全く違うとし、失業者は2012年に世界全体で400万人増え、2013年も500万人増えると見られるといったように、地平線が見られないことを指摘しました。事務局長は先にスカイ・ニュース・テレビのインタビューに答え、危機が去ったとあまりにも早く考えない方がいいと警告しています。
 ライダー事務局長は、技術変化によって新たな技能集合が求められるようになることを指摘した上で、企業も人々の訓練に一役買うべきと主張し、この場合に機能する政策として、正規教育と就労体験を実際に組み合わせるような、古くからある見習い研修の考え方を挙げました。パネリストらは技能ミスマッチへの対処を支援するために民間部門が教育に投資する必要性に関し、合意に達しました。事務局長はまた、スペイン人が欧州の他の国や中南米に職を求め、ポルトガル人がアンゴラで就職するといったように、危機は労働力の流動性の点で相当の変化をもたらしたことを指摘して、求職者の移動を円滑化するために国際的な取り決めが必要なことを訴えました。

 失業者数は世界的に再び上昇、ただし地域間格差大/途上国における中流勤労層の増大は成長を刺激する可能性−ILO新刊1月22日発表英語原文123日発表英語原文22月4日発表英語原文3報告書概要日本語訳
    2013年1月22(火)&23日(水)発表ILO/13/7

 ILOがこのたび発表した年次報告書『Global employment trends(世界の雇用情勢・英語)』2013年版によれば、世界の失業者数は過去2年減少を続けた後、2012年に再び上昇に転じ、420万人増えて1億9,700万人を超え(失業率5.9%)、今年もさらなる増加が見込まれるとされています。この増加分の4分の1が先進国で発生し、残りは東アジア、南アジア、サハラ以南アフリカを中心とした途上国に対する波及効果で生じています。ガイ・ライダーILO事務局長は、「不確実な経済見通しとこれに対する不十分な対抗策が総需要を弱め、投資と採用を控えさせ、結果、多くの国で労働市場の低迷が長期化し、かつては失業率が低く、労働市場にも力があった国でさえ、一部で雇用創出力が低下し、失業期間の長期化が見られる」として、創出されている新しい仕事の多くが求職者の持っていない技能を必要としていることも指摘した上で、若者に特に影響が大きいこのようなミスマッチに対処するため、技能及び再訓練活動を支援する努力の増強を政府に求めています。
 働く貧困層の数は危機前よりペースは落ちたものの減少を続けており、1日1人当たり1.25ドル未満で暮らす極度の貧困層は2001年より2億8,100万人減って約3億9,700万人に、1.25ドル以上2ドル未満の貧困層は3,500万人減の4億7,200万人となっています。しかし、ILOが今回初めて推計した途上国の所得別就業者数で見ると、1日2〜4ドルで暮らす貧困層に近い人々が過去10年間で1億4,200万人増えて計6億6,100万人に達しています。この多くが社会保険の適用外で、経済危機によって再び貧困に陥る危険があります。一方、東アジアを中心に4ドル超で暮らす中流階級の労働者は途上国で全体の42%に達し、11億人に迫る勢いです。1日1人当たり4〜13ドルで暮らす労働者は2001年からの10年間で倍増し、13ドル以上の層も1億8,600万人余り増えています。2017年までに途上国ではさらに3億9,000万人が中流階級に加わるとILOでは予測しています。このような中流勤労階級の増大は世界経済に新たな刺激を提供する可能性がありますが、今のところその購買力は先進国の低成長を補うには至っていません。報告書の著者の一人であるILOのスティーブン・カプソス専門官は、「途上国の中流階級の成長に拍車をかけるには、生産性水準を高め、良質の仕事を拡充するさらなる取り組みが必要」と語っています。
 「二度目の仕事の落ち込みからの回復」を副題に掲げる報告書の中期的な見通しでは、世界経済の回復予測は失業率をただちに低下させるには弱く、今後5年間で求職者数は2億1,000万人を超えると見られます。若者(15〜24歳)の状況(失業率12.6%)は特に厳しく、世界全体で推計約7,400万人が失業中です。1年以上の長期失業者が求職者全体に占める割合は先進国・欧州連合(EU)諸国で約33.6%、日本でも39.4%となっていますが、若者の失業期間の長期化も特に懸念され、先進国では若者失業者の約35%が半年以上の長期失業者であり、求職意欲を失って労働市場から離れる人も多くなっています。失業期間の長期化や職業人生の初期における労働市場からの撤退は専門的な職業スキルや社会的なスキルを失わせ、若者が実務体験を得る道を閉ざし、長期的な展望を損ないます。そこで一部欧州諸国では、対象を定めた若者集団に雇用や訓練を保証する制度を適用し、成功を収めています。若者の失業問題は今後、地域的な違いが拡大する可能性が高く、先進国では今後5年間で状況が幾分改善すると見られる一方で、東欧、東・東南アジア、中東の新興国では失業者が増えることが予想されます。
 ライダー事務局長は、「危機の世界的な性格は、各国が国内政策だけで個別に影響を解決できないことを意味しており、各国の解決策が対立し合っていては、投資と雇用創出を抑えている高い不確実性は低下しない」として、調整を図った危機解決策を見つけるべきことを強調しています。報告書はまた、1)とりわけ民間投資が用心深い間は公共投資を通じて総需要を支援する調整を図った行動、2)訓練及び技能再取得プログラムを通じて、増大しつつある労働市場のミスマッチ問題に取り組むこと、3)無職の若者に対する重点行動、の相互に関連した三つの問題に取り組む必要性も指摘しています。

 世界の雇用動向と仕事の危機に関するILO年次報告最新版間もなく発表英語原文
    2013年1月17日(木)発表ILO/13/6

 ILOは世界の雇用情勢をまとめた報告書を毎年刊行していますが、来る1月22日(火)にその最新版を発表します。ILO雇用総局の雇用情勢班が作成している年次報告書『Global employment trends(世界の雇用情勢・英語)』2013年版は、世界金融危機の勃発から5年が経った世界の労働市場の現況と将来予測を、世界全体及び地域別で見た、雇用、失業、働く貧困層(ワーキング・プア)、脆弱な就業者(個人事業主と無給の家族労働者)などの労働市場指標で示しています。政策策定に携わる人々が今年直面するであろう新たな課題に照らし合わせた政策検討事項も複数提示しています。
 報告書電子版は1月21日GMT23時1分(日本時間翌22日午前8時1分)の報道解禁時間以降にILOのホームページ(http://www.ilo.org・英語)上で公表されます。また、1月21日午前10時にガイ・ライダーILO事務局長による本書の記者発表がジュネーブの国連欧州本部で行われます。
 報告書の過去の版(英語)はILOのホームページでご覧になれます。同書2012年版は『世界雇用情勢2012:雇用危機の深刻化を予防』の邦題で株式会社一灯舎から刊行されています。

 イエメンの児童労働者数は130万人超英語原文
    2013年1月15日(火)発表ILO/13/5

 イエメンで初めて実施された全国的な児童労働調査の結果、5〜17歳の子ども770万人の17%に当たる130万人以上が児童労働に従事していることが判明しました。ILOの児童労働撤廃国際計画(IPEC)、社会開発基金、国連児童基金(ユニセフ)の技術的・財政的支援を受けて2010年にイエメンの中央統計局が実施した世帯標本調査によれば、このうち46万9,000人が5〜11歳であることが示されています。
 児童労働関連の二つの主要条約(就業の最低年齢に関する第138号条約最悪の形態の児童労働に関する第182号条約)を批准しているイエメンは14歳を就業の最低年齢に定め、18歳未満の児童の危険有害業務における就業を禁止しています。今回の調査は14歳未満の就業者と、14〜17歳の就業者で労働時間が週30時間超であるか、危険有害業務に指定されている特定の経済活動・職業に従事している者を児童労働者に分類しています。指定外業種で働く30万人以上を加えると、17歳未満の就業者は合計161万4,000人になります。この大半(56.1%)が農林漁業に従事するか、個人世帯向けのサービス(29.0%)を提供しており、無給の家族従業者が全体の58.2%を占めています。平均労働時間は週23時間で、現金収入の平均月額は大人の45〜58%になっています。報告書は、働く子どもは働いていない子どもより学校を欠席・中退する可能性が高いとし、幅広く見られる貧困、人口圧力、不安定な政治、農業以外の就業機会が限られていることを、イエメンの子どもの暮らしに影響を与えている要素として指摘しています。
 ナダ・アル=ナシフILOアラブ総局長は、この調査結果について、「イエメンの子どもが警戒すべきほどまでに権利を奪われている現状を示すもの」と評し、イエメンの発展を左右するものとして、子どもたちの保護を優先事項とすることを国際社会に向けて訴えています。

 チュニジア政労使による社会契約締結を歓迎−ILO事務局長英語原文
    2013年1月14日(月)発表ILO/13/4

 チュニジアでは2013年1月14日に、「アラブの春」と呼ばれるようになった中東における一連の運動に至った出来事の発生から2周年を迎えましたが、首都チュニスではこれに合わせ、政労使三者による歴史的な社会契約の締結が行われました。調印式に招待されて参列したガイ・ライダーILO事務局長は、この出来事を「ガバナンス(統治)に関する大きな歴史的イニシアチブ」と呼び、地域の他の移行諸国のみならず、域外にも「範となろう」と評価しました。
 チュニジアのモハメッド・モンセフ・マルズーキ大統領は、2012年の第101回ILO総会で行った特別演説の中で、「社会正義がなくては民主主義は生き残れない」ことを強調し、チュニジアにとってこれは、「経済危機と革命によってもたらされた歴史的な機会を捉え、より公正な社会を達成すること」を意味すると語り、平和と安定性の防衛に向けた社会的パートナー(労使)の公約を言い換えた社会契約の締結を予定していることを発表していました。ライダー事務局長は、革命の中心的な目標であった「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)と民主主義」は、まだ目標であり続けているとし、今回の契約調印によって、政府と社会的パートナーは、社会正義、結社の自由、社会対話、ディーセント・ワークという、「ILOの基本的な目標に対する公約を示すことになった」と歓迎しました。その上で、契約の調印は目的ではなく出発点であるとして、今後の行程の成功は結社の自由とあらゆる市民的自由を保障する法の統治を含む社会対話継続の鍵を握る条件の強化にかかっていることを強調しました。今回の合意は労働法制や労使関係、雇用政策、職業訓練・教育、社会的保護、均衡の取れた地域開発などの分野における改善に向けた道を開くことが期待されます。
 2012年10月の就任後初の中東地域訪問となるチュニス滞在中に、ライダー事務局長は政府、組合、使用者の代表との会談に加え、国連国別チームとも会合を持つことが予定されています。

 若者の雇用危機に取り組むには緊縮緩和と投資増大が必要、とILO事務局長英語原文
    2013年1月11日(金)発表ILO/13/3

 欧州における若者の労働市場への統合という課題を検討し、若者の雇用情勢改善に向けた策を提示することを目的としてILOとハンガリー国家経済省が共催して2013年1月11日にブダペストで開かれた若年者雇用三者構成セミナーに出席したガイ・ライダーILO事務局長は、若者(15〜24歳)の失業者は世界全体で7,500万人近くに上り、欧州だけでもより年長の人々の2倍以上の率に当たる22%550万人の若者が失業しており、うち3割近くが1年以上の長期失業者であること、欧州ではその上、15〜29歳の若者の15%以上に当たる約1,400万人が就業も就学も訓練受講もしていないニート状態にあり、その数はわずか2年でほぼ倍増したことを指摘した上で、このような若者の雇用危機が社会組織そのものに長く傷跡を残す恐れがある今日、若者の雇用を促進する措置は緊縮政策の対象から外し、若者の雇用回復を促進する措置への投資を増大する必要性を強く訴えました。
 そして、2012年のILO総会で採択された若者の雇用に関する行動の呼びかけがこの前代未聞の若者の雇用危機に対応するよう政策策定者に非常に強く呼びかけると共に世界各地で試行された様々な政策措置を示していることを挙げ、見習い研修制度その他の就労研修プログラム、政府による企業の若者採用を奨励する措置、起業家精神や社会的企業、協同組合の促進、公共雇用計画など、解決策となり得る措置を紹介しました。ただし、ばらばらの介入策では十分に問題に取り組めないとして、若者をニートから抜け出させるために様々な労働市場政策を動員する若者将来保証制度のような対象を定めた包括的な措置の有効性を説いています。ライダー事務局長はまた、欧州委員会が昨年12月に提案した包括的な若者失業対策を歓迎し、ILOは欧州レベルで展開される様々な若者の雇用促進策の実行と有効性評価を支援し、全面的に協力していくことを発表しました。さらに、欧州の労使団体間で行われている若年者雇用枠組み行動計画の交渉に対するILOの支持も表明し、若者の雇用という課題に対する戦いには政労使三者の共同行動を通じて初めて勝利できようと結びました。

 家事労働者は世界全体で5,200万人超/労働時間は最も長く、予見不能−ILO新刊英語原文1英語原文2
    2013年1月9日(水)発表ILO/13/2

 ILOがこのたび発表した職業としての家事労働者の規模と法的保護に関する初の調査結果によれば、数千万人が統計に捕捉されていない可能性はありますが、2010年に世界全体で少なくとも5,260万人が家事労働者として雇われていたことが明らかになりました。大半を女性が占め(83%)、多くが自国外に仕事を求めています。世界全体では女性の賃金労働者の7.5%に相当しますが、アジア太平洋、中南米・カリブなどではもっと高い割合を占めています。地域別では、アジア太平洋地域が最も多く(2,140万人)、これに中南米・カリブ(1,960万人)、アフリカ(520万人)、先進国(360万人)、中東(210万人)が続きます。1990年代半ばから2010年の間に、家事労働者は世界全体で1,900万人以上増えています。調査には15歳未満の児童は含まれていませんが、2008年のILOの推計によれば、児童家事労働者は740万人と推計されています。
 『Domestic workers across the world: Global and regional statistics and the extent of legal protection(世界の家事労働者:世界全体及び地域別統計と法的保護の程度・英語)』と題する報告書は、このように大きなセクターであるにもかかわらず、家事労働者の多くが劣悪な労働条件を経験し、法による保護は不十分であると記しています。一般労働法の適用は全体の1割に及ぶに過ぎず、4分の1以上(29.9%)が全く除外されています。他の労働者と同等の最低賃金を受ける資格がある家事労働者は全体の半数強に留まり、3分の1以上の女性家事労働者に母性保護が適用されていません。
 法的保護の欠如は家事労働者の脆弱性を強め、救済を求めることを困難にするため、家事労働者の賃金はしばしば他の類似の職種よりも低く、労働時間は長くなっています。家事労働者の平均労働時間は、例えば、マレーシアで週66時間近く、カタール、ナミビア、タンザニア、サウジアラビアなどで60〜65時間と、あらゆる職種の中で最も長く、最も予見不能なものの一つに数えられています。ほとんどの国で一般の労働者については週40〜48時間の法定労働時間の上限が定められているものの、家事労働者の場合には、半分以上について通常の週労働時間の上限が存在せず、約45%について週休や年次有給休暇の資格が法定されていません。報告書は、長時間労働は労働者の健康、労働や生活の質に悪影響を与えると記しています。長時間労働が特に一般的なのは移民が多くを占める住み込みの家事労働者で、実質的に必要な時にはいつでも働かされる状態に置かれる上、しばしば、実際の労働時間にかかわらず固定週給・月給制が用いられています。また、法的状態が不安定で現地の言葉や法に関する知識も不足している移民家事労働者は、様々な暴力、賃金不払い、債務奴隷労働、虐待的な生活・労働条件に特にさらされやすくなっています。
 報告書の記者発表で、サンドラ・ポラスキーILO副事務局長は、このような権利の欠如に加え、雇い主にきわめて従属していることや保護されていない孤立状態で働くという労働の性格は、家事労働を「虐待と搾取に弱い」ものとする可能性があるとして、「賃金と労働条件の点で、家事労働者が同じ国の他の労働者から大きく乖離していることは、この脆弱ながら一生懸命働く人々の勤労生活の改善に向けて政府、使用者、労働者が全国的な行動を起こす必要があることを強調する」と語っています。
 ILOは2011年の総会で家事労働者が人並みの労働条件と賃金を享受できることを目指した条約(第189号)勧告(第201号)を採択しています。第189号条約は既にウルグアイ、フィリピン、モーリシャスによって批准され、今年9月に発効します。条約は、通常の週労働時間や休息期間、年次休暇における家事労働者と労働者全般との間の均等待遇や現物払いの制限などを定めています。既に幾つかの国が一般の労働者に適用される最低限の保護を家事労働者に広げる方向に向かっていますが、報告書は特にアジアと中東ではまだ多くの努力が必要と記しています。

 ILO新刊−家事労働世界報告間もなく発表英語原文
    2013年1月4日(金)発表ILO/13/1

 ILOは来る1月9日(水)に家事労働者の世界的な状況をまとめた新刊書を発表します。世界各地で家事労働者の社会正義とディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の確保に向けて取り組んでいる政府及び労使を支援することを目指して作成された、『Domestic workers across the world(世界の家事労働者・英語)』と題する新刊書は、職業としての家事労働者の規模、労働条件、与えられている法的保護の世界的な概観を初めて試みる報告書となっています。世界全体及び地域別の家事労働者の統計も含まれています。
 報告書電子版は1月9日GMT10時(日本時間同日午後7時)の報道解禁時間以降にILOのホームページ(http://www.ilo.org・英語)上で公表されます。また、報道解禁時間に合わせ、ジュネーブの国連欧州本部でサンドラ・ポラスキーILO副事務局長による本書の記者発表が行われます。
 ILOは2011年の総会で、家事労働者のディーセント・ワークの確保に向けた条約(第189号)勧告(第201号)を採択しています。第189号条約は今年9月5日に発効します。

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最終更新日:2013年7月2日 作成者:EU 責任者:KK