2007年新聞発表概要(全文は英語)
2007年12月発表分
ILO職員の死にILO事務局長が哀悼の意を表明(英語原文)
2007年12月13日(木)発表ILO/07/64
2007年12月12日にアルジェリアの首都アルジェで発生した国連建物への襲撃事件の結果、少なくとも9名の国連職員が犠牲になりましたが、ILOでも爆発により職員のアブデラヒム・ハニシェ氏が亡くなり、他にも2名の重傷者が出ています。
フアン・ソマビアILO事務局長は深い悲しみと共にこの訃報を発表し、以下のように語りました。「私たちは皆、この悲劇的な展開に衝撃を受け、悲しみに沈んでいます。ハニシェ氏のご令室とご家族には心よりお悔やみ申し上げます。また、この悲劇の影響を被ったアルジェで働く国連の全ての仲間たちとそのご家族にも思いを致し、ここにお祈り申し上げます。」
事務局長は連帯の表明として、そして非常に深く傷ついた状況にあるアルジェのILO職員に実務的な支援を提供するために、同地に正式に職員を派遣しました。
ILO−途上国における保険商品の幅を広げ、イノベーションを発動させる手段を開始:貧困層への保険サービスの改善を目指した助成金、技術支援へゲイツ財団より3,400万ドルの寄付(英語原文)
2007年12月6日(木)発表ILO/07/63
ILOは12月6日、米国のビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団から3,400万ドルの寄付を受け、途上国低所得者層の保険事情改善に向けた事業を発進することを発表しました。同財団の「貧困者向け金融サービス・イニシアチブ」の一環として今回助成される「小規模保険イノベーション手段」は、低所得者層向け小規模保険を提供している組織に対する助成金と技術支援の提供、成功モデルの復元を助ける技術専門家の訓練を主な内容とする5年間の革新的なイニシアチブです。具体的には、1)低収入・農村世帯向けの有益な保険商品の開発支援、2)多数の低所得者層に保険を効果的に提供する制度モデル・パートナーシップ誕生の奨励、3)低所得消費者が保険の有用性を認識し、高価値商品を見つけ出すのを助ける市場教育の促進に向けて助成金と技術支援が提供されます。小規模保険産業の将来的な投資の方向性を導くものとして、拡充された利用機会と利用の影響を数量化する調査研究も予定されています。
2006年現在、246のリスク引受団体が世界で最も貧しい国々100カ国に住む7,800万人を超える人々に小規模保険を提供していると推計されます。小規模保険はインフォーマル経済で働く労働者や農村貧困層といった除外されている人々に社会的保護を広げる戦略として用いることができ、より包摂的な保険市場の達成に貢献しています。助成金の効果として、2012年までに少なくとも2,500万人の貧しい人々に保険適用の道が新たに開かれることが期待されます。
この新しい手段は、ILO事務局内で小規模金融の中心的な窓口である社会的金融計画が主導します。小規模保険を含む小規模金融はILOの活動の重要な側面であり、同計画は労働者の脆弱性を減らし、人間らしい働きがいのあるディーセントな仕事の創出に向けた金融政策と適切な金融サービスを推進しています。
「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団は資金がほとんどなく、大きなニーズを抱える数百万の人々のためになる取り組みにおいてILOと手を組むことを誇りに思っています。ILO、その助成を受ける人々、小規模保険イノベーション手段を通じ、途上国の人々に対する保険の影響と価値についてもっと多くを学ぶよう努めたいと思います」と同財団の貧困者向け金融サービス・イニシアチブ部長は語っています。
国際障害者デー(12月3日):アカデミー女優を含む活動家たち、
障害者のより多くの権利、ディーセント・ワークを呼びかける(英語原文)
2007年12月3日(月)発表ILO/07/62
12月3日の国際障害者デーに際してILO本部で開かれた公開パネル討議に寄せたメッセージの中で、アカデミー女優のマーリー・マトリンはディーセント・ワーク(人間らしい働きがいのある仕事)、機会均等、平等待遇を呼びかけ、「ディーセント・ワークは障害者を含むみんなのもの」として、「誰もが人並みのディーセントな暮らしを送る公正なチャンスを得られるのはただディーセント・ワークを通してのみ」と強調しました。
スイスの国会議員も務めたスイス障害者統合連盟(Integration Handicap)のマルク・スーター会長は、「包摂的な雇用は障害を有する従業員のみならず、障害のない同僚にとっても、多様な社会の中で平等の場所を占める障害者の権利に関する理解を育む上で特に有用」として、「障害者の仲間を技能と才能を備えた人間として認め、平等のパートナーとして認識することはその社会的能力を強化する」と唱えました。2005年に製作されたガーナの障害を有するアスリートの映画「エマニュエルの贈りもの」の主人公であるエマニュエル・オフォス・エボワは、身体障害者に対する偏見の克服に向けた苦労を語り、「僕らには天分、世界に証明する何かがある。もっと多くを達成するために団結する必要があり、この種の会議や活動はその助けになる」と評価しました。
「障害者のためのディーセント・ワーク」をテーマとする今年の国際障害者デーは、障害者のためのディーセント・ワークの原則を推進し、仕事の世界で障害者に影響する問題に関するより大きな理解を育むことに向けたILOの新たな努力を画するものとなります。世界全体で約6億5,000万人の障害を有する人々のうち4億7,000万人近くが就労可能な年齢にあり、しばしば高失業、不完全就業、職場内差別に直面しています。
フアン・ソマビアILO事務局長はその声明の中で、昨年12月に採択された国連の障害者の権利条約はILOの複数の基準と共に「障害者に力を与え、社会を豊かにし、経済を強化する」ことによって、障害者を支援する活動の重要な枠組みを提供すると語りました。
国際障害者デー(12月3日):仕事の世界における障害者を支援する新たな努力を呼びかけるILO(英語原文)
2007年12月3日(月)発表ILO/07/61
今年の国際障害者デー(12月3日)は「障害者のためのディーセント・ワーク(人間らしい働きがいのある仕事)」をテーマとしています。ILOはこの日に合わせて発表した新しい報告書「The right to decent work of persons with disabilities(ディーセント・ワークへの障害者の権利・英文・ILO駐日事務所で日本語版を準備中)」の中で、障害者の生計手段の改善においては近年多大な進歩が見られるものの、障害者が働き、その属する社会の経済成長に寄与することをいまだに阻む障壁を打破する新たな努力が必要と訴え、2015年までに貧困を半減するというミレニアム開発目標の達成に向けて進む上でも持続的で多大な努力が決定的に重要と唱えています。
障害を有する人々は世界全体で、世界人口の10人に1人に相当する約6億5,000万人に達し、そのうち4億7,000万人近くが就労可能な年齢にあるとILOでは推計しています。報告書は、◇低水準・低賃金職への集中、◇より高い水準において十分に代表されていないこと、◇職場域、交通、住宅へのアクセスの問題、◇仕事を開始することに伴う給付喪失の危険、◇同僚、使用者、一般の人々の偏見といった障害者が仕事の世界で直面する多くの課題に光を当て、障害者は障害のない人々よりも失業の可能性が高く、収入が低いか、しばしば不完全就業状態を経験する傾向があり、仕事を見つけ、社会に完全に統合されることに成功している人も多いものの、集団としてみると障害者の貧困、失業水準はしばしば不均等に高いと記しています。
障害者全体の8割が途上国に暮らすと推計されますが、このような国では障害者はしばしば、最も弱く、疎外された貧困層の15〜20%を占め、4億2,600万人余りが貧困線を下回る暮らしを送っていると推計されるとして、報告書は「障害と貧困の強い結びつき」を示しています。職場からの社会的排除が年間1.37兆〜1.94兆ドルの国内総生産(GDP)の年間損失といった費用を世界経済にもたらすことを示す世界銀行の推計もあり、したがって、障害者にディーセント・ワークを提供することは、社会的にも経済的にも意味があることになります。
一方で報告書は、「法の採択が執行を保障するわけではない」としつつも、近年見られる反差別国内法制の急成長や、就業上の機会均等・平等待遇を促進する上での国際機関、そしてとりわけILOの絶えざる努力を評価しています。政府に加え、使用者と労働組合も職場で障害を管理する上で重要な役割を演じていることも報告書は記しています。
昨年12月に採択された国連の新しい障害者の権利条約は、職業リハビリテーション及び雇用(障害者)条約(第159号)などILOの関連する基準に沿った諸原則を含み、障害に基づく差別の撤廃と、包摂の積極的な促進に新たな弾みをつけ、国内・国際的な取り組みの強化に資することが期待されます。現在、日本を含む80カ国に批准されている第159号条約は、職業リハビリテーションと障害者の雇用に関する国内政策の実施に関し、代表的な労使団体のみならず、障害者の団体とも協議すべきことを求めていますが、この主たる利害関係者との協議のテーマは、新しい国連の条約でも強調されています。
ディーセント・ワークは、障害者を含むあらゆる人々のためにILOが掲げる第一の目標です。今年の国際障害者デーは、障害者の間でディーセント・ワークの原則を推進するILOの新たな取り組みを記念するものとなり、これをきっかけに、仕事の世界において障害者に影響を与えている問題に関するさらなる理解が醸成され、障害者の働く権利に対する新たな支援が動員されることをILOでは期待しています。
2007年11月発表分
国際障害者デー(12月3日):今年のテーマは「障害者のためのディーセント・ワーク」(英語原文)
2007年11月26日(月)発表ILO/07/60
12月3日は国連の定める国際障害者デーです。今年は障害者のためのディーセント・ワーク(人間らしい働きがいのある仕事)がテーマとなっており、ILOではこれを記念して様々な行事を企画しています。これらのイベントは、障害者にディーセント・ワークを確保し、その能力及び才能を活用する方法に改めて注目を集めることを目指すと共に、障害者が労働市場に完全に参加することを阻む障壁を明らかにし、それを克服するために政府、労使団体、その他の行為者が行っている努力に光を当てることを意図しています。
ジュネーブのILO本部では「障害者のためのディーセント・ワーク」をテーマに、自らが障害者でもあるガーナの社会運動家、障害者の擁護活動を率先している元スイス国会議員などが参加する公開パネル討議が行われます。1986年のデビュー作「愛は静けさの中に」でアカデミー主演女優賞を受賞し、「耳の聞こえない子がわたります」など3冊の児童書を発表してもいる米国の女優、マーリー・マトリンのビデオメッセージも上映されます。
この他に、働く障害者の写真展や新刊書「The right to decent work of persons with disabilities(ディーセント・ワークへの障害者の権利・英文)」の発表会も行われます。報告書は障害を有する労働者の採用と継続就労を奨励するために国際的・国内的に展開されているイニシアチブや法、政策を検討し、世界各国の労働市場における障害者に開かれた雇用機会の概要を記し、いくつかの国における労働力率や失業率といったデータを示しています。また、仕事の世界で障害者が直面している課題に光を当て、国際法・国内法の効果的な実行に向けた行動課題を提案しています。報告書は日本語を含む10カ国語への翻訳が進められています。
ジュネーブ以外でも、例えばヨルダンでは障害者のディーセント・ワークの権利を推進する上での報道機関の役割に関する地域ワークショップが、ザンビアでは写真展等が開かれるなど、様々な行事が予定されています。アジア太平洋地域では国際障害者デーに合わせて実施された公募写真コンテストの授賞式が行われます。
第300回ILO理事会閉幕:ミャンマー、ベラルーシ、その他の国々の労働事情、気候変動とディーセント・ワークなどについて検討(英語原文)
2007年11月16日(金)発表ILO/07/59
11月1〜15日の日程でジュネーブで開かれた第300回ILO理事会の主な審議事項は以下の通りです。
理事会は在ヤンゴンのILO連絡官の報告書をもとにミャンマーの強制労働の状況を検討し、2007年2月にILOとミャンマー政府の間で結ばれた、強制労働の被害者が報復を恐れることなしに救済を求める仕組みに関する合意内容を見直し、9月までの進展に反し、最近政府が平和的な抗議活動を弾圧していることに深刻な懸念を表明し、結社の自由や表現の自由といった基本的な権利を行使している人々の拘禁や強制労働の申し立てに手を貸した人々の拘束などに深い遺憾の念を示し、対話の継続や、あらゆる形態の強制労働が国内全域で禁止され、違反者は正式な処罰の対象となることを最高レベルから明確な声明として発表すること、合意文書の全国的な適用を確保する適切なネットワークの整備などを求めました。2008年3月の次期理事会には合意文書の将来とミャンマーにおけるILOの現行の役割についての勧告を含み、合意文書の運営を全面的に検証する文書が提出されます。
2004年の審査委員会や2007年6月のILO派遣団の勧告の実施状況を中心に検討されたベラルーシにおける労働組合の権利について、理事会は労働組合立法の問題に関し全関係当事者間で合意を達成することに向けた政府の意向を歓迎し、審査委員会の勧告の完全な実施に際しては、全員一致と対話を基礎とした解決策を目指すべきことを強調しました。
フランス労働総同盟「労働者の力」(CGT−FO)がILO憲章第24条に基づき行ったフランスによる結社の自由及び団結権保護条約(第87号)、団結権及び団体交渉権条約(第98号)、差別待遇(雇用及び職業)条約(第111号)、雇用終了条約(第158号)違反の申し立てに関しては、社会的パートナーと協議の上、第158号条約を実行する法規による保護対象からの除外が条約の規定に完全に沿ったものとなるよう確保するために必要な措置を講じること、同条約に従い、有効な理由なく新規雇用契約を終了できないことを確保することによって条約第4条に実効性を持たせることを政府に求める審査委員会の報告書が採択されました。
理事会の結社の自由委員会では、労働組合役員や組合員の多数の殺害と組合活動家に対する暴力の加害者が処罰されない状況が問題となっているコロンビア、労働組合活動家に対して繰り返される嫌がらせやILOの研修参加者の解雇など非常に深刻な申し立てがなされているジブチ、公共部門教員の団結権侵害や教員団体の活動に対する干渉が問題となっており、直接接触ミッションの派遣が提案されたエチオピア、港湾労働者労働組合役員の殺害や反組合的な解雇などが見られるグアテマラ、ストライキ後に組合会長などを警察が繰り返し尋問するといった反組合的な差別行為や嫌がらせが問題となっているインドネシアの案件に特別の注意が喚起されました。また、ベネズエラの案件については、労使団体が恐怖、威嚇、暴力から自由な環境で自らの権利を行使できるよう確保する政府の義務に再度注意が促されました。
理事会のグローバル化の社会的側面作業部会では、国連環境計画(UNEP)のアッヘム・シュタイナー事務局長などの出席を得て、気候変動とディーセント・ワーク(人間らしい働きがいのある仕事)に関するパネル討議が開催され、気候変動が雇用に与える影響が検討された結果、ILOは、環境に優しいグリーン・ジョブに向けた社会的に正しい移行を推進するよう奨励されました。作業部会にはまた、2006年3月に発行された貿易と雇用に関する世界貿易機関(WTO)とILOの共同研究書をフォローアップするものとして、グローバル化と貿易とインフォーマルな雇用のつながりに関する新しい共同研究の準備状況が報告されました。
社会・雇用政策委員会では、すべての人へのディーセント・ワークの確保を目指すディーセント・ワーク課題と団体交渉との関係、世界雇用戦略の実施状況などが検討されました。
多国籍企業小委員会には、世界各地の企業の社会的責任に係わる活動やILO加盟国政労使の国連グローバル・コンパクト現地ネットワークへの参加に関する最新状況が報告されました。
技術協力委員会では、ILOのディーセント・ワーク国別計画の実施状況、そしてILOと国連開発計画(UNDP)とのパートナーシップや8カ国で試行されている国連諸機関が一体となって支援を提供する試みを含む国連改革に係わる技術協力の優先事項に関する話し合いが行われました。
理事会は今年の総会で再審議が求められた「グローバル化の中で加盟国の目的達成努力を支援するILOの能力強化」の議題を来年の第97回ILO総会の議題に含むことを決定しました。また、2008/09年のILOの男女平等行動計画や労働の世界における男女平等に対するILOの支援に関する検討も行われました。
ILO新刊発表:労働組合のグローバル化への対応(英語原文)
2007年11月13日(火)発表ILO/07/58
ILOは本日、より公正なグローバル化の達成を目指した政策の実行における労働組合の役割とそのような政策に対する労働組合の影響について論じた論文集「Trade union responses to globalization: A review by the Global Union Research Network(労働組合のグローバル化への対応:グローバル・ユニオン・リサーチ・ネットワークによる検証・3,000円・英文・英語概要)」をジュネーブのILO本部で発表しました。この新刊書には、グローバル化の複雑な圧力に労働組合運動がいかに適応し、国際労働基準の採択促進に向けた国際協力や連携強化などといった戦略をいかに開発しているかを検討した事例研究も含まれています。
ILOの「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」採択30周年記念フォーラム(英語原文)
2007年11月9日(金)発表ILO/07/57
ILOは11月15〜16日の日程でジュネーブのILO本部において、「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」の採択30周年を記念するハイレベル・フォーラムを開催します。企業、労働界、市民社会のリーダー120人以上の出席が予定されているこの「マルチフォーラム07」では、社会的に責任ある行動を通じてより良い成功の達成を図っている世界で最も革新的な企業の戦略、労働者及び労働者団体が成功に結びつく責任ある事業慣行に寄与する機会、そのようなイニシアチブをILOが支援する方法などといった多岐にわたって、社会的に責任ある事業慣行と、生産性、企業成長、社会進歩のつながりに関する討議が行われる予定です。
開会式にはフアン・ソマビアILO事務局長のほか、アングロゴールド・アシャンティ社の前CEO(最高経営責任者)や南アフリカ労働組合会議(COSATU)執行委員の出席も予定されています。16日には労働原則を実行する効果的な活動をテーマに、ネスレのペーテル・ブラベック=レトマス取締役会長兼CEOやパナソニック・ヨーロッパ株式会社のダニー・カルマン人事担当取締役、国際金属労連(IMF)のマルチェロ・マレンタッキ書記長、ILO理事会多国籍企業小委員会役員などの参加を得てパネル討議が行われます。
1960、70年代における多国籍企業の役割と影響力の増大に応えて1977年に採択された画期的な「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」は、企業がその事業を展開している国または影響力を有する国で取るべき労働・社会政策に関する望ましい姿勢について扱っており、政労使三者の合意によって採択された唯一の国際文書です。宣言は自主的な性格の原則を記し、労使の社会対話を奨励しています。良い慣行を示唆し、社会政策採択時に、多国籍企業、政府、労使団体を導くものとなることを意図しています。雇用、訓練、労働条件、労使関係の分野における指針を企業に提示するこの宣言は、ますますグローバル化する経済の中で、労働者の社会的状況に関する人々の意識が高まり、国際的に認められた労働基準・原則を事業活動のあらゆるレベルに統合することの利点を多国籍企業がますます認識し始めた今日、一層時宜にかなった文書となってきています。
フォーラムの成果については、ILO本部多国籍企業計画の日本人職員荒井由希子までお問い合わせになることができます(E-mail: arai@ilo.orgまたはTEL: +41-22-799-7179・日本語可)
ILOとALO:アラブ地域における労働・雇用問題に協力して取り組み(英語原文)
2007年11月8日(木)発表ILO/07/56
アラブ労働機構(ALO)とILOは11月8日に、それぞれの加盟国における共通関心事項に係わる協力を強化し、円滑化することを目的とした覚書に調印し、アラブ地域における労働・雇用面の優先事項に取り組み、パートナーシップの再活性化を通じて社会対話を推進することへと向けた両機関の公約を新たにしました。両機関は既に1976年に協力協定を締結していますが、新たなパートナーシップにより、両機関が共に重点としている社会正義と「すべての人へのディーセント・ワーク(人間らしい働きがいのある仕事)」の促進を基礎とし、地域レベル、各国レベル、組織レベルで協力が深められていくことになります。地域レベルでは雇用促進、国際労働基準と就業上の基本的な原則及び権利、ジェンダー、社会的保護、社会対話に係わる政策と手続きの開発と促進、各国レベルでは、ディーセント・ワーク国別計画の推進と実行に向けた共同イニシアチブへの支援が予定されています。組織レベルの活動には、人材開発、訓練、好事例に関する調査研究・情報交換などが挙げられています。共同努力の第一歩として、今月にはシリアの首都ダマスカスでアラブ諸国における労働安全衛生に関する政労使三者構成の地域間会議が開かれます。覚書は2年間の作業計画を通じて実行されます。
アーマド・モハンマド・ルクマンALO事務局長はグローバル化とアジア・アフリカ・欧州3大陸の交差する地点に当たるという地理的状況の結果として、アラブ世界の働き方に抜本的な変化が生じていることに触れ、ILOとの協力は、労働行政を強化し、建設的な社会対話の枠内で労使の役割を高めつつ、高学歴の若者や女性を中心とした失業者の削減や自国民及び外国人労働者に対する社会的保護の拡大において非常に重要なものとなろうと期待を表明しました。フアン・ソマビアILO事務局長も、この合意はアラブ世界全体を通じ、男女を問わずきわめて重要な優先事項とされているものに対するILOの関与を強調するとして、すべての人へのディーセント・ワークを推進する次世代構想に協力して取り組むことを誓いました。
公正なグローバル化に向けたディーセント・ワーク・フォーラム閉幕:ILO事務局長、「ディーセント・ワーク運動」を呼びかけ(英語原文)
2007年11月2日(金)発表ILO/07/55
2007年10月31日〜11月2日の日程で、ポルトガル政府の招請を受けてリスボンにおいて開かれた「公正なグローバル化に向けたディーセント・ワークILOフォーラム」はILOを構成する政府、労働者、使用者の代表から、議会、学識者、市民社会の代表まで、300人以上の出席を得て、3日間の日程を閉じました。
フォーラムで達成された合意点として、フアン・ソマビアILO事務局長は、次のような点を挙げました。
- 公正なグローバル化に向けたディーセント・ワーク(人間らしい働きがいのある仕事)は常識的アプローチとして受け入れられていること
- ディーセント・ワークは政策整合の中心にあること
- 公正なグローバル化の出発点は、まず自国における公正な国内政策であること
- 社会的投資を市場機会と統合する堅固な社会的フロアは、開発のカギとなる要素であること
- 持続可能な企業は、製品のみならず、工程においても競争力のある企業となるべきこと
- パートナーシップを構築するものとして対話は力であること
ソマビア事務局長は、「我々は皆同じ船に乗っているという、相互依存の世界の基本的な現実を決して忘れないことが、ディーセント・ワークと公正なグローバル化の目的地に到達できる唯一の道」と唱え、不平等拡大の課題を克服し、公正なグローバル化の達成に向け、「ディーセント・ワーク運動」の開始を呼びかけました。
ディーセント・ワークと公正なグローバル化を話し合うILOフォーラム開幕(英語原文)
2007年11月1日(木)発表ILO/07/54
グローバル化に係わる幅広い問題を話し合い、ディーセント・ワーク(人間らしい働きがいのある仕事)と公正なグローバル化を推進する新たな動きを生み出す議論の幅広い社会的な足場の構築を目指して開かれるILOのフォーラムが10月31日にリスボンで開幕しました。
開会式で挨拶したフォーラム招聘国であるポルトガルのジョゼ・ソクラテス首相は、ディーセント・ワークについて、「経済開発と社会の結合を地球的な規模で保障する最も強力で、最も持続可能で、そして最も良い手段」と高く評価しました。
フアン・ソマビアILO事務局長はその演説の中で、「今日の人々は美辞麗句ではなく、結果を求めている」として、非常に実際的な動きの発現を指摘しました。そして、最近のサブプライム損失が引き起こした金融危機の問題を挙げ、この問題はディーセント・ワークを中心に据えた公正なグローバル化の構築に向けて共に行動することの緊急性を強調する役割を果たしたとしました。開発問題に関しては、人々が上昇する機会のはしごを支えるしっかりとした基盤として、安全網を越えた地球規模の社会的フロアの形成を呼びかけた上で、ミレニアム開発目標は開発の到達点ではなく、出発点であるとして、持続可能な開発課題のあらゆる側面を公正なグローバル化の形成に結びつける必要性を強調しました。
開会式では他に、東南アジア諸国連合(ASEAN)のスリン・ピツワン次期事務局長やILO理事会の政労使役員、ポルトガルのジョゼ・アントニオ・ビエイラ・ダ・シウバ労働・社会連帯大臣の基調講演も行われました。
第300回ILO理事会開幕:労働者の権利、気候変動とディーセント・ワーク、貿易と雇用など幅広い議題(英語原文)
2007年11月1日(木)発表ILO/07/53
11月1〜15日の日程でジュネーブで開かれる第300回ILO理事会では在ヤンゴンのILO連絡官の報告書を基礎としたミャンマーの強制労働問題、ベラルーシの結社の自由問題、国連改革、ミレニアム開発目標など幅広い議題が審議されます。
理事会のグローバル化の社会的側面作業部会では、気候変動とディーセント・ワーク(人間らしい働きがいのある仕事)のつながりや環境に優しいグリーン・ジョブに向けた社会的に正当な移行を推進するILOの提案、グローバル化と貿易とインフォーマルな雇用のつながりに関する新しい共同研究の準備を含む、2006年3月に発行された世界貿易機関(WTO)とILOの共同研究のフォローアップ活動などの事項が審議されます。
社会・雇用政策委員会では、すべての人へのディーセント・ワークの確保を目指すディーセント・ワーク課題と団体交渉との関係、世界雇用戦略の実施状況、貧困削減戦略文書におけるディーセント・ワーク課題の取扱い、世界社会信託基金パイロット・プロジェクトの実施状況などが取り上げられます。
多国籍企業小委員会では、世界各地の企業の社会的責任に係わる活動やILO加盟国政労使のグローバル・コンパクト現地ネットワークへの参加状況が報告されます。
技術協力委員会では、ILOのディーセント・ワーク国別計画の実施状況や労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言に係わる技術協力優先事項に関する話し合いが行われます。
部門別・技術会議委員会では、船舶解体・リサイクリングに関する国際文書の起草状況などが取り上げられます。
法務・国際労働基準委員会では国際労働基準の経済的原動力に関する事業など多様な案件が検討されます。
2007年10月発表分
ILOフォーラム:経済情勢がグローバル化に与える影響、ディーセント・ワークについて討議(英語原文)
2007年10月30日(火)発表ILO/07/52
ILOは10月31日から3日間の日程で、グローバル化に係わる幅広い問題を話し合い、経済、社会、環境における持続可能性と包摂のカギとしてディーセント・ワーク(人間らしい、働きがいのある仕事)を促進する方法を探求する「公正なグローバル化に向けたディーセント・ワークILOフォーラム」をリスボン(ポルトガル)で開催します。フォーラムには、政府、労働者、使用者の代表から議会、学識者、市民社会のリーダーまで、300人以上の出席が見込まれます。欧州委員会の後援を受け、ポルトガル政府の招請によって開かれる本フォーラムの開会式には、ポルトガルのジョゼ・ソクラテス首相や労働・社会連帯大臣、東南アジア諸国連合(ASEAN)のスリン・ピツワン次期事務局長を始め、フアン・ソマビアILO事務局長、ILO理事会役員の出席も予定されています。フォーラム2日目には欧州連合(EU)のウラジミール・シュピドラ雇用・社会問題・機会均等担当委員の講演も予定されています。
フォーラムでは、次のようなテーマが取り上げられます。
- 訓練と技能:就業能力、経済成長、貧困緩和のカギであるより良いより多くの教育訓練に向けた国際活動が検討されます。
- インフォーマル経済:ILOの推計によれば、アジア途上国では農業外就業人口の約65%、中南米では51%、北アフリカでは48%、サハラ以南アフリカでは72%が就業するインフォーマル経済について、企業の質の向上を図り、この分野でディーセント・ワークを推進する革新的な解決策や実際的な対応策に関する話し合いが行われます。
- 人の移動:2005年に自国外で働く人の数は世界全体で9,400万人余りに達し、うち約3分の1が途上国間の移動とILOでは推計していますが、この国際労働力移動のリスクを減らし、利益を確保する方法について議論が行われます。
- 社会保障:世界全体で働く男女の8割が社会保障を全くまたはほとんど受給していないものの、世界全体の貧困層に基礎的な社会保障給付セットを提供するのに必要な費用は国内総生産(GDP)世界合計の2%にも満たないとILOでは推計していますが、社会保障の利用機会を拡大する戦略の検討も行われます。
- 若者の雇用:今日の若者の生産潜在力が完全に発揮されるには、少なくとも4億人分の生産的なディーセント・ワークの機会が必要と2006年にILOでは推計していますが、若い男女のディーセント・ワーク機会の推進に向けた努力の検証が行われます。
フォーラムでは、国際社会の政策整合の問題も取り上げられます。この点で、多国間機関がそれぞれの政策、事業計画、活動の雇用及びディーセント・ワーク面での成果を評価し、改善する助けになるよう最近開発され、国連機関運営責任者調整委員会(CEB)でも合意された「雇用とディーセント・ワークの主流化に向けたツールキット」が実践的な手引きを提供することが期待されます。
今回のフォーラムは、2004年に出されたグローバル化の社会的側面世界委員会の報告書に含まれ、その後、各国のみならず、地域・国際的な強い支持も得た「公正で公平なグローバル化の必要性に関する国際対話」の提案に応えて開かれるものです。公正で公平なグローバル化とすべての人へのディーセント・ワークの必要性は2005年に開かれた国連世界サミットや2006、2007年の国連経済社会理事会などで国際的に承認されてきています。
公正なグローバル化に向けたディーセント・ワークILOフォーラム(リスボン・2007年10月31日〜11月2日)開催(英語原文)
2007年10月26日(金)発表ILO/07/51
ILOは10月31日〜11月2日の日程で、グローバル化に係わる幅広い問題を話し合い、経済、社会、環境における持続可能性と包摂のカギとしてディーセント・ワーク(人間らしい、働きがいのある仕事)を促進する方法を探求する「公正なグローバル化に向けたディーセント・ワークILOフォーラム」をリスボン(ポルトガル)で開催します。フォーラムには、政府、労働者、使用者の代表から議会、国際機関、学識者、市民社会のリーダーまで、約300人の出席が見込まれます。会議は欧州委員会の後援を受け、ポルトガル政府の招請によって開かれます。
会議の詳細、各種背景資料はフォーラム・ウェブサイト(http://www.ilo.org/lisbonforum・英語)でご覧になれます。
ILO2008年ディーセント・ワーク研究賞−応募受付開始(英語原文)
2007年10月24日(水)発表ILO/07/50
ILOの付属研究機関である国際労働問題研究所が2007年より実施している「ILOディーセント・ワーク研究賞」2008年度の応募受付が開始されました。これはILOがすべての人への確保を目指している「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の知識の増進に対する際立った貢献を顕彰するものです。
第1回ディーセント・ワーク研究賞は、ノーベル平和賞の受賞者でもあるネルソン・マンデラ前南アフリカ大統領と社会保障の専門家で、高名な学者であるカルメロ・メサ=ラゴ教授に授与されました。
賞の選考対象となるのは、雇用創出、働く上での権利、社会的保護、社会対話といったディーセント・ワークの諸面に関する知識に生涯貢献してきた個人または具体的な著作を有する研究者で、団体には応募資格がありません。候補者はそれぞれ別々の地域に所在する、政府、使用者団体、労働者団体といったILOを構成する三者の代表一つ以上の推薦と労働・社会政策分野の主導的な学識者1名の推薦を受ける必要があります。受賞者の選考は国際的に高名な労働・社会政策分野の5名の専門家からなる審査員団によって行われます。ILOの公式言語である英語、フランス語、スペイン語以外の図書の場合は、このいずれかの言語に翻訳して応募する必要があります。
2008年研究賞の授賞式は、2008年6月のILO総会で行われます。受賞者には1万ドルの賞金に加え、総会会場で講演を行う機会と国際労働問題研究所における2008〜09年名誉研究員の地位が与えられます。
2008年賞の応募締切は2008年1月15日です。
2007年9月発表分
ますますグローバル化する飲食品産業における雇用について論じるILO会議(英語原文)
2007年9月21日(金)発表ILO/07/49
ジュネーブのILO本部では、政府及び労使団体の上級代表70人以上が参加し、世界全体で2,200万人が従事する飲食品加工産業にグローバル化するフード・チェーンが与える影響について話し合う三者構成会議が2007年9月24〜27日の日程で開催されます。
討議資料として作成された報告書「The impact of global food chains on employment in the food and drink sector(グローバル・フード・チェーンが飲食品部門の雇用に与える影響・英文)」は、2005年に世界全体で国内総生産(GDP)の4%を占めた飲食品加工産業は世界的にますます統合が進み、田畑から工場、工場からスーパーへと至る食品サプライ・チェーン(供給網)の様々な段階で連携が密に進んでいると記しています。この産業の雇用状況は様々で、フランス(2005年に2003年比7.3%増)、スペイン(同6.7%増)、カナダ(同1.9%増)など、近年雇用が増加した国がある一方で、先進国では大半で雇用が低下または低迷し、途上国でも同じような動きが見られるとしています。
イオン(株)を含む食品小売業者の世界上位10社で世界の食品販売市場の24%を占有しているといったように、飲食品加工の様々な段階で集中が激しくなってきていますが、報告書はこのような動きが企業や個々の労働者にもたらす恩恵と不利な点も検討しています。そして、世界的供給網のトップに位置する企業が圧倒的に有利な立場にあり、この結果、生産者にはこれらの企業から価格引き下げの強い圧力が課され、生産者は自らの収益性を維持するために柔軟な労働力の活用を増やしているとしています。このような傾向にもかかわらず、食品製造業の労使パートナーには世界中で好ましい団体交渉の記録が見られ、全国的な労働協約、自主規範・規格、公正貿易イニシアティブに加え、グローバル・フード・チェーンの中心で中核的労働基準の公約を確保するためにいくつかの企業と国際的な労働組合連合との間で締結されている国際枠組み協約など、報告書は好事例を多数紹介しています。
会議ではグローバル・フード・チェーンの成長と発展、雇用及び作業組織に対するその影響、産業の将来にとって最も重要な技能要件、グローバル・フード・チェーンにおける社会対話の役割、飲食品産業の労使がディーセント・ワークと公正なグローバル化の課題に対処するのをILOが支援できる方法といった事項が話し合われる予定です。
ILOとIFC−グローバル・サプライ・チェーンにおけるより良い仕事の促進に向け、ビジネス・フォー・ソーシャル・レスポンシビリティー(BSR)と提携(英語原文)
2007年9月17日(月)発表ILO/07/48
ILOは現在、世界銀行グループの中で民間部門への支援を担当している国際金融公社(IFC)と共同で、ベター・ワーク(より良い仕事)計画を立ち上げ、グローバル・サプライ・チェーン(国際供給網)における労働慣行と競争力の向上に向けた活動を展開しています。この度、国際的なバイヤーのこの計画への関与を円滑化する目的で、その協議フォーラムを設け、非営利企業団体のビジネス・フォー・ソーシャル・レスポンシビリティー(BSR)をその幹事役に選びました。
企業の社会的責任の分野で主導的な非営利団体であり、世界各地の250以上の大手国際バイヤーを会員に擁するBSRは、ベター・ワーク計画の構想のもとになったカンボジアの「より良い工場プロジェクト」にも協力しています。BSRは国際的なバイヤーと協力し、戦略国際会議を招集し、協議過程の調整を図り、学んだ教訓や情報を流通させ、ベター・ワーク計画へのバイヤーの積極的な参加を奨励することになります。ILOとIFCはBSRと協力し、モニタリングの重複を減らし、取り組みの重点がグローバル・サプライ・チェーンにおける問題点の是正に置かれるよう努力することになります。
ベター・ワーク計画では国際的に通用するツールの開発を進めており、ヨルダン、レソト、ベトナムの3カ国で地元労使団体の全面的な協力を得てパイロット・プロジェクトを展開しています。このプロジェクトでは、企業の工場レベルにおける労働基準の遵守状況評価を訓練及び能力構築と組み合わせた手法が用いられており、既に80万人を超える労働者が直接受益しています。カンボジアの「より良い工場プロジェクト」では、同国衣料産業全体に及ぶ労働条件の目に見える向上、数万の新規雇用の創出、米国及び欧州連合に対する持続的な輸出増といった効果がもたらされています。
ILO新刊書:米国が労働生産性で世界をリード、追いつきつつある地域もあるが、ほとんどははるか後方◇世界の貧困の主な原因は労働者の生産潜在力の浪費(英語原文)
2007年9月2日(日)発表ILO/07/47
ILOは本日、隔年発行の定期刊行物「Key indicators of the labour market(主要労働市場指標、略称KILM・英文)」の最新版を発表しました。20の指標を用いて労働市場を幅広く分析するKILM第5版は、過去10年間に生産性水準は世界全体で上昇を続け、東アジアなど一部途上国では高い伸びを示し始めたものの、依然として先進国とそれ以外の地域とでは大きな格差が存在すると記しています。
2006年にも米国が就業者当たりの労働生産性で世界をリードしていますが、労働者当たりの生産量が10年前の2倍になった東アジアでも生産性の急上昇が見られます。米国の生産性の伸びは他の多くの先進国を上回り、その差はますます開いています。2006年の就業者当たりの付加価値額は米国が6万3,885ドルで、続くアイルランド(同5万5,986ドル)、ルクセンブルク(同5万5,641ドル)、ベルギー(同5万5,235ドル)、フランス(同5万4,609ドル)を大きく引き離しています。しかし、米国は年間労働時間でも他のほとんどの先進国を上回る結果、労働時間当たりの付加価値額で見ると、ノルウェー(37.99ドル)がトップとなり、これに米国(35.63ドル)、フランス(35.08ドル)が続いています。生産性水準の伸びが最も高く、10年で2倍になった東アジアでは、労働者当たりの生産量が1996年には先進国の8分の1だったのが、2006年には5分の1になっています。東南アジア・太平洋では先進国の7分の1、南アジアは8分の1になっています。中東と中南米・カリブでは、就業者当たりの付加価値額が先進国の約3分の1、中・南東欧(欧州連合非加盟国)と独立国家共同体(CIS)諸国では3.5分の1、北アフリカは4分の1になっています。先進国との格差が最大なのはサハラ以南アフリカで就業者当たりの生産性水準は先進国の12分の1になっています。
「生産性と富の大きな格差は懸念の種」とフアン・ソマビアILO事務局長は述べ、生産的で公正な所得を生み、職場における安全保障と家族に対する社会保障が供与され、人々が自分の暮らしに影響する決定に参加し、団結し、懸念を表明することを許すような働き方である「ディーセント・ワーク」の大きな欠如を減らすカギは、最貧国で最下層所得層労働者の生産性水準を引き上げることと指摘しています。今回KILMは、この「ディーセント・ワークの欠如」の状態をより良く測定できるものとなっています。失業者数(1億9,570万人)に世帯員1人当たり1日2ドル未満で暮らしている貧困労働者数(13億人余り)を加えて新たに算出された労働力不完全活用の推計値によれば、世界の生産年齢人口の3分の1に相当する15億人の潜在能力が十分に活用されていません。これらの人々の生産潜在力を引き上げることによって十分に活用されていない能力を開放させることが国際開発課題のトップに据えられるべき事項と事務局長は唱えています。
報告書はまた、サハラ以南アフリカや南アジアでは、労働者の7割以上が主としてインフォーマル経済で働き、社会保障や発言権もなく、貧困に弱い状態にあること、世界の生産年齢人口の約3分の1が労働市場にまったく参加しておらず、過去10年間ずっと、この非労働力率は女性(10人に5人)の方が男性(10人に2人)よりもかなり高く、これは女性の膨大な潜在労働力が未活用なままであることなどを示しています。
今回で第5版となるKILMは、就業の型と規模、仕事の不足や求職者の特性、教育、賃金、収入及び報酬費用、労働生産性、働く貧困者といった20の指標を用いて、生産的なディーセント・ワークの諸側面を取り上げています。
2007年8月発表分
ILO新刊書−『主要労働市場指標』新版発表予定(英語原文)
2007年8月24日(金)発表ILO/07/46
ILOは来る9月2日(日)GMT23時(日本時間翌3日(月)午前8時)に、隔年発行の定期刊行物「Key indicators of the labour market(主要労働市場指標、略称KILM・英文)」の最新版を発表します。1999年に初版が発行されたKILMは今回で第5版となります(第4版概要)。
KILMは世界及び地域の推計値並びに各国データを用いて世界の労働市場の包括的な分析を示すものです。労働市場の20の主要指標を用いて、雇用状況と雇用に係わる変数(従業上の地位、産業別就業人口、労働時間等)、仕事の不足状況と求職者の特性、教育水準、賃金及び報酬費用、労働生産性、働く貧困層などに関する世界の状況を幅広く分析しています。労働市場の情報を包括的に集め、編成し、分析することによって、適切で人間らしい働き方であるいわゆる「ディーセント・ワーク」の不足を測定し、貧困とディーセント・ワークの欠如、そして労働力が十分に活用されていない状況との関係に関する知識基盤を拡充するものとなっています。
ILOアジア太平洋雇用フォーラム、北京で開幕−持続可能な開発とディーセント・ワークの統合に向けた呼びかけを聞く(英語原文)
2007年8月13日(月)発表ILO/07/45
8月13日から3日間の日程で北京で開幕した「成長、雇用、ディーセント・ワークILOアジア雇用フォーラム」の開会式で、フアン・ソマビアILO事務局長は「(人間らしい適切な働き方である)ディーセント・ワークと持続可能な開発を統合する」新しいパラダイムの形成に向けた政策の策定を呼びかけました。未曾有の経済成長にもかかわらず、雇用成長が弱いことは長期的に見て政治的に持続可能でないとして、持続可能性を開発目的とすることを呼びかけた上で、各国がそれぞれの手段に応じて、国民の安全保障の拡充に向けた系統だった国内及び国際的な開発目的として追求される「社会的な最低線」に向けて努力する時機がやってきたとして、このためには非公式な部分に存在することが多いエネルギーと創造性を活用できる統合的な戦略が求められるとしました。また、地域経済の持続可能性は、環境に優しいグリーンな仕事の影響力と潜在力をより詳しく調べることなどといった、よりクリーンで、よりグリーンな将来への貢献を伴うだろうと述べました。
開会式では、中国の華建敏国務委員と田成平労働・社会保障大臣による歓迎の挨拶も行われました。華建敏国務委員は、雇用促進に向けて政府が取っている政策措置を列挙した上で、このフォーラムが「経済成長、雇用創出、ディーセント・ワークの確保に向けた我々共通の努力における共通の地歩を広げ、最善事例を共有し、協力を強める場」となることへの期待を表明しました。田成平労働・社会保障大臣は、過去数年間に中国は雇用を増加し、ディーセント・ワークを実現する上で目覚ましい進歩を達成したとして、「ディーセント・ワークの実現に向け、調和の取れた労働関係の育成、労働者の法律上の権利と利益の保護を優先させる」努力を強める決意を表明しました。
フォーラム初日にはまた、谷垣禎一前財務大臣、鈴木俊男国際使用者連盟(IOE)地域副会長、鈴木則之国際自由労連アジア太平洋地域組織(ICFTU−APRO)書記長なども出席して、「アジアにおけるディーセント・ワークの十年の展望:2015年までの成長と雇用」をテーマとする円卓討議も開かれました。フォーラムでは、昨年開かれたILO地域会議で採択された「アジアにおけるディーセント・ワークの十年」に内在する幅広い課題と機会を取り上げ、アジアの政策策定に携わる人々や労使のハイレベルの代表が、成長、雇用、ディーセント・ワークに関する2015年までのシナリオについて話し合う場を提供することになっています。
2015年までに予想されるアジア太平洋の労働力増は2億人超とILO−貧困を削減し、成長を支えるにはより多くの「良質」の雇用が必要(英語原文)
2007年8月10日(金)発表ILO/07/44
アジアには既に推計約18億人と膨大な労働力が存在していますが、今後2015年までにさらに2億人以上の増加が見込まれます。貧困と大規模なインフォーマル経済を削減するために必要な雇用を創出するには、生産拡大だけでは不十分で、創出される雇用の質を高め、アジアの将来的な経済成長の利益がより公平に分配されるよう確保するために「なさねばならない重大な作業がまだ多く残っている」と、8月13〜15日に北京で開かれるILOアジア雇用フォーラムの討議資料「Visions for Asia's Decent Work Decade: Sustainable growth and jobs to 2015(アジアにおけるディーセント・ワークの十年の展望:2015年までの持続可能な成長と雇用・英文)」は記しています。2015年までの10年間で、適切で人間らしい働き方であるディーセント・ワークの機会をアジアの全ての人々に確保することを目指す「アジアにおけるディーセント・ワークの十年」の開始が宣言されたアジア地域会議から1年後に開かれる今フォーラムでは、日本を含むアジア太平洋の20余りの国々から政府、労働者、使用者のハイレベルの代表が出席し、この10年間の課題や機会について幅広く話し合う予定です。
アジアは未曾有の経済成長と発展を経験しつつあり、1日1人当たり2ドル未満で暮らす「働く貧困層」の数は1996年から1億2,300万人余り減少したものの、域内労働力の61.9%に当たる10億人以上が、社会的保護がほとんどまたは全くなく、しばしば生産性が低いインフォーマル経済で働いているといったように、環境面の圧力、不安定な経済、統治における欠陥、不平等な所得配分から生じる脆弱性は、地域の将来的な発展の脅威となるとして、フアン・ソマビアILO事務局長は「このままの事業の進め方では長期的に持続可能性がないことは明白」として、長期的な視点と綿密な計画立案による課題への対処を求めています。
2015年までにサービス業従事者が地域の全就業人口の40.7%余りを占め、この産業が最大の雇用創出源となる予定です。フォーラム討議資料は、「アジアにおけるディーセント・ワークの十年」が真に成功するには、少なくとも11億人のアジアの人々が自らディーセント・ワークを実現できる機会を提供することを助ける政策や事業計画が必要と唱えています。報告書はさらに、◇2015年までに10人中1人が、国によっては4人に1人が65歳以上になると予想される労働力の高齢化、◇雇用の質の改善と若い男女の機会平等を確保する必要性、◇毎年数百万人の労働者が国外に働きに出るといった労働力移動の増大、◇2015年までに予想される農村人口の伸びがわずか1,500万人であるのに対し、都市の人口増は3億5,000万人といった農村から都市への人口移動の加速化、◇一部の国で賃金上昇率が労働生産性の伸びに歩調を合わせることができないこと、◇極度に貧しい人々とその他の労働者の間、農村と都市の労働者の間の所得格差の拡大、◇アジアの多くで長時間労働が一般化していることといった地域の課題を指摘し、柔軟性と安定性と安全保障の実効的なバランスを求めています。また、環境の荒廃、天然資源の枯渇、気候変動によって、アジア太平洋の成長と持続可能な発展が深刻な損傷を受ける可能性を警告し、環境的に持続可能な開発と雇用創出のプロセスを達成することを目指した政策手段の開発を政府、使用者、労働者に奨励するILOの「グリーン・ジョブ・イニシアチブ」にも言及しています。
2007年7月発表分
181番目のILO加盟国−マーシャル諸島共和国(英語原文)
2007年7月6日(金)発表ILO/07/42
太平洋のマーシャル諸島共和国より外務大臣名にてILO憲章義務を正式に受諾する旨の書簡が届けられたことにより、同国は2007年7月3日付で181番目のILO加盟国となりました。
マーシャル諸島は既に1991年9月17日に国連に加盟していますが、国連加盟国はILO憲章の義務の正式な受諾をILO事務局長に通知することによってILOの加盟国となることができます。
2007年6月発表分
ILO理事会新議長にスリランカ大使選出:結社の自由委員会はカンボジア、コロンビア、フィリピンに言及(英語原文)
2007年6月15日(金)発表ILO/07/41
6月15日に会合をもった第299回ILO理事会は、2007〜08年の議長として、スリランカの在ジュネーブ国連常駐代表であるダヤン・ジャヤティルレカ大使を選出しました。ジャヤティルレカ大使は、コロンボ大学の上級講師、政策アナリスト、ニュース解説者など多彩な経歴の持ち主です。使用者側副議長には、ダニエル・フネス・デ・リオハ・アルゼンチン産業連合社会政策部会長、労働者側副議長には、理事会労働者側グループのスポークスマンでもあるルロイ・トロットマン・バルバドス労働者組合書記長がそれぞれ再選されました。
理事会はまた、結社の自由に関する30件の申立てを審議した結社の自由委員会の報告書を承認しました。委員会は、労働組合指導者の殺害などが問題になっているカンボジア、コルドバ大学の組合に対する圧力行為や差別が申し立てられているコロンビア、労働組合や非公式な労働者団体の指導者、組合員などの殺害、脅迫、嫌がらせ、威嚇その他の暴力行為が問題になっているフィリピンの案件について、その深刻さと緊急性に鑑みて特に注意を喚起しました。
結社の自由委員会では、この他に長期的な案件として、2004年のメーデー大会などにおける警察の暴力的な鎮圧行動やバス会社労働組合員に対する嫌がらせ行為などが問題になっているイランについて、逮捕された組合活動家の即時釈放や労働組合が妨害なく結成され、機能できるよう確保することに向けてあらゆる措置を講じることなどを政府に求めました。古くは1996年まで遡るもう一つの長期的な案件として、結社の自由原則の実質的な尊重に関する重大な問題が残っている韓国については中間結論に達し、暴力の高まりを避け、真の対話に従事するようすべての当事者に呼びかけ、政府に対しては1998年に結社の自由に関する条約批准の意向を表明した事実に改めて注意を喚起しました。
日本については、フォローアップ段階にある案件として、(1)全労連による中央労働委員会及び地方労働委員会の委員任命における特定労働組合優遇の申立て、(2)郵産労による不当労働行為・反組合的差別待遇等に関する現行法規定が十分機能していないとの申立て、(3)JR総連による組合役員等の逮捕・勾留、組合事務所等の捜索、組合財産の押収の申立ての三つが取り上げられました。(1)については、過去の委員会勧告にもかかわらず、今回も全労連委員が任命されなかった事実に対する遺憾の意が表明され、すべての代表的な団体に公正かつ平等な待遇を与える必要性が再び強調され、継続的な情報提供が求められました。(2)については、申立人と政府の提供した情報の不一致が指摘され、さらなる情報提供が求められました。(3)については、最近の動向に関する政府と申立人からの情報に留意した上で、裁判所の決定などについてさらなる情報提供が求められました。
スリランカ大統領、
ILOのディーセント・ワーク課題に対する支持を表明:特に農村部労働者の生活改善に焦点(英語原文)
2007年6月15日(金)発表ILO/07/40
ILOの年次総会において6月15日に演説したスリランカのマヒンダ・ラージャパクサ大統領は、「人々の生活の中心にあるもの」として、ILOのディーセント・ワーク課題に対する支持を表明しました。
労働大臣や漁業大臣を歴任したラージャパクサ大統領は、「仕事は政治の中心」にあるとして、質の高い職場の重要性を訴えました。そして、労働者を満たされた人間とし、ほとんどが農村部であるその暮らす環境を快適で生産的な生活に導くものとするような政策について話し合うことを政労使三者に呼びかけました。また、政労使の三者構成主義に則った社会対話は国家の全体的な発展に肯定的かつ実体的な貢献を行うことができるとの信念を示し、国連、その他国際機関、先進国、国際金融機関に向けて、労働者を第一に考えるよう呼びかけました。
ラージャパクサ大統領政権下のスリランカでは、ディーセント・ワークに向けた国家政策が採択されています。
第96回ILO総会:
漁業に関する新基準、持続可能な開発に向けた取り組み、ディーセント・ワークを推進する方策を採択して閉幕(英語原文)
2007年6月15日(金)発表ILO/07/39
180のILO全加盟国のほとんどから政府、使用者、労働者の代表3,000人以上が出席して15日間にわたりジュネーブで開かれた第96回ILO総会は6月15日に閉幕しました。持続可能な開発を促進する上でのディーセント・ワークの役割に関する幅広い分析において、フアン・ソマビアILO事務局長は、持続可能な開発を支える新しい「グリーン・ジョブ・イニシアティブ」の検討や、貿易と雇用、労働市場の分析、世界的なディーセント・ワークの欠如に対処する新たな取り組みなど、様々な面でILOの能力を強化することを呼びかけました。そして、「今総会は、あらゆる地域におけるディーセント・ワークに対する高い需要を再確認」するものになったとして、「ディーセント・ワークは持続可能な開発の中心にあるというメッセージをもって閉幕」すると述べました。
総会の主な成果は以下の通りです。
★漁業労働
漁業に従事する人々の状況改善を目指し、2007年の漁業労働条約(第188号)と付属する同名の勧告(第199号)が新たに採択されました。新しい基準には、◇漁業労働者の海上における労働安全衛生及び医療の向上、◇傷病者が陸上で治療を受けられること、◇健康と安全にとって十分な休息、◇労働契約の保護、◇社会保障における他の労働者と同じ保護の確保に向けた規定が含まれています。第188号条約は、沿岸国8カ国を含む10カ国の批准をもって発効します。
★一般討議
持続可能な企業に関する一般討議の結果、持続可能な企業は成長、富の形成、雇用、ディーセント・ワークの主たる源であるとする結論が採択されました。結論は、こういった利益を実現するには、平和と政治的安定、良い統治と法の支配、社会対話、普遍的な人権と国際労働基準の尊重、起業家文化、健全な経済政策、公正な競争と金融利用機会、物理的・技術的インフラ、教育訓練、環境の持続可能性を含む持続可能な企業を導く環境が必要不可欠としています。企業レベルで重要な慣行としては、社会的保護、社会対話と良好な労使関係、健全な人的資源開発慣行、労働条件、生産性、賃金と利益の共有、企業の社会的責任、企業統治などの項目が挙げられました。
もう一つの一般討議議題であったILOの統治と加盟国政労使に貢献する能力の強化提案については、来年の総会で宣言その他適切な文書の形態を取る権限ある文書の採択に向けて再度話し合いを行うことが提案されました。
★国際労働基準
総会の基準適用委員会では、ILO憲章第33条に基づき取られた措置のフォローアップとして、ミャンマーにおける1930年の強制労働条約(第29号)適用に関する特別会合が今年も再び開かれました。委員会は、ミャンマーにおける強制労働の状況に深い懸念を示し、審査委員会の勧告がまだ何も実行されておらず、軍隊を中心に強制労働の利用が依然として広く見られると結論づけ、審査委員会のすべての勧告の実行を政府に求めました。強制労働の苦情申立てメカニズムが機能している点については留意されたものの、取られた行動の多くが必要な刑事処罰ではなく行政措置に限られていることも指摘されました。基準適用委員会はまた、ILO連絡官を補佐する職員の任命に政府がまだ同意していないことに懸念を示し、速やかに必要な協力と便宜を図るよう求めました。
基準適用委員会ではミャンマー以外にも日本の同一報酬条約(第100号)適用状況など計25件の個別案件の審議が行われ、特に懸念される状況としてベラルーシの結社の自由に関する案件がスペシャル・パラグラフに特記されました。ベラルーシについて委員会は、すべての労使団体が干渉を受けずに自由に機能でき、事前の認可を必要とせずに登録できることが確保されるよう速やかに行動を取ることの必要性などを指摘し、2007年11月の理事会で進展状況を点検することを提案しました。
今年の総合調査のテーマは強制労働でした。委員会は、新しい形態のものを含む強制労働問題が依然として多くの国に存在し、多数の被害者がまだ存在している現状を認めつつも、様々な国で見られる進展について満足を表明しました。
★その他
2008/09年の2年間について、総会は理事会提案通り、実質ゼロ成長となる6億4,170万ドルの事業計画・予算を採択しました。閉会式の際には、第1回ディーセント・ワーク研究賞の授賞式が行われ、南アフリカのネルソン・マンデラ前大統領と米国ピッツバーグ大学のカルメロ・メサ=ラゴ名誉教授の2人に賞が授与されました。この他に、農業における児童労働撤廃を目指した新しいパートナーシップも構築されました。
ゲストスピーカーとして、チリのミチェレ・バチェレ大統領、アフリカ連合の議長でもあるガーナのジョン・クフォー大統領、バーレーンのシェイク・サルマン・ビン・ハマド・アル・ハリーファ皇太子殿下、ジャマイカのポーシャ・シンプソン=ミラー首相、セネガルのアブドゥライ・ワッド大統領、スペインのフェリッペ・デ・ボルボン皇太子殿下、スリランカのマヒンダ・ラージャパクサ大統領の7人が演説を行いました。
議長はアルバニアのカストリオット・スルカ労働・社会問題・機会平等副大臣、副議長はブラジルのカルロス・アントニオ・ダ・ホシャ・パラニョス政府代表、スイスのミシェル・バルド使用者代表、そしてフランスのマルク・ブロンデル労働者代表が務めました。
ネルソン・マンデラ前大統領とカルメロ・メサ=ラゴ名誉教授−第1回ILOディーセント・ワーク研究賞を受賞(英語原文)
2007年6月15日(金)発表ILO/07/38
2007年のILO年次総会の場で、6月15日に、第1回ディーセント・ワーク研究賞の授賞式が行われました。1969年にILOが受賞したノーベル平和賞の基金を元にILOの国際労働問題研究所が創設したこの賞は、「すべての人へのディーセント・ワーク(適切で人間らしい仕事)」というILOの中心的な目標の政策に関連した知識の促進に対する傑出した貢献に年1回与えられるもので、南アフリカのネルソン・マンデラ前大統領と米国ピッツバーグ大学のカルメロ・メサ=ラゴ名誉教授の二人が第1回目の受賞者となりました。
ILOの中心的な関心事項に関する知識、理解、政策提言に生涯をかけて際だった貢献を行ってきたことに対して特別賞が授与されたマンデラ前大統領について、ソマビアILO事務局長は「ディーセント・ワークの価値を体現する人がいるならば、前大統領こそその人」と評しました。ビデオ録画映像を通じて挨拶したマンデラ前大統領は、南アフリカのアパルトヘイト体制下で囚人であったときから自らを支え続けてきてくれたことに対しILOに謝意を表し、ディーセント・ワークとは「生き残るためだけでなく、栄え、尊厳ある充足された生活の質を達成する権利」であることを強調しました。
社会保障と年金改革の分野を中心に、ディーセント・ワークの促進に向けた社会経済関係と政策手段の分析における偉大なる学問的功績が評価されたカルメロ・メサ=ラゴ名誉教授は、その研究を通じて、多年にわたり中南米における社会保障及び年金改革の過程に注目すべき影響を与え続けてきたとされます。総会会場で行われた受賞記念の社会政策講演会で、教授は「中南米では数百万人の労働者と農民が社会的リスクに対して十分保護されていない」と指摘し、「ILO、国際社会保障協会(ISSA)、その他の国際機関、総会に出席しているすべての諸国の共同努力を通じて」向こう10年間で社会保障の適用が大きく拡充されることへの期待を表明しました。
2007年のディーセント・ワーク研究賞の審査員は、ゲンマ・アダバ国際労働組合総連合(ITUC)国連代表を始めとする、労働・社会政策分野の名高い国際的な専門家5人が務めました。
世界で数百万人が従事する漁業に向けた包括的な新しい労働基準をILOで採択(英語原文)
2007年6月14日(木)発表ILO/07/37
ジュネーブで開かれている第96回ILO総会は、6月14日に、世界で約3,000万人が従事し、最も危険な産業の一つとされる漁業の条件改善に向けた新しい基準を採択しました。賛成437票、反対2票、棄権22票で採択された2007年の漁業労働条約(第188号)は、沿岸国8カ国を含む10カ国の批准をもって発効します。付属する同名の勧告(第199号)は、賛成443票、反対ゼロ、棄権19票で採択されました。
新しい基準には、漁業労働者の◇海上における労働安全衛生及び医療の向上、並びに傷病者が陸上で治療を受けられること、◇健康と安全のために十分な休息、◇労働契約の保護、◇他の労働者と同じ社会保障における保護、の確保に向けた規定が含まれています。しばしば長期にわたる海上で過ごす時間を反映するような生活条件を労働者が船上で送られるように漁船が建造・保守されていることの確保に向けた規定も盛り込まれています。条約にはさらに、国家による条約規定の遵守と執行を確保するためのメカニズムに加え、許容できない労働・生活条件の船舶を除去する助けになるよう、長い航海に従事する大型漁船の船上で働く漁船員の労働条件が安全と健康にとって危険なものにならないよう確保するため、そのような船舶の外国の港における検査に道を開く規定も含まれています。早期批准を奨励する革新的なメカニズムとして、一部規定の漸進的な実施を許す規定も盛り込まれています。
討議資料として2004年に発行された漁業の労働条件に関する報告書によると、沿海で限られた期間操業する簡素な小型漁船から何ヶ月も続けて遠海で操業する船長140メートルを超える大型船舶まで、漁船の規模も操業形態も多種多様です。漁業で生計を立てる人の多くが水揚げに応じた報酬を受ける仕組みになっていることから、自営業者であるか、国内法上自営業者と見なされています。海の力や、魚を捕り、加工するという業務の性質、海洋資源を見つけ、捕獲するという予見不能性に基づき、しばしばくたくたになるまで連続的な努力が必要といった状況は、漁業を最も危険な職業の一つにしています。さらにグローバル化の進展によって、かつては地元で消費されていた魚が今では途中で加工され、世界中のレストランや消費者に出荷される状況も多くなってきており、したがって一部の地域では海洋資源を求めてますます遠くまで出漁することになっています。こういった課題は、漁業従事者を保護し、この職業を魅力的で持続可能なものとする助けになるよう、漁業を確実に労働法規の適用対象にすることを一層重要にしています。
「政府、そして漁船所有者と漁業従事者の代表による協議の重要性がこの条約の貴重な要素であり、それはこの規定の至る所に反映されている」と条約を審議した総会委員会の委員長は評しています。
スペインのフェリッペ・デ・ボルボン皇太子殿下−経済変化を「人間化」する必要性を強調(英語原文)
2007年6月13日(水)発表ILO/07/36
6月13日にILOの年次総会で演説したスペインのフェリッペ・デ・ボルボン皇太子殿下は、数年前から続いている経済秩序の大きな変化を「人間化」して、グローバル化がすべての人々に真の利益を提供するよう確保する必要性を強調しました。そして、人間らしい働き方という「ディーセント・ワーク」は低開発、排除、そして中心から追いやる周辺化という問題に取り組む「最善の手段」であると信じていることを示しました。
演説前日の6月12日は児童労働反対世界デーでしたが、フェリッペ皇太子殿下は、児童労働問題に取り組むカギは貧困と指摘し、グローバル化の提供する機会を活用して子どもを仕事に送る社会環境を変える努力を呼びかけました。一方で、子ども時代が終わると若者の職探しが難しいとして、若者を未来の人類と繰り返すあまり、現在の人類の一部であるとの事実を忘れがちではないかと注意を喚起しました。さらに、世界の労働力の6割を女性が占める事実に鑑み、差別のないディーセント・ワークを通じて女性の経済的自立と生活の質を育むのは正しい判断と説きました。
そして、コンセンサス、社会対話、ディーセント・ワークは、世界中で社会正義を推進するILOの際だった特徴であると信じてきたからこそ、スペインは政労使の三者構成や労働組合、使用者団体、政府の能力強化に向けたILOの事業計画を支援してきたとして、誰もがディーセント・ワークを約束すれば貧困撤廃と人間の尊厳の擁護に対する最善の貢献になろうと訴えました。
ディーセント・ワークは経済・社会開発のカギとセネガル大統領(英語原文)
2007年6月12日(火)発表ILO/07/35
6月12日に第96回ILO総会で演説したセネガルのアブドゥライ・ワッド大統領は、「社会福祉を犠牲にしては経済発展は起こり得ない」として、社会的側面が経済に依存する一方で社会的側面なしに経済は繁栄できないと説き、人間らしい働き方である「ディーセント・ワークは経済発展・社会開発の目的を達成する唯一の手段」と評価しました。そして、人間の尊厳と両立するまともな仕事をできるだけ多くのセネガル国民に提供したいとの願いを示しました。
大統領はまた、貧困を人間の基本的なニーズの「集合的不足」と再定義する時期がやってきたとして、すべての問題に異なるレベルで同時に取り組み、社会の底辺で暮らす不利な社会集団を引き上げてまともな生活条件を提供する戦略を開始する必要性を唱えました。そして、ILOが直面する課題の性格は1919年の創立時から変化したものの「平和、進歩、公平、社会正義の理想は、すべての人々により良い生活条件を実現するため、前よりも一層達成すべき目的となってきている」としました。さらに、グローバル化は選ぶものではなく、その中で暮らすよう課されたものとして、アフリカ開発のための新イニシアティブ(NEPAD)やアフリカの統一をグローバル化の課題に応え得るものとして挙げました。また、世界貿易に占めるアフリカのシェアが2%に満たない事実を示しながら、「アフリカは貧しいのではなく、貧しくさせられている」として、アフリカにはその経済発展・社会開発のための前提条件を形成し、グローバル化の現実に楽観的に直面する使命と同時に能力もあると説きました。
フアン・ソマビアILO事務局長は、人権、コンセンサスの役割、アフリカの将来、開発における女性の役割といった分野で多数の著作があるワッド大統領を「自由と言質の人、独立した思想家」と評し、貧困と紛争の課題にもかかわらず、アフリカが民主主義、成長、社会正義の道を力強く歩んでいる背景には、2004年のワガドゥグ・サミットで示されたディーセント・ワークに対する大統領の強い支持があるとしました。
ジャマイカ首相−ILOのディーセント・ワーク課題を貧困克服にとって決定的に重要と評価、「人間の津波のようなフラストレーション、怒り、反逆」の発生を警告(英語原文)
2007年6月12日(火)発表ILO/07/34
6月12日にILOの年次総会で演説したジャマイカのポーシャ・シンプソン・ミラー首相は、「私たちは貧困問題に有意義な形で取り組む義務がある」として、貧困の破壊的な効果に対応して人間の津波のように発生しかねないフラストレーション、怒り、反逆を食い止めるには、人間らしく働く機会の確保というILOのディーセント・ワーク課題が決定的に重要と訴えました。ジャマイカ初の女性首相であり、労働大臣を務めたこともあるシンプソン・ミラー首相はさらに、ディーセント・ワーク課題は「人が国家開発の中心になくてはならないとの信念を出発点とする」として、「あらゆる男女、子どもに尽くす世界の形成に向かう決定的に重要な道」と評しました。
首相はさらに、ディーセント・ワーク課題は「労使関係、コミュニティ開発、官民パートナーシップ、地球上の私たちの隣人との関係に反映されるべき」とし、国家レベルで永続する成功を得るためには国際関係や国際的なルールにも正義と公平の原則が適用されなくてはならないと唱えました。また、雇用創出の重要性を挙げ、雇用を伴う経済成長を経済計画の中心に据えた結果、失業率が近年で最も低くなっているジャマイカの経験を紹介しました。さらに、インフォーマル経済がディーセント・ワークの諸目的に寄与する必要性を強調し、零細・中小規模の持続可能な企業の振興支援を含みこの分野にもっと重点が置かれるべきとしました。
そして、詩人でもあった自国の歌手ボブ・マーリーの曲から「昨夜のベッドは冷たい地面に岩石の枕」との歌詞を引用しながら、「ジャマイカ国民がそのような生活を送らないよう確保すること」が自らの政権の目標であることを示しました。
バーレーンの皇太子殿下−社会対話の増大、公正なグローバル化を呼びかけ、地域労働サミットの開催を発表(英語原文)
2007年6月11日(月)発表ILO/07/33
6月11日にILOの年次総会で演説したバーレーンのシェイク・サルマン・ビン・ハマド・アル・ハリーファ皇太子殿下は、「公正なグローバル化に向けて共に進もう」と呼びかけた上で、雇用創出、仕事に関連した権利の保障、社会的保護の拡張、対話と紛争解決の機会がすべての人に与えられることといった「ディーセント・ワーク課題の四つの礎石」に取り組む必要があるとしました。また、労働者の送出国と受入国の双方が自国に対するグローバル化の真の影響を率直かつ正直に話し合い、三者構成の社会対話構造を地域内に構築するため、労働問題に関する地域間社会対話サミットの開催を予定しているとして、湾岸協力会議(GCC)加盟国とアジア諸国を招請しました。
バーレーンはディーセント・ワーク国別計画を率先して取り入れた国の一つで、2002年にパイロット計画を開始しています。皇太子殿下はバーレーンが、人口構成の変化と若者労働力の増大、外国人労働者問題、若者に教育と経済に組み込まれる機会だけでなく、希望への道を与えることといった三つの中核的な労働問題に取り組んでいることや、自国労働力を産業にとってより魅力的なものとし、企業家精神を奨励するため、訓練計画立案等を行う労働基金と労働市場構造に最適のアプローチ策定に向けて省庁間の調整を図る労働市場規制局の二つの公的機関を新設したこと、ILOの支援を得て、失業保険制度が導入され、使用者のニーズに沿った教育が整備されたことを紹介しました。
パレスチナの人々の苦しみに言及した殿下は、かつてないほどの失業水準をもたらした経済状況の即時緩和、そして相互に合意された解決策につながる対話を呼びかけました。
環境的に持続可能な開発を支える「グリーン・ジョブ・イニシアチブ」を呼びかけるILO事務局長:グローバル化の影響と「ディーセント・ワーク」の欠如を減らす必要性も強調(英語原文)
2007年6月11日(月)発表ILO/07/32
6月11日にILO年次総会で演説したフアン・ソマビアILO事務局長は、「生産と仕事はエネルギーその他の資源を消費し、私たちの惑星、そして私たちの健康に危険な速度で廃棄物や温暖化ガスを後に残している」と指摘して、環境的に持続可能な開発プロセスの達成を目指した環境に優しい「グリーン・ジョブ・イニシアチブ」に向けた地球規模の政策手段の開発を呼びかけ、フォローアップの審議を理事会で行うことを提案しました。
グローバル化の影響から「ディーセント・ワークの欠如」を減らすことまで、事務局長の演説は多岐にわたり、すべての男女に適切で人間らしい仕事の機会を確保することに向けたILOの「ディーセント・ワーク課題」が、国連のみならず、先週閉幕したG8ドイツ・サミットを含む各種の国際・地域的な場で承認されている状況を紹介し、ILOの前進を強調しました。
貿易と社会政策に関しては、世界貿易機関(WTO)と共同で最近発行した報告書が「貿易自由化は雇用破壊と雇用創出のどちらも引き起こしている」と結論づけたことを挙げ、政労使三者構成を取るILOは今日、「公正な貿易ルール、持続可能な企業、適切な雇用・社会政策の必要性を認識する統合的なアプローチ」を基盤に、WTOその他の国際機関と協力して、「先進国と途上国の双方、そしてすべての地域の労使の利益を尊重した、貿易と雇用の取り組みにおけるバランスの取れたアプローチを開発するのに適した位置にある」としました。また、50年前には49倍であった最も裕福な20カ国と最も貧しい20カ国との一人当たり平均所得の格差が今では112倍になっているとして最貧国と最富裕国との間の所得格差の拡大を示した上、多くの国で見られる所得と富の分配における格差拡大や賃金シェアの縮小といった展開について、このような問題はILOの憲章の中心、使命の中核にあるため、ILOは特に懸念すべきとしました。
事務局長はさらに、真の失業問題の規模が過小評価されている可能性があるとして、労働力の不完全活用の現実を統計的に捕捉するより良い手法を開発する必要性を唱えました。また、国連システム内における実際的な改革と政策整合性の向上に向けた議論にILOが関与している事実を紹介した上で、ILO独特の三者構成の統治構造や使命は、一体となってサービスを提供するという国際体系の努力に新たな価値を付すものとしました。そして、昨年採択された海事条約などを例に、国際労働基準は新たに登場しつつある国際市場経済の中で、企業成功の基礎である職場内協力の構築にとってきわめて重要な共通の基準点を提供できようとしました。
社会進歩を伴うグローバル化の中心をなすものとしてのディーセント・ワークに対するG8の支持をILO歓迎(英語原文)
2007年6月8日(金)発表ILO/07/31
ハイリゲンダム(ドイツ)で開かれていた主要国首脳会議(G8サミット)は6月8日に閉幕しましたが、社会進歩を伴うグローバル化の中心をなすものとしてすべての人に適切で人間らしい仕事の機会を確保することに向けたILOのディーセント・ワーク課題に対する支持が示されたことをILOは歓迎しました。サミットでは、1)まともで生産的な雇用の創出、2)社会的保護制度へのアクセス促進、3)社会的パートナー同士の対話強化、4)中核的労働基準(児童労働・強制労働の禁止、仕事に関わる差別の撤廃、組合の団結権)の尊重というILOのディーセント・ワーク課題の四つの戦略目標は等しく重要であることが強調されました。
サミットの最終宣言にはまた、国際的に認められている中核的労働基準の実行をILOと緊密な協力の上で促進することを求める世界貿易機関(WTO)加盟国に対する呼びかけも含まれています。G8諸国はさらに、労働・社会基準を保護主義的目的で用いるべきでないことを想起しつつ、ディーセント・ワークとILOの中核的労働基準に対する尊重を二国間貿易協定に含むことを公約しています。アフリカにおける成長と責任に関する共同宣言においては、アフリカにおける保健医療と健康保険の拡大に対する支持が表明されましたが、加盟国の社会保障制度整備を支援する長い経験を有するILOはこれについても歓迎し、G8諸国のそれに対応する努力を支持するものであります。サミットの声明にはまた、企業の社会的責任(CSR)に関連する基準の「明確さと可視性を高める」国際的な努力へのILOの関与に対する呼びかけも含まれています。
「バランスの取れたILOのディーセント・ワーク課題の重要性を認識されているメルケル・ドイツ首相の公正なグローバル化に対する個人的な取り組みに敬意を表する」として、ILOドイツ事務所のヘラー所長はこの点でのドイツ政府の役割を強調しています。
2007年児童労働反対世界デー:農業における児童労働に取り組む新しい世界規模のパートナーシップ(英語原文・新聞発表日本語訳・農業における児童労働概況・農業における危険で有害な児童労働)
2007年6月8日(金)発表ILO/07/30
今年の児童労働反対世界デー(6月12日)は、農業における児童労働に焦点を当てています。これに合わせ、ILOでは、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国際農業研究協議グループ(CGIAR)の国際食糧政策研究所(IFPRI)、国際農業生産者連盟(IFAP)、国際食品関連産業労働組合連合会(IUF)といった農業関係の五つの国際機関と力を合わせ、農業における児童労働に取り組む世界的なパートナーシップを新たに構築しました。ソマビアILO事務局長は、「児童労働撤廃に向けた世界的な運動を強化できる唯一の方法は、児童労働問題を使命や政策の主流に据え、共に取り組むことによってのみ」として、このような協調的な努力は、2016年までに最悪の形態の児童労働を消滅させるとの目標を達成させようと期待を示しました。
児童労働全体の中では農業で働く子どもがずば抜けて多く推計7割を占め、うち1億3,200万人が5〜14歳の子ども達で、一部農村地域では10歳未満の児童が児童労働者の2割を占めていると推計されます。農業は最も危険な産業の一つですが、大人と同じ危険にさらされるのに加え、心身が発達途上にあり、職業経験が不足している子どもにとってリスクはさらに大きくなります。
ただし、子どもの農作業がすべて悪いわけでも、関連するILO条約(第138号または第182号)の定める撤廃すべき労働に当たるわけでもなく、年齢に適した、学業や遊ぶ時間に支障のない作業は農村における通常の成育環境の一部であると理解されています。児童労働は適正な教育の機会を制限し、より良い未来に向けた希望を減らしますが、世界全体の最貧困層の3分の2が農村住民であるため、農業における児童労働は問題をさらに深刻化させています。少女はさらに、田畑での作業に出かける前や帰ってきてから家事を行うことが多く、特に負担が重くなっています。
新しいパートナーシップの主な協力分野には、農業における児童労働に対する法の適用の促進、農村の暮らしの向上、都市と農村・男女間の教育格差の縮小、農業及び農村部における若者の雇用機会の促進に関する政策と活動が含まれています。
ILOはあらゆる形態の児童労働を世界から漸進的に消滅させることを目標としています。なかでも危険な労働や商業的性的搾取、人身取引、奴隷労働などといった最悪の形態の児童労働については最優先での撤廃を求めています。ILOは、その児童労働撤廃国際計画(IPEC)を通じて児童労働問題の主流化と統合を奨励するため、児童労働の撤廃を加盟国の社会経済開発及び貧困削減戦略にマクロレベルで戦略的に配置することを試みています。
世界の労働時間:世界の労働者の5人に1人が長時間労働−50カ国以上の労働時間を取り上げたILOの新刊(英語原文)
2007年6月7日(木)発表ILO/07/29
ILOがこの度発表する新刊「Working time around the world: Trends in working hours, laws, and policies in a global comparative perspective(世界の労働時間:国際比較の視点から見た労働時間、法、政策の動向・英語・240ページ)」は、労働時間に関する国際労働基準が初めて採択されてから1世紀近くになろうとする現在においてもなお、世界の労働者の5人に1人に相当する6億人以上が、しばしば暮らしのためだけに、週48時間以上の超長時間労働に従事している事実を明らかにしています。報告書は50カ国以上の労働時間を取り上げ、途上国及び移行経済諸国の労働時間政策の影響を初めて検証しています。
途上国・移行経済諸国の労働時間は非常にバラツキがあるものの、総じて先進国よりは長く、2004〜05年に週48時間以上の長時間労働従事者が労働者全体に占める割合が高かった国としては、調査対象国の中ではペルー(50.9%)がトップとなり、これに韓国(49.5%)、タイ(46.7%)、パキスタン(44.4%)が続きます。先進国では、日本29.3%(注:当初発表数値から訂正)、英国25.7%、イスラエル25.5%、オーストラリア20.4%、スイス19.2%、米国18.1%といった状況になっています。これらの国で労働時間短縮の試みが功を奏しなかった理由は多様で、労働者がただ暮らしのためだけに長時間働く必要があることや生産性が低い状況下で生産高を上げようとの企業の試みによる残業の幅広い活用が含まれるとした上で、報告書は、一般的に言って、労働時間関連の法及び政策は、特に週最長労働時間、残業代、インフォーマル就業に対する影響の点から途上国では実際の労働時間に限られた影響しか与えていないと指摘しています。
報告書はもう一つの懸念要因として、労働時間における明確な男女間格差を挙げています。世界的に男性は女性よりも平均して長く働く傾向があり、女性は短時間労働に従事する可能性がかなり高いとした上で、これは無報酬の家事労働と家族の世話の主たる責任の配分によるところが大きい可能性があると結論づけています。そして、子どものいる夫婦の間では男性の有報酬労働時間が長くなるのに反して、女性は短くなる傾向があり、例えば、マレーシアでは女性の推計23%が子どもの世話を理由として仕事を辞めていることを示しています。
さらに、今日のグローバル経済の特徴であるサービス産業の拡大とインフォーマル就業の増加も長時間労働の主な原因であるとして、サービス産業の労働時間は最もバラツキが大きく、卸・小売業、ホテル・レストラン、運輸・倉庫・通信業といった交替制や通常外時間の勤務を一般に伴う産業では特に長いと記しています。法定労働時間が一番長い産業の一つに数えられる警備産業では、例えばジャマイカで週平均労働時間が72時間に達すると推計されています。途上国の就業者全体の少なくとも半数が従事するインフォーマル経済ではその約5分の3が自営業ですが、自営業の男性の3割以上は週49時間以上働いているとされます。製造業の平均労働時間は世界的にほぼ週35〜45時間の範囲に収まりますが、コスタリカやフィリピンなど一部途上国では相当長くなっています。さらに、若者や引退年齢に近い労働者の労働時間がその他の人々よりわずかに短くなっているのは、この層の不十分な雇用機会を反映している場合が多いことを報告書は示しています。
途上国・移行経済諸国で通常労働時間の規制が進展したのは良い知らせであるが、この研究で見出された事実、特に超長時間労働の広まりは明らかに懸念すべきことと、本書の共著者であるILO労働・雇用条件計画の専門家は指摘しています。労働時間の短縮は労働者の健康や家庭生活に対する利益、職場における事故の減少、生産性向上、男女平等の促進という肯定的な結果を招く可能性があるとする一方で、先進国・移行経済諸国における短時間労働者の相当数が不完全就業状態にあるかもしれず、したがって貧困に陥る可能性が高いと報告書は警告しています。
報告書は、労働災害や職業病のリスク低減に向けた長時間労働の削減、フレックスタイムのような国内状況に合った家族に優しい労働時間方策の採用、質の高いパートタイム労働の促進、企業の生産性向上に寄与する妥当な法定労働時間制限の採用、労働者がもっと家族に時間をさける方策の考案など、労働時間の分野でディーセント・ワーク(人間らしい適切な仕事)を促進することに向けた政策ポイントをいくつか提示しています。
2007年児童労働反対世界デー:農業における児童労働撤廃に焦点(英語原文)
2007年6月5日(火)発表ILO/07/28
ILOは6月12日を児童労働反対世界デーと定め、働く子どもの運命に思いをはせる日としています。今年の世界デーは、世界的に働く子どもの圧倒的な割合が従事し、大人だけでなく子どもにとっても最も危険な労働形態の一つである農業における児童労働の撤廃に焦点を当てます。ILOの児童労働撤廃国際計画(IPEC)は、農場や農園で児童労働者として働く少年少女(5〜14歳)は世界全体で推定1億人を超え、しばしば有毒な殺虫剤の混合・取扱い・使用から危険な切断用具の利用、高温・寒冷での労働、重機や強力な農機具の操作などに伴う様々な危険やリスクにさらされていると見ています。農業で働く子どもがすべて児童労働者というわけではなく、ILOの関連条約(第138号及び第182号)の定義上、農村における通常の成育環境の一部であり、年齢に適した作業は必ずしも児童労働に該当しません。
児童労働に反対する世界的な運動を強化するため、ILOは今年の世界デーに際し、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国際農業研究協議グループ(CGIAR)の国際食糧政策研究所(IFPRI)、国際農業生産者連盟(IFAP)、国際食品関連産業労働組合連合会(IUF)といった農業関係の五つの国際機関と新たなパートナーシップを締結します。これは農業における児童労働に対する共通の政策、事業計画、活動を国際・国内レベルで開発するためのもので、将来的には他の機関の参加も考えられます。
6月12日当日またはその周辺には世界各地で会議、テレビ・ラジオの特別番組放送、子どもによる歌舞演劇、研究発表など世界デーの様々なイベントが行われます。ジュネーブでは上記5機関の農業における児童労働協力趣意宣言の署名式や500人の学童が風船を空に放す公開イベントが行われ、ローマではFAO、IFADと協力し、オペラ・バレーの上演などが行われます。日本では児童労働写真パネル展(6月14日まで開催中)、視察報告会(6月12日)、映画上映・講演会(6月17日)が予定されています。
ILOはあらゆる形態の児童労働を世界から漸進的に消滅させることを目標としていますが、なかでも危険な労働や商業的性的搾取、人身取引、奴隷労働などといった最悪の形態の児童労働の最優先の撤廃を求めています。
第96回ILO総会:ディーセント・ワーク課題はアフリカのルネッサンスにとって有用とガーナ大統領(英語原文)
2007年6月4日(月)発表ILO/07/27
現在、ジュネーブでは6月15日までの日程で第96回ILO総会が開催されていますが、6月4日に演説したガーナのジョン・クフォー大統領は、リベリアでアフリカ初の女性国家元首としてエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領が選出されたこと、選出女性議員の比率が世界一なのはルワンダであること、南アフリカのネルソン・マンデラ前大統領のリーダーシップ、コンゴ民主共和国で最近行われた選挙の成功、2006年のアフリカ経済の全体的な好成績などを「アフリカが目覚めつつある幸せな兆候」の好例として挙げ、このようなアフリカのルネッサンスと人間の尊厳を確保する上でILOのディーセント・ワーク課題は枢要な役割を演じられようとの期待を表明しました。
アフリカ連合(AU)の議長でもあるクフォー大統領は、2004年9月にワガドゥグ(ブルキナファソ)で開かれたアフリカの雇用と貧困緩和に関するAU特別サミットでディーセント・ワーク課題が圧倒的な承認を受けたことを想起し、「我々はディーセント・ワーク課題推進の先頭に立っている」と語りました。そして、現在は、グローバル化の中でアフリカが全体として変わろうと努力している時期ではあるものの、残念ながら「大半がアフリカに所在する多くの国家で、資力や基盤構造、能力が不足している」現状を認め、「債務免除の点からのさらなる支援、そして先進8カ国その他の援助社会による誓約を中心としたさらなる援助と技術支援の約束の適時実行」を訴えました。
ソマビアILO事務局長は、クフォー大統領を同国のクワメ・ヌクルマ元大統領の汎アフリカ主義の継承者と紹介し、このような呼びかけに対し、「ガーナ、そしてアフリカのすべての人々のディーセント・ワーク、公正なグローバル化、社会正義の追求において、我々は皆さんと共にある」と応えました。
第96回ILO総会:ディーセント・ワークの課題に取り組むには社会的保護がカギとチリ大統領(英語原文)
2007年6月4日(月)発表ILO/07/26
現在、ジュネーブでは6月15日までの日程で第96回ILO総会が開催されていますが、6月4日に演説したチリのミチェレ・バチェレ大統領は、「ますます不確実な世界においてディーセント・ワークの課題」に応えるには社会的保護が必要不可欠な手段であるとした上で、「グローバル化の社会的側面を形作ること」が必要な時代において、「ディーセント・ワークはあらゆる国にとってきわめて重大な義務、一つ一つの国家が守るべき倫理的規範となってきた」と唱えました。
チリは1919年の第1回からILO総会に参加しており、ILOの中核的条約を採択した米州で最初の国でもあります。大統領は、社会保障、保健、良質の教育、貧困との闘いを含む社会的保護制度構築の重要性に触れ、それを自らの政府が掲げる旗印であるとしました。さらに、チリでも中南米でも権利の列挙に多くの時間を費やしているが、それだけでは不十分で、影響を確保する必要があるとし、チリでは民主主義が復活した1990年以降「成長と平等、進歩と社会正義を結びつけた新しい社会モデルの構築」に努めてきたことを紹介しました。
チリ出身のフアン・ソマビアILO事務局長は、大統領の一生は社会正義に向けた「闘争に彩られている」と会場に紹介した上で、「社会正義なしに持続可能な経済成長はあり得ないという本質的な真実を具体的な政策措置に転換した」人物、「世界中の人々の課題を優先事項とするグローバルなビジョンを備えたリーダー」と大統領を評しました。
ILO年次総会役員選出(英語原文)
2007年6月1日(金)発表ILO/07/25
6月15日までの日程で開幕した第96回ILO総会は、議長としてアルバニアのカストリオット・スルカ労働・社会問題・機会平等副大臣、副議長としてブラジルのカルロス・アントニオ・ダ・ホシャ・パラニョス在ジュネーブ・ブラジル政府代表部常駐副代表、スイスのミシェル・バルド使用者代表、そしてフランスのマルク・ブロンデル労働者代表を選出しました。
ILO新刊発表:労働時間の動向に関するグローバルな研究(英語原文)
2007年6月1日(金)発表ILO/07/24
ILOは来る6月7日にジュネーブで、世界50カ国以上の労働時間を取り上げ、途上国及び移行経済諸国に対する労働時間政策の影響を初めて検討する労働時間に関するこれまでで最も包括的な報告書「Working time around the world: Trends in working hours, laws, and policies in a global comparative perspective(世界の労働時間:国際比較の視点から見た労働時間、法、政策の動向・英語)」を発表します。
過去50年間に、法定週労働時間の上限は40時間に向かう動きが世界的に見られるものの、労働時間の短縮度合いにおける地域的な違いは大きく、進展も不均等です。人々の働く時間は実際、短くなっているのか、それとも長くなっているのか、長くなっているところはどこで、短くなっているところはどこか。週40時間労働の現状はどうか。長時間労働が多い職は何で地域はどこか、逆に短時間労働が多い職は何で地域はどこか。より長時間働いているのは男性か女性か、それはなぜかなど、この240ページの新刊書は労働時間を様々な切り口から捉え、幅広く包括的に論じています。法定基準が実際の労働時間に与える影響に加え、ジェンダーと年齢が労働時間の決定に寄与している度合いも検討しています。サービス業とその下部部門(卸・小売業、ホテル・レストラン、運輸・倉庫・通信業など)、拡大しつつあるインフォーマル経済における労働時間も検討しています。
ILO労働・雇用条件計画の専門家らの共著である本報告書は、労働者の安全と健康を保つ労働時間、家族に優しい労働時間、男女平等を推進する労働時間、生産性を高める労働時間、労働者による労働時間の選択を円滑化し、自分の労働時間に対する影響力を高められるような方策など、様々な労働時間政策・方針を提示しています。
2007年5月発表分
第96回ILO総会
国家元首、政府首脳、労働を取り巻く世界の諸リーダーが幅広い労働問題を検討(英語原文)
2007年5月29日(火)発表ILO/07/23
180のILO全加盟国のほとんどから政府、使用者、労働者の代表3,000人以上が出席するILOの年次総会である第96回ILO総会が、2007年5月30日〜6月15日の日程でジュネーブで開催されます。
総会には6人の国家元首・政府首脳と2人の皇太子も出席されます。6月4日にはチリのミチェレ・バチェレ大統領とアフリカ連合の議長でもあるガーナのジョン・クフォー大統領、11日にはバーレーンのシェイク・サルマン・ビン・ハマド・アル・ハリーファ皇太子殿下とポーランドのレフ・カチンスキ大統領、12日にはジャマイカのポーシャ・シンプソン=ミラー首相とセネガルのアブドゥライ・ワッド大統領、13日にはスペインのフェリッペ・デ・ボルボン皇太子殿下、15日にはスリランカのマヒンダ・ラージャパクサ大統領の演説がそれぞれ予定されています。
児童労働反対世界デーである6月12日には、今年のテーマである「農業における児童労働」に焦点を当てられます。
6月15日の閉会式の場では、ネルソン・マンデラ前南アフリカ大統領と米国ピッツバーグ大学のカルメロ・メサ=ラゴ名誉教授に第1回ILOディーセント・ワーク研究賞が授与されます。
2007年の総会議題の概要は以下の通りです。
- 理事会議長及び事務局長の報告
6月11日には、ILOの諸問題と関心事項の概要についてフアン・ソマビアILO事務局長から発表があります。「持続可能な開発のためのディーセント・ワーク」をテーマとする今年の事務局長報告は、社会、経済、環境の三つの柱が完全に統合された持続可能な開発に向けたバランスの取れたアプローチを実行するためのより効果的な方法について検討しています。討議資料として、アラブ被占領地における労働者の状況に関する最新の報告書も提出されます。
- グローバル・レポート
6月8日には1998年に採択された「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」のフォローアップ文書である、働く上での差別に関する新しいグローバル・レポートの審議が行われます。「働く上での平等」と題するこの報告書は、職場内差別に対する闘いは大きな進展を見せているものの、差別は依然として強く残り、新たな形態を取りつつあると記しています。
- 2008/09年の事業計画・予算案
ILOの次年度の事業計画・予算案も採択に向けて審議されます。2007年3月の理事会で提案された予算案は、現行予算の為替レートで実質ゼロ成長の5億9,400万ドル(経費増額分を加えると6億3,500万ドル)となっています。
- 条約・勧告の適用に関する情報と報告
総会の基準適用委員会では、ILOの条約及び勧告に実効性を持たせることに関して政府から提出された情報及び報告が検討されます。ILO憲章第19条に基づき寄せられた1930年の強制労働条約(第29号)及び1957年の強制労働廃止条約(第105号)に関する総合調査報告書についても審議が行われます。また、ミャンマーの第29号条約適用状況についての審査委員会勧告の同国政府による実施状況を検討する特別会合も開かれます。
- 漁業労働
世界全体で約3,000万人の労働者が従事し、最も危険な産業の一つと言われる漁業労働に関する条約・勧告の採択に向けた審議が行われます。提案されている文書は、採用時から引退時までの漁業労働者の生活の諸側面を扱い、乗船時を中心にすべての漁業労働者に適切な労働条件と十分な社会的保護を確保することを目指しています。
- 一般討議
持続可能な企業の振興における最近の動向を検討し、この動きがすべての人に適切で人間らしい仕事を確保しようというILOの「ディーセント・ワーク課題」の実行にどう関わるか評価する話し合いや、グローバル化の中でディーセント・ワーク課題に基づき、政府及び労使団体がILOの諸目的達成に向けて行う努力を支援するILOの能力の強化に関する話し合いも行われます。
ILO新刊:アラブ被占領地の労働者の状況(英語原文)
2007年5月25日(金)発表ILO/07/22
5月30日に開幕する第96回ILO総会に提出されるアラブ被占領地(パレスチナ)の労働者の状況に関する年次報告書は、10世帯中7世帯に相当する約240万人が貧困層に属し、2006年12月現在で3人に2人が失業者か非労働力であり、失業率が24%であるという問題の深刻化を示しています。2007年3月に貧困線以下の世帯数は前年同月比26%増となり、2006年の一人当たり国内総生産(GDP)は1999年比で40%も落ち込んでいます。
報告書は2006年5月以降社会がますます困窮し、経済危機が加速したのは平均収入が激減したことによるとして、この直接的な理由として、2006年4月以降公務員の給与が全額支払われていないこと、公共投資・民間投資の低下、企業が国内・国際市場に製品を移動する上で直面している困難の増大を挙げ、これは主として人と物の移動に対する制約と多重の障壁が2006年に強められたことによって引き起こされたとしています。
報告書を作成するため、今年初めに西岸、ガザ地区、ゴランを含むアラブ被占領地とイスラエル、シリアを訪れた視察団は、アラブの労働者に対する威嚇と嫌がらせ、使用者に対する差別の継続を報告しています。報告書は被占領地で高まりつつある経済・社会危機を回避するために真っ先に講ずべき措置として、イスラエルの安全保障を確保しつつ、占領地内、ガザ・西岸間、そして外界との間に存在する人と物の移動の障壁の縮小・撤廃を唱えています。このような課題に対応し、地域の政労使から寄せられている技術協力計画強化の要請に応えるため、ILOはできるだけ早期に技術視察団を占領地に派遣し、雇用機会、企業開発、強い労使団体を通じた三者対話を推進するための詳しい提案を立案する予定です。
第96回ILO総会(2007年5月30日〜6月15日)取材要項(英語原文)
2007年5月25日(金)発表ILO/07/21
180のILO全加盟国より政府、使用者、労働者の代表が出席するILOの2007年の年次総会である第96回ILO総会が2007年5月30日〜6月15日の日程でスイスのパレ・デ・ナシオン(欧州国連本部)で開催されます。
ILOの三者構成の会議は全て、特記ない限り、取材できます。総会の取材をご希望の報道機関の方々は、国連広報局に申請し、取材許可を得る必要があります。この新聞発表には、そのための手続き、総会開催中のメディア・オフィスの所在地、取材方法、記者会見等の通知方法、ラジオ・テレビ取材要項、写真入手方法、ILO本部広報担当者連絡先一覧が詳記されています。
また、総会会期中の6月7日には、労働時間に関する新刊「Working time around the world(世界の労働時間・英語)」の発表記者会見も予定されています。本書は世界各国の労働時間の概要を示し、途上国と移行経済諸国の労働時間の動向を初めて比較分析した書籍となっています。
第1回ディーセント・ワーク研究賞受賞者をILO発表(英語原文)
2007年5月23日(水)発表ILO/07/20
ILOの国際労働問題研究所は昨年、ILOの中心的な目標である「すべての人へのディーセント・ワーク(適切で人間らしい仕事)」の知識の促進に向けて際だった貢献を行った個人に年1回贈られるディーセント・ワーク研究賞を創設しました。5月23日に発表された第1回ディーセント・ワーク研究賞の受賞者は、南アフリカのネルソン・マンデラ前大統領とピッツバーグ大学のカルメロ・メサ=ラゴ名誉教授の二人です。
ノーベル平和賞受賞者でもあるネルソン・マンデラ前南アフリカ大統領には、ILOの中心的な関心事項についての知識、理解、政策提言に生涯をかけて際だった貢献を行ってきたことに対し、特別賞が授与されます。今回の授賞は、差別と抑圧から自由な仕事、そして発展に必要不可欠な基盤としての社会正義と対話の理念を促進し、ディーセント・ワークが南アフリカのみならず世界中の政策課題の中心的な目的となるよう支援してきたマンデラ氏の継続的な努力を認め、讃えるものです。
米国ペンシルベニア州ピッツバーグ大学で経済学・中南米研究を教えるカルメロ・メサ=ラゴ名誉教授の授賞は、中南米における年金改革の過程に多年にわたり注目すべき影響を与えてきた同名誉教授の社会保障と年金改革の分野を中心とした、ディーセント・ワークの促進に向けた社会経済関係と政策手段の分析における偉大なる学問的貢献が評価されたものです。
授賞式は今月後半からジュネーブで開かれるILO総会の6月15日の閉会式の場で行われます。
2007年のディーセント・ワーク研究賞の審査員は、ゲンマ・アダバ国際労働組合総連合(ITUC)国連代表を始めとする、世界各地の労働・社会政策事項の高名な専門家5人が務めました。
働く上での平等に関するILO新刊:グローバル・レポート2007年版−大きな進展はあるものの、新たな形態を取りつつ依然残る職場内差別(英語原文・新聞発表日本語訳)
2007年5月10日(木)発表ILO/07/19
来る5月30日に開幕する今年のILO総会における討議資料の一つとして、労働の世界における差別の現状を扱った報告書が提出されます。5月10日に発表されたこのグローバル・レポート「Equality at work: Tackling the challenges(働く上での平等に係わる課題への取り組み・英文)」は、これまでで最も包括的な差別に関する報告書として、4年前に出された第1回目のグローバル・レポート以降の差別対策における進展と失敗の両方を取り上げ、仕事に関連した差別の全体像を示しています。そして、労働における差別との闘いは大きな進展を示したものの、所得及び機会における不平等の拡大や、様々な形態を取り、なかなか消滅しない相当量の職場内差別の存在はますます懸念されるようになってきているとしています。報告書は、人種、宗教、社会的出身、カースト、先住民であることを理由とした差別や移民労働者に対する差別の例を多く示し、若者や高齢労働者に対する差別や、性的志向、HIV/エイズ状態、または個人の障害を理由とした不平等の影響についても警告しています。例えば欧州では、16〜64歳の人々が就職できる確率は66%であるものの、この数字が軽度障害者の場合には47%に、重度障害者の場合は25%に低下しているといったように、障害者が仕事を見つけられる確率は障害の程度が上がるにつれて減少しています。最近の展開として、特定の疾病にかかりやすい遺伝的素質を有する人々や、不健全と見なされるライフスタイルを有する人々を不利に扱う慣行も発生しています。
報告書の主要テーマの一つとして、雇用と賃金において依然残る男女間格差、そしてワーク・ライフ・バランスを保ちつつ、報酬における性差別と性別職業分離に取り組む統合的な政策の必要性が取り上げられています。例えば、欧州連合(EU)諸国全体の全事業所を通じての時間当たり平均賃金総額には依然として平均15%の男女間格差が存在しています。急上昇を続ける女性の労働力率は現在56.6%に達しており、労働力率における男女間格差は世界的に縮小しつつありますが、進展は均一でなく、北米71.1%、EU62%、東アジア・太平洋61.2%に対し、中東・北アフリカは32%になっています。立法職・上級公務員・管理職といった質の高い職に女性が参入できる可能性の拡大は女性の状況改善の重要な尺度とされますが、世界全体を通じて、なおもこのような上級職位における女性は明白な少数派で、その割合は28.3%に過ぎません。地域別の進展状況は不均等で、北米では41.2%、中南米・カリブでは35%、欧州連合では30.6%を占めているのに対し、地域別で最低の南アジアでは9年間でほぼ倍増と伸びが著しいものの、わずか8.6%に過ぎないことを報告書は示しています。
一方で、職場内差別を除去するILO加盟国の努力は相当前進し、法の執行が依然として弱いなどの面はあるものの、「雇用及び職業上の差別の糾弾は、それに取り組むことへの政治的公約と共に、今日ほとんど普遍的に見られ」、非差別と平等に対する制度的な公約が全体的に強まる傾向にあると報告書は記しています。にもかかわらず、「不平等、不安定、危険性がますます高まっているように見える世界において」働く上での差別をなくす必要性は4年前より緊急性を増しているとした上で、「所得、資産、機会の面で依然残る相当量の不平等は何らかの差別対策に向けた行動の有効性を薄めており、この事態は投資と経済成長を打ち消す政治的不安定や社会的混乱につながる可能性がある」と警告を発しています。
平等に対する障壁は、社会が今日のグローバル化経済の潜在力を完全に発揮することを妨げる可能性があるとして、報告書は、人種、宗教、障害、年齢、性的志向などと無関係に、男女を問わずすべての人々が適切で人間的な仕事である「ディーセント・ワーク」を得る平等の機会の促進はこの方向に進む一つの手段であると唱えています。そして、差別をなくし、ILOが提案する行動計画を達成する一連の措置として、1)より統合され、より良く調整された世界的な行動を通じた男女平等の推進、2)様々なグループの特定のニーズを考慮に入れ、ILOのディーセント・ワーク国別計画の主流に非差別と平等を据えること、3)より良い法の制定とより良い執行の推進、4)政府の調達、融資、投資政策など規制以外のより効果的なイニシアチブ、5)団体交渉による協約や行動規範のようなメカニズムを通じて労働者と使用者が職場における平等を実現することへの支援といった措置を提案しています。
2007年4月発表分
ILO、労働の世界における差別に関する包括的な大型新刊書を発表予定(英語原文)
2007年4月30日(月)発表ILO/07/18
来る5月30日に開幕する今年のILO総会における討議資料の一つとして、労働の世界における差別の現状を扱った報告書が提出されます。5月10日に発表されるグローバル・レポート「Equality at work: Tackling the challenges(働く上での平等に係わる課題への取り組み・英文)」は、性別、年齢、人種、社会的出身に基づく伝統的な差別形態のみならず、若者や高齢労働者、障害者、HIV(エイズウイルス)感染者・エイズ患者に対する採用時の差別、性的志向に基づく不公正な処遇といった新しい形態の差別についても取り上げ、各国及び世界レベルで見られるこのような問題への取り組みにおける進展状況を分析しています。
伝統的な差別形態は法的面を含むあらゆる努力にもかかわらず依然根強く残っています。報告書には、特定の疾病にかかりやすい遺伝的素質を有する人々や喫煙、肥満といった不健全と見られるライフスタイルを有する人々を不利に扱う慣行の登場に伴う新たな課題も紹介されています。報告書は、政策・方針上の各種の提案を行い、すべての人に労働における平等が達成される行動計画を提示しています。
職場における差別の現状を評価したグローバル・レポートは4年前にも総会に提出されています。前回の報告書でILOは、実現されない利益によって世界経済に多大なコストをもたらしている労働における差別をなくすため、より統合的なアプローチを呼びかけました。今年の報告書は、あらゆる形態の差別撤廃に向けて達成されたさらなる進展から学んだ教訓を基礎とした新しい世界規模の政策課題を提示しています。
地域会議で採択された
2007〜15年のアフリカにおけるディーセント・ワーク課題:2015年までに達成すべき野心的な目標を設定(英語原文)
2007年4月27日(金)発表ILO/07/17
アフリカ地域のILO加盟国より政府及び労使団体代表約500人が出席し、4月24日よりアディスアベバで開かれていた第11回アフリカ地域会議は、4日間にわたる熱心な討議の末、数百万のディーセント・ワークの創出を刺激し、この大陸の「働く貧困層」の生活改善に向けた包括的な「2007〜15年のアフリカにおけるディーセント・ワーク課題」を新たに採択して閉幕しました。この課題は、より多くの、より良い雇用に向けた政策を国の開発戦略の主流に据えるメカニズムとしてILO加盟国政労使がディーセント・ワーク国別計画を開発することを公約するもので、アフリカの全ILO加盟国は2009年末までに国別計画を整備するよう求められています。目的の中には、雇用を多く生み出す成長を推進するため、ILOがアフリカの加盟国や国連開発計画(UNDP)などの国際機関と新たに強固な結びつきを形成することへの合意も含まれています。
会議で承認された、ILOのアフリカ加盟諸国が2015年までに達成すべき目標には、1)十分な数のディーセント・ワークの創出、2)女性企業家に特に重点を置いた持続可能な企業開発に向けた統合的な戦略、3)若者の失業率削減につながる政策・事業計画の採用、4)アフリカの労働力の半数が新たな技能を獲得するか、技能を向上させることの確保、5)あらゆる再建・復興計画に地域経済開発と雇用を多く生み出す投資手法を組み入れること、6)労働条件向上に向けた事業計画の開発、7)インフォーマル経済のグレードアップとそこで働く人々に対する保護の拡大、8)移民労働者が許可された正規の地位を得、受入国の労働法に完全に保護されることの確保といった事項が含まれています。この他に、基礎的社会保障、HIV(エイズウイルス)/エイズ、三者構成の社会対話機構、結社の自由・団体交渉権の保障、働く上での基本的な原則と権利、最悪の形態の児童労働や強制労働、反差別、労働力データに関する目標も盛り込まれています。
フアン・ソマビアILO事務局長は閉会演説で、採択された目標について「野心的ながら達成可能」なものと評しました。基調講演を行ったケマル・デルビシュUNDP総裁は、UNDPとILOの間の協力関係の強化をすべての人々の利益のため「一体となってサービスを提供する」国際機関の新たな取り組みの一例として挙げ、「雇用の側面を十分に統合した」貧困削減戦略を呼びかけました。
アフリカに広がる貧困を削減し、新規雇用を創出する緊急の措置を呼びかけるUNDP総裁:ディーセント・ワークは「開発の中心」(英語原文)
2007年4月26日(木)発表ILO/07/16
アディスアベバで開かれている第11回アフリカ地域会議で講演したケマル・デルビシュ国連開発計画(UNDP)総裁は、「雇用の側面を十分に統合した」貧困削減戦略を呼びかけ、「ディーセント・ワークは開発の中心にあり、さらにまた、開発に関する国連の様々な活動の中心にあるべき」と唱えました。
フアン・ソマビアILO事務局長は、歓迎の辞で、「関係国で現在進められているUNDPとILOの共同事業の慣行を共有し、将来の慣行を改善する努力に資する教訓を導きながら、我々は共に、国連国別計画の枠内で雇用とディーセント・ワークに関する共通のメッセージを形成し、各国レベルで『一体となってサービスを提供する』ための具体的な準備をなしつつある」と紹介しました。
2006年に採択されたディーセント・ワークと完全雇用に関する国連経済社会理事会閣僚宣言を直接フォローアップし、『一体的にサービスを提供する』国連システムの努力を実行する実際的な一歩として、去る2月に、ILOとUNDPは貧困削減とより多くのディーセント・ワークの創出に向けた国連の活動を推進する新たな大規模の努力における協力関係とパートナーシップの強化に向けた共同合意文書に調印しています。デルビシュ総裁はこのような両機関の強いパートナーシップを挙げながら、援助国に向けて、アフリカに広く見られる貧困を削減し、新たな雇用を創出する国際的な努力を支える融資公約に関するフォローアップとより多くの債務免除を提供し、援助を高めることを呼びかけました。そして、雇用創出と貧困削減は「後からの思いつきではなく、マクロ経済戦略の一部であるべき」として、ILOとUNDPの協働関係はこれに大いに寄与できようとしました。また、ILOの独特の体制である政労使の三者構成と、公共政策の策定に携わる人々、政府、使用者、労働者の間の対話に特に言及し、トルコの財務大臣であった自らの経験を引用しながら、最良の解決策が見出されるのはこの種の対話を通じてであると思うとの見解を表明しました。
2007年労働安全衛生世界デー(4月28日):世界的に展開されるイベントの中で職場における事故のほとんどは基準が尊重されれば予防可能とILOは主張(英語原文)
2007年4月26日(木)発表ILO/07/15
ILOは4月28日を「労働安全衛生世界デー」として、安全で健康的な仕事、そして適切で人間らしい働き方であるディーセント・ワークの利点に人々の注意を喚起する日としています。この日を祝し、世界各地で公開啓発キャンペーンから厳かな祝賀行事に至る様々なイベントが行われています。労働安全衛生について話し合う日と宣言している国もあれば、労働者、使用者、政府職員、学識者が集い、職場における安全について話し合う国もあります。日本でもILO駐日事務所主催、厚生労働省、社団法人日本経済団体連合会、日本労働組合総連合会、中央労働災害防止協会、財団法人日本ILO協会後援で4月27日に公開フォーラムが開かれました。
世界デーに際して発表された新しい報告書「Safety and healthy workplaces: Making decent work a reality(日本労働組合総連合会による日本語訳「安全で健康的な職場:ディーセント・ワークを現実にする」)」は、毎年、世界全体で、業務関連の事故や疾病で220万人の方々が亡くなり、2億7,000万人以上の労働者が負傷し、1億6,000万人が業務関連の疾病に罹患しているとの推計を示し、この悲惨な犠牲は、全政府途上国援助(ODA)の20倍に相当する、国内総生産(GDP)の4%程度の損失を世界経済にもたらしていると記しています。報告書は、ディーセント・ワークと労働安全衛生の結びつきに光を当て、働く上での基本的な原則と権利の尊重、国際労働基準、労働安全衛生メカニズム、労働監督、労働安全衛生と職場に関する実務規程、社会対話を含むILOのディーセント・ワーク課題の様々な要素が労働災害及び職業病の予防に向けた職場の力強い対応の基礎を提供していると記しています。そして、業務上の事故、負傷、疾病の件数を減らすだけでなく、生産性を高める手段として、報告、監督、基準を含む職場内における良い安全衛生慣行に対する呼びかけを新たにしています。
2006年に採択された職業上の安全及び健康促進枠組条約(第187号)は、2003年の総会で採択された労働安全衛生世界戦略と共に業務関連の事故と健康障害を減らすカギとなるツールであり、したがって、ILOのディーセント・ワーク課題の実現に寄与するものであります。第187号条約は労働安全衛生を促進できる枠組みを定めると同時に、業務上の負傷、疾病、死亡の予防に向けた労働安全衛生の継続的な改善を促進する国家戦略を開発し、安全で健康的な職場環境を漸進的に達成するために積極的な措置を講じ、ILOの関連する労働安全衛生諸条約の批准に向けて取り得る措置について定期的に検討する政治的決意を育むことができます。
ILOのサミーラ・マジアド・アルトゥワイリ新労働安全衛生部長は、「事故は仕事と共存するものではない」として、ほとんどの事故は経験上、予防可能であることが示されており、国家及び企業レベルで政府、使用者、労働者が健全な予防慣行を体系的に実行する必要性を訴えています。
大陸全体にわたるディーセント・ワークに向けた動員を呼びかけて第11回アフリカ地域会議開幕:毎日新たに1万人のアフリカの男女が
膨らみつつある極端に貧しいワーキング・プア層に転落(英語原文)
2007年4月24日(火)発表ILO/07/14
フアン・ソマビアILO事務局長は、4月24日に開幕した第11回アフリカ地域会議の開会挨拶で、「良質の雇用をほとんど生み出さない経済成長は政治的に持続可能でない」として、「人々を開発の中心に据え、経済・社会政策の成功を、働く人々に何が起こっているかで判断する」というアフリカにおける新しい開発への取り組み方を提唱しました。働きながらも極端な貧困状態にある人の数が2015年までに今より約20%増加するとのILOの最新の予測を強調しつつも、ソマビア事務局長はアフリカの労働者及び使用者に秘められた変化を引き起こす大きな潜在力に言及し、女性の力を付けることはアフリカに力を付けることになるとしました。また、雇用とディーセント・ワーク(適切で人間らしい仕事)の成果の点から政策を自己評価する「ツールキット」をILOが開発したことも紹介しました。
開会式にはエチオピア、ブルキナファソ、タンザニアの国家元首・政府首脳も出席し、いずれもディーセント・ワーク課題に対する支持を表明し、アフリカにおける若者の失業と貧困増加の課題に終止符を打つ手段として、それぞれの自国、そしてアフリカ全体において課題の実行を成功させるよう確保することを約しました。開催国として挨拶したエチオピアのメレス・ゼナウィ首相は、提案されている「2007〜15年のアフリカにおけるディーセント・ワークの十年」について、ミレニアム開発目標に沿った貧困削減の試みにおける大きな課題の点から非常に時宜を得た妥当なものと評価しました。ブルキナファソのブレーズ・コンパオレ大統領は、ディーセント・ワーク課題はアフリカの貧困と失業に対する解決策をこの大陸が探し出すことを可能にすべきとし、ディーセント・ワークと完全雇用の実行を大陸全諸国の目標とすべきとしました。タンザニアのジャカヤ・ムリショ・キクウェテ大統領は、アフリカはインフォーマル・セクター、インフォーマル・セクターで働く多くの人々に対する社会的保護の拡張、若者の雇用にもっと注意を払うべきと唱えました。
同じく挨拶した全アフリカ議会のガートルード・モンゲラ議長は、貧困の重荷を担っているアフリカの女性の現状を紹介した上で、ディーセント・ワーク課題の目標達成に向け、ILOと協力できることを期待していると結びました。
会議には北アフリカとサハラ以南アフリカのILO加盟国53カ国から政府及び労使団体代表約500人が出席し、4日間にわたり、増大しつつあるこの大陸の失業者と働く貧困層の削減に向けた新しい政策ポートフォリオについて話し合いを行います。ケマル・デルビシュ国連開発計画(UNDP)総裁の基調講演も予定されています。アフリカの家族にディーセントで生産的な雇用を創出しようとのアフリカ・サミットで行われた呼びかけに応え、アフリカでは既に19カ国でディーセント・ワーク国別計画が活動を開始しており、25カ国で検討段階にあります。
第11回アフリカ地域会議(アディスアベバ・2007年4月24〜27日):景気好転にもかかわらず、ディーセントな仕事がまだ十分でないアフリカ経済−政府、使用者、労働者が集い、貧困削減、ディーセント・ワーク創出に向けた新「政策ポートフォリオ」について検討予定(英語原文)
2007年4月20日(金)発表ILO/07/13
ILOはアフリカ、欧州、米州、アジアの四つの地域別に原則4年おきに、域内加盟国におけるILOの活動を見直し、地域の労働の世界に係わる課題や問題点を検討する地域会議を開催しています。4月24〜27日にアディスアベバで開かれる第11回アフリカ地域会議には、北アフリカとサハラ以南アフリカのILO加盟国53カ国から政府及び労使団体代表300人以上の参加が見込まれます。
討議資料として提出される事務局長報告は、過去3年間にアフリカの景気は好転してきたものの雇用創出力は弱く、年間の雇用成長はわずか860万であり、ミレニアム開発目標の貧困半減達成目標年である2015年までにアフリカの失業率(現在10.3%)を世界平均の6.3%まで低下させるには年間1,100万程度の雇用成長が必要であろうと指摘しています。さらに、今回初めてアフリカの雇用情勢について分析し、「働く貧困層」の割合は2015年までに低下すると見込まれるものの(1日1人当たり2ドル未満で暮らす人の割合は2006年78.6%→2015年76.4%、1ドル未満は2006年46.2%→2015年44.1%)、数は大幅に増加する(1日1人当たり2ドル未満で暮らす人の数は2006年2億6,030万人→2015年3億1,670万人、1ドル未満は2006年1億5,280万人→2015年1億8,290万人)と予想しています。
この他に地域が直面している課題として、報告書は労働市場に大きなダメージを与えているHIV(エイズウイルス)/エイズ、女性と若者の限られた雇用機会、児童労働を挙げています。2005年に生産年齢人口(15〜64歳)の男性900万人と女性700万人近くがHIV感染者またはエイズ患者であったと推計されますが、これは世界全体で2,460万人と推計される労働力人口に占める感染者・患者の3分の2近くに相当します。アフリカでは25歳未満の若者が失業する可能性はそれより年長の人々の3倍に達し、女性の多くは依然として農村の自給自足経済で働いています。経済活動に従事する児童(5〜14歳)の割合は低下したものの(2000年29%→2004年26%)、人口増を理由として児童労働者の実数は同じ期間に4,800万人から4,930万人に増えていると推計されます。
地域会議に提出される報告書は、このアフリカで適切で人間らしい働き方である「ディーセント・ワーク」を現実のものとするための討議用の「政策ポートフォリオ」として、1)経済成長がすべての人への雇用を推進することの確保、2)労働者の権利が実効的に擁護・尊重されることの保障、3)社会的保護の保護対象の拡大と質の改善、4)社会対話と共に良い統治を促進することという四つの主な課題に言及し、「2015年までに極端な貧困を半減するためには、雇用を中心に据えた成長戦略が必要」と説いています。
チェア・ビチェア氏殺人事件上訴審理についてのILO声明(英語原文)
2007年4月18日(水)発表ILO/07/11
2004年1月に発生したカンボジアの労働組合指導者チェア・ビチェア氏殺人事件の裁判において、ボーン・サムナン及びサム・ソク・オェウン両被告の有罪判決を支持する決定が2007年4月12日にカンボジア控訴裁判所より出されたことに対し、ILOは4月18日付で深い懸念を表明する声明を発表しました。2004年1月より拘禁されている両被告の自白は警察の拷問によって引き出されたものと主張されていますが、この申し立てについて控訴裁判所も州検察官も争うことを避けています。
2004年のチェア・ビチェア氏殺害直後からILOは政府に対し、独立した透明な捜査の確立を要請しています。2006年には、捜査と訴追の過程における様々な手続き上の不備を指摘する重要な申し立てを受け、ILO理事会の結社の自由委員会は裁判の正常性に深刻な疑念を示し、この犯罪の実行犯と教唆犯を確定する中立かつ独立した立場による徹底的な調査を実行する試みについて政府から何らの情報も得られなかった事実に遺憾の意を表明しています。
今回の声明で、ILOはこのような経緯を説明した上で、繰り返し行われた懇請にもかかわらず、政府がこの点で何の行動も取らなかったこと、そして両被告の有罪判決を支持した控訴裁判所の法的手続きに見られる不正に対する「強い懸念」を表明しました。そして、チェア・ビチェア氏殺害事件を巡る透明性の欠如を遺憾とし、このような状態は「労働組合の権利と基本的市民的自由の行使にとってきわめて有害な暴力と安全性の欠如の風潮を強化するような、犯罪者が処罰されないで済むとの雰囲気を助長するに過ぎない」として、政府に対し、「独立かつ中立的な立場にある十分な調査を通じてこの不正を是正するよう直ちに措置を講じること」を求めました。
ガーナの最も弱い人々に健康保険と年金資金を提供するILOの新「世界社会信託基金」がルクセンブルクで発進:新基金にはOGB−L ONG連帯組合が協力(英語原文)
2007年4月17日(火)発表ILO/07/12
ILOでは2003年から社会保障の適用範囲をすべての人に拡大することに向けたキャンペーンを行っていますが、この一環として、4月17日に、先進国で集めた募金で途上国の社会保障を援助するという世界社会信託基金の仕組みが正式に運営を開始しました。このユニークな国際連帯基金の最初のものはルクセンブルクとガーナの間で実施されます。
OGB−L ONG連帯組合を通じてルクセンブルクの人々が行う月5ユーロ(2007年4月現在約800円)の募金は、妊婦や幼児を抱える母親を中心としたガーナの受益者層に健康保険と年金の適用を広げるために用いられます。
サハラ以南アフリカでは、健康保険や年金制度の適用対象が経済活動人口の1割にも達しません。このうちガーナが今回受益国として選定されたのは、社会的保護をすべての国民に広げるための措置を講じているためです。しかし、2003年に導入された全国健康保険制度はすべての人々のニーズに応える十分な資力を欠いており、ILO社会保障局では既にオランダ政府の財政支援、英国政府の支援を受け、同国ダングメ西地区において相互健康保険制度の整備を支援してきました。この3年間で3,000〜4,000人の貧しい人々が保険料の75%の補助を受けています。ルクセンブルクから集められる基金も最初はこの地区を支援することになりますが、長期的なパートナーシップとしてさらなる資金の動員が成功すれば全国的に拡大していくことが予定されています。
ILOの会議で電子部品製造業における労働力要件の変化について検討(英語原文)
2007年4月13日(金)発表ILO/07/10
ジュネーブのILO本部では4月16〜18日の日程で、「IT産業向け電子部品製造三者構成会議:グローバル経済のもとで要求される労働力の変化」と題し、年間1兆ドルを超える大輸出産業である電子部品製造業の労使代表及び政府がこの産業の労働・社会問題について話し合う会合が初めて開催されます。
チップ、半導体、携帯電話、薄型テレビ、CDや音楽プレーヤー、フラッシュ・メモリカード、その他基礎電子部品を製造している電子部品製造業はアジアの途上国及び新興経済諸国を中心に数百万の雇用を創出し、数十億ドルの資本を投下しています。会議の討議資料として作成された報告書「The production of electronic components for the IT industries: Changing labour force requirements in a global economy(IT産業向け電子部品製造:グローバル経済のもとで要求される労働力の変化・英文)」は、農業と織物・衣料産業を合わせたよりも大きく、急成長を続けているこの産業の最近の動向に加え、労働条件、賃金水準、ジェンダー問題、労使関係といったこの産業で見られる懸念事項を検討しています。会議では、報告書をもとに、労使間の社会対話の役割、ILO並びに政府及び労使団体がこういった問題に取り組むために取り得る行動について話し合いが行われる予定です。
電子産業の世界合計輸出高は1995年以降年平均2.7%で成長を続けており、2004年に記録的な水準に達しています。2003年に世界の商品輸出高は1996年比60%増を記録しましたが、情報通信産業(ICT)商品の輸出高は倍増し、2003年に1.1兆ドルを超え、世界の商品輸出高の15%を占めるに至っています。2003年までは日米が主要輸出国でしたが、外資導入を主な要因として、今では雇用面(2005年の産業就業者数は600万人超)でも輸出面(2003年の輸出高625億ドル)でも中国が首位に立っています。
報告書はまた、公式教育・訓練制度のみでは、急速に変化する技能要件についていけなくなっているとして、操業に必要な労働者を育成するために企業は莫大な訓練費を必要としていることを示しています。
さらに、労働・社会問題に関する懸念に応え、多くの多国籍企業や産業団体が採用している自主イニシアチブや企業の社会的責任についても取り上げています。例えば、大手コンピュータ・電気通信会社のほとんどが採用している電子産業行動規範(EICC)やグローバルe-持続可能性イニシアチブ(GeSI)は、ICT部門の企業がそのサプライ・チェーン(供給プロセス)における社会・環境問題をより効果的に管理するため協力し合う方法を探求しています。
2007年3月発表分
第298回ILO理事会閉幕:ILO予算、ミャンマー、ベラルーシ、その他の諸国における労働情勢、貿易と雇用政策について検討(英語原文)
2007年3月30日(金)発表ILO/07/09
3月8〜30日にジュネーブで開かれた第298回ILO理事会の主な成果は以下の通りです。
- 事業計画・予算:今年の総会に審議のため提出される2008〜09年の事業計画・予算案の検討が行われ、現行年度と実質同水準の総額5億9,400万ドルの予算案が採択されました。
- 貿易と雇用:理事会のグローバル化の社会的側面作業部会では、2月にILOと世界貿易機関(WTO)の事務局が共同で制作した報告書「Trade and employment: Challenges for policy research(貿易と雇用:政策研究の課題・英語)」をもとに、パスカル・ラミーWTO事務局長やチリの労働・社会福祉大臣、インドの労働・雇用省労働・雇用担当次官、国際使用者連盟(IOE)会長、ILO理事会労働者グループ・スポークスパーソンも参加したパネルの主導で、貿易と雇用政策に関する討議が行われました。ILOとWTOの初の共同研究プロジェクトを表す本書について、ラミーWTO事務局長は、政策策定者が政策設計、とりわけそれが意味するところのトレードオフについて考える助けになり得ると評しました。ソマビアILO事務局長は議論を総括して、この共同研究が国内における三者対話の有用な源泉となり、貿易交渉に関する三者協議に寄与することへの期待を表明しました。
- ミャンマー:理事会は、強制労働被害者が報復を恐れることなく救済を求められるメカニズムについて2007年2月にILOとミャンマー政府との間で達成された合意、さらに合意の実行が開始され、強制労働が関与する事件についてミャンマー当局の行動が取られた事実を歓迎し、このメカニズムが効果的に機能し続けるよう、ILO事務局に対しては、ヤンゴン駐在ILO連絡員を補佐する適切な職員を早急に任命すること、ミャンマー政府に対しては、必要な協力や便宜の提供を要請しました。国際司法裁判所に勧告的意見を要請する件については、事務局で必要な問題点についての検討を続けるとの理解の下で、検討を先送りすることに決定しました。
- ベラルーシ:2004年に審査委員会が出した勧告の政府による遵守状況について、3回目の審議が行われたベラルーシについては、肯定的進展がいくつかあったことに留意しつつも、労働組合団体の不登録やその結果としての地方組織の登録拒否といったように懸念される状況の継続が指摘され、審査委員会のすべての勧告の実行に向け、ILOと全面的に協力することやすべての労使団体が干渉を受けずに自由に機能し、登録されるよう確保すること、現行の労働組合法構想案の放棄、団結権の確保を目指し、すべての関連する社会的パートナーと十分な協議の上、あらゆる法制を見直すことなどを要請しました。
- 結社の自由:理事会で採択された結社の自由委員会の報告書では、ジブチとジンバブエの案件に特に注意が喚起されました。労働組合指導者及び活動家の権利乱用的解雇、連帯支援行動を取った200人近い労働者のその後の身柄拘束を含む威嚇行動や労働組合の権利侵害が問題になっているジブチについては、権利乱用的解雇の申立てに対する独立調査を迅速に開始し、申立てに根拠があることが証明された場合に職場復帰を確保することなどを政府に要請しました。
ジンバブエ中央労働組合(ZCTU)の指導力を損なうことを目指し、政府による対立派の支援、会議妨害、組合本部強制捜査、財産押収、根拠のない調査の開始、結社の自由を侵害する労働法改正提案、ZCTU指導者及び組合員の逮捕といった事態が見られるジンバブエについては、労働組合活動に関係しない理由で労組活動家に対して提起された告発の取り下げ、ZCTU組合員が身柄拘束中に殴打されたとの申立てや組合内対立派による会議妨害・身体攻撃に関する当事者に信用された独立調査の開始を要請しました。外国の労組活動家の国外追放・入国拒否に対しては、相互支援派遣団の入国許可を求めたほか、ILOによる直接接触派遣団提案の再検討を政府に求めました。
日本については、岡山県高等学校教職員組合が公立学校教員の団体交渉権の制約と交渉が決裂した場合の迅速かつ中立で十分な調整・仲裁手続きの不在について行った申立てがフォローアップ段階にある案件として取り上げられ、報酬交渉、教員評価制度、人事委員会の独立性に関し、組合より寄せられた新たな申立てと政府より提供された情報を検討し、団結権及び団体交渉権条約(第98号)第6条の公務員の適用除外の範囲を明確化した上で、公務員の身分にある教員が第98号条約の付与する保障を享受することの重要性が強調されました。委員会は、1)労働協約による公立学校教員の雇用条件規制に向け、自主的な交渉のための仕組みを十分に開発し、活用することを奨励し、推進する適切な措置を講じ、2)人事委員会の委員が関係当事者に信用された中立性を有する者であるよう確保するために必要な措置を講じることを政府に求めました。
HIV/エイズに対する闘いのステップアップに向けたEUの決定をILO歓迎(英語原文)
2007年3月14日(水)発表ILO/07/08
去る3月11〜12日にドイツ政府の主催により欧州連合(EU)加盟国及び非EU加盟16カ国の保健大臣が出席してブレーメンで開催された会議では、「責任とパートナーシップ−共に闘おうHIV/エイズ・ブレーメン宣言」が採択されました。ILOでは3月14日に、エイズウイルス(HIV)/エイズに対する闘いにおける職場の役割を幅広く認識した規定を含むこの宣言の採択を歓迎する新聞発表を行いました。
宣言は、抗レトロウイルス治療を受けているHIV陽性労働者の労働市場への再統合と秘密保持、権利の保護と差別といった項目を含み、欧州においてエイズと闘うための新しいイニシアチブの検討を約するものです。この流行病との闘いにおける職場の役割を認識した上で、宣言は政府、労働者、使用者に対し、HIV感染者に対する差別撤廃政策と患者・感染者に対するケアとサポートの確保を呼びかけています。
会議にはHIV/エイズと働く世界ILO計画のソフィア・キスティング部長が参加し、「HIV/エイズと働く世界ILO行動規範」を基礎としたILOの活動を紹介する発表を行いました。宣言はこれを受け、この規範の価値を明文で認めています。「職場活動のためのこの青写真は国際的に認められ、全世界的に適用可能であり、先進国でも使用者及び労働組合はHIV/エイズに対する方針の価値をますます認めるようになってきており、このILO行動規範が判断基準として用いられています」とキスティング部長は語っています。国連合同エイズ計画(UNAIDS)の他の共同スポンサーとの協力による実行に加え、ILOではディーセント・ワーク国別計画の中でHIV/エイズの主流化を図っており、例えば、ドイツの開発機関GTZと共同で2002年から実施している東欧及びアフリカのILO加盟国政労使を対象としたパートナーシップ計画では、能力構築、社会経済研究、好事例の情報交換、官民パートナーシップの支援を通じて職場における方針や事業計画の実行を支援しています。
HIV/エイズによる雇用減が100万を超えているアフリカ、アジア、中南米の最も影響が大きい国々よりは感染率が低いものの欧州でも課題は膨らみつつあり、UNAIDSによれば2006年に欧州では27万人が新たにHIVに感染し、感染者数は総計170万人となり、10年以内で20倍に増加しているとされます。
第298回ILO理事会開幕:ILO予算、貿易と雇用、ベラルーシとミャンマーの労働状況などについて審議を予定(英語原文)
2007年3月8日(木)発表ILO/07/07
3月8〜30日の日程でジュネーブで開催される第298回ILO理事会の主な議題は以下の通りです。
- ミャンマー:同国の強制労働問題について、国際司法裁判所に勧告的意見を要請するかどうかの検討に加え、去る2月26日に同国政府との間で達成した強制労働被害者が報復を恐れることなく救済を求められるメカニズムに関する合意内容について検討します。既にこの合意に基づき、ヤンゴン駐在ILO連絡官のもとには、強制労働に関する苦情申立てが届いています。
- ベラルーシ:労働組合の権利侵害が問題になっている同国については、2004年の審査委員会が出した勧告の政府による遵守状況が検討されます。
- 事業計画・予算:今年の総会に提出される2008〜09年の事業計画・予算案の検討も行われます。すべての国、地域、そして世界全体において、適切で人間らしいディーセント・ワークを得る機会が確保されることを目指したディーセント・ワーク目標の達成を支援するよう編成された2008/09年予算案は、現行年度と実質同水準の総額5億9,400万ドルとなっています。
- 貿易と雇用:ILOは2月に、世界貿易機関(WTO)事務局と共同で、貿易と雇用に関して現在出されている文献を検証してまとめた報告書「Trade and employment: Challenges for policy research(貿易と雇用:政策研究の課題・英語)」を発表していますが、理事会のグローバル化の社会的側面作業部会では、これに基づくパネル討議が行われます。パスカル・ラミーWTO事務局長とフアン・ソマビアILO事務局長が司会を務めます。
- 社会・雇用政策委員会:賃金の世界的動向、技能のポータビリティー、インフォーマル経済におけるディーセント・ワークなどの問題を検討し、パキスタンとブルキナファソの雇用政策に関する発表が行われます。
- 多国籍企業小委員会:企業の社会的責任に関連した世界各地の活動、今年11月16日に予定されている「多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言」の採択30周年記念事業に関する話し合いが行われます。
- 技術協力委員会:ILOの児童労働撤廃国際計画(IPEC)の2006年の活動ハイライト、技術協力における官民パートナーシップ、コロンビアにおけるILOの技術協力計画といった事項が審議されます。
理事会ではこの他に、国連改革や結社の自由委員会の最新報告書、今年11月1〜2日にリスボンで開かれる公正なグローバル化に向けたディーセント・ワークILOフォーラムの準備状況などに関する話し合いも行われます。
「世界の雇用情勢摘要2007年版−女性編」−働く貧困層の女性化を警告するILOの報告書(英語原文・日本語訳)
2007年3月5日(月)発表ILO/07/06
2007年の国際女性の日(3月8日)に際してILOが発表する新刊「Global employment trends for women brief - 2007(世界の雇用情勢摘要2007年版−女性編・英語)」は、女性の労働力人口は2006年に世界全体で12億人と最高記録を達成しているものの、失業者数も多く(8,180万人)、就業上の地位、雇用保障、賃金、教育における男女格差の存続は「働く貧困層の女性化」に寄与していると警告しています。また、若い女性が働くよりも学ぶ傾向が高くなっていることも一因として、いくつかの地域では女性労働力率の伸び悩みや低下も見られるとしています。
10年前に比べて、働く女性全体に占める賃金労働者・俸給被用者の割合は高くなっていますが(42.9%→47.9%)、最も貧しい地域では女性は男性よりも無給の家族従業者や低収入の自営労働者として働く可能性が高く、例えば、サハラ以南アフリカでは働く女性の10人中4人が、南アジアでは10人中6人が家族従業者に分類されるのに対し、男性は10人中2人に過ぎません。
本報告書2004年版では、働いていながら1日1人当たり1ドルの貧困線を上回る収入を得ることのできない働く貧困層の少なくとも6割を女性が占めると推計されていましたが、2007年版の報告書でもこの状況が大きく変わったと信じる理由はないとしています。
失業の可能性は依然として女性が男性よりも高く、2006年に男性の失業率が6.1%であったのに対し、女性の失業率は6.6%でした。就業率は世界全体で女性が男性よりもかなり低くなっており、15歳以上の生産年齢人口の女性の半数しか働いていないのに対し、男性は10人中7人以上が働いているとされます。男女間の就業率格差は過去10年間に、差が拡大した東アジアと不変のサハラ以南アフリカを除き、すべての地域で縮小しています。格差が最も顕著なのは中東・北アフリカで、生産年齢人口10人中の働く人の割合は、男性が約7人であるのに対し、女性は2人強に過ぎません。
六つの職種について得られるデータを検証し、報告書はまた、ほとんどの経済において女性の賃金は依然として男性の9割以下であり、看護や教育といった典型的な女性職でさえ男女の賃金平等が達成されていないとして、賃金格差存続の証拠を示しています。ただし、いくつかの職業についてはグローバル化が賃金格差の縮小に一役買っている証拠も見られるとしています。教育を受ける機会や教育水準もほとんどの地域で平等とはほど遠く、女子の方が家事手伝いや働くために学校をやめる場合が多いため、学校中退者の6割を少女が占めています。
今年の報告書は、ペースは遅くとも男女格差は縮小しつつあるというわずかに元気づけられる事実を示しています。フアン・ソマビアILO事務局長は、「世界的な男女平等に対する探求の中で、適切で人間らしい仕事を意味するディーセント・ワークの推進を基本的な手段とすることによって、長期的には女性の収入向上と機会拡大、家族の貧困からの脱出が達成できよう」と唱えています。
2007年国際女性の日:
「境界を打ち破り、変化を推進してきた」働く女性を祝するILOの行事予定(英語原文)
2007年3月1日(木)発表ILO/07/05
2007年の国際女性の日(3月8日)に際し、ILOは「境界を打ち破り、変化を推進してきた」働く女性達を祝する行事を予定しています。
ジュネーブのILO本部では当日、民間人として初めて昨年9月に宇宙を旅行し、国際宇宙ステーションに8日間滞在した実業家のアヌーシャ・アンサリさんと、全国的労働者団体の代表者にアフリカ女性として初めて就任したギニア全国労働総同盟(CNTG)のラビアツ・セラ・ディアヨ書記長の出席を得、働く女性として変化の境界を破ったそのユニークな経験談を聞く円卓会議が開催されます。フアン・ソマビアILO事務局長の声明発表も予定されています。
ILOではまた、働く女性の世界的な現状を概説した新たな報告書「世界の雇用情勢摘要2007年版−女性編」を発表します。働く女性の数、失業者数、「働く貧困層の女性化」に関する新しいデータを含む同書は、労働市場における女性の世界的な現状を簡潔にまとめたものとなっています。過去10年間における女性の労働市場参加における推移の分析も示されています。
この他に、ILO広報誌「World of Work」の1999〜2006年の掲載記事より男女平等に関するものを集めた出版物「Gender equality around the world」も発表されます。職場内差別、エストニアの女性求職者、タンザニアにおける男女平等に対する画期的なライフサイクル・アプローチ、インドの自営業女性、ノルウェーの進歩的な父親休暇政策、フィリピンの女性家事使用人、戦争を取材する女性、武力紛争において命を賭けて戦っている女性兵士、スポーツ界の女性など様々な視点から、働く世界の男女平等に関するこの10年間の課題と好事例が紹介されています。
日本国内では、東京・渋谷区のUNハウスにおいてILO駐日事務所を含む在日国連機関が共同で「女性と女児への暴力に終止符を」をテーマとした公開フォーラムを開催します。ILOでも、職場を含む世界規模での女性と女児への暴力に関し、その定義、規模、暴力のコストといった全体像を示し、このような状況の放置を許さないよう呼びかけるファクトシートの発表を予定しています。
以上のような各種発表文書、動画を含む広報資料、世界各地の行事に関する情報は、ILOウェブサイト内の2007年国際女性の日特集ページで入手できます。
2007年2月発表分
ILOとミャンマー、合意文書を締結(英語原文)
2007年2月26日(月)発表ILO/07/04
強制労働の存在が長く問題になってきたミャンマー政府は2月26日、強制労働被害者救済のためのメカニズム構築を求めるILO総会及び理事会の要請に応え、ILOと合意文書を締結しました。
合意文書は、強制労働の被害者であると申し立てるミャンマーの人々が、ヤンゴンに駐在するILO連絡官に苦情申立てを提起する完全な自由を提供するものです。申立てを受けたILO連絡官は、事件が強制労働を伴っているかどうか秘密裏に予備評価を行い、ミャンマー当局による捜査、加害者に対する適切な行動への道を開くことになります。
合意文書には、申立人に対する報復行為の禁止を保証する規定が盛り込まれ、ILO連絡官が申立人その他の関係者と会合する目的で、ミャンマー国内を適時に旅行する自由が提供されることも規定されています。
このメカニズムは試験的に12ヶ月間実施されますが、双方の合意による延長も可能になっています。
ILOとUNDP−
ディーセントな仕事のための成長促進に向けて手を結ぶ(英語原文)
2007年2月9日(金)発表ILO/07/03
ILOは「すべての人へのディーセント・ワーク(人間らしい適切な仕事)」を活動目標に掲げていますが、貧困削減とより多くのディーセント・ワークの創出に向けた国連の活動を強化する努力の一環としてこの度、国連開発計画(UNDP)とパートナーシップ及び協力関係強化に向けた合意を達成しました。
2月9日の公式式典でフアン・ソマビアILO事務局長とケマル・デルビシュUNDP総裁が調印した共同合意文書は、人口の2〜4割を占める底辺層に利益するような社会開発を伴った包摂的な経済成長を推進し、2015年までにミレニアム開発目標を達成するための国連の努力を強化することを目指しています。ディーセント・ワークと完全雇用に関する2006年の国連経済社会理事会閣僚宣言を直接フォローアップする今回の合意は、国連システムの一体的な業務提供努力の実施に向けた実践的な一歩を表すものです。既に両機関では、ディーセント・ワークを国連国別計画の中心的な要素とする上で、ILOとUNDPの支援を連結できる最大の機会を提供している国を複数把握しています。現在見られる格差拡大は貧困削減努力を阻むものとして、民主的な参加と共に「経済力の強化、すなわちすべての人へのディーセント・ワーク」の必要性を唱えるこの合意は、他の国連諸機関にも開放されており、国連諸機関の共同活動拡大のモデルとなることが期待されます。調整的な役割を有するUNDPとの合意の達成は、ディーセント・ワーク課題を国連加盟国内で進めていく有用な手段になると予想されます。
ILOでは今後、国連国別計画を率いる国連常駐調整官などを対象とした研修計画をILOトリノ・センターで実施し、ディーセント・ワーク課題の理解拡大、ディーセント・ワーク国別計画を国連の国別計画並びに調整とプログラミングのための国内枠組みと結びつける戦略の開発に努める予定です。
2007年1月発表分
世界の雇用情勢2007年版:◎力強い経済成長にもかかわらず、世界の失業者数は依然史上最高◎働く貧困層の削減はわずかに達成(英語原文)
2007年1月25日(木)発表ILO/07/02
ILOが25日に発表した雇用に関する年次報告書「Global Employment Trends Brief 2007(世界の雇用情勢摘要2007年版・英語)」は、世界的に力強い経済成長が見られるにもかかわらず、2006年に世界全体の失業者数は1億9,520万人(失業率6.3%)と、依然として最高水準を保っていると記しています。そして、世界全体で13.7億人と推計される、働いてはいるものの1日1人当たり2ドル相当額未満で暮らしている「働く貧困層」の削減にはほとんど結びつかなかったとしています。フアン・ソマビアILO事務局長はこの5年余り続いている力強い経済成長が貧困層の削減にわずかな影響しか与えていない現状を憂え、2007年にもこの成長が続いたとしても、「まともな雇用が創出され、『働く貧困層』がさらに削減される見通しには深刻な懸念が存在する」と述べています。
報告書は、失業率低下に向けた成長と雇用のつながりの強化を提案し、単なる仕事ではなく、生産的でまともな仕事が失業者や貧困者を減らす前提条件となり、このようなディーセント・ワークがひいては将来的な経済成長と発展を導く前提条件になるとして、各国政府及び国際社会の取り組みを呼びかけています。
報告書はこの他に次のような事項を指摘しています。
- 過去10年間に、世界の生産性は26%伸びたのに対し、就業者数はわずか16.6%増と、経済成長は雇用増ではなく、生産性水準の上昇に、もっと大きく関連していること
- 2006年に世界全体の失業者数の44%(8,630万人)が若者(15〜24歳)であったように、失業問題の影響を最も受けているのは若者であること
- 男女間の就業格差は依然残り、2006年に男性の74.0%(1996年75.7%)が就業していたのに対し、女性は48.9%(1996年49.6%)であったこと
- 産業別就業構造では、2006年に世界の雇用の40%をサービス部門が占め、初めて農業(38.7%)を上回ったこと
地域別では、2005年から2006年にかけて、失業率はあまり変化しておらず、最大の減少幅を示したのは先進諸国・欧州連合(EU)諸国で0.6ポイント減の6.2%となっています。失業率が最大なのは依然、中東・北アフリカ(12.2%)、これにサハラ以南アフリカ(9.8%)が続き、この地域では10人に8人が1日2ドル未満で暮らすといったように「働く貧困層」の割合も最も高いため、アフリカにおけるディーセント・ワーク不足への取り組みが世界の最優先課題となります。逆に失業率が最も低いのは依然として東アジア(3.6%)で、これに南アジア(5.2%)が続きます。就業率は地域差が大きく、中東・北アフリカ(2006年に47.3%)で最も低く、東アジア(同71.6%)で最も高くなっています。1日1人当たり1ドル相当額未満で暮らす「働く貧困層」の数は2001年から2006年にかけて、1,400万人増えたサハラ以南アフリカとほとんど変わらなかった中南米及び中東・北アフリカを除くと、どの地域でも減ってきています。
ブルネイが180番目のILO加盟国に(英語原文)
2007年1月23日(火)発表ILO/07/01
ブルネイ・ダルサラーム国より内務大臣名にてILO憲章義務を正式に受諾する旨の書簡を受領したことにより、同国は2007年1月17日付で180番目のILO加盟国となりました。
ブルネイは既に1984年9月21日に国連に加盟していますが、国連加盟国はILO憲章の義務の正式な受諾をILO事務局長に通知することによってILOの加盟国となることができます。
駐日事務所新聞発表−2007年
労働災害及び職業病の予防に向けて:日本がILO第187号条約の最初の批准国に
2007年7月24日(火)発表
イオン株式会社よりILOの児童労働撤廃活動に100万円の寄付金
2007年2月13日(火)発表
お知らせ−2007年
国際障害者デー写真コンテスト:最優秀賞受賞者はベトナムのカメラマン
12月3日の国際障害者デーに際して開催された「障害者のためのディーセント・ワーク」アジア太平洋写真コンテストに多数のご応募有り難うございました。日本を含む19カ国から寄せられた250点近くの応募作品を厳正に審査した結果、最優秀賞はベトナムのフン・グエン氏の作品「投網」に送られることが決定しました。二等賞には同じくベトナムのトイ・ルー・トゥアン氏の「先生の手の暖かさ」、三等賞にはカンボジアのビボル・チョウム氏の「外見ではなく、能力を見て」が選ばれました。最優秀作品は小さい釣り船のへりに立って網を投げている片腕の男性の姿をセピアの画像で写しとっています。受賞作品の一覧はこちらへ。
[2007年12月4日掲載]
新刊:仕事の世界におけるパターンの変化−日本語版
2006年の第95回ILO総会に提出された事務局長報告「Changing patterns in the world of work」は世界の労働力の急増、サービス産業就業者数の増大、インフォーマル経済の成長、労働市場における柔軟性と安全保障を求める圧力の増大、国際労働力移動の拡大など、労働市場の今日的な変化の動向をまとめたものとなっています。ILO駐日事務所ではこの度、同書の日本語版を作成し、ご希望の方に有料(2,000円+郵送料)で配布しています。購入ご希望の方は、ILO駐日事務所販売担当までお申し込み下さい。PDF版(3.1MB)をご覧になる方はこちらへ。
[2007年10月18日掲載]
広報誌「ワールド・オブ・ワーク」2007年第1号発行
ジュネーブのILO本部コミュニケーション・広報局より年3回発行されている広報誌の一部記事の和訳と日本における関連記事を掲載した日本語版広報誌の最新号(通巻第7号)が完成しました。本号では貧困からの脱却と就業上の差別を特集し、2007年のILO総会に提出されたグローバル・レポートの概要も含まれています。ほかに、フィリピンの家事労働者、小規模保険に関する記事に加え、労働安全衛生世界デー・フォーラムや労働・人権分野におけるCSRシンポジウムといったILO駐日事務所の活動に関する記事も掲載されています。
[2007年9月20日掲載]
日本がILO第187号条約の最初の批准国に
日本は7月24日にジュネーブのILO本部で、2006年に採択された「職業上の安全及び健康促進枠組条約(第187号)」の批准書を寄託し、同条約の最初の批准国となりました。第187号条約は、労働安全衛生の促進的な枠組みを定めたものです。日本がILO条約の最初の批准国となるのは今回が初めてです。本件に関する同日付新聞発表は、こちらへ。
[2007年7月24日掲載]
新刊:多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(第4版)
多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言は1977年に採択された後、数度にわたって改訂されています。この度、2006年3月の第295回理事会で採択された改正分までを含んだ最新版(第4版)の日本語版を作成しました(英語その他各国語版はこちらへ)。
[2007年6月27日掲載]
新刊:労働安全衛生世界デー報告書
ILOでは4月28日を「労働安全衛生世界デー」と定め、職場における安全・健康文化の促進に人々の関心を喚起する日としています。今年の世界デーに際して発表された報告書「安全で健康的な職場:ディーセント・ワークを現実にする」の日本労働組合総連合会による日本語訳を掲載しました(英語版はこちらへ)。
[2007年6月27日掲載]
医療生協よりILOのジャワ島中部地震復興活動に100万円の義捐金
去る2006年5月27日の地震で甚大な被害を受けたインドネシアのジャワ島中部において、ILOは同国アチェにおける2004年の津波・地震復興支援活動の経験と知見に基づき、建築基準に合った堅固な住宅再建を目指した建築技術の訓練を行っています。この災害に対する支援の一環として、日本生活協同組合連合会(日生協)医療部会より、会員組織である医療生協を通じて集められた104万8,278円の義捐金がILOに対して拠出されました。この義捐金は、ILOによるジョグジャカルタ州バンツール地区の診療施設の再建等に充てられる予定です。9月5日には、来日中のマリア・アンヘリカ・ドゥッチILO官房総局長、山下俊史日生協副会長、宮田育治日生協理事(郡山医療生協専務)などの出席を得て、ILO駐日事務所で義捐金授与式が行われました。9月1日付の新聞発表本文はこちらへ。2007年2月に出されたプロジェクト中間報告概要はこちらへ。ジョグジャカルタの地震に対するILOの活動の詳細については、ILOインドネシア事務所のホームページ(http://www.ilo.org/jakarta)をご覧下さい。
[2007年2月23日更新]
イオン株式会社よりILOの児童労働撤廃活動に100万円の寄付金
イオン株式会社(千葉県)は、2006年10月に受賞した第3回「朝日企業市民賞」の副賞100万円を、ILOがタイ北部で実施する児童労働撤廃活動に寄付することを決定しました。寄付金はチェンライで、学校、地域社会における児童労働及び人身取引の危険性に関する啓蒙活動、弱い立場にある児童・若者が地元労働市場に技能を身につけて参入できることを目指した教育、訓練、キャリア開発活動に用いられる予定です。2月13日付の新聞発表本文はこちらへ。[2007年2月22日掲載]
広報誌「ワールド・オブ・ワーク」2006年第2号発行
ジュネーブのILO本部コミュニケーション・広報局より年3回発行されている広報誌の一部記事の和訳と日本における関連記事を掲載した日本語版広報誌の最新号(通巻第6号)が完成しました。本号の特集はディーセント・ワークで、日本におけるディーセント・ワークに関する政労使のコメントも含まれています。ほかに、ベトナムにおける農業労働安全衛生改善の取り組み、「まともな労働時間」や「職場における暴力」といった書籍紹介などの記事も掲載されています。ディーセント・ワークについては別途、新しいファクトシート(2枚組・PDF版http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/downloads/dc1.pdf、
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/downloads/dc2.pdf)も作成しました。
[2007年2月1日掲載]
最終更新日:2008年1月17日 作成者:EU 責任者:SH