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2006年新聞発表概要(全文は英語

2006年12月発表分

 国連障害者の権利条約の誕生をILO歓迎英語原文
    2006年12月14日(木)発表ILO/06/58

 世界全体で障害を有する男女約4億7,000万人が生産年齢にあり、このような人々が社会から排除されて仕事を見つけられない状態では、世界経済に毎年約1.9兆ドルの負担がかかると推計されます。ILOは、この度国連で、障害者の権利に関する新しい条約が全会一致で採択されたことを歓迎し、この21世紀初の大型人権条約の労働と雇用に関する諸規定がこういった人々に利することを期待する声明を発表しました。
 障害者の多くは雇用法制や最低賃金法が適用されない保護作業場で働くのが従来の慣行でしたが、新条約はその方針を大きく転換し、あらゆる形態の雇用において障害を理由にした差別を禁止し、障害を有する求職者に一般の職場に参入する機会を開くことを各国に求めています。それを円滑化するため、条約は障害者に、自由に選択した仕事、一般的な技術・職業指導計画、職業紹介、職業訓練・継続訓練に向けた道が開かれることを推進しています。また、職場へのアクセス可能性の向上を推進し、交通の便や書面及び電子形態による情報へのアクセスの改善を呼びかけることによって障害者が仕事を見つけ、維持することへの支援を図っています。
 この条約は「国際法における障害問題の捉え方の画期的な変化を記すもの」として、フアン・ソマビアILO事務局長は条約の採択を歓迎すると共に、「障害者の権利と尊厳を推進することによって、我々は個人に力を与え、経済を強化し、広く社会を豊かにすることになる」として、条約が「独立とディーセント・ワークの尊厳に向かう道」になることへの期待を表明しました。
 国連障害者の権利条約は2007年3月30日に批准と署名のために開放され、20カ国の批准を得た1ヵ月後に発効します。条約の発効は障害者が他の人々と平等に労働者及び労働組合の権利を行使できる可能性を開き、障害を理由にした差別はあらゆる形態の雇用で禁止されます。就業中に障害を負った労働者については、雇用維持方策を通じて雇用が保護され、職業・専門リハビリテーション及び職場復帰に向けた措置が講じられることになります。
 起草委員会への提言を通じてILOは条約の起草過程に関わってきましたが、今後は、政府、労使団体、そして世界全体の障害者団体と共に、その実行を図っていくことになります。新条約の規定は、1983年の職業リハビリテーション及び雇用(障害者)条約(第159号)、2004年の人的資源開発勧告(第195号)、2001年の「職場において障害をマネジメントするための実践綱領」といったILOの各種基準に沿ったものになっています。

 全ての人へのディーセント・ワーク推進に向けたEUの決定をILO歓迎英語原文
    2006年12月5日(火)発表ILO/06/57

 欧州連合(EU)の欧州理事会は去る12月1日に、ILOが21世紀の活動目標とする「全ての人へのディーセント・ワーク(人間らしい適切な仕事)」の課題に関し、EUを始め世界中でディーセント・ワークを推進していくことに関する複数の結論を採択しました。12月4〜5日にブリュッセルで開かれた「ディーセント・ワークを世界で推進する:EUの貢献」と題する欧州委員会の会議に出席したフリードリッヒ・バトラーILO欧州・中央アジア総局長は5日、ディーセント・ワークを世界の現実とすることに向けた努力に新たに力強い支援を提供するものとして、このEUの決定を歓迎しました。
 既に2005年に国連世界サミットでは、ミレニアム開発目標を達成する世界的な努力の一部として完全雇用、生産的な雇用、そして全ての人へのディーセント・ワークの目標に強い支持が表明され、今年7月にジュネーブで開かれた国連経済社会理事会のハイレベル部会でもディーセント・ワークが世界の目標として承認されました。今回のEUの決定は、ILOのディーセント・ワーク課題とEUの政策・活動のつながりを強化する一連の動きの最新のものに当たり、バトラー総局長はこの動きを、「生産的なディーセント・ワークの革新的な力を実現できる」協力形態に向かう道を開くものと歓迎しました。
 バトラー総局長はまた、欧州では、25歳未満の若者を中心に、失業者数が1,700万人と、懸念を惹起させるほどに高くなっていることや、世界の労働者の半数が1日1人当たり2ドルの貧困線を上回ることができていない状況を指摘し、5年間にわたり景気は比較的好調なものの、世界全体で年間4,000万人に達する労働力の増加に歩調を合わせるか、失業及び働く貧困層の問題を大きく解消できるのに十分なだけのディーセント・ワークが生み出されていないと指摘し、これは人生の悲劇的な浪費であり、社会に多くの心配な影響を与えていると警告しました。そして、「欧州はきわめて重要な時期にきわめて重要な事項についてリーダーシップを発揮しつつある」として、「そのリーダーシップ、そしてEUとILOのパートナーシップの強化は、ディーセント・ワークを世界の現実とする上で決定的に重要である」としました。

 2006年世界エイズ・デー:HIV/エイズの流行に伴う新規雇用機会の喪失は毎年100万以上とILO新刊書、職場を予防と治療に向けた主な入り口とすべきと提唱英語原文報告書エグゼクティブ・サマリー
    2006年12月1日(金)発表ILO/06/56

 12月1日の世界エイズ・デーに際してILOが発表する新刊「HIV/AIDS and work: Global estimates, impact on children and youth, and response 2006(HIV/エイズと仕事2006年版:世界の推計、子どもと若者に対する影響、そして対応・英文)」は、世界60カ国のデータをもとに、現在、15〜64歳の生産年齢にある人々3,630万人(その4分の3がサハラ以南アフリカ地域の住民)がHIV(エイズウイルス)感染者・エイズ患者であると推計しています。そして、影響が深刻な43カ国では、1992〜2004年の年経済成長率がこのために毎年平均0.5ポイント低下し、結果として雇用成長はHIVが存在しなかった場合に比べ、0.3ポイント低下して100万人分の雇用が失われたといったように、HIV/エイズの情け容赦のない蔓延は、経済成長及び雇用の伸びを著しく低下させ、貧困削減や若者を中心とした新規雇用創出、児童労働対策といった各種の取り組みを脅かしていると記しています。HIV/エイズを原因とした労働力人口における累計死亡者数は2005年に推計2,800万人でしたが、もっと多くの人が抗レトロウイルス治療法を利用できるようにならない限り、この数字は増加し続け、2020年には8,600万人近くに達すると予測されます。一方、誰もが抗レトロウイルス治療法を利用できるようになれば、2005〜10年の間に予想される死亡者数1,730万人の少なくとも14%が回避できるだろうと報告書は記し、職場を「主な入り口」とした抗レトロウイルス治療を得られる機会の拡大に向けた「力強い」新たな措置の導入を提案しています。
 将来の労働力に対する深刻な影響を考慮して、報告書は特に子どもと若者に対するHIV/エイズの影響に焦点を当てています。エイズ孤児は世界全体で1,500万人と推計され、このような子どもたちが収入を得るために従事する児童労働は子どもを危険にさらし、教育の機会を奪い、子どもたち自身をも感染の危険性が高い仕事に追いやる可能性があります。例えば、2002年にザンビアで行われたILOの調査はHIV/エイズの影響によって子どもの労働力人口が23〜30%増えたことを、ウガンダで2004年に行われた調査はエイズ患者世帯の子どもの95%以上が何らかの仕事に従事していることを示しています。若者の失業者数はより年長の人々の2〜3倍に達すると考えられていますが、資力が乏しい若者失業者の多くがHIVにさらされる危険性が高くなっており、毎日15〜24歳の若者5,000〜6,000人が感染し、新たな感染者の半数を若者が占めていると推計されます。

2006年11月発表分

 仕事の世界における2006年世界エイズ・デー英語原文
    2006年11月24日(金)発表ILO/06/55

 12月1日の世界エイズ・デーに際し、ILOでは職場内イベントから人間エイズリボンに至る多様なイベントを企画しています。例えばカンパラ(ウガンダ)では、2003年に国際使用者連盟(IOE)と国際自由労連(ICFTU)が行ったHIV(エイズウイルス)/エイズに関する協力を約した共同公約宣言に対するアフリカ8カ国の実質的なフォローアップとなる労使合同のHIV/エイズ研修ワークショップが開かれ、ベニンでは国営テレビ局、文部省の職員、さまざまな企業の医療担当者を対象としたILOによるHIVオリエンテーションが提供されます。
 ジュネーブのILO本部では、世界エイズ・デー前日の11月30日に、世界60カ国の労働の世界、労働力、生産年齢人口に対するHIV流行の影響について最新の推計を示す報告書「HIV/AIDS and work: Global estimates, impact on children and youth, and response 2006(HIV/エイズと仕事2006年版:世界の推計、子どもと若者に対する影響、そして対応・英文)」が発表されます。
 11月27日からは、国連合同エイズ計画(UNAIDS)及び国際家族計画連盟との共催による第1回HIV/エイズ国際漫画展がジュネーブのILO本部とニューヨークの国連本部で同時開催されます。展覧会では、ブラジル保健省主催のコンクールに世界各地から出展された作品が展示されます。
 ILOは「HIV/エイズと働く世界ILO計画」を通じて、仕事の世界におけるHIV/エイズ問題に取り組んでいます。同計画のウェブサイト(http://www.ilo.org/aids)では、エイズに対する労使の取り組みを支援する各種の資料が入手できます。例えば最近、ICFTU(現ITUC)、グローバル・ユニオン・エイズ計画、UNAIDSと共同で発行した、労働運動がHIV/エイズに対して取っている革新的な計画や成功している事業に光を当てた最善事例集も公開されています。使用者団体向けには、使用者団体とその会員がHIV/エイズに関する情報の迷路を抜け、その影響を管理し、この流行病に対する企業の対応を強化するのを支援するよう設計された職場活動向けの情報、ツール、好事例を提供するCD−ROMが作成されています。
 なお、ILO駐日事務所では、来る12月6日に、(財)国際労働財団と共催で、職場におけるエイズ問題をテーマに、エイズ問題を担当する世界の労働組合指導者からの報告や、職場のエイズ対策と労働組合の役割に関するパネルディスカッションを内容とする国際シンポジウムを開催します。

 職場における子どもに対する暴力の絶対不容認をILO呼びかけ英語原文
    2006年11月20日(月)発表ILO/06/54

 「世界の子どもの日」の11月20日、国連は子どもに対する暴力を包括的に検討した報告書「World Report on Violence Against Children(子どもに対する暴力世界報告・英文)」を発表しました。報告書は、推計2億1,800万人の児童労働者と約1億人の合法的に雇用されている少年少女が、職場で身体的攻撃や言葉による攻撃からセクシュアル・ハラスメント、強姦、はては殺人といった全体的に浸透している暴力に直面していることを紹介しています。報告書の作成に協力したILOは、このような暴力を全く容認しない政策の採用を求めています。
 フアン・ソマビアILO事務局長は、「全世界的に職場内暴力は一般的に増加しつつあり、働く児童や少年少女に対する暴力が時には仕事の一部になっている」と評し、「これは児童労働と共に止めなくてはならない」と強く主張しました。報告書の編集委員を務めたフランス・ロセラエルスILOパートナーシップ・開発協力局長は、「子どもに対する暴力は1件だけでも多すぎる」と唱え、「この事実が認識されれば、過去4年間に達成された児童労働削減に向けた現在のスピードを加速させ、この世界から児童労働をなくすことができよう」と希望を述べました。
 問題の隠された性格と子どもが自分たちに対する暴力事件を報告することが困難であるゆえに正確な数字は入手できませんが、ILOは一部の地域では、ほとんどの働く児童が職場で何らかの形態の暴力にさらされていることを発見しました。世界全体で570万人に達する強制・債務奴隷労働に従事する子どもや、家事使用人として働く子ども、インフォーマル経済で働く若者、危険で有害な労働に従事する子どもといった高リスク・グループが存在します。2004年に世界の働く児童の6割以上が、ガラス工場や鉱山、農園、その他安全衛生規制が緩いか存在しない農業部門といった危険で有害な職場で働いていたと推計されますが、報告書はこういった安全でない作業環境で働く児童は常に暴力の危険にさらされているとします。さらに、売春、ポルノ、風俗店における18歳未満の子どもの搾取のように、性的搾取や人身取引を含み、その性質上暴力に等しい状況で働いている子どもたちもいます。
 ILO最大の実働計画であり、2005年12月までに世界86カ国で活動を展開している児童労働撤廃国際計画(IPEC)を通じ、児童労働撤廃に向けた世界規模の力強い政治的コンセンサスの存在が明らかになっています。既に世界の子どもの8割以上が児童労働に関するILOの二つの重要な条約を批准した国で暮らしています。報告書は教育や代替的な生計手段の促進、児童労働と職場における児童に対する暴力に関する姿勢を変える社会的動員を含む、児童労働の経済的・文化的要因に取り組む包括的な手法を提案していますが、予防、救出、リハビリテーション、将来的な保護といった一連の介入策から構成される児童労働撤廃に向けたILOの「期限付き計画」はそのような手法の一例に挙げることができます。期限付き計画はすでに20カ国以上で採用されています。

 第297回ILO理事会閉幕:ミャンマー、ベラルーシ、その他の国々の労働事情を検討英語原文
    2006年11月17日(金)発表ILO/06/53

 11月2〜17日の日程でジュネーブで開催された第297回ILO理事会の主な成果は以下の通りです。
 理事会では、この他に、全ての人のディーセント・ワーク、完全雇用、生産的な雇用の創出に関する国連経済社会理事会(ECOSOC)閣僚宣言や国連システム全体の一貫性に関するハイレベルパネルのフォローアップ活動、仕事の世界におけるパターンの変化に関するさらなる研究候補分野、若者の雇用や労働監督の分野におけるILOの活動、レバノンの危機後の状況に対するILOの対応、国際化学物質管理や船舶解体における新たな取り組み、今年6月の総会で採択された技術協力、雇用関係、石綿に関する諸決議、アフリカ、アジア太平洋、中南米・カリブ、欧州・中央アジア、アラブ諸国におけるディーセント・ワーク国別計画の実行進展状況などに関する審議が行われました。

 ILO、労働監督の世界的な強化を呼びかけ英語原文
    2006年11月16日(木)発表ILO/06/52

 現在ジュネーブで開かれている第297回ILO理事会は、11月16日に、労働監督官が直面する課題が世界的にますます大きくなっている現状に鑑み、理事会の雇用・社会政策委員会による労働監督の量と質の向上を図る新しい措置に関する提案を受け、労働監督機能の世界的な再活性化、近代化、強化に向けた一連の措置を提案しました。
 国内労働監督官の数は現在、世界全体で12万人と推計されます。ILOでは、労働監督官1人当たりの最大労働者数として、市場経済諸国で1万人、移行経済諸国で2万人、途上国で4万人の基準を用いていますが、この基準を満足できていない国が多いだけでなく、大きな国家間格差が存在します。例えば、監督官1人当たりの労働者数はマレーシアで5,500人、ラトビアで8,300人であるのに対し、ブルキナファソでは45,000人、カンボジアで37万人、バングラデシュで320万人になっています。また、多くの国で緊縮予算の影響を受け、労働監督予算の縮減が進んでいます。
 一方で、労働監督業務の再活性化に動き出した国もあります。例えば、ブラジルでは2004年に強制労働に取り組むために監督官を新たに150人採用し、トルコでは児童労働対策要員として108人の監督官に研修を行い、過去3年間にスペインの監督官数は1,500人から2,000人近くに増員になっています。2005年に2人の労働監督官が殺害されたフランスでは、労働監督機能の組織的な危機に取り組むため、組織・構造改革、監督業務の質の向上、2010年までの新規監督官採用数700人といった内容からなる、新しい計画が発進しました。
 ILOが提案する監督業務再活性化パッケージには、政府が労働監督業務の弱点を把握し、矯正することの支援を目指した政労使三者による労働監督監査、倫理的・職業的行動規範の開発、労働監督資料集、監督業務に関する世界原則、さらにリスク評価、労働安全衛生マネジメントシステム、対象を定めた監督官研修のための実践的なツールが含まれています。同じく承認された労働監督統合訓練システム(ILITS)は、上は世界的な政策レベルから下は企業の実務レベルに至る管理、手続き、技術要素を総合的に調整して労働監督機能の強化を支援するものです。
 職場の良い統治は持続的な経済発展の推進における中心的な要素です。ILOでは、これらの新しい措置は年間220万件に達する労災死亡事故の一部、そしてHIV(エイズウイルス)/エイズのような疾病蔓延の防止に寄与するものと期待しています。児童労働、強制労働、職場内差別の撤廃に向けた闘いにおいても実効的な労働監督体制が決定的に重要です。
 工業及び商業における労働監督について規定するILOの労働監督条約(第81号)は日本を含む多くの加盟国に批准されており、労働条件及び労働者の保護に係わる法規定の実施確保に向けた優れた国際的な手引きとなっています。今年6月に開かれた第95回ILO総会では、この第81号条約を含む労働監督関連のILO基準の適用調査報告書の審議が行われ、今回の理事会の決定はそれに基づいています。

 新設の国際労働組合総連合をILO正式に承認英語原文
    2006年11月15日(水)発表ILO/06/51

 現在ジュネーブで開かれているILO理事会は、11月1日に新設された国際労働組合総連合(ITUC)に、ILOの一般的協議機関としての地位を付与することを11月15日に正式に決定しました。
 国際自由労連(ICFTU)と国際労連(WCL)が合併消滅する形で11月1日にウィーンで新たに結成されたITUCは、新たに複数の国内労働組合団体を加え、154カ国307の加盟組合を通じて世界の労働者1億6,800万人を代表し、グローバル化の課題に対処する上でより強力な発言権を世界の労働者に与えることを目指しています。その憲章と事業計画は、ILO、そしてILOが使命とするすべての人へのディーセント・ワークと公正なグローバル化の推進に対する全面的な支持を誓っています。
 ソマビアILO事務局長はこの新組織について、「団結を21世紀の課題に対抗する新たな力の源にしようとする労働組合運動の意思」を示すものとして評価し、社会対話の発展をさらに刺激するであろうITUCは、「我々すべてにとって重要なパートナーとなろう」と期待を表明しました。
 ITUCのガイ・ライダー新書記長は、自らの組織を称して、「我々の運動の歴史の中で最も代表的で統一した労働組合インターナショナル」であるとし、ITUCの憲章に定められている目的には、ILOの役割強化や国際労働基準の設定及び普遍的適用が含まれていると紹介しました。さらに、国際使用者団体や政府と対話を追求する姿勢を示し、「合意が常に達成されるわけではないが、真剣で理にかなった相違の解決策探求の中からこそ社会進歩が生まれる」と唱えました。
 ILOの使用者側理事を代表してITUCを歓迎した国際使用者連盟(IOE)のダニエル・フネス・デ・リオハ執行副会長は、社会対話を基礎により良い世界に向けた解決策を構築しようという新組織の意欲を高く評価しました。

 第297回ILO理事会: 若者の雇用、労働監督、ベラルーシやミャンマーの労働事情などについて討議英語原文
    2006年11月2日(木)発表ILO/06/50

 11月2〜17日の日程でジュネーブで開催される第297回ILO理事会では以下のような議題が審議されます。
 理事会ではこの他に、ミャンマー及びベラルーシの労働者の基本的権利、結社の自由委員会の最新報告書、国際化学物質管理と船舶解体における新たな取り組み、アフリカ、アジア太平洋、中南米・カリブ、欧州・中央アジア、アラブ諸国におけるディーセント・ワーク国別計画の実行進展状況、今年6月の総会で採択された技術協力、雇用関係、石綿に関する諸決議など、幅広い事項について討議が行われます。

 1億6,600万人の労働者を代表する新国際労働組合連盟の設立をILO事務局長賞賛;グローバル化によってますます必須になるILOの労働基準英語原文
    2006年11月1日(水)発表ILO/06/49

 11月1日に新設された新国際労働組織ITUC(International Trade Union Confederation)の結成大会に出席したフアン・ソマビアILO事務局長は、世界の1億6,600万人の労働者を代表する新組織の設立を歓迎し、人間らしい適切な仕事を意味するディーセント・ワークの達成を目指し、ILOをはじめとした国際組織・地域組織との協力強化を誓う新組織の誕生は、「我々が直接必要としている新たな世界規模の社会契約の基礎作りを助ける」だろうと期待を表明しました。そして、労働者が世界の新たな現実に適応する上での発言権を確保するための闘いの前線は、国内または現地レベルに留まっているものの、グローバル化によってILOが定める労働基準の国際的な枠組みがますます必要になってきている点に言及しました。また、ディーセント・ワークの機会創設を通じて2015年までに貧困を半減させようとの動きの中で、ILOの新しいディーセント・ワーク国別計画の支援に向け、国際使用者団体と対話を進めることを要望しました。
 演説の中で、ソマビアILO事務局長は、ITUCとILOの五つの課題として、以下を提示しました。
  1. 新たな世界規模のディーセント・ワーク運動を組合が主導すること
  2. ディーセント・ワークの機会の拡大を通じ、成長が公正に共有されるべきこと
  3. 国際生産体系の課題に対処するには、ILOの基準体系の強化が必須なこと
  4. ITUCとILOが共に直面する最大の課題は三者構成主義と社会対話を強化する必要性であること
  5. ILOとITUCはインフォーマル経済を中心とした労働者の団結権に対するコミットメントを固守すべきこと
 さらに、労働組合運動の国際的な展開の歴史は、ILOの歴史と密接に絡み合っているとして、ポーランド、インドネシア、南アフリカ、トルコ、チリなどで見られる自由と正義を求める労働組合の闘争を例示しながら、「組合の組織者を威嚇あるいはさらに悪い事態から保護するため全力を尽くす」として、ITUCに対するILOの変わらぬ協力姿勢を誓いました。
 国際自由労連(ICFTU)と国際労連(WCL)の合体から生まれたITUCには、今回新たに8国内労働組合団体が加盟し、世界の1億6,600万人の労働者を代表する組織となっています。

2006年10月発表分

 若者失業者増大中、加えて数億人が働きながらも貧困状態にあるとILO新刊書英語原文
    2006年10月27日(金)発表ILO/06/48

 ILOがこの度発行する新刊書「Global employment trends for youth(世界の雇用動向−若者編)」は、1995年に7,400万人だった若者(15〜24歳)失業者数が2005年には14.8%増えて8,500万人になっただけでなく、若者人口全体の4分の1近い3億人以上が働いていながらも1日2ドル未満で暮らしていると指摘しています。報告書は今日の若者が秘める生産潜在力が完全に開花するには少なくとも4億人分の適切で生産的な雇用機会が必要と推計しています。さらに、若者が失業する可能性はより年長の人々の3倍以上になり、この状況は先進国より途上国の方が顕著と記しています。
 報告書はこのほかに、次のような事実を示しています。  地域別では、若者の失業率が一番高いのは中東・北アフリカ(25.7%)で、以下、欧州連合(EU)非加盟の中・東欧と独立国家共同体(CIS)諸国(19.9%)、サハラ以南アフリカ(18.1%)、中南米・カリブ(16.6%)、東南アジア・太平洋(15.8%)、先進経済諸国・EU(13.1%)、南アジア(10%)、東アジア(7.8%)といった順番になっています。過去10年間に若者の失業率がかなり低下したのはEU及び先進諸国だけですが、報告書はこれを雇用戦略の成功よりも若者労働力人口の低下によるものとしています。
 報告書はこのほかに、●男性よりも女性の方が労働市場で直面する課題が大きいこと、●働いていながらも貧しい若者が多いということは、現在仕事をしていても将来の経済的安定が保障されるものではないこと、●働いているわけでも学校に行っているわけでもないニート若者層が、例えば、中・東欧で若者全体の最大34%に達しているといったように懸念される増加傾向を示していることといった状況を記しています。また、若者の労働市場に関する共通の誤解の解明を試み、●多くの途上国では教育へのアクセスが依然問題であること、●より高い教育達成度がまともな仕事を見つける保障になるわけではないこと、●経済成長が鈍いような状況では、若者のモチベーション要因としてしばしば雇用保障が職務の満足度に優先すること、●失業率は氷山の一角で、求職意欲を失った若者と働きながらも貧しい若者の数が失業者数を上回っていること、●若者は均質のグループではないため、対象を定めた介入策が正当化されること、●農村地域における雇用創出が依然若者の雇用戦略において大きな役割を演じるであろうことといった事実を発見しています。
 仕事が見つからないことは、自分が弱く、無用で余り者との感じを抱かせ、若者本人にとって負担になるだけでなく、貯蓄の欠如、総需要の喪失、投資支出の低下、防犯や薬物利用の予防といったような矯正サービス用社会費用といった点で社会的・経済的費用を生むと報告書は記しています。報告書は最も弱い立場にある若者に手を差し伸べ、こういった人々を彼らの参加によって受益する市民社会の中に戻すため、国際援助に育まれた、統合的で対象を定めた国内政策・事業計画を提案しています。ソマビアILO事務局長は、若者が貧困から抜け出す道を自ら切り開くチャンスを得ることができるのはただまともな雇用機会を通じてのみであることは否定しようのない教義であると唱えています。

 若者の雇用動向に関するILO新刊書発表予定英語原文
    2006年10月23日(月)発表ILO/06/47

 ILOはこの度、世界の若者の雇用動向と若者貧困者数について取り上げた新刊書を発行します。「Global employment trends for youth(世界の雇用動向−若者編)」と題する報告書は、2004年に初めて発表された若者の労働市場に係わる地域的及び世界的指標を更新し、15〜24歳の若者の労働市場における動向に関する実証研究の最も包括的な分析と数量評価を行います。世界の概況に加え、若者の地域別の雇用動向も掲載されています。
 報告書本体(印刷版及びPDF版)と関連広報資料は10月27日に英・仏・西三カ国語で発表になります。

 岐路に立つ国際道路運輸:遅れの負担は経済、運転手の肩に−ILO新刊書英語原文
    2006年10月20日(金)発表ILO/06/46

 ILOは10月23〜26日の日程で、国際的な道路運輸業に従事する運転手の国境を越えた移動に伴う問題から生じる労働・社会問題について政府及び労使団体の代表が話し合う三者構成の会議をジュネーブで開催します。討議資料として作成された報告書「Labour and social issues arising from problems of cross-border mobility of international drivers in the road transport sector(道路運輸業における国際運転手の国境通過問題から生じる労働・社会問題・英文)」は、国境通過における過度の遅れ、非効率または腐敗した国境役人、運転手がHIV(エイズウイルス)/エイズのような性感染症にかかりやすいことは、国際道路運輸部門を危機にさらしていると警鐘を鳴らします。
 例えば、欧州連合(EU)内で有効なシェンゲン・ビザの取得にかかる公式日数は2005年に平均4日間でしたが、カザフスタン、モロッコ、ウクライナ、トルコのようなシェンゲン非加盟国ではバスやトラックの職業運転手のビザ取得にかかる実際の日数はトルコの運転手で1.5日、カザフスタンの運転手で31.5日となっています。アフリカでは税関手続きが大きな障害となっており、この大陸の税関通過には平均20〜30の関係者、40の書類、200のデータ要素(うち30は少なくとも30回反復)が関連すると報告されています。中央アフリカ7カ国の調査によれば、全ての運転手が国境通過に2〜5日要しており、欧州でもポーランド・ベラルーシ間の国境で12〜48時間、アジアとの国境では、トルコ・イラク間で最大72時間かかっているとされます。
 加えて、非公式の支払いやいじめといった問題、安全な駐車設備や宿泊・衛生施設の欠如などといった不十分な国境設備、さらに遅れが引き起こすストレスや疲労が招く交通事故、運転手がその生活圏全体に影響を及ぼす可能性のある性感染症にかかりやすいことといった問題も指摘されています。こういった費用は供給プロセスを伝って最終的には消費者にまでかかってきます。報告書は、船員の身分証明書に関する統一した国際的要件を規定する2003年の船員の身分証明書条約(改正)(第185号)の存在を指摘し、国際道路運輸に従事する運転手についても同様の試みが考えられようとしています。

 ムハマド・ユヌス氏とグラミン銀行のノーベル平和賞受賞をフアン・ソマビアILO事務局長祝福英語原文
    2006年10月13日(金)発表ILO/06/45

 バングラデシュのグラミン銀行とその創設者のムハマド・ユヌス氏による2006年のノーベル平和賞受賞が10月13日に発表されたことを祝い、ソマビアILO事務局長は同日、以下の声明を発表しました。
 「ムハマド・ユヌス教授はその生涯を、ディーセント・ワーク(人間らしい、適切な仕事)の機会を求めて努力している何百万人もの男女という融資が与えられてしかるべき人々に融資を提供することに費やされてきた。氏とグラミン銀行は、働く貧困層の起業家精神と、融資を受ける機会は基本的権利であることを長く認識してこられ、貧しい人々はわずかな資本で貧困から抜け出す道を実際に工夫できる事実を示された。グラミン銀行の出資者として経済市民となった何百万人もの人々は、団結を通じて生活を向上させる人民の力を示している。ユヌス教授の先駆的活動の顕彰は、至る所の男女が共に自らの才能を活用し、仕事、尊厳、団結、発言を通じて貧困を克服していく機会が与えられるよう小口金融運動の世界的な拡大を呼びかけるものでもある。」

 2007年度ILOディーセント・ワーク研究賞応募者募集英語原文
    2006年10月9日(月)発表ILO/06/44

 ILOは、人間らしい、適切な仕事をディーセント・ワークとし、全ての人がこれを確保できるような環境の整備を21世紀の活動目標としています。この度、この「全ての人へのディーセント・ワーク」というILOの中心的な目標に関する知識の促進に傑出した貢献を行った研究者に年1回授与される「ILOディーセント・ワーク研究賞」を開設しました。
 2007年に初めて授与されるこの賞は、雇用創出、働く上での権利、社会的保護、社会対話といったディーセント・ワークの諸面に関する知識に対する長年の貢献またはディーセント・ワークの促進に向けた政策手段や社会経済的関係の理解に寄与する具体的な図書に与えられます。対象は研究者個人で、団体には応募資格はありません。応募者は政府、使用者団体、労働者団体といったILOを構成する三者の代表一つ以上の推薦と労働・社会政策分野の主導的な学識者1名の推薦を受ける必要があります。受賞者の選考は国際的に高名な労働・社会政策分野の5名の専門家からなる審査員団が応募者の作品を検討して行います。ILOの公式言語である英語、フランス語、スペイン語以外の図書の場合は、このいずれかの言語に翻訳しての応募が必要になります。
 2007年研究賞の授賞式は、2007年6月のILO総会で行われます。受賞者には1万ドルの賞金に加え、総会会場で講演を行う機会とILOの付属研究機関である国際労働問題研究所における2007〜08年名誉研究員の地位が与えられます。
 2007年賞の応募締切は2006年12月31日です。

2006年9月発表分

 鳥インフルエンザの職場への影響と職場対応を話し合う機関間会議をILO主催英語原文
    2006年9月26日(金)発表ILO/06/43

 今年6月、世界銀行はインフルエンザが世界的に大流行した場合、深刻なシナリオのもとでは世界全体で国内総生産(GDP)が3.1%低下し、生計手段の喪失ととりわけ旅行・観光産業の需要がますます大きな打撃を受けることによって、世界経済が被る経済的損失は1.25兆ドル余りに達しようと推計しました。さらに、過去のインフルエンザの流行例から推定すると、最悪の場合には死者が数百万人に達すると考えられています。
 そこで、国連は今年7月に鳥インフルエンザ・ウイルス蔓延の可能性に関連した国連行動計画を開発しました。ILOは2006年9月27日に、この行動計画の枠内で、労働安全衛生、雇用、生計に係わるきわめて重要な問題を検討する機会を提供する機関間会議をジュネーブのILO本部内で開催します。国連食糧農業機関(FAO)、世界保健機関(WHO)などの国際機関、国際公務労連(PSI)、国際食品労連(IUF)、国際使用者連盟(IOE)といった国際労使団体が出席する「鳥インフルエンザと職場:準備と対応技術ワークショップ」は、労使を巻き込み、労働の世界に特に配慮して国連行動計画を見直す初の機会となります。
 感染の可能性がある家禽類と人間が接触し、動物から人間へとウイルスが移動していく危険性が最も高い職場における行動は、この疾病の蔓延を防ぐ重要な要素です。行動規範を開発したHIV/エイズをはじめとした他の労働衛生分野におけるILOの経験は、職場において予防・管理慣行を開発する際の要素を提供することができるでしょう。鳥インフルエンザの場合にはさらに、職場は使用者、労働者、その他の人々に予防措置と最善の事例を伝える貴重な場となる可能性もあります。

 新技術は小売り部門の生産性を高めるが、雇用にも影響するとILO報告書英語原文
    2006年9月15日(金)発表ILO/06/42

 ILOは2006年9月18〜20日の日程で、ジュネーブにおいて、先端小売技術の利用の増大が社会と労働にとってもつ意味合いについて話し合う政労使三者構成の会議を開催しています。討議資料として作成された報告書「Social and labour implications of the increased use of advanced retail technologies(先端小売り技術の利用増大が社会と労働にとってもつ意味合い・英文)」は、無線ICタグ(RFID)のような新技術の導入は、小売り部門の生産性上昇に寄与する推進要素の一つであるものの、雇用水準や雇用の質にも影響を与えるだろうと記しています。
 顧客が求める商品を提供することによって生産性と競争力を高める助けになるものとして、商品供給プロセスに導入が進んでいる無線ICタグのような技術は、価格、メーカー、賞味期限、重量などといった商品情報を無線を用いて直接接触せずに伝達することを可能にします。しかし、例えば、流通センター八つ余り、店舗1,000店以上を抱える大手小売業者でセットアップ費用が3.4〜3.8億ドルかかるといったように莫大な費用を伴うため、この新技術を展開できるのは、近い将来では、超大手小売り業者だけであろうと報告書は予想しています。一方で、新技術導入の費用節減効果も多大で、世界最大の小売業者であるウォルマートはすでに数年間にわたり30億ドル近くを新技術に投資していますが、その費用節減効果は年間で最大83.5億ドルに達すると予測されています。
 新技術の導入は労働需要を減らす効果もあるため、関係者には雇用喪失の懸念をもって迎えられていますが、商業部門のILO専門家は、「無線ICタグの導入は従業員に対する需要を変化させ、ルーティーンの倉庫業務を減らす」が、「訓練やキャリア開発を含む支援措置を用いて」、人材をカスタマーアドバイスサービスのような、より付加価値の高い業務に異動させることができると唱えています。報告書は、幅広い社会対話と適切な訓練を伴えば、労使は共に、生産性向上、顧客満足度の増大、労働条件の改善、労働者利益の増加といった、どちらにとっても利益になる結果を達成できようと記しています。そして、バーコードが最新の無線ICタグ技術に完全に置き換えられるには少なくともまだ15年はかかるだろうとし、社会的パートナー及び公的機関が、この技術のあらゆる副次的影響を吟味して、その利益が何らかの否定的影響を遙かに上回るよう確保する措置を設計し、それについて合意する十分な時間があろうとしています。
 会議では、報告書をもとに議論を行い、このような雇用情勢の変化に際し、あらゆる関係者の利害を調整する方法に関する一連の結論を採択し、その結論を実行するフォローアップ活動計画を提案することが予定されています。

 ディーセント・ワークの十年の開始を宣言してILOアジア地域会議閉幕英語原文
    2006年9月1日(金)発表ILO/06/41

 8月29日より釜山(韓国)で開かれていたILOの第14回アジア地域会議は、最終日の9月1日に、ILOが21世紀の活動目標とするまともで、人間らしい働き方を意味するディーセント・ワークの目標を貧困削減に向けた世界的課題に結びつけることを目指した「アジアにおけるディーセント・ワークの十年」の開始を宣言する結論を採択して閉幕しました。これにより、2015年までの10年間に、働く上での権利、雇用、社会的保護、社会対話の四本柱に立脚し、全ての人にディーセント・ワークを確保することを目指すILOの「ディーセント・ワーク課題」を、この多様な大陸の全ての国で漸進的に実現するための集中的な努力が持続的に展開されます。これは2015年までに貧困を削減することを目指すミレニアム開発目標の達成に対する貴重な貢献となることが期待されます。会議の結論はまた、「全ての人へのディーセント・ワークを、国内開発戦略のみならず関連する国内政策及び国際政策の中心的な目的とする上で、アジアが世界の政策に対するリーダーシップを発揮し続けるよう確保することを決意する」とも記しています。
 アジア太平洋のILO加盟国29カ国、アラブ地域の11カ国より出席した400名を超える政府、労使代表はまた、経済成長が生産的な雇用と全ての人へのディーセント・ワークに転化することをより良く確保する「目に見える」政策措置の促進に向けた公約も行いました。ソマビアILO事務局長は、「我々の焦点は生産性、競争力、成長を高めること」に置かれるとして、人々が望んでいるのは慈善や施しなどではなく、「尊厳と正直な勤労に対する報酬」であると訴え、「最善の社会計画はまともで人間らしい仕事」であると唱えました。
 会議参加者はまた、2005年の国連世界サミットの成果文書と2006年7月の国連経済社会理事会(ECOSOC)ハイレベル部会の閣僚宣言を強く支持し、ILOのディーセント・ワーク課題は、貧困から抜け出す持続可能な道に寄与し、経済効率と社会公平の目標がうまく調和した公正なグローバル化に向けた進歩を達成させるものであるとしました。
 結論が掲げる国内及び地域の活動における優先事項には次のような項目が含まれています。

2006年8月発表分

 第14回ILOアジア地域会議開幕:雇用創出とディーセント・ワークに関する新たなイニシアチブを呼びかける英語原文
    2006年8月29日(火)発表ILO/06/40

 8月29日に釜山(韓国)で開幕したILOの第14回アジア地域会議の開会式において、フアン・ソマビアILO事務局長は、今後10年間に労働力の伸びに対処するだけでも2億5,000万余りの新規雇用を創出する必要があることを挙げ、ILOが21世紀の活動目標とするまともで、人間らしい働き方を意味する「ディーセント・ワーク」が不足するこの状況を是正する新たなイニシアチブの開始を呼びかけました。これには雇用とディーセント・ワークに関するアジアフォーラムの開催、インフォーマル経済に従事する労働者に社会的保護を付与する経験についての体系的な交流、安全保障と柔軟性の問題について政労使三者で定期的に分析する場の設置、人の移動に関する地域的枠組みの実施、小企業開発に向けた政策における整合性確保が含まれます。そして、「この多様な地域において、ディーセント・ワーク実現の課題に一丸となって取り組むことは、収束と統一に向けた強力な力を表す」とした上で、「アジアにおけるディーセント・ワークの10年」の採択を会議参加者に提案しました。
 ソマビア事務局長はまた、アジアの働く貧困層の3分の2を占め、危機的状況において男性よりも仕事や生計手段を失う危険性が高い女性に対する配慮を強調しました。さらに、7月に国連経済社会理事会でディーセント・ワークを全ての人々に確保するというILOのディーセント・ワーク課題が支持された事実は、国連システムが一緒になって良質の雇用を推進するようにとの強いメッセージを発信するものとし、このアジア地域会議がこういった優先事項を地域で進展させる解決策のための枠組みを構築するユニークな機会を提供する場となることへの期待を表明しました。
 開会式には、韓国の盧武鉉大統領、スリランカのラトナシリ・ウィクラマナヤケ首相、ヨルダンのマルーフ・バヒート首相も出席され、それぞれより開会の挨拶をいただきました。
 盧大統領は、ILOがディーセント・ワークを全ての人々にとって現実のものとすることを最優先事項としたこと、そしてアジアにおけるディーセント・ワークの実現をこの地域会議のテーマに決定したことを「非常にタイムリーで適切」と評価し、会議がアジアにおけるディーセント・ワーク実現に向けた行動計画を策定する場となることへの期待を表明しました。
 ウィクラマナヤケ首相は、スリランカがディーセント・ワーク国内行動計画を策定した最初の国の一つであったことを紹介した上で、「ディーセント・ワークは人間や社会の必要事項であるだけでなく、経済的な必要事項でもある」として、このような計画を国の予算や開発計画と結びつけることを提案しました。
 バヒート首相は、ミレニアム開発目標やディーセント・ワーク課題に含まれる目標に向けたヨルダンの公約を再確認する演説を行いました。
 地域会議では、競争力・生産性・まともな仕事、若者の雇用創出、労働力移動の管理、インフォーマル経済への社会的保護の拡大といった多様なテーマが論議されます。

 アジア太平洋地域が直面する大規模な職不足;ILO地域会議で生産的な雇用の創出、ディーセント・ワーク、貧困削減に向けた新たな戦略について討議英語原文新聞発表日本語訳
    2006年8月28日(月)発表ILO/06/39

 来る8月29日〜9月1日に釜山(韓国)で開かれるILOの第14回アジア地域会議に討議資料として提出される事務局長報告「Realizing decent work in Asia(アジアにおけるディーセント・ワークの実現・英文)」は、アジア太平洋地域はグローバル経済で首位を占めるほど相当の経済成長を達成したにもかかわらず、貿易、投資、生産高における強い伸びも今後10年間の新規求職者数が2億5,000万人に達すると推計される域内労働力の伸びに歩調を合わせることに失敗し、域内の多くで失業率は5〜7年前の水準より高くなってきていると記しています。さらに、無職の若者が2005年に4,160万人(世界全体の48%以上)に達するアジアで、職不足の最も懸念される側面は、失業の可能性がより年長の人々の少なくとも3倍になる若者に対する影響であろうとしています。また、多くの国が貧困削減において大きな進歩を記録していますが、働いていながら1日1人当たり2ドルの貧困線を下回る暮らしを送る貧しい人々は10億人を超え、うち3億3,000万人以上が1日1ドル未満の極端な貧困状態で暮らしていると指摘しています。
 報告書はこのほかに、ILOが21世紀の活動目標とするまともで、人間らしい働き方を意味するディーセント・ワーク上の課題として、地域の次のような状況を挙げています。
 こういった現状を見据え、地域会議に出席する域内40カ国のILO加盟国の政府、使用者、労働者の代表は、1)グローバル化における競争力、生産性、まともな職、2)若者のまともな職、3)労働力移動の管理、4)アジアでディーセント・ワークを実現するための労働市場のガバナンス(統治)、5)社会的保護のインフォーマル経済への拡大といった多様な課題について議論します。全体を貫くテーマとして、基準、働く上での基本的な原則と権利、男女平等、社会対話といった事項が示されています。
 ソマビアILO事務局長は、「この激動と急速な変化の時代において、世界はグローバル化と競争の熾烈化、そして技術進歩によってもたらされた機会を捉え、課題に取り組む方法に関する良い慣行と事例をアジアに求めている」とした上で、「ディーセント・ワークが地球規模の目標として支持された今や、課題はそれを現実のものとすることであり、アジアはその動きを率いていく潜在力を秘めている」として、会議への期待を示しています。

 アジア太平洋地域のILO会合、8月29日〜9月1日に釜山(韓国)で開催英語原文
    2006年8月22日(火)発表ILO/06/38

 来る8月29日〜9月1日の日程で、釜山(韓国)においてILOの第14回アジア地域会議が開催されます。会議には、日本を始めとするアジア太平洋地域のILO加盟国29カ国、アラブ諸国11カ国の政府及び労使代表が参加し、(1)グローバル化する世界における競争力、生産性、雇用の促進、(2)若い男女に対するまともな雇用の提供、(3)送出国・受入国双方が受益し、移民労働者を保護する労働力移動の管理、(4)労働法及び労働市場機構の適応と近代化、(5)社会的保護の拡大といったテーマを中心に、地域の幅広い雇用及び職場関連問題に取り組むための課題の形成に向け、話し合いを行う予定です。
 会期中には、「21世紀のディーセント・ワーク:アジアの主導的役割」をテーマとする国家元首・政府首脳特別会合、「グローバル化の中におけるまともな仕事に向けた労働者の技能開発」をテーマとする非公式労働大臣会合、「21世紀のディーセント・ワーク:戦略的パートナーシップを通じたその実現」をテーマとする地域組織代表会合といった特別会合も開かれます。開会式には盧武鉉韓国大統領の出席も予定されています。
 2005年9月の国連世界サミットで、ILOが21世紀の活動目標とする、まともで、人間的な仕事の確保を目指すディーセント・ワーク課題が国際社会によってミレニアム開発目標、とりわけ貧困削減の実現を助ける具体的な目標として認識されましたが、フアン・ソマビアILO事務局長は、「世界の労働力の6割以上が暮らすアジアで、ディーセント・ワーク不足が大きく解消されれば、世界全体でディーセント・ワークを実現する動きが相当前進することになろう」と期待を表明しています。
 会議には討議資料として2冊の事務局長報告が提出されています。「Realizing decent work in Asia(アジアにおけるディーセント・ワークの実現)」は、経済成長が労働者と労働条件にどう影響したかを評価し、ディーセント・ワーク、貧困削減、社会平等のつながりを検討し、政策面の主な課題に光を当てています。「Decent work in Asia: Reporting on results 2001-2005(アジアにおけるディーセント・ワーク:2001〜2005年の成果報告)」は、ILOの支援を得て各国で示されたディーセント・ワークに向けての具体的な努力を紹介しています。

2006年7月発表分

 179番目のILO加盟国モンテネグロ英語原文
    2006年7月18日(火)発表ILO/06/37

 去る6月3日にセルビア・モンテネグロより分離独立を宣言したモンテネグロ共和国より外務大臣名にてILO憲章義務を正式に受諾する旨の書簡を受領したことにより、2006年7月14日付でモンテネグロ共和国が179番目のILO加盟国となりました。
 モンテネグロは既に2006年6月22日に国連に加盟していますが、国連加盟国はILO憲章の義務の正式な受諾をILO事務局長に通知することによってILOの加盟国となることができます。

 貧困削減及び持続可能な発展のためのディーセント・ワーク推進に向けた世界的な努力の強化に関する国連宣言をILO歓迎英語原文
    2006年7月6日(木)発表ILO/06/36

 国連経済社会理事会ハイレベル会合は7月5日、2015年までに極端な貧困状態にある人々の数を半減させるという国際的な開発目標達成に向けた地球規模の取り組みにおけるきわめて重要な基盤として、全ての人にディーセント・ワーク(まともで、人間的な仕事)を創出するのに必要な国内・国際政策に関する3日間にわたる熱心な討議の末、閣僚宣言を採択しました。宣言は、「男女が共に自由、平等、安全保障、尊厳が確保された条件下で生産的な雇用を得る機会は、飢餓と貧困の根絶、全ての人々の経済的・社会的満足度の向上、全ての国家の持続可能な経済成長及び発展の達成、そして完全に包含的で公平なグローバル化を確保する上で不可欠」であることを再確認し、「ILOのディーセント・ワーク目標」を「完全雇用、生産的な雇用、全ての人々のディーセント・ワークの目的を達成するための貴重な手段」と認めています。
 ソマビアILO事務局長は、「この動きは、完全雇用、生産的な雇用、全ての人へのディーセント・ワークの目標をあらゆる関連国連機関の通常の活動の主流に据えるまたとない機会を提示する」として、閣僚宣言の採択を歓迎した上で、過去10年間に20%を超える上昇を示した公式失業率のこれ以上の増加を防ぐには、今後10年間、毎年最低4,000万の新規雇用を創出する必要があるといった「ディーセント・ワーク」不足の状態に鑑み、緊急の合意が必要と唱えました。
 宣言は、各種政策の雇用に対する影響の検討や政策整合の確保についての諸策を記すと共に、ILOに対しては、完全雇用、生産的な雇用、全ての人へのディーセント・ワークの推進に関する公約の実行に焦点を絞り、あらゆる関係当事者と協力し、この目標の達成に向けた2015年までの期限付き行動計画を開発するよう求めています。

2006年6月発表分

 第95回ILO総会閉幕英語原文
    2006年6月16日(金)発表ILO/06/35

 6月16日に閉幕した第95回ILO総会には、ILO加盟国178カ国の大半より政府及び労使の三者構成による代表団約4,000名が出席し、労働の世界における変化のパターンについて扱った新しい報告書をもとに幅広い議論を行いました。フアン・ソマビアILO事務局長は、総会での審議をまとめ、「我々に与えられた『ディーセント・ワーク機関』としての認識に自信を持って、我々のシステム刷新のプロセスに完全に着手する強い権限」を与えるものになったと高く評価しました。
 基準適用委員会では、ミャンマーの強制労働条約(第29号)適用に関し、ILO憲章第33条に基づき講じられた措置のフォローアップとして、再び特別会合がもたれました。委員会は、強制労働の苦情を申し立てた人の訴追手続きを実験的に6ヶ月間凍結し、その間、暫定的な措置としてミャンマー労働局長とILO連絡官が共同で申立を処理することを提案するミャンマー大使からの情報に留意し、プラスの展開に聞こえるかもしれないが、限定的で遅すぎる譲歩として、言葉を確認できる行為を示すことの重要性を強調しました。総会は強制労働問題に進展があったと認められるのは政府から現実の公約があった場合に限るとし、明確で実証できる行動が必要な二つの分野として、1)7月末までに、ILOへの接触後に拘束されたあらゆる人を釈放し、現在進行中の訴追手続きを停止すること、2)苦情を申し立てた人を保護するあらゆる必要な保障を伴う、強制労働苦情申立処理のための信頼のおけるメカニズムに関し、10月末までにILOと合意に達することを求めました。そして、この行為が取られたかどうかを審査し、最も適切な行動路線について決定する権限を、2006年11月に開かれるILO理事会に全面的に付与しました。総会中にミャンマーはILOとの協力の意思を表明し、昨年、強制労働加害者として政府役人を告訴することに成功しながら、その後拘束され、その釈放をILOも長く求めてきた女性を釈放しています。
 基準適用委員会ではミャンマーのほかに、条約適用上の問題が見られる25件の個別案件を審議し、バングラデシュ(第98号条約関連)とベラルーシ(第87号及び第98号条約関連)の結社の自由の現状に関し、スペシャル・パラグラフに特記し、特に懸念を示しました。一方、結社の自由や団体交渉について長く問題になっていたコロンビアに関しては、ディーセント・ワーク国家計画の枠内で技術支援を提供するため、同国にILOを常駐させることなどについて、同国の政府、使用者、労働者の三者間で歴史的な合意が達成されました。労働監督に関する総合調査をめぐる審議では、労働者の保護や全国レベルでの労働法の遵守を確保する上での労働監督の根本的な重要性、そして労働の世界の良い統治におけるそのカギとなる役割が強調されました。
 ILOの技術協力計画に関し、ディーセント・ワーク国家計画や国連システムなどとのパートナーシップを含み、前回総会でこのテーマが審議された1999年以降にILOの事業計画や活動の手法及び態様が経験した大きな変化を考慮に入れたあらゆる側面にわたる幅広い見直しが行われました。完全雇用、生産的な雇用、そしてディーセント・ワークは、開発の中心的な推進要素であり、したがって、国際協力における優先目標であるとの理念のもと、審議では、政労使というILOの構成メンバーを強化すること、政労使が技術協力に参加することの重要性が強調されました。7月に開かれる2006年国連経済社会理事会のハイレベル会合では、ディーセント・ワークと持続可能な開発に関する話し合いが行われますが、総会での審議はこれに資するものとなることが期待されます。
 今年の総会のゲストスピーカーは、リベリアのエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領とコスタリカのオスカル・アリアス・サンチェス大統領の2人でした。議長はチェコのチェストミル・サイダ労働・社会問題副大臣、副議長はエジプトのアイシャ・アブデル・ハディ労働力・移民大臣、メキシコのホルヘ・デ・レヒル使用者代表、そしてインドのアジャンタヤ労働者代表が務めました。
 総会はまた、労働安全衛生国家計画を通じて、「予防的な安全衛生文化」を育成することを目指した労働安全衛生の促進的枠組みに関する条約と付属する同名の勧告、そして雇用関係の存在の実効的な確立及び被用者と自営労働者の区別に関する国の政策を労使と協議の上、策定し、採択すること、偽装された雇用関係に対する対策を講じ、あらゆる形態の契約取り決めに適用される基準を確保することを加盟諸国に提案する雇用関係に関する勧告を新たに採択しました。

 労働安全衛生、雇用関係、石綿に関する新しい措置をILO採択英語原文
    2006年6月15日(木)発表ILO/06/34

 第95回ILO総会は6月15日に、労働安全衛生の促進的枠組みに関する条約と付属する同名の勧告、そして雇用関係に関する勧告を新たに採択しました。6月14日には石綿(アスベスト)の暴露に関する決議も採択されました。
 業務に関連した事故や疾病により、毎日約6,000名の労働者が死亡しているとILOでは推計しています。2003年のILO総会で採択された労働安全衛生世界戦略は、各国が「予防的な安全衛生文化」を構築し、維持することの重要性、そして安全衛生に対する体系的なアプローチを強調しています。今回採択された条約と勧告は、この戦略を基礎として、労働安全衛生国家計画を設けて労働安全衛生を国の政策課題の上位に位置させることを通じて、この予防的安全衛生文化の育成を促進すると共に、予防的な措置を通じて、より安全で、より健康な作業環境を推進するものです。条約は賛成455票、反対2票、棄権5票、勧告は賛成458票、反対3票、棄権6票の圧倒的多数で採択されました。
 賛成329票、反対94票、棄権40票で採択された雇用関係に関する新しい勧告は、雇用関係の存在の実効的な確立及び被用者と自営労働者の区別に関する国の政策を労使と協議の上、策定し、採択すること、偽装された雇用関係に対する対策を講じ、あらゆる形態の契約取り決めに適用される基準を確保することを加盟諸国に提案するものです。
 世界全体で年間約10万人が石綿への暴露を原因として死亡していると推計されます。今回採択された石綿に関する決議は、石綿への暴露から労働者を保護し、石綿関連の死亡や疾病の将来的な発生を予防するための最も効果的な措置は、石綿の将来的な利用をなくし、現在使われている石綿を把握し、適正に管理していくことであると宣言するものです。さらに、1986年に採択され、日本も2005年に批准した石綿条約(第162号)を、石綿の継続的な利用を正当化するものまたは承認するものとして用いてはならないことも宣言しています。

 新しい形態の職場内暴力が世界中で増加とILO英語原文
    2006年6月14日(水)発表ILO/06/33

 職場内暴力は全世界的に増加の傾向を示しており、国によっては流行病的レベルにまで達していると、ILOはこの度発表した「Violence at work(職場内暴力・英文・第3版)」改訂版で警告しています。そして、不安定な職務形態が職場を圧迫し、いじめのような暴力形態が増えているが、これは直接的な身体的暴力と同じくらいダメージを与える可能性があるとしています。さらに、学校、ソーシャル・サービス、図書館、保健医療といった、かつては暴力と無縁と考えられていた職場でも労働者が被害に遭う事態が途上国・先進国を問わず、増えていると記しています。また、テロに対する懸念も高まっています。
 例えば、集団によるいじめの被害者は、ドイツでは2002年に行われた調査から80万人を上回るとされ、スペインでは公務員の22%に達すると推計されています。フランスではタクシー運転手を含む交通運輸労働者に対する攻撃行為が、2001年の3,051件から2002年には3,185件に増加したとされています。
 日本では2002年4月から2003年3月の間に総合労働相談コーナーに62万5,572件の相談が寄せられましたが、このうち5.1%(約3万2,000件)がいじめ・嫌がらせ関連とされています。2003年4〜9月の相談件数は5万1,444件でしたが、うち9.6%がいじめ・嫌がらせ関連とされています。
 報告書は、途上国で最も被害を受けやすい集団には女性、移民労働者、子どもが含まれるとし、例えば、マレーシアでは、1997年から2001年5月の期間に報告された職場における強姦や性的いたずらの被害件数が1万1,851件に上り、南アフリカ、ウクライナ、クウェート、香港などではセクシュアル・ハラスメントや暴行の広まりが主な懸念事項になっているとしています。南アフリカでは保健医療部門労働者に対する職場内暴力が広く見られ、ある12ヵ月の期間内に民間医療施設従業員の9%、公立医療機関職員の最大17%が身体的暴力を経験しているとしています。
 一方、2002〜03年に発生したと推計される職場内暴力事件が84万9,000件で3年前の前回調査の130万件より低下したイングランド及びウェールズや、業務関連死亡原因の3位にランクする殺人件数が、死亡に至らない暴行事件の件数と共に近年減ってきている米国のように、プラスの動向を示している国もあります。
 職場内暴力のコストを算出するのは困難ですが、欠勤や疾病休暇の原因を作るといった間接的なコストも含め膨大なものになると予想されます。例えば、オーストラリアでは職場内暴力が使用者にもたらすコストは60〜130億オーストラリアドルになると推計され、欧州連合などの調査では健康関連の欠勤と職場内暴力の存在の間に有意の相関関係が示されています。
 職場内暴力に取り組む必要性に対する認識の高まりは新たに効果的な予防戦略の開発をもたらしています。アルゼンチン、ベルギー、カナダ、フィンランド、フランス、ポーランド、スウェーデンといった多くの国が職場内暴力に関する法規の整備に乗り出しています。報告書は世界各地から職場内暴力の取り組みにおける好事例も紹介しています。
 ILOも2004年にサービス部門の職場内暴力に取り組む実務規程を発行したほか、世界保健機関(WHO)などと共同で保健医療部門の職場内暴力に関する枠組み指針を作成しています。

 ILO理事会、南ア労働大臣を議長に選出;結社の自由委員会、カンボジア、ジブチ、イラン、ジンバブエなどに特に言及英語原文
    2006年6月12日(月)発表ILO/06/32

 第296回ILO理事会は、6月12日に会合をもち、2006〜07年の議長として、南アフリカのメンバチシ・ムフンジ・シェファード・ムドゥラドゥラナ労働大臣を選出しました。1998年から現職にあるムドゥラドゥラナ大臣は、就任に際し、ILOが21世紀の活動目標とする、まともで、人間的な働き方を意味する「ディーセント・ワーク」はグローバルな目標であるとし、世界の安全保障と平和にとっての最大の脅威は失業と貧困であると語りました。労働者側副議長には、理事会労働者側グループのスポークスマンでもあるルロイ・トロットマン・バルバドス労働者組合書記長、使用者側副議長には、ダニエル・フネス・デ・リオハ・アルゼンチン産業連合社会政策局長がそれぞれ再選されました。
 理事会はまた、結社の自由委員会の第342次報告書を承認しました。委員会には現在、結社の自由や団体交渉権の侵害に関する102件の申立案件が付託されていますが、今回はそのうち31件が検討され、このうちカンボジア、ジブチ、ジンバブエの案件に特に注意が喚起されました。
 労組リーダーの殺害を始めとした組合活動家に対する深刻な抑圧の継続が問題となっているカンボジアについては、2度目の中間結論が出され、政府が前回の勧告に応えていないことを遺憾とした上で、殺人捜査の再開などに加え、労働組合の権利が完全に尊重され、組合活動家が威嚇を受けたり、生命の危険を感じずに活動を行えるよう確保する措置を講じることを委員会は政府に強く要請しました。
 ストライキ、組合選挙への政府の介入、組合リーダーや組合員の逮捕・拘束、国際労働組合の連帯ミッションの入国拒否並びにミッションメンバーとして唯一人入国を認められたILO職員の逮捕・尋問といった事態が発生したジブチについては、申立への迅速な回答を政府に求めると共に、スト後に解雇された組合役員や労働者の復職などについて措置を講じるよう要請しました。
 組合活動家やその家族に対する殺人未遂、暴行、威嚇、専断的な逮捕・拘束、恣意的な解雇と転勤といった深刻な申立が出されているジンバブエに関しては、3度目の中間結論に達し、直接接触ミッションの受け入れを政府に提案しました。
 さらに、2004年のメーデー大会、スト、抗議行動における警察の暴力的な鎮圧、複数の組合リーダーや活動家が組合活動を理由として逮捕、拘束、有罪判決を受けていることが申し立てられているイランに関しては、2度目の中間結論に達し、委員会は組合役員の一部罪状取り下げのような明るい展開を歓迎しつつも、全ての罪状の取り下げを強く求めると共に、過度の暴力の利用に伴う危険をなくすよう権限当局が十分な指示を受けることの確保などを政府に要請しました。
 日本については、警察による組合活動妨害に関するJR総連の申立がフォローアップ案件として取り上げられ、新たな横領嫌疑に基づく家宅捜索・物件押収の発生報告を含む申立人及び政府から寄せられた追加情報に留意し、今後も裁判進展状況等に関する継続的な情報提供が求められました。

 コスタリカのオスカル・アリアス大統領、ILO総会で演説:「平和の中心にはまともな雇用」英語原文
    2006年6月8日(木)発表ILO/06/31

 6月8日に、ジュネーブで開かれている第95回ILO総会で演説したコスタリカのオスカル・アリアス大統領は「まともな雇用と平和、仕事と人間の尊厳の擁護の間にはそれぞれ本質的なつながりがある」として、より公正なグローバル化を確保する具体的な措置と軍備競争に費やす金額を減らすイニシアティブを求めました。
 1987年にノーベル平和賞を受賞したアリアス大統領は、同じ賞をILOも1969年に受賞している事実に関連し、「同じノーベル賞受賞者として、我々は共に平和の中心にはまともな雇用があることを知っている」として、まともな雇用と人間の尊厳の擁護を公共政策の中心に置けば倫理的な進歩が達成されると唱えました。そして、まともな雇用の創出を国内・国際レベルで現実のものとするための具体的な戦略を求める過程で、教育に投資し、自由貿易を育成する必要性に触れました。
 また、中南米が新たな軍備競争に突入している状況を指摘し、貧しい国がますます多くの武器を購入し、軍隊を強化している事態は「恥ずべきこと」として、「コスタリカ合意」に生命を吹き込み、このメカニズムを通じて、教育・保健・住宅に対する投資を増やし、武器や軍隊に対する投資を減らしているような途上国の債務を免除し、国際金融支援を行っていくことを提案しました。
 さらに、貿易協定は労働者の権利と結びつけられるべきとし、ILOの労働基準の尊重を約した合意の例として、米国、中米、ドミニカ共和国の間で結ばれている自由貿易協定を挙げました。
 6月9日に開幕するドイツ・ワールドカップで開幕戦を戦うコスタリカの試合を観戦する予定の大統領はまた、ワールドカップ開幕前日のメッセージとして、この地球上の一人一人の労働者、労働組合、企業、政府が互いのことを同じチームでプレーする仲間と考えることを提案し、「皆が一つのチームとしてプレーすれば、失業、貧困、不公平、戦争といった敵に対して、次々とゴールを決めていくことができるだろう」と述べて演説を締めくくりました。

 エレン・ジョンソン・サーリーフ・リベリア大統領、ILO年次総会で演説:失業率が推計85%に達する同国における平和と開発に向けた緊急活動を要請英語原文
    2006年6月7日(水)発表ILO/06/30

 アフリカ初の民選女性大統領であるリベリアのエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領は、6月7日に、ジュネーブで開かれている第95回ILO総会で特別演説を行い、失業率が推計85%と耐えられない水準に達している現状を紹介し、長い内戦を経た同国が平和と開発に向けた持続可能な条件を構築できるよう緊急支援を要請しました。そして、同国の政策課題はリベリアの労働力を人間化し、尊厳を回復するとの決意に深く根ざす理念を包含しているとして、月に1,500人以上を復旧・復興の複数の分野に配備する労働集約型の緊急雇用計画の構想を紹介し、国の再生がかかっているこのような計画への支援と資金の提供を訴えました。大統領はまた、ILOが21世紀の活動目標に掲げている、まともで人間的な働き方を意味する「ディーセント・ワーク」の理念に触れ、「ディーセント・ワークは至る所の人々の民主的な要求の一つ」であるとし、「ディーセント・ワーク課題は貧困から抜け出す持続可能な道を提供する開発課題である」と結びました。
 演説後、大統領は今年2月に採択されたILOの海事労働条約に署名しました。世界有数の海運国であるリベリアはこの条約の最初の批准国となりました。

 2006年児童労働反対世界デー: ILO、児童労働に向けてレッドカードを振りかざす、「一緒にやればできる児童労働のない世界!」をテーマに世界各地でイベント英語原文
    2006年6月7日(水)発表ILO/06/29

 ILOは6月12日を「児童労働反対世界デー」として、児童労働問題に注目を喚起し、世界的な反児童労働の取り組みに脚光を当てる日としています。今年の世界デーにおけるイベントは、5月に発表されたグローバル・レポート「The end of child labour: Within reach(児童労働のない世界:手の届く目標・英語)」を中心に展開されます。
 ILO総会会期中であるジュネーブのILO本部では、6月9日に総会の場でレポートの審議が行われるほか、児童労働に対する取り組みで成功を収めている諸国(ブラジル、タンザニア、トルコ)の好事例を紹介する円卓会議やポルトガル語圏諸国8カ国の労働担当大臣が反児童労働行動計画に関する意見を交換する円卓会議(6月8日)が開かれます。12日当日には、2002年に開始された「児童労働レッドカード・キャンペーン」の一環として、カメルーンの伝説的サッカー選手ロジェ・ミラ、国際サッカー連盟(FIFA)代表、男子の国際試合の審判資格を持つ唯一の女性審判であるニコール・プティニャ=ムイディさん、ポルトガルのサッカー選手で児童の育成に向けたサッカークラブを創設したカルロス・シャビエル氏などが児童労働のない世界に向けてアピールを行うほか、ミラ選手は地元サッカークラブとインターナショナル・スクールの少女チーム同士の親善試合にも参加する予定です。
 世界各地100カ国以上で、マーチ、紙製風車の配布、詩・作文・絵のコンクール、パネル討議、テレビやラジオの特別番組、働く子どもの物語の新聞掲載、子どもによる歌やダンス、芝居などが行われます。ILOの児童労働撤廃国際計画(IPEC)がFIFAらと共同で、サッカーボール縫製業界から児童労働を駆逐することに成功したパキスタンのシアルコートでは、元児童労働者をスポーツを通じて育成しようとのILOとFIFAの新しいプログラムの初めての試合が行われます。日本では、ILO駐日事務所主催で6月12日当日にグローバル・レポートの報告会を開催するほか、6月16日まで児童労働写真パネル展を開催しています。また、NGOらの主催で「なくそう!世界の児童労働」キャンペーン(5月15日〜6月30日)として、国内各地で様々なイベントが行われています。

 「まともな労働時間」に関するILO新刊書「仕事と生活の調和」が危機にさらされていると指摘英語原文
    2006年6月6日(火)発表ILO/06/28

 来る6月7日にILOが発表する新刊「Decent working time: New trends, new issues(まともな労働時間:新しい傾向、新たな論点・英文)」は、先進国全体を通じて、労働時間はますます予測不能なものになってきており、労使間の緊張を生み出していると同時に「仕事と生活の調和」を危機にさらしていると記しています。
 2004年にパリで開かれた第9回労働時間国際シンポジウムのまとめである本書は、ILOの提唱する「まともな労働時間」の視点を用いて、先進国を中心とする最近数年間の労働時間における変化と実行されている政策を評価しています。報告書は、国によって労働時間数には増減があるものの、「非典型的で予測不能な」性格の労働時間、そして週末労働や夜間労働の増加が最近の特徴であるとします。報告書の共同編者であるILO労働・雇用条件計画の上級研究員ジョン・メッセンジャーは、「こういった傾向は労使間の緊張関係を増し、仕事と生活の調和が大きな問題になってきている」として、「この調和を推進する助けになるような新しい政策の必要性が高まってきている」と論じています。
 報告書はまた、ますます24時間年中無休で動くようになってきている経済の中における熾烈な競争の圧力は、企業がより市場の需要に近い労働時間編成を工夫する推進力になっており、これは労働時間形態の多様化を生み出しているとします。そして、家庭責任のある労働者にとって柔軟な労働時間の問題は特に重要としています。こういった傾向に加え、成果主義に基づく雇用関係がますます用いられるようになってきている現状を観察して、本書は労働時間の多様化、分散化、個別化の傾向の拡大を示しています。報告書は労使関係や非典型的で予測不能な労働時間が安全衛生に与える影響なども検討しています。
 労働時間に関する既存の国際労働基準と先進国における労働時間の傾向と発展に関する最近の調査結果を元に、本書は労働時間編成が健康的で、家族に優しく、男女平等を促進し、企業の競争力を高め、自分の労働時間に対する労働者の選択権と影響力を推進するような「まともな労働時間政策」を提案しています。

 エレン・ジョンソン・サーリーフ・リベリア大統領、ILO年次総会で演説予定英語原文
    2006年6月6日(火)発表ILO/06/27

 現在、ジュネーブのパレ・デ・ナシオン(国連欧州本部)では第95回ILO総会が開催されていますが、6月7日正午より、エレン・ジョンソン・サーリーフ・リベリア大統領の演説が行われます。
 サーリーフ大統領は、アフリカ初の民選女性大統領として2006年1月に就任しました。

 第95回ILO総会:世界は2015年までに4億3,000万の新規雇用の創出と「雇用を豊かに生み出す」成長を必要とする英語原文
    2006年6月5日(月)発表ILO/06/26

 フアン・ソマビアILO事務局長は本日、ジュネーブで開かれている第95回ILO総会で演説を行い、世界全体の労働力の約8割が住む途上国を中心とする労働力の伸びに合わせるため、今後10年間に世界全体で4億3,000万の新規雇用の創出が必要になるとしました。そして、世界経済は人々が必要としているまともな仕事を十分提供していないとし、雇用なき経済成長を「雇用を豊かに生み出す」、質の高い経済成長に置き換える政策の採用を求めました。
 今総会の議長を務めるチェコのチェストミル・サイダ労働・社会問題副大臣も世界人口の多くの割合がグローバル化の潜在的な利益を享受できていないと指摘しました。
 ソマビア事務局長は続いて、今年2月にILOで採択された新海事条約、昨年9月の国連世界サミットの最終成果文書など、様々な国際的な場でILOが21世紀の活動目標に掲げる「ディーセント・ワーク(まともで、人間らしい働き方)課題」に対する支持が表明されつつある状況を紹介し、公約を現実のものにすることの重要性を強調しました。そして、ILOが範を示しているように、政労使の三者構成の仕組みがディーセント・ワークの課題を扱う最良の方法であると唱えました。来る7月3〜5日にジュネーブで開かれる国連経済社会理事会のハイレベル会合でも、このILOの「ディーセント・ワーク課題」が論議されます。

 第95回ILO総会:労働の世界における不確実性の増大、加速する変化を分析するILO新刊書英語原文
    2006年6月1日(木)発表ILO/06/25

 6月16日までの日程で開かれている第95回ILO総会には、労働の場に現れつつある変化と課題を包括的に分析し、議論を刺激することを目的とした報告書が提出されています。「Changing patterns in the world of work(仕事の世界におけるパターンの変化・英文・74頁)」と題するこの事務局長報告は、今日の労働市場は、ある者にはかつてないほどの機会を、他の者には不確実性の増大をもたらすという格差拡大を特徴としているとします。
 ILOの有する広範な情報を元に報告書が示す労働市場の特徴には次のようなものがあります。
 報告書はこの他に、世界的に発生している技能不足、国際労働力移動の増大、インフォーマル経済の成長、雇用及び職業上の差別、労働市場における柔軟性と安全保障を求める圧力の増大などの労働市場の動向を紹介しています。そして、相互に作用しながら変化を推進している主な力として、1)貧困や格差への緊急対処の必要性から生まれた開発を急務とする考え方、2)情報処理や通信の新しい手段の普及から派生した技術変革、3)貿易や金融の自由化、そして通信・輸送コストの大幅減から引き起こされた国際競争の熾烈化、4)労働市場に関する政治思考の変化を挙げています。
 報告書は労働の世界における大きな変化は全ての働く人々がまともな仕事(ディーセント・ワーク)を得る機会を形成する潜在力があるとし、ディーセント・ワークの不足に対処する戦略として、1)資本よりも労働を優遇するようにインセンティブの枠組みを変えることによって、より多くの雇用を生む成長形態を達成すること、2)最も貧しい労働者の収入や労働条件の向上が可能になるよう生産性向上を図ること、3)全体的な成長のペースを速めて、労働需要を高め、最も貧しい労働者のより生産的な雇用への移行を加速させることを提案しています。報告書はまた、社会保障の世界的な動向や労働市場の統治が変化に適応し、近代化している方法の分析も行っています。

2006年5月発表分

 ILO年次総会役員選出英語原文
    2006年5月31日(水)発表ILO/06/24

 6月16日までの日程で開幕した第95回ILO総会は、初日の5月31日に、議長としてチェコのチェストミル・サイダ労働・社会問題副大臣、副議長としてエジプトのアイシャ・アブデル・ハディ労働力・移民大臣、メキシコのホルヘ・デ・レヒル使用者代表、そしてインドのアジャンタヤ労働者代表を選出しました。
 サイダ労働・社会問題副大臣は、就任に際し、チェコはILOの創立メンバー42カ国の一つであった事実に触れ、ILOが変化する世界の中でも今日的な意味を保っている事実を強調しました。

 第95回ILO総会、明日開幕英語原文
    2006年5月30日(火)発表ILO/06/23

 5月31日〜6月16日の日程でジュネーブで開かれるILOの今年の年次総会の主な議題は以下の通りです。
 今年のゲストスピーカーはリベリアのエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領とコスタリカのオスカル・アリアス・サンチェス大統領で、それぞれ6月7日と8日に演説を行います。

 ILO新刊:アラブ被占領地の労働者の状況英語原文
    2006年5月26日(金)発表ILO/06/22

 第95回ILO総会に提出されるアラブ被占領地(パレスチナ)の労働者の状況に関する年次報告書は、アラブ被占領地経済は激しい落ち込みの後、昨年わずかに回復したものの、パレスチナ人の10人に4人が1日2.1ドルの公式貧困線を下回る暮らしを送っており、貧困者の絶対数は、1999年には60万人であったのが、2005年には160万人に達したと記しています。失業率は2005年に23.5%に達し、これに2000年の危機以前は働いていたものの、現在は働いてもいなければ、積極的に職探しもしていない人を加えると、無職者はパレスチナの労働力の40.7%に達するとILOでは推計しています。報告書はさらに、生産年齢にある男性の50%、女性の11%しか就業しておらず、就業者1人当たりで5名を支えているという、労働力率と就業率が非常に低いままの状況も懸念されると記しています。また、就業者全体の23%が公共部門で働いていますが、国際資金の流入が困難な状態が続いている結果、パレスチナ当局は現在、十分な賃金の支払いが行えない状態になっているとします。
 報告書は、今年前半に西岸、ガザ地区、ゴランを含むアラブ被占領地の労働者の状況を評価するため、現地に派遣された視察団の報告をもとにまとめられています。報告書は西岸内、そしてガザ地区と西岸との間の、人、モノ、サービスの移動に対する障壁が2005年後半から2006年初めにかけて厳しくなったことを指摘し、イスラエルと世界の将来性ある貿易体制の構築に加え、こういった障壁の撤去が、現下の社会経済における危機を緩和し、地域でディーセント・ワークを推進する上で、最も重要で急を要する前提条件であると唱えています。さらに、永続する平和と社会正義に向けた将来性のある戦略の推進力となるべき対話と交渉の基礎として、政府、労使団体を含む、三者構成の社会対話の機能のための制度と社会的パートナーの強化を最も有望な戦略と提唱しています。

 第95回ILO総会 (ジュネーブ・2006年5月31日〜6月16日)取材要項英語原文
    2006年5月19日(金)発表ILO/06/21

 2006年のILOの通常年次総会である第95回ILO総会は、5月31日〜6月16日の日程でジュネーブのパレ・デ・ナシオン(国連欧州本部)で開かれます。
 ILOの三者構成の会議は全て、特記ない限り、取材できます。総会の取材をご希望の報道機関の方々は、国連の発給する永久記者証をお持ちでない場合にはILOで登録し、パスを受け取る必要があります。この新聞発表には、そのための手続き、総会開催中のメディア・オフィスの所在地、記者会見等の通知方法、ラジオ・テレビ取材要項、ILO本部広報担当者連絡先一覧が詳記されています。
 第95回ILO総会の議題概要については、別途、5月30日に新聞発表を行う予定です。

 鉱業の専門家、地下炭鉱における安全衛生に関する新実務規程を採択英語原文
    2006年5月17日(水)発表ILO/06/20

 去る5月13日、23カ国から出席した政府、使用者、労働者の専門家は、6日間の討議を経て、世界で最も危険な業務の一つとされる地下炭鉱の安全衛生向上を目指した新しい実務規程を採択しました。ILOは1986年に炭鉱における実務規程を採択していますが、この「地下炭鉱における安全衛生実務規程」は、過去20年間にこの産業に携わる人々の労働条件を大きく変革した多くの変化や労働安全衛生に関するILOの新しい文書の開発を反映し、1986年の規程に置き換わるものとなっています。
 炭鉱業は世界約50カ国で重要な活動となっており、アジアを中心に消費と生産が史上最大の速度で伸びていることにも石炭の重要性が示されています。この動向はさらに、石炭の液化やガス化、クリーン・コール・テクノロジーのような、石炭に対する持続的な需要の増大に寄与する炭鉱業における最近の開発によっても強化されています。
 地下炭鉱は歴史的に最も危険な活動の一つとされ、先週の討議の最中にも中国で炭鉱事故が発生し、会議の場では犠牲者を悼む1分間の黙祷が捧げられました。新技術、設備投資、継続的な訓練、そして権限当局、使用者、労働者、労使代表の安全衛生に対する姿勢の変化によって、炭鉱業の労働安全衛生は相当の向上を持続的に達成してきています。それでも決定的に重要な点検と調節を含む安全網の導入による危険の評価と管理が行われなければ、事故や職業病が発生する可能性があり、実際に発生しています。
 採択された実務規程は、権限当局、労働者、使用者、労使団体の役割を具体的に記す国内的枠組みを定めると共に、危険把握並びにリスクの予防及び最小化の方法、そして安全な地下炭鉱作業のための具体的な規定を含むものとなっています。こういった危険把握の方法、リスクの評価・管理手順を、最新の詳細な規定と共に用いることは現段階での最善事例を意味するものになります。実務規程はまた、1995年に採択された鉱山における安全及び健康条約(第176号)及び同勧告(第183号)を支援する重要な実務的手引きとなります。
 新しい実務規程に含まれる勧告は、地下炭鉱の安全衛生管理に責任のある人々が官民を問わず利用できることを意図したもので、国内法規や受け入れられている基準に置き換わることを意図したものではありません。
 フォローアップ活動の提案に際し、会議では実務規程の普及と促進の必要性が強調されると共に、ILOに対しては、小規模鉱山に関連した問題、炭鉱が地域社会に与える影響、安全衛生に対するシステム的アプローチのさらなる調査が求められました。実務規程は2006年11月のILO理事会に承認を求めて提出されます。

 中南米・カリブのHIV/エイズと仕事の世界ILO/UNAIDS会議:ILO、職場におけるエイズ問題に取り組むさらなる努力の結集を呼びかける英語原文
    2006年5月9日(火)発表ILO/06/19

 ILOは先週ブラジリアで米州地域会議を開きましたが、その直後の5月6日に同地で中南米・カリブ諸国におけるHIV(エイズウイルス)/エイズと仕事の世界に関する会議を国連合同エイズ計画(UNAIDS)と共催しました。域内諸国8カ国の大臣、20カ国以上の政府及び労使代表、国連諸機関代表が出席した会議で、ILOは世界全体で生産年齢人口の約3,600万人に影響しているHIV/エイズに対する予防活動を向上させ、差別と闘うため、中南米・カリブ諸国の職場でより多くの努力を結集する必要性を強調しました。会議では、経験交流に加え、職場におけるHIV/エイズへの取り組みや可能なフォローアップ機構の検討が行われました。
 ソマビアILO事務局長は、「職場は社会を反映している」として、HIV/エイズの影響が最も大きいのは生産年齢人口であることが、ILOがこの問題に取り組んでいる論理の背景にあるとしました。そして、最も大きな課題の一つである差別との闘いは、ILOが21世紀の活動目標として推進している、まともで、人間的な仕事を意味する「ディーセント・ワーク戦略」の基本的な原則の一つであるとして、HIV感染者・エイズ患者の雇用を保護し、これらの人々が十分かつ適切な治療を受けられるよう確保する上でこの戦略はきわめて重要と主張しました。
 中南米・カリブ諸国のHIV感染者は約200万人に上り、HIV/エイズを原因とする死亡者は過去20年間でおおよそ60万人に達しています。ある推計によると、この地域では毎日約500人が新たに感染者の仲間入りをしているとされます。
 ILOは2000年に職場におけるHIV/エイズ問題に対処する専門の事業計画を設け、現在、40以上の国々の努力を支える活動を展開しています。2001年にはHIV/エイズと働く世界に関するILO行動規範を刊行しています。ソマビアILO事務局長は2005年6月から、国連合同エイズ計画(UNAIDS)の共同スポンサー機関委員会で委員長を務めています。

 第16回ILO米州地域会議閉幕:政府、使用者、労働者代表、「米州におけるディーセント・ワーク推進の10年」の開始を宣言英語原文
    2006年5月8日(月)発表ILO/06/18

 5月3日にブラジル大統領の出席も得て公式に開幕した第16回ILO米州地域会議は、政府、使用者、労働者の代表による「米州におけるディーセント・ワーク推進の10年」の開始宣言をもって5日に幕を閉じました。会議の結論ではまた、「社会対話を組み込んだ国の公共政策の策定及び適用の重要性」が強調され、そのような政策は、「国内投資及び外国からの投資、排他的でない経済成長、そして質の高い雇用、社会的保護、労働者の権利の実際的な尊重を伴うディーセント・ワークの創出を刺激すべき」とされました。4日に児童労働に関するグローバル・レポートが発表されたことを受け、最悪の形態の児童労働の撤廃に向けた公約の再確認も行われました。
 ソマビアILO事務局長は閉会の辞で、今、この公約を行ったことによってこの地域は2015年までに大きな進歩を期待できるとし、「地域の大変革の時」に応える「極めて有用」なものとして、会議の結論を評価しました。閉会式に出席したブラジルのセルソ・アモリン外務大臣は「ディーセント・ワークの概念」の重要性を強調し、「ILOの行動計画はブラジルの行動計画」と述べました。
 会議の討議資料として提出された事務局長報告「Decent work in the Americas: An Agenda for the Hemisphere, 2006-15(英文・米州におけるディーセント・ワーク:2006〜15年のこの半球の戦略)」は、中南米の1億2,600万人に影響している公式雇用の不足を含む、地域の雇用問題に取り組むよう設計された政策を提案していますが、会議では、報告書が提案するディーセント・ワーク国別計画の重要性、政策を各国の個別状況に合わせる必要性について合意が達成され、国別計画が社会及び経済の持続可能な開発を推進する上で重要な貢献を行う可能性が指摘されました。そして、そのような計画の策定の際には、国家レベルで労使団体を直接参加させることを確保することの重要性が指摘され、ILOは会議の成果をフォローアップする三者構成のメカニズムを支援するよう求められました。
 会議の議長には、ブラジルのルイス・マリンニョ労働大臣、副議長には、ブラジルのダゴベルト・リマ・ゴドイ使用者代表、ブラジルのルイス・カルロス・モッタ労働者代表、メキシコのフリオ・ファエスレル・カルリスレ政府代表がそれぞれ選出されました。
 会議には域内ILO加盟国23カ国より200名近くが出席しました。地域会議は原則4年おきに開催され、域内ILO加盟諸国の政府、使用者、労働者の代表が出席し、地域が直面している労働分野の主な課題について話し合います。次は今年8月29日〜9月1日にアジア太平洋諸国の地域会議が釜山で開催されることになっています。

 ILO専門家会議、炭鉱の安全に関する新実務規程を検討英語原文
    2006年5月8日(月)発表ILO/06/17

 鉱業は世界で最も危険な職業の一つですが、ILOでは5月8〜13日の日程で、政府、使用者、労働者の代表の出席を得て、地下炭鉱における安全衛生に関する実務規程の作成に向けた会議を開催しています。ILOは20年前にも炭鉱における実務規程を作成していますが、今回はこの20年間に、英米国、オーストラリアといった先進国を中心に地下炭鉱における死亡者数の減少を招いた新技術、投資、訓練、規則の導入といった新たな展開を反映するよう内容を更新することを目指したものです。
 会議に提出されている実務規程案は、この20年間に炭鉱業が経験した多くの変化(より無駄をなくし、多技能化した労働者と新技術の導入)を反映し、細かい規定を減らし、よりシステム的なアプローチを取っています。各国の枠組みの中で用いられる、権限ある機関、労働監督署、使用者、労働者、労使団体、供給業者、製造業者、設計者、請負業者の責任・義務・権利、そして労働安全衛生マネジメントのシステムや業務、報告届出といった事項を取り上げています。また、入出坑の手段、通路、運搬と輸送、屋根及び壁の支持、換気、照明といった技術的事項から、石炭及びその他の粉じん、鉱山の火災、水・ガス・その他の物質の噴出、電気・機械・爆薬の使用に伴う危険といった地下鉱山で石炭の生産に従事する際に出合う各種の危険と用いられている様々な設備も取り上げています。交通、職務能力と訓練、個人保護具、非常事態への準備、特別の保護や衛生問題といった事項も扱われています。
 ILOの実務規程とは、安全衛生管理に責任のある人々が官民を問わず利用できるよう編纂された実務的な勧告集であり、国内法規や受け入れられている基準に置き換わることを意図したものではありません。

 ブラジリアで第16回ILO米州地域会議開幕英語原文
    2006年5月4日(木)発表ILO/06/16

 ILOでは5月5日までの日程で、ブラジリア(ブラジル)で第16回米州地域会議を開催しています。3日に開かれた開会式で、ソマビアILO事務局長は、「この半球における民主的な統治と安全保障の展望を高めるため、ディーセント・ワークの10年」を開始しようと呼びかけました。
 開会式に出席したブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領も「経済成長と民主主義の育成による労働の世界の改善」に向けた期待を表明しました。
 会議の討議資料として作成された事務局長報告「Decent work in the Americas: An Agenda for the Hemisphere, 2006-15(英文・米州におけるディーセント・ワーク:2006〜15年のこの半球の戦略)」は、まともで人間的な仕事を意味するディーセント・ワークを地域で確保することに向けた経済、法、制度、労働市場の各面における活動を組み合わせた行動計画を提示しています。ソマビアILO事務局長はこの行動計画は、 といった、地域の現状に応えるものとします。
 会議の議長には、ブラジルのルイス・マリンニョ労働大臣、副議長には、ブラジルのダゴベルト・リマ・ゴドイ使用者代表、ブラジルのルイス・カルロス・モッタ労働者代表、メキシコのフリオ・ファエスレル・カルリスレ政府代表がそれぞれ選出されました。マリンニョ労働大臣は、ブラジルは早期にディーセント・ワーク国内行動計画を開始する用意があることを示しました。開会式ではまた、労使代表から政府に対し、地域における最悪の形態の児童労働の撤廃、そして最も耐え難い形態のものから開始して児童労働の撤廃に向けた公式の政策を策定し、そのための優先事項を設定することに向けた呼びかけが行われました。

 児童労働の世界的な減少を示すILOの新刊書−最悪の形態の児童労働は10年で撤廃可能との見解を示す英語原文新聞発表日本語訳報告書エグゼクティブ・サマリー関連統計資料児童労働スライドショー
    2006年5月4日(木)発表ILO/06/15

 5月31日に開幕する今年のILO総会には、児童労働に関するグローバル・レポート「The end of child labour: Within reach(児童労働のない世界:手の届く目標・英文・90頁)」(5月4日に掲載)が提出されます。こどもの日に先立つ5月4日に発表される今年のグローバル・レポートは、児童労働の数は減ってきたとして、児童労働撤廃に向けた世界的な動きがこの勢いを保つならば、児童労働は、最悪の形態のもののほとんどが、10年間で撤廃できようとの希望を述べています。グローバル・レポートは4年前にも発行されていますが、そのときと同じ統計手法を用いると、2000年に世界全体で2億4,600万人と推計された児童労働者数が2004年には11%減って2億1,800万人になり、危険な仕事に従事していた子ども(5〜17歳)は同じ期間に1億7,100万人から26%減の1億2,600万人になったとされます。
 地域別では、過去4年間で児童労働者数が最も急速に減少したのは中南米・カリブ地域で、この地域では働く子どもの数は3分の2になり、今では仕事に従事している子どもは全体のわずか5%に過ぎないとしています。アジア太平洋地域でも経済活動に従事する子どもの数はかなり減ったものの、子どもの人口も減ったため、割合はそれほど下がっておらず、依然として働く子ども(5〜14歳)の数は世界で最も多く、約1億2,200万人と推計されています。働く子どもの割合ではサハラ以南アフリカ地域が最も高く、子ども人口の26%、または約5,000万人が働いているとされます。この地域では、高い人口増加率、厳しい貧困、そしてHIV/エイズの流行が絡み合って、児童労働に対する闘いがなかなか進まないものの、初等学校就学率は2000年に1990年比38%増を記録するなど、進展も見られます。
 レポートは、この児童労働減少の原因として、取り組みに向けた政治的意思と問題認識の拡大、そして具体的な行動、特に貧困削減と大衆教育の分野における活動が「世界的な反児童労働運動」につながった事実を挙げています。ILOは1992年に開始した児童労働撤廃国際計画(IPEC)を通じて児童労働に取り組む各国の能力構築を支援し、政策助言を提供しています。IPECが過去10年間に直接的な行動を通じて手を差し伸べた子どもの数は約500万人に達しています。
 過去5年間で、既に30以上のILO加盟国が最悪の形態の児童労働撲滅の目標年として2016年またはそれよりも早い期限を定めています。レポートは、まだ期限付き計画を採用していない加盟国すべてに対し、2008年までにその採用を呼びかけています。
 フアン・ソマビアILO事務局長は、「児童労働のない世界は手の届く所に来ている」として、「児童労働との闘いは依然として気の遠くなるような課題であるものの、我々は正しい道を進んでいる。最悪の形態のものは10年でなくすことができるが、あらゆる児童労働をなくすという最終目標を見失ってはならない」と語っています。
 グローバル・レポートとは、ILOが1998年に採択した「労働における基本的な原則と権利に関する宣言」のフォローアップ活動の一環として、2000年より毎年順番に総会に提出されている、宣言に含まれる四つの基本的な権利の一つに関する世界の現況を概説した報告書です。
 ILO駐日事務所では、国連大学本部ビル内UNギャラリーにて、5月15日〜6月16日に児童労働写真展を開催します。6月12日には、グローバル・レポートに関する説明会も開催する予定です。

 中南米における公式雇用の不足は1億2,600万人に影響;ILO、この半球でディーセント・ワークを創出する行動計画を提案−第16回ILO米州地域会議で検討予定英語原文
    2006年5月2日(火)発表ILO/06/14

 中南米では2,300万人が完全失業状態にあり、1億300万人が社会保障・労働法制上の十分な保護を受けられないインフォーマル・セクターで働いており、したがって地域の経済活動人口2億3,900万人の半分以上(53%)に当たる1億2,600万人分のフォーマル・セクター(公式部門)における雇用機会が不足していると、ILOは2006年5月2〜5日にブラジリア(ブラジル)で開かれる第16回米州地域会議に提出される報告書「Decent work in the Americas: An Agenda for the Hemisphere, 2006-15(英文・米州におけるディーセント・ワーク:2006〜15年のこの半球の戦略)」の中で指摘しています。報告書はさらに、より多くのより良い雇用を生み出すために必要な措置が講じられない限り、2015年までにこの不足は1億5,800万人分に上るとして、今後10年間にまともで、人間らしい仕事を意味するディーセント・ワークを創出する方法を提案しています。
 報告書は、個別国がそれぞれ特定の状況に合わせて採用できるような具体的な一連のターゲットを含む一般政策及び個別政策についての提言と共に、域内諸国のための2006〜15年の行動計画を提示しています。提案されている目標の一つに、現在、労働市場に期待されるほどの利益を与えていないような経済成長から脱し、より力強く、雇用を多く創出するような経済成長に向かうことが挙げられています。ソマビアILO事務局長は、「全ての人にディーセント・ワークを確保するという人々の希望に具体的な措置をもって応えなくてはならない」として、具体的な労働政策の立案に加え、ディーセント・ワーク創出の目標を国の開発戦略に明確に組み込む必要性を唱え、さらに、各国の現実に合った持続可能な政策を考案する上での重要な要素として、政府、使用者、労働者の社会対話の重要性を強調しています。
 報告書は、 を地域の四つの主な課題として提起しています。加えて、といった中南米が取り組むべき課題を指摘しています。
 地域会議は原則4年おきに開催され、域内ILO加盟諸国の政府、使用者、労働者の代表が出席し、地域が直面している労働分野の主な課題について話し合います。今年8月29日〜9月1日にはアジア太平洋諸国の地域会議が釜山(韓国)で開催されることになっています。

2006年4月発表分

 2006年労働安全衛生世界デー: 新たにHIV/エイズに焦点英語原文
    2006年4月27日(木)発表ILO/06/13

 毎年、業務に関連して命を落とす方々の数は約220万人に達し、うち40万人余りが有害物質の影響によるものとILOでは推計しています。また、業務関連疾病の患者の数は毎年、約1億6,000万人に上っています。この厳しい損失はあらゆるレベルで安全文化を育成する緊急の努力を求めるものです。
 世界の労働組合は以前から4月28日を労働災害や職業病で亡くなった方々を追悼する日としていましたが、ILOも2003年からこの日を「仕事における安全と健康のための世界の日(通称、労働安全衛生世界デー)」と定め、労働安全衛生の諸問題に人々の関心を喚起する日としています。今年も世界各地で100を超える記念行事が催され、東京でも「ディーセント・ワークは安全な仕事:グローバル化と労働安全衛生の課題」と題したフォーラムが開催されます。
 今年の世界デーは、HIV(エイズウイルス)/エイズを特別テーマに掲げています。ソマビアILO事務局長は世界デーに際して発表した声明の中で、「HIV/エイズは、生産年齢にある人々、そしてそれらの人々に生活を依存している全ての人々に最も大きな打撃を与えている」として、「労働者をHIVから保護し、感染者・患者を支援する安全で健康な職場を確保することは全ての人々の利益にかなう」と呼びかけました。
 HIVを理由として働くことを妨げられている人の数は常時200万人前後に達しているとILOでは推計していますが、2015年までにこの数は倍増すると予想されています。世界の日に際して発表されたILOの報告書日本労働組合総連合会による日本語版はこちらへ)は、ILOが21世紀の活動目標とする「ディーセント・ワーク(まともで、人間的な仕事)」と労働安全衛生とHIV/エイズのつながりを強調し、仕事における基本的な原則と権利の尊重、ILOの擁する国際労働基準体系、労働安全衛生メカニズム、労働監督、労働安全衛生やHIV/エイズと職場に関する実務規程、社会対話などといったこのディーセント・ワーク目標に含まれる各種構成要素は、予防及び治療へのアクセスといった力強い職場対応の基礎を提供するものとしています。HIVは生計と生産性、そして企業の存続そのものを脅かし、国の経済成長を低下させるため、HIVの影響を減らすことは労使団体に大きな関わりがあります。HIVが広く見られる世界40カ国以上で1992年からの10年間で、GDPの年成長率は平均0.2パーセント低下したと推計されますが、これは年平均250億ドルの損失に相当します。ILOでは職場におけるHIV/エイズ問題を管理する助けになるよう使用者向けの新しいCD−ROMを作成しました。

 ILO、児童労働に関する大型新刊発行予定英語原文
    2006年4月21日(金)発表ILO/06/12

 5月31日に開幕する今年のILO総会には、児童労働に関するグローバル・レポート「The end of child labour: Within reach(児童労働のない世界:手の届く目標・英文)」が提出されます。グローバル・レポートとは、ILOが1998年に採択した「労働における基本的な原則と権利に関する宣言」のフォローアップ活動の一環として、2000年より毎年順番に総会に提出されている、宣言に含まれる四つの基本的な権利の一つに関する世界の現況を概説した報告書です。
 こどもの日の5月5日に先立つ5月4日に発表される今年のグローバル・レポートは、世界全体及び地域別で児童労働に従事する子どもについて新たな推計値を示すと共に、児童労働との闘いにおいて今日までに達成された進歩を分析するものとなっています。4年前に出された同じテーマに関する前回のグローバル・レポートでは、児童労働の現状に関する信頼のおける評価を許すと共に児童労働をなくす実効性のある戦略の創設を呼びかけました。今年の報告書は児童労働撤廃に向けたさらなる進歩を達成するため、これまでに学んだ教訓を基礎に新たな地球規模の課題を示すものとなっています。
 なお、ILO駐日事務所では、国連大学本部ビル内UNギャラリーにて、5月15日〜6月16日の日程で児童労働写真展の開催を予定しています。6月12日には、グローバル・レポートに関する説明会も開催する予定です。

 ILO米州地域会議、ブラジリアで開催:「ディーセント・ワークの創出は政治的優先事項」とソマビアILO事務局長英語原文
    2006年4月20日(木)発表ILO/06/11

 北米、中米、南米、カリブ諸国のILO加盟国35カ国より政労使代表が出席し、なかなか改善しないこの地域の失業問題と不安定な労働市場に対処する戦略を話し合う第16回米州地域会議が、5月2〜5日の日程でブラジリア(ブラジル)で開催されます。
 2005年末に出された米州地域の雇用情勢に関する報告書「Panorama Laboral(労働概観)」は、中南米では約1,830万人の都市住民が無職の状態にあり、新規に創出される雇用の10中6までが零細自営などから構成されるインフォーマル経済で創出されていると記しています。
 会議には討議資料として、2冊の事務局長報告が提出されます。1冊は過去4年間の米州地域におけるILOの活動を扱ったもので、もう1冊は次の10年に、まともで人間的な仕事を意味するディーセント・ワークを創出するための地域の課題を設定するものです。
 ソマビアILO事務局長は、「ディーセント・ワークの創出はこの半球における民主的統治と安全保障に結びついた政治的優先事項」とし、「地域の人々は質の高い仕事を求めている」と訴えています。
 ILOでは域内加盟諸国が、当該地域におけるILOに関連する問題を話し合う地域会議を原則4年おきに開催しています。今年8月29日〜9月1日にはアジア太平洋諸国の地域会議が釜山で開催されることになっています。

2006年3月発表分

 第295回ILO理事会閉幕:ミャンマー及びベラルーシの労働情勢、グローバル化と移民問題などを審議英語原文
    2006年3月31日(金)発表ILO/06/10

 3月16〜31日の日程で、ジュネーブのILO本部で開かれた第295回ILO理事会の主な成果は以下の通りです。
■労働力移動
 2004年のILO総会で採択された移民労働者に関する行動計画は七つの要素から構成されています。理事会はこの一つとして、2005年10〜11月に開かれた政労使三者構成の専門家会議で採択された「労働力移動に関する多国間枠組み」を事務局長が公刊することを許可しました。この枠組みは、ディーセント・ワーク、国際協力の手段、移民労働者の保護、労働力移動の管理、社会的統合と包摂、労働力移動と開発など9項目15原則からなり、それぞれの原則を実施するガイドラインを定めています。枠組みには付属資料として、移民の送出国及び受入国における労働力移動政策好事例集も添付されています。ILOは今後、行動計画の枠内で、労働力移動政策の策定及び実施に際し、この枠組みが活用されるよう奨励していく予定です。
■結社の自由
 理事会の結社の自由委員会には現在122の案件が付託されています。今回はこのうち、公務員制度改革に関する日本の案件を含む37件が取り上げられ、ベラルーシ、コロンビア、ミャンマー、ネパールの案件に特に注意が喚起されました。
 2004年に審査委員会が設置されたベラルーシについては、2006年1月に実施された派遣団の報告書をもとに、審査委員会の勧告の実施状況が検討されました。政府が独立労働組合の残存者を全滅させようとの路線を取っていることに理事会は深い懸念を示し、過去の勧告を再度強調した上で、労働者が威嚇や圧力を受けずに、自由に労働組合組織を結成し、加入することが確保される適切で具体的な措置を即座に講じるよう強く求めました。
 労働組合役員に対する暴力が問題になっているコロンビアについては、政府の努力を評価した上で、さらなる措置の継続・情報提供などを求めました。また、関係者間の対話の推進や結社の自由のより効果的な実行確保に向け、国内にILOの事務所を設置する案の検討を政府に求めました。
 結社の自由が保障されていないミャンマーについては、ILOによる技術支援の可能性を示唆した上で、再び、法の整備、労使団体の保護の明文化、逮捕されている活動家の即時釈放を確保する措置等を求めました。
 2005年2月の非常事態宣言発令後、多くの組合活動家の国外脱出を招いている労働組合の権利侵害が訴えられているネパールについては、拘禁・逮捕されている人々が虐待を受けているとの訴えについての独立審査の実施や組合指導者が権利を自由に行使できる措置の確保などを求めると共に、直接接触ミッションの受け入れを検討するよう伝えました。
 現在提案されている公務員制度改革が労働者団体と十分な協議がないまま進められ、公務員の労働基本権が依然制約されたままであるなどとして、連合や全労連などが行った申立も審議され、2002年11月、2003年6月に続く三度目の中間報告が出されました。委員会は、当事者間の対話の場の設置に関心をもって留意するとした上で、公務員制度改革並びに条約に含まれる結社の自由原則に沿った法改正に関し、早急に合意に達することを目指し、現在見られる努力の追求を強く奨励すると共に、協議の内容に公務員の労働基本権付与や消防職員・刑務所職員の団結権付与の問題などを盛り込むことを求め、今後も継続的な情報提供を要請しました。
 公立学校教員の団体交渉権の制約について岡山県高等学校教職員組合が行った申立もフォローアップ段階にある案件として取り上げられ、政府の情報提供がないことを遺憾とした上で、情報の提供を再度求めました。
■ミャンマー
 強制労働条約(第29号)違反が長く問題になっているミャンマーについては、依然として意味のある進展が見られないことなどに深い懸念が示され、今年5〜6月の総会で、条約遵守を効果的に確保するさらなる行動及び強制労働に関する苦情を申し立てた人々やその代理人に対し、何らかの行動が取られないよう確保する手段について検討することを決定しました。
■その他
 理事会ではこの他に、2005年9月に開かれた国連世界サミットの成果とそのフォローアップ、2007年に開催される予定の公正なグローバル化に向けたディーセント・ワークILOフォーラム案、2005年のILO総会で採択された若者の雇用に関する決議をフォローアップする行動計画などについての審議も行われました。理事会はまた、2月に開かれた第94回ILO(海事)総会で採択された2006年の海事労働条約の促進に向けた準備作業の開始を事務局長に求めました。3月27日には、欧州委員会で開発と人道支援を担当するルイ・ミシェル委員が演説し、「全ての人々にディーセント・ワークを」との目標を推進するため、ILOと欧州連合の協力をさらに密にしていくことを呼びかけました。

 第295回ILO理事会開幕英語原文
    2006年3月16日(木)発表ILO/06/09

 3月16日に、ジュネーブのILO本部では31日までの日程で、第295回ILO理事会が開幕しました。今理事会ではミャンマーの強制労働、世界的な雇用危機、若者の雇用、グローバル化の諸問題といった多様な事項が審議されます。雇用促進と社会的保護の分野におけるILOの活動、2月に採択された新海事労働条約についての検討も行われ、結社の自由委員会の最新の報告書も採択される予定です。
 理事会のグローバル化の社会的側面作業部会は、3月27日に、ILOが21世紀の活動目標とするディーセント・ワーク(人間らしいまともな働き方)を世界の目標とする機会や国連システム全体を対象とする改革案などが盛り込まれた2005年9月に開かれた国連世界サミットの成果文書がILOにとって持つ意味を検討します。同日午前には、欧州委員会で開発と人道支援を担当するルイ・ミシェル委員の演説も予定されています。
 強制労働条約(第29号)違反が問われているミャンマーの案件は、27日から始まる理事会最終週に審議されます。3月29日には2005年のILO総会で採択された若者の雇用に関する決議をフォローアップする活動についての報告書の検討が行われます。

 ILOと国際女性の日: 社会正義に向けた戦いをステップアップするよう女性スポーツ・チャンピオンたちが女性たちに呼びかける英語原文
    2006年3月8日(水)発表ILO/06/08

 2006年の国際女性の日に際し、ILOは世界各地でスポーツと仕事の世界における女性に焦点を当て各種のイベントを開催しました。
 ジュネーブのILO本部には、ボクシング、陸上、テニスといったスポーツ界で活躍する女性たちが集まり、社会正義に向けた戦いを新たな高みに引き上げようと世界の女性たちに呼びかけました。
 現在、世界ボクシング協会(WBA)ライトウエルター級女子チャンピオンであるミリアム・ラマール氏(フランス)は「私のパンチは敵だけでなく、社会の基礎も揺さぶる」として、女性はもはやその弱さによるハンディキャップを負っているわけではないとしました。1984年の夏季オリンピック400mハードルで金メダルを取り、現在国際オリンピック委員会(IOC)委員を務めるナワル・エル・ムタワケル氏(モロッコ)はスポーツは自分を知る手立てになるとして、自らの経験を語りました。
 IOCは毎年、自国において女性スポーツの振興に貢献した人々に「スポーツにおける女性賞」を授賞していますが、今年の受賞者の一人となったテニススターのガブリエラ・サバチーニ氏(アルゼンチン)はILOで開かれた授賞式典で、女性の状況は少しずつ良くなってきているものの、まだ少し遅れている国もあると語りました。サバチーニ氏はアルゼンチンで子どもたち、特に女子の間でテニスを普及・振興してきた功績が認められて今回の受賞となりました。
 ソマビアILO事務局長は世界の日を記念して発表した声明の中で、過去10年の間に働く女性の数は世界全体で2億人増え、今では女性が働く人々全体の4割以上を占め、プロスポーツの世界にも女性が進出し続けているといった進展の一方で、依然として賃金格差や職務格差のような不平等が職場には存在するとしました。
 ILOは今回、スポーツを含むあらゆる職業に存在する男女不平等と女性に対する障壁に注意を喚起することを目的に、スポーツにおける女性に焦点を当てました。プロスポーツ界でも女性のスポーツは男性ほど一般の関心を呼ばないといったような理由から女性の収入の方がはるかに低くなっており、スポーツ団体の意思決定に携わる役職などにおいても依然としてガラスの天井が女性を阻んでいます。
 ジュネーブ以外でも、インドでは会議や津波被災地の行進、マニラではスポーツのデモンストレーションや女性駅伝大会・講演会が行われるなど、世界各地で様々なイベントが開催されました。東京では日本にある国連機関共催で「女性と意思決定〜実り多い社会をめざして〜」と題する公開フォーラムが開催されました。

2006年2月発表分

 ILO、海事部門の新しい包括的な章典を採択:新条約は世界全体で「質の高い海運業」を保障することをめざす英語原文
    2006年2月23日(木)発表ILO/06/07

 2月7〜23日の日程でジュネーブで開催されていた第94回ILO(海事)総会は、最終日の23日に、新しい海事労働条約を賛成314票、反対0、棄権4票の圧倒的多数で採択し、閉幕しました。この2006年の海事労働条約は、1920年以降に採択された68の海事労働分野の条約・勧告を更新し、一つにまとめた船員の「権利章典」とも呼べる包括的な基準になっています。
 新条約は、船舶で働く船員のための最低限の要件を定め、雇用条件、労働・休息時間、船員設備、娯楽設備、食事・司厨、健康保護、医療、福祉、社会保障に関する規定を含んでいます。ジャンク船のような伝統的な船と漁船を除き、商業活動に従事するあらゆる船舶に適用されます。船舶所有者と運航業者による遵守を奨励し、あらゆるレベルで基準の執行を強化するよう設計されており、問題の迅速な解決の奨励を目指した船上及び陸上における船員の苦情申立て手続き、船主及び船長による船舶状況の監督、旗国による自国籍船の管轄権及び監督などの規定も盛り込まれています。
 海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS)、船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約(STCW)、船舶による汚染の防止のための国際条約(MARPOL)といった国際海事機関(IMO)の三つの重要な条約と並び、国際海事規則体系の「第4の柱」となるよう、海事産業に関心のある全ての国が許容できる内容とするため、堅固さと柔軟性をバランスよく混ぜ合わせることに注意が払われました。条約と勧告を別々に作成するという従来のILOの慣行から離れ、この新しい条約には強行規定でないガイドライン規定も強行規定と共に盛り込まれています。また、産業の変化に対処するため、技術規定更新のための迅速な改正手続きも含まれています。
 重要な特徴として、新しい条約には船員の労働条件証明書の仕組みが組み込まれています。国際運航に従事するか、外国港間を運航する500総トン以上の船舶は「海事労働証明書」と「海事労働遵守宣言」を備え付けていることが求められます。宣言は、該当する国内法規その他、条約の実行に必要な措置の常時遵守を確保するための船主の計画を定めるもので、船長はこの明記された船主の計画を実行し、条約遵守の証拠となる適正な記録を維持する責任があります。旗国はこの船主の計画を点検し、それが備え付けられ、実行されていることを確認した上で証明書を出します。
 条約に含まれるこの他の革新的な事項には次のようなものがあります。  条約は、その合計船腹量が総トン数で世界全体の船