2004年新聞発表概要(全文は英語)
2004年12月発表分
マイクロクレジット・サミット・キャンペーン2004年現況報告をILO歓迎:「小口融資がもたらす大きな変化」(
英語原文)
2004年12月16日(木)発表ILO/04/57
ソマビアILO事務局長は、マイクロクレジット・サミット・キャンペーンが去る12月10日に発表した新しい報告書「State of the Microcredit Summit Campaign Report 2004(マイクロクレジット・サミット・キャンペーン2004年現況報告)」を歓迎し、小規模金融の成功は世界全体の雇用創出及び貧困削減にとってきわめて重要と評しました。米国に本部を置く非政府組織(NGO)リザルツ教育基金の1プログラムであるこのキャンペーンは、国連が国際マイクロクレジット年とした2005年の末までに世界で最も貧しい家族の人々1億人にマイクロクレジット(小口融資)を通じた支援の手を差し伸べることをめざして活動しています。自営業者に対する融資その他の金融・対事業所サービスの提供といった形で支援を提供した人の数は既に推計2億7,400万人に達しています。
「バングラデシュからボリビア、ウガンダからフィリピンに至る世界各地で見られる小規模金融機関の成功は、貧困から脱する持続可能な経路を指し示す上での小口融資の力を証明する。小口融資は自営業を振興し、経済活動の拡張を助けることによって他の人々に雇用の道を開く。小口融資その他の小規模金融商品はまた、貯蓄や保険に充てる資産の形成を助け、人々が苦しいときに頼れるものがあるようにすることで社会的安全網の重要な一部となり得る」とソマビア事務局長は評価しています。
ILOの事業計画の中でも、特に強制労働や児童労働の撤廃といった中核的労働基準の実施に向けた各国の努力の支援といった事業を中心に、小規模金融はしばしば非常に重要な役割を演じています。1991年に設置されたILOの社会金融計画は、金融部門における雇用及び社会正義に関連する情報の分析、評価、普及を進めています。活動の中心は、小規模金融の脆弱性の改善、雇用創出に向けた投資、より雇用に焦点を当てた金融政策の形成に置かれ、貧しい人々のために働く機関や政策を推進し、排他的でなくよりアクセスしやすい市場の形成に向け努力しています。「全ての人々にディーセント・ワーク(人間らしい仕事)を」という21世紀のILOの活動目標の実現、ミレニアム開発目標の達成において小規模金融が果たす役割は重要です。過去10年、ILOは労働者の送金と小規模金融のリンク、紛争後地域における小規模金融、小口リース、小規模保険、小口株式といった幾つかの先駆的な小規模金融応用の試みを行ってきました。ILOは来年の国際マイクロクレジット年に関わる活動にも積極的に参加していく予定です。
1,000冊以上の図書を収録したILO電子図書館コレクション開設(
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2004年12月10日(金)発表ILO/04/56
ILOはこの度、電子図書館サービスを提供するMyiLibraryの協力を得て、1,000冊以上のILOの出版物を収録した有料のオンライン図書館「ILOインサイト・コレクション(ILO Insight Collection)」を開設しました。コレクションには労働、雇用、社会的保護、女性労働、労働安全衛生、児童労働、経営、訓練、労働統計など、幅広い分野にわたるILOの図書(英・仏・西語)が収録されています。主要な単行本、論文集に加え、ILO総会を初めとする各種会議の資料・報告書、実務規程、条約・勧告原文、ワーキング・ペーパーなども含まれ、検索・閲覧に加え、テキストファイルのダウンロード等加工もできるようになっています。コレクションは毎月更新され、利用者には新着図書のご案内が随時通知されます。
公正なグローバル化についての世界委員会報告書に関する決議を採択−国連総会(
英語原文)
2004年12月7日(火)発表ILO/04/55
ILOは12月7日、グローバル化の社会的側面世界委員会の報告書を公正なグローバル化の追求に向けたさらなる刺激を提供する手段とする決議が国連総会で採択されたことに歓迎の意を表しました。ソマビアILO事務局長の提案により設置された世界委員会は、初の体系的な試みとしてグローバル化の社会的側面を吟味し、今年2月に、世界の統治に係わる現行の政策及び制度の「緊急再考」を求める報告書「公正なグローバル化:すべての人々に機会を創り出す(A fair globalization: Creating opportunities for all)」を発表しています。国連加盟国多数の後援を受け、フィンランドとタンザニアの両国政府(両国大統領が世界委員会の共同委員長)によって国連総会に提出された決議は、世界委員会の報告書を、「十分に包摂的で公平なグローバル化に向けた国際対話」に大きく貢献するものと位置づけています。国連総会は来年行われるミレニアム宣言の実施状況に関する包括的な討議の枠内で世界委員会の報告書を検討していくことを決定しました。ミレニアム宣言の包括的な討議は、2005年9月に3日間にわたって開催される総会サミットでまとめられる予定です。決議はまた、国際機関に対し、包摂的で公平なグローバル化の推進をめざしたそれぞれの活動に関する情報を国連事務総長に提出することも求めています。
世界委員会の報告書は2月の発表以来、幅広い政治的な支持を受けており、報告書が訴える「公正なグローバル化のためにディーセント・ワーク(まともな人間的な仕事)を」というメッセージは、世界各国の国家元首及び政府の支持を得ています。アナン国連事務総長も、「最善の貧困対策は雇用であり、経済的な力をつけ、社会の幸福を招く最善の道はディーセント・ワークにある」と評しています。
ILO駐日事務所では、世界委員会の報告書日本語版を有料(3,000円)で配布しています。
世界の労働者の半数が1日2米ドルの貧困線以下で生活:生産性の伸びとまともな仕事を促進する新たな政策が働く貧しい人々の展望を改善しようとILO(
英語原文)
2004年12月7日(火)発表ILO/04/54
「世界雇用報告」は、今日の雇用問題を世界的な視点から分析するILOのシリーズ出版物です。本日発表になった「世界雇用報告2004/05年版(World Employment Report 2004/05・英文・257頁・6,000円)」は、雇用、生産性及び貧困削減のつながりを分析し、貧困対策には労働生産性の向上と雇用創出に的を絞った政策が必要と結論づけています。
ソマビアILO事務局長は、「貧困の原因は、仕事がないというだけでなく、その生産性が高くないということにもよる」として、「働く男女が貧困から脱するのに十分な稼ぎを得るための経済成長を達成する原動力は生産性の伸び」と唱えます。
報告書は2003年の世界の失業率は前年比0.1ポイント減の6.2%となったものの、1億8,590万人と推計される失業者数の7倍以上の人々が就業していながら貧しい暮らしを余儀なくされていると指摘し、2003年の世界全体の就業者数は過去最高の約28億人に達したものの、このうち同じく過去最高の14億人近くが1日2米ドル相当額未満、約5億5,000万人が1日1米ドル相当額未満で生活しているとします。ただし、この割合は1990年よりは低く、現在の世界経済の予測成長率ではミレニアム開発目標に含まれる2015年までに貧困人口を半減するとの目標が幾つかの地域では達成できようとします。
報告書では、生産性が雇用成長に与える影響、雇用の流動性と生産性の関わりといった問題も論じられています。生産性増の恩恵は生産コストの削減、利潤及び競争力の増大といった形でまず企業に還元され、次に収入増と労働時間削減の形で労働者にも恩恵を与え、最終的に価格低下、消費増、雇用増といったマクロ経済への影響につながるとします。ただし、現実の生産性増はしばしば一部産業部門の規模縮小、他の部門の雇用増をもたらす場合が多いとして、このような事態に対処するには、労働者が労働市場の変化により良く対応できるよう安全保障と訓練を提供する必要があるとしています。また、生産性の伸びを助ける上での雇用の安定の重要性を説き、生産性がピークに達する勤続年数は13.6年であったとの欧州のある調査結果を示した上で、生産性を高めるには企業が必要とする柔軟性と労働者保護のバランスをとるべきとしています。
報告書はこの他に、途上国の労働者の4割以上が従事する農業の生産性と収益を上げることや雇用の相当部分を吸収している小企業を幅広い経済に組み込み、大企業との生産性格差を狭める政策をとることなどを提案しています。
船員用生体認証ID発行準備整う、海事労働者のための新ILO条約来年2月発効予定(
英語原文)
2004年12月3日(金)発表ILO/04/53
ILOは12月3日に、2003年に採択した船員の身分証明書条約(改正)(第185号)の実施を可能にする生体認証(バイオメトリクス)システムが確定されたと発表しました。第185号条約は、指紋に基づく生体認証システムを用いた船員の身分証明書モデルの国際的な運用について規定しています。ILOでは、生体認証システムの国際的な相互運用性、つまり、ある国で発行された身分証明書に含まれる指紋情報が、他の国で用いられている装置を用いて正確に読みとれることを確保するため、2004年3月の理事会で各国のシステムや製品に適用されるべき国際規格を定め、この規格に沿った製品を探す試験を実施していましたが、この度、2社の製品がこの要件を満たすことを見いだしました。試験は、豪華客船クリスタル・ハーモニー号に乗船する30カ国126名の船員の協力を得て、6週間にわたり7つの製品を対象に実施されました。これによって、条約の要件に合致する身分証明書の発行が可能になります。
既にフランス、ヨルダン、ナイジェリアが批准を行った第185号条約は、2005年2月に発効する予定です。この他にもフィリピン、インドネシア、インドといった船員を多く出している国で批准に向けた動きが進んでいます。批准国は条約の定める要件に合致した身分証明書を自国船員に発行し、有効な身分証明書を保持する船員の一時上陸、移動・通過の便宜を図るものとされます。
2004年11月発表分
第291回ILO理事会閉会:ミャンマー、ベラルーシの労働者の権利、グローバル化問題等を検討(
英語原文)
2004年11月19日(金)発表ILO/04/52
11月4〜19日の日程でジュネーブで開催された第291回ILO理事会の主な成果は次の通りです。
□2006〜2009年戦略政策枠組み案
ILOが人間的な働き方として21世紀の活動目標としている「ディーセント・ワーク」を世界の目標とすること、そして男女が自由、均等、安全、人間的尊厳が満たされた条件の下で、生産的な仕事を得る機会を推進することをめざす2006〜09年のILOの戦略政策枠組み案が提出され、これをもとに審議が行われました。理事会は提出文書に留意すると共に、今回同時に提出された2006/07年の事業計画・予算案構想と理事会での議論を考慮に入れて次予算年度の事業計画を立案するようILO事務局長に要請しました。
□公正なグローバル化を促進する戦略
今年2月に発表されたグローバル化の社会的側面世界委員会の報告書は、グローバル化の統治に係わる現行の政策及び機構の「緊急再考」を求め、グローバル化を全ての人々に公正なものとするためのビジョンを展開しています。報告書は報告書のフォローアップを成功させるには、多国間機関同士の効果的な協力体制の構築を重要なものと挙げていますが、これについて幅広い議論が行われ、多様な見解が示されました。
□パレスチナ
アラブ被占領地(パレスチナ)における技術協力計画の進展状況を記した報告書が提出され、理事会はこれを歓迎すると共に、資金動員や具体的な技術支援計画の開発を含む今後のフォローアップ活動に対する支持を表明しました。2004/05年の被占領地におけるILOの技術協力計画は既に348万ドルの規模に達しています。
□ミャンマー
強制労働の存在が問題となっているミャンマーについては、最近の政変により、政府内の交渉相手が新しくなったため、強制労働撲滅に向けた政府の決意評価を目的に、非常に高レベルの派遣団を同国に送ることが決定されました。理事会は、2005年3月の次期会合で派遣団の報告書をもとに審議を行い、その際、対ミャンマー海外直接投資の見直しなどを加盟国に呼びかけた2000年の総会で採択された特別措置をさらに追求するか、強制労働撲滅に向けた合同行動計画に基づく技術協力を前進させるか結論を出す予定です。
□ベラルーシ
ベラルーシでは労働組合運動が政府当局の多大な干渉を受け続けているとした審査委員会の報告書と、報告書に含まれる委員会の勧告に対する政府回答が提出されました。審査委員会は労働組合員とその指導者の基本的市民的自由の十分な尊重を確保することの重要性を強調し、労働組合組織の即時登録や現行法規上の団結権に対する障害の撤廃などを勧告していますが、労働大臣名で出されたベラルーシの回答は勧告を受け入れ、その実施に向けて努力するとなっています。理事会は審査委員会の報告書と政府の回答に留意し、結社の自由委員会に同案件のフォローアップを委ねました。
□結社の自由委員会
理事会の結社の自由委員会には現在140の案件が付託されていますが、今回はコロンビア、韓国、日本の案件を含む36の案件が審査されました。労働組合指導者と労働組合員の殺害・暴力等が問題となっているコロンビアについては、委員会は再び特別の注意を喚起し、事態の終結、責任者の処罰を含む必要な措置を取るよう政府に強く求めました。公務員の団結権が問題となっている韓国については、公務員の団結権等が確保されるよう緊急に必要な措置を講じることを求めました。日本については、警察が行った労働組合員の勾留や家宅捜索、組合財産の押収が組合の活動を妨げ、イメージを損ねたとしてJR総連が行っていた申立(第2304号案件)に関し、委員会は進行中の裁判手続きが組合活動行使の自由に干渉しないことの確保や裁判進行状況の報告などを政府に求める勧告を行いました。
ハンガリーとILO、雇用安定、労働力移動についての懸念が高まる中で開催される欧州全域にわたる地域会議に関する合意書締結(
英語原文)
2004年11月5日(金)発表ILO/04/51
ハンガリーのガボル・チズマル雇用・労働大臣とILOのフリードリッヒ・バトラー欧州・中央アジア総局長は、2005年2月14〜18日にハンガリーの首都ブダペストで開催される予定の第7回欧州地域会議に関する正式な合意書に署名しました。ILO、ハンガリー、ルクセンブルクが共同で費用を負担するこの地域会議について、2005年上半期に欧州連合(EU)議長国となるルクセンブルクは既に、EUの議長日程に加える意向を表明しています。拡大EUとなってから初めて、EU25カ国に加え、欧州・中央アジアのその他のILO加盟国25カ国から政府、労働者、使用者の代表が集って開催される第7回欧州地域会議では、グローバル化が地域の雇用(特に若年雇用)、労働力移動、雇用安定に与える影響に対処する方策に関する話し合いが行われる予定です。
地域会議の討議資料は「Managing transitions: Governance for decent work(移行過程の管理:ディーセント・ワークに向けた統治)」と題し、12月に発表される予定ですが、若年失業の拡大、柔軟性と雇用安定のより良い調和、労働力参加・高齢化・年金改革の関係、急速に拡大する労働力移動といった拡大EUの主たる懸念分野を分析したものとなっています。
積極的労働市場政策が労働者の労働市場安心感を高めるとILO新刊書(
英語原文)
2004年11月5日(金)発表ILO/04/50
ILOは、一連の訓練、雇用創出策から構成される積極的労働市場政策は、労働者の安心感を高め、公正なグローバル化に寄与することを示す新刊「Active labour market policies around the world: Coping with the consequences of globalization(グローバル化の影響に対処する世界の積極的労働市場政策・英文・2,500円)」を発表しました。同書は、労働者が感じる雇用安定の度合いと積極的労働市場政策に対する政府支出の間には明確な関係があるとし、例えば、訓練及び雇用創出関連支出が国内総生産(GDP)の約1.6%を占めるオランダやデンマークの方が、約0.2%の米国や日本よりも労働市場における労働者の安全性は高いとします。ただし、デンマークやオランダよりも積極的労働市場政策にかなり多くを支出するフランス、ドイツ、スウェーデンで、雇用の安定感を感じている労働者の割合が前二国よりも低い結果が出ていることに対し、同書は積極的労働市場政策は労働者の雇用安定感に影響する多くの要素の一つに過ぎず、持続的な高失業率のような他の要素も重要であるとします。
ILOが掲げる世界雇用戦略のフォローアップ活動の一環として著された本書はまた、ベルギー、アイルランド、スウェーデンなど、国際社会に対する市場開放が進んだ国は、グローバル化が雇用に与える悪影響から労働者を保護するために多額の出費を行っていることも見いだしました。さらに、労働市場政策、特に積極的な措置は労働者の福祉のみならず経済にもプラスに作用するとして、効果的でないと非難される場合の一つの理由は、何度も出現するしぶとい問題に一時的な応急措置のみで対処しようとするからと指摘しています。積極的労働市場政策はしたがって、危機を解決する特別措置的性格から脱し、グローバル化に係わる変化に対処する恒常的で適応力のある措置となるべきと報告書は結論づけています。
難民及び避難民の持続可能な生計の推進に向けILOとUNHCR協力を強化(
英語原文)
2004年11月4日(木)発表ILO/04/49
ILOと国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、既に4年前から難民及び帰還民の持続可能な解決策を開発するため各種の協力活動を展開していますが、ルベルス国連難民高等弁務官とソマビアILO事務局長は11月4日に、難民、帰還民、国内避難民の持続可能な生計と貧困削減を達成する戦略の実施に向けた共同声明を発表しました。共同声明は「協力関係強化」の開始を告げるもので、「蓄積された経験から、救援と開発を結びつける上で持続可能な生計を推進する雇用指向型戦略が効果的であることが示された」として、救援を社会開発及び経済発展と結びつけた共同のプログラムやプロジェクトの開発を掲げています。
これまでの協力活動には例えば、イタリア政府の資金協力を得て2003年末より開始されている難民、帰還民、国内避難民の社会・経済統合のためのILO/UNHCR共同世界計画が挙げられます。現在、アンゴラ、エリトリア、モザンビーク、セルビア・モンテネグロ、ソマリア、スーダン南部、ウガンダで個別プロジェクトが実施されているこの共同計画は、労働集約型の再建、企業育成、小規模金融、技能開発、女性の経済力の強化、社会保護、地域経済開発、能力構築を一体化させた戦略を中心としています。計画対象国・地域には近い将来、ベナン、コンゴ民主共和国、ガーナ、カフカス北部も含まれる予定です。
危機対応・再建に関連するILOの活動については、ILO危機対応・再建国際重点計画のウェブサイトをご覧下さい。
第291回ILO理事会、
「公正なグローバル化」に向けたパートナーシップ、ベラルーシ、ミャンマーといった案件を討議予定(
英語原文)
2004年11月3日(水)発表ILO/04/48
11月4〜19日にジュネーブでILOの第291回理事会が開催されますが、この主な討議事項は以下の通りです。
□公正なグローバル化
今年2月に発表されたグローバル化の社会的側面世界委員会の報告書「A fair globalization: Creating opportunities for all(公正なグローバル化:すべての人々に機会を創り出す)」は、グローバル化が社会に与える影響を幅広く吟味した上で、グローバル化の統治に係わる現行の政策・機構の「緊急再考」を求め、全ての人々に公正なグローバル化をもたらすための展望を概説していますが、今回の理事会では報告書のさらなるフォローアップのための提案が検討されます。これには現在多国間機関間で存在する協力関係の強化、新たな関係構築のための戦略が含まれています。
□労働者の基本的権利−ベラルーシ
ベラルーシの労働組合事情を審査した審査委員会の報告書が提出され、これを元にした審議が行われます。審査委員会はベラルーシでは依然として、労働組合運動が政府当局から多大な介入を受けていると結論づけています。委員会は労働組合の指導者と組合員の基本的な市民的自由の完全な尊重を確保することの重要性を強調した上で、ベラルーシでは特に、意見を自由に表明する権利、情報を自由に集め、マスコミを通じて情報や考えを伝播する権利、結社の自由が深刻な侵害を受けていることを指摘します。
□ミャンマーの強制労働
この継続案件について、今年6月の総会では、ミャンマー政府が強制労働をなくすための努力を確約しているにもかかわらず、実際には強制労働が広く実行されている現状について、深い憂慮が示されていますが、今回の理事会では、ミャンマーに駐在するILO連絡員が強制労働の被害者として苦情を提起した人々を支援するための活動について報告します。理事会ではさらに、ミャンマーにおける強制労働対策行動計画の展望を含む状況の見直し、さらなる行動の選択肢についての話し合いも行われる予定です。
この他に、アラブ被占領地における技術協力拡大計画をフォローアップする計画やこれまでの進展状況を記した報告書の審議、職場における男女平等の推進や移民労働者の公正な処遇に向けた具体的な方策といった2004年のILO総会で採択された決議のフォローアップ審議、結社の自由委員会の審議などが行われる予定です。
2004年10月発表分
ILOの新刊書、先進諸国における「まともな労働時間で働く人々の不足」を調査(
英語原文)
2004年10月22日(金)発表ILO/04/47
労働時間が週50時間を超える労働者は、欧州諸国の大半では労働力の1割に達しませんが、米国、オーストラリア、ニュージーランド、日本では2割を超えると、ILO労働・雇用条件計画の専門職員ジョン・メッセンジャーが編者となり、米国の出版社Routledge社よりこの度出版される新刊書「Working Time and Workers' Preferences in Industrialized Countries: Finding the Balance(先進諸国における実際の労働時間と労働者が希望する労働時間の調和の探求・英文)」は記しています。オーストラリア、欧州連合、日本、ニュージーランド、米国といった先進諸国の労働時間を扱った本書のデータは、実労働時間と労働者が希望するまたは必要とする労働時間の間には大きな差があることを示し、例えば米国では全労働者の半数が労働時間の短縮を希望している一方、欧州では労働時間20時間未満の労働者の46%が労働時間の延長を、週50時間以上働いている労働者の81%が短縮を希望していることを示しています。
米国、英国、オーストラリアのように、労働時間の規制が比較的限定的な国で労働時間が長くなる傾向が高いことを指摘しつつ、本書は企業の要求と労働者のニーズを調和させるには、1)健康と安全の推進、2)労働者が家族的責任をより良く果たせるよう支援すること、3)男女平等の奨励、4)生産性向上、5)労働者が自らの労働時間を選択し、影響を与えることのできる余地の拡大の五つの側面に沿った労働時間政策が必要と結んでいます。
なお、ILOでは100カ国以上の労働時間法制を収録したデータベースを11月に労働・雇用条件計画のウェブサイト上で公開する予定です。
ILOの新しい報告書、
メディア・文化・グラフィック部門の仕事の未来と質について検討(
英語原文)
2004年10月15日(金)発表ILO/04/46
「情報社会における仕事の未来と質」をテーマに、10月18〜22日の日程で、ジュネーブで開催されるメディア・文化・グラフィック部門の産業別会合に提出される討議資料(The Future of Work and Quality in the Information Society: The Media, Culture, Graphical Sector)は、ニューメディア、マルチメディア、情報通信技術は、ジャーナリスト、編集者、アーチストといったメディア、グラフィック、文化部門で働く人々に対する需要を高めるかもしれないが、仕事の質と労働条件が損なわれる可能性があると記しています。欧州で映画・オーディオビジュアル製品の製作に携わる人々の数は、2003年には100万人を超え(1995年に約85万人)、米国の映画産業就業者数は2002年に約60万人(1985年に22万1,000人)と産業の規模は拡大しています。流通経路が拡大するにつれ、特にクリエイティブなコンテンツを提供する職種に対する需要は大いに高まるだろうとして、報告書は、米国では例えば、以下の職業に対する需要が、2002年から10年間で次のように増加すると予測するある調査を引用しています。ライター及び編集者16%増、ニュースアナリスト、レポーター、通信員6.2%増、カメラマン13.6%増、フィルム及びビデオ編集者26.4%増、グラフィックデザイナー21.9%増。
一方で報告書は、仕事の質、雇用機会へのアクセス、ライターや実演家の作品に対する著作権保護といったような特定の問題の存在や、訓練が新たな課題となっていることを指摘します。例えばジャーナリストの仕事は今でも労働時間や昼食休憩時間が不規則で、契約も不安定なのが、情報通信技術の影響により時間的制約がさらに強まり、最新の情報を提供するプレッシャーが高まるとしています。また、新しい雇用機会の多くは、腰が軽く、十分な教育を受け、多技能で適応能力の高い人々に開かれ、ますます多くの仕事が不安定で社会保障や付加給付もない臨時業務となり、一部の雇用が失われ、質が低下することも避けられないと報告書は強調しています。
会議には約50カ国から政府、使用者、労働者の代表が出席し、討議資料をもとに、この産業の人々に対する影響の動向について話し合うことになっています。さらに、世界情報社会サミット(WSIS)がこの部門における仕事と質に関する問題をどのように取り上げたかも検討した上で、2005年10月に開かれる第2回WSISに関連すると思われるテーマも取り上げることになっています。
ベラルーシでは
労働組合の独立性が損なわれていると、ILO審査委員会報告書発表(
英語原文)
2004年10月8日(金)発表ILO/04/45
ILOは10月8日、ベラルーシにおける結社の自由及び団結権保護条約(第87号)並びに団結権及び団体交渉権条約(第98号)適用状況を審査した審査委員会の報告書を発表しました。この審査委員会は2003年6月に開かれた第91回ILO総会に出席した労働者代表14名による苦情申立に応えて設置されたものです。
委員長のブディスラブ・ブカス・ザグレブ大学国際公法教授(国際海洋法裁判所副裁判長)他2名の法律家で構成される審査委員会は、2003年11月に設置された後、ジュネーブ及びベラルーシにおいて労働組合指導者や政府関係者等から事情を聴取し、ベラルーシでは労働組合運動が政府から多大な干渉を受け、労組指導者や組合員の意見表明の自由や結社の自由といった基本的な市民的自由の侵害が深刻との結論に達し、◇苦情に関与した労働組合組織の即時登録及び現行命令・法規で設けられた団結権に対するあらゆる障害の撤廃、◇民主労働組合会議などの、内政干渉を受けている労働者団体が自由に活動できる保護の保障、◇審査委員会の結論及び勧告の全てを遅滞なく広く知らしめることなどを含む勧告をまとめました。立法その他の行動を伴う勧告のいくつかは、2005年6月1日が実施期限となっています。
ベラルーシ政府は、ILO憲章手続きに従い、審査委員会の勧告受諾の有無をILO事務局長に通知することになっています。審査委員会の報告と政府の回答は2004年11月の第291回ILO理事会で審議されます。
欧州における移民労働者の差別、統合に取り組む新事業計画をILO開始(
英語原文)
2004年10月1日(金)発表ILO/04/44
ILOは10月1日、欧州連合(EU)の資金協力を得て、欧州における移民労働者の雇用上の差別に取り組む18ヶ月間の新しい事業計画「多様性における平等推進:欧州における統合」を開始しました。移民とその子孫が、差別と統合の欠如によって直面する課題に焦点を当てたこの事業計画は、EU全加盟国を対象に、移民に対する差別と戦い、その円滑な統合をめざす地域社会の努力を支援するもので、具体的には効果的な措置の普及、統合度の把握、評価手段の開発、社会的パートナーのネットワーキングを図る予定です。ILOは既に移民の就労に関する好事例を100近く収集していますが、新事業の成果の一つとして、300の事例を掲載したインタラクティブなウェブサイトの構築が予定されています。45の類型的な反差別・統合措置も含まれる予定です。
ILOのデータによれば、自国外に住む人の数は現在世界全体で1億7,500万人に達し、このうち欧州に住む5,600万人中2,750万人(欧州労働力の4%)が何らかの経済活動に従事していると推計されます。例えば、ルクセンブルクやスイスでは全労働力の4分の1が外国人労働者です。出生率の低下から生じる労働力率の低下を是正する措置が講じられない限り、欧州では2050年の1人当たり国内総生産(GDP)が期待水準の78%に落ち込むだろうとILOは推計しています。
新しくやってきた人々は人口の若返り、インフレなき経済成長の促進に貢献する証拠があるものの、欧州では移民労働者の35%が差別を受けているとの調査結果も出ており、「移民に対する否定的感情は受入国を不安定にする」と、この事業計画のコーディネーターであるILO国際労働力移動部のパトリック・タランは語り、加えて、「差別と社会的排除は生産性を激しく低下させ、社会の衝突を招き、相当数の人口集団の孤立化を進める」とします。
1919年の創立以来労働力移動の問題に関与してきているILOは、今年6月に開かれた第92回総会で、移民労働者に関する新しい行動計画を採択しました。行動計画は、権利を基盤としたアプローチで労働力移動に取り組むための非拘束的な多国間枠組みの開発、ILOに対する国際機関及び多国間機関との協力による移民に関する対話の場の設置等を求めています。
2004年9月発表分
予備技術海事会議:海事産業に関する新条約案をまとめて無事終了(
英語原文)
2004年9月24日(金)発表ILO/04/43
9月13日から2週間にわたり、ILO加盟国中88カ国から政府、船主、船員の代表551名が集まり、ジュネーブで開催されていた予備技術海事会議は、最終日の24日に、2006年初めまでに開催される予定のILO(海事)総会に採択を求めて提出される海事部門の総合条約案をまとめて幕を閉じました。2001年に開かれた合同海事委員会における海事労働基準見直し討議の過程で、「産業全体に適用される世界基準」を求める「ジュネーブ合意」が承認されたことから開始されたこの動きは、過去80年間に採択された海事部門に係わる60以上の条約・勧告に含まれる主な権利原則及び基準の統合をめざしています。予備技術海事会議では、重要な問題の大半が解決されましたが、懸案事項が幾つか残ったため、今後もフォローアップ活動が継続することになります。
全体で100ページ以上にわたる新条約案は、雇用のための最低基準、労働条件、本国送還・権利の付与・休暇、船上の労働・生活設備に関する基準、社会的保護、船員の福祉といった、「船員の権利章典」とも言うべき幅広い事項を含み、過去のILOの基準には見られなかった画期的な適用範囲とアプローチを特徴としています。新条約案は、今ある海事労働基準の法的地位または内容を問うものではなく、むしろより一層の一貫性と明確化、より迅速な適応性と幅広い適用を狙ったものになっています。
ミレニアム開発目標達成に向け世界の指導者が公正なグローバル化を求める(
英語原文)
2004年9月20日(月)発表ILO/04/42
ニューヨークの国連本部において9月20日、「国連のミレニアム宣言実施における公正なグローバル化」と題する特別イベントが開催されました。ILOは今年2月、グローバル化を管理する正統で整合性のある枠組みを形成するより効果的な多国間システムなどを求める、グローバル化の社会的側面世界委員会の報告書「A Fair Globalization: Creating Opportunities for All(公正なグローバル化:すべての人々に機会を創り出す)」を発表しましたが、今回の特別イベントは、この世界委員会の共同委員長を務めたフィンランドとタンザニアの両大統領が主宰し、ソマビアILO事務局長が司会を務めました。イベントに出席したアナン国連事務総長、シラク・フランス大統領、ルラ・ブラジル大統領、ピン第59回国連総会議長からは、世界委員会の報告書を支持する声が聞かれました。
アナン国連事務総長は、世界委員会の報告書は、グローバル化の恩恵が不均等に分配され、最も重い負担は、自分の身を守ることが最も難しい人々にかかっていることを示したとして、グローバル化が世界の全ての人々にプラスに作用するために努力することを世界の指導者が公約したミレニアム宣言を想起し、グローバル化の社会的・経済的影響のより良い管理に向けた政治的意思の結集を呼びかけました。
フランスのシラク大統領は、グローバル化は確かに生産及び貿易の自由化や外国投資の受入によって多くの人々の生活を向上させたものの、グローバル化による仕事の喪失は正当化できようかとして、国連等に対し、機構改革やミレニアム開発目標実施状況に関する話し合いの過程で世界委員会の提言を提示していくことを支持した上で、それを上回る必要事項として、社会対話の奨励、グローバル化の社会倫理の推進を挙げました。
ブラジルのルラ大統領は、世界委員会の報告書を、今世界で最も破壊的な大量破壊兵器が貧困であることに気づかせる好機と評価し、市場の力だけでは不平等と不公正の消滅を確保できないとし、社会進歩への注力を世界の指導者に求めました。そして、もう1つのグローバル化の第一歩は、全ての人々が雇用の権利、労働者に尊厳を与える仕事を得る権利を有することとし、この点で、ILOが提唱する人間らしいまともな仕事である「ディーセント・ワーク」へのアクセスが貧困と飢餓の削減というミレニアム開発目標の中心にあるとしました。
第59回国連総会の議長を務めるガボンのピン外相は国連総会がより均等なグローバル化と世界の平和、進歩、正義といった理想の実現に向けた国際的な合意を形成する場になっている現在、世界の大半の人々の恐怖と希望についての革新的で直接的な展望を示す世界委員会の報告書を国連総会で検討することには特に意義があるとしました。
公正なグローバル化に向けて
力を合わせる南北の指導者たち(
英語原文)
2004年9月15日(水)発表ILO/04/41
国連総会開幕前日に当たる9月20日、国連本部において、国連のミレニアム宣言実施における公正なグローバル化の必要性に関する話し合いへの着手を国連加盟国に呼びかける会議が開催されます(UNTVによるライブ中継)。ミレニアム宣言に含まれるミレニアム開発目標は、平和と開発に対するアプローチを完全に調整の取れたものとするため、グローバル化が世界の人々全員にとってプラスの力となることの確保、国連諸機関その他多国間機関の政策統合・協力体制の強化を求めています。ILOが今年2月に発表した、グローバル化の社会的側面世界委員会の報告書「A Fair Globalization: Creating Opportunities for All(公正なグローバル化:すべての人々に機会を創り出す)」は、この呼びかけに直接応えるものですが、この委員会の共同委員長を務めたフィンランドとタンザニアの両大統領が主宰する今回の会合は、報告書の結論をベースに行われます。会合はまた、貧困、社会紛争、安全性の欠如が全世界的に高まっている現在、公正で取り残しのないグローバル化の構築を通じてすべての人に雇用機会とILOの提唱するディーセント・ワーク(まともな、人間らしい仕事)を創出する新たな方策が発見されない限り、ミレニアム開発目標の実現は難しいことを国際社会に訴える場になります。会合の司会はソマビアILO事務局長が務め、アナン国連事務総長、シラク・フランス大統領、ルラ・ブラジル大統領、ピン第59回国連総会議長がグローバル化の社会的側面に関する見解を述べる予定です。
グローバル化の社会的側面世界委員会の報告書は、世界の繁栄、平和、安全を確保するには公正なグローバル化の達成が不可欠とし、そのために必要な改革をもたらし、経済、社会、環境に関する国際政策の整合性を確保する手段として、国連多国間システムの強化を挙げています。また、国内及び国際レベルにおける経済政策と社会政策のより良い調和を求め、ディーセント・ワークを世界の目標とすることを提案しています。既に9月8〜9日にワガドゥグで開かれたアフリカ連合の雇用と貧困緩和に関する特別サミットは、委員会の提言に対する全面的な支援を表明しています。
ILO予備技術海事会議:海事産業に対する新労働基準統合に向け活動(
英語原文)
2004年9月13日(月)発表ILO/04/40
世界貿易の約90%を扱う海運業で働く船員の数は、現在、世界全体で120万人を上回ります。ILOでは過去2年半にわたり、この急速に発展しつつあるグローバル産業に対応した形で、既存の基準に含まれている労働者保護の制度を関連する労働者に近づけることなどをめざし、1920年代以降に採択されてきた海事産業に関するあらゆる関連基準を統合・更新した新しい1つの条約を起草する努力を続けてきました。この条約採択の諾否は最終的に、2005年末または2006年初めに開催されるILO(海事)総会で決定されますが、ジュネーブでは9月13〜24日の2週間にわたり予備技術海事会議が開かれ、70以上のILO加盟国から政府・船主・船員から構成される約500人の代表団が出席し、条約案の予備審議を行っています。
海事労働基準の整理統合の提案は、2001年に開かれた船主及び船員から構成される合同海事委員会から、「海事産業全体に適用される世界基準」を求める「ジュネーブ合意」として出され、後に理事会の承認を得ました。その後、理事会によって設置された政労使三者構成のハイレベルグループが6回の会合をもち討議を重ね、関連する条約30、勧告29、議定書1を含む海事労働基準のあらゆる要素を組み合わせた1つの条約案を起草しました。現在、予備技術海事会議で検討されている新しい条約案には、船上で働く船員の最低要件、雇用条件、船員の寝食・娯楽設備、健康保護、医療、福利厚生、社会保障、遵守と施行といった幅広い項目が含まれています。
ILO事務局長、「地球が正しく統治されない限り、国家の統治は成功しない」とアフリカ連合特別サミットで主張(
英語原文)
2004年9月8日(水)発表ILO/04/39
アフリカ連合(AU)は9月8、9の両日、ワガドゥグ(ブルキナファソ)で、アフリカの雇用と貧困緩和に関する特別サミットを開催しています。サミットに出席しているソマビアILO事務局長は8日に演説し、「地球が正しく統治されない限り、国家の統治は成功しない」と述べ、貧困及び失業と戦うアフリカの努力に対し、国際社会は経済成長、投資、雇用創出に関わる政策により整合性をもたせる必要があると唱えました。そして、アフリカには「世界の公正を期待する権利」があるとし、「アフリカに必要なのは耳を貸すサービス、開発政策における国の支配権を真に尊重するパートナー」であるとしました。また、仕事なしに貧困削減は成功しないという本質的な点にサミットは新たな光を当てるものであるとし、アフリカのこの自主努力をILOは常に支援していくとの誓いを述べました。
経済安全保障が強化する忍耐力と幸福感、そして成長と発展(
英語原文)
2004年9月1日(水)発表ILO/04/38
ILOは21世紀の活動目標を、すべての人々に「ディーセント・ワーク(まともな、人間らしい仕事)」を確保することとしていますが、この度、これに関連してILOの社会・経済保障国際重点計画が4年間にわたり行ってきた調査結果をまとめた新刊書「Economic Security for a Better World(より良い世界のための経済安全保障・英文・450pp.・5,000円)」を発表しました。100以上の国々の統計データバンク、14の企業調査、15の世帯調査、250以上の論文をもとに、世界人口の86%に相当する世界90カ国以上について経済安全保障指数(ESI)を算出するという画期的な初の試みは、高い経済安全性は忍耐力と幸福感を高めると共に経済成長と発展並びに社会の安定を促進することを明らかにしました。しかしながら同時に、大半の働く人々にとって経済的安全保障は依然手が届かないところにあり、好ましい保障を提供する国に住む人々は、世界人口の8%に過ぎないとも報告書は記しています。
ILOの経済安全保障指数は、労働市場安全保障(十分な雇用機会の保障)、雇用安全保障(一方的な解雇等からの保護)、職務安全保障(昇進の機会等の保障)、労働安全保障(事故や疾病等からの保護)、技能再生安全保障(技能の習得・開発機会の確保)、所得安全保障(最低賃金制度や社会保障といった所得保護)、表現安全保障(労働組合や使用者団体等を通じた意思表明・発言機会の確保)といった、仕事に関わる7つの指数をベースに測定されています。
この指数は、
- 経済安全保障の水準が高い国に住む人々の幸福感は平均して高いこと
- 国の幸福感の最も重要な決定要因は所得水準ではなく、所得の安全性の度合いであること
- 仕事が人々のニーズや希望に合っていない時、技能の安全保障水準と幸福感は反比例すること
- 高度経済成長は必ずしも経済安全保障の向上に結びつかず、むしろ民主政治体制や市民的自由に向かう傾向が経済の安全性を大いに高めること
- 偶発的危険ではなく、体系的な危険にさらされる人々が増えてきていること
- 所得安全保障はそれ以外の労働関連保障の主要決定要因になり、所得格差の存在は経済の安全性に悪影響を与えること
- 女性の安全保障は平均して男性よりも低く、女性は通常、各種の不安定に直面していること
- 経済活動のインフォーマル化、外注、規制改革によって雇用安全保障はほとんどどこでも低下しつつあること
- 仕事で使わない技能を有している人が多いこと
- ほとんどの国で職務安全保障は低く、職務不満が広く見られること
といった事実を明らかにしています。
グローバル化が進む80年代以降、経済ショックの頻度と深刻度が高まり、多数の被災者を出す自然災害も増えています。また、中国とインドの二大人口大国を除き、全世界的に、年経済成長率の変動は激しくなり、1人当たりで見た経済成長率は低下してきています。これは経済自由化推進派の予測と異なり、経済不安が増していることを意味します。
経済安全保障の国際分布は所得の国際分布に一致せず、南・東南アジア諸国が世界の経済安全保障に占めるシェアは世界所得に占めるシェアよりも大きく、例えば、世界所得に占めるシェアが約7%の南アジアが経済安全保障に占めるシェアは約14%になります。これと逆の状況が見られるのはラテンアメリカで、経済安全保障のシェアは所得シェアほど高くありません。世界90カ国の経済安全保障指数ランキングの上位はスウェーデン、フィンランド、ノルウェーといった北欧諸国が占め、日本の順位は18位です。
報告書は、仕事に関わる前記7指数のすべてを強化する整合性ある総合政策を提供する国だけが経済安全保障指数で高い成績をあげているとします。そして、より高いレベルの経済安全性を提供する見込みがある最善の選択肢を確定するため各種の政策を分析した上で、伝統的な社会保障制度は新しい世界経済体系を特徴づける今までになかった形態の体系的な危険と不確実性に対応するには不適と結論づけ、選択的な資産調査に基づく制度よりも、基礎経済保障を提供する、権利に根ざしたユニバーサルな制度の推進を提案しています。
2004年8月発表分
船員のIDカードに関するILO条約:新たな批准によって発効へ(
英語原文)
2004年8月17日(火)発表ILO/04/37
昨年採択された船員の身分証明書条約(改正)(第185号)は、2カ国が批准してから6ヶ月後に発効することになっていますが、フランス(2004年4月27日批准)とヨルダン(2004年8月9日批准)の2カ国の批准を得て、2005年2月9日に発効することになりました。
船員の身分証明書条約(第108号)を改正する第185号条約は、生体認証(バイオメトリクス)身分証明認証システムを用いることによって、海上及び港湾における保安を強化すると共に、船員の権利と移動の自由を確保することをめざすものです。今年3月に開かれたILO理事会では、第185号条約の実施に際し用いられる生体認証システムとして、船員の2本の指の指紋を、身分証明書に用いられる国際標準平面バーコードに変換する「指紋特徴点をもとにした船員身分証明書用生体認証プロファイル」を国際標準とすることを承認しました。ILOでは現在、複数の供給業者の生体認証システムと、ILOの生体認証プロファイルとの適合性検査を進めています。
若者の失業者過去最高:世界の失業者の半数は25歳未満とILOの新報告書(
英語原文)
2004年8月11日(水)発表ILO/04/36
ILOは今年既に世界の雇用情勢について、総合編と女性編を発表していますが、8月12日の国際青少年デーに合わせ、この度、15〜24歳の若者の雇用情勢に焦点を当てた報告書「Global Employment Trends for Youth, 2004(世界の雇用情勢若者編2004年版・英文)」を新たに発表しました。
報告書は、仕事のない若者の数は、この10年間に世界中で急上昇し、これまでで最高の約8,800万人に達するとします。若者(15〜24歳)が生産年齢人口(15〜64歳)に占める割合は25%ですが、失業者数に占める割合では47%に上昇します。また、仕事があっても1日1米ドル相当額の貧困ラインを突破できない貧しい人々は世界で5億5,000万人になりますが、このうち約1億3,000万人が若い人々です。
2003年の若者の失業率は世界全体で14.4%。最も高い地域は中東・北アフリカ(25.6%)で、これにサハラ以南アフリカ(21%)、移行経済諸国(18.6%)が続き、最も低かったのは東アジア(7%)です。過去10年間に、若者の失業者数は、唯一先進諸国を除き(1993年15.4%→2003年13.4%に低下)、26.8%の増加を示しています。世界全体で若者の失業率は25歳以上の成人の失業率の3.5倍に達し、世界の若者の85%が暮らす途上国では、若者が失業する可能性は25歳以上の成人の3.8倍になります(先進国の場合は2.3倍)。若者の人口はこの10年で10.5%増加しましたが、就業者数の伸びはわずか0.2%に留まり、労働力率は世界全体で約4ポイント低下しています。これは、学業を続ける若者が増えたせいもありますが、雇用機会のなさに失望した多くの若者が労働力から撤退しているせいもあります。
若者はますます家族に依存し、非合法活動の影響を受けやすくなっています。若者の失業率を半減させれば、世界全体で国内総生産(GDP)が最低でも2.2兆米ドル(2003年の世界のGDP総額の約4%に相当)増加すると報告書は推計しています。途上国の若者労働力の将来は、経済成長率と雇用の改善に左右されます。先進国では若年人口の減少という人口変化が若者の失業率を減らす可能性があるものの、それは自動的には達成されず、経験豊富な年上ライバルに対する競争上の不利に対処する統合的かつ若者に焦点を当てた政策が必要と報告書は記しています。
アナン国連事務総長の提案に基づき、国連、世界銀行、ILOが協力して進めている「若年雇用ネットワーク(YEN)」の枠内で、既にインドネシア、ブラジルなど10カ国で革新的な若者の雇用対策を含む国家行動計画が開発されています。ILOでは、政策ガイドブックの開発など、技術支援や政策助言を行っています。
2004年7月発表分
仕事の世界に対するHIV/エイズの影響を国際的に分析した初の報告書をILO発表:生産年齢人口中3,650万人がHIVに感染、2005年までに失われる世界の労働力は2,800万人と推計(
英語原文)
2004年7月12日(月)発表ILO/04/35
7月11〜16日の日程でバンコクで開かれている第15回国際エイズ会議に際し、ILOは仕事の世界に対するHIV(エイズウイルス)/エイズの影響を初めて国際的に分析した報告書「HIV/AIDS and work: Global estimates, impact and response(HIV/エイズと仕事:世界の推計、影響、対応・英文)」を発表しました。サハラ以南アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、カリブ諸国、そして一部先進国(米国、ロシア)の50カ国について、仕事の世界に対するHIV/エイズの影響と各国の対応を分析する報告書は、生産年齢(15〜64歳)にある3,650万人がエイズウイルスに感染していると推計します。そして、エイズが原因で失われた労働力人口の累計は、2005年までに世界全体で2,800万人になり、治療の機会が拡大されない限り、この数字は2015年までに7,400万人に達し、労働者の最大の死亡原因の1つになると予測します。
HIV/エイズのために働くことができなくなる労働者の数は、2005年に200万人に達すると推計されますが、家族が主として看護責任を担う途上国では特に、これによって約同数の生産年齢人口が看護に時間を取られるという間接的な影響が生じています。報告書はさらに、人的資源を破壊し、労働者及び使用者の生産能力を弱めることによってHIV/エイズは国内総生産(GDP)の伸びと1人当たりGDPに深刻な影響を与えるとし、統計が得られる国では、1992〜2002年の間にHIV/エイズの影響で、年当たりでGDP成長率が0.2%、1人当たりGDPの伸びが0.1%低くなったと記しています。看護責任を主として担う女性に多大な負担がかかり、親を失った子どもが働かざるを得ずに児童労働が増加するなど、HIV/エイズの影響は様々な分野に広がっています。HIV/エイズの影響は各種産業分野に幅広く見られるものの、教育及び保健衛生分野で特に深刻と報告書は指摘し、これらの産業におけるエイズによる死亡率は2010年までに最大4割に達するだろうと予測します。
このような状況に対し、世界各地で職場関連の多様なHIV/エイズ対策が取られています。ILOは2001年に働く世界におけるHIV/エイズの問題を特別に扱う事業計画を設け、職場における対応の指針となるような実施規準を起草しました。職場におけるHIV/エイズの影響を緩和し、エイズ患者・HIV感染者の権利を保護する上で重要な役割を演じるような法の整備を行った国もあれば、予防と治療に焦点を当てた様々な対応をとっている国も多く見られます。
職場は、HIV/エイズについて話し合うには最適で、予防スキルが直接伝達され、治療が特に生産性を発揮するため、HIV/エイズに包括的なアプローチを取るには理想的な媒体と報告書の著者は語っています。
仕事の世界に対するHIV/エイズの影響を国際的に分析した初の報告書をILO発表予定(
英語原文)
2004年7月6日(火)発表ILO/04/34
7月11〜16日の日程でバンコクでは第15回国際エイズ会議が開かれますが、ILOは会議初日の7月11日に仕事の世界に対するHIV(エイズウイルス)/エイズの影響を国際的に分析した初の報告書「HIV/AIDS and work: Global estimates, impact and response(HIV/エイズと仕事:世界の推計、影響、対応)」を発表します。HIV/エイズと働く世界ILO計画が作成したこの報告書は、サハラ以南アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、カリブ諸国、そして一部先進国(米国、ロシア)の50カ国について、豊富なデータを駆使して働く世界に対するHIV/エイズの影響を分析しています。
2004年6月発表分
理事会:新議長選出、グローバル化審議について報告、結社の自由委員会はキューバ、ベネズエラ、ジンバブエ等の案件を審議(
英語原文)
2004年6月18日(金)発表ILO/04/33
6月18日にジュネーブで開かれた第290回ILO理事会の主な決定事項は以下の通りです。
6月の理事会では、毎年、翌年6月までの任期1年の役員選出が行われます。2004〜05年度の新議長として、2002年からフランス政府理事を務めるフィリップ・セギン氏が選出されました。セギン理事は、仏社会問題・雇用大臣(1986〜88年)、国民議会議長(1993〜97年)を務めたこともあります。労働者側副議長には、理事会労働者側グループのスポークスマンを務めるルロイ・トロットマン・バルバドス労働者連合書記長、使用者側副議長には、元米州機構使用者グループ議長のダニエル・フネス・デ・リオハ・アルゼンチン産業連合社会政策局長がそれぞれ再選されました。
17日で閉幕した第92回ILO総会では、今年2月に発表されたグローバル化の社会的側面世界委員会の提案事項にILOがどのように取り組んでいくかに関する話し合いも行われましたが、ILO事務局長より理事会にその模様が報告されました。総会の話し合いを受けた政策指針については、今年11月の次期理事会で具体的な審議が行われます。
理事会の結社の自由委員会には、現在、結社の自由の侵害に関する108件の申立が行われていますが、そのうち15件について審議した結社の自由委員会第334次報告が理事会で承認されました。委員会が行った直接接触ミッションの提案が全面的に拒絶されたキューバの案件、労使団体双方からそれぞれの役員に対する逮捕・拘禁命令等に関する苦情が出されているベネズエラ、労組指導者・組合員の逮捕等が問題となっているジンバブエの案件について特に注意が喚起されました。中国の香港特別行政区における一方的な公務員の賃下げ問題についても検討が行われ、国の行政に従事していない公務員の団体交渉メカニズムの確立に向けた話し合いが求められました。フォローアップ案件として、退職年齢に関する団体交渉に対する国の干渉が問題になっているスウェーデンの案件、日本のJR不採用問題などが取り上げられ、日本については政治的・人道的配慮の精神に基づく話し合いの追求が提案されました。
第92回ILO総会閉幕:グローバル化を公正にするための行動について討議、移民労働者のための行動計画を採択(
英語原文)
2004年6月17日(木)発表ILO/04/32
2004年の第92回ILO総会は、6月1〜17日の日程でジュネーブで開かれました。総会の主な成果は以下の通りです。
■グローバル化の社会的側面
グローバル化の社会的側面世界委員会の共同委員長であるフィンランド及びタンザニアの両大統領、クラーク・ニュージーランド首相、パルヴァノフ・ブルガリア大統領といった国家元首を含む300人近くの出席者による話し合いの結果、今年2月に発表された世界委員会の報告書の結論とILOのフォローアップ提案が大筋において承認されました。グローバル化は強固な社会的側面が必要であり、グローバル化を公正にする上でのILOの役割は普遍的な価値に根ざし、すべての国にあまねく恩恵を与えるものでなくてはならないとの発言が多く見られ、討議はグローバル化に関するILOの将来的な活動の青写真を形成する場となりました。
■移民労働者
移民労働者が、適用される国内労働・社会法制の恩恵を受けながら、国際労働基準にカバーされることの確保に向けた行動計画が新たに採択されました。行動計画は、権利を基盤として労働力移動に取り組むための拘束力のない多国間枠組みの開発、そして国際機関・多国間機関と協力し、ILOが移民に関する対話を確立することを求めています。枠組みには、◇受入国・送出国間の協定、◇移民労働者の仕事が、人間らしいまともな仕事であるディーセント・ワークとなることの推進、◇海外就労斡旋・職業紹介機関の認可・監督、◇人身売買、密入国、虐待的な慣行、非正規労働力移動の予防といった諸点に関する国際的な指針を含むことが提案されています。
■人的資源開発
1975年に採択された人的資源開発勧告(第150号)に置き換わる新しい人的資源開発勧告が採択されました。勧告は、人的資源開発を生涯学習及び雇用可能性(エンプロイアビリティ)を促進するために必要な対応の主要素ととらえ、教育、訓練、生涯学習への政府、民間部門、個人の一層の注力並びに労使の関与を求めています。頭脳流出が途上国に与える悪影響を緩和する国際的な機構の設立、貧しい債務国の教育、訓練、生涯学習に追加的な資金を提供する新しい革新的な手法に対する要請も盛り込まれています。
■漁業
漁業は最も危険な産業の1つとされていますが、この分野について存在する5条約・2勧告を改正する新しい国際労働基準の設定に向けた第一次討議が行われ、来年の総会で基準採択に向け、最終的な審議が行われることとなりました。新しい基準の内容としては、自営の漁師や漁獲高の割合に応じた歩合給を得ている人々を含み、漁業で働く人々を幅広く対象とし、批准・実施が広く確保される柔軟な内容で、高い労災発生率や死亡率の削減に向けた安全衛生規定を新たに盛り込んだものとなる予定です。
■基準適用
4年連続で特別会合がもたれたミャンマーの強制労働については、2003年の総会以降の展開をめぐる審議が行われ、実際的な成果は限られているものの、同国駐在のILO連絡員と協力を続ける政府の努力を歓迎しながらも、1998年に出された審査委員会の勧告が依然実施されておらず、強制労働が存在し続けている事態が深く憂慮されました。また、ILOに接触したことによって重反逆罪に問われている人々の存在については深刻な懸念が表明され、釈放が求められると共に、強制労働の苦情をILOに申し立てようとする市民が妨害や訴追を受けない法的保障の必要性が強調されました。
この他に、条約適用上の個別案件として、結社の自由、強制労働、差別、児童労働、雇用政策、労働監督、賃金、母性保護など24の案件が審議されました。日本からは家族的責任を有する労働者条約の適用案件が取り上げられ、条約の趣旨に沿った転勤慣行の見直し、家族的責任を理由とした解雇からの保護が現行法制で十分担保されているかどうかの検討、パートタイマーを含むすべての種類の労働者に条約が適用されるよう確保する措置の確定に向けた努力等が求められました。また、ILO/ユネスコ教員勧告適用合同専門家委員会の報告書も提出され、それについての話し合いも行われました。
雇用政策並びに人的資源開発及び中小企業に関わるILOの基準が完全雇用、生産的な雇用、職業の自由な選択の達成にどの程度貢献しているかに関する総合調査については、雇用創出を常に政策の中心事項とすること、創出される仕事はディーセント・ワークであること、人的資源開発と中小企業はディーセント・ワークの創出に真に貢献していることについて意見の一致を見ました。
また、国際労働法制を時勢に即したものとする努力の一環として、1919年から1953年の間に採択され、所期の目的を失ったり、ILOの目的達成にもはや有用な貢献をしていないと思われる16の勧告が撤回されました。
■その他
労働における基本的原則及び権利に関する宣言をフォローアップするグローバル・レポートをもとに、結社の自由及び団体交渉権に関する掘り下げた議論が行われ、今年11月の理事会に提出される、結社の自由の推進に向けた今後4年間の技術協力行動計画案が採択されました。
6月12日の児童労働反対世界デーに際しては、子ども家事使用人をテーマとしたパネル討議が前日の11日に開かれました。この他に、男女平等、均等賃金、母性保護に関する決議が採択され、パレスチナ自治区における労働者の状況に関する審議も行われました。
総会議長は、ドミニカ共和国のミルトン・ライ・ゲバラ労働大臣、副議長は、ユースファ・ワデ・セネガル使用者代表、ギヨーム・アティグベ・ベニン労働者代表、マートゥグ・モハメド・マートゥグ・リビア政府代表が務めました。9日に特別演説を行ったスペインのサパテロ大統領は、グローバル化に社会的側面を与え、ディーセント・ワークを普遍的な目標とすることの重要性を強調しました。
ILO、8,600万人の移民労働者に公正な処遇を与える計画を採択(
英語原文)
2004年6月16日(水)発表ILO/04/31
移民労働は6月17日までジュネーブで開かれている第92回ILO総会の議題の1つですが、6月16日に総会は、世界に約8,600万人と推計される移民労働者の公正な処遇に向けた行動計画を採択しました。移民労働者が、適用される国内労働・社会法制の恩恵を受けながら、国際労働基準の対象となることを確保するために設計されたこの行動計画は、権利を基盤として労働力移動に取り組むための拘束力のない多国間枠組みの開発、そして国際機関・多国間機関と協力し、ILOが移民に関する対話を確立することを求めています。この枠組みには、以下のような事項に関する国際的な指針が含まれる予定です。
- 「管理された就労目的移民」の推進
- 移民労働者の仕事が、人間らしいまともな仕事であるディーセント・ワークとなることの推進
- ILOの条約・勧告に沿った外国人労働者斡旋・紹介機関の認可・監督
- 人身売買、密入国、虐待的な慣行、非正規労働力移動の予防
- 3K(きつい、汚い、危険)職場や家事労働者など特定の職業・産業分野で働く移民労働者のリスクへの対処
- 労働監督制度の改善、移民労働者の提訴・救済機会の開発
- すべての移民労働者が関連する国際労働基準の恩恵を得ることを確保する措置の推進
- すべての移民労働者が国内労働法制及び適用される社会関連法の対象となることを確保する措置の導入
- 移民労働者の帰国、母国への再統合、資本・技術移転を奨励する政策の実施
この問題を審議した総会委員会は、行動計画を全会一致で採択しましたが、ILOに対し、移民管理の枠組みを2005年11月の理事会に提出するよう求めています。ILOではこれに応え、専門家会合を開催し、ガイドラインに含むことのできる最良の慣行に関する情報提供を加盟国に求めていくこととなります。
ILO総会、漁業の安全・労働条件改善に向け前進(
英語原文)
2004年6月15日(火)発表ILO/04/30
現在ジュネーブで開かれている第92回ILO総会では、漁業労働に関する新しい基準の設定が議題に含まれています。総会の漁業労働委員会は6月15日に、1920年から1966年の間に採択された漁業労働関連の5条約・2勧告を改正する新基準の設定に向けた予備審議を終えました。委員会の報告書は16日に、採択を求めて総会本会議に提出されます。採択されれば、来年の総会で基準採択に向けた最終的な審議が行われます。
ILOの推計では、現在、世界全体で約3,500万人の人々が捕獲漁業及び養殖業に従事しているとされます。漁業関係の仕事は最も危険な労働の1つであり、全体的な産業災害件数に関する統計は存在しないものの、多くの国で労災死亡率は労働者10万人当たり150〜180人に達し、消防や警察よりも死亡率が高い国もあります。動物性タンパク質全体の消費比率の6〜30%を魚が占めていますが、豊かな国で魚介類に対する需要が高まっていることを主な要因として、漁業の生産・消費高、そして就業人口は今後も増加することが見込まれます。
提案される新しい基準は、自営の漁師や漁獲高の割合に応じた歩合給を受けている人々を含み、漁業で働くすべての人々を対象とし、高い労災発生率や死亡率を減らすため、安全衛生に関する新しい規定を盛り込んだものとなる予定です。
スペイン大統領、第92回ILO総会で演説:「社会的側面を備えたグローバル化」を求める(
英語原文)
2004年6月9日(水)発表ILO/04/29
サパテロ・スペイン大統領は、現在ジュネーブで開かれている第92回ILO総会において、9日に、大統領就任以来初の国連機関における演説を行い、グローバル化に社会的側面を与え、ディーセント・ワーク(まともな人間らしい働き方)を世界の目標とすることの重要性を強調しました。
大統領は、今年2月に発表されたグローバル化の社会的側面世界委員会の報告書にも触れ、商業・金融を司る世界の主要なルールが平等でないとし、良い統治(ガバナンス)を強化する必要性を唱えると共に、ILOは報告書に含まれる考えを世界的に議論する堅固な土台を提供するとしました。また、ILOの労働における基本的原則・権利宣言に含まれる結社の自由、強制・児童労働の廃止、差別撤廃の原則は、普遍的に認められた原則を満足しない社会・経済状況のもとで、国家が国際経済に参加することは不可能であることを理解する上でのカギであるとし、グローバル化に社会的なルールを適用することが妥当なだけでなく必要であることを欧州が理解すれば、機関としてのILOは無視できない基準点となると主張しました。さらに、3月にマドリードで発生した列車爆破事件の犠牲者に対する会場の支援と連帯を求め、暴力、困窮、戦争の影響に苦しむすべての人々、特にイラク市民に対する自らの支援と連帯を約した後、ILOの元来の建物に刻まれていた「平和を求めるなら、正義を育め」の銘を引用して演説を終えました。
児童労働反対世界デー:子ども家事使用人の悲哀を強調する新報告書をILO発表(
英語原文)
2004年6月8日(火)発表ILO/04/28
ILOは2002年より6月12日を児童労働反対世界デーとして、この問題とその取り組みに対する世間の関心を喚起する活動を世界的に展開しています。今年の世界デーは「子ども家事使用人」をテーマとしていますが、ILOの児童労働撤廃国際計画(IPEC)はこの度、この問題を国際的な視点からまとめた初の報告書「Helping hands or shackled lives? Understanding child domestic labour and responses to it(お手伝いか拘束された生活か?子どもの家事労働とその対応を理解するための書)」を発表しました。
報告書は子ども家事使用人を、家事労働に従事する法定就業年齢未満の子どもと、法定就業年齢以上18歳未満で搾取的な状態に置かれている家事使用人と定義し、正確な数は不明であるものの、世界全体で1,000万人以上に達すると推計しています。そして、一例として、インドネシア(70万人)、ブラジル(55万9,000人)、ハイチ(25万人)、パキスタン(26万4,000人)、ケニア(20万人)、スリランカ(10万人)など幾つかの国についての推計を出しています。家事労働は16歳未満の少女が従事する職種としては一番ありふれており、大半(ブラジル、グアテマラ、コスタリカなどでは全体の9割以上)を少女が占めています。
個人の家庭の中で働くことからその労働条件が目につきにくい子ども家事使用人は、ほとんどあるいは全く給金をもらえず長時間働くことが多く、しばしば虐待を受け、遊んだり、学校に行く機会も奪われています。多くは非常に幼く、例えば、ハイチでは子ども家事使用人の1割が10歳未満、モロッコでは他人の家庭で雇われている子どもの7割が12歳未満です。
子どもを家事労働に押しやる要因としては、女性や少女の地位、家族や子どもの貧困、家事労働の危険性に対する無知、エイズ孤児の増加、伝統的な階級制度が強く残っていることなどが挙げられます。需要側の要因としては、家事手伝いを嫁入り前の準備と見る風潮、階級制を強化する裕福層の増加、債務弁済の必要性などが挙げられます。使用者が恩人や拡大家族の一員とみなされる場合もしばしばで、それは子どもの家事労働が広く受容されているだけでなく、貧しい家庭の子どもにとって「より良い」選択肢であると考えられていることにつながります。
子ども家事使用人の未来は常に閉ざされるわけではなく、アジア、中南米、アフリカにおける経験から、社会・国家機構の強化、そして親に対する代替的な収入機会・信用の供与により、就業年齢未満の子どもたちを家事労働から解放できることを報告書は記しています。
国際労働機関は「決定的瞬間」に直面しているとILO事務局長:公正なグローバル化構築に向け4つの課題を提示(
英語原文)
2004年6月7日(月)発表ILO/04/27
現在ジュネーブでは第92回ILO総会が開かれていますが、6月7日に、グローバル化の社会的側面世界委員会の報告書に関する特別会合が開催されました。会合に出席した政府、労使代表は、グローバル化に関する新しい、より一貫性のある政策の土台として世界委員会の報告書を賞賛しました。
ソマビアILO事務局長は会合後、公正なグローバル化を構築し、貧困半減のミレニアム開発目標の達成に向けて貢献する上で、ILOには4つの課題があるとし、まともな仕事を意味するディーセント・ワークを世界の目標とすること、ILOをグローバル化を形作る上で世界の主役とすること、世界的な行動に向けて政労使三者を動員すること、そしてILO全体を「真にグローバルなチーム」として公正なグローバル化を追求することを挙げています。
今年2月に発表された世界委員会の報告書は、現在のグローバル化のあり方は公正でないとして、緊急に再考することを提言しています。ソマビア事務局長は、世界委員会の報告書をフォローアップする「A fair globalization: The role of the ILO(公正なグローバル化:ILOの役割)」と題する報告書を討議資料として総会に提出していますが、その中で、すべてのものに機会を構築する公正なグローバル化の探求は、今後10年の国際問題を支配するだろうとし、公正と機会という懸念事項に対処するため、ディーセント・ワークを世界の目標とすること、グローバル化に対処する国内政策を構築すること、生産体系においてディーセント・ワークを確立することを提案しています。
国家、政府、三者のリーダーたち、公正なグローバル化を要請:グローバル化の社会的側面世界委員会を強く政治的に支持(
英語原文)
2004年6月7日(月)発表ILO/04/26
現在ジュネーブでは第92回ILO総会が開かれていますが、6月7日に、今年2月に発表されたグローバル化の社会的側面世界委員会の報告書に関する特別会合が開催されました。会合には、同委員会共同委員長のハロネン・フィンランド大統領、ムカパ・タンザニア大統領のほかに、ブルガリアのパルヴァノフ大統領、ニュージーランドのクラーク首相といった国家元首に加え、ILO理事会の労使副議長などのハイレベル代表が出席し、演説を行いました。
ハロネン大統領は、報告書がグローバル化に人間の顔を持たせるプロセスの一部となることが委員会の望みであるとし、ILO総会が変化の推進における自らの役割を果たすことに対する期待を表明しました。ムカパ大統領は、途上国の債務取り消しの検討を先進国に求めると共に、グローバル化の炎に焼き尽くされずにその利益を確実に得るため、推進派と反対派は協力し合うことを学ばなくてはならないと唱えました。パルヴァノフ大統領は、民主化が達成され、世界経済に参加して間もないブルガリアにとって、グローバル化が社会的要素を備え、普遍的価値に根ざし、すべての国を例外なく受益させることが特に重要とし、国際・地域協力の重要性を訴えました。クラーク首相は、すべての人に高い生活水準を築くような方法でグローバル経済における適所を国に確保することは、市場の力に委ねるべき課題ではなく、利益を膨らませ、その公正な分配を確保するための慎重かつ明確な戦略が求められるとしました。また、世界を平和にするための種子は最も基本的な社会経済問題に取り組む中にあり、それはILOの使命の枠内にあるとしました。理事会労使副議長は共に、今は行動の時として、世界委員会の提言にILOが取り組んでいくことを強く求めました。ソマビアILO事務局長は、議論はさらなる議論への道を作ったとし、観念論的にならなければ巨大な機会が目の前に開けているとしました。
世界委員会の報告書は、現在のグローバル化のあり方は公正でないとして、緊急に再考することを提言しています。
ILO、労働力移動に関する93カ国の調査結果を発表(
英語原文)
2004年6月4日(金)発表ILO/04/25
移民労働者は、現在ジュネーブで開かれている第92回ILO総会の議題の1つですが、ILOは6月4日に、労働力移動に関する世界の法、政策、慣行をまとめた初の包括的な報告書「ILO Migration Survey 2003: Country summaries(ILO労働力移動調査2003年:各国概要)」を発表しました。同書は、総会討議資料のベースとなった労働力移動に関する各国調査に対する、2004年4月までに送付された、日本、米国、韓国等世界93カ国からの回答を収録したもので、印刷物とCD−ROMの形式で発行されます。
現在、自国外に住む人々の半数近く、約8,600万人が何らかの経済活動に従事していると推計されます。職や安全を求めて国境を越える人の数は今後も増加が見込まれ、その数は国の人口であらわすと世界第5位の規模になります。
失業、貧困問題に捉えられたパレスチナの労働者たち(
英語原文)
2004年6月1日(火)発表ILO/04/24
6月1〜17日の日程でジュネーブで開催される今年のILO総会では、パレスチナの労働者の状況に関する話し合いも行われますが、討議資料として提出された事務局長報告書「The situation of workers of the Occupied Arab Territories(アラブ被占領地の労働者の状況)」は、パレスチナの失業率は依然高く、平均35%に達し、家庭にいることを余儀なくされている女性たちを含むとさらに高くなるだろうと記しています。最近現地を訪れたハイレベル・ミッションは、ヒト、モノ、サービスの移動が厳しく制限され、生産、雇用、収入の喪失が深刻であるとし、パレスチナの経済開発戦略は内部労働市場の再建に重点を置く必要があるものの、これには時間がかかることが見込まれるため、イスラエルその他諸国におけるパレスチナの人々の就労という補足的な戦略も必要と結論づけています。
報告書は、ある調査で通勤が困難・不可能と回答したパレスチナ人は、2003年8月には50%であったものが今年3月には3人に1人になるなど、移動面では幾分の改善が見られるものの、道路閉鎖、長いセキュリティ・チェック、夜間外出禁止令が引き起こす遅れ、コスト増、収入喪失は経済活動を妨げ、世帯収入を減らしているとし、この状況が続く限り、持続的な経済回復は不可能とします。一方、イスラエル経済は、輸出拡大、国内消費者マインドの回復によって2003年に景気後退から抜け出し、1.2%の国内総生産(GDP)成長を記録しています。しかし、GDPのマイナス5.7%という財政赤字の主な要素は占領コストであり、景気回復にもかかわらず、失業率の高止まりは貧困人口の激増を招き、2002年の統計では、貧困線以下の家族数は非ユダヤ人口の44.7%に達すると報告書は記しています。
ILOは現在、パレスチナ雇用・社会保護基金に100万ドルを計上し、和平の要件としての社会対話の推進に向け、労使団体及び労働省の能力強化を中心とした技術協力計画をパレスチナで実施しています。
ILO総会開幕−「ILOは公正なグローバル化のカギ」と事務局長(
英語原文)
2004年6月1日(火)発表ILO/04/23
今年のILO総会は6月1〜17日の日程でジュネーブで開催されます。6月1日の開会演説で、フアン・ソマビアILO事務局長は、公正なグローバル化、貧困削減手段としての雇用創出、ディーセント・ワーク(まともな、人間らしい働き方)の提供を通じた発展推進が、世界を安定させる基礎であるとし、ILOはそのような未来の礎石を構築できる立場にあると唱えました。また、今年はILO創設85周年、ノーベル平和賞受賞35周年の年にあたることに触れ、「この85年間に、多くの夢がILOの場で、そして労働者、使用者、政府の生活において現実になってきた」とし、ILOは人が夢として何もしようとしないものを、人々の希望と生活の中で現実にしようと努めていると強調しました。
総会議長として、ドミニカ共和国のミルトン・ライ・ゲバラ労働大臣、副議長として、ユースファ・ワデ・セネガル使用者代表、ギヨーム・アティグベ・ベニン労働者代表、マートゥグ・モハメド・マートゥグ・リビア政府代表が選出されました。
今年の総会には177加盟国のほとんどから全体で約3,000名の政府・労使団体代表が出席し、公正で公平なグローバル化の構築に向けたILOの役割、移民労働者のための新行動計画、人材開発に関する新基準、パレスチナ、ミャンマー等における労働者の状況、労使の基本的な権利、漁業の労働条件といった議題をめぐる審議を行います。
2004年5月発表分
児童労働反対世界デー(6月12日):新報告書発表、世界各地でイベント予定(
英語原文)
2004年5月31日(月)発表ILO/04/22
ILOは2002年より、6月12日を「児童労働反対世界デー」として、この問題とそれに対する取り組みについての啓発活動を行っています。今年の世界デーは、子ども家事使用人の問題に焦点を当て、音楽演奏、行進などを通じて、世界各地で様々なキャンペーン活動が行われます。日本では、児童労働写真展(5月20日〜6月15日)とシンポジウム(6月12日)が行われます。
子どもが第三者または使用者の自宅で働く家事労働の場合、閉じられた個人宅で働くことから、長時間労働、低賃金、教育及び個人開発の機会がほとんどあるいは全く与えられないことなど、深刻な搾取と虐待がしばしば見られます。家事労働に従事している子どもの数を正確に見積もることは困難なものの、16歳未満の少女が従事する職種としては一番一般的であることが、ILOの研究から見いだされています。世界デーに合わせて発表される子ども家事使用人の問題に関する新しい報告書「Helping Hands or Shackled Lives? Understanding child domestic labour and responses to it(お手伝いか拘束された生活か?子どもの家事労働とその対応を理解するための書)」は、家事労働が子どもにより良い未来を与える手段となると誤解している貧しい家族の受容姿勢が、対策を講じる上での壁になっているとして、子どもたちを救うための現実的で実現可能な方策を提案します。
第92回ILO総会、6月1日開幕:公正なグローバル化に向けたILOの役割、結社の自由・国際労働力移動、労働基準の改正等について審議(
英語原文)
2004年5月28日(金)発表ILO/04/21
来る6月1〜17日にジュネーブで開かれる第92回ILO総会では、以下のような議題が審議されます。
- ◇グローバル化の社会的側面
- 今年2月に発表されたグローバル化の社会的側面世界委員会の報告書に含まれる提言を受け、提言を具体化する上でのILOの役割について論じた事務局長報告書「A fair globalization: The role of the ILO(公正なグローバル化:ILOの役割)」が提出され、これをもとに審議が行われます。世界委員会の報告書は、グローバル化に関する現行の統治体制・政策の緊急「再考」を呼びかけています。世界委員会の共同委員長であるフィンランド及びタンザニアの両大統領に加え、クラーク・ニュージーランド首相、パルヴァノフ・ブルガリア大統領といった国家元首の出席も予定されています。
- ◇移民労働者
- 移民労働者のための新しい国際政策立案を目指した話し合いが行われます。討議資料「Towards a fair deal for migrant workers in the global economy(グローバル経済における移民労働者の公正な処遇に向けて)」は、現在約8,600万人と推計される移民労働者数は今後急増すると予想します。これは、人々が生まれ、その多くが生活を希望している場所に、十分な雇用・経済機会を創出することにグローバル化が失敗しているからとします。
- ◇人的資源開発
- 昨年の第一次討議に引き続き、1975年の人的資源開発勧告(第150号)に置き換わる新勧告採択に向けた審議が行われます。これは、現在多くの国で採用されつつある生涯学習・訓練の概念を反映したものになる予定です。
- ◇漁 業
- 漁業の分野に関して存在する5条約・2勧告を改正する新しい国際労働基準の採択に向けた第一次討議が行われます。これは、過去40年間にこの産業で見られた変化を反映し、より多くの国から批准され、小型漁船で働く人々を含むより多くの漁船員を対象とする新しい基準の採択を目指したものです。
この他に、ミャンマーの強制労働を初めとする基準適用上の問題、パレスチナ自治区における労働者の状況と同地におけるILOの計画実施状況、2002/03年度のILOの全般的な活動実施状況、結社の自由に関するグローバル・レポート「Organizing for social justice(社会正義のための組織化)」に基づき、今後4年間の技術協力行動計画策定に向けた話し合いも行われます。6月12日の児童労働反対世界デーは、今年は子ども家事使用人をテーマとし、報告書「Helping Hands or Shackled Lives? Understanding child domestic labour and responses to it(お手伝いか拘束された生活か?子どもの家事労働とその対応の理解)」をもとにしたパネル討議が前日の11日に開かれるほか、世界各地で様々な催しが予定されています。
ILOが1999年に採択した最悪の形態の児童労働条約批准国数150カ国に(
英語原文)
2004年5月24日(月)発表ILO/04/20
ILOが1999年に全会一致で採択した最悪の形態の児童労働条約(第182号)はかつてないほどの速いペースで批准が進んでいますが、去る5月10日にカザフスタンが批准したことによって、批准国数が150カ国に達しました。これによって、全加盟国(現在177カ国)が批准する初のILO条約の実現にまた1歩近づいたことになります。この条約は日本も既に2001年6月18日に批准しています。
第182号条約は鉱業のような危険な産業活動、売春のような不正な活動、極端な熱や寒さにさらされる仕事といった子どもの心身、道徳を損なうような労働を、最悪の形態の児童労働として、その禁止及び撤廃のための即時の行動を求めるものです。ILOのフランス・ローズレア児童労働撤廃国際計画(IPEC)部長は、「批准は単なる法的行為ではなく、子どもの生活を改善する具体的な行為を導く」として、この動きに対する喜びを表明しました。
ILOの新しい報告書、世界全体で8,600万人の移民労働者が経済活動に参加していると発表(
英語原文)
2004年5月21日(金)発表ILO/04/19
6月に開かれる今年のILO総会では、国際労働力移動に関する一般討議が行われますが、本日発表された討議資料「Towards a fair deal for migrant workers in the global economy(グローバル経済における移民労働者の公正な処遇に向けて)」は、ますます多くの国が国際労働力移動に関与するようになってきている今、全当事国による国際的な活動が求められるとします。
2000年当時の外国在住者数は1億7,500万人を数えますが、この半数近くの8,600万人が経済活動に従事していると推計されます。90年代を通じて、外国在住者数は年約600万人のペースで増大を続けており、グローバル化が途上国における雇用と経済機会の創出に成功していない現状では、今後も急速な増加が見込まれます。
報告書は、人口の若返り、インフレなき経済成長を刺激する国際労働力移動は、受入国経済に主として利益効果を与えるとします。送出国には、年間800億ドル(2002年)と推計される巨額の送金が流れ込む一方で、技能労働者の流出という「頭脳流出」の問題が引き起こされます。移民の労働条件のかなりの割合が搾取的・虐待的で、特に全体の10〜15%を占めると推計される非正規移民は、人権と基本的な自由の点で深刻なリスクに直面しています。報告書は、移民労働者の状況改善、そしてより秩序だった国際労働力移動形態の推進に向けた包括的な行動計画を総会で採択することを提案しています。
深刻な権利侵害例も依然存在するものの、労働における基本的権利には元気づけられる兆候が見られるとILOのグローバル・レポートは記す(
英語原文)
2004年5月18日(火)発表ILO/04/18
ILOが1998年に採択した「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」は、フォローアップ活動の一環として、宣言が対象とする労働における基本的原則及び権利の4つの分野について、1つずつ順番に毎年、総合的な報告書(グローバル・レポート)を討議資料としてILO総会に提出することを求めています。二巡目に入った今年のグローバル・レポートは、結社の自由と団体交渉権の効果的な承認の問題を扱い、組織化を試みる労働者や使用者は依然脅威にさらされているものの全体としての世界的な情勢は改善しつつあり、4年前に比べて元気づけられる進展が見られるとします。
報告書「Organizing for Social Justice(社会正義を求めての組織化・英文)」は、労働組合指導者が暴力や生命を奪われる危険に直面しており、保護のための特別技術協力計画が進められているコロンビア、労使団体双方から結社の自由に関する政府の政策に対する苦情が申し立てられているベネズエラ、結社の自由の問題を扱う審査委員会が現在設置されており、今年後半に勧告が出される予定のベラルーシなど、世界各地で見られる権利侵害例を報告しつつも、法制改革に対する助言から長期の多面的なプロジェクトにわたる、加盟国の任意拠出に支援されて実施されているILOの技術支援活動とその成果について詳細に記しています。経済のグローバル化の中で、結社の自由と団体交渉権は特に、社会目標と市場の需要をつなぐ仕組みを提供するとした上で、この権利は経済や貿易成績の改善に寄与し、しばしば言われているようなマイナスの影響を与えないことを示す証拠がますます多く見いだされてきていると記しています。
2004年4月発表分
中国フォーラム、すべての人へのディーセント・ワーク(まともな仕事)に焦点を当てて閉幕(
英語原文)
2004年4月30日(金)発表ILO/04/17
ILOが中国労働社会保障省と共同で4月28〜30日に北京で開催した中国雇用フォーラムは、農村の失業、農村から都市への労働力流入、国有企業の閉鎖に伴う失業の発生といった同国の高度経済成長に関連する問題点、並びに労働市場の統治を近代化し、経済再構築の課題に対処する方法に関する話し合いを行い、共通合意文書を採択して閉幕しました。フォーラムにはソマビアILO事務局長、黄菊・中国副首相、鄭斯林・労働社会保障大臣を始め、中国内外より400名以上の政府、使用者、労働組合のハイレベル代表者、学識者、雇用問題専門家が出席し、中国が直面している雇用上の様々な課題をテーマに開かれた九つの分科会で意見を交換しました。
フォーラムの結論である合意文書は、世界で最も人口の多い中国で雇用機会を拡大し、雇用の質を高めるためには、経済成長の維持及び労働市場の改善が急務であるとし、継続的な発展のカギは「まともな完全雇用」であると記します。また、労働需要の刺激、政労使三者対話の強化、労働者の技能と知識の向上、労働市場政策の拡充と洗練、健全な企業再構築の奨励、社会保障制度改革、労働者の安全衛生保護などを労働条件向上及び賃金上昇のための重要な要素としています。
中国で雇用、移民問題を扱うフォーラム開催:グローバル化の課題に対応する戦略を検討する初の会合(
英語原文)
2004年4月27日(火)発表ILO/04/16
ILOは中国労働社会保障省と共同で、中国の将来的な雇用戦略を検討する中国雇用フォーラムを4月28〜30日に北京で開催しています。中国で開かれるこの種のものとしては初のフォーラムには、国内外より400名以上の政府、使用者、労働組合のハイレベル代表者、研究者が出席し、グローバル化と経済再構築がこの世界で最も人口の多い国にもたらした課題について話し合います。
今後10年間に中国では、7,000万人以上の労働力増が見込まれています、国内総生産(GDP)は2003年に9.1%の成長率を示し、投資総額(2003年1〜10月)は前年比30%増を記録したものの、成長は不均衡で、1人当たり純所得は都市で9%、農村で4.3%の増加を示し、都市と農村の所得格差の拡大は、農村労働者の都市流入に拍車をかけています。都市部の登録失業率は1998年に3.1%でしたが、2003年9月には4.2%に上昇しています。1998年から2003年7月にかけて国有企業から一時解雇された労働者数は2,780万人に達し、その後再就職できた者は1,850万人に留まると、フォーラムの背景資料となる報告書「An Employment Agenda for China(中国雇用アジェンダ・英文)」は記しています。農村部の不完全就業率は高く、農村労働力のほぼ3分の1に達していますが、2000年以来、不完全就業状態にあるこの1億5,000万人のうち毎年約800万人が都市のインフォーマル経済に仕事を求める移住労働者となっています。また最近、労働安全衛生も深刻な懸念材料となってきており、2003年にわずかに改善したものの仕事に関連した事故や疾病の数は2002年に前年比7.3%も増加しました。新型肺炎SARSの雇用に対する影響も大きく、都市に流入していた農村労働者の約8%に相当する800万人が農村に戻ったと推計されています。
このような背景のもと、中国雇用フォーラムでは、企業家精神と雇用創出の促進、就業のための知識と技能の向上、労働市場統合政策、社会的責任ある企業の再構築、雇用促進が社会保障に与える影響、労働安全衛生、環境保護、効果的な雇用政策の推進における代表的社会対話の役割といった問題が話し合われます。ILOは2001年5月に中国と覚書を締結し、中国の改革過程を支援する協力計画を発進させました。フォーラムは、経済政策策定の中心に雇用創出を据える考え及び仕事を求めて都市に流入している失業または不完全就業状態にある農村労働者の雇用展望の改善に向けた合意を形成することによって、あらゆる経済社会政策の中心に雇用を据えることを求めるILOの世界雇用戦略に沿って、このプロジェクトのさらなる前進を図るものです。
仕事における安全と健康のための世界の日(
英語原文)
2004年4月27日(火)発表ILO/04/15
歴史的に世界の労働組合運動は、4月28日を職業上の事故及び疾病の犠牲者を悼む日としてきました。ILOでも2003年よりこの日を「仕事における安全と健康のための世界の日」として、職場における安全・健康文化に対する啓発活動を世界的に展開することとしました。ILO駐日事務所では、関係機関のご協力・ご後援を得て、仕事における安全・健康文化をテーマとするインターネット・フォーラムを4月28日〜6月30日の期間に開催します。
職場における事故や疾病を原因として、毎日平均6,000名が生命を失っています。今年は事故時の死者2,500名、負傷者20万人以上(後日約2万人が死亡)を出したインドのボパールにおける農薬工場のガス漏れ事故から20周年の年に当たりますが、世界の日に際して発表されたILOの報告書「Safe Work and Safety Culture(安全な仕事と安全文化・英語・日本語)」は、「ボパールの惨事は産業災害の危険に対する注意を喚起するきっかけになったものの、大きな被害を引き起こす事故の可能性は依然現実のものであり、幅広い対応が求められる」と記しています。
事故の危険性は少し気をつければ簡単に減らすことができます。ILOの川上剛労働安全衛生専門家が職場や自宅における労働安全衛生10箇条の心得を提案します(バンコク発新聞発表)。@床の整理・整頓、A荷物を持ち上げる前に再考、B内容表示など化学物質の保管には注意、C救急セットの常備、D適切な保護装備着用の習慣化、E電線を床にはわせないなど電気の危険性には十分配慮、F快適な作業姿勢、G新鮮な飲料水や清潔な衛生設備の必要、H休憩の必要、I適切な照明と換気、J高齢者等の特別なニーズの理解、K安全の習慣化がカギ。
アフリカ首脳特別会合でILO事務局長演説:雇用・貧困削減アフリカ特別サミットに向け大きく前進(
英語原文)
2004年4月23日(金)発表ILO/04/14
4月19〜24日にコトヌー(ベニン)でアフリカ連合(AU)労働社会委員会第2回通常会合が開催されましたが、これと平行して、今年9月に予定されているAU雇用・貧困削減特別サミットに向け、新しい対貧困戦略を検討するアフリカ首脳特別会合が開かれました。特別会合に出席した、ベニン、ブルキナファソ、ガーナ、モザンビーク、ナイジェリア、ニジェール、トーゴのアフリカ7カ国首脳は、最良の貧困対策として、アフリカ大陸で開発と雇用創出のつながりを緊急に回復する必要性を強調しました。会議で演説したソマビアILO事務局長は、アフリカ首脳の「見解の統一と明確な政治的意思の現れ」を「元気づけられる兆候」として歓迎しました。
事務局長はさらに、今年2月に発表したグローバル化の社会的側面世界委員会の報告書にも言及し、グローバル化の方向を変えることは不可欠であるが、その際に、アフリカの声と力が決定要因となるとしました。そして、アフリカの政治課題と民主主義を求める広い需要をつなぐものとして、特別サミットはアフリカのためだけでなく、世界に発信するメッセージのゆえにILOにとって本質的な意味を持つと唱えました。
2004年3月発表分
第289回ILO理事会閉幕:グローバル化、強制労働、船員のセキュリティについて審議(
英語原文)
2004年3月26日(金)発表ILO/04/13
第289回ILO理事会の主な成果は以下の通りです。
□グローバル化の社会的側面世界委員会報告書
アフリカの国家元首として初めて理事会で演説したムカパ・タンザニア大統領(グローバル化の社会的側面世界委員会共同委員長)によって、委員会の報告書「A Fair Globalization: Creating Opportunities for All(公正なグローバル化:すべての人への機会の創出・英文)」が提出され、理事会で歓迎を受けました。報告書を巡る2日間にわたる長い審議の中で、理事及び国際機関からの参加者は、報告書が、グローバル化の恩恵がもっと公平に配分されることを確保するための具体的な提案に加え、ILOその他における政策開発のための貴重な貢献を提供するとの点で合意し、働きがいのある人間らしい仕事であるディーセント・ワークの達成を国際的な目標とすることへの報告書の提案が多くの支持を受けました。この他に、社会対話と合意形成の強調、貿易と金融における公正なルールの必要性、貧困撲滅・不平等是正に向けた債務免除及び政府開発援助(ODA)増大の重要性などについて好意的な見解が表明されました。今年6月のILO総会にILO事務局長が提出するILOのフォローアップ活動提案、ILO加盟国政労使とのさらなる協議に対する期待が示されました。
□ミャンマーの強制労働
ILOとミャンマー政府間で立案されている強制労働をなくすための合同行動計画が昨年5月から停止しているミャンマーについて、現状の検討が行われました。野党リーダーのアウン・サン・スー・チー女史が計画の実行に賛成していることや肯定的な展開があったことに留意しつつも、ILOと接触した3人のミャンマー人が重反逆罪の有罪判決を受けたことは、政府のILOとの協力の意思に深刻な疑念を投げかけるものとし、政府による問題の早期解決に対する期待を表明しました。6月のILO総会には、5月までの展開をまとめた報告書が提出されます。
□結社の自由
現在、理事会の結社の自由委員会には、労働組合の権利侵害及び結社の自由原則違反に関する100件以上の申し立てが提起されていますが、本理事会では、そのうち31件が審議の対象となりました。前回の審議以降にさらに59名の組合活動家が殺害されたコロンビアについては深い懸念が表明されました。ベネズエラ労働者連盟(CTV)会長の拘留命令など労働組合及び組合員に対する抑圧が見られるベネズエラの案件については特に注意が喚起されました。委員会の解放勧告にもかかわらず労働者指導者の留置が続いている中国については深刻な案件とし、政府に直接接触団の受入を促しました。結社の自由に関する法的基盤が全くないミャンマーについては、法の整備を求め、この点で、ILOの技術支援の可能性を示唆しました。
□その他
昨年採択された船員の身分証明書条約(改正)(第185号)の実施において不可欠な「生体認証(バイオメトリクス)」身分証明認証システムとして「ILO SID-0002 Finger Minutiae-Based Biometric Profile for Seafarers' Identity Documents(指紋特徴点をもとにした船員身分証明書用生体認証プロファイル・英文)」が採択されました。
昨年バンコクで開かれた専門家会合で採択された「船舶解体における労働安全衛生指針」が承認されました。指針は法的拘束力を持つ文書でも、国内法に置き換わることを意図するものでもありませんが、安全な労働条件が確保されることを支援するものとして直ちに実施することができます。理事会はまた、近い将来の需要増大が見込まれる船舶解体の問題を検討するため、ILO、国際海事機関(IMO)、バーゼル条約が合同作業部会を設置したとの報告を受け、これに留意しました。
船員のセキュリティ確保に向け、ILO大きく前進(
英語原文)
2004年3月26日(金)発表ILO/04/12
2001年の同時多発テロ事件以後に起こった、船員身分証明の安全性強化に向けた声の高まりに応えて昨年採択された船員の身分証明書条約(改正)(第185号)の実施において不可欠な「生体認証(バイオメトリクス)」身分証明認証システムとして「ILO SID-0002 Finger Minutiae-Based Biometric Profile for Seafarers' Identity Documents(指紋特徴点をもとにした船員身分証明書用生体認証プロファイル・英文)」が本日、第289回ILO理事会で採択されました。第185号条約批准国は、この報告書に明記された要件に沿った新しい船員の身分証明書を発行することになります。これは船員の2本の指の指紋を、船員の身分証明書上の国際標準平面バーコードに化す「生体認証テンプレート」の利用を可能にするもので、理事会は、長い検討を経て、指紋テンプレートの作成、間引き、バーコード保存用に、特徴点を基礎とした方式を用いることに決定しました。
ILO SID-0002報告書は、現在、国際標準化機構(ISO)及び国際民間航空機関(ICAO)で進められている船員身分証明書国際規格化の議論に資するよう技術文書の形式でISOに提出されます。
ILO理事会、グローバル化の社会的側面世界委員会の報告書を歓迎(
英語原文)
2004年3月25日(木)発表ILO/04/11
3月24〜25日の2日間にわたり、ILO理事会は、グローバル化の社会的側面世界委員会が提出した「A Fair Globalization: Creating Opportunities for All(公正なグローバル化:すべての人への機会の創出・英文)」と題する報告書をもとに審議を行いました。理事会は、報告書をグローバル化の社会的側面に対する「バランスの取れた、一貫性のある」分析と評し、委員会の活動に感謝を表明しました。
報告書はグローバル化の価値を認めながら、その統治(ガバナンス)の方法を早急に再検討する必要性を唱え、そのための措置を各種具体的に提案しています。まともな人間らしい仕事であるディーセント・ワークを世界的目標とすること、公正なグローバル化の構築における働く上での基本的な権利と原則の重要性、国家・国際レベルにおけるより良い、より民主的でより説明責任のある統治の必要性、社会対話と合意形成の重要性、貿易と金融に関する公正なルールや国際金融構造改革の必要性、開発支援の増大提案など、多くの提案が幅広く支持を受けました。国際労働力移動が労働者自身並びに受入国・送出国に与える影響に多国間の対話等を通じて対処する必要性も強調され、この点で、来る6月のILO総会で行われる国際労働力移動に関する討議に対する期待が多く表明されました。
ソマビアILO事務局長は、6月のILO総会に報告書に対するILOのフォローアップ活動に関する提案を提出することになっています。
第289回ILO理事会、「公正なグローバル化」、ミャンマー等の案件を審議(
英語原文)
2004年3月11日(木)発表ILO/04/10
3月11〜26日の日程でジュネーブで開かれる第289回ILO理事会の主な審議事項は以下の通りです。本理事会は、ソマビアILO事務局長が2期目の任期に入って最初の理事会です。
☆グローバル化の社会的側面
審議の中心は、グローバル化の社会的側面世界委員会が提出した「A Fair Globalization: Creating Opportunities for All(公正なグローバル化:すべての人への機会の創出・英文)」と題する報告書になります。3月24〜25日に行われる審議には、世界委員会の共同委員長であるタンザニアのムカパ大統領とフィンランドのハロネン大統領に加え、複数国から労働大臣の出席も予定されています。
ILOが設立した独立した委員会としてグローバル化の社会的側面を検討していた委員会の報告書は、グローバル化の統治に関わり現在存在する政策や制度の「緊急再考」を求め、グローバル化をすべての人にとって公正なものとするための考えを概説し、国内的・国際的に説明責任と統治を改善するための調整の取れた幅広い一連の措置を提案します。これには、◇国際的な貿易、投資、金融、人の移動に関するより公正なルール◇権利が保護され、各種の保障が具備されたまともな仕事であるディーセント・ワークを世界的な目標とする政策◇国際経済における最低限の社会的保護と中核的労働基準を推進する措置◇国連ミレニアム開発目標達成に向けた国際的な資金動員努力の強化といったものが含まれます。
☆ミャンマーの強制労働
強制労働の存在が指摘されているミャンマーについては、2003年5月にILOとミャンマー政府の間で、強制労働の被害者が救済措置を求めて接触できる世話役の設置などを内容とする合同行動計画が立案されていますが、これは同月末のアウン・サン・スー・チー国民民主連盟(NLD)書記長の身柄拘束に至る対立の発生以来停止されています。昨年11月の理事会で、ILO事務局長は、合同行動計画の実施見込みを評価するよう求められていますが、その報告に基づき、今後の対応が審議されます。
☆その他
この他に、2004年9月に予定されているアフリカ連合特別サミット並びに今年後半のG8サミットに向けた雇用政策審議として、2001年11月に採択されたILO世界雇用戦略実施状況の検討、貧困削減・開発加速化に向けた生産的な雇用の創出方法に関する討議が行われます。また、2003年6月に開始された「すべての人への社会保障適用世界キャンペーン」の進展報告が審議されますが、このキャンペーンは今年3月1日に、ポルトガル語圏アフリカ諸国で開始されたほか、インド、ネパール、ナイジェリア、セネガルでも今後開始されることになっています。
世界的に女性の労働力化はかつてない規模で進んでいるものの、就業における平等、貧困減少には遠い(
英語原文)
2004年3月5日(金)発表ILO/04/09
3月8日の国際女性の日に際し、ILOは働く女性に関する以下の2冊の報告書を発表します。
- 「Global Employment Trends for Women 2004(世界の雇用情勢女性編2004年版・英文)」
今年1月に発表された「世界の雇用情勢2004年版」の付属資料の形で女性の雇用状況を分析する本書は、働く女性の数は増えてきているものの、女性の失業率は高く(2003年の世界の失業率は女性6.4%、男性6.1%)、賃金は低く、世界で5億5千万人にのぼる働く貧しい人々の6割が女性であると報告します。女性労働者数はこの10年間で世界全体で2億人近く増加し、2003年に全労働力人口の4割(11億人)を占めるようになりました。報告書はしかし、労働の世界における真の平等は未だ達成されていないとし、例えば途上国では女性が働かないでいる余裕がないため、社会保障給付がほとんど得られず、非常に脆弱なインフォーマル・セクターの仕事をする場合が多いこと、さらに報告書が調査対象とした6職種のいずれでも一般的に男女賃金格差があり、看護や教育といった典型的な女性職種でも女性の賃金は男性より低いことなどを指摘しています。
「政策策定に携わる人々が、雇用を社会経済政策の中心に据え、職場で女性が直面する課題は男性よりもかなり多いことを認識しない限り、女性にまともな仕事を十分に創設することはできない」とソマビアILO事務局長は唱えます。
- 「Breaking through the glass ceiling: Women in management Updated 2004(ガラスの天井の突破:管理職の女性2004年改訂版・英文)」
2001年に出された初版の一部を統計部分を中心に改訂した本書は、最近の世界の統計からは、管理職に占める女性の割合の継続的な上昇が見て取れるものの、進歩の速度は遅く、不均衡で、時に落胆させられると指摘します。全体的な雇用情勢は2001年からあまり変わっておらず、専門職に占める女性の割合は1996/99年から2000/02年にかけてわずか0.7%増加したに過ぎません。全体的な就業率に比して管理職に占める女性の割合はかなり低く、約60カ国でこの割合は2〜4割に過ぎません。2000〜02年に専門職に占める女性の全体的な割合が最も高かったのは、地域別では、東欧・独立国家共同体(CIS)諸国で、反対に南アジア・中東では約30%未満と著しく低くなっています。一方、上級法律職に占める女性の割合は幾つかの国で高く、2001〜02年にハンガリーなど東欧6カ国では裁判官の半数以上が女性でしたし、2003年初めに、国際刑事裁判所の選出裁判官18名中10名が女性でした。国会議員に占める女性の割合は1999年の13%が2003年には15.2%に増加したものの相変わらず低いままです。ただし、伝統的には男性が占めていた外務、財務、防衛といった閣僚ポストに就任する女性が増えている傾向もあります。
組織階層の上部に上がるにつれて女性が少なくなるとの経験則は未だ健在としながらも、報告書は、一部企業で家族に優しい方針に関する理解が進んでいるなど、女性の就業に関する好ましい変化の存在も指摘しています。
ジュネーブのILO本部における国際女性の日(3月8日)行事(
英語原文)
2004年3月2日(火)発表ILO/04/08
3月8日の国際女性の日の行事として、ジュネーブのILO本部では、「司法における女性:はかりの均衡」と題するパネル討論会を開催します。2003年にノーベル平和賞を受賞したシリン・エバディ弁護士、旧ユーゴスラビア国際刑事法廷のカルラ・デルポンテ主席検察官の出席が予定されています。
また、この日を記念し、2001年に発行された女性管理職に関する研究書「Breaking through the glass ceiling(ガラスの天井の突破・英文)」改訂版を含む、働く女性に関する新しい研究成果の発表が予定されています。
3月8〜10日には、「女性の仕事」をテーマとする国際映画祭を初めて開催します。米国、チュニジア、ブラジルなどから、キャリア目標の達成、仕事と家庭の両立、そして生計を得るためなどに戦っている女性たちの姿を描く11本の映画が出展され、無料で上映されます。
2004年2月発表分
世界委員会、「グローバル化は変わることができるし、変わらなくてはいけない」として、グローバル・ガバナンスの緊急再考を提言(
英語原文)
2004年2月24日(火)発表ILO/04/07
ILOは2年前に、グローバル化の社会的側面について独立した外部委員会の立場で話し合い、グローバル化のより良い方向性について提言を行ってもらうため、学識者、政財界、労働界、市民社会の代表者、社会・経済問題専門家など26名からなるグローバル化の社会的側面世界委員会を設置しましたが、2月24日にこの委員会がILOに提出した報告書の内容が発表になりました。
世界各地で26回の対話集会を開くなどして幅広く収集された情報並びに各界の意見をもとに作成された168ページにわたる報告書「A Fair Globalization: Creating Opportunities for All(公正なグローバル化:すべてに対する機会の創設・英文)」は、公正で取り残しのないグローバル化の構築を世界全体で最優先事項とすることを求めています。そして、グローバル化は変わる必要があるし、変わることができるとし、そのための一方策として、
- すべての利害、権利、責任を考慮に入れた、国際的な貿易、投資、金融、人の動きに関するより公正なルール、
- 世界経済において中核的労働基準と最低限の社会的保護を推進する措置、
- ミレニアム開発目標(MDG)の達成並びにそのための能力向上に向けた新たな国際的資金動員努力
などを含む、国内・国際的にガバナンスと説明責任を向上させるための調整の取れた一連の措置を提案します。さらに、公正なグローバル化はすべての国における国内的なガバナンスの改善にかかっているとして、人々がグローバル化の機会に効果的に参加できる力を構築するような国家、地域、地方における政策上の優先事項を細かく列挙します。また、国連はグローバル・ガバナンスの中核を構成し、改革過程の先鋒を務める独特の機能を備えると評価しながら、雇用のような社会目標が優先的な国際課題とならない理由の一つとして、国際機関同士の協力体制がうまく整っていないことを挙げ、「政策整合イニシアチブ」を通じた協力体制の確立を提案します。
今後、ILOでは3月の理事会で報告書の内容を審議し、6月の総会で報告書の具体的なフォローアップ方法を検討する予定です。
インド/米国/ILO反児童労働活動で協力し、危険な仕事に従事する約8万人を直接対象とする新規事業開始(
英語原文)
2004年2月16日(月)発表ILO/04/06
2月16日にインド政府は、米労働省及びILOの協力を得て、インドにおいて10の危険有害産業で働く約8万人の児童労働者を対象とした4千万ドルの児童労働撤廃計画を開始すると発表しました。これはILOが実施する国内計画としては最大規模のものです。
公式政府統計によれば、インドでは、1,120万人の子どもが働いていると推計されます。インド政府と米労働省が半額ずつ出資し、ILOの児童労働撤廃国際計画(IPEC)が実施を担当するこの新しい事業は、マディヤプラデーシュ、マハラシュトラ、ウッタルプラデーシュ、タミルナドゥの各州で3年にわたり、花火、手巻きタバコ、履き物、錠前、マッチ、れんが、絹、ガラス製品などを製造する危険な産業で働く18歳未満の子ども8万人を対象とします。直接的な目標としては、このような危険な仕事に従事する子どもたちを把握した上で、危険な仕事から子どもたちを引き離し、教育並びに後戻りを予防する社会的な支援を与え、家族に経済保障を提供し、危険な仕事をやめた子どもたちのモニタリング及び追跡調査を行い、国・州・地方・地域社会レベルで児童労働に取り組む制度的な能力の強化を図ります。
国際協同組合同盟(ICA)/ILO協力協定締結(
英語原文)
2004年2月10日(火)発表ILO/04/05
ILOは1919年の創立以来、国際協同組合同盟(ICA)と協力して協同組合の振興に取り組んできましたが、2月10日に両機関は、まともな仕事の創設と貧困軽減を目的とした「協同組合共通課題」の実施に関する合意覚書に調印しました。イヴァノ・バルベリーニICA会長とフアン・ソマビアILO事務局長が署名した覚書に基づき、両機関は古くからのこの協力関係をさらに強化し、世界全体で協同組合を振興していく共同の事業計画やプロジェクトの開発努力をさらに強めていくことになります。
ICAは、ILOの活動におけるオブザーバーの地位を保有し、2002年にILOで採択された協同組合の促進勧告(第193号)の策定にも協力しています。協同組合共通課題は第193号勧告の各国での実施についても規定しています。この他の協力事項には、国連のミレニアム開発目標への取り組みも含まれます。
ILOの新しい調査研究、児童労働撤廃の経済的便益は費用をはるかに上回ることを示す(
英語原文)
2004年2月3日(火)発表ILO/04/04
ILOが、児童労働を世界的に撤廃した場合の経済的な費用と便益を初めて分析した報告書「Investing in Every Child, An Economic Study of the Costs and Benefits of Eliminating Child Labour(子ども一人一人への投資:児童労働撤廃の費用便益に関する経済研究)」は、児童労働撤廃の便益は費用の7倍近くになるとします。
現在、世界全体で約2億4,600万人の子どもが働いているとILOは推計しています。ILOの児童労働撤廃国際計画(IPEC)が実施したこの調査研究は、ブラジル、フィリピン、ネパールなど8カ国の詳細な国別データ、その他24カ国の世帯調査データ、それ以外の国の公表データからの試算をもとに、2001年から2020年までの20年間で児童労働を撤廃し、全ての子どもを就学させた場合、総費用は7,600億ドルかかるものの、総便益は5兆1,000億ドルになり、1対6.7の割合で便益が費用を上回るとします。地域別では、費用便益比率が一番高いのは北アフリカ・中東地域(1対8.4)ですが、一番低いサハラ以南アフリカでも1対5.2と、全世界的に便益が費用を上回る結果が得られました。児童労働撤廃事業の経済的純便益は世界全体で年間総国民所得総計の22.2%に達すると報告書は推計します。
児童労働の撤廃は、世代間投資であり、事業開始直後はほぼ確実に費用が収益を上回りますが、教育と保健面の改善効果の確立と共に経済効果はプラスに転換し、2020年までに収益が費用をはるかに上回るとされます。児童労働撤廃の平均年間費用は債務返済に充てられる費用や軍事費をはるかに下回るとし、報告書は、移行経済諸国及び途上国の児童労働撤廃にかかる平均年間費用950億ドルは軍事支出の約2割に過ぎないとします。
計算に用いられた費用の中では、教育備品供給費用が全体の3分の2近くを占めていますが、報告書は、全ての子どもが14歳まで教育を受けるとすると、就学期間が1年伸びるごとに将来の収入は年11%ずつ増加し、総便益は世界全体で約5兆ドルに達するとします。子どもの世帯収入に対する寄与率は大人の2割との前提を用い、報告書は、児童労働がなくなった場合、家族が負担することになる機会費用は世界全体で2,468億ドルに達するとします。これを確認するものとして、報告書は子どもの通学を条件に貧しい家庭に所得支援を行う事業の費用を費用側に算入し、この種の児童手当は児童労働の平均価値の6〜8割を貧困家庭に移転するとしています。便益側では、教育に加え、児童労働撤廃による子どもの健康状態の改善は、世界全体で280億ドルの有形経済便益をもたらすと推計しています。
2004年1月発表分
ILO、児童労働をなくした場合の経済費用便益に関する研究成果を発表予定(
英語原文)
2004年1月28日(水)発表ILO/04/03
ILOは、来る2月3日に児童労働をなくした場合の費用便益を分析した新しい報告書を発表します。世界中から児童労働をなくすためにどれだけ費用がかかるか。児童労働がなくなれば、社会にどのような恩恵があるか。ILO児童労働撤廃国際計画(IPEC)が作成した報告書は、こういった問いに答える初めてのものです。
報告書は2月3日(火)GMT23時(日本時間翌4日午前7時)に世界同時発表されます。
カンボジアの労働者リーダー殺害に対し、ILO「衝撃と哀悼」を表明(
英語原文)
2004年1月22日(木)発表ILO/04/02
1月22日に、カンボジアのチェア・ビチェア自由労働者組合会長が同国内で殺害されたことに関し、ILOは「カンボジアの男女にディーセント・ワークを推進するため、そして働く人々の基本的な権利に根ざした競争力のある経済基盤の構築に向け、国内政労使と共に」ILOと緊密に協力し合ってきた同氏の死を悼む書簡を組合宛に送付しました。書簡のなかで、ILOは、「カンボジアの復興と開発に多大なる貢献を行い、組合が誇りうる遺産を残した」ビチェア会長の功績を讃え、その死は「取り返しのつかない損失」であるとし、「衝撃と哀悼」を表明しました。
ILOは1999年1月にカンボジア政府が米国政府と締結した協定(2001年12月31日に改正)に基づき、北米、欧州、その他先進国向けに出荷される衣料品の生産に従事しているカンボジア国内の被服工場における労働条件を監視する技術協力事業を実施していますが、ビチェア会長は、この諮問委員として、政労使による社会対話において重要な役割を演じると共に、ILOの掲げる社会正義の価値を強く支持されていました。
世界の失業情勢2003年も依然記録的水準ながら回復の兆しも見える−ILO雇用年次報告書(
英語原文)
2004年1月22日(木)発表ILO/04/01
ILOは1月22日に発表した年次報告書「世界の雇用情勢2004年版(Global Employment Trends 2004・英文)」で、2003年に世界全体の失業者数は、2002年の1億8,540万人よりわずかながら増え、1億8,590万人(世界の労働力合計の約6.2%)となり、ILO統計史上の最高値を再び更新したとします。ただし、2003年後半に確立した景気回復が世界の雇用情勢の悪化スピードを鈍らせているように見え、ソマビアILO事務局長は、「最悪の事態が終わったと言うのは時期尚早に過ぎる」と断りながらも、「今後1年間、現在推計されている世界の経済成長及び国内需要が維持されるか、改善されれば、世界の雇用情勢は2004年に幾分明るさを示すだろう」と予測します。
男女別失業者数では、男性が約1億810万人(前年比60万人増)、女性が7,780万人(同10万人減)であり、問題が最も深刻なのは15〜24歳の若者層で、失業率は14.4%、失業者数は約8,820万人に達しています。
先進国では、特に2003年後半から過去2年間の経済不振からの回復が見られ、日本でも90年代前半の3%以下という低失業率に戻るにはまだ時間がかかりそうながら、長い不況から抜け出しつつあるように見えます。米国の国内総生産(GDP)の伸びが雇用創出につながり、欧州の就業率が今後も上昇し続ければ先進国の失業率は低下すると報告書は予想します。中南米では、2003年に国内総生産は幾分回復したものの、雇用回復は非常に遅く、失業率は前年比1ポイント減を示しています。GDPが7%超の堅調な伸びを示した東アジアでも失業率は上昇し、GDP成長率5.1%の南アジアでも失業率に変化はありませんでした。一方、労働力率が増加した東南アジアでは、失業率が大幅に低下しました。中東・北アフリカの失業率は上昇し、12.2%と世界最悪の地域となりました。サハラ以南アフリカでは失業率はいくぶん低下したものの、働く貧困層が多い状況を改善するには足りませんでした。市場経済化に伴い失業率が何年も上昇を続けていた移行経済諸国はついにこの動きが止まり、2003年に失業率が低下しました。
報告書は2003年前半における失業率・不完全就業率増加の原因として、先進国における景気回復の遅れ、アジアの雇用情勢に対する新型肺炎SARSの影響、武力紛争の影響をあげ、SARSの沈静化及びGDPの堅調な伸びが後半のある程度の雇用成長を達成したとします。2004年の世界の経済成長については、先進国における需要増、貿易の活発化、それと平行した国内需要の伸びが雇用情勢に光をさす可能性があると慎重ながら楽観的な展望を示しています。
2003年にGDPは伸びたものの、全体的な雇用成長は見られず、総合的な課題は世界全体で5億1,400万人の新規労働力を吸収し、働く貧しい人々の数を2015年までに減らすことであり、2004年以降に、GDPの伸びをどれだけうまく雇用成長に転換できるかは、雇用政策を優先事項として重要視し、それをマクロ経済政策と同等の地歩に据える政策策定者の努力にかかっていると報告書は記しています。
ILO駐日事務所お知らせ−2004年
ILO児童労働写真展「働かされる子どもたち」(神戸・2005年2月17日〜3月16日)
来る2月17日〜3月16日(日祝休)に、日本国際連合協会兵庫県本部主催によるILOの児童労働写真展がひょうご国際プラザ交流ギャラリーで開かれます。会場では、ILOの児童労働に関するビデオ「働かされる子供たち」の上映も行われます。2月18日には堀内光子ILO駐日代表が写真展の説明と児童労働の現状を紹介する講演会が開催されます。いずれも入場無料です。写真展は直接会場にお越し下さい。講演会参加ご希望の方は、日本国際連合協会兵庫県本部まで、お電話(078-230-3260)、FAX(078-230-3280)またはメール(
hia@net.hyogo-ip.or.jp)でお名前、年齢、ご所属、ご住所、電話番号をご連絡の上、お申し込み下さい。写真展及び講演会の詳細は、
こちらへ。
[2005年2月2日掲載]
新刊:日本における性的搾取を目的とした人身取引
ILO駐日事務所が宣言推進国際重点計画内の強制労働廃止特別行動計画と協力し、日本における性的搾取を目的とした人身取引の実態を調査し、国内の対応をまとめた英文新刊書「Human trafficking for sexual exploitation in Japan」を新たに掲載しました。統計データを含む実態部分については、日本語抄訳があります。報告書本体をご覧になりたい方は、
こちら、日本語抄訳をご覧になりたい方は、
こちらへ。
ワールド・オブ・ワーク第2号発行
ILO広報誌「World of Work」の抜粋記事和訳と日本独自の記事を掲載したILO駐日事務所広報誌「ワールド・オブ・ワーク」第2号(PDF形式・675KB)が完成しました。日本語版をご覧になりたい方は、
こちら、英語版をご覧になりたい方は、
こちらへ。
グローバル化と若者の未来アジア・シンポジウム(東京・12月2〜3日)
去る12月2〜3日に、
UNハウス3階ウ・タント国際会議場で、厚生労働省、国連大学、ILO共催による「グローバル化と若者の未来に関するアジア・シンポジウム」が開催されました。12月2日にはフアン・ソマビアILO事務局長の基調講演も行われました。プログラムの詳細は、シンポジウム事務局ホームページ(
http://www.at-now.co.jp/asia/)まで。シンポジウムの模様と講演内容を
録画映像(http://c3.unu.edu/unuvideo/?48)で視聴することもできます。
グローバル経済における移民労働者の公正な取り扱い行動計画
2004年に開かれた第92回総会で行われた移民労働者に関する一般討議の結果採択された
「グローバル経済における移民労働者の公正な処遇に関する決議」の抜粋抄訳(PDF形式・129KB)を新たに掲載しました。
グローバル化の社会的側面国際シンポジウム報告ページ完成
去る7月1日に、国連大学主催、ILO協力で行われた、
グローバル化の社会的側面世界委員会の報告書をめぐるシンポジウム「共生型地球社会を求めて−激動する世界における公正なグローバル化」の報告ページが、国連大学のウェブサイト上に掲載されました。プログラム、配付資料等に加え、報告者の発表もメディア映像で直接聞けるようになっており、シンポジウムにお越しいただけなかった方々にも便利になっています。報告ページへは
こちらへ。
多国籍企業及び社会政策に>関する原則の三者宣言
1977年にILO理事会で採択された「多国籍企業及び社会政策に>関する原則の三者宣言」の2000年改正分までを含んだ最新版の和訳を新たに掲載しました。
日本語版(PDF形式・439KB)はこちらへ。英語原文、フォローアップ調査、解釈手続き等各種情報については、宣言のフォローアップ活動を担当する
多国籍企業計画の英文ウェブサイトへ。
HIV/エイズと働く世界ILO行動規範
2001年に専門家会合を開いてILOが作成した「HIV/エイズと働く世界ILO行動規範」の和訳版を新たに掲載しました。
日本語版(PDF形式・555KB)はこちらへ。英語原文を含むILOのHIV/エイズ関連活動、各種データ・情報については、
HIV/エイズと働く世界ILO計画の英文ウェブサイトへ。
最終更新日:2005年1月6日 作成者:EU 責任者:MH