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 使用者と労働者の取り組み 

使用者の取り組み:バングラデシュ衣料品産業・輸出業協会(BGMEA)

1994年10月、バングラデシュの衣料品産業で働く児童53名が、ILOとユニセフに対し直訴した。児童を雇う工場の製品をボイコットするというアメリカの警告によって、工場で大量解雇が起きていた。逆にILO/IPECが、受け皿の教育プログラム等が適切に整うまでは児童労働者を解雇しないように注意するほどだった。この訴えから1年以内に、バングラデシュの総歳入の3分の2を占める衣料品産業から、すべての児童労働を段階的に撤廃するという、ILOの児童労働撤廃国際計画(IPEC)によるプロジェクトが実現した。


一つの産業全体が児童を雇用しないことに合意した初めてのケース。
8,000人以上の児童が、800の工場から解放されて、学校に通い始めた。
内部と外部の監視・検証システムが設置・実行されている。
抜き打ち検査の結果に改善傾向が見られる。子どもを雇っていた工場は、1995年の調査で43%。1997年始めの抜き打ち検査では1,300以上に増えた工場のうち12%だった。


1995年7月4日、BGMEAはILO及びユニセフとの間で、衣料品産業から児童労働の撤廃を目的とする覚書に署名した。これは一つの産業全体が児童労働の撤廃に向けて協力し、同時に確実な選択肢を設けた前例のない合意である。覚書のもとで三者が合意したことは、以下の通りである。:衣料品産業で働く14歳未満の児童数の調査。衣料品産業に対する監視・検証システムの設置・実行。衣料品産業の労働から解放された児童のために教育プログラムの編成。労働から解放された子どもとその家族に対する収入の部分的損失の補償。児童労働と教育の重要性について、社会の意識を向上させること。

ILO/IPECでは、14歳未満の子ども対象として、衣料品工場における労働から解放し、就労を防止するための監視・検証システムを実施した。その結果、14歳未満の労働者8,000人以上が800の工場から解放されて、特別教育プログラムに登録されたことがわかった。

また、選抜された28人の児童労働監視官が、ダッカとチッタゴンにある工場の定期検査と就学した児童の出席状況の調査を行うため研修を受けた。違反があった場合は、業者に1,000米ドルの罰金が課されるか、再犯なら、輸出許可を一時的に差し止める。

このプロジェクトは、工業部門での児童労働を撤廃するために、使用者(衣料品産業)と国連機関(ILOとユニセフ)とバングラデシュ政府が協力し合うという好事例であり、一つの産業から児童労働を段階的に撤廃し、児童に教育を受けさせることが実現できた。


児童労働に立ち向かう労働者たち

労働組合も、資金の動員に大きな役割を果たすようになっている。その例として、イタリアの労働組合が、ILO、ユニセフとともにキャンペーンを展開し、1,800万米ドルの資金を集めた。その資金は現在、ILO/IPECがネパール、バングラデシュ、パキスタンで実施している児童労働撤廃プロジェクトに活用されている。他の国際労働組合や国内の労働組合も後に続き、1998〜2001年には、日本労働組合総連合会(連合)がIPECに総計約12.7万米ドルを寄付した。

労働者団体による児童労働撤廃キャンペーンの内容は、意識向上と労働者の教育、特定の産業に対する連帯運動、働く子どもたちへの特別な教育の提供、そして児童労働撤廃を労働協約に含める動きなど、さまざまである。政府系、非政府系組織を含めた他のパートナーと連携を図りながら、労働組合は児童労働問題を労働者教育プログラムに組み込み、地域社会をまとめる活動の奨励によって児童労働の発見と監視を図り、中央政府や地方政府に陳情して、働く児童のための政策の改善とサービス向上を求め、さらに提言活動の強化を行っている。港湾事業、砂糖のプランテーション、衣料品産業、危険な農作業及び漁業等の産業分野では、試験的なプロジェクトも行っている。組合はまた、危険な労働から児童を解放し、必要に応じて法律相談を提供する取り組みも支援した。制度面では、重点的な活動を定めてその調整役を任命した。例えばタンザニアでは、組合指導者たちが、児童労働を規制する条項を農園や鉱山の労働協約に組み入れることに成功した。

国際的な労働組合を取り上げた好例として、パキスタンのシアルコットにおけるサッカーボール縫製の問題が挙げられる。このケースでは、輸出業者と輸入業者及び国際組織が、問題解決することを互いに理解し、合意することができた。


ラテン・アメリカ労働組合の取り組み

1995年末に、IPECのラテン・アメリカでの公開講座が始まった。最初のセミナーは、ブラジルの労働者組織に向けたものである。ブラジルでは、児童労働に対する社会の姿勢を変化させるために、労働組合が指導的な役割を果たしている。また労働組合の代表者たちは、国際自由労連(ICFTU)、同・米州地域組織(ORIT)、ラテンアメリカ労働者本部(CLAT)、そしてILO/IPECの指導のもと、「児童労働に反対する労働組合の行動の成果」という文書を発表した。この文書の影響で、ラテン・アメリカ諸国で労働組合の活動が増えた。

中米では、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ニカラグア、パナマの労働組合が、ILO/IPECからの資金援助と技術援助のもと、組合員の児童労働に関する対応力と意識の向上を目指したセミナーを主催している。中でもコスタリカとニカラグアでは、労働組合のための全国行動計画が採択され、コスタリカでは「労働組合全国委員会」が設置された。

南米では、ブラジルの労働組合が1992年から児童労働撤廃のための行動を展開し、組合員や社会一般に向けて問題提起を行っている。その活動は、主に4つの分野に分けられる。(1)労働協約に児童労働禁止条項を組み込む重要性について、労働組合指導者の意識の向上を図り、行動を促す。(2)地域社会の指導者及び子どもを持つ親たちの意識の向上を図り、行動を促す。とりわけ児童労働の防止策かつ児童労働と闘う手段としての教育の重要性を訴える。(3)果物やサイザル麻の栽培という危険な環境下で、直接的な施策を行う。(4)危険な環境下での児童労働をなくすための事例研究を推進する。

1992年以降、子どもの権利に関する条項とりわけ児童労働に関する条項が、労働協約に盛り込まれるようになった。社会全体の姿勢も変わって政策の転換が促進され、さまざまな施策やプロジェクトが実現されやすくなった。 組合員が地方政治に参画するケースも増えて、子どもの権利の擁護と、そのための適切な政策の立法が進んだ。

ブラジル及びラテン・アメリカの労働組合は、地域的・国際的な会議でも、ILOの児童労働分野の活動を支援した。

またアルゼンチン(労働総同盟:CGT)、ベネズエラ(労働総同盟:CVT)、パラグアイ(中央統一労働組合:CUT)、チリやコロンビアの労働組合で、児童労働問題への取り組みを話し合うための全国協議会等が開催され、国の行動計画との連携や直接援助プロジェクトのあり方が協議された。

   
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最終更新日:2005年7月12日 作成者:NT/ACC 責任者:KO