1994〜1997年にかけて、プロジェクトが接触した子ども5,000人のうち1,200人が学校へ通い始めた。児童労働撤廃国際計画(IPEC)の支援を受けて設立されたセンターは、現在、大アンカラ市の予算で運営されている。他の市でも同様のプログラムが実施されている。
アンカラ市の「路上で働く子どもたちのためのセンター」は、1992〜1993年にかけてIPECのプロジェクトの1つとして創設され、1994〜1995年の第2期も引き続きIPECの援助を受けた。1996〜1997年の第3期にはIPECからの援助は減少し、アンカラ市は活動を続けるため、制度を整理統合した。IPECの資金援助は1997年4月に終了したが、市はその後も活動を続け、制度の向上を目指している。
センターは、短期的に子どもたちの労働条件を改善させ、長期的に児童労働を撤廃する目的で創設された。路上で働く子どもたちの問題に対して、センターの主要戦略は様々な効果をあげている。その戦略とは次のようなものである。
◆より広い社会関係を考慮する
プログラムは、家族、学校、センター、労働環境という関係の中における児童労働問題を考える。そこでセンターでは子どもの生活に関わりのあるグループや個人と交流し、連携を図る。
現在1,054人の子どもたちがセンターに登録され、それ以外にも3,823人がセンターのソーシャルワーカーと連絡をとりあっている。ソーシャルワーカーが子どもたちに接触するのは、彼らの仕事場である路上や、家族を通じてか、あるいは地元の小学校への訪問の際などである。センターは、多くの子どもたちが働くマーケット地帯にある。子どもたちとの接触はセンターを拠点として行われ、それに出張相談活動を加えて、遠くで働く子どもたちの便宜をはかっている。子どもたちやその家族と個々に接触するには、外へ出掛けていくことが欠かせない。
◆子どもの発達を総合的に見る
子どもの発達を、身体面、心理社会面、認知面の発達を統合したものとして見ることは、子どもにサービスを提供する上で非常に重要である。働く子どもへの幅広いサービスは、公共医療、教育、社会心理面でのサービス、職業訓練、課外活動等がある。センターに登録された子どもは、音楽、劇、柔道、空手、卓球、サッカー、レスリングなどのグループを作り、活動する。
◆教育面での援助とサポート
センターによる最大の成果の一つは、1994〜1997年度の間に、1,200人の子どもたち(うち147名は特待生)を学校の基礎教育課程へ戻したことである。これは、家族と話し合いを重ね、さらに社会的キャンペーンを通じて教育費(制服代、教科書、文房具代)を援助することで実現した。子どもに必要な教育を行うために、社会資源を活性化し、地域の資源を最大限に活用したのである。学校に登録して出席している子どもの数は、プログラム開始当初から徐々に増加している。もちろん、本格的に州の学校に戻って学業と仕事を両立させるのは、子どもにとって大きな負担であり、かえって学業に悪影響を及ぼす場合も有り得る。そこでセンターは、個別指導システムを設置し、また小学校長や教師と緊密に連絡を取って、出席率や成績を見守っている。
◆ボランティア
センターでは、子どもたちの心理社会的発達を助けるために、アンカラ大学の学生が世話をしたり勉強を教えたりする。学生たちの大切な役割の1つは、センターの代弁者となることである。また彼らがセンターにもたらす様々な技能も、働く子どもたちに役立っている。学生たちはよく訓練されている上、働きながら彼ら自身も学び、それが専門技能の蓄積につながる。
◆政策提案
一般の人々や政策担当者に働く子どもたちのニーズを理解してもらうことがセンターの目標である。この問題への意識の向上をめざして、問題の原因を追及するための一連のメディア作戦を展開した。市当局も、NGO、地方自治体、専門家グループ等と定期的に会合を開いて、これまでに学んだ教訓をまとめ、将来的な協力の可能性を探って、成果を維持していく予定である。
◆持続性と再現性
センターは、市当局の財政上・行政上の直接支援とガラス瓶及び古紙のリサイクル事業による収益によって持続性を確立した。また、センター存続を確かなものにするために、「チョジュック・デル」という名の団体が設立され、個人や組織から寄付を募ることもできるようになった。
(このプロジェクトは他の団体を刺激するという点でも貴重な役割を果たしている。現在、トルコ南東部のディヤルバクル市で、市政府、トルコ政府、首相府、地域開発庁、南東アナトリア・プロジェクトによって、IPECの支援をほとんど受けずに、同じ形のプロジェクトが進められている。)
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