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産業別の実態と取り組み <家事使用人>
家事使用人として働かされる子どもたち | 見過ごされている子どもたち | ハイチの子ども家事使用人 | フィリピンとタンザニア | 世界中で子どもの家事労働を撤廃するための行動
 世界中で子どもの家事労働を撤廃するための行動  印刷用ページ(PDF:83.4KB)

子どもの家事労働の存在する世界

 

「魂と精神を結びつける目標に
出会うことが難しい世界において
我々すべてが分かち合う目標である
最悪の形態の児童労働の撤廃を実現しよう。」

フアン・ソマビア
ILO事務局長


「子どもを家事使用人として働かせることがなぜいけないのか?」世界中で、子どもの家事労働は文化的に容認され、広く行われています。自宅以外で家事使用人として家事をすることはその子ども自身の成長過程の一部と考えられがちで、「労働者」としては見なされてきませんでした。家事使用人として子どもを働きにやる親も子ども自身も、実際に働き始めるまで子どもの家事労働に潜む危険について知ることはありません。彼らが考えていたのとは全く違う状況になりうるのです。2002年度ILOグローバル・レポート「児童労働のない未来」は、一見無害な活動が、特に長期に渡った場合にはそれを行っている子どもに有害なことがあると指摘しています1

子どもの家事労働はそもそも個人雇い主の家のドアの向こうで密かに行われるため、長い間人目につかず、監督検査の対象ともなりませんでした。目に付かないという特徴、雇い主との交渉能力の欠如、加えてこの問題への一般的な意識の低さにより、子ども家事使用人は肉体的・精神的・性的虐待などの搾取を非常に受けやすいのです。全ての子ども家事使用人が虐待・無視・搾取を受けているわけではなく、仕事それ自体が自動的に危険で非人道的なわけでないことは確かです。しかし、子ども家事使用人の大半が世界中で実際に搾取的、虐待的な状況に直面しており、また子どもの家事労働は常に危険を抱えているため「最悪の形態の児童労働」と見なされるべきであるということは無視されてはなりません。

 

「最悪の形態の児童労働」の観点から見た子どもの家事労」

児童の権利に関する国連条約、ILO第29号・182号の精神によれば、「最悪の形態の児童労働」(WFCL)に取り組む際には以下の条件が含まれる子どもの家事労働は見過ごされてはいけません。

子どもが
・ 人身売買の犠牲者である場合
・ 家族の借金を負わされている場合
・ 賃金を払われずに働かされている場合
・ 非常に長時間働かされている場合
・ 隔離され、又は夜間働かされている場合
・ 非常に危険で健康に有害な状況で働かされている場合
・ 虐待を受けている場合
・ 肉体的暴力や性的嫌がらせを受けている場合
・ 非常に幼い年令で働かされている場合

 

行動への呼びかけ

世界中で、非常に多くの子ども、特に少女が家事労働に従事しています。子どもの家事労働に関する問題は文化的に繊細で複雑な問題です。その根本原因、兆候、そして、子どもと家族、社会に対する影響について、同時に取り組む必要があります。従って、これを緊急問題として行動を起こし協力するよう国内・国際社会に呼びかけることが必須です。行動は以下の分野においてとられる必要があります。
・ 意識向上、予防、児童労働をやめさせること、社会復帰、リハビリ。
・ 特に少女について、教育と訓練の推進。
・ 子ども家事使用人の搾取及びその他の「最悪の形態の児童労働」に立ち向かうための、期限付き手段・プログラム・計画の策定、そして特定の目標・期限の設定。このイニシアチブと国家の開発努力−特に貧困削減戦略と良質の教育・技術訓練・仕事創出の供給―との連携。
・ 子ども家事使用人の搾取及びその他の「最悪の形態の児童労働」に立ち向かい、子どもの権利を国際アジェンダとし続けるための行動への国際的な支援を結集。

 

子ども家事使用人とILO

ILOの政策枠組み

ILOは、特に労働世界における基本的人権を提唱し監督することによって世界の平和の基礎としての社会正義を推進するために設立されました。ILOは労働基準関係の仕事において、負債を負わされた労働と奴隷に等しい慣行に関連して家事使用人の問題を扱ってきました。

ILOは長年、「ある者が処罰の脅威の下に強要され、したがって自分から任意に申し出たわけではない一切の労務」の廃止を目指す強制労働条約(第29号)を通して(子ども)家事使用人のいくつかの状況に取り組んできました。第138号条約(1973年)は就業が認められる最低年令を15才と定めています。しかし、子どもの家事労働(CDL)は最低年令を定めた国内法令の見地からも、容認できる例外と見なされがちです。1999年以来、最悪の形態の児童労働条約(第182号条約)は子どもの家事労働の条件をより明確にしました。

既に130ヶ国以上に批准されている第182号条約は、子どもの家事労働そのものをはっきりと「最悪の形態の児童労働」とは定めていないものの、子どもの家事労働に適用されるいくつもの重要な条項を含んでいます。しかし、奴隷のような慣行、人身売買、借金を負わされた労働、そしてその他の強制労働が子どもの家事労働に関係して起こると直ちに、それは当然に「最悪の形態の児童労働」となります。(第182号条約3条(a))加えて、「最悪の形態の児童労働」として緊急に取り組む必要がある危険な業務(第182号条約3条(d)、4条)を決定する際、政府は第190号勧告第3段落に列挙されている要素を考慮に入れなければいけません。当段落は、子どもの家事労働に関連するいくつかの要素を正確に指摘しています。すなわち、子どもを肉体的、精神的、性的虐待にさらす業務、長時間又は夜間の業務、雇い主の家の中に理由なく閉じ込められる業務などです。

第182号条約を批准した国はすべて、子どもの家事労働に関連して起こっている「最悪の形態の児童労働」を認識し、これらの子どもたちの権利が保護されるよう注意する責任があります。ILO第190号勧告第2段落(c) (iii) は、少女を特に危険にさらす隠れた場所での業務にも特別な注意を喚起しています。さらに、タンザニア、ネパール、フィリピンなどの期限付きプログラムを始めた国を含むより多くの国家が子どもの家事労働を「最悪の形態の児童労働」に含め、これに反対する強硬な姿勢をとっています。

最悪の形態の児童労働条約(第182号、1999年)

第1条は「この条約を批准する加盟国は、緊急に処理を要する事項として、最悪の形態の児童労働禁止及び撤廃を確保するため即時のかつ効果的な措置をとる」と明記しています。

子どもの家事労働は、以下の条項に定められている最悪の形態の児童労働に特に関わりがあります。すなわち、第3条(a)「児童の売買及び取引、負債による奴隷及び農奴、強制労働などのあらゆる形態の奴隷制度又はこれに類する慣行」、第3条(d)「児童の健康、安全若しくは道徳を害するおそれのある性質を有する業務又はそのようなおそれのある状況下で行われる業務」です。

第4条1項は、「関係のある使用者団体及び労働者団体と協議した上で、関連の国際基準、特に1999年の最悪の形態の児童労働勧告3及び4の規定を考慮し」第3条(d)に規定する業務のうち後者の種類を決定すべき、と各国に通告することで行動を求めています。

子どもの家事労働、他分野の児童労働の両方において、第182号条約は加盟国に対し最悪の形態の児童労働の存在を発見した場合は「政府機関、使用者団体、労働者団体と協議した上で、適当な場合には他の関係の有る集団の意見を考慮に入れて」これを優先的に撤廃するための行動計画を作成し実施することを求めています。

 

技術協力

ILO内部で、子ども家事使用人の搾取的状況に取り組む計画が主に児童労働撤廃国際計画(IPEC)を通して1992年以来実施されています。児童の権利に関する国連条約及びILO第138・182条約に基づき、IPECは子どもの家事労働の根本原因に取り組むことでその防止・撤廃を効果的に行おうとしています。他の国際機関との協力の下、IPECは子どもの家事労働に関する行動リサーチを行い、子どもの家事労働の防止、この問題に関する意識向上、政策提言、搾取的/虐待的状況におかれた子どもの救出・リハビリ・社会復帰における政府・使用者団体・労働者団体・市民団体の努力を支援しています。IPECは子ども家事使用人がさらされるかもしれない危険と搾取についての人々の意識を向上し、そのような状況に反対するよう世論を動員しようと努力しています。これにより、子ども家事使用人の搾取に反対する活動を社会全体が支持し、続けるようにするためです。

 

問題状況

英語圏アフリカ(東アフリカ)

東アフリカでは、子ども家事使用人(主に少女)は、貧困、HIV/AIDS感染、家庭崩壊が蔓延している一定の農村地域(これらは獲得地域として知られています)から集められ、又は人身売買されてくることも多いのです。HIV/AIDSが蔓延しているので、きょうだいを養うため自発的に学校をやめ子ども家事使用人になる孤児が大勢います。誰にも支援されていないこれらの子どもたちは、例外なく搾取・虐待を非常に受けやすいのです。驚いたことに、子どもの家事労働はそれ自体で危険があるのみならず、他のタイプの最悪の形態の児童労働(WFCL)とも明らかな関連性があることがリサーチにより分かりました2 。例えば、タンザニアにおける子どもの商業的性的搾取に関する緊急報告によれば、当報告においてインタビューした少女売春婦の25%が、売春する前は家事労働において搾取されていました。家事労働における耐え難い条件により、又は雇い主から追い出されたことで、家事労働をしていた大勢の少女たちは売春せざるをえなくなったようです。


フランス語圏アフリカ

子どもの家事労働はこの地域において普通に見られる現象であり、従事しているのはほとんどが少女です。仕事が人目に付かないという性質(子どもたちは別の場所に散り散りになっており、雇用契約も正式ではありません)を考えれば、その状況を正確に理解するのは困難です。しかし、ILO-IPECとUNICEFが行った調査により、子どもの家事労働についての貴重なデータが少し入手出来ました。セネガルについて言えば、1993年には女性の家事使用人は33000人(内、12000人が15才未満)3、ベナンでは1994年に家事使用人又は売り売り子として雇い主の監督下におかれている子ども(内、85%が少女)4 は10万人以上と推定されています5

ここ数年の間に、幼い少女たちが地方から都市へ移り住む傾向が報告されています。この傾向は、以下の二つの主要因により説明できます。まず、地方における社会的・経済的環境の悪化、その結果としての貧困の深刻化により親は子どもを働きにやるようになっています。次に、都市では女性が家庭外で経済活動に従事するようになったため家事労働の需要が増加しています。これらの女性雇い主たちは、従順で安い賃金で働く15才未満の少女を家事使用人として雇うのを好むのです。

中米

中米及びドミニカ共和国では、約170000人6の子どもが家事労働に従事していると推定されています。これらの子どものほとんどは都市周辺地域か地方の貧しい大家族の出です。その87%は少女であり、多くが搾取的な経済条件の下働いています。多くの場合、子ども家事使用人が行う業務は彼らの肉体的・精神的・道徳的自由を損なうものであり、債務を負った労働や奴隷と同じような条件で働かされている者もいます。この現象は文化慣習に深く根ざしたものであるため、人々はこれを受け入れています。”Ninas de crianza”(里子の少女)、”Ninas de casa”(家の少女) 、”criadas”(女中)は全てこの小地域の子ども家事使用人を表現す呼び方です。これらの呼び名は彼らの仕事をいくぶんおとしめ、子どもの家事労働を本当の「仕事」というよりは「手伝い」として人々に認識させてきました。

南米

南米における子ども家事使用人の大半は16才未満の少女です7。雇い主が少女を好み、親も娘を子ども家事使用人として働かせたがる理由は、ジェンダーによって役割を決定する文化的・伝統的価値観にあります。子どもの家事労働は社会的に容認され、普通に行われているため、子どもの家事労働が債務奴隷に近い場合があることはしばしば見過ごされています。子どもは雇い主の思うままに働き、「おしおき」として言葉上・肉体的・時には性的な虐待にさらされることもよくあります。その上いくつかの国では、少女の家事使用人は少年よりも家の内部に閉じ込められ、孤立し孤独感を味わうことも多いのです。個人の家の中では、正式の雇用関係に適用されうる労働基準は当てはまりません。結果として、子ども家事使用人は法的には保護されないままなのです。

ハイチ

子どもの家事労働は、ハイチ社会の文化的・伝統的構造に広がり深く根付いた現象であり、地方と都会の住民の関係の重要な一要素です。土地の浸食、過耕作、不毛等の問題に人口の多さが加わることで地方がどんどん貧しくなっていっているため、貧しい家庭は子どもを家事使用人(ハイチクレオール語で”restaveks”)として働きにやることが、教育の機会と十分な食事を得られるより良い生活条件を彼らに与えてやる唯一の選択肢と考えるのです。しかし、子どもを待ち受けている現実は親が望んでいたのとは全く違うことがしばしばあります。通常、”restaveks”は家族と全然連絡を取れなくなり、権利を認められず、無給で、教育・ヘルスケアも受けられません。それどころか、これらの子どもたちは限度なく働くことを要求されます。多くの場合、子どもたちは精神的・肉体的、そして性的に虐待を受けています。よって、ハイチにおける子どもの家事労働は非常に搾取的であり「最悪の形態の児童労働」の一つと見なされます。引用される”restaveks”の数は大体250000人〜500000人の間であり、その75%が少女です。又これは児童の全人口の約10%にあたると推定されています。この数字は問題の重大さをはっきりと示すものです。

アジア

多くのアジア諸国では、子ども家事使用人は自らの家で暮らしていたとした場合よりもいい暮らしをしている、と主張されます。実際、多数の雇い主はわが子以外の子どもを家におくことは、貧しい家庭を助ける慈善と考えています。ネパール8・インドネシア9 においては、雇い主、一般市民の両方からよせられた意見は、ほとんどの人が、家事使用人として働く子どもの業務は危険とも搾取的とも思っていないことを示しています。しかし、子どもの家事労働一般及び個々のケースの詳細についてより綿密に検討した結果、これらの子どもの大半が耐え難い条件の下暮らし、働いていることがはっきりと指摘されました。カトマンズでの調査のみに基づけば、53%が一切賃金を受け取っておらず、44.7%が長時間働き、79%が夜間労働をしています10。子どもの家事労働には奴隷に近い実質上の特徴が多々あり、それらの特徴により子どもの家事労働は最悪の形態の児童労働の一つ11と見なされます。これらの特徴の一つである監禁は、子どもの健全な情緒的・社会的発達を遅らせ、多大な情緒的・肉体的ストレスを与えます。子ども家事使用人の雇い主には、自分が仕事に出る時子どもを家に閉じ込め、たとえ非常事態が起こっても逃げることも外部と連絡を取ることも出来ない状態で家又はアパートに一日中子どもを留め置いたままにする者もいます12

 

子どもに仕える子どもたち

バングラデシュにおいて80人のフルタイムで住み込みの家事使用人(71人が少女、9人が少年)を対象として行われた調査によれば、子ども家事使用人の普段の扱われ方はその家庭にいる他の子どもに影響する、とされています。幼い「主人」は自分の世話をしている家事使用人に、たとえ自分が彼らよりかなり年下の場合でも命令することがしばしばあります。これは、バングラデシュ社会(そしてアジアのほとんど)に通常存在する年長者への敬意とは対照的です。又、これは裕福な子どもたちの優越感と特権を強めることにもなります。

 

アジアにおける子どもの家事労働に関する基礎的事実13

・ インドネシアでは、推定688132人の家事使用人が18才未満です14
・ フィリピンでは、約29000人の家事使用人が10才〜14才です。これは、全国766000人の家事使用人の4%に当たります。この中で最大の年令区分(36%)は15才〜19才です。
・ カンボジアでは、NGOの報告によると18才未満の子どもがおよそ4000人、家事使用人としてプノンペン市で働いており、そのほとんどが少女です15。(国家統計局は現在、プノンペン市における子ども家事使用人についてベースライン調査を行っており、2003年12月に結果が発表される予定です。)
・ ネパールでは。約62000人の家事使用人が14才未満です。
・ バングラデシュのダッカでは、300000人もの子どもが家事労働に従事しています。
・ スリランカでは、推定100000人の子どもが家事労働や料理の仕出しに雇われています。

 

 

子どもの家事労働に取り組むためのILO-IPECの行動

英語圏アフリカ(東アフリカ)

子ども家事使用人へのILO-IPECの支援の歴史はタンザニアとケニアにおける国別計画の一部としてしばらく前に始まりましましたが、より最近になり、子ども家事使用人プログラムはウガンダ・ザンビアまで拡大されました。このプログラムは、危険性の高い子どもが家事使用人となることの防止、既に搾取的状況の下で働いている子どもをやめさせてリハビリを受けさせること、正規・非正規教育、職業訓練などの他の選択肢を与えることを意図しています。加えて、このプログラムは子ども家事使用人に関する適切な政策の進展を支援し、訓練、情報の共有、ネットワーク作りを通して、子ども家事使用人の撤廃に取り組む活動を維持するパートナー機関の能力強化をめざしています。


エチオピア・南アフリカでSIMPOC緊急報告が行われました。

タンザニア―期限付きプログラム(TBP)

2001年4月、首相府により開催されたTBPに関する国家円卓会議は、以下の5分野(商業的性的搾取、鉱山業、商業的農業、都市の非公式部門、家事)と関連した最悪の形態の児童労働を撤廃する、という決定に帰着しました。当プログラムは、介入、進行・計画中の関連活動との連携・協力、IPECが比較的優位な地域での直接的な格差縮小により、最悪の形態の児童労働撤廃が可能となる環境を作り出すことを促進するものです。全体的なゴール、つまり2010年までの上記分野における最悪の形態の児童労働全面撤廃、に到達するには、国内・国際的な開発パートナーとの幅広く効果的な協調が必要です。従ってTBPは、最悪の形態の児童労働撤廃のための戦略計画枠組(SPF)の策定・実施に寄与するものです。SPFは、効果的なパートナーシップ構築を促進する活動の土台の役割を果たします。同時に、子ども家事使用人のために活動している機関の能力を強化し、国内の優良事例を再現するためにTBPは選ばれた地区での優先的対象グループに直接支援を提供することも目指しています。後者の目的のために、『優良事例とタンザニアにおける子どもの家事労働に取り組む行動のためのガイドライン』が作成されました。

 

フランス語圏アフリカ
1998年以来、子どもの家事労働に特に焦点を合わせた約20の行動計画がこの地域で実施されました。子どもの家事労働撤廃に寄与するよう計画された戦略には3つの要素があります。すなわち、第一に予防(これは各家庭単位で収入を増やすための農村開発プランの一部であり、農村地域での就学支援、意識向上、子ども家事使用人の団体をつくることを通した彼らの権利促進があります)、第二に保護(子ども家事使用人のためのデイケアセンターの設立)、第三に子どもに家事労働をやめさせること(これには、本来の家族、就学、生計を立てる他の手段への再統合処置が伴います)です。より融合的なプログラム、つまり子ども家事使用人の問題の根本原因と現実の両方に働きかけるもの、がセネガルで実施されました。例えば、ILO/IPEC(ダカール・ファティック・カオラックにおける教育を通じた少女使用人の防止と保護:1999年10月〜2000年10月)の支援によりエマニュエル・センターというNGOが展開したプログラムは、家事使用人になる可能性のある子どもとその親に対する他の選択肢の提供により地方農村における子どもの家事労働を防止することに焦点を合わせました。これらの選択肢は、クレジット機関、コミュニティの穀物貯蔵庫(緊急用)や製粉施設を設置した女性団体が設立されたこと、それに危険性の高い子どもへのスポンサー制度に基づく学校教育・職業訓練により支援されています。同時に、子どもの家事労働とその隠れた危険に関する意識向上などの、もっと伝統的な種類の予防手段が農村で行われました。保護については、都市にいる子ども家事使用人は法的/社会的援助と非正規教育により支援されています。

 

中米
2001年9月、コスタリカ・ドミニカ共和国・グアテマラ・ホンジュラス・ニカラグア・パナマにおいて、ILO-IPECは最悪の形態の児童労働予防・撤廃プログラムの第一段階を開始しました。このプログラムの目的は3つあります。第一に、上記の国において行われる調査を通して子ども家事使用人に関する知識ベースを増加させ、その調査において発見された子ども家事使用人に対し支援を提供すること、第二に、子どもの家事労働の持つ危険について意識を向上させること、第三に、国内・小地域レベルで子どもの家事労働に取り組むための包括的戦略を計画することです。このプログラムを通し、8つの調査が行われ、約1600人の子ども家事使用人のプロフィールがデータベースに記録され、540人の子ども家事使用人とその家族が直接的な援助を受けました。2002年6月、第二段階に入った当プログラムは、子ども家事使用人のニーズに適切に対応するための制度能力強化、訓練・意識向上を通した予防手段の改善、グアテマラ・ニカラグアにおける2つの試験的な直接介入プログラムの実施を目指しています。

エルサルバドルにおいてSIMPOC緊急報告が行われました。

 

三者セミナー―中米

2002年4月、コスタリカのサン=ホセにおいて中米・ドミニカ共和国における最悪の形態の児童労働防止・撤廃戦略に関する小地域三者セミナーが開催されました。セミナーにおいては、中米・ドミニカ共和国の8ヶ国からの65人の参加者により何千人もの子どもが関わる搾取・危険の状況が述べられ、子どもの家事労働はこの小地域の深刻な問題であるとの認識がなされました。彼らは子どもの家事労働の規模と特徴、並びにこれに取り組むための戦略を認識・分析しました。更に、子どもの家事労働防止・撤廃のための戦略を支持するとの約束が、市民団体のみならず政府、雇用者団体、労働者団体により再確認されました。

 

南米
2001年3月、ILO-IPECはブラジル・コロンビア・パラグアイ、ペルーの南米4ヶ国における子どもの家事労働防止・撤廃のための3ヶ年計画に乗り出しました。計画の目標は、以下の手段により子どもの家事労働の防止・撤廃に寄与することです。すなわち、プログラムによる介入を計画するために関連データ・情報を利用可能にすること、子ども家事使用人に関係する国内法令の改善及び、彼らの権利保護を保証するため当該法令の実効的な実施を促進すること、地域・全国の両レベルで問題に対処するために公的・私的機関の能力を強化すること、子ども家事使用人のために始められた努力を持続するための地域的資源の動員、搾取的労働状況から子ども家事使用人を退かせること、そして彼らに教育の機会と補足的な支援サービスを与えること及び彼らの家族の経済力強化支援です。

ハイチ
2000年初めより、ILO-IPECは子ども家事使用人撤廃に取り組むための2ヶ年計画に着手しています。プログラムの目的は以下のものがあります。第一に、ハイチにおける子どもの家事労働の防止・漸進的撤廃に向けた行動をとるための政府の能力向上、第二に、元子ども家事使用人のリハビリ、第三に、児童労働一般及びとりわけ子どもの家事労働の性質と危険についての意識向上、第四に、子どもの家事労働問題に取り組むために市民社会が持つ現在のキャパシティの分析、最後に150人の元子ども家事使用人と児童労働が起きやすいコミュニティに住む1800人の子どもへの、防止を目的とした支援サービスの提供です。

アジア
フィリピンはアジアにおける(子ども)家事使用人に関する問題に対処することでは最前線にあります。フィリピンにおける7年間の経験にもとづき、ILO-IPECは子ども家事使用人への支援を増加し、彼らの搾取に反対する運動を各国協調して行うようアジア太平洋諸国を結集させました。子ども家事使用人の搾取に取り組む地域間計画の一部として、2002年2月にカンボジアとスリランカで国別計画が開始されました。この計画は、意識向上、危険性の高い子どもが家事労働に従事することの防止、搾取的条件の下働いている子どもに労働をやめさせリハビリを受けさせること、正規・非正規教育や職業訓練など他の選択肢の提供を意図しています。加えて、子ども家事使用人に関する適切な政策の進展を支援し、訓練、情報の共有、ネットワーク作りを通して、パートナー機関が子ども家事使用人の搾取に取り組む活動を維持するための能力を強化しています。また、パキスタン・インドネシア・ネパールでも、子どもの家事労働の問題が国全体の活動計画に組み込まれています。
SIMPOC緊急報告がタイ・ネパール・スリランカにおいて行われました。


フィリピン―期限付きプログラム(TBP)

広範な協議プロセスの後、家事労働はTBPの対象国における7つの優先的対象グループの一つ(その他は売春、鉱山業、石切り、花火製造、農業、深海での漁業)と見なされることになりました。TBP は、上層部からの動員、政策関与、広範囲の協議、家事労働撤廃を可能にする環境(マクロレベル)と直接的行動(ミクロレベル)両方の強化に焦点を合わせた調査・分析を含む段階別アプローチにより実施されます。マクロレベルにおいては、TBPは技術支援を提供することで政策・法制整備を促進し子ども家事使用人の権利の保護・促進のための意識向上、及び彼らのためのサービスの制度化を促します。とりわけ、TBPは子ども家事使用人を登録する全国的制度の設立、Batas Kasambahay16の施行、家事使用人の給料の標準化を支援しています。ミクロレベルでは、子ども家事使用人・家族・コミュニティに対する集中的・統合的活動により子どもの家事労働の発生率を下げることを目標としています。これらの活動には防止、撤退、治療、再統合、教育へのアクセス、コミュニティの安全網、他の経済的機械、社会的動員が含まれます。

 

三者会議―アジア太平洋地域

子どもの家事労働撲滅運動に関するILO・日本・韓国三者会議が2002年10月、タイのチェンマイで開かれました。会議において、アジア太平洋地域16ヶ国からの47人の参加者が、採択された「アジア太平洋地域における子どもの家事労働撲滅のためのフォローアップ行動枠組」の中で各国はそれぞれ自国の状況に合わせたアプローチを採ることに合意しました。この枠組は子どもの家事労働における危険・搾取の要素を明示し、政府、雇用者、労働者それぞれ特定の役割と貢献を伴う実際的な戦略と介入を提案しています。

 

2003年10月13日〜17日にマニラで開催された「子ども家事使用人のための持続的提言に向けた東南アジアキャパシティー構築」と題されたトレーニング・ワークショップも、ILO-IPECの支援を受けたイニシアチブの一つです。当ワークショップは、ビサヤン・フォーラム財団、アンチ・スレーバリー・インターナショナル、児童労働に反対するグローバル・マーチにより計画されたもので、東南アジアにおける子どもの家事労働問題について2003年10月13日〜17日にマニラで開催された「子ども家事使用人のための持続的提言に向けた東南アジアキャパシティー構築」と題されたトレーニング・ワークショップも、ILO-IPECの支援を受けたイニシアチブの一つです。当ワークショップは、ビサヤン・フォーラム財団、アンチ・スレーバリー・インターナショナル、児童労働に反対するグローバル・マーチにより計画されたもので、東南アジアにおける子どもの家事労働問題について具体的な政策変更を行うよう政策決定者や重要なアクターを導くことを目的としていました。8ヶ国(フィリピン、インドネシア、タイ、カンボジア、ラオス、ベトナム、モンゴル、中国)からの35人の参加者が参加しました。

このワークショップは、子どもの家事労働撲滅運動に関するILO・日本・韓国三者会議及び行動枠組を補完するものです。このマニラでのトレーニング・ワークショップを通じて、公的・私的提言、法案・政策提言、教育アジェンダ、子ども家事使用人の搾取に反対する行動への積極的支援、等の分野において参加者には国内・地域的プランを提供することが期待されました。

1 ILO「児童労働のない未来」2002年、p.?
2 ILO-IPEC「売春させられる子どもたち:緊急報告−タンザニア」、2002年。
3 「セネガルにおける児童労働」、1993年にILOとUNICEFの支援の下行われた調査。
4 ベナンにおいて、雇い主の監督下におかれた子どもは”vidomegon”と呼ばれています。
5 「ベナンの児童労働に関する調査」、これは1994年1月に社会保護局とUNICEFにより行われた調査です。
6 Rodolfo Pisoni・Daniel Vartanian「ILO-IPEC地域総合、中米・ドミニカ共和国における子どもの家事労働」サン=ホセ、2002年。
7 セーブ・ザ・チルドレン「第三者の家庭で働く少女たちの状況」、1999年9月。
8 Shiva Sharma・ILO-IPEC 「ネパールのカトマンズにおける子ども家事使用人の状況:緊急報告」2001年11月、p.3。
9 Jonathan Blagbrough(アンチ・スレーバリー・インターナショナル)「インドネシアにおける子どもの家事労働:状況の予備的考察」ロンドン、1995年、p.20。
10 Shiva Sharma他、p.26。
11 「子どもの家事労働の存在する世界」の章を参照。
12 UNICEF「イノチェンティ・ダイジェスト5:子どもの家事労働」フィレンツェ、1999年
13 「イノチェンティ・ダイジェスト5」p.3。
14 インドネシア大学/ILO-IPEC「東ジャカルタとベカシの地方自治体における子ども家事使用人に関するベースライン調査」2002/2003年。
15 プノンペンの子ども家事使用人に関するVCAO(傷つきやすい子どもへの援助組織)の報告、1999年。
16 家事手伝いのためのマグナカルタ(Batas Kasambahay)は上院・下院両方で提案された法案であり、大人・子ども同様に家事使用人としての保護を保障する画期的法律です。
   
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最終更新日:2005年7月7日 作成者:NT/ACC 責任者:KO