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産業別の実態と取り組み <家事使用人>
家事使用人として働かされる子どもたち | 見過ごされている子どもたち | ハイチの子ども家事使用人 | フィリピンとタンザニア | 世界中で子どもの家事労働を撤廃するための行動
 見過ごされている子どもたち 
6月12日 この日は児童労働反対世界デーです。世界中の多数の若者が、働かされる生活しか知らない数百万人の子どもたちとの連帯を求めて集まります。

児童労働は、社会で最も弱い存在である<子ども>を搾取することです。ILOの最近の推計によれば、今日、世界で、5才から17才の子ども2億4600万人が働いています。このうち、1億人以上の子どもは学校へ通わず、遊ぶ時間もありません。世界中で何百万人もの子どもたちが、自らの可能性の限り羽ばたくことを阻まれています。

教育を受けている若者は、社会正義の問題に対する意識を高める上で重要な役割を担っています。彼らが知識を身につけ、同じ年代の若者を結集することで、自分たちのコミュニティに社会変化をもたらす影響力を及ぼします。教師や教育者は、若者が情報にアクセスしたり、このような問題について調査する際の指導をすることによって、中心的な役割を果たします。

このページは、先生と生徒が児童労働撤廃のための世界規模の運動に参加する機会を提供するものです。ここに載っている情報とアイデアを土台にして、あなたが短い授業をしてくれることを期待しています。その中で、教師たるあなたが生徒に対して児童労働の問題について紹介し、さらに、その後の活動と話し合いを通じて、世界中で児童労働にとらわれている数百万人もの子どもたちの人生を変えるプロセスを始めることにられることが出来るでしょう。

 

児童労働とは?

経済活動と同じく、児童労働の形態は様々です。うるさく危険な工場で長時間骨折って働く子どももいれば、畑で日の出から暗くなるまで働く子どももいます。売られて性産業に従事させられることもあれば、決して払い終えない借金を返すために債務奴隷として働くこともあります。労働の結果として、ひどく怪我をしたり、身体的に障害を負ったり、時には大人になる前に死んでしまうこともあります。そうではない場合も、耐えてきたことの心の傷はその後ずっとつきまといます。

ILOのGianotti E.が撮影した写真です。1999年にペルーのフアチパで撮影されたもので、灌漑用水路に水を供給する少女が写っています。
 

 

見過ごされている子どもたち

恐らく、今日の世界において働かされている子ども達の中で最も弱い立場にいるのは、最も見過ごされている者たちでしょう。それは、人目につかないところで仕事をしている子ども達です。個人の自宅で働くため、彼らは教育も余り受けられず遊ぶ時間もありません。賃金はわずかか無給で法の下の権利や保護もほとんど受けられず、彼らは非常に弱い立場にあり、しかもほとんど気が付かれないのです。今年の児童労働反対世界デーは、子ども家事使用人のひどい状態にスポットライトをあてるために捧げられます。


 ハイチから:Jeanの場合

Jeanは12才ですが、もっとずっと幼く見えます。彼は、北部、カップ・ハイティエン市の近くの出身です。両親は生きていると思っていますが、何年も連絡を取っていません。2、3年前、Jeanの村に見知らぬ女性が来て彼を自分のrestavek child(家事使用人)として選びました。彼女はJean一人をポルトー・プランスヘ連れて行きました。彼女はしょっちゅうJeanを叩いたため、Jeanは怯え、だまされたと感じるようになりました。結局、彼女はJeanを首にし、家を去って田舎の自分の家へ帰るよう告げました。Jeanは自分の家へ帰る方法がなく、正確にはどこにあるのかさえ分かっていませんでした。Jeanはしばらくポルトー・プランスの路上で暮らしました。そのうち同い年位の少年と仲良くなり、少年の母がJeanを自分の家においてくれることになりました。Jeanは今5人の子どもがいる家で働いており、学校には行っていません(その家の子ども達は学校に通っています)。しかし、Jeanには遊ぶ時間もあり、十分な食事ももらえて叩かれることもありません。それでも、Jeanはもし方法がわかれば本当の家族の所に帰りたいと言っています。自分が帰りたいと思っていることを両親が知ったら助けてくれると思うか、と聞かれるとJeanは泣き出しました。

Restavek: child domestic labour in Haiti,(Minneapolis, Minnesota Layers International Human Rights Committee, 1990), pp.12-13.

 

 

子ども家事使用人とは?

世界のどんな国でも、家庭において、たいてい子どもは手伝いをします。単純な仕事のやり方や基本的な技術を覚えることが出来るので、これは良い経験になります。このようにして子ども達は家族の役に立っていると感じ、そのような貢献はたいてい奨励され評価されます。これは、「子どもの家事労働」ではありません。

子どもの家事労働は、子どもが自分の家ではなく第三者又は「雇い主」の家で搾取的な条件の下家事をしている状況を指します。子ども家事使用人は閉ざされたドアの向こう、つまり個人の家庭というプライバシーの中で働いています。人目につかないことはこの問題の大きさを偽るのみならず、搾取と虐待の可能性を大いに増すものです。

しかし、世界の多くの国で女中、子守り、コック、庭師、掃除人として働いている子どもは日々の生活における公認の事実です。現在の調査によれば、世界中で16才未満の少女はどの他の形態の労働よりも家事に従事することが多くなっています。

 エチオピアの少女

この少女は10才です。8才の時両親が死んだ後、住み込みの女中として働くためおばにアジス・アベバへ連れてこられました。彼女を養うことが出来ないおばに、少女は雇い主の家族と住んで、食べ物、服、通学の代わりに4才の子どもの世話をしさえすればいい、とブローカーは約束したので、おばは喜んで彼女を引き渡しました。現実は全く違いました。少女を雇った7人家族は、少女に他の子ども達と遊ぶことを許しませんでした。一人で外出することは禁止され、つまりは閉じ込められていました。食べ物は、残り物だけが与えられました。「子どもは皆学校や幼稚園に行くのに、」と少女は言います。「私は学校には行けません。夜間学校に行かせてくれるよういつも奥様にお願いしてるけど、私が家にいるのは学校に行くためじゃなく働くためだ、といつも言われます。」

A study on child domestic labour in Ethiopia, (unpublished draft), (Geneva, ILO-IPEC, 2002), p.44.

 

 

搾取の被害者

ほとんど例外なく、家事労働に従事する子ども達は搾取の被害者です。搾取はいくつかの形態をとります:
・低賃金で長時間働くことによる、経済的搾取。賃金をもらえないこともあり、休み時間をもらえないことも多いのです。
・彼らの地位は一般的には現地の法律によって認められていないので、法的保護もなく、洗浄液など有害物質を扱うといった厳しく危険な労働条件の下にあります。
・子ども家事使用人は、子どもに対し国際法で保障されている権利(遊ぶ、性的虐待・嫌がらせを受けない、家族に会う、友達と付き合う、人間らしい住居、身体的・精神的虐待を受けない等)を奪われています。

家事労働に従事する子どもは、他人の家で働くためかなり幼い時に自分の家族の元を離れることも多く、ほとんどその家族の「所有物」と見なされます。彼らは隔離されて働き、言葉による、身体的な、感情的な、そして時には性的な虐待にさらされます。彼らは教育や訓練を受けられず、従ってその長期的な未来まで損なわれてしまいます。

 ネパールのAsha

Ashaは12才で、今まで4年間雇い主の所で働いてきました。彼女の父はkamaiya(債務奴隷)としてAshaの雇い主の親戚の所で働いています。Ashaには2人の兄弟と1人の姉妹がいますが、ほとんど会いません。彼女の仕事は朝5時に家をほうきで掃いて拭くことに始まり、夜10時の皿洗いで終わります。Ashaは字が読めませんが、彼女の仕事を分担する者がいないので学校に行かせてもらえそうにありません。Ashaは自分の賃金の額を知らず、村の両親が彼らの雇い主である地主から受け取っていると思っています。実際の所、kamaiyaの仕組みによれば、Ashaの給料はおそらく地主への父親の借金の支払いに当てられているでしょう。

Situation of Child Domestic Labourers in Kathmandu: A rapid assessment, (Kathmandu, ILO, 2001), p.13.

 

 

子ども家事使用人の数

子ども家事使用人の数の推計は、国により異なります。下図の数値は現地の調査に基づいており、おそらく実際より低く見積もっています。たとえそうだとしても、これらはひどい事態です。

 
バングラデシュ
300,000人
ブラジル
559,000人
ハイチ
250,000人
ネパール
43,000人
ケニア
200,000人
スリランカ
100,000人
インドネシア
700,000人
※ヨーロッパと北米については家事労働に従事している子どもの数を示す統計はまだ出ていません。
 

 

何が出来るのか?

児童労働撤廃国際計画(IPEC)を通して、国際労働機関(ILO)は児童労働を過去のものにするための世界的な努力の先頭に立っています。

子どもの家事労働の根本原因は数多く複雑なため、この問題は2つの側面から取り組む必要があります。政治運動の世界は、児童労働の減少・撤廃に関する国際規約の批准・実施を通して重要な役割を果たします。社会的レベルでは、現場での実践的なプログラムにより働く子どもたちを直接助けることが出来、同時に意識向上キャンペーンは社会の重要な部門を結集させることが出来ます。

学生と若者は社会において重要なグループであり、彼らの積極的な関与が児童労働撤廃のための国際的努力の中心となります。このページの情報を共有することは、このプロセスの始まりです。あなたの生徒をこのページに載っている活動に一つでも、又は全てに参加させることは、生徒たちを子どもの児童労働の存在する世界に入り、彼らの窮状により深く関わることの手助けになるのです。生徒の幾人かは、このページの最後に記載されているホームページや連絡先を通じて児童労働に関する情報をもっと探してみようと思うかも知れません。そこで、彼らは児童労働を撲滅する世界的な努力により積極的に関わる方法を学ぶことが出来ます。そうすることによって、彼らはこれらの隠された生活を明るみに出し全世界の「見過ごされている子ども達」の苦しみを和らげる助けとなるのです。


関係機関

・国際労働機関(ILO)は、社会正義と国際的に認められた人権と労働の権利の促進を目指す国連の機関のひとつです。国連システム内では、ILOは、政府の対等なパートナーとして労働者と使用者が参加するというユニークな三者構成を取っています。(http://www.ilo.org)

・ILOの児童労働撤廃国際計画(IPEC)は、児童労働に関する世界最大の技術協力プログラムです。目標は、最悪の形態の児童労働を緊急の優先課題としつつ、世界中で児童労働の漸進的撤廃を行うことです。
(http://www.ilo.org/public/english/standards/ipec/index.htm)
ILO-IPEC, 4 Route des Morillons, CH-1211 Geneva 22, Switzerland, e-mail: ipec@ilo.org


・Education International(EI)は教職員の世界的な労働組合であり、2600万人の組合員は幼稚園から大学に至るまで全ての教育セクターの、159の国・地域における310の労組、連合を代表しています。児童労働撤廃に関するEIの業務は、当団体の人権キャンペーンの一部です。(http://www.ei-ie.org)
Education International, 5 Boulevard du Roi Albert ?, B-1210 Brussels, Belgium,
e-mail: headoffice@ei-ie.org


追加的な情報・教育のリソース

・ 「お手伝いか拘束された生活か?子どもの家事労働とその対応の理解」
ILO-IPECのスタッフの技術指導、アドバイスによりJune Kane博士により執筆された新しい報告。2004年6月12日現在、http://www.ilo.org/childlabour
より全文ダウンロード可能。

・ 2004年6月12日児童労働反対世界デー
2004年児童労働反対世界デーに関するIPECのホームページが、子どもの家事労働をめぐる問題につき、より詳しい情報を提供している。http://www.ilo.org/childlabour

・ SCREAM 児童労働禁止のための教育用パック
教育、アート、メディアを通じた子どもの権利支援。ILO-IPEC 2002。
コミュニティを基礎とした教育・社会的動員プログラムは、様々な年令の子どもと行う活動を教師・教育者に提供する。詳細及び教育モジュールは、http://www.ilo.org/scream

・ 児童労働に関するILO-IPEC Fact Sheet
児童労働問題に関する一連の詳細なFact Sheet。
http://www.ilo.org/public/english/standards/ipec/about/factsheet/index.htm

 

 

   
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最終更新日:2005年7月7日 作成者:NT/ACC 責任者:KO