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ILO駐日事務所メールマガジン・トピック解説

(2009年6月30日付第85号)

◆ ◇ 仕事に関する世界協定 ◇ ◆
◆ ◇ (Global Jobs Pact) ◇ ◆

 2008年第4四半期から2009年第1四半期にかけて、世界中で投資、消費、生産高、貿易量が同調して急落し、非常に多くの国で多数の失業者が発生しました。米国の住宅市場の悪化に伴って始まった金融危機は今や世界的な崩壊に拡大し、数兆ドルの金融資産を洗い流し、実体経済を長期的な景気後退の深刻な危機にさらし、1929年の大恐慌に次ぐ世界経済危機となって多大な仕事の消滅を引き起こし、社会の困窮が広がっています。

 経済には薄日が差していますが、景気回復が今年または来年軌道に乗ったとしても、世界的な仕事の危機は今後6〜8年は続くとILOでは推定しています。2009年6月に開かれた第98回ILO総会では、世界が協調してこの危機に取り組む際の指針となるよう、仕事の危機の解決に向けた処方箋を示す「Global Jobs Pact(正式訳がまだ決定されていないため、以下「仕事に関する世界協定」と仮訳)」が採択されました。

 本稿ではまず、世界的な仕事の危機に至った背景と現状を記し、仕事に関する世界協定のアイデアが誕生した経緯と国際社会から示された支持を紹介した後、総会で採択された国際協定の内容を概説します。

失業率・失業者数の推計と予測
  2007年2008年 2009年
シナリオ1 シナリオ2 シナリオ3
失業率(%)
世界 5.7 5.9 6.5 6.8 7.4
EU・先進国 5.7 6.1 7.7 7.8 9.0
男性失業率(%)
世界 5.5 5.7 6.1 6.5 7.0
EU・先進国 5.5 6.0 7.0 7.9 7.9
女性失業率(%)
世界 6.0 6.2 6.5 7.0 7.4
EU・先進国 6.0 6.1 7.0 7.7 7.8
15〜24歳失業率(%)
世界 11.9 12.2 13.0 14.1 15.1
EU・先進国 12.2 13.1 16.0 16.7 18.7
25歳以上失業率(%)
世界 4.2 4.4 4.9 5.0 5.6
EU・先進国 4.8 5.0 6.5 6.6 7.6
失業者数(100万人)
世界 180.2 188.6 209.6 219.6 239
EU・先進国 29 30.9 39.7 40.3 46.4
男性失業者数(100万人)
世界 103.9 108.4 118 125 134
EU・先進国 15 18 19 22 22
女性失業者数(100万人)
世界 76.3 80.2 86 92 97
EU・先進国 14 15 16 18 18
15〜24歳失業者数(100万人)
世界 72.5 75.2 80.2 86.8 93.0
EU・先進国 8.0 8.5 10.4 10.8 12.1
25歳以上失業者数(100万人)
世界 107.7 113.4 129.4 132.7 146.1
EU・先進国 21.0 22.3 29.3 29.4 34.2
注:「Global employment trends」最新版の数値を組み合わせて作成。
2008年は暫定値。各種経済成長予測数値に対する失業弾性値などを用いた三つの
シナリオをもとに2009年の伸びを予測。三つのシナリオの詳細については「Global
employment trends - January 2009」、「Global employment trends for women -
March 2009」、「Global employment trends - May 2009」参照。

I.危機の原因と波及の仕組み

 今日の危機をもたらしたものは不適切な金融規制、一部金融仲介業者が取ってきた過度にリスクを冒す行動、銀行管理職やトレーダーの非効率的な報酬慣行の組み合わせであるとされています。しかし、危機の中心にはこういった金融要素と世界的不均衡の相互作用があります。

 90年代初頭から中・東欧の一部諸国などいくつかの国が輸出指向型成長戦略に走り、その他の国では貯蓄が不十分であるといったことを一因として、貯蓄と投資の国際的な不均衡が拡大してきました。為替相場の調整が欠けていたこともこれに寄与しました。国内でも同じ頃から所得格差が相当に拡大してきました。いくつかの国において大多数の労働者の賃金と収入の伸びが押さえられ、ほとんどの国で税の累進性を和らげる課税政策が採用され、それに見合った所得再配分を導く福祉政策は一般に取られませんでした。所得格差が拡大したすべての国で過度の負債を抱える世帯の割合が上昇しました。これらは過度の負債の累積を許し、実体経済への長期投資よりも短期収益に焦点を当てた金融慣行に対する規制が緩かったことによって可能になりました。金融市場は端的に言って、労働市場の安定性と持続可能な企業を損なう形で運営される傾向がありました。

1.金融危機から世界的な経済危機へ

 こうして先進国の金融市場で始まった金融危機は、次に三つの経路をたどって実体経済に波及し、先進国の外に広がっていきました。危機は第1に不良資産の証券化プロセスを経由して、金融システム内を伝わっていきました。不良資産の影響を直接受けた一部の銀行は破綻し、銀行間取引にも影響が出、ついにはいわゆる貸し渋り状態が生じ、企業の資金調達が困難になりました。第2は信頼性で、景気の先行きに不安を感じた消費者や投資家が支出を先延ばしするようになった結果、企業の経営展望に影響が生じ、雇用喪失につながり、それがさらに不安感をあおるといった悪循環を発生させています。3番目に、国家間のつながりを通じて危機は世界的に広がりつつあり、金融システムが比較的健全な国でも今では影響を受けています。

 過去3年間、年平均7.8%で伸びてきた世界貿易は2009年にマイナス9%に転じると予想され、これはアジアや中南米の輸出主導型経済に深刻な影響を与えると考えられます。景気後退は原油その他の一次産品を中心とした貿易価格の急落をもたらし、メキシコや中東諸国、南アフリカなどの生産国では輸出収入が急落しました。外国直接投資やその他の民間資本の動きにも影響があり、特に新興経済諸国向けの民間資本の流れは2007年の9,290億ドルから2009年には82%減という前代未聞の下落幅を示し、1,650億ドルに減少するものと予測されています。さらに、海外出稼ぎ労働者が母国に送る仕送り額は世界20カ国以上で国内総生産(GDP)の10%超に達していますが、数十年ぶりにこの額の減少が予想され、世界中の世帯の経済的な安全保障に影響を与えるものと思われます。

II.そして消滅する仕事

 2008年に失業者数は世界全体で1,400万人増え、現状ではさらなる深刻化の方向にあります。2008年1月から2009年1月までの1年間で、経済協力開発機構(OECD)加盟諸国の失業者数は700万人を上回りました。米国では、2008年7月から2009年2月の間に540万人が仕事を失い、2009年3月に失業率は8.5%に達しましたが、非自発的なパートタイム労働者を加えると14%を超えると言われています。スペインでは2009年第1四半期に76万6,000人の失業者が発生し、失業率は17.4%に急上昇し、これは400万人超の失業者に相当します。2008年第1四半期に4.9%であったアイルランドの失業率は2009年2月に10%となり、スウェーデンやトルコでも失業者は急増し、韓国では2008年6月から2009年2月の間に120万人、ロシアでは2008年5月から2009年1月までの間に200万人、失業者数がそれぞれ増えています。日本でも失業率は連続して上昇しており、4月の完全失業率は前月比0.2ポイント上昇の5.0%となり、完全失業者数は346万人と、ほとんどのOECD諸国で同じ傾向が見られます。

 途上国でも主として公式の輸出指向型産業において雇用喪失が発生しており、その結果、農業を含む非公式のインフォーマル経済で働く人々の数が増え、低収入職従事者間での競争が熾烈化すると予想されます。例えば、南アフリカでは鉱業、製造業、金融業で働いていた3万9,000人が職を失い、合計失業率の伸びは2008年第4四半期に前期比0.3%増とわずかに上昇しただけですが、職探しをあきらめた人の数は前期比9.1%増の100万人以上に達しています。中国でも2,000万人の労働者が輸出産業が立地する沿岸部から西部農村地帯に移動したと推計されています。インド、パキスタン、フィリピン、エクアドル、エルサルバドル、東欧諸国といった労働者の送出国は数千人の出稼ぎ労働者の帰還による大きな影響を受けており、2008年に平均7.5%であった中南米の失業率は2009年第1四半期に8.5%に上昇しています。

 危機が与える影響は産業や経済部門によって異なり、最初に影響を受けたのは、輸出産業、製造業、建設業でした。米国では2008年12月に就業者数が前年比2.2%減(310万人)を示しましたが、この92%以上が製造業、専門サービス・対事業所サービス、建設業、小売業で発生したとされています。同じような傾向は他の国でも見られます。

 雇用喪失は企業の製品やサービスに対する需要の低下に続いて起こりますが、世界中どこの地域でも倒産件数が増加しており、国際通貨基金(IMF)は、2008年9月以降、金融部門以外の企業の業績が世界中で急速に悪化しており、世界的な景気後退が進む中、状況はさらに悪くなると推測しています。

1.高い失業・貧困水準

世界全体の働く貧困層の推計と予測
  2007年 2008年 2009年
シナリオ1 シナリオ2 シナリオ3 シナリオ1 シナリオ2 シナリオ3
働く貧困層(1日1人当たり1.25ドル未満、単位:100万人)
世界 624 610 673 743 611 746 857
働く貧困層(1日1人当たり2ドル未満、単位:100万人)
世界 1215 1207 1264 1315 1216 1326 1422
注:「Global employment trends - May 2009」より。貧困線の周縁にあるどの程度までが
貧困線を下回ることになるかの違いをもとにした三つのシナリオをもとに2008、2009年の
伸びを予測。三つのシナリオの詳細については「Global employment trends - January
2009」、「Global employment trends - May 2009」参照。

 ILOは2009年1月に発表した年次刊行物「Global employment trends(世界の雇用情勢)」2009年版の中で、三つのシナリオを用いて、経済危機の結果としての失業者数と働く貧困層(ワーキング・プア)の増大幅を予測しました。最新の状況をもとに、その後5月に出された改訂版では、2009年の失業者数は2007年より3,900万〜5,900万人(前回の予測では2,400万〜5,200万人)増え、世界全体で2億1,000万〜2億3,900万人、失業率は6.5〜7.4%に達するとされています。働く貧困層については、2009年に1日1人当たり2ドルの貧困線を下回る暮らしに陥るリスクがある労働者は世界全体で2007年より2億人増えると予測されます。危機の影響は若者に激しく、2008年に約12%と推定される若者の失業率は2009年に14〜15%台に上昇し、失業者数は前年より1,100万〜1,700万人増えると予測されます。

 地域別では、世界の労働力の16%未満を抱えるに過ぎない先進経済諸国と欧州連合(EU)で世界の失業者数の伸びの35〜40%を占めると予想され、今年の雇用成長はマイナス1.3〜2.7%と見込まれます。EU加盟国以外の中・南東欧及び独立国家共同体(CIS)諸国でも今年の失業者数は最大35%増加し、雇用成長はマイナス1〜2.8%となると予想されます。東アジアでは危機の開始時点で既に合計就業者数の3分の1以上に相当する2億6,700万人が1日2ドルの貧困線以下で暮らしており、一人親方などの脆弱な就業者が失業者の約12倍に達しています。東南アジア・太平洋では輸出産業が深刻な打撃を受けたものの失業者数の増加は比較的緩やかと予想され、脆弱な就業形態が多い南アジアでは失業率は5%近いとされるものの、1日2ドル未満で暮らす労働者の数は2007年より最大5,800万人増えると予想されます。2007年に7.1%を記録した中南米の失業率は2009年に8.4〜9.2%に達し、2007年比で見た失業者数の増加は中東では最大25%、北アフリカでは最大13%に達し、どちらの地域でも脆弱な就業者が増大すると予測されています。既に労働力の73%が脆弱な就業形態にあると推計されるサハラ以南アフリカでは、この数値が今年は77%を突破する見込みです。

 OECDは2009年3月に2010年第4四半期のOECD諸国の平均失業率を二桁台の10.1%とする予測を出しています。危機の影響を真っ先に受けるのは臨時雇いその他の非標準的な雇用形態にある労働者、そして全く契約を結ばずに働いている人々です。世界経済の4分の3に相当する国で1人当たり所得の減少が予測され、世界銀行は、2009年だけでも危機の結果として1日1人当たり1.25ドル未満で暮らす貧困人口に新たに5,300万人が加わり、貧困削減に向けた世界の取り組みが大きく後退する危険性を指摘しています。

2.仕事不足の長期化

 一方で世界の労働力人口は年平均1.6%で成長し、これは毎年約4,500万人が新たに労働力に加わることを意味します。この伸びを吸収するだけでも2009〜15年に約3億人分の新規雇用の創出が求められます。しかし、2009年の雇用創出の見通しは記録史上最悪で、2008年に1.4%に低下した雇用成長は2009年にはさらに落ち込んで0〜1%に留まることが予想されます。

 過去の金融危機の経験から、雇用は平均4〜5年景気回復に遅れて危機前の水準に回復することが示されています。2009年4月、IMFは今回の世界的な景気後退が長く激しいものとなり、ゆっくりとした回復が見込まれるとし、世界の経済成長は2010年にようやく1.9%とプラスに転じると予測しました(先進国の場合は0%)。このことから長く厳しい世界的な仕事の危機が今後6〜8年続くことが予想されます。

III.仕事の危機から社会の後退へ

 失われた仕事の一つ一つは個人のドラマであり、家族の困窮や社会の危機を意味します。失業はストレスや疾病の増大、自尊心の喪失をもたらすことが知られており、長い失業期間は技能の喪失につながります。公式のフォーマル部門で働いていた技能労働者がインフォーマルな当座しのぎの活動に移り、より制約的な労働条件にさらされている状況もあります。

 大規模な人員削減、新規求職者の就職機会の縮小、インフォーマル経済における状況のさらなる悪化を通じて危機は労働者とその家族の権利を徐々に損なっていく危険があります。人員削減が移民労働者や女性、若者といった最も弱い立場にある人々を真っ先にターゲットにする差別的なものである場合、就労に関わる基本的な権利が揺さぶられます。自由な交渉の結果である労働協約がもはや尊重されず、労働者は雇用と収入の将来展望を保持するために、ようやく勝ち得た賃金水準や手当を放棄することになります。安価な代案としての闇労働や違法な児童労働、強制労働に頼る危険性が多くの国で高まっています。

 19の新興国・先進国を対象としたサンプル調査から、失業給付の受給者数が2008年5月から2009年2月の間に平均53%増大したことが示されています。しかし、社会保障制度を通じた社会的な保護を得る機会が与えられているのは世界人口の5人に1人に過ぎません。途上国や新興国の多くは基礎的な失業給付さえなく、先進国でも失業保険を受給していない失業者の割合がアメリカで59%、日本で77%に上るなど安全網が完璧であるとは言えません。

 30年ほど前から見られる私的年金の普及は引退後の収入をますます不安定にしています。2008年にOECD諸国や中南米では私的年金基金の価値が平均20%以上の減少を示しています。私的年金基金が危機前の資産価値を回復するには数年かかる可能性があり、この10年以内に引退が予定されている人々の受給資格にマイナスの影響が出ることになります。

 不公平感が増大し、社会の緊張を生んでいます。エコノミスト・インテリジェンス・ユニットが開発した政治の不安定指数によると、対象165カ国中95カ国で不安定性の高いまたは非常に高いリスクがあるとされ、既に複数の国で政治危機や大規模な抗議行動が記録されています。今回の危機前に既に存在していた高い食糧価格、所得の高い層と低い層との間の大きな収入格差、中流階級の弱体化が生じさせていた懸念に加え、働く人々の家族や地域社会に直接影響を与える仕事と社会的保護の世界的な危機は、放置すればより大きな政治危機と化す危険性をはらんでいます。

IV.産業・集団別で見た金融・経済危機の影響

 危機の影響はすべてに一様ではなく、特に影響が激しい産業部門や配慮すべき集団が存在します。

脆弱な就業形態にある人々の推計と予測
  2007年 2008年 2009年
シナリオ1 シナリオ2 シナリオ3
脆弱な就業形態にある人の数(100万人)
世界 1495.6 1488.0 1486.8 1535.6 1603.4
EU・先進国 48.3 48.2 48.0 51.7 53.7
就業者全体に占める割合(%)
世界 50.4 49.4 48.9 50.5 52.8
EU・先進国 10.1 10.1 10.2 10.9 11.4
注:「Global employment trends - May 2009」より。2008年は暫定値。
各種経済成長予測数値に対する脆弱な就業者率の弾性値などを用いた
三つのシナリオをもとに2009年の伸びを予測。三つのシナリオの詳細に
ついては「Global employment trends - January 2009」、「Global employment
trends - May 2009」参照。

1.食糧危機

 2007年から2008年前半にかけて、米、小麦、トウモロコシといった三大穀物の価格が急騰し、多くの国で財政赤字、貿易不均衡、インフレ、さらには恐慌や社会不安までを引き起こしました。2008年春の食糧価格急騰の近因の一つとして、先進国金融市場の危機を察知した投機的な資金が商品先物へ流入したことが挙げられます。金融危機が世界的な景気後退に進むにつれ、原油や肥料の価格低下などと共に2008年末頃からこの価格は下がり始めましたが、依然としてそれ以前より相当高い状態に留まっています。

 2008年の米や小麦の豊作は食糧価格危機が鎮まる期待を広めましたが、危機の終結を宣言するには時期尚早と言えます。生産物価格の低下が生産意欲の減少を招く要因となり、今後の生産高に否定的な影響を与えたり、難しい経済情勢が農業に対する投資のさらなる減少を引き起こす可能性があります。

 中国を例外として各国の景気刺激策の中で農業支援に当てられている部分はほとんどありません。世界の飢餓人口が10億人を突破する可能性も指摘されている現在、貧困層の食糧入手機会の問題に引き続き取り組んでいく必要があります。食糧危機への政策対応においては、既に不安定な貧困層の生計保護と危機前から存在していたディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)不足の状態がさらに拡大することの予防を優先させる必要があります。各国レベルでは雇用創出計画の導入または拡大、貧困層や脆弱な人々への安全網の提供、対農業投資増大に向けた支援、金融・融資を受けられる機会の提供、農業以外での雇用の促進、社会対話の推進が考えられます。国際レベルでは、政府、国際機関、援助国・機関による食用穀物の十分な流れの確保、補償財源・財政支援の提供、援助拡大、貿易政策の改革促進、雇用と社会的保護の枠組み強化に向けた支援の提供が求められます。

 ILOは3月に食糧価格危機のディーセント・ワークに対する影響について検討するワークショップをジュネーブで開き、この問題に取り組むために必要な社会、経済、雇用政策に関する国内的な審議の過程に労使の社会的パートナーを組み込む機会を探求すると共に、とりわけ雇用創出と社会的保護を通じて長期的な回復力を育む上でのディーセント・ワークの価値を食糧安全保障危機に関する国連のハイレベル・タスクフォースに伝えました。

2.金融部門

 2006年時点で、世界全体で2,000万人以上が金融部門で働いていたと推計されますが、2007年8月以降、金融危機の震源地となったこの部門では32万5,000人超の一時解雇が発表され、その4割近くが2008年10月以降に発表されています。世界経済の後退が進み、他の国々に広がっていけば、失われる雇用の数は加速する可能性があると、今年2月にILOで開かれた金融部門労働者に対する金融危機の影響に関するフォーラムに提出された報告書は記しています。

 フォーラムでは、銀行に対する信頼を回復し、金融システムに現在見られる問題を解決することが世界経済を回復軌道に乗せる第一歩とされ、金融部門で現在広がりつつある雇用逼迫に対する効果的な対応は、経済及び規制上のニーズをこの部門における雇用、労働条件、技能要件、社会的保護に対する影響と調和させたものとすることが唱えられました。そして、使用者、組合、労働者代表の対話を呼びかけ、一時解雇は他の手段が尽きた後の最後の方策とすべきと訴えました。

 危機の社会的影響を緩和するために取り得る実際的な方策としては次のようなものが挙げられています。

  1. 結社の自由、団結権・団体交渉権といった就労上の基本的な原則及び権利に配慮し、労働・社会面に関する限り、改革過程に社会的パートナーを関与させること
  2. 経営陣、組合、労働者代表の間の対話と協議を基礎として事業再構築を進めること
  3. 技能向上、生涯学習、調整を支える積極的労働市場政策を通じて労働者の就業能力を確保すること
  4. とりわけ、金融部門で働く多数の女性を対象とした公平方針における進展を維持すること
  5. 非典型的な雇用形態にある労働者を公平に処遇すること
  6. 危機を悪化させるであろう保護主義政策を回避するよう方策の調整を図ること

3.自動車産業

 自動車産業は危機の影響が最も深刻な産業の一つとされています。産業の雇用展望は警戒すべき状態にあり、自動車製造業の就業者数は2007年末に世界全体で約1,000万人であったのが、欧州で250万台、米国で400万台に達した自動車販売台数の落ち込みを受け、100万人余りが職を失うと見られ、組立会社や主導部品会社をはるかに越えた波及効果が出ています。自動車産業の就業者数はドイツでは今後2年間で10〜15%減ると予想され、米国では3大自動車メーカーの雇用に短期的に大きな影響があると見られ、日本でも2008年にこの産業の失業者数は10万人を超えたと言われています。一方、途上国における影響は先進国ほど大きくなく、輸出向け製品が主流を占めるタイのように、自動車生産高が今年第1四半期に前期比54%減を示し、その結果、5万9,000人が職を失った国もあるものの、同じ期間に中国では自動車販売高が前期比4%増となり、インドやブラジルといった国でもあまり影響は出ていないように見えます。

 ILOは5月に危機と自動車産業の未来をテーマとする円卓会議を開き、新しい市場の登場、地球温暖化と石油依存、急速な高齢化、都市化と代替的な輸送形態といった自動車産業の将来に影響する様々な動向に関し、アジア及び欧米のこの産業の専門家と幅広い話し合いを持ちました。会議は、自動車産業の危機は循環的なものというよりは体系的なものと結論づけ、自動車産業が基礎とするものや製品を作る方法、使用者と組合との社会的な関係の抜本的な変革の必要性が唱えられました。

4.建設業

 金融部門に依存するもう一つの産業として危機の影響が最も早く現れた建設業では2008年中に少なくとも500万人が職を失ったと推計されます。米国では2008年8月に8.2%であったこの産業の失業率が11月には12.7%に達し、将来展望が明るい中国でも10%以上が職を失い、多数の出稼ぎ労働者が田舎に戻ったことが報告されています。近年、建設業では業務委託と臨時契約労働者の活用が進み、国内外からの出稼ぎ労働者が多く働く伝統的な傾向も2000年以降一層強まっています。

 2009年3月の第304回ILO理事会には現下の世界経済危機の影響を産業部門別に分析する文書が提出されていますが、ここでは建設業について、とりわけ貧困層の就業にとって重要な意味を持ち、政府の雇用回復計画の一部として基盤工事事業が多く計画される可能性に注意を喚起した上で、調達契約を通じて総合刺激策を実施する際に労働基準を尊重しつつ競争力を備えた透明な枠組みのもとで経営されている企業を候補として検討することの確保、建設業の雇用、労働条件、事業を刷新する上で契約を最もうまく活用する方法について話し合う社会対話の促進、建設産業に対する危機の影響を監視する仕組みの開発、環境に優しい仕事を推進するグリーン・ジョブ構想と可能な危機解決策との相乗効果の促進、労働者の安全と健康の保護がおろそかにされないことの確保などの対応策・事業策定の際の配慮事項を挙げています。

5.女 性

 危機が与える影響は男女で異なり、女性は就業率が低く、財産や資金を管理できる力も弱く、より収入が低いインフォーマル雇用や脆弱な就業形態に集中し、社会的保護の点でも不利であるといったように、あらゆる要素が危機を切り抜ける女性の立場を弱くしています。ILOは3月に発表した年次刊行物「Global employment trends for women(世界の雇用情勢−女性編)」2009年版で、経済危機によって世界全体で女性失業者数は2007年より最大2,200万人増加する可能性があるとし、これは持続可能で社会的に公平な成長に向けた道に新たな障害を置くこととなり、女性のディーセント・ワークをますます難しくすると警告し、男女格差に取り組む「創造的な解決策」を呼びかけました。

 2008年に就業者数は世界全体で30億人で、うち女性は12億人(40.4%)であったと推計されますが、今年の労働市場の情勢は男女共に世界的に悪化し、3月時点の予測では男性の失業率が6.1〜7.0%であるのに対し、女性は6.5〜7.4%に達するとされています。この結果、女性の失業者数は2007年よりも1,000万〜2,200万人増え、同時に、2009年に女性の50.5〜54.7%が不安定雇用、低収入、低生産性を特徴とする脆弱な就業形態(無給の家族従業者及び個人事業主)にあると予測されます。

 失業率で見ると、ほとんどの地域で経済危機は女性の方により大きな影響を与えると見られますが、これが最も明確なのは中南米・カリブ地域で、逆にそれほどでないのは、東アジア、先進諸国、EU以外の南東欧諸国、CIS諸国といった、経済危機前から雇用機会の点で男女格差が少なかった地域が挙げられます。

 女性はまた、長時間労働や複数の低収入の仕事に就くといった形で危機に対処している場合でも、家族の世話という無償の負担を維持しなくてはならない可能性があります。ソマビアILO事務局長は2009年の国際女性の日(3月8日)に向けたメッセージの中で、古くから見られる仕事の世界における男女不平等が危機によって悪化する可能性を指摘し、経済・金融危機の影響は働く女性の枠を越え、社会の全体的な安定性に影響を与えており、女性が果たしている様々な役割を考慮すると、男女平等をあらゆる政策対応の主要原則とすべきと訴えています。そして、女性が担っている負担のバランスを変える助けになり、グローバル化の影響に対処する政策措置として、男女双方に開かれた持続可能で質の高い仕事、労働市場における女性の弱い立場を認識した失業給付や保険制度を含むより幅広い社会的保護、意思決定プロセスに女性を積極的に取り込んだ社会対話などを挙げています。

 6月の第98回ILO総会でも仕事の世界における男女平等に関する一般討議の中で経済危機の影響が取り上げられました。危機は女性の能力強化の面で得られたもろい進歩を脅かしているとされる一方で、新たな男女平等政策を形成する機会を提示するものとの期待も示されました。

6.移 民

 移民労働者が世界的な経済活動の衰退から受ける影響は従事している経済部門によって異なるものの、既に建設業、製造業、サービス業といった移民労働者の割合が高い産業で事業縮小が進んでいる以上、正確なデータは得られませんが、多くの技能労働者に影響が出ていると考えられます。地元の卒業者に職を確保するために外国人技能労働者の入国許可を減らす政策を発表した英国やオーストラリアのように多くの政府が自国労働者の失業対策を強めるにつれ移民労働者の雇用展望は縮小が見られます。EU新加盟国から出された原加盟国における労働申請は2007年第4四半期に5万3,000件であったものが2008年第4四半期には2万9,000件と激減し、メキシコから出国する労働者数も2008年8月に前年同期比で50%以上の純減を示しています。

 雇用喪失に至らないまでも移民労働者は仕事を維持しようとしてより低い賃金やより劣悪な労働条件の許容を余儀なくさせられる可能性があります。過去の経験から移民労働者は危機時に最も弱く、最も深刻な打撃を受けることが示されています。したがって、危機時には移民労働者の平等待遇の原則や権利を基礎とした労働力移動の管理の強化が求められます。既に外国人排斥運動や人種主義の台頭が報告されており、移民労働者が危機のいけにえとされないよう注意する必要があります。

 移民労働者が母国に送る仕送り額も減り続けており、例えば、メキシコでは2008年12月に前年比10%減、グアテマラでは2008年第4四半期に前年同期比8%減が記録されています。世界銀行は全世界的に年間送金額が1〜6%減少すると予測し、状況のさらなる悪化を警告しています。移民労働者の送金額が貧困に対する主な防波堤である場合、わずかな減少でもはるかに大きな結果を招く可能性があります。

 移民労働者に平等待遇と非差別の原則が完全に適用されることを確保する特別の注意が必要です。これには社会保障権など労働者としての権利の保護、失業給付や訓練を受ける機会など処遇における差別に特に注意する方策が挙げられます。既に日本やスペインなどいくつかの国では移民労働者が母国に自主的に帰国するのを支援する措置が導入されています。多数の出稼ぎ労働者の帰国を経験しつつある国は雇用政策を再考し、国内における雇用機会を支援する外部の助言や資金に頼る必要があるかもしれません。仕送りの減額によって打撃を受けている家族を支援する雇用及び社会的保護措置も求められます。労働力移動に関する適切な政策の選択においては社会的パートナーが重要な役割を演じる可能性があります。

7.子ども及び若者

 1998年のアジア金融危機の際にフィリピンやインドネシアなどで観測されたようにマクロ経済的なショックと政治の不安定性は児童労働の供給要因と就学率に影響することが示されています。現下の危機が教育予算の削減や教育関連の国際開発援助のカットにつながった場合、学校を止め、児童労働に走る子供が増えることが予測されます。危機は子どもの将来的な健康や教育に影響を与え、家族を貧困の罠にはめる可能性があります。

 求人数の減少に伴い、新たに労働市場に参入する若者はますます仕事が見つけにくくなっています。危機の影響は若者に激しく、2008年に約12%と推定される若者の失業率は2009年に14〜15%台に上昇し、失業者数は前年より1,100万〜1,700万人増えると予測されます。

 幅広い経済成長及び発展を通じた貧困軽減と授業料の廃止が効果的な児童労働対策となり、若者のディーセント・ワークに向けた展望を開くことが証明されています。現下の危機は最近見られた進歩を損なうおそれがあります。考えられる対策としては、貧困世帯を対象とした条件付き現金移転計画、学校給食の拡大または開発、教育コスト削減措置などの安全網の整備と長期的な視点に立った教育訓練の重要性の認識が挙げられます。

 若者については、入職の困難を克服する、対象を定めた支援措置が求められます。これには成長分野・地域に向けたキャリア・カウンセリング及び求職スキルの形成、追加的な訓練及び技能開発、起業イニシアチブへの支援、少額融資、部分補助金、就労経験及び見習い研修制度の整備などが含まれます。

V.ILOの取り組み

 既にIMFや世界銀行、OECDでも予測されているように少なくとも2010年末、そしてもしかすると2011年まで世界的に仕事は消滅し続け、インフォーマル経済で働く人々、失業者、貧困層が膨らみ続けると思われます。迅速かつ大胆な行動が取られない限り、株式市場が回復し、世界経済が成長を再開し、マスコミの注目が他の問題に移ってしまったはるか後まで雇用の低迷が続くおそれがあります。危機が世界的に同調していることから一国だけでこの状況を抜け出すことは期待できません。

1.グローバル化のプロセスの是正を求める動き

 現下の危機が発生する以前、世界が高い経済成長を謳歌していた時代から既に一つの危機が存在していました。それは社会と経済の大きな不均衡を背景として見られる、すべての人に行き渡っていない食糧や公共財の入手機会、なかなか下がらない高い貧困率と巨大なインフォーマル経済の存在、所得不平等の進行と中流階級の弱体化といった数多くの先行指標に示されていました。進行しつつあるグローバル化の形の非持続性を指摘する多くの声が、政治、経済、社会の様々な観点から上がっていました。ILOもその中の一つとして数年にわたり公正で持続可能な世界経済の基盤構築を呼びかけてきました。

 2001年11月に開かれたILO世界雇用フォーラムでソマビアILO事務局長は、人間の安全保障の危機を語り、現行のグローバル化モデルが問い直されるべき正当な理由を説き、世界経済のためになる調整のとれた世界的な総合刺激策を呼びかけました。

 ILOが設けた、世界の識者からなるグローバル化の社会的側面世界委員会は2004年に発表した報告書「公正なグローバル化:すべての人々に機会を創り出す」の中でグローバル化の利益を認めつつも、現行のグローバル化が国内でも国家間でも不均衡な成果を生み出しており、富は創出されつつあるものの、あまりにも多くの国家や人々にこの恩恵が行き渡っていない事実を示し、このような世界的な不均衡は「道徳的に許容されず、政治的に持続可能でない」と唱えました。世界委員会の提案を受け、2005年に国連総会は公正なグローバル化に対する強い支持を表明し、ミレニアム開発目標達成努力の一環として、完全雇用、生産的な雇用、すべての人々へのディーセント・ワークの諸目標を関連する国内政策及び国際政策並びに貧困軽減戦略を含む国家開発戦略の中心的な目的とすることを決定しました。

 2007年の第96回ILO総会では持続可能な企業に関する討議が行われ、正しく機能する金融システムは成長する力強い民間部門のための潤滑油となり、中小企業が融資を受けやすくすることによってより包摂的な企業育成プロセスのための適切な条件が形成されるとの結論に達し、同時に、金融機関がその貸出実務にディーセント・ワークを組み込むよう奨励すべきとされました。

 2008年の第97回総会に提出された事務局長報告「ディーセント・ワーク:今後の戦略的課題」は、経済の金融化が生産的な実体経済、そして結果として企業と仕事に与える影響に対する現実的な不安を訴えました。総会における報告書を巡る論議は、仕事、収入、持続可能な企業に対する懸念の高まりを訴え、ディーセント・ワークをすべての人へというディーセント・ワーク課題の危機対応政策における重要性を唱える声に占められました。

2.公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言

 2008年のILO総会ではまた、公正で持続可能な世界経済の基盤形成に向けたILOの貢献方法についての加盟国政労使の考えを示す「公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言」が採択されました。宣言は、「貿易及び金融市場政策はどちらも雇用に影響を与えるものであるため、経済政策の中心に雇用を据えるという目的を達成するためにこれらが雇用に与える影響を評価することはILOの役割」と記し、他の国際機関・地域機関とのより密接な協力を促しています。

3.世界的な経済危機に向けた取り組みの第一歩:2008年11月の第303回ILO理事会

 2008年11月の理事会ではグリアOECD事務総長も交え、広がりつつある世界経済危機に関する幅広い意見交換が行われました。議論をまとめ、理事会役員から、人々を保護し、生産的な企業を支え、仕事を守るため、実体経済に対する危機の影響に取り組む次の六つの方策が提案されました。

  1. 消費、貿易、投資に対する信用の流れの確保並びに国内需要を刺激する財政・賃金措置を用いた官民の支出及び投資を通じた追加需要の喚起
  2. 社会的保護及び失業給付の拡大、追加的な訓練・再訓練機会の円滑化、職業紹介業務の強化、緊急雇用計画の拡大または導入、対象を定めた安全網といった方策を用いた、危機に最もさらされている人々の保護
  3. 小企業及び協同組合向けに工夫されたインフラ投資の引き上げ、持続可能な回復を促進するILOのグリーン・ジョブ構想などの手段を用いた、雇用とディーセント・ワークの最大化に向けた、生産的で利潤を生み、持続可能な企業と共に力強い社会経済及び存続し得る公共部門の支援
  4. 現下の危機において社会進歩が損なわれないことの確保に向けた、1998年に採択された労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言とそのフォローアップの活用及び再確認
  5. 解決策を達成し、社会の結束を構築するのに今や一層適しているのは、国内における及び国境を越えた、政府と代表的な労使団体からなる三者構成主義の慣行と社会対話であり、以上の諸方策を実施する各国の取り組みを支援する上でILOと加盟国政労使が多国間システムと強く協力し合うことが必須であること
  6. 低所得国が危機を和らげられるよう最低でも現行水準の開発援助を維持し、貸出限度の引き上げ及び追加支援を提供すること

4.仕事に関する世界協定:現下の世界金融・経済危機ハイレベル三者構成会議

 2009年3月23日に第304回ILO理事会の中で開催された標記の会議では、ストロスカーンIMF専務理事の出席も得て、現在の危機対応策が十分であるか否かが論じられました。ハイレベル会議に先立ち、ILOは1、2月にアジアなど複数の地域で危機対応に関する地域別会議を開催し、地域別の状況を論じた上で、それぞれの結論を引き出していました。

 ハイレベル会議の討議資料として提出された「金融・経済危機:ディーセント・ワークによる対応」と題する報告書は、日本を含む40余りの国が2009年初めまでに実施または発表した総合財政刺激策を分析し、各地域別会議でも指摘されたことですが、総合財政刺激策の内容を、もっと雇用と社会的保護の支援に焦点を当てたものとすべきと結論づけました。低所得世帯向けの直接移転措置と雇用策を発表している国は半数以下程度に留まり、総合刺激策の中に盛り込まれている場合でもその占める割合は平均して最も小さく、前者が9.2%、後者が1.8%に過ぎないことが示されました。報告書はさらに、危機のグローバルな性格に鑑み、世界的な調整を図って危機に取り組むことを提唱しました。

 ハイレベル会議は、この「仕事に関する世界協定」の提案を支持し、危機対応を6月の総会の主要テーマとし、世界協定について審議することを決定しました。そして、各国の危機対応策には次のように多くの共通点があることを指摘しました。

  1. 失業給付の改善(期間、対象)、ワークシェアリングや一時的な従業員の保持に対する使用者向け奨励金、補足的現金移転事業などによる失業者の所得維持措置の強化
  2. 社会的保護措置の拡大と金融市場の破壊的な衰退からの年金水準の保護
  3. 若者の臨時就労計画の導入など、弱い立場の層や経済部門を対象とした支援
  4. 給与税の一時的な減免や賃金補助の導入、失業者向け訓練事業の拡充などを通じた雇用と収入を支援する積極的労働市場政策の強化
  5. 労働力需要が低迷している時期に労働者が回復に向けて準備するための技能開発に対する投資
  6. 危機時には労働異動の増大により職業安定業務が一層重要となることから、企業及び個人が労働市場の情勢変化に合わせて調整を図ることを円滑化するよう職業安定業務の強化
  7. 企業、特に中小企業に融資機会が開かれ、キャッシュ・フロー問題を解決できることへの支援
  8. 省エネ技術やグリーン・ジョブに向けた奨励金や投資が雇用の創出及び回復の重要な条件となる可能性があることから、気候変動の影響に対する適応及びその緩和に寄与する方策を含む雇用集約的な技法を伴う緊急公共事業を通じた公共インフラ投資
  9. 企業及び産業部門の社会的に責任ある形での再構築
  10. 特に低賃金労働者に関し、実質所得、したがって消費者需要の維持を目指した賃金交渉妥結の円滑化に向けた団体交渉取り決めの強化

 以上の方策を下支えするものとして、官民両方の職場を含み、国内、国際、産業部門レベルで社会対話を円滑化するさらなる努力、そして景気後退期において就労に関わる基本的な原則と権利に関する動きを注視し、労働市場と政策の影響力をよりよく監視することが求められます。

5.仕事に関する世界協定に対する支持の表明

 ハイレベル会議翌日の3月24日には安定性、成長、仕事に関するG20ロンドン・サミット準備作業の一環として、主要20カ国の専門家を招いた雇用会議が英国政府によって招集されました。ILOとOECDも発表を行ったこの会議は、G20諸国に以下の三つの優先事項を提案しました。

  1. 長期的な失業の傷跡を避けるため、人々が仕事に戻ることの支援。政府は積極的労働市場政策及び労働需要の維持または増大に向けた政策を通じて支援することができる。
  2. 雇用措置、そして適切な場合には開発援助と結びつけた社会的保護政策を通じた不利な集団及び脆弱な集団の支援
  3. 既存の労働市場情勢のみならず、グリーン・ジョブや新技術サービスなどといった将来の仕事に向けた就業能力を支援する、対象を定めた効果的な教育・技能政策の開発

 3月29日にローマで開かれたG8+6雇用・労働大臣会合(ローマ社会サミット)にILOは世界的な危機に関する文書を提出しました。会合で採択された「人々を第一に:危機の人的側面に共に取り組む」と題する総括的な結論では、人的資本の維持・育成、現下の世界的な金融危機からもたらされている雇用及び社会的な課題に取り組むことへの寄与、より持続可能な開発の促進・確保、社会の結束の促進に向け、新興国及び途上国政府並びに国際機関との対話と協力を促進することが公約され、ILOのディーセント・ワーク課題とそのさらなる発展もまた、これらの諸目標を達成する効果的な手段を表すと明記されました。大臣会合はまた、6月のILO総会で仕事に関する世界協定の提案が検討されることに関心をもって留意しました。

 4月に開かれたG20のロンドン・サミットでは回復と改革のためのグローバル・プランが採択されましたが、その中の「すべての人々に公正で持続可能な回復を確保する」と題する節では危機の人的側面が認識され、雇用機会の創出及び所得扶助策を通じて危機の影響を受けている人々を支援する公約が示されると共に男女双方に公正で家族に優しい労働市場を構築することが記されました。そして、ロンドン雇用会議とローマ社会サミットの提案及び報告書を歓迎し、最も弱い立場の者に焦点を当て、積極的労働市場政策を通じ、教育訓練に投資し、成長を刺激することによって雇用を支持することが約されました。ILOは、他の関連機関と協働し、取られた行動と将来必要な行動を評価するよう求められました。

 国連機関の長で構成されるCEB(国連機関事務局長調整委員会)は、4月5日に開かれた会合で、危機対応に向けて次の九つの分野に知識、専門性、行動手段を集約することを決定しました。

  1. 最も弱い立場のものに対する追加的な資金提供
  2. 食糧安全保障
  3. 貿易
  4. グリーン経済イニシアチブ
  5. 仕事に関する世界協定
  6. 社会的保護の最低線
  7. 人道的ニーズ、安全保障、社会の安定
  8. 技術と革新
  9. モニタリングと分析

このうち、ILOは5と6の主導機関を務めるよう求められました(6については、世界保健機関(WHO)と共同)。

VI.仕事に関する世界協定

 以上のような流れを受けて第98回ILO総会に提出された事務局長報告は「世界的な仕事の危機への取り組み:ディーセント・ワーク政策を通じた回復」と題し、過去の議論をベースに仕事に関する世界協定の内容を具体的に提案しました。

 総会は、ポーランド、フィンランド、ブラジル、フランスなど9カ国の大統領・首相の出席を得た世界的な仕事の危機に関するILOサミットと危機対応全体委員会における討議を経て、閉幕日の6月19日に「仕事に関する世界協定」を採択しました。世界協定を通じてILO加盟国政労使は、すべての人へのディーセント・ワークを目指すILOのディーセント・ワーク課題に沿った政策を通じて世界的な仕事の危機に協力して取り組むことを約しています。世界協定には効果が立証されている一連の危機対応策が盛り込まれ、各国がそれぞれの具体的なニーズと状況に合わせて自国の対策を採用しつつ、世界的に協調して危機に取り組むことができるようになっています。国際機関の活動のための資料として活用してもらい、その行動を支援することも意図しています。

 「危機からの回復:仕事に関する世界協定」と題されたこの文書は、まずディーセント・ワークを通じて危機に対応する政労使の公約を示した後、回復と発展を促進するための11の原則を挙げています。次に、ディーセント・ワークによる対応と題して、ディーセント・ワーク課題の構成要素である雇用、権利、社会的保護、社会対話の四つの分野ごとに各国が状況に合わせて採用できるような具体的な政策選択肢を提示しています。続いて、危機の潜在的な原因となったグローバル化について、危機を機会として公正で持続可能なものと化すための提案を行い、最後にILOの活動について記しています。その概要は以下の通りです。

1.ディーセント・ワークを通じた危機への対応

 世界規模の経済危機は、失業、深まる貧困、格差の増大が長く続く展望を指し示しています。通常、雇用は経済回復に数年遅れて回復します。企業及び雇用が失われつつあり、この状況に取り組むことを何らかの総合的な対応の一部としなくてはなりません。権利を守り、発言権と参加を促進しつつ、仕事、持続可能な企業、質の高い公共サービス、人々の保護を中心に置いた各国及び国際的な取り組みを強化するために政策選択肢の世界的な調整が求められます。これは経済の再活性化、公正なグローバル化、繁栄、社会正義に寄与すると考えられます。

 危機後の世界は違って見えるべきです。私たちの対応は、公正なグローバル化、より環境に優しいグリーン経済、そしてより効果的に仕事と持続可能な企業を創出し、労働者の権利を尊重し、男女平等を促進し、弱い人々を保護し、質の高い公共サービスの提供において各国を支援し、各国がミレニアム開発目標を達成できるような発展に寄与すべきです。

 すべての人へのディーセント・ワークを目指すILOのディーセント・ワーク課題がこの対応の枠組みを形成します。政府及び労使団体は協力して仕事に関する世界協定の成功に寄与することを約しています。

2.回復と発展を促進する原則

 ディーセント・ワーク課題と1998年に採択された公正なグローバル化のための社会正義に関する宣言がこの行動を導くものとします。社会進歩と経済発展の連携を確保するこの枠組みには以下の原則が含まれます。各国はこの一般的な枠組みの中で自国の状況及び優先事項に合わせて総合政策を策定することができます。

  1. 回復と発展を援助する現行の国内及び国際的な行動の一部として、持続可能な企業を通じた雇用の保護と育成、質の高い公共サービス、すべての人々に対する十分な社会的保護の構築を注意を向けるべき最優先事項とし、これらの措置を調整を図って直ちに実施すべきこと
  2. 危機的状況にある若者、低賃金労働者、低技能労働者、インフォーマル経済で働く人々、移民労働者など、危機によって深刻な打撃を受けている脆弱な男女に対する支援の向上
  3. 無職の人々の労働市場への参入を支援することに加え、雇用を維持し、転職を円滑化する方策に焦点を当てること
  4. 効果的な公共職業安定業務その他の労働市場機構の確立または強化
  5. 回復に向けて準備するための技能開発、質の高い訓練、教育を受ける平等な機会の拡大
  6. 保護主義的な解決策並びに賃金のデフレ悪循環及び労働条件悪化の有害な結果の回避
  7. 経済及び雇用の回復を支え、男女不平等を軽減する中核的労働基準その他の国際労働基準の促進
  8. 実体経済のニーズに対する危機対応の影響力を最大化する建設的なプロセスとして、政労使の三者構成主義や労使間の団体交渉といった社会対話に従事すること
  9. 短期的な行動が経済、社会、環境の持続可能性と整合することの確保
  10. 国家と市場の相乗効果、及び企業創出、持続可能な企業を可能にし、産業部門横断的に雇用を促進する法規制環境を含む効果的かつ効率的な市場経済規制の確保
  11. ILOは他の国際機関、国際金融機関、先進国と共に、危機に対応する財政及び政策的な余裕が限られている後発開発途上国、途上国、移行経済諸国に対する開発援助及び支援を深め、政策の整合性を強化すること

3.ディーセント・ワークを通じた対応

 以上の一般的な枠組みに加え、協定はディーセント・ワークの実現に向けた四つの戦略分野ごとに具体的な政策選択肢を提示してもいます。

(1)企業を支え、仕事を回復し、雇用創出速度を高める方策

 失業の長期化と、ひとたび移行するとなかなかフォーマル経済に戻れないインフォーマル化の増大のリスクを制限するには、雇用を創出し、人々が仕事に復帰するよう支援する必要があります。そのため、完全雇用、生産的な雇用、ディーセント・ワークの目標を危機対応の中心に据えることとし、考えられる対応策として、協定は次のような方策を挙げています。

  1. マクロ経済的総合刺激策などを通じた実効的な需要の押し上げと賃金水準の維持に向けた支援
  2. 対象を適正に定めた効果的な積極的労働市場政策、求職者が十分な支援を受けられることを目指した公共職業安定業務の能力向上及び資源・資金増大並びに民間職業紹介所と協働している場合には質の高いサービスが提供され、権利が尊重されることの確保、雇用者・自営業者向け職業・起業スキル事業の実施などを通じた求職者の支援
  3. 既に失業した者、失業の危険がある者、弱い立場の層向けのものを中心とした、就業能力向上に向けた労働者の技能開発、技能向上、技能再習得への投資
  4. ワークシェアリングや部分失業給付など、社会対話と団体交渉を通じて実施される正しく設計された仕組みを通じた、企業の労働者保持努力の支援及び雇用喪失の制限または回避
  5. 経済諸部門横断的な雇用創出支援
  6. 雇用創出における中小・零細企業の貢献を認め、負担可能な信用を得る機会の提供などその育成に有利な環境を確保する措置を促進すること
  7. 協同組合が地域社会に仕事を提供する事実を認め、そのニーズに合った支援を工夫すること
  8. 臨時就業のための公的雇用保障制度、緊急公共工事事業、その他正しく対象を定め、インフォーマル経済を含む直接的な雇用創出制度の活用
  9. 持続可能な企業の創出及び育成を通じた雇用創出に結びつく支援的な規制環境の実現
  10. 雇用を創出し、持続可能な経済活動を刺激する重要な手段としてインフラ構造、調査研究、公共サービス、環境に優しいグリーンな生産及びサービスに対する投資の増大

(2)社会的保護制度を構築し、人々を保護する方策

 弱い人々を支援する持続可能な社会的保護制度は、経済の安定化及び就業能力の維持・促進を助けつつ、貧困の増大を防止し、社会の困窮に対処することができます。危機の状況下では最も弱い人々を支援する短期的な措置が適当となる可能性があります。

 各国が検討すべき事項としては、以下のようなものが挙げられます。

  1. 貧困層を対象とした現金移転制度の導入
  2. 保健医療へのアクセス、高齢者・障害者の所得保障、児童手当、失業者及び働く貧困層向けの公的就労保障制度と組み合わせた所得保障などの基礎的社会的保護の最低線に依拠した、すべての人への十分な社会的保護の構築
  3. 失業給付の対象範囲と期間の拡大
  4. 就業能力に向けた技能開発などを通じて長期失業者が労働市場とのつながりを保つことの確保
  5. 年金または保健基金の財源が労働者の十分な保護を確保するにはもはや不十分となった国における最低給付保障の提供及び制度の将来設計における労働者の貯蓄をより良く保護する方法についての検討
  6. 臨時・非正規労働者を十分保護対象に含むこと

 すべての国は所得扶助、技能開発、平等及び差別を受けないことへの権利の強化を組み合わせ、危機によって最も打撃を受けている弱い層を支援すべきです。賃金のデフレ悪循環を回避するには、社会対話、団体交渉、法定または交渉による最低賃金を手引きとし、最低賃金の定期的な改訂・適応、政府は使用者及び調達者として交渉による賃金率を尊重・促進すること、これらの取り組みを構成する一部として男女賃金格差を縮小することが求められます。

 効率的に運営されている力強い社会的保護制度が備わっている国は経済を安定化し、危機の社会的影響に対処できる貴重な仕組みが備え付けられていると言え、これらの国では既存の社会的保護制度の強化が必要かもしれませんが、その他の国ではより力強くより効果的な制度の基礎を構築しつつ緊急の必要への対処を優先させる必要があります。

(3)国際労働基準の尊重を強化する方策

 国際労働基準は就労上の権利の基礎を形成し、それを支えるものであり、危機の時代に特に有用な社会対話の文化の構築に貢献します。労働条件の引き下げ悪循環を防止し、回復を築くためには、以下の事項を認識することが特に重要です。

  1. 就労上の基本的な権利及び原則の尊重は人間の尊厳並びに回復及び発展にとって決定的に重要であることを認識し、強制労働、児童労働、就労上の差別などの増大を防止し、その撤廃を達成するため監視を強め、社会の緊張が高まる時代に生産的な社会対話を可能にする仕組みとして結社の自由の尊重、団結権、団体交渉権の実効的な認識を強めること
  2. 基本条約に加え、雇用政策、賃金、社会保障、雇用関係、雇用の終了、労働行政、労働安全衛生など、このような状況下で通用するILOの条約・勧告が多数存在すること
  3. ILOの多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言は社会的に責任ある形で危機に対応する上ですべての企業にとって重要かつ有用なツールであること

(4)社会対話:集団的に交渉し、優先事項を確定し、活動を刺激する方策

 社会の緊張が高まっている時には特に、社会対話の仕組みの尊重と活用を強めることが不可欠です。社会対話は各国の優先事項に合った政策設計において重要な仕組みであり、危機を克服し、持続可能な回復に向けて必要な政府との共同行動に労使から参与の約束を取り付ける強力な基盤となり、うまくいった場合、達成された結果に対する信頼感を醸成します。労働行政と労働監督の能力強化は、労働者の保護、社会保障、労働市場政策、社会対話に関する包摂的な行動において重要な要素です。

4.さらに先へ:公正で持続可能なグローバル化の形成

 以上の課題はグローバル化の他の側面と密接に相互作用しており、政策整合と国際調整が求められます。協定はILOに国連及び関連するすべての国際機関との協力を促し、4月に主要20カ国から出された、関連する他の機関と協働し、取られた行動と将来必要な行動を評価するようにとの呼びかけを歓迎し、CEBの中でのILOの役割に支持を表明しています。

 協力が特に重要な事項としては、以下の3点が挙げられています。

  1. 金融部門が実体経済の役に立ち、持続可能な企業とディーセント・ワークを促進し、人々の貯蓄と年金をより良く保護するよう、より強力で、より世界的に一貫性があるその監督・規制の枠組みの構築
  2. すべての人々に利益し、国家の保護主義を回避できるような効率的で正しく規制された貿易と市場の促進
  3. 環境に優しい低炭素経済への移行

 途上国については、以下のような必要性を認めています。

  1. 世界的な景気後退が大規模な失業、不完全就業、貧困の構造的問題を悪化させることを指摘し、後発開発途上国においてディーセント・ワークと開発を実現する十分な資源が確保された体系的な多次元事業計画によるディーセント・ワーク機会の創出をもっと優先させること
  2. 持続可能な企業の促進及び育成を通じたディーセント・ワーク機会の新規創出及び雇用創出の促進
  3. 若者失業者を中心とした職業・技術訓練及び起業スキル開発機会の提供
  4. フォーマル雇用への移行を達成することに向けたインフォーマル性への取り組み
  5. 途上国経済における農業の価値と農村インフラ、産業、雇用の必要性の認識
  6. 国内需要及び国外需要の両方を刺激することに向けた付加価値生産・サービスの能力構築を通じた経済の多様性の向上

 その上で、ミレニアム開発目標の深刻な後退を防止するために援助増大の公約を守る必要性を指摘し、財政・政策上の制約に直面している国が景気対策資金を得られるようにすること及び基礎的な最低限の社会的保護を国家ベースで構築できるよう開発援助を提供することを国際社会に促しています。

 さらに、貧困と不公平を軽減し、需要を増大し、経済の安定に寄与する可能性がある最低賃金などの選択肢の検討を政府に呼びかけています。加えて、現下の危機を男女平等政策における新たな対応を形成する機会と見なすべきとし、経済危機の間の総合回復策で男性と女性に対する影響を考慮に入れ、あらゆる方策にジェンダー的配慮を組み込む必要性を唱えています。総合回復策の検討に際して、男女に同等の発言権を与えることも求めています。

 仕事に関する世界協定の提案事項の実行に際しては財源を検討する必要があるとして、協定は途上国の特別の支援の必要性を指摘し、援助国及び多国間機関に資金提供の検討を促しています。

5.ILOの行動

 最後の節では、危機に対応し、経済発展及び社会開発を促進する上で重要な諸分野におけるILOの調査研究と経済・社会データの分析力の重要性を挙げ、雇用創出、社会的保護の設計・財源モデル、積極的労働市場政策などの分野における専門的な知識を政府、社会的パートナー、多国間機構との協働の中心に据えることを唱え、その実務を強化するものとして、各国が政策決定の基礎として労働市場情報を生成・利用する能力の向上、各国の危機対応・回復総合策に関する情報の収集と普及、取られた行動及び将来的に必要な行動の評価、地域開発銀行その他の国際金融機関とのパートナーシップの強化、各国レベルの診断及び政策助言力の強化、ディーセント・ワーク国別計画における危機対応の優先化といった具体的な活動を挙げています。そして、ILOは世界協定の活用における各国政労使からの支援要請に備え、必要な人的資源及び資金を配分し、他の機関と協働することが定められています。

VII.世界雇用危機観測所ポータルサイト

 ILOは今年初めにウェブサイト上に、金融・経済危機の影響を受けて世界的に広がる仕事の危機について、地域別、テーマ別で最新の状況と取り組みをまとめたポータルサイトを構築しました。各国及び世界の失業、就業、製造業の労働時間・賃金、消費者物価指数などの労働関連統計も掲載され、随時更新されています。仕事に関する世界協定を含み、この分野におけるILOの活動及び関連する情報はこのサイトを通じて入手することができます。


仕事に関する世界協定(英語)----->
http://www.ilo.org/global/What_we_do/Officialmeetings/ilc/ILCSessions/98thSession/pr/lang--en/docName--WCMS_108456/index.htm
第98回ILO総会(英語)----->
http://www.ilo.org/global/What_we_do/Officialmeetings/ilc/ILCSessions/98thSession/lang--en/index.htm
公正なグローバル化のための社会正義に関するILO宣言----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/downloads/2008declaration.pdf
ILOと世界雇用危機観測所(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/support/lib/financialcrisis/
Global employment trends(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/employment/strat/global.htm

最終更新日:2009年6月29日 作成者:EU 責任者:SH