![]() | ||
![]() |
>>トピック目次
ILO駐日事務所メールマガジン・トピック解説(2007年9月28日付第64号) |
★KILM
ILOは2007年9月に隔年発行の定期刊行物「Key indicators of the labour market(主要労働市場指標、略称KILM・英文)」の第5版を発表しました。KILMの内容については、第4版発行時に既に本メールマガジン(2005年12月28日発行第43号)で詳しくご紹介しましたが、本書は次の20の指標を用いて国・地域、そして世界の労働市場の現状分析を試みる統計資料です。
★雇用の質的側面計測の試み
2006年に失業者数は世界全体で1億9,520万人と、依然として最高水準を保っていますが、失業率は前年比1ポイント減の6.3%となり、過去4年間続いてきた下降傾向が確認されました。一方で、働いてはいるものの1日1人当たり2ドル相当額未満の世帯で暮らしている「働く貧困層(ワーキング・プア)」は、世界全体で13.7億人と推計され、両者を合わせると世界の生産年齢人口の3割に当たる15億人の労働能力が十分に活用されていないと言えます。
ILOが世界の人々への確保を目標としているディーセント・ワークとは、生産的で公正な所得を生み、職場における安全保障と家族に対する社会的保護が供与され、人々が自分の暮らしに影響する決定に参加し、団結し、懸念を表明することを許すような仕事を指しています。ILOではこのディーセント・ワークを数値的に計測する試みを続けていますが、KILM第5版にはディーセント・ワークの所得面に焦点を当てた研究成果が三つの論文として掲載されています。これは労働力が十分に活用されていない状態を計測するツールとして提案されています。
★ディーセント・ワーク指標
2000年9月に開かれたミレニアムサミットで採択されたミレニアム開発目標(MDGs)は八つの目標から構成され、目標1として1日1ドル未満で暮らす人の数を2015年までに半減することが掲げられています。貧困から脱却する主なルートは、全ての人々に対するディーセント・ワーク並びに完全雇用及び生産的な雇用の実現であることが今では一般的に受け入れられています。
2005年9月に開かれた国連総会世界サミットの成果文書では、「我々は公正なグローバル化を強く支持し、女性や若者を含む全ての人々に対するディーセント・ワーク並びに完全雇用及び生産的な雇用の諸目標を、ミレニアム開発目標達成に向けた我々の努力の一部として、我々の関連する国内政策及び国際政策並びに貧困削減戦略を含む国家開発戦略の中心的な目標とすることを決意する(第47段落)」と記されています。2006年8月に国連総会に提出された事務総長報告の中で、当時のコフィー・アナン国連事務総長はこのミレニアム開発目標1の下に新しいターゲットとして、「女性や若者を含む全ての人々に対するディーセント・ワーク並びに完全雇用及び生産的な雇用の諸目標を、我々の関連する国内政策及び国際政策並びに我々の国家開発戦略の中心的な目標とすること」を含むことを提案しました。この提案を受けて、ILOは関係機関と協議を重ね、第1歩として四つの指標群を考案しました。
1)15歳以上人口と若者(15〜24歳)の性別就業率
就業率(KILM第2指標)とは、働くことを希望する人々に職を提供できる経済の効率性を示す指標で、対応する年齢集団人口中の就業者数の割合です。一般的なルールとして、教育を受けている割合が高いため、若者の方が就業率は低くなります。失業率が非常に高い場合または職探しをあきらめた結果として就業率が低い場合などは、次第に上昇することが見込まれます。女性が自主的に家庭に留まり、労働市場に参加していない場合には女性の就業率は男性より低くなる可能性がありますが、労働力率が低い理由が非自発的なものであるならば、女性の就業率は次第に上昇すると見込まれます。就業率は高すぎてもいけず、例えば、非常に貧しい国では就業率がしばしば8割を超えますが、これは通常、質の低い職が豊富に存在することを意味しています。また、就業率の急上昇は生産性低下の結果である可能性があるため、就業率は穏やかに上昇する必要があります。開発過程では、単に生き残るために人々が働いている場合があるため、貧困率も就業率も高くなる可能性があり、国が裕福になればこれらの数値は低下しますが、富が一定水準に達すると、女性の労働力率の上昇を主な理由として再び上向きになる傾向があります。
2)脆弱な雇用
脆弱な雇用に就いている人々を見分けるため、従業上の地位(KILM第3指標)が用いられます。従業上の地位は、1)賃金・俸給労働者、2)寄与家族従業者(無給家族従業者)、3)自営労働者の三つに分けられます。脆弱な雇用の割合は、総就業者に占める寄与家族従業者と自営労働者の割合から算出されます。これはこの両者が正式な労働取り決めの下で働く可能性が低く、経済的リスクやそのようなリスクに対して保護する制度的取り決めといった点から脆弱と見なされる可能性が高いためです。実際、1日1ドル未満のワーキング・プアと脆弱な雇用の割合の間には正の相関関係が見られます。
3)就業者全体に占める1日1ドル未満で暮らすワーキング・プアの割合
ILOではワーキング・プア(KILM第20指標)を、働いてはいても、1日1人当たり1ドル相当額未満の世帯で暮らす労働者と定義しています。この合計数を就業者総数で除すとワーキング・プアの割合が算出されます。ILOでは、社会的安全網が存在しない国では、貧しい人々は生活を維持するために働かなくてはいけないとの仮定の下、15歳以上人口と15歳以上労働力人口のそれぞれと貧困率を掛け合わせ、ワーキング・プアの上限と下限を導き出しています。ワーキング・プアの規模はディーセント・ワーク欠如の状態を示すものでもあり、ある人の行う仕事が本人とその家族を極端な貧困から抜け出させるだけの収入を提供しないものであるならば、この仕事は少なくともディーセント・ワークの所得要素を満足しておらず、他の要素も満足していない可能性が高くなります。開発過程では、ワーキング・プアの割合は低下し、これが再び開発過程を刺激することとなります。
4)労働生産性
就業者当たりの産出高として計測される労働生産性(KILM第18指標)は、ある国の経済環境が公正で均等な報酬を伴うディーセント・ワークの機会を創設し、維持する確率を評価する手段として用いられます。生産性と雇用が共に成長するならば、生産性の伸びと貧困削減のつながりが最大になるとの経験的な証拠があります。ワーキング・プアの割合の変化と労働生産性水準の変化の間には負の相関関係が見られます。
これらの四つの指標を組み合わせて用いると、東アジアでは確実に、そして他の地域でも貧困削減のMDG目標1が達成できそうに見え、難しいのはサハラ以南アフリカと中東だけのように見られます。
◎ディーセント・ワーク測定の試み
ディーセント・ワークは複雑な要素を含むため、この概念の全体を統計指標を用いて表す方法に関する研究は今後も継続します。今回は所得面だけに焦点を当てていますが、全体を捉える先行的な試みは既にILOの論文集「International labour review」2003年第2号で特集されています。
同誌には、ディーセント・ワークの四つの側面(雇用、社会的保護、労働者の権利、社会対話)のそれぞれについて、雇用機会、社会保障、強制労働・児童労働、団体交渉などに関する指数を用いて経済協力開発機構(OECD)諸国の計測を試みた論文や年齢別に適用される七つの指標(低時給、経済的または非自発的な理由による長時間労働、失業、非就学児童、失業者に占める若者の割合、労働力率における男女間格差、年金受給資格のない高齢者)を用いて国際比較を試みた論文などが掲載されています。
統計指標を用いてディーセント・ワークの計測を図った統計局の研究では、簡単に利用できる30の統計指標を用いて次の11の測定分野を通じた計測が提案されています。
ディーセント・ワークを社会保障と安全保障の観点から概念化した別の研究では、マクロ、メゾ、ミクロの各レベルで必要な安全保障レベルの達成度合いを測定する方法が用いられました。ここでは、仕事に関わる以下の七つの指数がベースになっています。
この研究成果は、2004年に「Economic security for a better world(よりよい世界に向けた経済の安全保障)」と題する書籍として発行されています。ILO駐日事務所では、この報告書について、全体を説明したエグゼクティブ・サマリー、各安全保障の概念を説明する第1章、そして経済の安全保障について記した第11章を抜粋翻訳しています。
★脆弱な雇用の評価
KILMに掲載されている2番目の論文は、新しいディーセント・ワーク指標の2番目の要素である脆弱な雇用について掘り下げたものとなっており、従業上の地位別就業者数(KILM第3指標)を産業別就業人口(KILM第4指標)などの他の指標と組み合わせて用いることによって労働市場における脆弱な集団の把握を試みています。
前述のように、賃金・俸給労働者に比べて、寄与家族従業者と自営労働者は公式の社会的保護の恩恵を受ける可能性が低く、労働条件の改善や職場における権利の確保を目指した有意義な社会対話に従事する上でより多くの障害に直面する可能性が高いと考えられます。現在、大半の先進国では労働者のほとんどが賃金・俸給雇用に従事しているのに対し、サハラ以南アフリカや南アジアの途上国では大半が自営労働者や寄与家族従業者として働き続けています。したがって、これらの種類の雇用が労働力に占める割合が高いことはディーセント・ワークが欠如している可能性を示すものと言えます。従業上の地位を性別で見ると男女の大きな違いが明らかになります。女性は男性よりも賃金・俸給労働に従事する可能性が高く、世界的に寄与家族従業者の多くを女性が占め、ほとんどどの国でも女性が使用者として働く可能性は低くなっています。
世界で最も貧しい地域では依然として農業が主な雇用創出部門となっており、サハラ以南アフリカでは就業者の10人中7人余りが、南アジアや東南アジア・太平洋では10人中5人余りがこの産業で働いています。しかし近年、農業は主な雇用創出部門の地位をサービス業に明け渡し、2006年に世界の就業者の42.0%がサービス業に、36.1%が農業に従事していました。工業はこの10年来ほとんど変わらず、2006年に就業者全体の21.9%が従事しています。経済発展は雇用構造の変化を伴い、自営労働者や寄与家族従業者が圧倒的に多くを占める農業その他の自給自足部門から賃金・俸給労働者からなる工業・サービス業へと変化が見られます。
ただし、サービス生産部門は生産的なディーセント・ワークの機会を多く提供することができるものの、この部門の労働のすべてが必ずしも生産的でディーセントなものとはなりません。サービス業の雇用は十分な労働条件を享受する高技能労働者が従事する高給俸給労働から途上国の路上に広がる低水準の商売まで多岐にわたり、後者の労働者の多くはたとえわずかな収入のために長時間働いたとしても、能力が十分に活用されているとは言えないかもしれません。そこで、これらの指標に例えば非識字率のような他の情報を加味すると途上国の労働市場を監視し、ディーセント・ワークの欠如を評価する強力なツールになると思われます。
★就業・失業二分法を越えて
低所得国において雇用の質を測定する方法を検討する3番目の論文は、雇用の質を示す上での現在ある指標の限界を認識した上で、職探しをあきらめてしまった労働者、不完全就業、ワーキング・プアといった就業か失業かの二分法を乗り越える試みを紹介しています。そして、安全保障を仕事の質的側面の重要な要素とし、仕事を保持できる確率を示す雇用保障と妥当な水準の収入の継続という所得保障の関わりについても論じています。
★KILM第5版が示す世界の労働市場
KILMは労働市場の動向を評価するリサーチ・ツールとなります。今回のKILMが示す世界の労働市場の主な特徴には以下のようなものがあります(図表の出典は全てKILM第5版)。
◎労働力率
2006年に世界の女性(15歳以上)の労働力率は10年前より少し低下しましたが(1996年53.0%→2006年52.5%)、この主な原因は学業に従事する若者が多くなったためです。男性の労働力率が78.9%であることと比較すると、依然として未活用の女性労働力が多く存在することを示しています。労働力率の男女間格差が最大なのは中東、北アフリカ、南アジアで、このいずれの地域でも2006年に男性の労働力率は女性を45ポイント以上上回っていますが、中東を中心に1996年より状況は幾分改善しています。
女性の年齢別労働力率(2006年) |
![]() |
◎雇用
就業率における男女間格差では、東アジア、先進国経済及び欧州連合(EU)(2006年の男女間格差は前者が12.9ポイント、後者が15.3ポイント)と、中東、北アフリカ、南アジア(男女間格差は40ポイント超)では対照的な違いが見られます。状況は各国まちまちで結論を導くことは難しいものの、地域別集計からは女性の就業率が歴史的に低かった地域においてゆっくりながら着実な上昇の傾向が見て取れます。
世界及び地域の就業率の推計 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
◎貧困とワーキング・プア
貧困率が最も高い国、つまり、人口の半分以上が1日1ドル未満で暮らしている国のほとんど全てが東及び西アフリカに位置し、これはこの大陸の住民の大半が極端な貧困状態で暮らしているという事実を裏付けます。アジア地域では1日1ドル未満で暮らすワーキング・プアの数が1996年より50%近く減り、2006年には1億4,800万人となりました。サハラ以南アフリカでは経済状況の弱さからワーキング・プアの数は逆に2,400万人増えていますが、就労人口に占めるワーキング・プアの割合で見ると、就労人口の伸びがワーキング・プア人口の伸びをわずかに上回ったことによって微妙な低下が見られます。
◎失業
統計収集目的上、失業の国際的な定義は、調査前週に1時間たりとも働いていないことであり、これは定期的な仕事や収入はないものの、他の扶養手段がないために生き残るための資力を生み出す方法を探さなくてはならない途上国の多くの労働者が失業者の範疇に含まれないことを意味します。この条件に留意しつつ見るものとして、得られる情報は世界的に失業率の大きなバラツキを示しています。国別データで見ると、EU非加盟の中・南東欧と独立国家共同体(CIS)諸国を除き、世界中どの地域でも失業率は5%未満と低いことが示されています。失業率が高い国はこのEU非加盟の中・南東欧とCIS諸国に加え、サハラ以南アフリカ諸国に集中しています。
若者の失業率は世界中どこでもより年長の人々よりも高く、実際、若者の失業率は典型的により年長の人々の失業率の最低2倍になり、時にはずっと高くなっています。少なくとも先進国では失業者は低学歴者に集中しており、2005年に先進国で得られたデータによれば、初等教育を最終学歴とする者が失業する可能性は通常、高等教育を最終学歴とする者の少なくとも3倍になることが示されています。この傾向は先進国におけるより高い教育を受け、より高い技能を備えた労働者に対する需要の増大と低学歴労働者に対する需要低下を反映しています。データが得られる途上国のうち8カ国で中等教育を最終学歴とする者の失業の可能性が最も高かったものの、初等教育を最終学歴とする者の数値を大幅に上回ることは決してありませんでした。ほとんどの国でより高い教育を受けた労働者に対する強い需要が見られました。
ILO基準による比較可能な失業率(2005年) |
![]() |
◎雇用弾性値
1993年から2005年にかけて生産高が最も急速に成長したのも、最も雇用集約的な成長が見られたのもサービス産業でした。実際、サービス産業では付加価値が1ポイント伸びる毎に雇用は0.67ポイント増加しています。しかし、工業部門、そして特に農業部門では付加価値の伸びは雇用よりも生産性の伸びに導かれています。
先進国経済とEUに加え、EU非加盟の中・南東欧とCIS諸国や中南米・カリブといったいくつかの途上地域でも農業からサービス業(そしてより小さな割合ながら工業)へと向かう構造転換が経験されており、どちらでも農業の付加価値は伸びているものの農業就業者数は低下しています。しかしながら、農業はサハラ以南アフリカ、南アジア、東南アジア・太平洋を中心として依然として重要な生計手段であり続けています。東アジアの農業、工業、サービス業で発生した非常に高い成長は力強い雇用創出と急速な生産性の伸びを促進し、これは地域における雇用成長、生産性の伸び、貧困削減の好循環を生み出しました。
雇用弾性値とGDP成長率(2001〜05年) |
![]() |
◎生産性と単位労働費用
過去10年に生産性水準はほとんどどの地域でも増加し、最も急速な伸びが見られた東アジアでは労働者当たりの産出高はほぼ倍増しました。EU非加盟の中・南東欧とCIS諸国や南アジアでもかなりの上昇が見られ、生産性水準は約50%の伸びを示しました。
米国における生産性の伸びは他の多くの先進国を上回り、2006年に就業者当たりの付加価値額は6万3,885ドルとなっており、続くアイルランド(5万5,986ドル)、ルクセンブルク(5万5,641ドル)、ベルギー(5万5,235ドル)、フランス(5万4,609ドル)を大きく引き離しています。日本は4万4,877ドルとなっています。
しかし、米国民の年間労働時間は他のほとんどの先進国労働者よりも長く、その結果、労働時間当たりの付加価値額で見ると、ノルウェー(37.99ドル)の労働生産性水準がトップとなり、これに米国(35.63ドル)、フランス(35.08ドル)が続いています。日本は25.16ドルとなっています。
米国とほとんどの先進国との間で、就業者当たり付加価値額で測定された生産性格差は特に近年拡大を続けています。例外はアイルランドで、確実に差を縮めてきています(1980年約40ポイント→2006年13ポイント未満)。2000年以降、フィンランド、スウェーデン、英国も、そしてはるか後方ながらEU新加盟国(エストニア、ラトビア、リトアニア)も米国との差を詰めてきています。
労働時間当たり報酬費用の年変化率(2000〜05年) |
![]() |
労働生産性の年平均成長率 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
◎労働時間
女性の就業率とパートタイム雇用の間には正の相関関係があり、これはパートタイム労働の機会拡大が女性の労働力化を促すことを意味しています。
労働者当たりの年間労働時間では、韓国を筆頭にアジアの6カ国・地域(韓国、バングラデシュ、スリランカ、香港、マレーシア、タイ)で2,200時間を超えています。一方で、ほとんどのEU加盟国の労働時間は短く、特に、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、オランダ、スウェーデンでは年間労働時間が1,600時間を下回っています。日本の年間総労働時間は韓国、アイルランドに次ぐ減少を示し、2006年に1,784時間となっています。
週40時間以上働く男女の比率は国によって異なりますが、データが得られるほとんど全ての国で男性の労働時間の方が女性より長くなっています。
中南米・カリブの半数の国で、現在パートタイムで働いている労働者の少なくとも8人中1人がもっと長く働くことを希望しています(つまり、不完全就業の状態)。対して、中・東欧諸国、さらにEU新加盟国のいくつかではこの労働時間から見た不完全就業者の割合が最も低くなっています。ほとんど全ての国でパートタイム雇用に従事する女性の方が男性よりも長く働くことを希望しています。先進国の場合はこの傾向が特に激しく、少なくとも男性の約2倍の女性が不完全就業状態にあります。
◎教育と非識字率
労働者の教育水準は明らかに高まる傾向を示しています。男女ともに教育到達度別で見ると初等か中等教育を最終学歴とする労働者の割合が最も多く、これはほとんどの国で依然として供給される労働力の大半が低技能または中程度の技能を有する労働者であることを示しています。この供給要素は、低技能職と高技能職の間の賃金格差の拡大を説明する変数になる可能性が高く、供給不足の高等教育修了者またはより高い技能を有する労働者に対する需要がその賃金を押し上げるのに対し、低学歴労働者に対する賃金は引き下げられる効果を持っています。データの得られる国の大多数で若者の非識字率はより年長の人々より低くなっており、これは若者の識字水準が高まり、したがって、親よりも技能基盤が高くなっているというプラスの傾向を推測させるものです。
25歳以上の非識字率において、女性と男性の差が25ポイントを超えた国も14カ国(アフガニスタン、アンゴラ、中央アフリカ共和国、チャド、コンゴ民主共和国、エチオピア、インド、モロッコ、モザンビーク、ネパール、ニジェール、パキスタン、トーゴ、イエメン)あり、格差は縮小しつつもこの傾向は若い世代にも受け継がれています。アフガニスタン、ベナン、チャド、ニジェール、イエメンの5カ国では若者の間でも非識字率の男女間格差が依然25ポイントを超えています。
★ ★ ★
KILM第5版は、現在、下記ホームページより無料でダウンロードできるようになっています。
KILM(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/employment/strat/kilm/
KILM第5版概要----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/downloads/kilm5.pdf
新聞発表(英語)----->
http://www.ilo.org/global/About_the_ILO/Media_and_public_information/Press_releases/lang--en/WCMS_083976/index.htm
KILM−本メールマガジン第43回トピック----->
http://blog.mag2.com/m/log/0000085098/106799137.html
International Labour Review (英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/support/publ/revue/index.htm
よりよい世界に向けた経済の安全保障抜粋訳----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/downloads/ecosec.pdf