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ILO駐日事務所メールマガジン・トピック解説(2007年4月27日付第59号) |
労働災害や職業病は、毎年世界全体で220万人余り(1日平均5,000人)の生命を奪っていると推計されます。この他に、死亡に至らなかった重傷者は約2億7,000万人、業務関連疾病の罹患者は1億6,000万人に達しているとされます。日本でも下降傾向にありながらも毎年1,500人近くの方々が労働災害を原因として亡くなっています。ILOではこのような事故や健康障害の総経費は政府の対途上国援助額(ODA)全体の20倍を超え、国内総生産(GDP)世界合計の4%近くに達していると推計しています。
このように多大な苦しみと損失を引き起こし、高い経費となるにもかかわらず、職業上の安全と健康がその重要性に値する注目を集めることはなかなかありません。適切な予防措置が講じられていれば、ほとんどの事故は予防可能であるとILOでは考えています。労働安全衛生に関するILOの条約、勧告、実務規程に導かれ、適切な申告・監督慣行に支えられた健全な予防措置を個々の企業及び国家レベルで体系的に実施していく必要があります。そこでILOでは2003年に、労働安全衛生面の向上を長期的目標に、予防的安全衛生文化の大切さを人々に知らせ、この文化を育む啓発活動の一環として、4月28日を労働安全衛生世界デーと定め、加盟国政労使と協力して、安全で健康的な仕事、そして適切で人間らしい働き方であるディーセント・ワークの利点に人々の注意を喚起する日としました。日本でも既に同種のものとして7月の全国安全週間や10月の全国労働衛生週間などがあります。
★4月28日の歴史
4月28日は元々1914年にカナダで包括的な労働者災害補償法が成立した日です。1984年にカナダの公務員労組(CUPE)はこの日を「労働者の追悼の日」とすることに決め、カナダ労組会議(CLC)もこれを受け入れ、後に政府もこの日を正式の記念日と定める法を成立させました。
1989年から米国、英国、アジア、ヨーロッパ、アフリカといった各地の労働組合もこの日を死傷した労働者を悼む日とするなど、この日は次第に国際化していきました。1996年にはニューヨークで開かれていた国連の持続可能な開発委員会の場で労働組合が特別の式典を開催し、持続可能でない生産形態のために死傷したり疾病に罹患した労働者の数をろうそくを灯して強調しました。同年、国際自由労連(ICFTU、現国際労働組合総連合(ITUC))がこの日を死傷労働者を追悼する国際デーとすることに公式に定めたことによってこれは世界規模の運動となり、持続可能な労働と職場の概念が組み込まれるなど、対象範囲も広がりました。
2001年からILOもICFTU及び各地の労働組合と共にこの日を記念する活動に加わるようになりました。そして、2003年に「労働安全衛生世界デー」と名称を変更し、労働災害及び職業病の予防に焦点を当て、職場における予防的安全衛生文化を形成し、持続させる方法の推進に乗り出しました。同年6月に開かれた第91回ILO総会で採択された労働安全衛生世界戦略でも、労働安全衛生の重要性について幅広く啓発を図り、安全で健康的な職場環境を享受する労働者の権利を促進することに向けたこのような国際的な年次イベントまたはキャンペーンの必要性が認められています。発祥国のカナダの他に、アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、ルクセンブルク、ポルトガル、スペインなど既に12カ国以上がこの日を正式に国内的な記念日とし、毎年、100カ国以上でこの日に合わせた行事が行われています。
★過去の行事
ILOでは毎年、世界デーのテーマを決め、それぞれのテーマに関連した報告書を発表し、集中的な広報活動を展開しています。過去のテーマは次のようになっています。
ILO駐日事務所でも2003年からこの日を記念し、国内でフォーラムを開催しています。2004年からは日本労働組合総連合会(連合)の協力を得て、連合による世界デー報告書の日本語版をILO駐日事務所のウェブサイトに掲載しています。
★2007年の労働安全衛生世界デー
今年の世界デーのテーマは「安全で健康的な職場:ディーセント・ワークを現実のものに」として、ILOの推進するディーセント・ワーク課題の達成にとって必要不可欠な安全で健康的な職場環境の重要性に焦点を当てています。今年の報告書はディーセント・ワーク課題の四つの構成要素(国際労働基準並びに働く上での基本的な原則及び権利、ディーセントな雇用、すべての人への社会的保護、政労使の三者構成主義と社会対話)を通じて労働安全衛生の大切さを説いたものとなっています。
ILO駐日事務所では4月27日に、「グローバル化と労働安全衛生の課題:ILO新条約(第187号)が日本とアジアの職場環境改善にもたらす意味」と題し、日本及びアジアの職場環境改善例の紹介なども交えながら、2006年に採択され、日本でも批准に向けた検討が進んでいる職業上の安全及び健康促進枠組条約(第187号)及び付属する同勧告(第197号)の観点から安全で健康的な職場環境の達成に向けて話し合いを行いました。
以下に4月28日に合わせて発表されたILOの日本人専門家による安全で健康的な職場の達成に向けた提案を掲載します。
★より安全で健康的な職場環境に向けて−簡単に実践できる10箇条
ILO東アジア準地域事務所
川上剛労働安全衛生上級専門家
従業員または管理職として、もしくは自分の会社の経営者または無給で家事を行う人として。その形態にかかわらず、ほとんどの人は働いており、したがって、4月28日の労働安全衛生世界デーは、私たち皆が生活の質と健康を改善する方法について考える重要な時間と貴重な機会を与えるものとなります。
毎年、業務関連の事故及び疾病で世界全体で約220万人の方々が亡くなると推計されています。この他に業務に関連して、毎年、2億7,000万人が重傷を負い、1億6,000万人が短期または長期の疾病に罹患すると推計されています。
そこで、より安全で健康的な職場環境の経済的、人的、社会的利益は明らかです。さらにまた、より安全な職場は、生産コストの引き下げ、より良い雰囲気、事故及び負傷の発生件数の低下につながるより生産的な職場であることを示す証拠も多くあります。そして、通常の工場や事務所を、より安全で健康的なより良い職場にする基本的な原則は小規模の企業や自宅、アパートにも同じように適用できます。
職業上の安全は費用効果があるだけでなく、安価で簡単に実行できるものでもあります。ここに皆さんの職場をより安全で健康的なものにするために簡単で即座に実行できる10の方法をご紹介しましょう。
今年の世界デーのテーマは「安全で健康的な職場−ディーセント・ワークを現実のものに」です。ILOの活動課題の中心にあるディーセント・ワークとは本質的に、十分に仕事があることが重要なだけでなく、仕事の質もまた問題であるとの事実に注意を喚起するものです。安全と健康が質の高い仕事、ディーセント・ワークの基本的な部分であることは容易に理解できることでしょう。そこで、今日1日だけでなく、1年365日続く安全文化を形成することは私たちすべての利益にかなうのです。
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今年の世界デーに合わせてILOが制作したポスター、葉書、しおりを希望者にお分けします。限定部数のため、先着順で受け付け、なくなり次第終了となります。ご希望の方は、ILO駐日事務所(E-mail:ilo-tokyo@ilotokyo.jp)宛、「労働安全衛生世界デー・グッズ希望」と表題に明記の上、お名前、ご住所、ご連絡先(TEL/E-mail)、希望品名を記載してお申し込み下さい。見本はこちらへ。
労働安全衛生世界デー(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/protection/safework/worldday/index.htm
新聞発表概要----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/new/index.htm#15
2007年労働安全衛生世界デー報告書----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/downloads/2007safety.pdf
2006年の日本における労働安全衛生世界デー・フォーラム及び過去の行事・報告書へのリンク----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/conf/2006osh/index.htm