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ILO駐日事務所メールマガジン・トピック解説

(2006年11月30日付第54号)

◆ ◇ ILOの人事戦略 ◇ ◆
◆ ◇ (ILO's Human Resources Strategy) ◇ ◆

 去る2006年10月25日に、ILO駐日事務所は、来日中のリン・リーン・リムILOアジア太平洋総局次長とマーク・レビン人材開発局人事・能力開発部長を講師に、「ILOとグローバル化の中で変化する仕事の世界」と題する公開セミナーを開催しました。以下にレビン部長の講演をもとに、ILOの人事戦略を紹介します。

★ILOにとっての課題

 グローバル化する世界の大きな特徴として、絶え間ない変化が挙げられます。価値の変化、市場の変化、期待の変化、職業意識の変化などといったさまざまな変化は、多様な才能に対するニーズを高め、多国籍企業、国内企業を問わず、才能を求める競争が熾烈化しています。この変化の時代の中、ILOのサービスに対する需要がさまざまな機関から表明されており、ILOは、不安定な場所も含むますます多くの場所でますます多くの人々にますます多くのサービスを提供するよう期待されています。

 ILOの主たる資源は、職員と職員が保有する労働市場、労働に係わる権利、労使関係などに関する知識です。ILOの予算の7割は人件費に支出されています。そこで重要な問題は、どうやって最高の職員を採用し、働き続けてもらうかということになります。

★ILO組織内の変化

 1999年のフアン・ソマビア新事務局長の就任と共に、ILOでは事務局の組織改編を行い、すべての男女が人間的で適切な仕事を意味するディーセント・ワークを確保できる環境の整備に向けて活動するという「ディーセント・ワーク課題」が確立されました。この課題は、1)仕事に係わる基本的な原則と権利、2)人間的で適切な雇用と収入、3)すべての人への社会的保護、4)政労使の三者構成主義と社会対話という四つの具体的な戦略目標を掲げています。

 もう一つの変化として、国連諸機関の動きに同調し、得られた成果をもとに事業を評価するという成果主義マネジメント体制が導入され、結果を重視した活動体制が築かれました。

★ILOの2006〜09年の人的資源戦略

 2005年11月の理事会で承認された2006〜09年の人的資源戦略は、このディーセント・ワーク課題を実行するこの組織の実効性を高めるため、非常に有能で、モチベーションが高く、構成が多彩で、配置転換に柔軟に応える職員の確保を目指しています。加盟国政労使の要請に応えてより質の高いサービスを提供し続けるにはこのような職員が必要であると認識してのことです。こういった資質を備えた職員を確保するのに必要な要素は三つあります。一つ目は、採用、配置、キャリア形成における健全で効果的な方針と手続きです。ILOでは今後数年以内に経験豊かな多数の職員が定年を迎えることになっています。一方で活動の幅も広がっており、そのような中で世界中から最も優秀な職員を採用することに力を入れています。職員の知識と経験の幅を広げるため、効果的な異動の促進も行っています。

 二番目に必要なのは、職員の意欲を高めるように機能する厳密で総合的な業績管理と育成の仕組みです。より質の高いサービスを提供するため、ILOはこの2006/07事業年度の予算で人件費の2%を職員の能力育成に充てることにしました。業績管理の問題では、評価機能がうまく機能していないのではないかとの懸念に応え、モニタリング力と効率性を高める新しい評価制度の開発が進められています。

 三番目は職員の福祉と安全保障に関する必要不可欠な取り決めです。これは労働安全衛生や仕事と家庭の調和などといった働きやすい環境の整備を意味しています。

★ILOが求める人材

 事務局の仕事は大きく二つに分けられます。一つは専門職で、もう一つは補助的な仕事を行う一般職です。専門職は管理運営、財務、人事などを扱う管理・総務職と労働法、社会保障、統計、経済学など専門分野に従事する人々の二つの職群に分けられます。データ処理など専門職の補佐的役割を担う一般職は、秘書などの総務関係補佐業務、会議補助、情報提供などの専門補佐業務、そして印刷や清掃などの肉体労働その他補佐業務の三つの職群で構成されています。

 2005年12月末現在、技術協力職員839人も含むILOの職員総数は2,596人で、内訳は専門職・管理職が969人、国内専門職が244人、主として現地採用の一般職が1,383人になっています。このうち通常予算でまかなわれているいわゆる正規職員は1,698人になります。

 職員になるには一定の職歴、学歴、語学力が必要です。通常必要な職務経験は、最低1〜3年の国内・国際レベルの職務経験ですが、職務等級が上がると求められる経験年数はもっと長くなります。専門職の場合、関連する分野における大学院以上の学位が求められますが、例えば、労働組合活動のように職種によっては同等の職務経験で代替できる場合もあります。ILOの作業言語は英語、フランス語、スペイン語ですので、通常、このうちどれか一つに堪能であることに加え、残りの二つのうちの一言語についても業務ができる程度の知識があることが求められます。もちろん、三つの言語すべてに通じていると有利になります。

★ILOで働く機会

 通常の採用形態は空席補充の一般公募によります。空席がどれだけ生じるかは予算に左右され、予見できませんが、インターネットなどを通じて世界的に募集をかけます。技術協力プロジェクト職員も含め、過去1年間に出された求人件数は100件余りになります。

 ILOではより多様な人材の確保を目指し、翻訳・通訳などその言語を母国語とする人のみを対象とする特定言語職を除く一般専門職の空席については、予算の分担率に比して職員数が少ない国とその国籍の職員がいない国の国籍保有者のみに応募資格を限定しています。2005年末で正規の専門・管理職が37人の日本は、職員数が少ない国に含まれるため、日本国籍保有者には応募資格があります。

 この他に、児童労働や社会保障など、各地の技術協力プロジェクトの現場で専門家を募集する場合があります。技術協力の一形態として、援助国政府が人件費を負担するポストに若い専門家を推薦するアソシエート・エキスパートまたはJPO(Junior Professional Officer)制度もあります。ILOでは35年以上前からこの仕組みを取り入れており、現在はオーストリア、フランス、日本、ノルウェーなどから120人余りが働いています。この一環として、日本政府(厚生労働省)は日本人を特に対象とした日本人技術協力専門家育成事業を実施しています。このような制度を利用して、現在10人以上の日本人がILOで勤務しています。

 ILOではまた、ジュネーブ本部及び日本を含む現地事務所で、ILOの活動に関連する分野で研究を行っている大学生・大学院生を対象にインターンも受け入れています。

 さらに、正式な採用以外にも、短期的・臨時的な業務への短期雇用形態や専門的な業務を外部に委託する外部協力契約の仕組みもあります。

 以上のようなILO人事情報の詳細及び職員募集のお知らせは人材開発局のホームページに掲載されています。また、外務省国際機関人事センターのホームページからはILOを含む国際機関の職員募集情報やアソシエート・エキスパート制度など国際機関で働くことに関する各種の情報が入手できます。


人材開発局(英語)----->
http://www.ilo.org/hrd
2006〜09年ILO人的資源戦略(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/standards/relm/gb/docs/gb294/pdf/pfa-16.pdf
外務省国際機関人事センター----->
http://www.mofa-irc.go.jp



最終更新日:2006年11月29日 作成者:EU 責任者:SH