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>>トピック目次
ILO駐日事務所メールマガジン・トピック解説(2006年9月29日付第52号) |
現在ニューヨークで開かれている第61回国連総会では、障害者の権利に関する初の条約が採択される見込みです。この条約は、障害を有する人々があらゆる人権と基本的自由を、完全かつ効果的、そして平等に享受することを確実にするよう目指すものです。ILOではこの議論の過程に積極的に関与し、条約案には、同一価値労働同一報酬や安全で健康な労働条件、労働組合権など、ILOの提唱する、公正で好ましい労働条件に関する権利なども盛り込まれています。条約最終案では第27条が労働と雇用の問題を直接取り上げ、批准国は障害を有する人々がそれ以外の人々と同等に働く権利を有することを認めるものとしており、これには障害を有する人々がアクセスできる開かれた包摂的な作業環境及び労働市場において自由に選択または受け入れた仕事によって生計を立てる機会を含むものとし、そのような働く権利の実現を批准国が保障・推進するための適当な措置として、差別禁止など11項目を掲げています。強制労働からの保護についても明記されています。
★ILOの障害者問題への取り組み
世界人口の約1割が何らかの障害を抱えているとされていますが、このうち約3億9千万人余りが生産年齢人口であると推計されます。何世紀にもわたり、障害を有する人々はそのほとんどが社会の主流から排除され、就業の機会は限られ、働いている場合にも昇進の見込みが低く、労働条件も悪い低賃金職に集中する傾向がありました。
社会正義を活動の中核に据えるILOにとって障害者の問題に取り組むのは当然のことで、1919年の創立以来、障害を有する人々は自由、公平、安全保障、人間としての尊厳が保たれることといった条件の下で、生産的で人間らしいディーセント・ワークに就く平等な権利があるとの考えのもと、国際労働基準、調査研究や出版活動、唱道及び技術協力活動を通じて、そういった権利の促進に努めてきました。
障害を有する人々の機会平等を促進するILOの取り組みは、仕事こそ個人の自己充足、社会的統合、認識の基本的な要素であり、適正な質の仕事は、周縁に追いやられたり、貧困、社会的排除といった悪循環から抜け出す最も効果的な手段であるとの信念に根ざしています。障害を有する人々はしばしばこの悪循環に陥ってしまうため、そこから抜け出すのを支援する積極的な措置が必要なのです。就職や社会における地位を確保する際に障害者が直面する障壁の多くは、障害そのものよりもむしろ、雇用構造や作業編成に係わる法規や慣行、そして障害者の労働能力に関する誤った推定から生じているとの基本的な信念をもとに、ILOではこういった障壁を多様な政策措置、規則、事業計画、サービス、キャンペーンを通じて克服すべきであり、克服できると考えています。そこでILOでは、国際労働基準などを通じて、ILO加盟国政労使がそれぞれ自国の状況にあった解決策を考案するよう支援しています。
★障害に係わる国際労働基準
国際労働基準を通じて障害者問題に取り組んだ最初のものとして、創立後間もない1925年の総会で障害者の職業上のニーズを取り上げた勧告が採択されました。この「労働者補償(最小限度の規模)勧告(第22号)」は、障害を負った労働者の職業リハビリテーションとこのサービスを提供する機構の促進を求めています。
障害に関する国際労働基準は、後述のようにその後1955年に初めて採択されるわけですが、第二次世界大戦中も、戦争により障害者数が増えたことや動員された労働者に代わって就労した障害者がその能力を発揮できたことなどからリハビリテーション問題に注目が集まりました。ILOも、今日の障害関連法では不可欠な要素と見なされている、障害者を主流に統合するメインストリーミング、機会平等やアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)といった概念を積極的に推進しました。こういった概念の初期のものは、40年代に導入された若者の雇用適格性を測定するための健康診断や職業安定組織を扱う一連の基準に見られます。障害を有する労働者の職場復帰の概念は、1952年に採択された社会保障に関する基準に見られます。1944年に採択された「雇用(戦時より平時への過渡期)勧告(第71号)」は、労働能力が低下した労働者の問題を取り上げ、障害者はその障害が何に由来するものであろうとも特別な職業指導、職業訓練、機能的及び職業的リハビリテーション、そして有用な仕事における雇用のための完全な機会を提供されるべきと定めています。
◎職業リハビリテーション(身体障害者)勧告(第99号)
1955年に採択されたこの勧告は、約30年後に後述の第159号条約と第168号勧告が採択されるまで、職業指導、職業訓練、障害者の職業紹介に係わるあらゆる国内法規及び慣行の基礎をなしてきました。第99号勧告は、可能な限り障害者も職業訓練の主流に統合すること、そして同一労働に対する賃金上の差別撤廃の重要性を強調することによって、障害を有する人々の機会平等を促進するILOの活動を導いてきました。この勧告には、障害を有する労働者の雇用機会を拡大する方法として、雇用率、一定の職業の留保、協同組合や保護作業施設の設立などが示されています。また、技術助言支援の提供、国際的な経験交流機会の提供、リハビリテーション職員の訓練を含むその他の形態の国際協力におけるILOの役割や、障害を有する児童や若年者に関する特別の規定も含んでいます。
◎人的資源開発条約(第142号)及び同勧告(第150号)並びに障害者の職業リハビリテーション及び社会的再統合決議
1966年に国連総会で採択された「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」の起草にはILOも密接に関与しましたが、この規約は、全ての者が自由に選択し又は承諾する労働によって生計を立てる機会を得る権利を認めること、そしてその権利を保障するため適当な措置を執ることを規約締約国の義務としています。国連はさらに、1971年には「知的障害者の権利宣言」、1975年には「障害者の権利宣言」を採択し、障害者にも他の人々と同じ市民的及び政治的権利を確立しています。
ILOは1975年の総会で、「人的資源開発条約(第142号)」及び同名の勧告(第150号)、そして「障害者の職業リハビリテーションと社会への再統合に関する決議」を採択しました。日本も批准している第142号条約は、とりわけ適当な事業計画を通じて、職業指導及び雇用情報の仕組みを徐々に障害者にも広げていくことを批准国の義務としています。
付属する第150号勧告は、障害者が一般の人々と同じように職業指導や職業訓練の機会を提供されること、あるいはそれが望ましくない場合には特別に調整された計画を利用する機会を提供されるべきこと、そして一般の人々、労使、関係職員に障害者が適切な雇用を見いだせることを可能にする職業指導及び職業訓練を障害者に提供する必要性について教育するあらゆる努力を払うこと、可能な限り、通常の労働環境において障害者を生産的な生活に統合または再統合するよう確保する措置を講ずべきことなどを規定しています。第150号勧告は2004年に改正されましたが、新しい人的資源開発勧告(第195号)にもこの精神は反映されています。
「障害者の職業リハビリテーションと社会への再統合に関する決議」は、障害を有する人々の社会への再統合という新たな概念を導入した点で特に重要です。障害を有する人々が社会に高い割合で存在することは国民経済の深刻な消耗であり、効果的な措置が講じられない限り、繁栄に向けた国の発展を損なう可能性があると指摘することによって、決議は全ての公的機関及び労使団体に向けて、障害者が適切な雇用を確保し、遂行し、維持できる最大限の機会を推進するよう呼びかけました。
◎職業リハビリテーション及び雇用(障害者)条約(第159号)及び同勧告(第168号)
以後、国連とILOは共に、「完全参加と平等」の目標を追求してきました。このような背景の下、国連障害者の十年が開始した1983年に採択された「職業リハビリテーション及び雇用(障害者)条約(第159号)」は、職業リハビリテーション、自由に選択した労働、雇用において向上する機会は障害者の社会的統合の必要不可欠な前提条件であるとの考えに基づき、この目的追求において、障害者が社会の中で自らの場所を見つけられる適切な戦略と特別の計画を開発すべきとし、批准国に対し、国内事情、国内慣行、国内の可能性に応じ、障害者の職業リハビリテーションと雇用に関する国の政策を策定し、実施し、定期的に検討することを求めています。そして、そのような政策のための諸原則を列挙し、それを実行するために国家レベルで取るべき活動について規定しています。第159号条約の中心的な要求事項は、国の政策は社会的パートナーと協議の上計画されるべきこと、そしてその過程で障害者団体も協議を受けるべきことです。ほとんどの障害者がしばしば非常に遠隔の農村部で暮らしている事実に配慮し、そのような障害者のための事業の確立及び発展を促進するための措置も求められています。また、職員の訓練の重要性も強調されています。付属する第168号勧告には条約実行のための詳細な手引きが規定されています。
第159号条約は第1条で、障害者を「正当に認定された身体的又は精神的障害のため、適当な職業に就き、これを継続し及びその職業において向上する見通しが相当に減少している者」と定義しています。また、職業リハビリテーションの目的は、「障害者が適当な職業に就き、これを継続し及びその職業において向上することを可能にし、それにより障害者の社会における統合又は再統合の促進を図ること」とされています。
第159号条約は、第99号勧告や後述の実践綱領同様、障害を、多様な政策措置、規則、事業計画、サービスを通じて克服すべきであり、克服できる職業上不利な一条件ととらえています。この条約は現在、日本を含む79カ国に批准されています。
◎職場において障害をマネジメントするための実践綱領
専門家会議を経て、2001年に作成された「職場において障害をマネジメントするための実践綱領」は、障害者雇用に関する拘束力のない一連の規則及び手続きに関する合意を集大成したものとなっており、第159号条約が採択された1983年以降に登場した障害に関する理解や障害者に係わる法規、政策、サービスの多大な変化を反映したものとなっています。
実践綱領は機会平等の原則に基づき、障害を有する人々の雇用展望を改善することを目指しています。さらに、安全でアクセスしやすく、健全な職場を推進し、従業員の障害に関連した使用者のコストを最小化し、障害を有する労働者の企業に対する貢献を最大化することを目指してもいます。
第159号条約が各国政府を対象にしているのに対し、拘束力のない綱領は主として、官民を問わず、あらゆる国のあらゆる規模の企業を対象に、募集、昇進、雇用の保持、職場復帰といった、職場で障害に取り組む過程に存在する相互に結合した四つの側面を含む諸側面に関する幅広い指針を提示しています。
例えば、労働者団体の多様な役割を強調し、障害を有する労働者を職場に組み込むにはその支援と協力が必要と記しています。労働者団体は企業の障害取り組み計画の策定に関与し、障害を有する労働者が自分たちの団体に組合員として参加し、指導的な役割を担うよう積極的に奨励すること、障害を有する労働者の利益が職場交渉で代表されるよう確保すること、障害を有する労働者を職場に組み込む意識を醸成するため、積極的差別是正策を推進することなどが規定されています。労働者団体は障害問題について組合員を啓発し、訓練する上で重要な役割を演じ、全国レベルの協議や交渉では、障害者の雇用・訓練機会を積極的に唱えるべきことも求められています。
綱領にはまた、障害に対する取り組みの実効的な導入を円滑化する上での政府や使用者団体、そして障害者団体の個々の役割も記されています。この底流に流れるのは、職場そして幅広い社会における障害者の完全統合を政策目標から現実に変えるには、多方面にわたる取り組みと社会的パートナー及び市民社会の関与が必要であるとの認識です。
綱領は、財団法人日本障害者リハビリテーション協会によって日本語に翻訳されています。
このほかにも、障害問題に限定せず、雇用及び職業上の機会及び待遇の平等と差別撤廃に関する基本的な条約として、同一報酬条約(第100号)と差別待遇(雇用及び職業)条約(第111号)の二つ、そして1998年に採択された「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」も挙げることができます。
★情報収集・広報活動
ILOは職業リハビリテーション、技能開発、雇用、自営に関する好事例の発掘や評価、調査研究を通じて、障害を有する人々に関する幅広い知識基盤の構築を行ってきました。そして、出版物、ILOのウェブサイト、ワークショップ、セミナー、プロジェクトイベントなどを通じて、集めた情報の普及に努めています。
情報ネットワークのGLADNET(Global Applied Disability Research and Information Network on Employment and Training)を通じた情報普及活動も行っています。ILOの障害・雇用計画がイニシアチブを取って、1997年に誕生したスイスの国際非営利団体であるGLADNETは、研究機関、大学、企業、政府省庁、労働組合、障害者団体、障害者支援団体のネットワークで、障害を有する人々が競争力のある雇用・訓練機会を開発できるよう、インターネットを通じた国際的な情報交換、共同応用研究プロジェクトを実行しています。
ILOが最近行った情報収集活動には、例えば、アフリカ南部の一部諸国における障害者の効果的な技能開発計画や、アフリカ、アラブ諸国、アジア太平洋地域の地域社会基盤型リハビリテーション(CBR)計画における技能開発と就労のための効果的な戦略に関するものがあります。東アフリカやアジア太平洋の諸国における障害者の雇用と訓練に係わる法制の効果的な実行を確保するために採用されている手段に関する情報も収集しています。90年代には職場における精神衛生に関する広範な研究も行いました。また、障害者の雇用情勢に関する各国の統計方法論の収集を行ったり、障害者に適した職務把握のための職務・作業分析ガイドラインの発行も行っています。職業紹介所の職員向けに障害者の職業紹介支援ガイドを作成してもいます。アジア太平洋地域向けに開発されたビデオでは、障害を有する人々を企業が雇う論拠について取り上げ、英国の障害に関する使用者フォーラムによる同種の出版物の制作に協力したこともあります。複数の国で雇用の保持と職場復帰に関する情報収集を行い、ILOやGLADNETのウェブサイトに掲載すると共にこれをテーマとした国際セミナーを複数開催してもいます。こういった活動を通じて把握された好事例は加盟国政労使向けに開発されるガイドラインの基礎となります。
現在は、障害に関する国際労働基準と2001年の実践綱領が、加盟国政労使に対するILOの政策助言の枠組みを形成しており、様々な会議、セミナー、訓練計画を通じて積極的に推進されています。トリノにあるILO国際研修センターでも訓練及び雇用における障害関連事項に焦点を当てた研修コースが定期的に開講されています。
第159号条約と実践綱領の実行を補助する資料も開発され、労働者団体向けの実践綱領ガイドも作成されました。アジア太平洋地域の障害を有する労働者に係わる労働組合活動について行われた最近の調査結果をテーマとしたビデオを制作し、労働者団体の働きかけが障害者の雇用機会にどのような影響を与えているかを示す試みも行っています。こういったビデオは各地の研修計画やプロモーション・キャンペーンで幅広く活用されています。
このような障害者に特に焦点を当てた活動に加え、ILOは障害に関連した要求事項が例えば、職業訓練、職業指導、小企業育成、貧困削減、労働法開発などに係わる一般的な活動において考慮に入れられるよう確保することにも努めています。
★技術協力活動
ILOの職業リハビリテーションへの関わりは、第一次世界大戦で障害を負った元軍人を支援する国際的な取り組みに参加した1920年代から始まりました。
職業リハビリテーションと障害者雇用の分野における各国の政策策定及び事業計画の設計・実行・評価に対するILOの支援活動は時代と共に進化しました。初期の技術協力プロジェクトでは、政府、社会・労働問題担当省庁が職業リハビリテーションセンターや保護作業施設を設立するのを支援し、施設の設計、適当な職業技能訓練コースの確定、道具及び機材の調達、職業評価・カウンセリングサービスの樹立、センター職員の訓練といった支援が提供されました。
後の技術協力プロジェクトは、都市や町にあるのが通常の職業リハビリセンターを利用できない農村部に住む障害者のニーズに取り組むものとなりました。こういったプロジェクトは、国の当局が地域社会を基盤としたリハビリテーション(CBR)計画を設けるのを支援し、カリキュラムの開発とCBR普及員の訓練に特に重点が置かれました。
多くの途上国では、センターやCBR計画を通じて職業リハビリテーション・サービスや技能訓練が提供されていても多くの障害者が仕事を見つけられないままでいます。そこで、障害者がインフォーマル・セクターで所得創出活動を始めるのを支援する計画の設定においてILOの技術支援が求められました。こういった雇用創出計画は、経営技能訓練、将来性のある地元事業機会の把握における指導、事業計画作成に対する支援、融資利用機会を提供しています。このような活動は、しばしば国連教育科学文化機関(ユネスコ)や世界保健機関(WHO)と協力して実施されています。
多くの国で、障害を有する人々の機会平等が重視されるようになり、職業技能訓練機会における障害者の主流化または統合が求められ、ILOの技術協力プロジェクトに対する新たな要請が生じました。この種のプロジェクトは技術及び職業的な教育訓練を担当する省庁機関が、障害を有する受講生の統合に向けた政策や慣行を採用し、訓練の施設、カリキュラム、機材を調整するのを助けました。職業訓練の講師その他の人々に対し、視覚、聴覚、運動機能など、異なる障害を有する人々の訓練に関する指導を提供してもいます。
武力紛争後の諸国でも技術協力プロジェクトが実行され、障害を有する元戦闘員と民間人の双方のリハビリテーション及び訓練ニーズに対処しています。
障害分野、特に第159号条約の規定を国内の法慣行で実行する方法に関する助言を提供するため、政府、労使団体、そして障害者団体の代表を集めた四者地域技術会合の形式による技術協力活動も実行されています。
今日のプロジェクトはさらに多様になっており、例えば東アフリカとアジア太平洋の一部諸国に対し、政府が障害を有する人々の雇用に関する効果的な法制を実行する能力を高めることを目指し、このような法制に関する知識基盤を構築した後、導入されている実行メカニズムを把握し、必要と考えられる改善点に光を当て、必要な改善を実行する技術支援を提供しました。また、障害を有する女性の起業家精神育成プロジェクトでは、障害を有する女性が収入を得る潜在力を最適化し、貧困から抜け出させる戦略が試みられています。障害を有する女性たち自身が運営するこのプロジェクトは、零細事業スキルにおける訓練の提供、職業技能訓練及び融資利用機会の手配、新規開業または既存事業育成のための支援の提供によって、障害を有する女性及び障害を有する扶養家族を抱える女性の経済力の強化を試みています。
一般的な技術協力プロジェクトに障害を有する人々を組み込む活動も新しいことではなく、90年代のカンボジアで行われた雇用創出計画では、労働者基盤型インフラ開発及び職業訓練活動において障害を持たない人々と共に、障害を有する人々も対象層としました。武力紛争後の諸国におけるILOのプロジェクトは障害を有する兵士と民間人の再統合に最大の焦点を当てています。
2012年までが第二次障害者の十年とされているアジア太平洋地域では、障害を有する人々の訓練・雇用機会と基本的人権を推進する地域計画(AbilityAP)が実施されています。この活動は知識基盤の構築、唱道活動、技術協力の三つから構成され、地域の法・政策の研究、好事例の把握、会議の開催、助言提供、セミナー・ワークショップ等を通じた研修提供などを行っています。
★パートナーシップ
障害分野におけるILOの活動はずいぶん前から協力的な取り組みを特徴としてきました。政府及び労使といった三者に加え、ILO事務局は障害者団体や障害者支援団体、そして他の国連諸機関と協力して、障害者の雇用機会や職業訓練の推進に努めています。例えば、1975年に、障害を有する人々の機会平等を促進する上での国際機関同士の多分野にわたった協力体制の重要性を認識したILOは、国連本体、国連専門機関、国際組織、地域組織、非政府組織と協力し合い、障害者の社会的統合と職業リハビリテーションのための包括的なキャンペーンを呼びかけました。1981年の国際障害者年や1982年に国連で採択された「障害者に関する世界行動計画」はこの活動の成果と言うことができるでしょう。
より最近では、「障害と開発に向けたグローバル・パートナーシップ(GPDD)」の設置に向けた世界銀行のイニシアチブに協力しました。GPDDは途上国における障害を有する人々とその家族の経済的排除と貧窮化と闘うことを目指しています。GPDDのパートナーは、集団的かつ個別に、障害問題及び障害を有する人々を、自らの、そして他の主流となっている社会・経済開発のための政策、事業計画、予算に組み込む動きを加速化させる取り組みを行います。このイニシアチブはミレニアム開発目標8に予定されているようなパートナーシップの一例となっています。
今回採択される予定の国連の障害者権利条約の起草にも積極的に関わることによって、ILO事務局は第159号条約をはじめとした国際労働基準が達成した進歩がしっかりと固められ、障害を有する人々の人権を国際法に固着させるさらなる進歩が達成されるよう努力してきました。
★ILOの役割
障害を有する人々の権利と能力に対する認識の高まりを反映し、ILOは国際労働基準、促進活動、知識基盤構築、技術協力サービスを通じて、障害分野において国際的に重要な役割を果たしてきました。今では現代の障害関連法の重要な要素と見られている合理的配慮と積極的差別是正策の概念は、ILOがその国際労働基準を通じて何年にもわたって推進してきたものです。障害を有する労働者の職場復帰の概念も広まってきています。障害に関するILOの基準は、差別に関する他のILOの文書と合わせ、障害を有する人々を社会の縁辺から中央に押し戻し、できるだけ完全な社会参加を達成する流れを強化しています。
社会が前進し、障害を有する人々がそれ以外の人々と共に生活のあらゆる側面に参加していくことが望まれる現在、導入される変化が障害の種類も程度も様々な、人々の多様なニーズを考慮に入れることが大切です。新しいアプローチにおいて、専門家の知識を活用し、障害者のために応用することを確実にしていくことも重要です。
現在、ILOでは、障害を有する労働者は、労働市場において特別不利な立場にあり、公正面の特別な配慮を必要とするとの考えのもと、同じ立場にある高齢者、若者と合わせて、雇用総局技能・就業能力局の公正事項グループが障害者関連事項を担当しています。同グループのウェブサイトでは、上記のような様々な活動・調査研究の成果物や実践綱領をご覧いただけます。また、障害分野における各国の活動のプロフィール、職員リスト、リンク集といったメニューも掲載されています。
ILOと障害者(英語)----->
http://www.ilo.org/public/english/employment/skills/disability/index.htm
条約・勧告一覧----->
http://www.ilo.org/public/japanese/region/asro/tokyo/standards/list.htm