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「ILOに期待すること」というテーマではあるが、ILOを構成している総会、理事会、事務局のうち、総会、理事会は加盟国政府、労使から構成され、事務局は理事会の決定に基づき業務を行う。本日は、「ILOの構成員として何をしたいか」について述べたい。
一言で言うと、日本において、ILOの役割が正しく伝わるよう、ILOの存在感が高まるよう、そして日本にとって有益な存在であり続けるようにしたい。というのは、ILOは、ユニセフ、ユネスコほどの知名度はなく、中高年世代は公務員と政府の争い事の提訴機関であると認識し、若い世代には存在さえ知らない人も多いからである。これには、ILO事務局、政労使ともに責任がある。
まず、ILO事務局への要望をあげる。
第一に、ILO事務局には、自らの機能を労働裁判所の裁判官のようなものと認識している職員が存在するが、これを早期に是正していただくよう要請する。過去の案件について、当該国で法改正が行われたのに、まだ条約違反の裁定を下すかどうかに取り組んでいることがあるが、ILOの役割は、その掲げる目標の達成のために、当該国の現行の労働法をどう改善すべきか分析し援助することである。1999年の「最悪の形態の児童労働条約(第182号)」採択を好事例として紹介したい。第182号条約に関しては、批准のために必要な制度づくり−子どもが児童労働をやめた場合に受け皿となる教育制度への援助、子どもが児童労働を余儀なくされないための親の雇用機会の確保など−諸課題に1つ1つ対応しながら活動を進めている。ILOはこういう活動を進めていく必要がある。
第二は、労働側と意見が異なるが、一総会一条約という原則に則った結果、現在までに185条約が採択された。この中には批准国が数カ国という条約もあり、不必要な条約は資源の無駄遣いである。検討委員会で新規の産業別条約は採択すべきでないという議論がなされたが、その後も採択されている。理事会の決定を尊重し継続性のある業務を行うよう、事務局に要請したい。
第三は、近年、専門家会合が多数設置され、事務局がそこでの議論に基づいて業務を実施することがあるが、総会及び理事会という正式の決定機関を通して議論を尽くすことを要請したい。総会、理事会は、各国から選任された正式な構成員が議論する場であるのに、それとは別の会議で決定されたことが実施されるのでは、三者構成主義というILOの存在自体を危うくする。もちろん政労使の三者のみならず、NGOも積極的なオブザーバーとして、正式の場でILOの活動に参加していくことも重要であると思う。
つぎに、日本の政労使が行うべきことを述べる。
第一は、日本の政労使は、ILOの活動を積極的にマスコミに対して説明する努力を行うことである。特に、マスコミは提訴のみとりあげる傾向があるので、それ以外のILOの数多くの活動をとりあげるように説明を重ねる必要がある。またILO駐日事務所やILO協会は、ILOの活動が日本国民に伝わるよう、活動を充実させてほしい。
第二は、わが国がILOの活動にさらに積極的に関わっていくことである。現在日本は政労使とも理事会メンバーで、私は結社の自由委員会委員で、アジアのコーディネーターも行うなど、ILOの様々な活動に参加してきた。しかし、日本はまだまだ影響力があると言える状況にはなっていない。これに対し、ヨーロッパ諸国は国際機関を動かすのに熟達している。わが国も、ILOを実質的に動かせるように、さらに積極的に関与していくべきであろう。
第三は、ILO事務局で働く日本人の増加を図ることである。日本はILOに対する拠出が多いのに、事務局員に占める職員が絶対的に少ない。このため、ILOの活動を国民特に若者に伝え、若い人のILOに対する興味を高め、ILOで働きたいと思う人を増やしたい。
今まで述べたように、わが国でILOの存在感が高くないことについては、ILO事務局、日本の政労使ともに責任がある。ILOの役割が国民に正しく理解されるよう、さらに努力していきたい。