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ILO駐日事務所(旧ILO東京支局)再開設50周年記念シンポジウム

ILOに期待すること

岩附由香 児童労働を考えるNGO ACE代表
児童労働ネットワーク運営委員

岩附由香ACE代表写真 厚生労働省、連合、日本経団連と並んでNGOとして、また諸先輩の女性の前で発言できることを光栄に思う。ACEは、今年特定非営利活動法人となり、子どもの権利が守られる社会をつくるために、子どもの権利を奪う児童労働を撤廃する活動に取り組んでいる。事業の中には、ILOと一緒に活動をしているものもある。本日は、ILOに期待することとして、児童労働分野に限定し3点発言する。

 1点目は、NGOとのパートナーシップの継続である。
 国内の連携としては、児童労働とサッカーボールに関する「ワールドカップキャンペーン」の記者会見に、堀内光子ILO駐日代表と阿部連合国際局長に出席していただいた。また、4年前から、ILOと一緒に6月12日の「児童労働反対世界デー」の世論喚起のためのイベントを行っている。今日はILOをもっと若者に広報すべきとの発言が相次いだが、児童労働については若者にアピールをしてきている。2003年の世界デーでの人身取引をテーマとした若者のワークショップには、定員100名に対し150名の参加があった。これをきっかけに、ILOと国内で児童労働反対に取り組む多くのNGOとの連携が図れるようになった。さらに、昨年、児童労働に関する情報を共有し、日本国内で運動をともに実現できるように「児童労働ネットワーク」を設立した。今年の世界デーでは、このネットワークは、ILOのワークショップに引き続き、150人の参加を得てウォークを行った。
 国外の連携としては、ICFTU大会の採択文書における児童労働の項に、NGOとのパートナーシップがあり、児童労働に反対するグローバルマーチネットワークが紹介されている。これは1999年のILO総会における「最悪の形態の児童労働条約」採択の場に入った初のNGOで、児童労働ネットワークも参加している。IPECでも現地のNGOがプロジェクトに参加していることが多い。
 現在ビジネスの拠点が小規模化し、その中で児童労働が行われている。また、ILOの三者構成に子どもは入っていないので、子どもの声を反映できるのはNGOだけであり、NGOの声を反映させることが求められていると思う。

 2点目は情報提供と連携である。
 (政府・企業・労働組合・NGO・市民・他国ILO事務所)
 ILOは児童労働問題について数多くの情報を発信しているが日本語が少ない。駐日事務所はブックレットの翻訳、パンフレットの作成など注意喚起を行っているが、今後もその努力を継続していただきたい。連携の面では、労働組合が児童労働のキャンペーンの中で組織したスタディー・ツアーで、ILOのインド事務所とそのコーディネートを連携していただき、インドのILOプロジェクト−労働組合や使用者団体がIPECと一緒に行っている−を視察することができた。海外では政労使三者とそれ以外の団体が一緒に行っている活動も多い。情報提供や連携は、児童労働そのものの周知、たとえば児童労働は2億6400万人という事実の周知、またこの問題に一緒に取り組む人の増加のために重要である。

 3点目は国際協力の推進である。
 児童労働は貧困と大きな関わりがあり、ミレニアム開発目標に掲げられている基礎教育の普及も、児童労働の問題に対応しない限り実現は難しい。アメリカはインド政府と協力してILOを通じて4千万ドルのプロジェクトを行い、その半額を拠出している。オランダは、国の国際協力の中に児童労働のポリシーペーパーを考案中である。このように諸外国政府は児童労働と貧困の問題に非常に熱心に取り組んでいる。日本はアジア地域会議での拠出は5年間行っているが、児童労働問題に対するODAの拠出は多いとは言えない。今後は、NGOとして日本政府に働きかけるのは当然として、駐日事務所も政府対政府の仲介役として、政府の児童労働分野での国際協力を促し、推進していくことを期待したい。ILOのフィラデルフィア宣言には、「一部の貧困は、全体の繁栄にとって危険である世界の脅威である」とあり、ILOは国際協力を行う機関であると私は認識している。これは人間の安全保障、国家を超えた問題に国際的に取り組む必要があるということにも通じると思う。児童労働は貧困を永続させる。子どもが働き、学校に行かずに親になると、いい職を得られず、その子もまた児童労働を行うという悪循環となる。これを断ち切らないと、失業の解消や労働条件の向上などILOの他の活動にも影響する。児童労働問題の解決はすべての問題の解決にもつながるといえる。

 この3点に加え、ILOに期待することとして、グローバル化への対応がある。WTOで各国の経済に関する利害関係が調整されているが、労働者の声の反映はILOの役割である。グローバル化の中でILOに期待されることは大きい。

 最近ILO駐日事務所と一緒に活動することにより、マスコミにとりあげられることも増え、児童労働問題への関心も高まっていると思う。今後とも私たちの活動への支援をお願いするとともに、ILOとの連携をさらに深めてまいりたい。



最終更新日:2006年1月6日 作成者:AT 責任者:MH